JPH10293210A - 光学フィルムの製造法 - Google Patents

光学フィルムの製造法

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JPH10293210A
JPH10293210A JP9102820A JP10282097A JPH10293210A JP H10293210 A JPH10293210 A JP H10293210A JP 9102820 A JP9102820 A JP 9102820A JP 10282097 A JP10282097 A JP 10282097A JP H10293210 A JPH10293210 A JP H10293210A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学性能、力学性能および耐熱性に優れた光
学フィルムの製造法を提供する。 【解決手段】 ディスコチック液晶性材料を、ディスコ
チックネマチック相を示す温度領域から冷却速度100
℃/分以上で急冷した後、光架橋反応に供して光学フィ
ルムを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学性能、力学性
能および耐熱性に優れた光学フィルムの製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ディスコチック液晶をハイブリッド配向
させたフィルムは、その特異な配向構造のため、各種液
晶ディスプレー用補償板としての期待が高まっている。
例えば、特開平8−50206号公報および特開平8−
334621号公報ではツイステッドネマチック(T
N)セルを用いたTFT−LCDの視角補償板として、
また特開平8−327822号公報ではOCBモードの
ディスプレーの色補償および視野角補償板として、また
特開平9−21914号公報ではハイブリッドネマチッ
クセルを用いたディスプレーの色補償および視野角補償
板としての応用が提案されている。
【0003】ディスコチック液晶とは円盤型の液晶であ
る。液晶ディスプレー中の駆動用液晶セルに用いられて
いる棒状のネマチック液晶とは対照的な形をしている。
そのため駆動用液晶セルを補償する上で潜在的に高い能
力を持っている。
【0004】またハイブリッド配向とは、液晶の配向方
向(ダイレクター)が膜厚方向で変化した配向である。
駆動用液晶セル中の液晶分子は、膜厚方向で配向方向が
変化しており、この変化にあわせてディスコチック液晶
のハイブリッド構造を制御できれば、非常に高度な補償
が可能となる。
【0005】ディスコチック液晶のハイブリッド配向フ
ィルムを得るためには、液晶材料や処理条件を最適化
し、まず液晶状態で理想的な配向を実現させ、次いでフ
ィルムとしての力学的強度を持たせるために液晶状態に
おいて形成した配向構造の固定化処理を行う必要があ
る。固定化処理は液晶状態での配向構造を壊さないこと
が非常に重要である。固定化の過程で配向構造が変化し
た場合、補償の対象となる液晶セル中の液晶配向にマッ
チしなくなり、補償性能が大幅に低下する。ディスコチ
ック液晶の固定化の方法としては、特開平8−5020
6号公報では液晶材料として重合性基を有するものを用
い熱処理後に、熱処理雰囲気で光架橋を行う方法、また
特開平8−334621号公報では冷却によりガラス化
等の状態変化を起こさせ固定化させる方法が開示されて
いる。
【0006】前者の光架橋による方法では、流動性のあ
るディスコチックネマチック液晶状態の材料に対し光照
射を行っている。一般に流動性の高いディスコチックネ
マチック相において光架橋反応を進行させた場合、架橋
に伴い液晶性材料の物理学的性質が変化する。その変化
に追随して液晶分子が熱力学的に安定な配向状態へと変
化しようとするため、架橋後のフィルムの光学性能は架
橋前に比べ大きく劣ってしまう恐れがある。ここでいう
物理的性質の変化とは、液晶相の形成能の有無、液晶性
の低下、粘性や弾性定数の変化などを指す。ディスコチ
ック液晶によるハイブリッド配向は、液晶性材料と膜界
面の雰囲気との間の微妙な釣り合いのもとに形成されて
おり、わずかな物理的性質の変化も配向形態に大きく影
響する。したがって物理的性質の変化に伴って配向が損
なわれる恐れがあるような従来の製法では、きわめて厳
密な制御が必要とされる光学補償フィルムなどの製法と
しては課題が多く残されている状況にある。
【0007】一方、ガラス化等の状態変化を利用した固
定化法の場合、状態変化前後での配向構造の変化はほと
んど起こりにくく、この点では上記の熱処理雰囲気での
光架橋による固定化法に比べ優れている。状態変化で
は、相変化と異なり液晶の配向構造は基本的に変化しな
い。しかしながら、光架橋による固定化法と比較した場
合、固定化後のフィルム強度、耐熱性が十分とは言え
ず、過酷な環境下での使用には耐えられない恐れがあっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは上記課題
を鑑み、液晶状態において形成した配向構造を損なうこ
となく固定化する方法について鋭意検討した結果、遂に
本発明に到達した。具体的には、液晶分子の流動性が極
めて制限された状況を、液晶状態での配向構造を乱すこ
となくつくり出し、しかる後に光架橋処理を行うことに
より目的を達しうることを見いだした。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明の第1
は、ディスコチック液晶性材料を、ディスコチックネマ
チック相を示す温度領域から冷却速度100℃/分以上
で急冷した後、光架橋反応に供することを特徴とする光
学フィルムの製造法に関する。
【0010】また本発明の第2は、ディスコチック液晶
性材料を、ディスコチックネマチック相を示す温度領域
で熱処理してハイブリッド配向を達成させた後、該温度
領域から冷却速度100℃/分以上で急冷し、次いで光
架橋反応に供してハイブリッド配向を固定化することを
特徴とする光学フィルムの製造法に関する。
【0011】さらに本発明の第3は、ディスコチックネ
マチック相より低温の領域に、カラムナー相および/ま
たは結晶相を有するディスコチック液晶性材料を、ディ
スコチックネマチック相を示す温度領域からカラムナー
相または結晶相が安定な温度領域に冷却速度100℃/
分以上で急冷してディスコチックネマチック相の過冷却
状態を形成せしめた後、該過冷却状態で光架橋反応に供
することを特徴とする上記第1および第2の光学フィル
ムの製造法に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の光学フィルムの製造法
は、配向の固定化方法に特徴があり、液晶状態で得られ
た特異な配向構造、具体的にはディスコチック液晶のハ
イブリッド配向を損なうことなく、十分な固定化を達成
することができる。以下、本発明について詳細に説明す
る。
【0013】まず本発明に用いることのできるディスコ
チック液晶性材料について説明する。該材料の主構成成
分は、ディスコチック液晶性の化合物または該液晶性の
組成物である。一般にディスコチック液晶は、平面性の
高い円盤状の形をしたメソゲンを有する分子により発現
される液晶である。ディスコチック液晶の特徴は、液晶
層中の極微小領域における屈折率が負の一軸性を有する
ことであり、図1のように、ある平面内での屈折率が一
定であり(この方向の屈折率をnoとする)、その平面
に垂直な方向が光軸であり、該光軸方向の屈折率をne
としたとき、no>neとなっている。本発明において
ダイレクターとは、液晶性材料層の各点で近傍に存在す
る分子の平均的な光軸の配向方向を指定する単位ベクト
ルを意味し、微小領域におけるダイレクターを液晶相中
でどのように配向させるかで、得られる構造体の屈折率
特性、ひいては光学特性が決定される。該ディスコチッ
ク液晶はC.Destradeらにより、その分子の配
向秩序によってディスコチックネマチック相(ND相
discotic nematic)、D ho相(h
exagonal ordered columnar
phase)、Dhd相(hexagonal di
sordered columnar phase)、
D rd相(rectangular disorde
red columnar phase)、D ob相
(oblique columnar phase)の
ように分類されている(C.Destrade et
al.Mol.Cryst.Liq.Cryst.10
6,121(1984))。
【0014】本発明においては、ハイブリッド配向を得
るために、まずディスコチックネマチック相を少なくと
も有する化合物または組成物をディスコチック液晶性材
料として使用しなければならない。液晶相としてディス
コチックネマチック相を全くもたず、上記のカラムナー
相(Dho相、Dhd相、Dob相)を持つディスコチ
ック液晶性材料では分子間の秩序度が高いためハイブリ
ッド変形が得られない。なお本発明でいうハイブリッド
配向とは、ディスコチック液晶のダイレクターと後述す
る配向基板の平面との成す角度が、光学フィルムの上界
面近傍と下界面近傍とで異なった配向構造を意味する。
該角度は特に制限されず、得られたフィルムの上下界面
近傍におけるディスコチック液晶のダイレクターとフィ
ルム平面との成す角度が互いに異なればよい。好ましく
は、フィルムの一方の界面近傍において該角度が絶対値
として大略60度〜90度、さらに好ましくは大略80
度〜90度であり、もう一方の界面近傍における角度
は、絶対値として大略0度〜50度、さらに好ましくは
大略0度〜10度を形成する場合である。好ましいハイ
ブリッド配向構造としては、該ダイレクターとフィルム
平面との成す角度が、フィルムの一方の界面近傍からも
う一方の界面近傍にかけてフィルムの厚み方向に変化し
た構造である。
【0015】本発明ではさらに、液晶状態から冷却した
際に流動性の著しく低い状態が得られることが必要であ
る。そのため冷却時の挙動を考えたとき、ディスコチッ
クネマチック相より低い温度領域においてカラムナー相
および/または結晶相を有するディスコチック液晶性の
化合物または該液晶性の組成物から構成される材料が好
ましい。ただしフィルム製造時において、ディスコチッ
クネマチック相から高次への相への明らかな転移は配向
構造の破壊につながる恐れがある。したがって、後述す
るようにディスコチックネマチック相において均一なハ
イブリッド配向を達成させた後、急冷することによりデ
ィスコチックネマチック相での配向を乱すことなく液晶
の流動性を失わせる。このようにして得られた液晶の膜
は、過冷却状態となり、配向を乱すことなく流動性を失
わせることができる。なお本発明で言う過冷却状態と
は、ある温度において熱的にはカラムナー相または結晶
相が安定な相であるにも関わらず、熱履歴によってこれ
らの相が出現できず、カラムナー相や結晶相より秩序度
の低いディスコチックネマチック相に留まっている状態
を指す。本発明では、この過冷却状態において光架橋反
応を行うことに特徴がある。
【0016】以上の要求を満たすディスコチック液晶の
代表的な例を以下に挙げる。これらは例示であり、本発
明の適用範囲は、これらに限定されるものではない。
【0017】
【化1】
【0018】
【化2】
【0019】具体例としては上記一般式において、R1
〜R6 がいずれも、
【0020】
【化3】
【0021】などのR1 〜R6 のすべてがA群の置換基
である化合物、R1 〜R6 の全体が
【0022】
【化4】
【0023】からなる組成物(2種の置換基の導入反応
によって得られる生成物は、通常それぞれの置換基の導
入位置と割合が異なる各分子の混合物であり、xとyは
全体1モル当たりの平均モル数で表示した、以下の組成
物例も同様)、R1 〜R6 の全体が
【0024】
【化5】
【0025】
【化6】
【0026】
【化7】
【0027】具体例としては上記一般式において、R1
〜R6 がいずれも、
【0028】
【化8】
【0029】などのR1 〜R6 のすべてがA群の置換基
である化合物、R1 〜R6 の全体が、
【0030】
【化9】
【0031】
【化10】
【0032】以上例示したように本発明に供されるディ
スコチック液晶性材料を構成する該液晶性の化合物また
は組成物としては、液晶性を発現する部分(メソゲンと
呼ばれる)と光重合性をもつアクリル基やメタクリル基
とを少なくとも有する。なお、メソゲンと光重合性の置
換基は一つの分子内にあってもよいし、それぞれ別の分
子中にあってもよい。後者の典型的な例は、重合性基を
持たない通常のディスコチック液晶性化合物と液晶性を
持たない通常のアクリルモノマー等の光重合性モノマー
との組成物であり、組成物として上記の如き性質を有す
る場合である。
【0033】本発明では、上記の如きディスコチック液
晶性化合物または組成物の1種単独もしくは2種以上を
ディスコチック液晶性材料の主構成成分とする。
【0034】また本発明に用いられるディスコティック
液晶性材料中には、上述の如きディスコティック液晶性
化合物または組成物などの他に光開始剤を含む。光開始
剤としては特に限定されず、通常以下のような公知の光
開始剤化合物を使用できる。
【0035】例えばベンジル、ベンゾイルエーテル、ベ
ンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピル
エーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベン
ゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチル
ジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジ
メチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエ
チル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチル
アミノ安息香酸イソアミル、3,3’−ジメチル−4−
メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメー
ト、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)
−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル
−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニ
ル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニ
ル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オ
ン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2
−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1
−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒド
ロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチ
オキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン2,4
−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチ
オキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロ
ロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。こ
れらの光開始剤は、単独または2種以上を混合して使用
することができる。
【0036】ただし光開始剤の添加により、液晶性材料
の液晶性が失われることのないようにする必要がある。
光開始剤の添加量は、液晶性化合物または組成物に対し
通常0.2〜10重量%以下、より好ましくは0.5〜
6重量%以下、さらに好ましくは1〜6重量%である。
光開始剤が0.2重量%より少ないと十分な架橋反応が
進行しない恐れがある。また10重量%を越えると、液
晶性が失われる可能性がある。なお光開始剤の他に増感
剤を、本発明の効果を損なわない範囲でさらに添加する
ことも可能である。
【0037】上記の如きディスコティック液晶性材料を
用いて、均一にハイブリッド配向を固定化した光学フィ
ルムを得るには、以下に説明する基板および各工程を踏
む。先ず、基板(以下、配向基板という)について説明
する。
【0038】本発明においてはハイブリッド配向を得る
ためには、ディスコチック液晶性材料層の上下を異なる
界面で挟んで配向処理を行うことが望ましい。上下を同
じ界面で挟んだ場合には、該材料層の上下界面における
配向が同一となってしまい、ハイブリッド配向を得るこ
とが困難となる。
【0039】具体的な態様としては、1枚の配向基板と
空気界面とを利用し、ディスコティック液晶性材料層の
下界面を配向基板に、また上の界面を空気に接するよう
にする。なお上下に界面の異なる基板を用いて、ハイブ
リッド配向を形成することもできるが、製造プロセス
上、1枚の配向基板と空気界面とを利用する方が好まし
い。
【0040】本発明に用いることのできる配向基板は、
液晶の傾く向き(ダイレクターを配向基板上へ投影した
とき得られる方向)を規定できるように、異方性を有し
ている基板であることが望ましい。配向基板が、全く液
晶の傾く向きを規定できない場合には、無秩序な方位に
傾いた構造しか得られない(ダイレクターの基板への投
影ベクトルが無秩序になる)。
【0041】本発明に用いることのできる配向基板とし
て、具体的には次のような面内の異方性を有しているも
のが望ましい。すなわちポリイミド、ポリアミドイミ
ド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエ
ーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルフ
ァイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポ
リフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイ
ド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセター
ル、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹
脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロー
ス系プラスチックス、エポキシ樹脂、フェノール樹脂な
どのプラスチックフィルム基板および一軸延伸フィルム
基板、表面にスリット状の溝をつけたアルミ、鉄、銅な
どの金属基板、表面をスリット状にエッチング加工した
アルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、フリントガラスなど
のガラス基板、などが基板として用いられる。
【0042】本発明においては上記基板に、親水化処理
や疎水化処理などの表面処理を施した上記各種基板でも
よい。また上記プラスチックフィルム基板にラビング処
理を施したラビングプラスチックフィルム基板、または
ラビング処理を施したプラスチック膜、例えばラビング
ポリイミド膜、ラビングポリビニルアルコール膜などを
有する上記各種基板、さらに酸化珪素の斜め蒸着膜など
を有する上記各種基板なども用いることができる。
【0043】上記各種配向基板において、ディスコチッ
ク液晶をハイブリッド配向に形成せしめるのに好適な該
基板としては、ラビングポリイミド膜を有する基板、ラ
ビングポリイミド基板、ラビングポリエーテルエーテル
ケトン基板、ラビングポリエーテルケトン基板、ラビン
グポリエーテルスルフォン基板、ラビングポリフェニレ
ンサルファイド基板、ラビングポリエチレンテレフタレ
ート基板、ラビングポリエチレンナフタレート基板、ラ
ビングポリアリレート基板、セルロース系プラスチック
基板を挙げることができる。
【0044】上記の配向基板上にディスコチック液晶性
材料を配する手段としては、通常塗布が用いられる。デ
ィスコチック液晶性材料の塗布は、各種溶媒に該材料を
溶解したディスコチック液晶性材料溶液、または、該材
料を溶融熔融状態のものを用いて行うことができるが、
プロセス上、溶媒にディスコティック液晶性材料を溶解
した該溶液を用いて配向基板上に塗布する、溶液塗布が
好ましい。
【0045】溶液塗布について説明する。溶媒として
は、該液晶性材料の種類にもよるが、通常、クロロホル
ム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テ
トラクロロエタン、トリトリクロロエチレン、テトラク
ロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼ
ンなどのハロゲン化炭化水素類、フェノール、パラクロ
ロフェノールなどのフェノール類、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシ
ベンゼンなどの芳香族炭化水素類、アセトン、酢酸エチ
ル、t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリ
コール、トリエチレングリコール、エチレングリコール
モノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエ
ーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エ
チルセルソルブ、ブチルセルソルブ、2−ピロリドン、
N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、トリエチルア
ミン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、
アセトニトリル、ブチロニトリル、二硫化炭素などおよ
びこれらの混合溶媒などが用いられる。
【0046】溶液の濃度は、該液晶性材料の溶解性や最
終的に目的とする光学フィルムの膜厚に依存するため一
概にはいえないが、通常1〜60重量%の範囲で使用さ
れ、好ましくは3〜40重量%の範囲で使用される。
【0047】上記ディスコチック液晶性材料溶液を、配
向基板上に塗布する方法としては、スピンコート法、ロ
ールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテン
コート法(ダイコート法)などを採用できる。
【0048】塗布後、溶媒を除去し、基板上に膜厚の均
一な液晶性材料の層をまず形成させる。溶媒除去条件は
特に限定されず、溶媒がおおむね除去でき、該液晶性材
料の層が流動したり流れ落ちたりさえしなければよい。
通常、室温での風乾、ホットプレートでの乾燥、乾燥炉
での乾燥、温風や熱風の吹き付けなどを利用して溶媒を
除去する。乾燥後の液晶性材料の膜厚は、用途によるも
ので一概には言えないが、通常0.1μm〜20μm、
好ましくは、0.3μm〜10μm、さらに好ましくは
0.5μm〜7μmの範囲である。
【0049】この塗布・乾燥工程の段階は、まず基板上
に均一にディスコティック液晶性材料の層を形成させる
ことが目的であり、該液晶性材料層は、まだハイブリッ
ド配向を形成していない。ハイブリッド配向させるため
には、次に述べる熱処理を行う。
【0050】熱処理は、ディスコティック液晶性材料の
ディスコチックネマチック相を示す温度または該温度よ
りもさらに高い温度にて行う。すなわち液晶性材料のデ
ィスコチックネマチック相で配向させる、または、一旦
液晶相を呈する温度範囲よりもさらに高温の等方性液体
状態にした後、ディスコチックネマチック相を示す温度
領域にまで温度を下げ配向させる、という二通りの方法
を利用することができる。
【0051】熱処理の温度は、液晶性材料によるため一
概には言えないが、通常、50℃〜200℃、好ましく
は80℃〜170℃、さらに好ましくは100℃〜15
0℃の範囲である。
【0052】また、液晶が十分な配向を形成するために
必要な時間は、ディスコティック液晶性材料により異な
るため一概にはいえないが、通常5秒〜2時間、好まし
くは10秒〜40分、さらに好ましくは20秒〜20分
の範囲である。5秒より短い場合、該液晶性材料層の温
度が所定温度まで上がりきらず配向不十分となる恐れが
ある。また、2時間より長い場合には、生産性が低下す
るので好ましくない。以上の熱処理により、配向基板上
に均一なハイブリッド配向を形成したディスコチック液
晶性材料層を得ることができる。
【0053】次いで本発明においては、流動性のあるデ
ィスコチックネマチック相を示す状態から、ハイブリッ
ド配向を乱すことなく流動性のない状態へ変化させる目
的で急冷する。不用意な冷却操作を行うと、配向の乱れ
をおこす恐れがある。特に本発明では、カラムナー相お
よび/または結晶相を有する液晶性材料を用いることが
好ましいため、通常の冷却操作によっては、これらの相
が出現しハイブリッド配向が完全に破壊される恐れが大
きい。そこでディスコチックネマチック相を示す温度領
域から急冷することによって、該温度領域においてハイ
ブリッド配向した液晶性材料をディスコチックネマチッ
ク相の過冷却状態に形成せしめる。この急冷操作によ
り、該温度領域において形成した配向構造を安定に維持
することができる。
【0054】冷却速度は、通常100℃/分以上、好ま
しくは500℃/分以上、さらに好ましくは1000℃
/分以上である。冷却速度が100℃/分より遅いと、
液晶状態で得られた配向構造が破壊される恐れがある。
また過冷却状態を得ることができない恐れがある。なお
本発明で言う冷却速度とは、ディスコチックネマチック
相を示す状態から、該状態において形成した配向構造が
安定に維持できる状態に達するまでの速度を意味する。
具体的には、例えば液晶性材料として、ディスコチック
ネマチック相より低温の領域にカラムナー相および/ま
たは結晶相を有する該材料を用いた際には、ディスコチ
ックネマチック相を示す温度領域からカラムナー相また
は結晶相が安定な温度領域に達するまでの速度を意味す
るものである。したがって急冷操作による冷却は、通常
ディスコチックネマチック相を呈する温度領域から室温
付近の温度まで下げる操作を行うものではあるが、室温
以上または室温以下において上記の如き安定な相を維持
できるディスコチック液晶性材料を用いた場合にはこれ
らに限らない。このような急冷速度を得る方法は特に限
定されないが、熱処理後、冷風を吹き付ける、水の中に
投入する、または熱処理炉からの取りだし速度を速くす
る、といった方法により行うことができる。また急冷操
作は、通常室温雰囲気程度まで下げれば十分であるが、
少なくともディスコチックネマチック相から高次相への
転移温度以下に下げることが好ましい。なおここでいう
転移温度は、通常十分に遅い速度で冷却したときのディ
スコチックネマチック相から高次相への転移が起こる温
度を指すが、モノトロピック液晶性が強くそのような測
定が困難な場合は、昇温時における高次相からディスコ
チックネマチック相への転移が起こる温度を指すことと
する。
【0055】次いで急冷して得られた状態、例えば過冷
却状態にあるハイブリッド配向を形成した液晶性材料層
を、光架橋反応により該配向を固定化せしめることによ
り、配向基板上に光学フィルムを得ることができる。
【0056】光架橋反応において照射する光の波長は特
に限定されず、紫外線、可視光線、赤外線(熱線)、電
子線を必要に応じて用いることができる。通常は、紫外
光が用いられる。その光源としては、低圧水銀ランプ
(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライ
ト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライ
ドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ラ
ンプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)などが挙
げられる。なかでも高圧水銀ランプからの紫外光が最も
一般的であり、本発明に好ましく用いることができる。
またディスコチック液晶性材料中に適当な増感剤を含有
させた場合、または該材料自体に増感作用がある場合
は、可視光領域の光源を使用することももちろん可能で
ある。
【0057】上記の如き光源から照射する光の量は、デ
ィスコチック液晶性材料の種類や光開始剤の添加量など
にもよるため一概には言えないが、通常20〜5000
mJ/cm2 、好ましくは50〜3000mJ/c
2 、さらに好ましくは100〜2000mJ/cm2
の範囲である。
【0058】光架橋反応後は、わずかに残る未反応重合
性基を反応させるために、公知の手段である熱によるエ
ージングを行ってもよい。エージングは通常60℃〜2
00℃、好ましくは80℃〜160℃の範囲で行う。
【0059】以上の工程により製造された光学フィルム
は、各種の光学用途にそのまま配向基板上に形成した状
態で用いてもよいし、光学フィルム表面に透明樹脂など
でオーバーコート層を設けて用いてもよい。また他のフ
ィルムと組み合わせて用いることもできる。また本発明
では、ディスコチック液晶性材料を配向させるために配
向基板を用いているが、該配向基板のもつ特性が使用す
る光学用途にとって不都合な場合には、該配向基板を光
架橋反応後に剥離して除去してもよい。さらには公知の
手法により、配向基板上の光学フィルムのみを別の基板
上に転写してもよい。
【0060】以上説明した製造法によって得られる光学
フィルムは、光学性能と耐久性に非常に優れている。し
たがって各種光学用途に適応でき、中でも液晶ディスプ
レー用光学補償フィルムとしては、他の材料にはない特
性を発揮することができる。かかる液晶ディスプレーと
しては、用いられるセルの液晶配向にで分類すれば、T
N(Twisted Nematic)モード、OCB
(OpticallyCompensated Bir
efringence)モード、STN(Super
Twisted Nematic)モード、HAN(H
ybridAligned Nematic)モード、
VAN(Vertically Aligned Ne
matic)モード、SH(Super Homeot
ropic)モードなどを挙げることができる。
【0061】
【実施例】以下に実施例について述べるが、本発明はこ
れらに制限されるものではない。なお実施例で用いた各
分析法は以下の通りである。なお一連の操作は紫外光を
カットしたイエロールーム内で行った。 (化学構造決定)400MHzの 1H−NMR(日本電
子製JNM−GX400)で測定した。 (光学顕微鏡観察)オリンパス製の偏光顕微鏡BX−5
0を用いて、オルソスコープ観察およびコノスコープ観
察を行った。また、液晶相の同定はメトラーホットステ
ージ(FP−80)上で加熱しながらテクスチャー観察
することにより行った。 (偏光解析)(株)溝尻光学工業所製エリプソメーター
DVA−36VWLDを用いて行った。 (屈折率測定)アタゴ(株)製アッベ屈折計Type−
4Tを用いて行った。 (膜厚測定)(株)小坂研究所製高精度薄膜段差測定器
ET−10を主に用いた。また、干渉波測定(日本分光
紫外・可視・近赤外分光光度計V−570)と屈折率
のデーターから膜厚を求める方法も併用した。
【0062】(実施例1)
【0063】
【化11】
【0064】式(1)のディスコチック液晶性材料を合
成した。この材料は、80℃以上の温度でディスコチッ
クネマチック相を示し、室温から80℃の間ではカラム
ナー相が安定な相であった。なお該液晶相は、少なくと
も160℃までは存在していたが、それ以上の温度では
材料の熱重合が起きたため、等方相転移温度は確認でき
なかった。この液晶性材料10gに対し、光開始剤Ir
gacure−184(CIBA−GEIGY社製)を
0.4g添加し、90gのN−メチルピロリドンを加え
て塗布用溶液を調製した。この溶液を、10cm角のラ
ビングポリイミド膜を有するガラス基板に、スピンコー
ト法により塗布した。次いで70℃のホットプレート上
で乾燥し、130℃のオーブンで10分間熱処理して液
晶を配向させた。熱処理終了後、イオン交換水で満たし
たバットを用意しておき、オーブンから試料を取り出
し、水の中に投入して急冷した。水に投入してから少な
くとも10秒後には試料は40℃以下になっていた(冷
却速度は遅くとも540℃/分)。このようにして液晶
性材料を均一にハイブリッド配向した過冷却状態にある
液晶性材料層を配向基板上に得た(フィルム1a)。過
冷却状態にある液晶性材料層の膜厚は1.5μmであっ
た。この試料を用いてリターデーションを測定した。試
料は図2中に示したように基板のラビング方向に沿って
傾け、傾き角とみかけのリターデーションの関係を調
べ、図2中の線aの結果を得た。傾ける方向によりリタ
ーデーション変化が非対称なこと、リターデーション値
がゼロになる傾き角が存在しないことからハイブリッド
配向が得られていることがわかった。なお、該材料層の
鉛筆コードは6Bと弱かった。次に過冷却状態にある液
晶性材料層(フィルム1a)に対し、室温中で、高圧水
銀灯ランプを用い光架橋反応を行った。露光量は800
mJ/cm2 とした。光架橋反応により得られた光学フ
ィルム(フィルム1b)に対し、上と同様に詳細に光学
測定を行ったところ図1中の線bの結果が得られ、架橋
前とほとんど性能が変わらないことが分かった。また光
学フィルムの鉛筆硬度は2Hと架橋前と比べ大きく向上
していた。上記の如くして得られた光学フィルムを、T
Nテストセルに載せ、図3の配置にし、コントラスト比
の視野角依存性を測定した。TNセルは、90度左ねじ
れで電圧無印加時のリターデーションは490nmであ
った。結果は図4に示したように、光学フィルムの搭載
により大幅に視野角が広がった。
【0065】(比較例1)実施例1と同様にして熱処理
による配向までを行い、冷却以後の操作を以下のように
変えてフィルムを作製した。熱処理が完了した後、オー
ブンから試料を取りだし、素早く130℃のホットプレ
ート上に載せた。次いでホットプレート上で、液晶性材
料がディスコチックネマチック相を呈した状態のまま、
高圧水銀灯ランプにより800mJ/cm2の露光を行
った。得られた(フィルム1c)のリターデーションを
測定し、図2中の線cの結果が得られた。図2の線aや
bに比べ、リターデーション値が全体的に低く、また図
の左右の非対称性も小さくなっていた。このことは液晶
配向に基づく異方性が小さくなっていることを示してお
り、架橋操作中に液晶の配向に好ましくない変化が生じ
たことを表している。また実施例1と同様にコントラス
ト比の視角依存性を測定したところ図5の様に、視野角
の拡大効果は小さかった。なおテストセル、その駆動条
件、フィルムの配置は実施例1と全く同じにした。
【0066】(実施例2)
【0067】
【化12】
【0068】式(2)a,b,cよりなるディスコチッ
ク液晶性材料を調製した。各材料の配向比a:b:c
は、重量比で40:30:30とした。式(2)−aは
アクリル基を有するディスコチック液晶性化合物、式
(2)−bは非重合性のディスコチック液晶性化合物、
式(2)−cは非液晶性の重合性化合物である。この材
料は60℃〜160℃の温度範囲でディスコチックネマ
チック相を示した。該液晶相を示す温度領域から徐々に
温度を下げたところ、60℃で微結晶状の構造の析出が
見られた。また液晶性材料10gに対し、光開始剤とし
てビイミダゾール(黒金化成(株)製)を0.2g、増
感剤としてミヒラーケトンを0.05gを添加した。こ
の液晶性材料をトリエチレングリコールジメチルエーテ
ルに溶かし15重量%の溶液を調製した。次いでこの溶
液を、10cm角のラビングポリイミド膜を有するガラ
ス基板に、スピンコート法により塗布し、70℃のホッ
トプレート上で乾燥させた。熱処理はメトラー製のホッ
トステージ上で行い、同時に偏光顕微鏡観察を行った。
ただし顕微鏡の光源によるわずかな光架橋の進行を防ぐ
ために、紫外光および近紫外光をカットできるフィルタ
ーを使用した。観察の結果、140℃で処理した場合、
シュリーレンテクスチャーを経て2分ほどで均一なハイ
ブリッド配向が得られた。顕微鏡付属のベレックコンペ
ンセーターを用いて面内のリターデーションを測定した
ところ74nmであった。140℃で5分熱処理した
後、試料を素早く室温下におかれたアルミプレートに押
しつけ急冷させた。冷却開始後少なくとも40秒後には
試料は40℃以下になっていた(冷却速度は150℃/
分以上)。冷却後の液晶相には特に配向の乱れは生じて
おらず、面内のリターデーションは77nmと冷却前と
わずかしか違わなかった。次いで高圧水銀灯ランプによ
り600mJ/cm2 の露光を行い架橋反応を行った。
架橋後の面内リターデーションは72nmで架橋前と大
きく変わらなかった。なお液晶層の厚みは段差式触針計
より1.8μmという値が得られた。鉛筆コードは架橋
前は6Bより弱かったが、架橋後はHB程度の硬さが得
られた。
【0069】(比較例2)実施例2と同様の方法にて熱
処理を行った。次いで熱処理雰囲気のまま紫外線を照射
した。140℃での熱処理中の面内リターデーションは
74nmであったが、ホットステージの上蓋をあけた状
態で140℃で加熱したまま紫外線を600mJ/cm
2 当てた場合、光照射後の面内リターデーションは12
nmと大きく減少した。
【0070】(実施例3)
【0071】
【化13】
【0072】式(3)aおよびbよりなる組成物を調製
した。この組成物は、室温下では結晶相またはカラムナ
ー相と思われる高次相であり、昇温することにより50
℃でディスコチックネマチック相に転移する性質を持っ
ていた。この組成物をディスコチック液晶性材料として
用い、該組成物10gに対し0.1gのIrgacur
e−907(CIBA−GEIGY社製)を加え、溶質
濃度10重量%のブチルセロソルブ溶液を調製した。こ
の溶液を用い、連続的な工程によりフィルムを作製し
た。ロールコーターにより幅25cmのラビングポリイ
ミドフィルム(厚さ100μmのデュポン社製カプトン
フィルムをラビングしたもの)に10mの長さにわたっ
て溶液を塗布し、70℃の熱風で乾燥した。次いで12
0℃で5分間熱処理した後、冷却して液晶性材料層の過
冷却状態を得た。熱処理炉出口付近におよそ25℃の風
を吹き付けることにより冷却速度を速くした。熱処理炉
出口を出てから少なくとも10秒後にはフィルムの温度
は30℃以下になっていた(冷却速度は540℃/分以
上)。引き続き高圧水銀灯ランプによる光照射を行い液
晶配向を完全に固定化させた。露光量は300mJ/c
2 、試料室の温度は約40℃であった。このようにし
て、ラビングポリイミドフィルム上に光学フィルムを得
た。なお、ポリイミドフィルムが透明性に欠け、光学フ
ィルムとして用いるには用途によっては問題があるた
め、光学フィルムを光学グレードのポリエーテルスルフ
ォンに粘着剤を介して転写した。操作は、粘着処理を施
したポリエーテルスルフォンとラビングポリイミドフィ
ルム上の光学フィルムとを、粘着層と光学フィルムが接
するようにして貼り合わせ、次いでラビングポリイミド
フィルムを剥離することにより行った。剥離転写操作後
のポリエーテルスルフォン上の光学フィルムについて詳
細に光学測定を行った。その結果、光学フィルムは均一
なハイブリッド配向が得られており、膜厚は5.2μ
m、面内のリターデーションは50nmであった。また
光学フィルムの耐熱性を調べたところ、少なくとも20
0℃までは液晶の配向構造は安定であった。200℃以
上ではポリエーテルスルフォンフィルムの変形が生じ
た。
【0073】(実施例4)
【0074】
【化14】
【0075】式(4)のディスコチック液晶性材料を調
製した。この液晶性材料は100℃以上の温度でディス
コチックネマチック相を示し、それ以下の温度ではカラ
ムナー相が安定な相であった。このディスコチック液晶
性材料10gに対し0.2gのIrgacure−90
7(CIBA−GEIGY社製)を加え、溶質濃度10
重量%のブチルセロソルブ溶液を調製した。この溶液を
用い、連続的な工程によりフィルムを作製した。ロール
コーターにより幅25cmのラビングポリエチレンテレ
フタレートフィルム(厚さ75μmの東レ社製ルミラー
フィルムをラビング処理したもの)に10mの長さにわ
たって溶液を塗布し、70℃の熱風で乾燥した。次いで
150℃で5分間熱処理し、炉から室温雰囲気にフィル
ムを搬送することにより冷却を行い、液晶性材料層の過
冷却状態を得た。熱処理炉出口を通過するフィルムの速
度は5m/分とした。熱処理炉を出てから少なくとも2
0秒後には40℃以下の温度になっていた(冷却速度3
30℃/分以上)。引き続き高圧水銀灯ランプによる光
照射を行い液晶配向を完全に固定化させた。露光量は5
00mJ/cm2 、試料室の温度は約40℃であった。
このようにしてラビングポリイミドフィルム上に光学フ
ィルムを得た。なお基板として用いたポリエチレンテレ
フタレートフィルムは、複屈折を持つため、光学フィル
ムを該フィルム上に形成した状態のまま光学用途に用い
ることは、用途によって問題がある。そこで光学フィル
ムを、光学グレードの厚さ80μmのトリアセチルセル
ロースフィルム(富士写真フィルム社製)に紫外線硬化
接着剤を介して転写した。操作は、光学フィルムの上に
接着剤を塗布し、その上にトリアセチルセルロースフィ
ルムを貼り合わせた。次いで、紫外線照射により接着剤
を硬化させ、その後ラビングポリエチレンテレフタレー
トフィルムを剥離することにより光学フィルムを転写し
た。剥離転写操作後のトリアセチルセルロースフィルム
上の光学フィルムについて詳細に光学測定を行った。そ
の結果、均一なハイブリッド配向が得られており、膜厚
は0.9μm、面内のリターデーションは20nmであ
った。
【0076】(比較例4)実施例4と同様に熱処理を行
った。熱処理終了後、冷却速度を熱処理炉の出口の通過
速度を0.5m/分として冷却を行った。熱処理炉を出
てから1分後のフィルムの温度は80℃であった(冷却
速度としては、およそ70℃/分)、次いで実施例4と
同一条件で光架橋反応を行った。反応後の液晶性材料層
中には微結晶状の構造があり、欠陥が多く観察された。
【0077】
【発明の効果】本発明の製造法を用いることにより、光
学性能、力学強度、耐熱性に優れた光学フィルムを容易
に製造することができる。本発明においては熱処理後の
冷却が重要であるが、設備的に対処は容易であることか
ら、コスト上大きな負担になることはない。本発明によ
り製造される光学フィルムは、光学分野、特に液晶ディ
スプレー分野に対して、高性能のフィルムを供給するこ
とを可能ならしめるものであり、工業的価値がきわめて
高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディスコティック液晶のもつ固有の屈折率分布
とダイレクターについて説明した図。
【図2】基板上に形成したままの状態の液晶性フィルム
を、基板のラビング方向に沿って傾け、見かけのリター
デーションを測定した結果。図中にフィルムを傾ける方
向を説明する図を示した。また図中の液晶のダイレクタ
ーの傾き方向は本測定で得られた結果をもとに模式的に
表したもの。 線1a 実施例1の過冷却状態にある液晶性材料薄膜 線1b 実施例1の光架橋後に得られた光学フィルム 線1c 比較例1で得られたフィルム
【図3】実施例1、比較例1で用いた液晶表示装置の斜
視図(a)および各構成部材の軸配置(aおよびb)。
(c)は方位角φと視角θを説明する図。 1 上偏光板 2 TN液晶セル 3 ラビングポリイミド膜を有する上電極基板 4 ラビングポリイミド膜を有する下電極基板 5 下偏光板 6 ラビングポリイミド膜を有するガラス基板上に形成
された光学フィルム 7 ディスコチック液晶性フィルム(フィルム1bまた
はフィルム1c) 8 基板(ラビングポリイミド膜を有するガラス基板) 9 上偏光板の透過軸 10 上電極基板のラビング方向 11 下電極基板のラビング方向 12 下偏光板の透過軸 13,13’ 基板のラビング方向
【図4】実施例1で得られた視野角特性。図中の曲線が
コントラスト50の等コントラスト曲線である。3つの
同心円はそれぞれ視角θ=20度、40度および60度
を表し、点線で示した十字は方位角φ=0、90度、1
80度および270度を表す。 点線 フィルムなし(図3の6の部材がない場合) 実線 フィルム1bを用いた場合
【図5】比較例1で得られた視野角特性。図中の曲線が
コントラスト50の等コントラスト曲線である。 点線 フィルムなし(図2の6の部材がない場合) 実線 フィルム1cを用いた場合

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディスコチック液晶性材料を、ディスコ
    チックネマチック相を示す温度領域から冷却速度100
    ℃/分以上で急冷した後、光架橋反応に供することを特
    徴とする光学フィルムの製造法。
  2. 【請求項2】 ディスコチック液晶性材料を、デイスコ
    チックネマチック相を示す温度領域で熱処理してハイブ
    リッド配向を達成させた後、該温度領域から冷却速度1
    00℃/分以上で急冷し、次いで光架橋反応に供してハ
    イブリッド配向を固定化することを特徴とする光学フィ
    ルムの製造法。
  3. 【請求項3】 ディスコチックネマチック相より低温の
    領域に、カラムナー相および/または結晶相を有するデ
    ィスコチック液晶性材料を、ディスコチックネマチック
    相を示す温度領域からカラムナー相または結晶相が安定
    な温度領域に冷却速度100℃/分以上で急冷してディ
    スコチックネマチック相の過冷却状態を形成せしめた
    後、該過冷却状態で光架橋反応に供することを特徴とす
    る請求項1または2記載の光学フィルムの製造法。
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