JPH10284004A - メタルハライドランプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 電流導入体兼排気管にモリブデンパイプを使
用した透光性セラミック製発光管の、溶融封止の際のフ
リットガラスのマイクロクラックの発生、モリブデンパ
イプ外端部に電流供給用の高融点金属製リード線を接続
する際のモリブデンパイプのクラックの発生やモリブデ
ンパイプとリード線との剥離を解決する。 【解決手段】 透光性セラミック製の発光管１の両端が
セラミックプラグ３ａ，３ｂで閉塞され、電極心棒４と
金属電流導体との接合体が前記セラミックプラグを貫通
し、金属電流導体がセラミックプラグと焼結固定され、
内部に金属ハロゲン化物を封入した金属蒸気放電灯にお
いて、金属電流導体の一方が金属製パイプからなり、排
気管として発光管軸方向中央付近に配設し、その端部に
金属製リード部７を接続してなり、金属製パイプの外端
部をアーク放電或いはレーザー溶接にて封止するのと同
時に金属製リード部も接合する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、両端部がセラミッ
クプラグで閉塞され、そのセラミックプラグを貫通して
金属電流導体が配設され、その内部に金属ハロゲン化物
が充填された透光性セラミック製発光管を有するメタル
ハライドランプの発光管端部構造の改良に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】透光性セラミック製発光管を用いたメタ
ルハライドランプの発光管端部構造として種々提案され
ており、発光管端部のプラグ中央を貫通し、電流導体と
して金属製パイプが設けられたものとして、特開平８−
２５００６８号、特開平６−５１１５９２号、特開平８
−８３５６８号等が開示されている。

【０００３】前記公報の基本的な構成としては、セラミ
ックに金属等の熱膨脹係数の異なる物質を添加して、電
流導体兼排気管である金属製パイプの熱膨張係数に近似
させたプラグを作成し、電極心棒と前記金属製パイプと
の接合体を前記プラグに貫通させ、一体焼結させた後、
前記金属製パイプの外端部を添加物を封入後にレーザー
光等によって気密に封止する技術が開示されている。

【０００４】また、実開昭５８−１８２３５９号や特開
昭６１−８２６５６号等に開示されている高圧ナトリウ
ムランプは、電流導体兼排気管にニオブパイプを使用
し、電極心棒と前記ニオブパイプとの接合体をアルミナ
プラグの中央部に貫通させ、前記ニオブパイプを気密封
止するためにアーク放電によってパイプ端部を溶融封止
することによって、寿命中のランプ特性の向上が図れる
等の効果が記載された技術が開示されている。

【０００５】また、前記構造の発光管外部の突出したニ
オブパイプ部に電流供給用の高融点金属製リード線を接
続する場合、オーミックに接続する必要があり、ニオブ
金属パイプに高融点金属製リード線を電気的に接続する
場合には、ニオブ金属は優れた展延性を有するため、抵
抗溶接法によって接合されているのが一般的である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ニオブ
金属よりも遙かに融点が高く、熱伝導が良いモリブデン
パイプを電流導体兼排気管として使用する場合、モリブ
デンパイプ外端部を溶融封止する際には、溶融封止の熱
伝導による熱衝撃によって、フリットガラスにマイクロ
クラックが発生して発光管リークの原因となる問題があ
った。また、モリブデンパイプに高融点金属製リード部
を電気的に接続する場合、抵抗溶接法では、モリブデン
パイプが展延性に乏しいため、接合面に加わる圧力によ
ってモリブデンパイプにクラックが入り、寿命末期にお
いては確実な接合は保証できなかった。

【０００７】本発明は上記の事情に基づいてなされたも
のであり、透光性セラミック製の発光管の端部構造並び
に構成として、電流導体兼排気管である金属製パイプに
モリブデンを使用した発光管において、溶融封止の際の
フリットガラスのマイクロクラックの発生の問題、並び
にモリブデンパイプ外端部に電流供給用の高融点金属製
リード線を接続する際のモリブデンパイプ自身のクラッ
クの発生の問題やモリブデンパイプとリード線との剥離
の問題を解決した、信頼性の高い発光管の端部構造を有
する寿命特性が優れたメタルハライドランプを提供する
ことを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本願請求項１の発明は、
透光性セラミック製の発光管の両端がセラミックプラグ
で閉塞され、電極心棒と金属電流導体との接合体が前記
セラミックプラグを貫通し、前記金属電流導体が前記セ
ラミックプラグと焼結固定され、発光管内部に少なくと
も金属ハロゲン化物を封入したメタルハライドランプに
おいて、前記金属電流導体のうち少なくとも一方が金属
製パイプからなり、排気管として発光管軸方向中央付近
に配設し、その端部に金属製リード部を接続してなり、
前記金属製パイプの外端部をアーク放電或いはレーザー
溶接にて封止するのと同時に金属製リード部も接合す
る。

【０００９】また、請求項２記載の発明は、請求項１記
載のメタルハライドランプにおいて、前記金属製パイプ
をモリブデンとすることを特徴とするもので、請求項３
記載の発明は、前記金属製リード部をモリブデン等の高
融点金属からなることを特徴とするものである。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例にかかる
メタルハライドランプの概略構成図を図１に基づき説明
する。透光性アルミナ管１の一方の端部には、透光性ア
ルミナ管１とモリブデンワイヤー２との熱膨張差を緩和
するように、タングステンとアルミナ或いはモリブデン
とアルミナとの混合物からなる外径３．２ｍｍ、長さが
５ｍｍのセラミックプラグ３ａが、透光性アルミナ管１
と一体化焼結により封止材を用いずに気密封止されてい
る。そして、このセラミックプラグ３ａの中央には外径
が０．５ｍｍのタングステン製電極心棒４と外径０．３
０ｍｍのモリブデン製ワイヤー２との接合体が貫通して
いて、モリブデン製ワイヤー２とセラミックプラグ３ａ
の外端面とは、フリットガラス５によって気密封止され
ている。

【００１１】また、もう一方の発光管端部には、同様の
セラミックプラグ３ｂが透光性アルミナ管１との一体化
焼結により封止材を用いずに気密封止されているが、セ
ラミックプラグ３ｂの中央には、外径０．５ｍｍのタン
グステン製電極心棒４と外径０．９ｍｍ、肉厚０．１ｍ
ｍのモリブデン製パイプ６との接合体が貫通しており、
パイプ６の内端部に電極心棒４の端部が溶接により固定
され、モリブデン製パイプ６とセラミックプラグ３ｂの
外端面とはフリットガラス５によって気密封止されてい
る。なお、図中６ａはモリブデン製パイプ６の発光管内
の端部に形成した排気孔である。

【００１２】モリブデン製パイプ６の外端部開口部は、
発光管内に発光物質として金属ハライド化合物や水銀、
始動用ガスとしてアルゴンガスを封入するための排気孔
として利用され、これら添加物の封入後に発光管を気密
に封止するために、発光管の外側のモリブデン製パイプ
６の端部近傍でアルゴンガス雰囲気において、モリブデ
ン製パイプ６の外側開口端と発光管へ電流を供給するた
めのリード部７を同時にアーク放電を発生させることに
よって、図２に示すように、モリブデン製パイプ６を溶
融封止すると同時にリード部７をモリブデン製パイプ６
に電気的に完全に一体の物として接合することが可能と
なり、寿命末期までリークすることのない、信頼性の高
い端部構造が得られる。

【００１３】発光管内には沃化ディスプロシウム、沃化
タリウム、沃化リチウム及び水銀が規定量封入され、始
動用ガスとしてアルゴンガスが約６０ｔｏｒｒ封入され
ている。前記構造の発光管において、モリブデン製パイ
プとリード部との接合部位には、ランプの点滅による剥
がれやパイプクラックの発生が皆無になるのが確認され
た。また、前記構成の発光管において、１５０Ｗ入力で
１５分毎の点滅テストを繰り返し行ったところ、点滅回
数が３，０００回以上においても接合部の剥がれやクラ
ック等による発光管リ−クの発生もなく、振動試験にお
いても実用上問題ないことが判明した。

【００１４】なお、前記実施例では、アルゴンガス雰囲
気中でモリブデン製パイプの外側開口部とリード部とを
同時にアーク放電を発生させることにより、溶融封止す
る場合について説明したが、レーザ溶接を用いて溶融封
止してもよい。また、金属製リード部としてモリブデン
について説明したが、ニオブ等の高融点金属を使用して
もよい。

【００１５】

【発明の効果】以上説明したように、セラミック発光管
を用いたメタルハライドランプで、金属電流導体の少な
くとも一方にモリブデン製パイプを使用し、前記モリブ
デン製パイプがセラミックプラグを貫通している構造の
ランプにおいて、モリブデン製パイプの開口部を封止す
る際、高融点金属からなるリード部と同時にアーク放電
中に近接配置して接合（溶融）させ、前記リード部側に
熱を逃がすことにより、溶融封止の際の熱伝導が緩和し
てフリットガラスに熱衝撃が加わらなくなり、マイクロ
クラックが発生せずに発光管リークの原因はなくなっ
た。

【００１６】また、金属製パイプと金属製リード部を電
気的に一体の物として接合（溶融）することで、抵抗溶
接法を用いた場合に比べ、遥かに接合時のパイプクラッ
クや接合後に残存する内部応力を実用上問題無いレベル
まで低下させることができ、電気的特性においても安定
した長寿命のランプを提供することが可能となった。ま
た、点消灯による発光管端部のリード部と金属製パイプ
との間に発生する熱応力にも十分耐えられるようにな
り、寿命末期まで安定した発光が得られるランプとして
実用に供することができる。

【００１７】更には、金属製パイプの封止とリード部の
接合を同時に行なうため、ランプ作製工程数を削減する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の金属製パイプ封止前、金属製リード部
接合前を示す断面図である。

【図２】本発明の一実施例を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 透光性アルミナ管 ２ モリブデンワイヤー ３ａ，３ｂ セラミックプラグ ４ タングステン製電極心棒 ５ フリットガラス ６ モリブデン製パイプ ６ａ 排気孔 ７ モリブデン製リード部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】透光性セラミック製の発光管の両端がセラ
   ミックプラグで閉塞され、電極心棒と金属電流導体との
   接合体が前記セラミックプラグを貫通し、前記金属電流
   導体が前記セラミックプラグと焼結固定され、発光管内
   部に少なくとも金属ハロゲン化物を封入したメタルハラ
   イドランプにおいて、前記金属電流導体の少なくとも一
   方が金属製パイプからなり、排気管として発光管軸方向
   中央付近に配設し、その端部に金属製リード部を接続し
   てなり、前記金属製パイプの外端部をアーク放電或いは
   レーザー溶接にて封止するのと同時に金属製リード部も
   接合することを特徴とするメタルハライドランプ。
2. 【請求項２】前記金属製パイプをモリブデンとすること
   を特徴とする請求項１記載のメタルハライドランプ。
3. 【請求項３】前記金属製リード部をモリブデン等の高融
   点金属からなることを特徴とする請求項１又は２記載の
   メタルハライドランプ。