JPH1029323A - 液体吐出ヘッド、および、それに用いられる液体供給装置 - Google Patents

液体吐出ヘッド、および、それに用いられる液体供給装置

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JPH1029323A
JPH1029323A JP20315096A JP20315096A JPH1029323A JP H1029323 A JPH1029323 A JP H1029323A JP 20315096 A JP20315096 A JP 20315096A JP 20315096 A JP20315096 A JP 20315096A JP H1029323 A JPH1029323 A JP H1029323A
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JP
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movable member
discharge
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bubble
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Application number
JP20315096A
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English (en)
Inventor
Katsuhiro Watanabe
克宏 渡辺
Toshio Kashino
俊雄 樫野
Yoshie Nakada
佳恵 中田
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Original Assignee
Canon Inc
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14016Structure of bubble jet print heads
    • B41J2/14032Structure of the pressure chamber
    • B41J2/14048Movable member in the chamber

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  • Ink Jet (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 発泡液の温度を温度調整しつつ発泡液を液流
路に供給するとともにヘッドの冷却を発泡液により行う
ことができること。 【解決手段】 各インク吐出ヘッド92Y、92M、9
2C、および、92Kにおける第2の液流路16に恒温
循環装置123からの発泡液を供給するとともに第2の
液体分岐供給パイプ91a、および、91b、共通排出
通路部93、共通導入通路部95、吐出側供給パイプ1
23、および、吸入側供給パイプ124を通じて発泡液
を循環させるもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱エネルギーを液
体に作用させることで起こる気泡の発生によって、所望
の液体を吐出する液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドを用
いたヘッドカートリッジ、液体吐出装置、液体吐出ヘッ
ドに用いられる液体供給装置に関する。
【0002】特に本発明は、気泡の発生を利用して変位
する可動部材を有する液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッド
を用いたヘッドカートリッジ、液体吐出装置に関する。
【0003】また本発明は紙、糸、繊維、布帛、皮革、
金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の
被記録媒体に対し記録を行うプリンター、複写機、通信
システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワ
ードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と複合
的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる発明であ
る。
【0004】なお、本発明における、「記録」とは、文
字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与
することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像
を付与することをも意味するものである。
【0005】
【従来の技術】熱等のエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行なうインクジェット記録方法、いわ
ゆるバブルジェット記録方法が従来知られている。この
バブルジェット記録方法を用いる記録装置には、USP
4,723,129等の公報に開示されているように、
インクを吐出するための吐出口と、この吐出口に連通す
るインク流路と、インク流路内に配されたインクを吐出
するためのエネルギー発生手段としての電気熱変換体が
一般的に配されている。
【0006】この様な記録方法によれば、品位の高い画
像を高速、低騒音で記録することができると共に、この
記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出
口を高密度に配置することができるため、小型の装置で
高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得る
ことができるという多くの優れた点を有している。この
ため、このバブルジェット記録方法は近年、プリンタ
ー、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利
用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムに
まで利用されるようになってきている。
【0007】このようにバブルジェット技術が多方面の
製品に利用されるに従って、次のような様々な要求が近
年さらにたかまっている。
【0008】例えば、エネルギー効率の向上の要求に対
する検討としては、保護膜の厚さを調整するといった発
熱体の最適化が挙げられている。この手法は、発生した
熱の液体への伝搬効率を向上させる点で効果がある。
【0009】また、高画質な画像を得るために、インク
の吐出スピードが速く、安定した気泡発生に基づく良好
なインク吐出を行える液体吐出方法等を与えるための駆
動条件が提案されたり、また、高速記録の観点から、吐
出された液体の液流路内への充填(リフィル)速度の速
い液体吐出ヘッドを得るために流路形状を改良したもの
も提案されている。
【0010】この流路形状の内、流路構造として図18
(a),(b)に示すものが、特開昭63−19997
2号公報等に記載されている。この公報に記載されてい
る流路構造やヘッド製造方法は、気泡の発生に伴って発
生するバック波(吐出口へ向かう方向とは逆の方向へ向
かう圧力、即ち、液室12へ向かう圧力)に着目した発
明である。このバック波は、吐出方向へ向かうエネルギ
ーでないため損失エネルギーとして知られている。
【0011】図18(a),(b)に示す発明は、発熱
素子2が形成する気泡の発生領域よりも離れ且つ、発熱
素子2に関して吐出口11とは反対側に位置する弁10
を開示する。
【0012】図18(b)においては、この弁10は、
板材等を利用する製造方法によって、流路3の天井に貼
り付いたように初期位置を持ち、気泡の発生に伴って流
路3内へ垂れ下がるものとして開示されている。この発
明は、上述したバック波の一部を弁10によって制御す
ることでエネルギー損失を抑制するものとして開示され
ている。
【0013】しかしながら、この構成において、吐出す
べき液体を保持する流路3内部に、気泡が発生した際を
検討するとわかるように、弁10によるバック波の一部
を抑制することは、液体吐出にとっては実用的なもので
ないことがわかる。
【0014】もともとバック波自体は、前述したように
吐出に直接関係しないものである。このバック波が流路
3内に発生した時点では、図18(a)に示すように、
気泡のうち吐出に直接関係する圧力はすでに流路3から
液体を吐出可能状態にしている。従って、バック波のう
ち、しかもその一部を抑制したからといっても、吐出に
大きな影響を与えないことは明らかである。
【0015】他方、バブルジェット記録方法において
は、発熱体がインクに接した状態で加熱を繰り返すた
め、発熱体の表面にインクの焦げによる堆積物が発生す
るが、インクの種類によってはこの堆積物が多く発生す
ることで、気泡の発生を不安定にしてしまい、良好なイ
ンクの吐出を行うことが困難な場合があった。また、吐
出すべき液体が熱によって劣化しやすい液体の場合や十
分に発泡が得られにくい液体の場合においても、吐出す
べき液体を変質させず、良好に吐出するための方法が望
まれていた。
【0016】このような観点から、熱により気泡を発生
させる液体(発泡液)と吐出する液体(吐出液)とを別
液体とし、発泡による圧力を吐出液に伝達することで吐
出液を吐出する方法が、特開昭61−69467号公
報、特開昭55−81172号公報、USP4,48
0,259号等の公報に開示されている。これらの公報
では、吐出液であるインクと発泡液とをシリコンゴムな
どの可撓性膜で完全分離し、発熱体に吐出液が直接接し
ないようにすると共に、発泡液の発泡による圧力を可撓
性膜の変形によって吐出液に伝える構成をとっている。
このような構成によって、発熱体表面の堆積物の防止
や、吐出液体の選択自由度の向上等を達成している。
【0017】しかしながら、前述のように吐出液と発泡
液とを完全分離する構成のヘッドにおいては、発泡時の
圧力を可撓性膜の伸縮変形によって吐出液に伝える構成
であるため、発泡による圧力を可撓性膜がかなり吸収し
てしまう。また、可撓性膜の変形量もあまり大きくない
ため、吐出液と発泡液とを分離することによる効果を得
ることはできるものの、エネルギー効率や吐出力が低下
してしまう虞があった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、基本的に従
来の気泡(特に膜沸騰に伴う気泡)を液流路中に形成し
て液体を吐出する方式の、根本的な吐出特性を、従来で
は考えられなかった観点から、従来では予想できない水
準に高めることを主たる課題とする。
【0019】発明者達は、液滴吐出の原理に立ち返り、
従来では得られなかった気泡を利用した新規な液滴吐出
方法及びそれに用いられるヘッド等を提供すべく鋭意研
究を行った。このとき、流路中の可動部材の機構の原理
を解析すると言った液流路中の可動部材の動作を起点と
する第1技術解析、及び気泡による液滴吐出原理を起点
とする第2技術解析、さらには、気泡形成用の発熱体の
気泡形成領域を起点とする第3解析を行うことにした。
【0020】これらの解析によって、可動部材の支点と
自由端の配置関係を吐出口側つまり下流側に自由端が位
置する関係にすること、また可動部材を発熱体もしく
は、気泡発生領域に面して配することで積極的に気泡を
制御する全く新規な技術を確立するに至った。
【0021】つぎに、気泡自体が吐出量に与えるエネル
ギーを考慮すると気泡の下流側の成長成分を考慮するこ
とが吐出特性を格段に向上できる要因として最大である
との知見に至った。つまり、気泡の下流側の成長成分を
吐出方向へ効率よく変換させることこそ吐出効率、吐出
速度の向上をもたらすことも判明した。このことから、
発明者らは気泡の下流側の成長成分を積極的に可動部材
の自由端側に移動させるという従来の技術水準に比べ極
めて高い技術水準に至った。
【0022】さらに、気泡を形成するための発熱領域、
例えば電気熱変換体の液体の流れ方向の面積中心を通る
中心線から下流側、あるいは、発泡を司る面における面
積中心等の気泡下流側の成長にかかわる可動部材や液流
路等の構造的要素を勘案することも好ましいということ
がわかった。
【0023】また、一方、可動部材の配置と液供給路の
構造を考慮することで、リフィル速度を大幅に向上する
ことができることがわかった。
【0024】発明者らは、このように研究で得られた知
見および、総合的観点から優れた液体の吐出原理を見い
だし本発明を成すに至った。
【0025】本発明の主たる目的は以下の通りである。
【0026】第1の目的は、発泡液の温度を温度調整し
つつ発泡液を液流路に供給するとともにヘッドの冷却を
発泡液により行うことができる液体吐出ヘッドを提供す
ることにある。
【0027】第2の目的は、発生した気泡を根本的に制
御することで極めて新規な液体吐出原理を提供すること
にある。
【0028】本発明の第3の目的は、吐出効率、吐出圧
力の向上を図りつつ、発熱体上の液体への蓄熱を大幅に
軽減できると共に、発熱体上の残留気泡の低減を図るこ
とで、良好な液体の吐出を行いうる液体吐出方法、液体
吐出ヘッド等を提供することにある。
【0029】本発明の第4の目的は、バック波による液
体供給方向とは逆方向への慣性力が働くのを抑えると同
時に、可動部材の弁機能によって、メニスカス後退量を
低減させることで、リフィル周波数を高め、印字スピー
ド等を向上させた液体吐出ヘッド等を提供することにあ
る。
【0030】本発明の第5の目的は、発熱体上への堆積
物を低減すると共に、吐出用液の用途範囲を広げること
ができ、しかも吐出効率や吐出力が十分に高い液体吐出
方法、液体吐出ヘッド等を提供することにある。
【0031】本発明の第6の目的は、吐出する液体の選
択自由度を高くできる液体吐出方法、液体吐出ヘッド等
を提供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに本発明に係る液体吐出ヘッドは、第1の液体を導入
する第1の液体供給路と、第2の液体を導入する第2の
液体供給路における該第2の液体を加熱し気泡を発生さ
せる気泡発生部と、気泡発生部に対向して配され気泡に
よる圧力により変位可能とされる可動部材と、圧力によ
る可動部材の変位に応じて、第1の液体供給路における
第1の液体を吐出する吐出口が形成される液体吐出部と
を備え、第2の液体供給路の一端が第2の液体が所定の
温度に冷却されるべく循環される循環通路に連通され、
冷却された第2の液体が前記第2の液体供給路に供給さ
れるものとされる。
【0033】本発明に係る液体供給装置は、第1の液体
を導入する第1の液体供給路と、第2の液体を導入する
第2の液体供給路における第2の液体を加熱し気泡を発
生させる気泡発生部と、気泡発生部に対向して配され気
泡による圧力により変位可能とされる可動部材と、圧力
による可動部材の変位に応じて、第1の液体供給路にお
ける第1の液体を吐出する吐出口が形成される液体吐出
部とを備える複数の液体吐出ヘッドにおける前記各第2
の液体供給路の一端にそれぞれ連通する分岐液体供給路
と、分岐液体供給路に連結され所定の温度に冷却された
第2の液体を循環させる液体循環供給路と、液体循環供
給路からの第2の液体を所定の温度に冷却し液体循環供
給路に導出する冷却液体導出部とを備えて構成される。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に適
用される構成例を詳細に説明する。
【0035】まず本構成例では液体を吐出するための、
気泡に基づく圧力の伝搬方向や気泡の成長方向を制御す
ることで吐出力や吐出効率の向上を図る場合の例を説明
する。
【0036】図4はこのような本発明に適用される液体
吐出ヘッドを液流路方向で切断した断面模式図を示して
おり、図5はこの液体吐出ヘッドの部分破断斜視図を示
している。
【0037】本発明に適用される液体吐出ヘッドは、液
体を吐出するための吐出エネルギー発生素子として、液
体に熱エネルギーを作用させる発熱体2(本実施形態例
においては40μm×105μmの形状の発熱抵抗体)
が素子基板1に設けられており、この素子基板上に発熱
体2に対応して液流路10が配されている。液流路10
は吐出口18に連通していると共に、複数の液流路10
に液体を供給するための共通液室13に連通しており、
吐出口から吐出された液体に見合う量の液体をこの共通
液室13から受け取る。
【0038】この液流路10の素子基板上には、前述の
発熱体2に対向するように面して、金属等の弾性を有す
る材料で構成され、平面部を有する板状の可動部材31
が片持梁状に設けられている。この可動部材の一端は液
流路10の壁や素子基板上に感光性樹脂などをパターニ
ングして形成した土台(支持部材)34等に固定されて
いる。これによって、可動部材は保持されると共に支点
(支点部分)33を構成している。
【0039】この可動部材31は、液体の吐出動作によ
って共通液室13から可動部材31を経て吐出口18側
へ流れる大きな流れの上流側に支点(支点部分;固定
端)33を持ち、この支点33に対して下流側に自由端
(自由端部分)32を持つように、発熱体2に面した位
置に発熱体2を覆うような状態で発熱体から15μm程
度の距離を隔てて配されている。この発熱体と可動部材
との間が気泡発生領域となる。なお発熱体、可動部材の
種類や形状および配置はこれに限られることなく、後述
するように気泡の成長や圧力の伝搬を制御しうる形状お
よび配置であればよい。なお、上述した液流路10は、
後に取り上げる液体の流れの説明のため、可動部材31
を境にして直接吐出口18に連通している部分を第1の
液流路14とし、気泡発生領域11や液体供給路12を
有する第2の液流路16の2つの領域に分けて説明す
る。
【0040】発熱体2を発熱させることで可動部材31
と発熱体2との間の気泡発生領域11の液体に熱を作用
し、液体にUSP4,723,129に記載されている
ような膜沸騰現象に基づく気泡を発生させる。気泡の発
生に基づく圧力と気泡は可動部材に優先的に作用し、可
動部材31は図4(b)、(c)もしくは図5で示され
るように支点33を中心に吐出口側に大きく開くように
変位する。可動部材31の変位若しくは変位した状態に
よって気泡の発生に基づく圧力の伝搬や気泡自身の成長
が吐出口側に導かれる。
【0041】ここで、本発明に適用される基本的な吐出
原理の一つを説明する。本発明において最も重要な原理
の1つは、気泡に対面するように配された可動部材が気
泡の圧力あるいは気泡自体に基づいて、定常状態の第1
の位置から変位後の位置である第2の位置へ変位し、こ
の変位する可動部材31によって気泡の発生に伴う圧力
や気泡自身を吐出口18が配された下流側へ導くことで
ある。
【0042】この原理を可動部材を用いない従来の液流
路構造を模式的に示した図6と本構成の図7とを比較し
てさらに詳しく説明する。なおここでは吐出口方向への
圧力の伝搬方向をVA、上流側への圧力の伝搬方向をV
Bとして示した。
【0043】図6で示されるような従来のヘッドにおい
ては、発生した気泡40による圧力の伝搬方向を規制す
る構成はない。このため気泡40の圧力伝搬方向はV1
〜V8のように気泡表面の垂線方向となり様々な方向を
向いていた。このうち、特に液吐出に最も影響を及ぼす
VA方向に圧力伝搬方向の成分を持つものは、V1〜V
4即ち気泡のほぼ半分の位置より吐出口に近い部分の圧
力伝搬の方向成分であり、液吐出効率、液吐出力、吐出
速度等に直接寄与する重要な部分である。さらにV1は
吐出方向VAの方向に最も近いため効率よく働き、逆に
V4はVAに向かう方向成分は比較的少ない。
【0044】これに対して、図4で示される本構成の場
合には、可動部材31が図3の場合のように様々な方向
を向いていた気泡の圧力伝搬方向V1〜V4を下流側
(吐出口側)へ導き、VAの圧力伝搬方向に変換するも
のであり、これにより気泡40の圧力が直接的に効率よ
く吐出に寄与することになる。そして、気泡の成長方向
自体も圧力伝搬方向V1〜V4と同様に下流方向に導か
れ、上流より下流で大きく成長する。このように、気泡
の成長方向自体を可動部材によって制御し、気泡の圧力
伝搬方向を制御することで、吐出効率や吐出力また吐出
速度等の根本的な向上を達成することができる。
【0045】次に図4に戻って、本発明に適用される液
体吐出ヘッドの吐出動作について詳しく説明する。
【0046】図4(a)は、発熱体2に電気エネルギー
等のエネルギーが印加される前の状態であり、発熱体が
熱を発生する前の状態である。ここで重要なことは、可
動部材31が、発熱体の発熱によって発生した気泡に対
し、この気泡の少なくとも下流側部分に対面する位置に
設けられていることである。つまり、気泡の下流側が可
動部材に作用するように、液流路構造上では少なくとも
発熱体の面積中心3より下流(発熱体の面積中心3を通
って流路の長さ方向に直交する線より下流)の位置まで
可動部材31が配されている。
【0047】図4(b)は、発熱体2に電気エネルギー
等が印加されて発熱体2が発熱し、発生した熱によって
気泡発生領域11内を満たす液体の一部を加熱し、膜沸
騰に伴う気泡を発生させた状態である。
【0048】このとき可動部材31は気泡40の発生に
基づく圧力により、気泡40の圧力の伝搬方向を吐出口
方向に導くように第1位置から第2位置へ変位する。こ
こで重要なことは前述したように、可動部材31の自由
端32を下流側(吐出口側)に配置し、支点33を上流
側(共通液室側)に位置するように配置して、可動部材
の少なくとも一部を発熱体の下流部分すなわち気泡の下
流部分に対面させることである。
【0049】図4(c)は気泡40がさらに成長した状
態であるが、気泡40発生に伴う圧力に応じて可動部材
31はさらに変位している。発生した気泡は上流より下
流に大きく成長すると共に可動部材の第1の位置(点線
位置)を越えて大きく成長している。このように気泡4
0の成長に応じて可動部材31が徐々に変位して行くこ
とで気泡40の圧力伝搬方向や堆積移動のしやすい方
向、すなわち自由端側への気泡の成長方向を吐出口に均
一的に向かわせることができることも吐出効率を高める
と考えられる。可動部材は気泡や発泡圧を吐出口方向へ
導く際もこの伝達の妨げになることはほとんどなく、伝
搬する圧力の大きさに応じて効率よく圧力の伝搬方向や
気泡の成長方向を制御することができる。
【0050】図4(d)は気泡40が、前述した膜沸騰
の後気泡内部圧力の減少によって収縮し、消滅する状態
を示している。
【0051】第2の位置まで変位していた可動部材31
は、気泡の収縮による負圧と可動部材自身のばね性によ
る復元力によって図4(a)の初期位置(第1の位置)
に復帰する。また、消泡時には、気泡発生領域11での
気泡の収縮体積を補うため、また、吐出された液体の体
積分を補うために上流側(B)、すなわち共通液室側か
ら流れのVD1、VD2のように、また、吐出口側から
流れのVcのように液体が流れ込んでくる。
【0052】以上、気泡の発生に伴う可動部材の動作と
液体の吐出動作について説明したが、以下に本発明に適
用される液体吐出ヘッドにおける液体のリフィルについ
て詳しく説明する。
【0053】図4を用いて本構成における液供給メカニ
ズムをさらに詳しく説明する。
【0054】図4(c)の後、気泡40が最大体積の状
態を経て消泡過程に入ったときには、消泡した体積を補
う体積の液体が気泡発生領域に、第1液流路14の吐出
口18側と第2液流路16の共通液室側13から流れ込
む。可動部材31を持たない従来の液流路構造において
は、消泡位置に吐出口側から流れ込む液体の量と共通液
室から流れ込む液体の量は、気泡発生領域より吐出口に
近い部分と共通液室に近い部分との流抵抗の大きさに起
因する(流路抵抗と液体の慣性に基づくものであ
る。)。
【0055】このため、吐出口に近い側の流抵抗が小さ
い場合には、多くの液体が吐出口側から消泡位置に流れ
込みメニスカスの後退量が大きくなることになる。特
に、吐出効率を高めるために吐出口に近い側の流抵抗を
小さくして吐出効率を高めようとするほど、消泡時のメ
ニスカスMの後退が大きくなり、リフィル時間が長くな
って高速印字を妨げることとなっていた。
【0056】これに対して本構成では、可動部材31を
設けたため、気泡の体積Wを可動部材31の第1位置を
境に上側をW1、気泡発生領域11側をW2とした場
合、消泡時に可動部材が元の位置に戻った時点でメニス
カスの後退は止まり、その後残ったW2の体積分の液体
供給は主に第2流路16の流れVD2からの液供給によ
って成される。これにより、従来、気泡Wの体積の半分
程度に対応した量がメニスカスの後退量になっていたの
に対して、それより少ないW1の半分程度のメニスカス
後退量に抑えることが可能になった。
【0057】さらに、W2の体積分の液体供給は消泡時
の圧力を利用して可動部材31の発熱体側の面に沿っ
て、主に第2液流路の上流側(VD2)から強制的に行
うことができるためより速いリフィルを実現できた。
【0058】ここで特徴的なことは、従来のヘッドで消
泡時の圧力を用いたリフィルを行った場合、メニスカス
の振動が大きくなってしまい画像品位の劣化につながっ
ていたが、本実施形態例の高速リフィルにおいては可動
部材によって吐出口側の第1液流路14の領域と、気泡
発生領域11との吐出口側での液体の流通が抑制される
ためメニスカスの振動を極めて少なくすることができる
ことである。
【0059】このように本構成は、第2流路16の液供
給路12を介しての発泡領域への強制リフィルと、上述
したメニスカス後退や振動の抑制によって高速リフィル
を達成することで、吐出の安定や高速繰り返し吐出、ま
た記録の分野に用いた場合、画質の向上や高速記録を実
現することができる。
【0060】本発明に適用される構成においてはさらに
次のような有効な機能を兼ね備えている。それは、気泡
の発生による圧力の上流側への伝搬(バック波)を抑制
することである。発熱体2上で発生した気泡の内、共通
液室13側(上流側)の気泡による圧力は、その多く
が、上流側に向かって液体を押し戻す力(バック波)に
なっていた。このバック波は、上流側の圧力と、それに
よる液移動量、そして液移動に伴う慣性力を引き起こ
し、これらは液体の液流路内へのリフィルを低下させ高
速駆動の妨げにもなっていた。本発明においては、まず
可動部材31によって上流側へのこれらの作用を抑える
ことでもリフィル供給性の向上をさらに図っている。
【0061】次に、本構成例の更なる特徴的な構造と効
果について、以下に説明する。
【0062】本構成例の第2液流路16は、発熱体2の
上流に発熱体2と実質的に平坦につながる(発熱体表面
が大きく落ち込んでいない)内壁を持つ液体供給路12
を有している。このような場合、気泡発生領域11およ
び発熱体2の表面への液体の供給は、可動部材31の気
泡発生領域11に近い側の面に沿って、VD2のように
行われる。このため、発熱体2の表面上に液体が淀むこ
とが抑制され、液体中に溶存していた気体の析出や、消
泡できずに残ったいわゆる残留気泡が除去され易く、ま
た、液体への蓄熱が高くなりすぎることもない。従っ
て、より安定した気泡の発生を高速に繰り返し行うこと
ができる。なお、本構成例では実質的に平坦な内壁を持
つ液体供給路12を持つもので説明したが、これに限ら
ず、発熱体表面となだらかに繋がり、なだらかな内壁を
有する液供給路であればよく、発熱体上に液体の淀み
や、液体の供給に大きな乱流を生じない形状であればよ
い。
【0063】また、気泡発生領域への液体の供給は、可
動部材の側部(スリット35)を介してVD1から行わ
れるものもある。しかし、気泡発生時の圧力をさらに有
効に吐出口に導くために図4で示すように気泡発生領域
の全体を覆う(発熱体面を覆う)ように大きな可動部材
を用い、可動部材31が第1の位置へ復帰することで、
気泡発生領域11と第1液流路14の吐出口に近い領域
との液体の流抵抗が大きくなるような形態の場合、前述
のVD1から気泡発生領域11に向かっての液体の流れ
が妨げられる。しかし、本発明に適用されるヘッド構造
においては、気泡発生領域に液体を供給するための流れ
VD1があるため、液体の供給性能が非常に高くなり、
可動部材31で気泡発生領域11を覆うような吐出効率
向上を求めた構造を取っても、液体の供給性能を落とす
ことがない。
【0064】ところで、可動部材31の自由端32と支
点33の位置は、例えば図8で示されるように、自由端
が相対的に支点より下流側にある。このような構成のた
め、前述した発泡の際に気泡の圧力伝搬方向や成長方向
を吐出口側に導く等の機能や効果を効率よく実現できる
のである。さらに、この位置関係は吐出に対する機能や
効果のみならず、液体の供給の際にも液流路10を流れ
る液体に対する流抵抗を小さくしでき高速にリフィルで
きるという効果を達成している。これは図8に示すよう
に、吐出によって後退したメニスカスMが毛管力により
吐出口18へ復帰する際や、消泡に対しての液供給が行
われる場合に、液流路10(第1液流路14、第2液流
路16を含む)内を流れる流れS1、S2、S3に対
し、逆らわないように自由端と支点33とを配置してい
るためである。
【0065】補足すれば、本構成例を示す図4において
は、前述のように可動部材31の自由端32が、発熱体
2を上流側領域と下流側領域とに2分する面積中心3
(発熱体の面積中心(中央)を通り液流路の長さ方向に
直交する線)より下流側の位置に対向するように発熱体
2に対して延在している。これによって発熱体の面積中
心位置3より下流側で発生する液体の吐出に大きく寄与
する圧力、又は気泡を可動部材31が受け、この圧力及
び気泡を吐出口側に導くことができ、吐出効率や吐出力
を根本的に向上させることができる。
【0066】さらに、加えて上記気泡の上流側をも利用
して多くの効果を得ている。
【0067】また、本構成においては可動部材31の自
由端が瞬間的な機械的変位を行っていることも、液体の
吐出に対して有効に寄与している考えられる。
【0068】以下、図面を参照して本発明に適用される
他の形態例について説明する。
【0069】本形態例においても主たる液体の吐出原理
については先の形態例と同じであるが、本形態例におい
ては液流路を複流路構成にすることで、さらに熱を加え
ることで発泡させる液体(発泡液)と、主として吐出さ
れる液体(吐出液)とを分けることができるものであ
る。
【0070】図9は、本形態例の液体吐出ヘッドの流路
方向の断面模式図を示しており、図10はこの液体吐出
ヘッドの部分破断斜視図を示している。
【0071】本実施形態例の液体吐出ヘッドは、液体に
気泡を発生させるための熱エネルギーを与える発熱体2
が設けられた素子基板1上に、発泡用の第2液流路16
があり、その上に吐出口18に直接連通した吐出液用の
第1液流路14が配されている。
【0072】第1液流路の上流側は、複数の第1液流路
に吐出液を供給するための第1共通液室15に連通して
おり、第2液流路の上流側は、複数の第2液流路に発泡
液を供給するための第2共通液室に連通している。
【0073】但し、発泡液と吐出液を同じ液体とする場
合には、共通液室を一つにして共通化させてもよい。
【0074】第1と第2の液流路の間には、金属等の弾
性を有する材料で構成された分離壁30が配されてお
り、第1液流路と第2の液流路とを区分している。な
お、発泡液と吐出液とができる限り混ざり合わない方が
よい液体の場合には、この分離壁によってできる限り完
全に第1液流路14と第2液流路16の液体の流通を分
離した方がよいが、発泡液と吐出液とがある程度混ざり
合っても、問題がない場合には、分離壁に完全分離の機
能を持たせなくてもよい。
【0075】発熱体の面方向上方への投影空間(以下吐
出圧発生領域という。;図9中のAの領域とBの気泡発
生領域11)に位置する部分の分離壁は、スリット35
によって吐出口側(液体の流れの下流側)が自由端で、
共通液室(15、17)側に支点33が位置する片持梁
形状の可動部材31となっている。この可動部材31
は、気泡発生領域14(B)に面して配されているた
め、発泡液の発泡によって第1液流路側の吐出口側に向
けて開口するように動作する(図中矢印方向)。
【0076】図10においても、発熱体2としての発熱
抵抗部と、この発熱抵抗部に電気信号を印加するための
配線電極5とが配された素子基板1上に、第2の液流路
を構成する空間を介して分離壁30が配置されている。
【0077】可動部材31の支点33、自由端32の配
置と、発熱体との配置の関係については、先の形態例と
同様にしている。
【0078】また、先の形態例で液供給路12と発熱体
2との構造の関係について説明したが、本形態例におい
ても第2液流路16と発熱体2との構造の関係を同じく
している。
【0079】次に図11を用いて本形態例の液体吐出ヘ
ッドの動作を説明する。
【0080】ヘッドを駆動させるにあたっては、第1液
流路14に供給される吐出液と第2の液流路16に供給
される発泡液として同じ水系のインクを用いて動作させ
た。
【0081】発熱体2が発生した熱が、第2液流路の気
泡発生領域内の発泡液に作用することで、先の形態例で
説明したのと同様に発泡液にUSP4,723,129
に記載されているような膜沸騰現象に基づく気泡40を
発生させる。
【0082】本形態例においては、気泡発生領域の上流
側を除く、3方からの発泡圧の逃げがないため、この気
泡発生にともなう圧力が吐出圧発生部に配された可動部
材6側に集中して伝搬し、気泡の成長をともなって可動
部材6が図11(a)の状態から図11(b)のように
第1液流路側に変位する。この可動部材の動作によって
第1液流路14と第2液流路16とが大きく連通し、気
泡の発生に基づく圧力が第1液流路の吐出口側の方向
(A方向)に主に伝わる。この圧力の伝搬と、前述のよ
うな可動部材の機械的変位によって液体が吐出口から吐
出される。
【0083】次に、気泡が収縮するに伴って可動部材3
1が図11(a)の位置まで戻ると共に、第1液流路1
4では吐出された吐出液体の量に見合う量の吐出液体が
上流側から供給される。本形態例においても、この吐出
液体の供給は前述の実施形態例と同様に可動部材が閉じ
る方向であるため、吐出液体のリフィルを可動部材で妨
げることがない。
【0084】本形態例は、可動部材の変位に伴う発泡圧
力の伝搬、気泡の成長方向、バック波の防止等に関する
主要部分の作用や効果については先の形態例等と同じで
あるが、本形態例のような2流路構成をとることによっ
て、さらに次のような長所がある。
【0085】すなわち、上述の実施形態例の構成による
と、吐出液と発泡液とを別液体とし、発泡液の発泡で生
じた圧力によって吐出液を吐出することができる。この
ため従来、熱を加えても発泡が十分に行われにくく吐出
力が不十分であったポリエチレングリコール等の高粘度
の液体であっても、この液体を第1の液流路に供給し、
発泡液に発泡が良好に行われる液体(エタノール:水=
4:6の混合液1〜2cP程度等)や低沸点の液体を第
2の液流路に供給することで良好に吐出させることがで
きる。
【0086】また、発泡液として、熱を受けても発熱体
の表面にコゲ等の堆積物を生じない液体を選択すること
で、発泡を安定化し、良好な吐出を行うことができる。
【0087】さらに、本発明のヘッドの構造においては
先の実施形態例で説明したような効果をも生じるため、
さらに高吐出効率、高吐出力で高粘性液体等の液体を吐
出することができる。
【0088】また、加熱に弱い液体の場合においてもこ
の液体を第1の液流路に吐出液として供給し、第2の液
流路で熱的に変質しにくく良好に発泡を生じる液体を供
給すれば、加熱に弱い液体に熱的な害を与えることな
く、しかも上述のように高吐出効率、高吐出力で吐出す
ることができる。
【0089】以上、本発明に適用される液体吐出ヘッド
や液体吐出方法の要部の実施形態例について説明を行っ
たが、以下にこれらの実施形態例に好ましく適用できる
実施態様例について図面を用いて説明する。但し、以下
の説明においては前述の1流路形態の実施形態例と2流
路形態の実施形態例のいずれかを取り上げて説明する場
合があるが特に記載しない限り、両実施形態例に適用し
うるものである。
【0090】<液流路の天井形状>図12は本発明に適
用される液体吐出ヘッドの流路方向断面図であるが、第
1液流路13(若しくは図1における液流路10)を構
成するための溝が設けられた溝付き部材50が分離壁3
0上に設けられている。本形態例においては可動部材の
自由端32位置近傍の流路天井の高さが高くなってお
り、可動部材の動作角度θをより大きく取れるようにし
ている。この可動部材の動作範囲は、液流路の構造、可
動部材の耐久性や発泡力等を考慮して決定すればよい
が、吐出口の軸方向の角度を含む角度まで動作すること
が望ましいと考えられる。
【0091】また、この図で示されるように吐出口の直
径より可動部材の自由端の変位高さを高くすることで、
より十分な吐出力の伝達が成される。また、この図で示
されるように、可動部材の自由端32位置の液流路天井
の高さより可動部材の支点33位置の液流路天井の高さ
の方が低くなっているため、可動部材の変位よる上流側
への圧力波の逃げがさらに有効に防止できる。
【0092】<第2液流路と可動部材との配置関係>図
13は、上述の可動部材31と第2の液流路16との配
置関係を説明するための図であり、同図(a)は分離壁
30、可動部材31近傍を上方から見た図であり、同図
(b)は、分離壁30を外した第2液流路16を上方か
ら見た図である。そして、同図(c)は、可動部材6と
第2液流路16との配置関係を、これらの各要素を重ね
ることで模式的に示した図である。なお、いずれの図も
図面下方が吐出口が配されている前面側である。
【0093】本構成例の第2の液流路16は発熱体2の
上流側(ここでの上流側とは第2共通液室側から発熱体
位置、可動部材、第1流路を経て吐出口に向う大きな流
れの中の上流側のことである。)に狭窄部19を持って
おり、発泡時の圧力が第2液流路16の上流側に容易に
逃げることを抑制するような室(発泡室)構造となって
いる。
【0094】従来のヘッドのように、発泡する流路と液
体を吐出するための流路とが同じで、発熱体より液室側
に発生した圧力が共通液室側に逃げないように狭窄部を
設けるヘッドの場合には、液体のリフィルを充分考慮し
て、狭窄部における流路断面積があまり小さくならない
構成を採る必要があった。
【0095】しかし、本構成の場合、吐出される液体の
多くを第1液流路内の吐出液とすることができ、発熱体
が設けられた第2液流路内の発泡液はあまり消費されな
いようにできるため、第2液流路の気泡発生領域11へ
の発泡液の充填量は少なくて良い。従って、上述の狭窄
部19における間隔を数μm〜十数μmと非常に狭くで
きるため、第2液流路で発生した発泡時の圧力をあまり
周囲に逃がすことをさらに抑制でき、集中して可動部材
側に向けることができる。そしてこの圧力を可動部材3
1を介して吐出力として利用することができるため、よ
り高い吐出効率、吐出力を達成することができる。た
だ、第1液流路16の形状は上述の構造に限られるもの
ではなく、気泡発生に伴う圧力が効果的に可動部材側に
伝えられる形状であれば良い。
【0096】なお、図13(c)で示されるように可動
部材31の側方は、第2液流路を構成する壁の一部を覆
っており、このことで、可動部材31の第2液流路への
落ち込みが防止できる。これによって、前述した吐出液
と発泡液との分離性をさらに高めることができる。ま
た、気泡のスリットからの逃げの抑制ができるため、さ
らに吐出圧や吐出効率を高めることができる。さらに、
前述の消泡時の圧力による上流側からのリフィルの効果
を高めることができる。
【0097】なお、図11(b)や図12においては、
可動部材6の第1の液流路14側への変位に伴って第2
の液流路4の気泡発生領域で発生した気泡の一部が第1
の液流路14側に延在しているが、この様に気泡が延在
するような第2流路の高さにすることで、気泡が延在し
ない場合に比べ更に吐出力を向上させることができる。
この様に気泡が第1の液流路14に延在するようにする
ためには、第2の液流路16の高さを最大気泡の高さよ
り低くすることが望ましく、この高さを数μm〜30μ
mとすることが望ましい。なお、本形態例においてはこ
の高さを15μmとした。
【0098】<可動部材および分離壁>図14は可動部
材31の他の形状を示すもので、35は、分離壁に設け
られたスリットであり、このスリットによって、可動部
材31が形成されている。同図(a)は長方形の形状で
あり、(b)は支点側が細くなっている形状で可動部材
の動作が容易な形状であり、同図(c)は支点側が広く
なっており、可動部材の耐久性が向上する形状である。
動作の容易性と耐久性が良好な形状として、図13
(a)で示したように、支点側の幅が円弧状に狭くなっ
ている形態が望ましいが、可動部材の形状は第2の液流
路側に入り込むことがなく、容易に動作可能な形状で、
耐久性に優れた形状であればよい。
【0099】先の実施形態例においては、板状可動部材
31をおよびこの可動部材を有する分離壁5は厚さ5μ
mのニッケルで構成したが、これに限られることなく可
動部材、分離壁を構成する材質としては発泡液と吐出液
に対して耐溶剤性があり、可動部材として良好に動作す
るための弾性を有し、微細なスリットが形成できるもの
であればよい。
【0100】可動部材の材料としては、耐久性の高い、
銀、ニッケル、金、鉄、チタン、アルミニュウム、白
金、タンタル、ステンレス、りん青銅等の金属、および
その合金、または、アクリロニトリル、ブタジエン、ス
チレン等のニトリル基を有する樹脂、ポリアミド等のア
ミド基を有する樹脂、ポリカーボネイト等のカルボキシ
ル基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を
持つ樹脂、ポリサルフォン等のスルホン基を持つ樹脂、
そのほか液晶ポリマー等の樹脂およびその化合物、耐イ
ンク性の高い、金、タングステン、タンタル、ニッケ
ル、ステンレス、チタン等の金属、これらの合金および
耐インク性に関してはこれらを表面にコーティングした
もの若しくは、ポリアミド等のアミド基を有する樹脂、
ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリエー
テルエーテルケトン等のケトン基を有する樹脂、ポリイ
ミド等のイミド基を有する樹脂、フェノール樹脂等の水
酸基を有する樹脂、ポリエチレン等のエチル基を有する
樹脂、ポリプロピレン等のアルキル基を持つ樹脂、エポ
キシ樹脂等のエポキシ基を持つ樹脂、メラミン樹脂等の
アミノ基を持つ樹脂、キシレン樹脂等のメチロール基を
持つ樹脂およびその化合物、さらに二酸化珪素等のセラ
ミックおよびその化合物が望ましい。
【0101】分離壁の材質としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレー
ト、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リブタジエン、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケ
トン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリ
イミド、ポリサルフォン、液晶ポリマー(LCP)等の
近年のエンジニアリングプラスチックに代表される耐熱
性、耐溶剤性、成型性の良好な樹脂、およびその化合
物、もしくは、二酸化珪素、チッ化珪素、ニッケル、
金、ステンレス等の金属、合金およびその化合物、もし
くは表面にチタンや金をコーティングしたものが望まし
い。
【0102】また、分離壁の厚さは、分離壁としての強
度を達成でき、可動部材として良好に動作するという観
点からその材質と形状等を考慮して決定すればよいが、
0.5μm〜10μm程度が望ましい。
【0103】なお、可動部材31を形成するためのスリ
ット35の幅は本形態例では2μmとしたが、発泡液と
吐出液とが異なる液体であり、両液体の混液を防止した
い場合は、スリット幅を両者の液体間でメニスカスを形
成する程度の間隔とし、夫々の液体同士の流通を抑制す
ればよい。例えば、発泡液として2cP(センチポア
ズ)程度の液体を用い、吐出液として100cP以上の
液体を用いた場合には、5μm程度のスリットでも混液
を防止することができるが、3μm以下にすることが望
ましい。
【0104】<素子基板>以下に液体に熱を与えるため
の発熱体が設けられた素子基板の構成について説明す
る。
【0105】図15は本発明の液体吐出ヘッドの縦断面
図を示したもので、図15(a)は後述する保護膜があ
るヘッド、同図(b)は保護膜がないものである。
【0106】素子基板1上に第2液流路16、分離壁3
0、第1液流路14、第1液流路を構成する溝を設けた
溝付き部材50が配されている。素子基板1には、シリ
コン等の気体107に絶縁および蓄熱を目的としたシリ
コン酸化膜またはチッ化シリコン膜106を成膜し、そ
の上に発熱体を構成するハフニュウムボライド(HfB
2 )、チッ化タンタル(TaN)、タンタルアルミ(T
aAl)等の電気抵抗層105(0.01〜0.2μm
厚)とアルミニュウム等の配線電極(0.2〜1.0μ
m厚)を図11のようにパターニングされている。この
2つの配線電極104から抵抗層105に電圧を印加
し、抵抗層に電流を流し発熱させる。配線電極間の抵抗
層上には、酸化シリコンやチッ化シリコン等の保護層を
0.1〜2.0μm厚で形成し、さらにそのうえにタン
タル等の耐キャビテーション層(0.1〜0.6μm
厚)が成膜されており、インク等の各種の液体から抵抗
層105を保護している。
【0107】特に、気泡の発生、消泡の際に発生する圧
力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい酸化膜の耐久性
を著しく低下させるため、金属材料のタンタル(Ta)
等が耐キャビテーション層として用いられる。
【0108】また、液体、液流路構成、抵抗材料の組み
合わせにより上述の保護層を必要としない構成でもよく
その例を図15(b)に示す。このような保護層を必要
としない抵抗層の材料としてはイリジュウム−タンタル
−アルミ合金等が挙げられる。
【0109】このように、前述の各実施形態例における
発熱体の構成としては、前述の電極間の抵抗層(発熱
部)だけででもよく、また抵抗層を保護する保護層を含
むものでもよい。
【0110】本形態例においては、発熱体として電気信
号に応じて発熱する抵抗層で構成された発熱部を有する
ものを用いたが、これに限られることなく、吐出液を吐
出させるのに十分な気泡を発泡液に生じさせるものであ
ればよい。例えば、発熱部としてレーザ等の光を受ける
ことで発熱するような光熱変換体や高周波を受けること
で発熱するような発熱部を有する発熱体でもよい。
【0111】なお、前述の素子基板1には、前述の発熱
部を構成する抵抗層105とこの抵抗層に電気信号を供
給するための配線電極104で構成される電気熱変換体
の他に、この電気熱変換素子を選択的に駆動するための
トランジスタ、ダイオード、ラッチ、シフトレジスタ等
の機能素子が一体的に半導体製造工程によって作り込ま
れていてもよい。
【0112】また、前述のような素子基板1に設けられ
ている電気熱変換体の発熱部を駆動し、液体を吐出する
ためには、前述の抵抗層105に配線電極104を介し
て図16で示されるような矩形パルスを印加し、配線電
極間の抵抗層105を急峻に発熱させる。前述の各実施
形態例のヘッドにおいては、それぞれ電圧24V、パル
ス幅7μsec、電流150mA、電気信号を6kHz
で加えることで発熱体を駆動させ、前述のような動作に
よって、吐出口から液体であるインクを吐出させた。し
かしながら、駆動信号の条件はこれに限られることな
く、発泡液を適正に発泡させることができる駆動信号で
あればよい。
【0113】(実施例)図2は、本発明に係る液体吐出
ヘッドの一例を示す。
【0114】液体吐出ヘッド92は、複数の発熱体62
が設けられる素子基板63、64、65を備え、各素子
基板63〜65は支持体67上に一列状に配置され、こ
れら素子基板63〜65の側壁間に形成された間隙が第
2の液体の供給路に用いられる構成となっている。
【0115】支持体67には、第2の液体供給溝68が
形成され、さらに第2の液体供給溝68に第2の液体供
給孔68a、68b、および、68cが形成されてい
る。この支持体67は、第2の液体供給孔68a、68
b、および、68cと対応する孔69a、69b、およ
び、69cが形成された第2の液体供給部材69上に固
定され、第2の液体供給部材69を介して第2の液体が
第2の液体供給孔68a、68b、および、68cに供
給されて素子基板63〜65間の間隙への供給がなされ
る。第2の液体供給部材69には、第2の液体供給溝6
9Gが形成されている。液体供給溝69Gには、第2の
液体供給孔68a、68b、および、68cに対応した
位置に、透孔69a、69b、および、69cが設けら
れている。透孔69a、69b、および、69cは、後
述する液体供給装置からの第2の液体を導入する第2の
液体分岐供給パイプ91b、および、第2の液体の分岐
供給パイプ91bからの第2の液体の一部を液体供給装
置に戻す分岐供給パイプ91aに連通している。なお、
この支持体67には、各素子基板63〜65と記録装置
本体とを電気的に接続するための配線基板66が接着さ
れている。
【0116】分離壁61は、各素子基板63〜65の発
熱体63a、64a、および、65aに対応し、吐出側
に自由端を有する可動部材62を備え、第2の液流路を
構成する複数の溝を有している。この分離壁61を素子
基板63〜65と接合することにより、第2の液流路1
6が形成される。
【0117】溝付天板60には、素子基板63〜65の
各発熱体63a、64a、および、65aに対応する吐
出口を形成する複数のオリフィス60aが形成され、こ
れらオリフィス60aに連通する第1の液流路14を形
成するための溝が内壁に設けられている。さらに、溝付
天板60には、後述する液体供給装置から第1の液体を
導入する第1の液体供給パイプ90aおよび90bが接
続されており、これにより、第1の液流路14への第1
の液体の供給がなされる。
【0118】以下に、この液体吐出ヘッド92の製造方
法を具体的に説明する。素子基板63〜65は、発熱体
(電気熱変換体)63a〜65aが例えば、360dp
i(70.5μmピッチ間隔)で配設されたものであ
る。この素子基板63〜65を複数個配列する支持体6
7は、アルミダイカストで成形されたもので、素子基板
配列面には、素子基板63〜65を位置決めした後、接
着剤が固化するまで、吸引固定するための貫通孔と、第
2の液体を流す溝とが形成されている。
【0119】素子基板63〜65は上述したように、支
持体67上に位置決めされた後、吸引固定され、素子基
板63〜65の後端(ここでいう吐出口、電気熱変換体
の配設されている端部とは反対側部位)より接着剤が滴
下され、接着される。隣接する素子基板63〜65は隣
接する電気熱変換体が360dpi(70.5μmピッ
チ間隔)となるように位置決めされる。その際、素子基
板63〜65が互いに接触しないように素子基板63〜
65の相互間隔を約10μm確保している。この隙間が
第2の液供給路として用いられる。
【0120】なお、図2においては、説明のため3個の
素子基板63〜65としたが、例えば、4インチ幅で1
1個の素子基板、8インチ幅で22個の素子基板、12
インチ幅で33個の素子基板が支持体67に配列されて
もよい。
【0121】素子基板63〜65を配列し接着した後、
これら素子基板63〜65に記録装置本体からの電気信
号を供給する配線基板を接合し、この配線基板と素子基
板63〜65とをワイヤで接続し組み付けが完了する。
次に、その組み付けられたものに溝付天板60と分離壁
61とが結合される。
【0122】以下、この溝付天板60と分離壁61との
結合体と、配列した基板とが位置決めされた後、仮押さ
えした状態ですみやかに押さえばねが組み込まれ一体化
される。その後、第1の液体供給パイプ90aおよび9
0bと分岐供給パイプ91aおよび91bとが組み付け
られた後、各部品間の間隙、および、ワイヤボンディン
グ部が、例えば、シリコーン封止材料(商品名;TSE
399、東芝シリコーン製)PAにより封止されること
により液体吐出ヘッド92が得られる。
【0123】図3は、液体吐出ヘッド92に第1の液体
および第2の液体が供給されるとき、その各液体の流れ
を示す。液体吐出ヘッド92では、第2の液体は支持体
67の裏面より供給された第2の液体が素子基板63〜
65の下方の支持板67における第2の液体供給溝68
を流れ、素子基板63〜65の相互の間隙を介して共通
液室17および各第2の液流路16に供給される。
【0124】液体吐出ヘッド92は、歩留りが低い一枚
の素子基板をあえて用いることなく、吐出エネルギー発
生素子の数が例えば、64個、128個といった少数で
歩留りの高い基板を用いることができ、ヘッド全体とし
ての歩留りの向上、低コスト化を達成することができ
る。また、このように複数の素子基板を用いても溝付天
板60が共通であるため、素子基板ごとに溝付天板を設
けたヘッドを並べる構成に比べ、流路や吐出口の方向を
一定にすることができる。また、良好な画像を得ること
ができる長尺ヘッドを低コストで提供することができ
る。さらに、第2の液体の供給系が第2の液体供給部材
69を含んで形成され、一方、第1の液体の供給系が分
離壁61を挟んで分離壁61に対向する溝付天板60を
含んで形成されるのでヘッドの小型化および簡素化が図
られる。
【0125】<液体供給装置>図1は、本発明に係る液
体供給装置の一例の要部を示す。
【0126】図1に示される例においては、本装置は、
上述した液体吐出ヘッド92と同様な構造とされる液体
吐出ヘッド92Y、92M、92C、および、92Kを
含んでなる記録ヘッド部120に対して第1の液体とし
てのインク液、例えば、イエローのインク液、マゼンタ
のインク液、シアンのインク液、および、ブラックのイ
ンク液をそれぞれ供給するとともに発泡液を各液体吐出
ヘッド92Y、92M、92C、および、92Kに供給
するものである。
【0127】本装置は、各液体吐出ヘッド92Y、92
M、92C、および、92Kにおける上述した第1の液
体供給パイプ90aおよび90bのうち少なくとも一方
の端部にそれぞれ接続され各インク液を第1の液体供給
パイプ90aおよび90bに供給するインク液供給パイ
プ122PY、122PM、122PC、および、12
2PKと、インク液供給パイプ122PY、122P
M、122PC、および、122PKの一方の端部にそ
れぞれ接続されイエローのインク液、マゼンタのインク
液、シアンのインク液、および、ブラックのインク液を
それぞれ貯留するインクタンク122Y、122M、1
22C、および、122Dとを備えており、また、加え
て、本装置は、各液体吐出ヘッド92Y、92M、92
C、および、92Kにおける第2の液体分岐供給パイプ
91bにそれぞれ接続される共通導入通路部95と、各
液体吐出ヘッド92Y、92M、92C、および、92
Kにおける第2の液体分岐供給パイプ91aにそれぞれ
接続される共通排出通路部93と、共通導入通路部95
に吐出側供給パイプ121を介して接続される吐出ポー
ト部を有する恒温循環装置123とを含んで構成されて
いる。
【0128】恒温循環装置123における吸入ポート部
は、吸入側供給パイプ124を介して共通排出通路部9
3に接続されている。また、恒温循環装置123は、第
2の液体としての発泡液を所定量貯留する貯留部と、貯
留部から発泡液を送出する循環ポンプ部と、貯留部に貯
留される発泡液の温度を検出する温度検出回路部と、温
度検出回路部からの検出出力信号に基づいて内蔵される
冷却装置、および、加熱装置を制御し、発泡液の温度が
所定の温度、例えば、60度に維持されるように制御す
る温度調整制御部を含んで構成されている。
【0129】かかる構成のもとで、記録ヘッド部120
が記録動作状態がとられるとき、各色のインク液は、イ
ンクタンク122Y、122M、122C、および、1
22Dからインク液供給パイプ122PY、122P
M、122PC、および、122PKを介して毛管力に
よりそれぞれ液体吐出ヘッド92Y、92M、92C、
および、92Kに記録動作直前に適量供給される。
【0130】また、恒温循環装置123は、記録ヘッド
部120が記録動作状態、もしくは、非記録動作状態に
関わらず循環ポンプを作動状態とする。これにより、発
泡液は、吐出側供給パイプ121、共通導入通路部9
5、各第2の液体分岐供給パイプ91bを通じて各液体
吐出ヘッド92Y、92M、92C、および、92Kに
おける第2の液体供給部材69の第2の液体供給溝69
Gに供給される。そして、発泡液の一部は、透孔69
a、69b、および、69c、第2の液体供給孔68
a、68b、および、68c、素子基板63〜65の裏
面側に接触しつつ、その相互の隙間を通じてが第2の液
流路16に供給される。これにより、素子基板63〜6
5が、冷却された発泡液により冷却されることとなる。
【0131】また、発泡液の残部は、各第2の液体分岐
供給パイプ91aを通じて共通排出通路部93において
合流され吸入側供給パイプ124を介して恒温循環装置
123の吸入ポート部に戻されることとなる。
【0132】従って、各液体吐出ヘッド92Y、92
M、92C、および、92Kにおける第2の液流路に発
泡液が供給されるとともに各液体吐出ヘッド92Y、9
2M、92C、および、92Kの昇温が、所定の温度に
冷却される発泡液により抑制されることとなる。
【0133】<記録システム>次に、本発明の液体吐出
ヘッドを記録ヘッドとして用い被記録媒体に対して記録
を行う、インクジェット記録システムの一例を説明す
る。
【0134】図17は、前述した本発明の液体吐出ヘッ
ド201を用いたインクジェット記録システムの構成を
説明するための模式図である。本実施例における液体吐
出ヘッドは、被記録媒体150の記録可能幅に対応した
長さに360dpiの間隔で吐出口を複数配したフルラ
イン型のヘッドであり、イエロー(Y),マゼンタ
(M),シアン(C),ブラック(Bk)の4色に対応
した4つのヘッドをホルダ202によりX方向に所定の
間隔を持って互いに平行に固定支持されている。
【0135】これらのヘッドに対してそれぞれ駆動信号
供給手段を構成するヘッドドライバ307から信号が供
給され、この信号に基づいて各ヘッドの駆動が成され
る。
【0136】各ヘッドには、吐出液としてY,M,C,
Bkの4色のインクがそれぞれ204a〜204dのイ
ンク容器から供給されている。なお、符号204eは発
泡液が蓄えられた発泡液容器であり、この容器から各ヘ
ッドに発泡液が供給される構成になっている。
【0137】また、各ヘッドの下方には、内部にスポン
ジ等のインク吸収部材が配されたヘッドキャップ203
a〜203dが設けられており、非記録時に各ヘッドの
吐出口を覆うことでヘッドの保守を成すことができる。
【0138】符号206は、先の各実施例で説明したよ
うな各種、非記録媒体を搬送するための搬送手段を構成
する搬送ベルトである。搬送ベルト206は、各種ロー
ラにより所定の経路に引き回されており、モータドライ
バ305に接続された駆動用ローラにより駆動される。
【0139】本実施例のインクジェット記録システムに
おいては、記録を行う前後に被記録媒体に対して各種の
処理を行う前処理装置251および後処理装置252を
それぞれ被記録媒体搬送経路の上流と下流に設けてい
る。
【0140】前処理と後処理は、記録を行う被記録媒体
の種類やインクの種類に応じて、その処理内容が異なる
が、例えば、金属、プラスチック、セラミックス等の被
記録媒体に対しては、前処理として、紫外線とオゾンの
照射を行い、その表面を活性化することでインクの付着
性の向上を図ることができる。また、プラスチック等の
静電気を生じやすい被記録媒体においては、静電気によ
ってその表面にゴミが付着しやすく、このゴミによって
良好な記録が妨げられる場合がある。このため、前処理
としてイオナイザ装置を用い被記録媒体の静電気を除去
することで、被記録媒体からごみの除去を行うとよい。
また、被記録媒体として布帛を用いる場合には、滲み防
止、先着率の向上等の観点から布帛にアルカリ性物質、
水溶性物質、合成高分子、水溶性金属塩、尿素およびチ
オ尿素から選択される物質を付与する処理を前処理とし
て行えばよい。前処理としては、これらに限らず、被記
録媒体の温度を記録に適切な温度にする処理等であって
もよい。
【0141】一方、後処理は、インクが付与された被記
録媒体に対して熱処理、紫外線照射等によるインクの定
着を促進する定着処理や、前処理で付与し未反応で残っ
た処理剤を洗浄する処理等を行うものである。
【0142】なお、本実施例では、ヘッドとしてフルラ
インヘッドを用いて説明したが、これに限らず、前述し
たような小型のヘッドを被記録媒体の幅方向に搬送して
記録を行う形態のものであってもよい。
【0143】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に係る液体吐出ヘッド、および、それに用いられる液体
供給装置によれば、前記第2の液体供給路の一端が第2
の液体が所定の温度に冷却されるべく循環される循環通
路に連通され、冷却された第2の液体が第2の液体供給
路に供給されるので発泡液の温度を温度調整しつつ発泡
液を液流路に供給するとともにヘッドの冷却を発泡液に
より行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液体供給装置の一例の要部を記録
ヘッド部とともに概略的に示す構成図である。
【図2】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例を示す分解
斜視図である。
【図3】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例の部分断面
図である。
【図4】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例を示す模式
断面図である。
【図5】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例の要部を示
す部分破断斜視図である。
【図6】従来のヘッドにおける気泡からの圧力伝搬の動
作説明に供される図である。
【図7】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例における気
泡からの圧力伝搬の動作説明に供される図である。
【図8】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例において用
いられる液体の流れを説明するために供される模式図で
ある。
【図9】本発明に係る第2の実施例における液体吐出ヘ
ッド(2流路)を示す断面図である。
【図10】本発明に係る第2の実施例における液体吐出
ヘッドを示す部分破断斜視図である。
【図11】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例における
可動部材の動作説明に供される図である。
【図12】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例における
可動部材および第1流路の構造を説明するために供され
る図である。
【図13】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例における
可動部材および流路の構造を説明するために供される図
である。
【図14】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例における
可動部材の他の形状を示す図である。
【図15】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例における
縦断面図である。
【図16】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例に用いら
れる駆動パルスの波形を示す図である。
【図17】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例が適用さ
れる液体吐出記録システムを示す図である。
【図18】従来の液体吐出ヘッドの液流路構造の説明に
供される図である。
【符号の説明】
60 溝付天板 60a 吐出口 61 分離壁 62 可動部材 63、64、65 素子基板 63a、64a、65a 発熱体 67 支持板 68a、68b、68c 第2の液体供給孔 69 第2の液体供給部材 69a、69b、69c 孔 69G 第2の液体供給溝 91a、91b 第2の液体分岐供給パイプ 93 共通排出通路部 95 共通導入通路部 121 吐出側供給パイプ 123 恒温循環装置 124 吸入側供給パイプ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の液体を導入する第1の液体供給路
    と、 第2の液体を導入する第2の液体供給路における該第2
    の液体を加熱し気泡を発生させる気泡発生部と、 前記気泡発生部に対向して配され前記気泡による圧力に
    より変位可能とされる可動部材と、 前記圧力による前記可動部材の変位に応じて、前記第1
    の液体供給路における第1の液体を吐出する吐出口が形
    成される液体吐出部とを備え、 前記第2の液体供給路の一端が前記第2の液体が所定の
    温度に冷却されるべく循環される循環通路に連通され、
    冷却された第2の液体が前記第2の液体供給路に供給さ
    れることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記液体吐出部における吐出口が一直線
    上に500個以上配列形成されることを特徴とする請求
    項1記載の液体吐出ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記第1の液体がインク液であり、第2
    の液体が発泡液であることを特徴とする請求項1または
    請求項2記載の液体吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記気泡発生部が前記可動部材に対向し
    て前記第2の液体供給路に配される発熱抵抗体との間に
    形成されることを特徴とする請求項1記載の液体吐出ヘ
    ッド。
  5. 【請求項5】 第1の液体を導入する第1の液体供給路
    と、 第2の液体を導入する第2の液体供給路における該第2
    の液体を加熱し気泡を発生させる気泡発生部が形成され
    る基板と、 前記気泡発生部に対向して配され前記気泡による圧力に
    より変位可能とされる可動部材と、 前記圧力による前記可動部材の変位に応じて、前記第1
    の液体供給路における第1の液体を吐出する吐出口が形
    成される液体吐出部とを備え、 前記第2の液体供給路の一端が前記第2の液体が所定の
    温度に冷却されるべく循環される循環通路に前記基板を
    介して連通し冷却された第2の液体が第2の液体供給路
    に供給されることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  6. 【請求項6】 第1の液体を導入する第1の液体供給路
    と、第2の液体を導入する第2の液体供給路における該
    第2の液体を加熱し気泡を発生させる気泡発生部と、前
    記気泡発生部に対向して配され前記気泡による圧力によ
    り変位可能とされる可動部材と、前記圧力による前記可
    動部材の変位に応じて、前記第1の液体供給路における
    第1の液体を吐出する吐出口が形成される液体吐出部と
    を備える複数の液体吐出ヘッドにおける前記各第2の液
    体供給路の一端にそれぞれ連通する分岐液体供給路と、 前記分岐液体供給路に連結され所定の温度に冷却された
    前記第2の液体を循環させる液体循環供給路と、 前記液体循環供給路からの第2の液体を所定の温度に冷
    却し前記液体循環供給路に導出する冷却液体導出部と、 を具備して構成される液体供給装置。
  7. 【請求項7】 前記第1の液体がインク液であり、第2
    の液体が発泡液であることを特徴とする請求項6記載の
    液体供給装置。
  8. 【請求項8】 前記液体吐出ヘッドにおける前記気泡発
    生部が前記可動部材に対向して前記第2の液体供給路に
    配される発熱抵抗体との間に形成されることを特徴とす
    る請求項6記載の液体供給装置。
  9. 【請求項9】 前記冷却液体導出部が複数の液体吐出ヘ
    ッドに対して少なくとも1個備えられることを特徴とす
    る請求項6記載の液体供給装置。
  10. 【請求項10】 前記液体吐出ヘッドが、発泡液を吐出
    する吐出口と、発泡液に気泡を発生させる気泡発生領域
    と、該気泡発生領域に面して配され、第1の位置と該第
    1の位置よりも該気泡発生領域から遠い第2の位置との
    間を変位可能な可動部材とを有し、該可動部材は、前記
    気泡発生部での気泡の発生に基づく圧力によって、前記
    第1の位置から前記第2の位置へ変位すると共に、該可
    動部材の変位によって前記気泡を吐出口に向かう方向の
    上流よりも下流に大きく膨張させることで液体を吐出す
    るものであることを特徴とする請求項6記載の液体供給
    装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010083103A (ja) * 2008-10-02 2010-04-15 Olympus Corp 画像記録装置

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