JPH10287146A - 車両運動制御装置 - Google Patents

車両運動制御装置

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JPH10287146A
JPH10287146A JP9114292A JP11429297A JPH10287146A JP H10287146 A JPH10287146 A JP H10287146A JP 9114292 A JP9114292 A JP 9114292A JP 11429297 A JP11429297 A JP 11429297A JP H10287146 A JPH10287146 A JP H10287146A
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Japan
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vehicle
turning
driving force
angular velocity
steering angle
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Application number
JP9114292A
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English (en)
Inventor
Naoto Fukushima
直人 福島
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Hitachi Unisia Automotive Ltd
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Unisia Jecs Corp
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Publication date
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  • Arrangement And Mounting Of Devices That Control Transmission Of Motive Force (AREA)
  • Non-Deflectable Wheels, Steering Of Trailers, Or Other Steering (AREA)
  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハンドル操作に応じた車両の操舵性を常時確
保し、車両の旋回時に生じる過度なアンダステア、オー
バステアを回避し、車両の走行性を向上させる。 【解決手段】 コントロールユニット29は旋回モーメ
ント量演算回路30と出力信号設定回路31とからな
り、旋回モーメント量演算回路30は、第1の比例演算
回路32、第2の比例演算回路33、旋回モーメント算
出回路34から構成される。そして、旋回モーメント量
演算回路30は、旋回角速度センサ27と舵角センサ2
8とに接続され、旋回角速度に比例し、かつ舵角に比例
して車両に付与すべき旋回モーメント量を算出する。ま
た、出力信号設定回路31は、旋回モーメント量演算回
路30による旋回モーメント量に基づきモータ制御部2
5に出力すべき制御信号を設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の舵角、旋回
角速度を検出して車両の走行を自動制御する車両運動制
御装置に関し、特に、車両の旋回時に発生する過度なア
ンダステアまたはオーバステアを回避するように、左,
右の車輪に付与する駆動力の配分を自動制御する車両運
動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両が旋回するとき、路面状態や車両の
速度等によっては、車両の実際の旋回半径が目標とする
旋回半径に対して大きいアンダステアが生じたり、車両
の実際の旋回半径が目標とする旋回半径に対して小さい
オーバステアが生じる場合がある。このような過度なア
ンダステア、オーバステアを運転者によるハンドル操作
だけで回避するのは困難な場合がある。
【0003】そこで、運転者によるハンドル操作に基づ
き左,右の駆動輪に加える駆動力の配分を自動制御し、
車両の旋回時に発生するアンダステア等を回避するよう
にした車両運動制御装置は、例えば本田技研工業株式会
社が1996年5月29日に発行した広報資料「左右駆
動力配分システム」に記載のものが知られている。
【0004】そして、この従来技術による車両運動制御
装置では、ハンドルの舵角と車体の横方向加速度から車
両の重心垂直軸回りの旋回量を求め、該旋回量とエンジ
ン駆動力とを掛け合わせることによって駆動力配分を行
う量を算出すると共に、この算出結果に基づき左,右の
車輪に駆動力を配分し、旋回モーメントを可変に制御し
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般に、車
両の加速減速を問わず、タイヤ発生力(制動力、駆動
力、コーナリングパワー等で決定される)がタイヤの摩
擦円半径(タイヤの接地荷重と路面摩擦にて決定される
タイヤ発生力の限界値)に近づくような車両の走行状態
(タイヤの限界領域における車両走行状態)では、車両
は過度のアンダステアあるいは過度のオーバステアを示
すことがある。上述した従来技術では、主として車両の
加速時に生じるアンダステアを回避することを目的とし
ている。
【0006】しかし、車両の定速走行時や減速時、ある
いは車両が高速で走行しているときには、アンダステア
が生じる場合がある。このような場合に従来技術による
車両運動制御装置では車両の加速時に生じるアンダース
テアは回避することができるものの、車両の定速走行時
や減速時、あるいは車両が高速で走行しているときには
過度のアンダステア、オーバステアの回避を効果的に行
うことが難しいという問題がある。
【0007】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、車両の加速時以外の車両の旋回時に生じ
る過度のアンダステア、オーバステアの回避を効果的に
行い、車両の走行性を向上させることができるようにし
た車両運動制御装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために本発明は、車体に設けられ左,右の車輪に互いに
異なる駆動力を付与する駆動力付与手段と、該駆動力付
与手段を作動させるために制御信号に応じて左,右の車
輪に付与する駆動力を配分する駆動力配分手段とからな
る車両運動制御装置に適用される。
【0009】そして、請求項1の発明が採用する構成の
特徴は、前記駆動力配分手段は、前記車両の重心垂直軸
回りの旋回角速度Ψを検出する旋回角速度検出手段と、
前記車両の舵角δを検出する舵角検出手段と、旋回角速
度検出手段から出力される旋回角速度Ψの検出信号と舵
角検出手段から出力される舵角δの検出信号とに比例し
て車両に付与すべき旋回モーメント量Mを算出する旋回
モーメント量演算手段と、該旋回モーメント量演算手段
によって算出された旋回モーメント量Mに基づき前記駆
動力付与手段に出力すべき制御信号を設定する出力信号
設定手段とから構成したことにある。
【0010】このように構成したことにより、旋回モー
メント量演算手段によって、旋回角速度検出手段からの
旋回角速度Ψの検出信号と舵角検出手段からの舵角δの
検出信号とに基づき旋回モーメント量Mを算出し、出力
信号設定手段はこの旋回モーメント量Mを発生させるよ
うに駆動力付与手段に制御信号を出力する。
【0011】これにより、駆動力付与手段は左,右の車
輪に互いに異なる駆動力を付与し、車両に対して旋回角
速度Ψ、舵角δに比例した旋回モーメント量Mを付与す
ることができる。
【0012】また、請求項2の発明では、前記旋回モー
メント量演算手段は、旋回角速度検出手段から出力され
る検出信号に基づき旋回角速度Ψに対応する第1の演算
値S1 を算出する第1の比例演算手段と、舵角検出手段
から出力される検出信号に基づき舵角δに対応する第2
の演算値S2 を算出する第2の比例演算手段と、該第2
の比例演算手段による第2の演算値S2 から前記第1の
比例演算手段による第1の演算値S1 を減算し、旋回モ
ーメント量MをM=S2 −S1 として算定する旋回モー
メント量算定手段とから構成している。
【0013】このように構成することにより、旋回モー
メント量算定手段は、舵角δに対応する第2の演算値S
2 から旋回角速度Ψに対応する第1の演算値S1 を減算
し、旋回モーメント量MをM=S2 −S1 として算定す
ることにより、舵角δに比例して旋回モーメント量Mを
増加させ、旋回角速度Ψに比例して旋回モーメント量M
を減少させる。つまり、旋回モーメント量Mは旋回角速
度Ψと逆向きの方向にモーメント量を発生させる。
【0014】これにより、出力信号設定手段は、この旋
回モーメント量Mを発生させるように駆動力付与手段に
制御信号を出力し、駆動力付与手段は、左,右の車輪に
互いに異なる駆動力を付与し、車両の旋回角速度Ψを減
衰させると共に、車両を舵角δに比例して旋回させるこ
とができる。
【0015】また、請求項3の発明では、前記出力信号
設定手段は、左旋回方向の舵角δをδ>0、右旋回方向
の舵角δをδ<0とし、左旋回方向の旋回角速度ΨをΨ
>0、右旋回方向の旋回角速度ΨをΨ<0としたとき
に、旋回モーメント量MがM>0のときに左側の車輪に
付与する駆動力を減少させ、右側の車輪に付与する駆動
力を増加させるための制御信号を出力し、旋回モーメン
ト量MがM<0のときに左側の車輪に付与する駆動力を
増加させ、右側の車輪に付与する駆動力を減少させるた
めの制御信号を出力している。
【0016】このように構成したことにより、例えば左
旋回時にアンダステアが生じたときには、第1の比例演
算手段は、旋回角速度Ψに対応する第1の演算値S1
出力し、第2の比例演算手段は、第1の演算値S1 より
も大きい値となる舵角δに対応する第2の演算値S2
(S2 >S1 )を出力する。そして、旋回モーメント量
算定手段は、第1の演算値S1 と第2の演算値S2 から
正の値の旋回モーメント量M(M>0)を出力する。
【0017】これにより、出力信号設定手段は、左旋回
時のアンダステア状態にあると判定し、左側の車輪に付
与する駆動力を減少させ、右側の車輪に付与する駆動力
を増加させるための制御信号を出力する。そして、駆動
力付与手段は、制御信号に応じて左旋回方向の旋回モー
メントを車両に付与する。
【0018】また、例えば左旋回時にオーバステアが生
じたときには、第1の比例演算手段は、旋回角速度Ψに
対応する第1の演算値S1 を出力し、第2の比例演算手
段は、第1の演算値S1 よりも小さい値となる舵角δに
対応する第2の演算値S2 (S2 <S1 )を出力する。
そして、旋回モーメント量算定手段は、第1の演算値S
1 と第2の演算値S2 から負の値の旋回モーメント量M
(M<0)を出力する。
【0019】これにより、出力信号設定手段は、左旋回
時のオーバステア状態にあると判定し、左側の車輪に付
与する駆動力を増加させ、右側の車輪に付与する駆動力
を減少させるための制御信号を出力する。そして、駆動
力付与手段は、制御信号に応じて右旋回方向の旋回モー
メントを車両に付与する。
【0020】また、例えば右旋回時にアンダステアが生
じたときには、第1の比例演算手段は、旋回角速度Ψに
対応する第1の演算値S1 を出力し、第2の比例演算手
段は、第1の演算値S1 よりも小さい値となる舵角δに
対応する第2の演算値S2 (S2 <S1 )を出力する。
そして、旋回モーメント量算定手段は、第1の演算値S
1 と第2の演算値S2 から負の値の旋回モーメント量M
(M<0)を出力する。
【0021】これにより、出力信号設定手段は、右旋回
時のアンダステア状態にあると判定し、左側の車輪に付
与する駆動力を増加させ、右側の車輪に付与する駆動力
を減少させるための制御信号を出力する。そして、駆動
力付与手段は、制御信号に応じて右旋回方向の旋回モー
メントを車両に付与する。
【0022】さらに、例えば右旋回時にオーバステアが
生じたときには、第1の比例演算手段は、旋回角速度Ψ
に対応する第1の演算値S1 を出力し、第2の比例演算
手段は、第1の演算値S1 よりも大きい値となる舵角δ
に対応する第2の演算値S2(S2 >S1 )を出力す
る。そして、旋回モーメント量算定手段は、第1の演算
値S1 と第2の演算値S2 から正の値の旋回モーメント
量M(M>0)を出力する。
【0023】これにより、出力信号設定手段は、右旋回
時のオーバステア状態にあると判定し、左側の車輪に付
与する駆動力を減少させ、右側の車輪に付与する駆動力
を増加させるための制御信号を出力する。そして、駆動
力付与手段は、制御信号に応じて左旋回方向の旋回モー
メントを車両に付与する。
【0024】また、請求項4の発明では、前記第1の比
例演算手段は第1の演算値S1 をS1 =α1 ×Ψ(但
し、α1 >0からなる比例定数)として演算し、第2の
比例演算手段は第2の演算値S2 をS2 =α2 ×δ(但
し、α2 ≧5×α1 からなる比例定数)として演算する
構成としている。
【0025】上記構成により、旋回モーメント量算定手
段は、S2 =α2 ×δからなる第2の演算値S2 からS
1 =α1 ×Ψからなる第1の演算値S1 を減算し、旋回
モーメント量MをM=S2 −S1 として算定する。
【0026】これにより、出力信号設定手段は、例えば
左旋回時のアンダステア状態を(α2×δ)>(α1 ×
Ψ)となるときに判定し、車両を左旋回させるための制
御信号を出力する。そして、駆動力付与手段は、制御信
号に応じて左旋回方向の旋回モーメントを車両に付与す
る。
【0027】また、出力信号設定手段は、例えば左旋回
時のオーバステア状態を(α2 ×δ)<(α1 ×Ψ)と
なるときに判定し、車両を右旋回させるための制御信号
を出力する。そして、駆動力付与手段は、制御信号に応
じて右旋回方向の旋回モーメントを車両に付与する。
【0028】また、出力信号設定手段は、例えば右旋回
時のアンダステア状態を(α2 ×δ)<(α1 ×Ψ)と
なるときに判定し、車両を右旋回させるための制御信号
を出力する。そして、駆動力付与手段は、制御信号に応
じて右旋回方向の旋回モーメントを車両に付与する。
【0029】また、出力信号設定手段は、例えば右旋回
時のオーバステア状態を(α2 ×δ)>(α1 ×Ψ)と
なるときに判定し、車両を左旋回させるための制御信号
を出力する。そして、駆動力付与手段は、制御信号に応
じて左旋回方向の旋回モーメントを車両に付与する。
【0030】また、請求項5の発明では、車両の重心垂
直軸回りの慣性モーメントをIとすると、前記第1の比
例演算手段の比例定数α1 をα1 ≧(2/3)×Iに予
め設定し、前記第2の比例演算手段の比例定数α2 をα
2 ≧(10/3)×Iに予め設定している。
【0031】上記構成により、第1の比例演算手段は、
慣性モーメントIに対応して |S1|≧(2/3)×I×
|Ψ| となる第1の演算値S1 を出力し、第2の比例演
算手段は |S2|≧(10/3)×I× |δ| となる第2
の演算値S2 を出力する。そして、旋回モーメント量算
定手段は、慣性モーメントIに応じて旋回モーメント量
MをM=S2 −S1 として算定する。
【0032】これにより、出力信号設定手段は、慣性モ
ーメントIに応じた旋回モーメント量Mを発生させるよ
うに駆動力付与手段に制御信号を出力し、駆動力付与手
段は、左,右の車輪に互いに異なる駆動力を付与し、車
両の重量、形状等に応じた最適な旋回モーメントを車両
に付与することができ、車両の操舵性、走行性を向上で
きる。
【0033】また、請求項6の発明では、前記駆動力付
与手段は、推進軸によ って回転されるデファレンシャル
ケースの回転力を左,右の車輪軸に伝達する作動装置
と、該作動装置に組み込まれ前記左,右の車輪軸の一方
側と前記デファレンシャルケース側との間に相対的な回
転力を付与する回転源とから構成している。
【0034】これにより、回転源の回転方向と回転トル
クを制御することによって、左,右の車輪軸に対する駆
動力の配分の割合を積極的に制御することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に従って詳細に説明する。
【0036】ここで、図1ないし図3は本発明の実施例
による車両運動制御装置を前輪駆動車に適用した場合を
例に挙げて示している。
【0037】まず、本実施例による車両運動制御装置の
駆動力付与手段を図1、図2に基づいて説明する。
【0038】図において、1は駆動源としてのエンジン
(図示せず)が搭載され自走可能となった車体を示し、
該車体1には左,右の前輪2,3と左,右の後輪4,5
とが設けられ、前輪2,3はステアリング装置6によっ
て操舵される。また、前記車体1には後述の蓄電装置2
4とモータ制御部25と共に駆動力付与手段を構成する
差動装置7が設けられ、該差動装置7は推進軸8を介し
てエンジンに接続されると共に、車輪軸9,10を介し
て後輪4,5に接続され、エンジンからの駆動力を後輪
4,5に伝達するものである。
【0039】ここで、差動装置7は、図2に示すように
差動装置7の本体としてのデファレンシャルハウジング
11と、該デファレンシャルハウジング11内に設けら
れデファレンシャルケース12とから大略構成されてい
る。そして、差動装置7は、推進軸8の回転力を減速小
歯車13と減速大歯車14とを介してデファレンシャル
ケース12に伝達し、デファレンシャルケース12の回
転力を差動小歯車15と差動大歯車16,17によって
左,右の車輪軸9,10に等しく配分する。また、差動
装置7は、差動小歯車15の自転によって車輪軸9,1
0の回転数差を吸収している。このように、差動装置7
は、推進軸8によって回転されるデファレンシャルケー
ス12の回転力を車輪軸9,10に伝達している。
【0040】18は作動装置7に組み込まれた回転源と
しての電動モータで、該電動モータ18はデファレンシ
ャルハウジング11内に設けられ、左側の車輪軸9とデ
ファレンシャルケース12との間に相対的な回転力を付
与可能な直流モータ等によって構成されている。また、
該電動モータ18はデファレンシャルケース12の内側
に嵌合固定された固定子19と、該固定子19の内周側
に位置して左側の車輪軸9に嵌合固定された回転子20
とから構成され、回転子20は固定子19に対して正逆
方向に相対回転可能に設けられると共に、駆動電流に応
じてその回転トルクが変化するものである。
【0041】21はデファレンシャルハウジング11内
に設けられ、デファレンシャルケース12の回転によっ
て発電するジェネレータで、該ジェネレータ21はデフ
ァレンシャルハウジング11の内側に嵌合固定された固
定子22と、該固定子22の内周側に位置してデファレ
ンシャルケース12に嵌合固定された回転子23とから
構成されている。
【0042】24はジェネレータ21に接続され、ジェ
ネレータ21によって発電された電気エネルギを蓄える
蓄電装置を示し、該蓄電装置24はモータ制御部25と
スリップリング26とを介して電動モータ18に接続さ
れ、電動モータ18に対して蓄電装置24内の電気エネ
ルギを供給する。
【0043】25は後述のコントロールユニット29か
ら出力される制御信号に応じて電動モータ18を駆動制
御するモータ制御部で、該モータ制御部25は電動モー
タ18の正逆回転方向と回転トルクを制御する。
【0044】26は電動モータ18とモータ制御部25
とを電気的に常時接続するスリップリングを示し、該ス
リップリング26は互いに摺接する一対のリング部材か
らなり、一方のリング部材はデファレンシャルハウジン
グ11に設けられ、他方のリング部材はデファレンシャ
ルケース12に設けられている。そして、スリップリン
グ26は回転するデファレンシャルケース12側の電動
モータ18と外部の定位値に備わる固定側のモータ制御
部25との間の回路中に介在している。
【0045】ここで、前記差動装置7の動作について説
明するに、ジェネレータ21はデファレンシャルケース
12の回転によって駆動され、発生した電気エネルギは
蓄電装置24に蓄えられる。モータ制御部25はコント
ロールユニット29からの信号をまって電動モータ18
を駆動制御するものである。
【0046】そして、電動モータ18が一方向に回転駆
動され、その外側の固定子19に対して内側の回転子2
0が左側の車輪軸9を増速させる方向に強制的に回転さ
れた場合、それらの間の相対回転分だけ、左側の車輪軸
9が増速されると共に、右側の車輪軸10が減速され、
車両には右旋回方向の旋回モーメントが発生することに
なる。また、これらの車輪軸9,10の増減速の割合、
つまり駆動力の配分の割合は、モータ制御部25が電動
モータ18の回転トルクを制御することによって連続的
に調整される。
【0047】一方、電動モータ18が他方向に回転駆動
され、その外側の固定子19に対して内側の回転子20
が左側の車輪軸9を減速させる方向に強制的に回転され
た場合、それらの間の相対回転分だけ、左側の車輪軸9
が減速されると共に、右側の車輪軸10が増速され、車
両には左旋回方向の旋回モーメントが発生することにな
る。また、これらの車輪軸9,10の増減速の割合、つ
まり駆動力の配分の割合は、モータ制御部25が電動モ
ータ18の回転トルクを制御することによって連続的に
調整される。
【0048】このように、コントロールユニット29が
車両の旋回時等の走行状態に応じてモータ制御部25を
制御することにより、左,右の車輪軸9,10に対する
駆動力の配分の割合を積極的に制御し、車両の旋回モー
メントを制御することができ、車両の旋回時等における
走行性を向上させることができる。また、作動装置7に
電動モータ18を組み込む構成としたから、作動装置7
を小型化、軽量化することができる。さらに、作動装置
7を簡略な構成にできるから、装置全体の低価格化を図
ることができる。
【0049】次に、本実施例による車両運動制御装置の
駆動力配分手段を図1、図3に基づいて説明する。
【0050】27は車両の重心の垂直軸回りの旋回角速
度を検出する旋回角速度センサで、該旋回角速度センサ
27は、音叉型歪みゲージ等のコリオリ力を検出する角
速度センサ等によって構成され、例えば車両の重心位置
に設けられている。また、旋回角速度センサ27は、左
旋回方向の旋回角速度ΨをΨ>0として検出し、右旋回
方向の旋回角速度ΨをΨ<0として検出すると共に、旋
回角速度Ψに対応した検出信号を出力する。
【0051】28は例えばステアリング装置6に設けら
れ、ハンドルの回転角θから車両の舵角δを検出する舵
角検出手段としての舵角センサを示し、該舵角センサ2
8は、フォトトランジスタ等を用いた光学式センサ、ポ
テンションメータ等により構成されている。そして、舵
角センサ28は、車両の舵角δを例えば回転角θに対す
るステアリングギヤ比Nの商(δ=θ/N)として検出
する。また、舵角センサ28は、左旋回方向の舵角δを
δ>0として検出し、右旋回方向の舵角δをδ<0とし
て検出すると共に、舵角δに対応した検出信号を出力す
る。
【0052】29は旋回角速度センサ27と舵角センサ
28と共に駆動力配分手段を構成するコントロールユニ
ットを示し、該コントロールユニット29は、マイクロ
コンピュータ等からなり、旋回モーメント量演算手段と
しての旋回モーメント量演算回路30と、出力信号設定
手段としての出力信号設定回路31とから構成されてい
る。そして、旋回モーメント量演算回路30の入力側に
は旋回角速度センサ27、舵角センサ28が接続され、
出力信号設定回路31の出力側にはモータ制御部25が
接続されている。
【0053】また、旋回モーメント量演算回路30は、
後述の第1の比例演算回路32、第2の比例演算回路3
3、旋回モーメント量算定回路34から構成され、旋回
角速度センサ27から出力される旋回角速度Ψの検出信
号と舵角センサ28から出力される舵角δの検出信号と
に比例して車両に付与すべき旋回モーメント量Mを算出
している。また、出力信号設定回路31は、旋回モーメ
ント量演算回路30による旋回モーメント量Mに基づき
モータ制御部25に出力すべき制御信号を設定してい
る。
【0054】32は第1の比例演算手段としての第1の
比例演算回路で、第1の比例演算回路32は旋回角速度
センサ27から出力される旋回角速度Ψの検出信号に基
づき旋回角速度Ψに対応する第1の演算値S1 を以下の
数1の式に示す如く算出するものである。
【0055】
【数1】S1 =α1 ×Ψ
【0056】ここで、比例定数α1 は、正の値(α1
0)の定数であり、例えば車両の重心垂直軸回りの慣性
モーメントIに対してα1 =(2/3)×I程度の値に
予め設定されている。また、比例定数α1 は、慣性モー
メントIとの間に以下に示す数2の関係がある。
【0057】
【数2】
【0058】33は第2の比例演算手段としての第2の
比例演算回路で、第2の比例演算回路33は舵角センサ
28から出力される舵角δの検出信号に基づき舵角δに
対応する第2の演算値S2 を以下の数3の式に示す如く
算出するものである。
【0059】
【数3】S2 =α2 ×δ
【0060】ここで、比例定数α2 は比例定数α1 に対
して以下に示す数4の関係がある。
【0061】
【数4】α2 ≧5×α1
【0062】従って、数2、数4から比例定数α2 はα
2 =(10/3)×I程度の値に予めに設定されてい
る。
【0063】34は旋回モーメント量算定手段としての
旋回モーメント量算定回路で、該旋回モーメント量算定
回路34は、第2の比例演算回路33による第2の演算
値S2 から第1の比例演算回路32による第1の演算値
1 を減算し、旋回モーメント量Mを下記数5の式に示
す如く算出している。
【0064】
【数5】 M=S2 −S1 =α2 ×δ−α1 ×Ψ
【0065】そして、出力信号設定回路31は、旋回モ
ーメント量Mが正の値(M>0)のときに左側の車輪軸
9に付与する駆動力を減少させ、右側の車輪軸10に付
与する駆動力を増加させるための制御信号を出力し、旋
回モーメント量Mが負の値(M<0)のときに左側の車
輪軸9に付与する駆動力を増加させ、右側の車輪軸10
に付与する駆動力を減少させるための制御信号を出力す
る。これにより、モータ制御部25は、電動モータ18
の正逆回転方向と回転トルクを変化させ、車輪軸9,1
0の駆動力を増減させると共に、車両の旋回モーメント
を制御する。
【0066】また、出力信号設定回路31は、旋回モー
メント量Mが零(M=0)のときには車輪軸9,10に
対する駆動力の配分を行う必要がないため、モータ制御
部25からの電流供給を停止するための制御信号を出力
する。これにより、モータ制御部25は、電動モータ1
8への電流供給を停止する。
【0067】本実施例による車両運動制御装置は上述の
如き構成を有するもので、次にその作用について図4に
基づいて説明する。
【0068】図4は4輪の車両を等価的な前後2輪の車
両に置き換えた2輪車モデルを示し、前輪2,3を1個
の前輪35に置き換えると共に、後輪4,5を1個の後
輪36に置き換えている。そして、本実施例の車両運動
制御装置によって車両を制御した場合の横方向(Y方
向)に対する車両の運動には、以下の数6に示す関係が
ある。
【0069】
【数6】 但し、m :車両質量 V :車両速度 β :横滑り角 F1 :前輪のコーナリングフォース F2 :後輪のコーナリングフォース
【0070】ここで、横滑り角速度(dβ/dt)は車
両の進行方向(車両速度Vの方向)と車体1の前後方向
とがなす角度としての横滑り角βに対する角速度であ
る。また、前輪のコーナリングフォースF1 は前輪2,
3の変形が路面の接触面に起こることによって生ずるY
方向の力であり、後輪のコーナリングフォースF2 は後
輪4,5の変形が路面の接触面に起こることによって生
ずるY方向の力である。また、前輪のコーナリングフォ
ースF1 は前輪の横滑り角β1 と前輪のコーナリングパ
ワーC1 との間には、下記数7の関係がある。
【0071】
【数7】F1 =C1 ×β1
【0072】また、後輪のコーナリングフォースF2
後輪の横滑り角β2 と後輪のコーナリングパワーC2
の間には、下記数8の関係がある。
【0073】
【数8】F2 =C2 ×β2
【0074】ここで、前輪の横滑り角β1 、後輪の横滑
り角β2 は、横滑り角βに対して以下に示す数9の関係
がある。
【0075】
【数9】 但し、a:重心点Oと各前輪2,3の回転中心O1 −O
1 との距離寸法 b:重心点Oと各後輪4,5の回転中心O2 −O2 との
距離寸法
【0076】また、数7〜数9の式より、数6の式は以
下に示す数10の式として置き換えることができる。
【0077】
【数10】
【0078】また、車両の重心垂直軸回りの旋回方向
(Ψ方向)に対する車両の運動には、旋回モーメント量
Mに対して下記数11に示す関係がある。
【0079】
【数11】
【0080】数10、数11の式に基づき、ラプラス演
算子sを用いて書き直すと車両は2次遅れ系で表わすこ
とができ、舵角δに応じて旋回角速度Ψが変化する割合
を示す車両の伝達関数HV は、下記数12の関係があ
る。
【0081】
【数12】 但し、Kr :係数 Tr :係数 ω0 :係数 2ζ0 ω0 :係数
【0082】ここで、数12中の係数Kr は舵角δに対
する旋回角速度Ψの利得を示す数値であり、以下の数1
3に示す関係がある。
【0083】
【数13】 但し、L :定数 KS :係数
【0084】数13中で、定数Lは各前輪2,3の回転
中心O1 −O1 と各後輪4,5の回転中心O2 −O2 と
の距離寸法であり、係数KS は下記数14の関係があ
る。
【0085】
【数14】
【0086】また、数12中で、各係数Tr ,2ζ0 ω
0 ,ω0 はそれぞれ下記数15の関係がある。
【0087】
【数15】
【0088】また、走行中の横加速度が増して前輪3
5、後輪36に横滑りが生じるタイヤ限界時(またはタ
イヤ限界時に近づくとき)には、前輪のコーナリングパ
ワーC1 、後輪のコーナリングパワーC2 は下記数16
のようになると考えられる。
【0089】
【数16】C1 =C2 =0
【0090】このように、前輪のコーナリングパワーC
1 、後輪のコーナリングパワーC2が零(C1 =C2
0)になると、このときの車両の伝達関数HV は数12
〜数16の式により以下の数17の式として置き換える
ことができ、車両は一次遅れ系として表わすことができ
る。
【0091】
【数17】 但し、Km :係数 Tm :時定数
【0092】このとき、係数Km 、時定数Tm とはそれ
ぞれ数18、数19の関係がある。
【0093】
【数18】
【0094】
【数19】
【0095】ここで、係数Km は舵角δに対する旋回角
速度Ψの利得を示す数値であり、係数Km が大きいほど
舵角δに対して旋回角速度Ψの変化が大きくなる。ま
た、時定数Tm は車両が目標とする旋回角速度の63%
程度に達するまでに要する時間であり、操舵に応じて旋
回角速度Ψが変化するまでの車両の応答遅れに応じた定
数である。そして、時定数Tm が大きくなり過ぎると旋
回方向に対する車両の応答が遅くなり、操舵性は悪化す
る。このことから、係数Km を大きくし、時定数Tm
小さくするように各比例定数α1 ,α2 を予め設定する
ことによって、タイヤ限界時においても旋回角速度Ψを
ハンドル操作によって自在に制御可能であることが確認
された。
【0096】次に、各比例定数α12 が、車両に及
ぼす作用について説明する。
【0097】まず、比例定数α1 に作用について説明す
るに、車両が道路のカーブに進入するときには、運転者
は、図5に示すようにカーブ手前で進行方向(V1 方
向)に対する道路のずれ寸法eを視認し、距離寸法L1
だけ手前で車両に与える舵角δを判断する。このよう
に、運転者と車両とは、図6に示すように道路のずれ寸
法eを減少させるフィードバック制御系を構成する。こ
のとき、運転者がずれ寸法eを視認してから舵角δに対
応したハンドル操作を行うまでの運転者の伝達関数HS
は、下記数20の関係がある。
【0098】
【数20】 但し、G :運転者の操舵ゲイン TS :運転者の時定数 TP :予見時間
【0099】ここで、運転者の操舵ゲインGは運転者が
ハンドル操作するときの操作量に応じた定数であり、運
転者の時定数TS は運転者がずれ寸法eを視認してから
ハンドル操作するまでの応答遅れに応じた定数である。
また、予見時間TP は運転者がずれ寸法eを視認してか
ら視認した位置を通過するまでに要する時間であり、視
認した位置までの距離寸法L1 と車両速度V1 との間に
下記数21の関係がある。
【0100】
【数21】TP =L1 /V1
【0101】また、タイヤ限界時の車両の伝達関数HV
は数17の式に示す関係があるから、運転者と車両とを
含めた全体の伝達関数は、数17、数20の式から下記
数22に示す関係がある。
【0102】
【数22】
【0103】ここで、通常の運転者では予見時間TP
は、例えば「自動車技術Vol.49,No.12」第
35頁に開示されているように、下記数23となること
が知られている。
【0104】
【数23】0.5秒≦TP ≦2.0秒
【0105】即ち、予見時間TP が2秒のとき(TP
2)は運転者が遠方注視しているときの視認性の限界で
あり、予見時間TP が0.5秒のとき(TP =0.5)
は操作量等を適確に判断等するための時間余裕の限界で
ある。
【0106】また、運転者の時定数TS は0.1秒(T
S =0.1)程度と小さい値となることが一般に知られ
ているから、運転者の時定数TS を零(TS ≒0)とす
れば、数22の式は下記数24の式として置き換えるこ
とができる。
【0107】
【数24】
【0108】これにより、図7に示すように、運転者の
ハンドル操作に応じて旋回角速度Ψの変化するまでの車
両の応答遅れを予見時間TP によって補償できる構成と
なっていることが確認できる。即ち、車両の応答遅れが
なく、運転者のハンドル操作に対して車両の旋回角速度
Ψが即座に変化するときには、運転者はカーブに到達す
る2〜0.5秒前までの間に車両の操作量を判断するこ
とによって、車両をカーブのずれ寸法eだけ変位させる
ように運転することができるが、車両の応答遅れがあ
り、運転者のハンドル操作に対して車両の旋回角速度Ψ
の変化が遅延する場合には、車両の時定数Tm に対応し
た時定数Tm だけ予見時間TP が減少することになる。
【0109】ここで、本実施例による時定数Tm は数1
9の式より、比例定数α1 と慣性モーメントIとに依存
する定数である。また、比例定数α1 は慣性モーメント
Iとの間に数2の関係があるから、時定数Tm は1.5
秒以下(Tm ≦1.5)である。このため、予見時間T
P を時間余裕の限界である0.5秒以上(TP ≧0.
5)に保つことができ、車両の応答遅れを予見時間TP
によって補償することにより、運転者は車両をハンドル
操作できることが確認された。
【0110】次に、比例定数α2 の作用について説明す
るに、比例定数α2 は、前記数18に示すようにタイヤ
限界時の舵角δに対する旋回角速度Ψの利得を示す係数
mに関係する定数である。また、数12、数17から
わかるように、係数Km は、ドライ状態の路面でかつコ
ーナリングフォースF1 (F2 )と横滑り角β1 (β
2 )とがほぼ比例するタイヤ線形域の舵角δに対する旋
回角速度Ψの利得を示す係数Kr に応じた定数である。
そして、本実施例による係数Km は、数18、数4の関
係から5以上(Km ≧5)である。
【0111】ここで、係数Kr は、タイヤ線形域では1
0(Kr =10)程度であることが知られている。そし
て、係数Kr が10に比べて非常に小さい(Kr ≪1
0)ときには、舵角δに対する旋回角速度Ψの変化が小
さくなり、車両が旋回しにくくなるから、車両の操舵性
は悪化する。しかし、一般に係数Kr がタイヤ線形域の
半分以上あればハンドル操作による車両の操舵は可能で
あることが知られており、係数Km はタイヤ線形域での
係数Kr の半分以上の値であるから、本実施例では、タ
イヤ限界時においても車両の操舵が可能となることが確
認された。
【0112】次に、舵角δに対する旋回角速度Ψの応答
特性について説明する。まず、前輪のコーナリングパワ
ーC1 、後輪のコーナリングパワーC2 を下記のように
定めドライ路面における前輪のコーナリングパワー
10、後輪のコーナリングパワーC20に対して数25の
式を満たすものとする。
【0113】
【数25】C1 =λ×C102 =λ×C20 但し、λ:低下係数
【0114】ここで、、低下係数λは、零から1の範囲
(0≦λ≦1)の定数であり、低下係数λが小さいとき
ほど、車両は比較的大きな横滑りを生じ易い状態、すな
わちタイヤ限界時に近い状態であることを示している。
【0115】従来の車両の応答特性として各比例定数α
1 ,α2 を零(α1 =α2 =0)としたときを比較例と
して図8、図9に示す。図8に示す特性線37,38,
39,40はハンドル操作の周波数に対する車両の旋回
角速度Ψの利得を示し、左,右方向に車両を操舵するた
めのハンドル操作を一定周期で行ったときの車両の進行
方向の変化量に応じるものである。また、周波数が高い
程、急激なハンドル操作をした場合を示し、周波数が低
い程、ゆっくりとハンドル操作をした場合に示してい
る。
【0116】そして、特性線37,38,39,40は
低下係数λが0.001,0.01,0.1,1.0に
おける場合をそれぞれ示している。一般の運転者が操舵
するときの高頻度周波数域は1〜10rad/secで
あることが知られているが、タイヤ限界時では、この周
波数領域では利得がほとんどなくなる。つまり、従来の
車両では数17の式でタイヤ限界時の車両の伝達関数H
V は零(HV =0)となり、舵角δに対して旋回角速度
Ψが変化しないから、タイヤ限界時にはハンドル操作に
よって車両を操舵することができない。
【0117】また、図9中の特性線41,42,43,
44はハンドル操作の周波数に対する車両の位相を示
し、左,右方向に車両を操舵するためのハンドル操作を
一定周期で行ったときの車両の動作遅れに対応するもの
である。特性線41,42,43,44は低下係数λが
0.001,0.01,0.1,1.0における場合を
それぞれ示している。一般の運転者が操舵するときの高
頻度周波数域(1〜10rad/sec)では、位相も
限界まで遅れているから、車両の旋回角速度Ψをハンド
ル操作よって速やかに変化させることができず、ハンド
ル操作に対して車両の進行方向の変化は非常に遅れると
共に、車両の応答性は極めて悪く、実質的に車両の操舵
することは不可能であることが確認された。
【0118】一方、本実施例による車両の特性を図1
0、図11に示す。図10に示す特性線45,46,4
7,48はハンドル操作の周波数に対する車両の旋回角
速度Ψの利得を示し、低下係数λが0,0.01,0.
1,1.0における場合をそれぞれ示している。このと
き、1〜10rad/secの周波数領域では、タイヤ
限界時(λ=0)においても旋回角速度Ψの利得が得ら
れる。このため、車両の旋回角速度Ψはハンドル操作に
応じて変化し、運転者は車両を旋回させることができ
る。
【0119】また、図11中の特性線49,50,5
1,52はハンドル操作の周波数に対する車両の位相を
示し、低下係数λが0,0.01,0.1,1.0にお
ける場合をそれぞれ示している。このとき、1〜10r
ad/secの周波数領域では、位相が限界までは達し
ていない(位相の遅れが少ない)から、運転者のハンド
ル操作に追従して速やかに車両を旋回させることがで
き、車両をハンドル操作によって操舵することができ
る。
【0120】また、図10中に特性線48で示すタイヤ
線形域(λ=1)での車両の旋回角速度Ψの利得は、図
8中の特性線40とほぼ同一の特性を示す。また、図1
1中に特性線52で示すタイヤ線形域(λ=1)での車
両の位相は、図9中の特性線44とほぼ同一の特性を示
す。これは、前輪のコーナリングパワーC1 、後輪のコ
ーナリングパワーC2 が各比例定数α1 ,α2 に対して
非常に大きな値(C1,C2 ≫α1 ,α2 )となるか
ら、数12〜数15から分かるように、車両の伝達関数
V は、各比例定数α1 ,α2 に依存せず、従来の車両
によるものと本実施例の車両によるものとがほぼ同一と
なる。即ち、前輪35、後輪36と路面との間の摩擦力
が大きいタイヤ線形域では、差動装置7による車両の旋
回モーメントはほとんど変化せず、本実施例による車両
も従来の車両と同様のハンドル操作によって操舵するこ
とができる。
【0121】かくして、本実施例によれば、旋回角速度
センサ27と舵角センサ28とから出力されるそれぞれ
の検出信号に基づき旋回モーメントを制御する構成とし
たから、旋回角速度Ψを減衰させつつ、舵角δに応じた
大きな旋回モーメントを付与することができ、ハンドル
操作に応じた車両の操舵性を常時確保することができる
と共に、車両の走行性を向上できる。
【0122】即ち、車両が左旋回するときにアンダステ
アが発生し、図12に示すように、ハンドル操作によっ
て車両が向うべき操作方向に対して実際の進行方向が右
側にずれるときには、旋回角速度Ψの値が低下する(低
い)ため、第1の比例演算回路32は、旋回角速度Ψに
対応する第1の演算値S1 を出力し、第2の比例演算回
路33は、第1の演算値S1よりも大きい値となる舵角
δに対応する第2の演算値S2 (S2 >S1 )を出力す
る。そして、旋回モーメント量算定回路34は、第1の
演算値S1 と第2の演算値S2 から正の値の旋回モーメ
ント量M(M>0)を出力する。
【0123】これにより、出力信号設定回路31は、左
旋回時のアンダステア状態にあると判定し、左側の車輪
軸9に付与する駆動力を減少させ、右側の車輪軸10に
付与する駆動力を増加させるための制御信号を出力す
る。そして、作動装置7は、制御信号に応じて、左側の
後輪4を減速し、右側の後輪5を増速し、左旋回中の車
両に左旋回方向の旋回モーメントを発生させると共に、
操作方向と車両の実際の進行方向とを一致させ、左旋回
時のアンダステアを回避することができる。
【0124】また、車両が左旋回するときにオーバステ
アが発生し、図13に示すように、ハンドル操作によっ
て車両が向うべき操作方向に対して実際の進行方向が左
側にずれるときには、旋回角速度Ψの値が増大する(高
い)ため、第1の比例演算回路32は、旋回角速度Ψに
対応する第1の演算値S1 を出力し、第2の比例演算回
路33は、第1の演算値S1 よりも小さい値となる舵角
δに対応する第2の演算値S2 (S2 <S1 )を出力す
る。そして、旋回モーメント量算定回路34は、第1の
演算値S1 と第2の演算値S2 から負の値の旋回モーメ
ント量M(M<0)を出力する。
【0125】これにより、出力信号設定回路31は、左
旋回時のオーバステア状態にあると判定し、左側の車輪
軸9に付与する駆動力を増加させ、右側の車輪軸10に
付与する駆動力を減少させるための制御信号を出力す
る。そして、作動装置7は、制御信号に応じて、左側の
後輪4を増速し、右側の後輪5を減速し、左旋回中の車
両に右旋回方向の旋回モーメントを発生させると共に、
操作方向と車両の実際の進行方向とを一致させ、左旋回
時のオーバステアを回避することができる。
【0126】さらに、車両が左旋回するときに比較的大
きな横滑りが発生し、図14に示すように、操作方向に
対して車両が右側に横滑りするときには、旋回角速度Ψ
の値が舵角δに対して大きい。このため、第1の比例演
算回路32は、旋回角速度Ψに対応する第1の演算値S
1 を出力し、第2の比例演算回路33は、第1の演算値
1 よりも大きい値となる舵角δに対応する第2の演
算値S2 (S2 >S1)を出力する。そして、旋回モー
メント量算定回路34は、第1の演算値S1 と第2の演
算値S2 から正の値の旋回モーメント量M(M>0)を
出力する。
【0127】これにより、出力信号設定回路31は、左
旋回時のアンダステア状態と同様な状態にあると判定
し、左側の車輪軸9に付与する駆動力を減少させ、右側
の車輪軸10に付与する駆動力を増加させるための制御
信号を出力する。そして、作動装置7は、制御信号に応
じて、左側の後輪4を減速し、右側の後輪5を増速し、
横滑り中の車両に左旋回方向の旋回モーメントを発生さ
せると共に、ハンドル操作によって定められる操作方向
に向けて車両の実際の進行方向を修正することができ
る。このため、例えば運転者がアクセルを戻し、前輪
2,3、後輪4,5の回転数が減少することによって路
面との摩擦力が増加したときには、車両を操作方向に向
けて速やかに回復させることができる。
【0128】一方、車両が右旋回するときにアンダステ
アが発生し、図15に示すように、ハンドル操作によっ
て車両が向うべき操作方向に対して実際の進行方向が左
側にずれるときには、旋回角速度Ψの値が低下する(低
い)ため、第1の比例演算回路32は、旋回角速度Ψに
対応する第1の演算値S1 を出力し、第2の比例演算回
路33は、第1の演算値S1 よりも小さい値となる舵角
δに対応する第2の演算値S2 (S2 <S1 )を出力す
る。そして、旋回モーメント量算定回路34は、第1の
演算値S1 と第2の演算値S2 から負の値の旋回モーメ
ント量M(M<0)を出力する。
【0129】これにより、出力信号設定回路31は、右
旋回時のアンダステア状態にあると判定し、左側の車輪
軸9に付与する駆動力を増加させ、右側の車輪軸10に
付与する駆動力を減少させるための制御信号を出力す
る。そして、作動装置7は、制御信号に応じて、左側の
後輪4を増速し、右側の後輪5を減速し、右旋回中の車
両に右旋回方向の旋回モーメントを発生させると共に、
操作方向と車両の実際の進行方向とを一致させ、右旋回
時のアンダステアを回避することができる。
【0130】また、車両が右旋回するときにオーバステ
アが発生し、図16に示すように、ハンドル操作によっ
て車両が向うべき操作方向に対して実際の進行方向が右
側にずれるときには、旋回角速度Ψの値が増大する(高
い)ため、第1の比例演算回路32は、旋回角速度Ψに
対応する第1の演算値S1 を出力し、第2の比例演算回
路33は、第1の演算値S1 よりも大きい値となる舵角
δに対応する第2の演算値S2 (S2 >S1 )を出力す
る。そして、旋回モーメント量算定回路34は、第1の
演算値S1 と第2の演算値S2 から正の値の旋回モーメ
ント量M(M>0)を出力する。
【0131】これにより、出力信号設定回路31は、右
旋回時のオーバステア状態にあると判定し、左側の車輪
軸9に付与する駆動力を減少させ、右側の車輪軸10に
付与する駆動力を増加させるための制御信号を出力す
る。そして、作動装置7は、制御信号に応じて、左側の
後輪4を減速し、右側の後輪5を増速し、右旋回中の車
両に左旋回方向の旋回モーメントを発生させると共に、
操作方向と車両の実際の進行方向とを一致させ、右旋回
時のオーバステアを回避することができる。
【0132】さらに、車両が右旋回するときに横滑りが
発生し、図17に示すように、操作方向に対して車両が
左側に比較的大きな横滑りをするときには、旋回角速度
Ψの値が舵角δに対して大きいため、第1の比例演算回
路32は、旋回角速度Ψに対応する第1の演算値S1
出力し、第2の比例演算回路33は、第1の演算値S1
よりも小さい値となる舵角δに対応する第2の演算値S
2 (S2 <S1 )を出力する。そして、旋回モーメント
量算定回路34は、第1の演算値S1 と第2の演算値S
2 から負の値の旋回モーメント量M(M<0)を出力す
る。
【0133】これにより、出力信号設定回路31は、右
旋回時のアンダステア状態と同様な状態にあると判定
し、左側の車輪軸9に付与する駆動力を増加させ、右側
の車輪軸10に付与する駆動力を減少させるための制御
信号を出力する。そして、作動装置7は、制御信号に応
じて、左側の後輪4を増速し、右側の後輪5を減速し、
横滑り中の車両に右旋回方向の旋回モーメントを発生さ
せると共に、ハンドル操作によって定められる操作方向
に向けて車両の実際の進行方向を修正することができ
る。このため、例えば運転者がアクセルを戻し、前輪
2,3、後輪4,5の回転数が減少することによって路
面との摩擦力が増加したときには、車両を操作方向に向
けて速やかに回復させることができる。
【0134】また、α2 ≧5×α1 の関係を満たすよう
に第1の比例演算回路32の比例定数α1 、第2の比例
演算回路33の比例定数α2 を予め設定したから、タイ
ヤ限界時の舵角δに対する旋回角速度Ψの利得をタイヤ
線形域の半分以上に保つことができ、車両に横滑りが生
じるタイヤ限界時においても車両を操舵することができ
る。また、旋回モーメント量算定回路34は、S1 =α
1 ×Ψからなる第1の演算値S1 とS2 =α2 ×δから
なる第2の演算値S2 とに基づき、旋回モーメント量M
をM=S2 −S1 として算定するから、出力信号設定回
路31は、旋回モーメント量Mの値の正負、即ちα1 ×
Ψ、α2 ×δの大小を判別することによってアンダステ
ア状態、オーバステア状態を確実に判定することができ
る。
【0135】さらに、第1の比例演算回路32の比例定
数α1 を車両の重心垂直軸回りの慣性モーメントIに対
してα1 ≧(2/3)×Iの関係を満たすように予め設
定したから、車両の応答遅れを1.5秒以下に抑えるこ
とができ、タイヤ限界時においても運転者のハンドル操
作によって速やかに車両を操舵することができる。
【0136】また、作動装置7に電動モータ18を組み
込む構成としたから、装置全体の小型化、軽量化、低価
格化を図りつつ、左,右の車輪軸9,10に対する駆動
力の配分の割合を積極的に制御することができる。
【0137】なお、本実施例では、車両運動制御装置を
後輪駆動車に適用した場合を例に挙げて示したが、本発
明はこれに限らず、前輪駆動車、4輪駆動車に適用して
もよい。
【0138】また、本実施例では、回転源として電動モ
ータ18を適用した場合を例に挙げて説明したが、回転
源として油圧モータを用い、油圧モータによって左の車
輪軸とデファレンシャルケースとの間に相対的な回転力
を付与する構成としてもよい。この場合、駆動力付与手
段は、デファレンシャルケース内に設けられ左の車輪軸
を回転させる油圧モータと、デファレンシャルハウジン
グ内に設けられ油圧配管を介して該油圧モータに圧油を
供給する油圧ポンプと、油圧配管に設けられ油圧モータ
に供給する圧油の方向を切換える切換弁と、該切換弁と
油圧ポンプとの間の油圧配管に設けられ圧油の圧力を調
整する圧力調整弁とから構成される。
【0139】そして、駆動力配分手段によって切換弁を
切換制御し、油圧モータの回転方向を切換ることができ
ると共に、駆動力配分手段によって圧力調整弁を制御
し、油圧モータの回転トルクを制御することできる。こ
れにより、駆動力配分手段は、左,右の車輪軸に対する
駆動力の配分の割合を制御し、駆動力付与手段は、一方
の車輪を増速させ、他方の車輪を減速させることによっ
て車両に旋回モーメントを発生させることができる。
【0140】さらに、本実施例では、舵角δを検出し、
舵角δの検出信号に基づき旋回モーメント量Mを算出す
る構成としたが、ハンドルの回転角θの検出信号に基づ
き旋回モーメント量を算出する構成としてもよく、この
場合、第2の比例演算回路33の比例定数α2 はステア
リングギヤ比Nに対してα2 ≧(10/3)×(I/
N)として予め設定してもよい。
【0141】
【発明の効果】以上詳述した如く、請求項1の発明によ
れば、駆動力配分手段を、旋回角速度Ψを検出する旋回
角速度検出手段と、舵角δを検出する舵角検出手段と、
旋回角速度検出手段、舵角検出手段から出力されるそれ
ぞれの検出信号とに基づき旋回モーメント量Mを算出す
る旋回モーメント量演算手段と、該旋回モーメント量演
算手段の演算結果に基づき駆動力付与手段に出力すべき
制御信号を設定する出力信号設定手段とから構成したか
ら、旋回角速度Ψを減少させつつ舵角δに応じた旋回モ
ーメント量Mを車両に付与し、ハンドル操作に応じた車
両の操舵性を常時確保できると共に、車両の旋回時に生
じるアンダステア、オーバステアを回避し、車両の走行
性を向上させることができる。
【0142】また、請求項2の発明によれば、旋回モー
メント量演算手段を、旋回角速度Ψに対応する第1の演
算値S1 を算出する第1の比例演算手段と、舵角δに対
応する第2の演算値S2 を算出する第2の比例演算手段
と、第1の演算値S1 、第2の演算値S2 から旋回モー
メント量MをM=S2 −S1 として算定する旋回モーメ
ント量算定手段とから構成したから、旋回モーメント量
算定手段は舵角δに比例して旋回モーメント量Mを増加
させ、旋回角速度Ψに比例して旋回モーメント量Mを減
少させ、出力信号設定手段と駆動力付与手段とによって
車両に旋回モーメント量Mを発生させ、車両の旋回角速
度Ψを減衰させると共に、車両を舵角δに比例して旋回
させることができる。
【0143】また、請求項3の発明によれば、前記出力
信号設定手段を、旋回モーメント量MがM>0のときに
左側の車輪に付与する駆動力を減少させ、右側の車輪に
付与する駆動力を増加させるための制御信号を出力し、
旋回モーメント量MがM<0のときに左側の車輪に付与
する駆動力を増加させ、右側の車輪に付与する駆動力を
減少させるための制御信号を出力する構成としたから、
アンダステア状態、オーバステア状態等を確実に判別
し、車両に左旋回方向、右旋回方向の旋回モーメントを
発生させることができ、過度のアンダステア、オーバス
テアを回避することができる。
【0144】また、請求項4の発明によれば、α2 ≧5
×α1 の関係を満たすように第1の比例演算手段の比例
定数α1 、第2の比例演算手段の比例定数α2 を予め設
定したから、タイヤ限界時の舵角δに対する旋回角速度
Ψの利得をタイヤ線形域の半分以上に保つことができ、
車両に横滑りが生じるタイヤ限界時においても車両を操
舵することができる。また、旋回モーメント量算定手段
は、S1 =α1 ×Ψからなる第1の演算値S1 とS2
α2 ×δからなる第2の演算値S2 とに基づき、旋回モ
ーメント量MをM=S2 −S1 として算定するから、出
力信号設定手段は、旋回モーメント量Mの値の正負、即
ちα1 ×Ψ、α2 ×δの大小を判別することによってア
ンダステア状態、オーバステア状態を確実に判定するこ
とができる。
【0145】さらに、請求項5の発明によれば、第1の
比例演算手段の比例定数α1 を車両の重心垂直軸回りの
慣性モーメントIに対してα1 ≧(2/3)×Iの関係
を満たすと共に、第2の比例演算手段の比例定数α2
α2 ≧(10/3)×Iの関係を満たすように予め設定
したから、車両の応答遅れを1.5秒以下に抑えること
ができ、タイヤ限界時においても運転者のハンドル操作
によって速やかに車両を操舵することができる。
【0146】また、請求項6の発明によれば、駆動力付
与手段を、デファレンシャルケースの回転力を左,右の
車輪軸に伝達する作動装置と、作動装置に組み込まれた
回転源とから構成したから、装置全体の小型化、軽量
化、低価格化を図りつつ、左,右の車輪軸に対する駆動
力の配分の割合を積極的に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による旋回モーメント制御装置
を適用した車両の全体構成を示す模式図である。
【図2】図1中の作動装置を示す断面図である。
【図3】本実施例によるコントロールユニットの構成を
示すブロック図である。
【図4】車両の舵角、旋回角速度、旋回モーメントの関
係を示す説明図である。
【図5】カーブに進入するときの車両と道路のずれ寸法
との関係を示す説明図である。
【図6】運転者を含めた動きを説明する車両の制御ブロ
ック図である。
【図7】運転者の予見時間と車両の応答遅れとの関係を
示す説明図である。
【図8】従来技術についてハンドル操作の周波数と車両
の利得との関係を示す特性線図である。
【図9】従来技術についてハンドル操作の周波数と車両
の位相との関係を示す特性線図である。
【図10】本実施例についてハンドル操作の周波数と車
両の利得との関係を示す特性線図である。
【図11】本実施例についてハンドル操作の周波数と車
両の位相との関係を示す特性線図である。
【図12】左旋回時のアンダステアを回避する動作を示
す説明図である。
【図13】左旋回時のオーバステアを回避する動作を示
す説明図である。
【図14】左旋回時の横滑り状態における車両の動作を
示す説明図である。
【図15】右旋回時のアンダステアを回避する動作を示
す説明図である。
【図16】右旋回時のオーバステアを回避する動作を示
す説明図である。
【図17】右旋回時の横滑り状態における車両の動作を
示す説明図である。
【符号の説明】
1 車体 2,3 前輪 4,5 後輪 7 差動装置 18 電動モータ(回転源) 24 蓄電装置 25 モータ制御部 27 旋回角速度センサ(旋回角速度検出手段) 28 舵角センサ(舵角検出手段) 29 コントロールユニット 30 旋回モーメント量演算回路(旋回モーメント量演
算手段) 31 出力信号設定回路(出力信号設定手段) 32 第1の比例演算回路(第1の比例演算手段) 33 第2の比例演算回路(第2の比例演算手段) 34 旋回モーメント量算定回路(旋回モーメント量算
定手段)
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B62D 117:00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体に設けられ左,右の車輪に互いに異
    なる駆動力を付与する駆動力付与手段と、該駆動力付与
    手段を作動させるために制御信号に応じて左,右の車輪
    に付与する駆動力を配分する駆動力配分手段とからなる
    車両運動制御装置において、 前記駆動力配分手段は、前記車両の重心垂直軸回りの旋
    回角速度Ψを検出する旋回角速度検出手段と、前記車両
    の舵角δを検出する舵角検出手段と、旋回角速度検出手
    段から出力される旋回角速度Ψの検出信号と舵角検出手
    段から出力される舵角δの検出信号とに比例して車両に
    付与すべき旋回モーメント量Mを算出する旋回モーメン
    ト量演算手段と、該旋回モーメント量演算手段によって
    算出された旋回モーメント量Mに基づき前記駆動力付与
    手段に出力すべき制御信号を設定する出力信号設定手段
    とから構成したことを特徴とする車両運動制御装置。
  2. 【請求項2】 前記旋回モーメント量演算手段は、旋回
    角速度検出手段から出力される検出信号に基づき旋回角
    速度Ψに対応する第1の演算値S1 を算出する第1の比
    例演算手段と、舵角検出手段から出力される検出信号に
    基づき舵角δに対応する第2の演算値S2 を算出する第
    2の比例演算手段と、該第2の比例演算手段による第2
    の演算値S2 から前記第1の比例演算手段による第1の
    演算値S1 を減算し、旋回モーメント量MをM=S2
    1 として算定する旋回モーメント量算定手段とから構
    成してなる請求項1に記載の車両運動制御装置。
  3. 【請求項3】 前記出力信号設定手段は、左旋回方向の
    舵角δをδ>0、右旋回方向の舵角δをδ<0とし、左
    旋回方向の旋回角速度ΨをΨ>0、右旋回方向の旋回角
    速度ΨをΨ<0としたときに、旋回モーメント量MがM
    >0のときに左側の車輪に付与する駆動力を減少させ、
    右側の車輪に付与する駆動力を増加させるための制御信
    号を出力し、旋回モーメント量MがM<0のときに左側
    の車輪に付与する駆動力を増加させ、右側の車輪に付与
    する駆動力を減少させるための制御信号を出力してなる
    請求項1または2に記載の車両運動制御装置。
  4. 【請求項4】 前記第1の比例演算手段は第1の演算値
    1 をS1 =α1 ×Ψ(但し、α1 >0からなる比例定
    数)として演算し、第2の比例演算手段は第2の演算値
    2 をS2 =α2 ×δ(但し、α2 ≧5×α1 からなる
    比例定数)として演算する構成としてなる請求項2また
    は3に記載の車両運動制御装置。
  5. 【請求項5】 車両の重心垂直軸回りの慣性モーメント
    をIとすると、前記第1の比例演算手段の比例定数α1
    をα1 ≧(2/3)×Iに予め設定し、前記第2の比例
    演算手段の比例定数α2 をα2 ≧(10/3)×Iに予
    め設定してなる請求項2または3に記載の車両運動制御
    装置。
  6. 【請求項6】 前記駆動力付与手段は、推進軸によって
    回転されるデファレンシャルケースの回転力を左,右の
    車輪軸に伝達する作動装置と、該作動装置に組み込まれ
    前記左,右の車輪軸の一方側と前記デファレンシャルケ
    ース側との間に相対的な回転力を付与する回転源とから
    構成してなる請求項1,2,3,4または5に記載の車
    両運動制御装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006044319A (ja) * 2004-07-30 2006-02-16 Toyoda Mach Works Ltd 差動装置
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