JPH10280140A - 光学薄膜の製造方法及び光学薄膜の製造装置 - Google Patents

光学薄膜の製造方法及び光学薄膜の製造装置

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JPH10280140A
JPH10280140A JP9093528A JP9352897A JPH10280140A JP H10280140 A JPH10280140 A JP H10280140A JP 9093528 A JP9093528 A JP 9093528A JP 9352897 A JP9352897 A JP 9352897A JP H10280140 A JPH10280140 A JP H10280140A
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JP
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gas
thin film
substrate
oxygen
vacuum chamber
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Withdrawn
Application number
JP9093528A
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English (en)
Inventor
Tadashi Watanabe
正 渡邊
Takeshi Kawamata
健 川俣
Nobuyoshi Toyohara
延好 豊原
Nobuaki Mitamura
宣明 三田村
Hiroshi Ikeda
浩 池田
Toshiaki Oimizu
利明 生水
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反応性スパッタリング法を採用して、安定し
た品質の光学薄膜を、速い成膜速度で生産性良くしかも
低コストで製造することのできる光学薄膜の製造方法を
提供する。 【解決手段】 真空槽1内における反応性ガスの存在下
でスパッタリングターゲット5をスパッタリングして、
このスパッタリングターゲット5に対峙させたガラス基
板8上に薄膜を形成する光学薄膜の製造方法において、
前記ガラス基板8の薄膜形成面の近傍に設けた反応性ガ
スの流れを規制するガス滞留部により、前記薄膜形成面
に向けて導入する反応性ガスの滞留を促進しつつ前記ガ
ラス基板8に薄膜を形成するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、反射防止膜やハ
ーフミラー、干渉フィルター等の光学薄膜をスパッタリ
ング法により形成する光学薄膜の製造方法及び光学薄膜
の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、反射防止膜やハーフミラー、干渉
フィルター等の光学薄膜を光学部品に形成する場合、膜
材料を加熱して蒸発させ基板に付着させる真空蒸着法が
主に採用されてきた。
【0003】しかし、近年になり、これら光学薄膜にお
いても、真空蒸着法に比較して自動化、省力化、大面積
基板への適用性等の点で有利なスパッタリング法による
製造への要求が高まってきた。
【0004】スパッタリング法によると、比較的簡単に
膜材料であるターゲットと同じ組成を持つ薄膜を得るこ
とができる。そのため、酸化物薄膜を得る場合には、通
常、TiO2 やSiO2 等の酸化物ターゲットをそのま
まスパッタする。ところが、酸化物ターゲットを用いた
場合、成膜速度が著しく遅くて生産性が低く、またター
ゲットが高価であり、それに脆くて割れやすいという問
題点もあった。
【0005】これらの問題点を改善する方法として、反
応性スパッタリング法が広く知られ、最近では、広範に
用いられている。この反応性スパッタリング法は、酸素
等の反応性ガスを導入しながらTiやSi等の金属ター
ゲットをスパッタリングし、最終的にTiO2 やSiO
2 等の酸化物薄膜を得る方法である。
【0006】反応性スパッタリング法を用いて、特に成
膜速度について積極的に改善した例が、特開平7−26
7681号公報及び特開平6−41733号公報で開示
されている。
【0007】即ち、特開平7−267681号公報に
は、真空チャンバー内であって、金属ターゲットの近傍
に不活性ガスを導入するとともに、基板近傍に反応性ガ
スとしての酸化性ガスを導入するようにして、ターゲッ
ト表面の酸化を抑えて早い成膜速度を得ることができる
反応性スパッタリングに関する技術が開示されている。
【0008】この技術によれば、ターゲット表面の酸化
を押さえ、スパッタリングをスパッタ率の高い不活性ガ
スで行うことが可能であり、十分に早い成膜速度を得る
ことが可能な上に、装置の構成も簡単である。
【0009】しかし、特開平7−267681号公報に
開示された技術の場合、基板近傍に導入した酸化性ガス
が真空チャンバー内に拡散しやすいために、この酸化性
ガスの導入量のわずかな変動によっても薄膜の品質、特
に膜の光吸収等の光学的品質にばらつきが生じるという
課題があった。
【0010】また、特開平6−41733号公報には、
基板ホルダーに複数の小孔を設け、高周波電源装置が接
続された放電用コイルにより反応性ガスを活性化したラ
ジカルとして前記小孔より真空チャンバー内に導入し、
一方、放電ガスはターゲットの近傍より供給するように
し、前記基板ホルダーとターゲットとの間には差圧板を
設けた反応性スパッタリング装置に関する技術が開示さ
れている。
【0011】この反応性スパッタリング装置の場合、タ
ーゲット表面の酸化を押さえ、スパッタをスパッタ率の
高い不活性ガスで行うことが可能であり、成膜速度を速
めることが可能な上に、反応性ガスが高周波により活性
化するため、簡略に透明な膜を得ることができる。
【0012】しかし、この反応性スパッタリング装置の
場合、差圧板を設けてはいるが、反応性ガスは基板ホル
ダーからターゲットの方向に向かって導入しているため
に、基板近傍での反応性ガスの分圧が低くなる。そのた
め、反応の効率が悪く必要以上に多くの反応性ガスを導
入する必要があり、成膜条件が安定しない。また、基板
表面での反応を起こりやすくするために、反応性ガスの
導入管に高周波電源が接続された放電用コイルを設けて
いるため高価で複雑な機構の装置となっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、金属
ターゲットを用いた反応性スパッタリング技術におい
て、透明な十分に酸化された膜を、簡単な構成の装置を
用いて速い成膜速度でかつ安定した品質を維持しつつ得
ることは容易ではない。
【0014】一方、光学製品に使用する部品表面に構成
される膜に可視光の吸収が生じると、製品の品質に重大
な影響を及ぼすことから、製品の要求する品質を保証す
るために、スパッタ粒子を充分に酸化し、透明な膜を、
安定して、早い成膜速度で得るための方法や装置がの実
現が強く望まれているところである。
【0015】本発明はこのような要求に鑑みてなされた
ものであり、反応性スパッタリング法を採用して、安定
した品質の光学薄膜を、速い成膜速度で生産性良くしか
も低コストで製造することのできる光学薄膜の製造方法
及び光学薄膜の製造装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
真空槽内における反応性ガスの存在下で金属ターゲット
をスパッタリングして、この金属ターゲットに対峙させ
た基板上に薄膜を形成する光学薄膜の製造方法におい
て、前記基板の薄膜形成面の近傍に設けた反応性ガスの
流れを規制するガス滞留部により、前記薄膜形成面に向
けて導入する反応性ガスの滞留を促進しつつ前記基板に
薄膜を形成することを特徴とするものである。
【0017】請求項2記載の発明に係る光学薄膜の製造
装置は、真空槽と、この真空槽内を排気する排気手段
と、前記真空槽内に設けた薄膜を形成する基板を保持す
る基板保持手段と、前記基板近傍での反応性ガスの滞留
を促進するガス滞留手段と、このガス滞留手段を経て前
記基板の薄膜形成面に向って反応性ガスを導入するガス
導入手段と、前記真空槽内であって、前記基板保持手段
と対峙する位置に設けられた金属ターゲットを保持する
マグネトロン型カソードと、このマグネトロン型カソー
ドに電圧を印加する電源とを有することを特徴とするも
のである。
【0018】請求項3記載の発明に係る光学薄膜の製造
装置は、請求項2記載の発明に係る光学薄膜の製造装置
における前記ガス滞留手段は、前記薄膜を形成する基板
を保持する基板保持手段の機能を兼備することを特徴と
するものであるる。
【0019】請求項1記載の発明によれば、前記基板の
薄膜形成面の近傍に設けた反応性ガスの流れを規制する
ガス滞留部により、前記薄膜形成面に向けて導入する反
応性ガスの滞留を促進しつつ前記基板に薄膜を形成する
ものであるから、基板近傍に供給された反応性ガス、例
えば不活性ガスと酸素との混合ガスが基板の薄膜形成面
近傍に長い時間滞留し、結果として、金属ターゲットか
ら叩き出された金属原子は、十分に酸化され、基板への
吸収が発生しにくくなる。
【0020】また、適当な条件設定を行うことで、真空
槽内に導入された酸素は、前記薄膜形成面近傍に滞留し
ている時間内に、ほとんどが前記金属原子と結合する。
このため、基板近傍以外の真空槽内の空間においては酸
素以外のガスの分圧が高くなり、金属ターゲット表面の
酸化が抑えられることと、不活性ガスを主とする酸素以
外のガスが放電に寄与するため、早い成膜速度が得られ
る。更に、酸素を含むガスを積極的に活性化するための
装置は不要で、実施上の自由度が高い。
【0021】ここで、導入するガスの種類としては、経
済性を考慮すると、不活性ガスとしてアルゴンガス,酸
素を含むガスとしてO2 を用いるのが特に好ましいが、
本発明はこれに限られるものではなく、例えば不活性ガ
スとしてHe,Ne,Kr,Xeやこれらの混合ガスを
用いても良い。また、酸素を含むガスとしてCO2 やC
O、NOx 等のガスを用いても良い。
【0022】請求項2記載の発明によれば、前記真空槽
内における前記基板保持手段により保持された基板近傍
での反応性ガスの滞留を促進するガス滞留手段と、この
ガス滞留手段を経て前記基板の薄膜形成面に向って反応
性ガスを導入するガス導入手段と、前記真空槽内であっ
て、前記基板保持手段と対峙する位置に設けられた金属
ターゲットを保持するマグネトロンカソードと、このマ
グネトロンカソードに電圧を印加する電源とを有する構
成であるから、請求項1記載の発明の場合と同様、早い
成膜速度で光学薄膜を得ることができる簡略な構成の製
造装置を提供できる。また、前記金属ターゲットをマグ
ネトロン型カソードにより保持してスパッタリングを行
うものであるから、前記電源からの電力を極めて効率よ
くスパッタリング用の高周波エネルギーに変換して、光
学薄膜を製造することが可能となる。
【0023】請求項3記載の発明によれば、請求項2記
載の発明に係る光学薄膜の製造装置における前記ガス滞
留手段は、前記薄膜を形成する基板を保持する基板保持
手段の機能を兼備する構成としたので、前記薄膜を形成
する基板の保持と反応性ガスの基板における薄膜形成面
近傍での滞留促進とを併せて行う多機能なガス滞留手段
を備えた光学薄膜の製造装置を提供できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]以下の本発明の実施の形態1を、図
1、図2を参照して説明する。
【0025】(構成)図1、図2に示す光学薄膜の製造
装置は、成膜を行う真空雰囲気を得るための真空槽1を
具備している。
【0026】前記真空槽1内の真空雰囲気は、図2に示
す真空排気系を構成する真空ポンプ12,排気バルブ1
3及びガス導入系を構成するガスボンベ14,マスフロ
ーコントローラ15,ガスボンベ16,マスフローコン
トローラ17,ガスバルブ18により作られる。
【0027】ここで、前記真空ポンプ12は、成膜プロ
セスの開始以前に真空雰囲気を作り上げるためと、プロ
セス中に前記ガス導入系からガスを導入しながら排気を
行い、成膜プロセスに必要な圧力を得るために使用され
る。この真空ポンプ12は、例えばロータリーポンプと
油拡散ポンプの組み合わせて構成される。
【0028】排気バルブ13は前記真空ポンプ12と前
記真空槽1と連結する配管に設けられている。また、ガ
スボンベ14にはアルゴンガスが充填され、ガスボンベ
16には酸素ガスが充填されている。
【0029】マスフローコントローラ15,17は、前
記ガスボンベ14、ガスボンベ16にそれぞれ連結さ
れ、前記真空槽1内に導入するガス量を正確に制御する
ために用いられる。即ち、マスフローコントローラ15
は、アルゴンガスの導入量を制御し、マスフローコント
ローラ17は、酸素の導入量を制御するようになってい
る。
【0030】前記マスフローコントローラ15,17を
通ったアルゴンガス、酸素は、前記真空槽1に導入され
る前にガス導入配管内で混合されガスバルブ18を経て
前記真空槽1内に導入される。
【0031】このガスバルブ18は、前記混合されたガ
スを前記真空槽1内に導入する直前の位置の配管に取り
付けられている。
【0032】前記真空槽1内の構造は図1に示す通りで
ある。図1において、2は前記排気バルブ13に連通す
る排気口であり、3は前記ガスバルブ18に連通するガ
ス導入口である。
【0033】また、真空槽1内には、成膜を行うガラス
基板8とこのガラス基板8を保持する窪みを持った基板
ホルダー6が上部に、スパッタリングターゲット(マグ
ネトロン型カソードに取り付ける構造)5が下部に各々
配置されている。
【0034】前記基板ホルダー6の窪みは、深さが10
mmであり、窪みの内部に酸素ガスが滞留し得るように
なっている。
【0035】前記スパッタリングターゲット5とガラス
基板8の間にはシャッター7が設けられている。このシ
ャッター7は、スパッタリングターゲット5とガラス基
板8とを結ぶ位置(シャッター7が閉じた位置)と、こ
れを遮らない位置(シャッター7が開いた位置)とをと
ることができ、真空槽1の外部からその位置を制御でき
るようになっている。
【0036】前記ガラス基板8は、例えば、(株)小原
製のBSL7が用いられ、前記スパッタリングターゲッ
ト5の材質はSiである。
【0037】この他、前記ガス導入口3から前記ガラス
基板8の成膜面近傍の領域にガスを導入するために、真
空槽1内にガス配管9が設けられている。また、図1に
おいて、4は前記スパッタリングターゲット5に高周波
電圧を加えるための高周波電源である。
【0038】(作用)次に、本実施の形態1の作用を説
明する。表面を清浄な状態にしたガラス基板8を、基板
ホルダー6の窪みの部分に図1に示すように配置して、
真空槽1を密閉した後、真空ポンプ12を動作させ、排
気バルブ13を開けることで真空槽1内に真空雰囲気を
作り出す。
【0039】真空槽1の内部の圧力が、1.0×10-4
Paとなったら、ガスバルブ18を開けると共にマスフ
ローコントローラ15,17により、アルゴンガスと酸
素の比率が8:1(ccm)となるように制御して導入
し、最終的に真空槽1内の圧力を0.4Paで安定させ
る。そして、シャッター7を閉じた位置に置いたまま、
スパッタリングターゲット5に高周波電源4により2.
5kVの高周波電圧を印加する。
【0040】この高周波電圧は、徐々に30秒程度かけ
て上昇させるが、この電圧上昇中にシャッター7とスパ
ッタリングターゲット5との間にプラズマが発生する。
電圧上昇後、スパッタリングターゲット5の表面の汚れ
等を落とし、プラズマを安定させるために1分間プレス
パッタリングを行った後、シャッター7を移動させ開い
た位置に移す。
【0041】プラズマ中のアルゴンイオン及び酸素イオ
ンは、スパッタリングターゲット5をスパッタリング
し、Siを空間に飛び出させるが、このSi原子(また
は原子団)のうち、ガラス基板8の方向に飛び出したも
のは、そのまま又は雰囲気中の酸素と結合した後にガラ
ス基板8の表面に到達し付着する。ここで、アルゴンガ
スと酸素の混合ガスはガラス基板8近傍の領域10に導
入され、さらに基板ホルダー6が窪みを持つため、ガラ
ス基板8近傍でのガスの存在確率が高い。
【0042】即ち、ガラス基板8近傍の領域10におけ
る酸素の供給量が多いために、ガラス基板8に付着した
Si原子は、十分に酸化され、SiO2 となる。このよ
うな成膜課程の連続により、ガラス基板8の表面には透
明なSiO2 薄膜が形成される。
【0043】得られたSiO2 膜は、可視光線の吸収が
どの波長においても0.2%以下であり、擦傷性も問題
がない。また、成膜速度は酸素のみを導入して成膜した
場合の、3.2倍であった。同様の結果は、アルゴンガ
スと酸素の導入量の比を9:1乃至7.2:1まで変化
させた場合にも得られることを確認した。
【0044】(効果)本実施の形態1によれば、酸素と
アルゴンガスとの混合ガスを、薄膜の形成面近傍に噴出
したことと、前記薄膜の形成面が前記基板ホルダー6の
窪みの中に位置することで、供給された酸素が、ガラス
基板8の成膜面近傍に長い時間滞留することになる。こ
の結果、Si原子は十分に酸化され、吸収のない薄膜が
安定して得られる。つまり、成膜条件の揺らぎが発生し
やすい反応性スパッタリングにおいても、前記の酸化が
十分に行われる機構を採用することで、安定した品質の
膜を得ている。さらに、酸素が効率よく前記Si原子と
結合することから、真空槽1内アルゴンガスの分圧が高
くなるため、早い成膜速度が得られる。
【0045】これは、薄膜の形成面近傍のガスが滞留し
うる領域(基板ホルダー6の窪みの内部)以外の領域に
おいてはアルゴンガスの分圧が高く、スパッタリングタ
ーゲット5の表面の酸化が起こりにくい効果と、スパッ
タ率の大きいアルゴンガスが主にスパッタリングに寄与
しているためである。
【0046】このような結果が安定して得られるのは、
広い条件範囲で、成膜速度が早く、透明な薄膜を得るこ
とができるためである。
【0047】なお、この実施の形態1において、スパッ
タリングターゲット5をTa,Ti,Al,Zr,H
f,Y,Wとしても、同様の効果が得られる。
【0048】[比較例1]基板ホルダー6に窪みのない
ものを使用する以外は、実施の形態1における構成、作
用により、成膜を行ったところ、ガラス基板8上の薄膜
には可視光線の吸収が発生した。具体的には450nm
で3.2%,550nmで2.5%の吸収があった。成
膜速度は実施の形態1よりもわずかに遅い程度であり、
十分に速かった。
【0049】[比較例2]比較例1において生じた吸収
の発生を押さえるために、酸素の導入量を増やし、アル
ゴンガス:酸素=7.5:1としたところ、透明な膜が
速い成膜速度で得られた。但し、このように膜の形成面
近傍にガスが滞留しうる空間を設けない場合には、この
ように透明な膜を速い成膜速度で得ることのできる条件
範囲は非常に狭い。例えば、もう少し酸素の導入量を増
加させると、成膜速度は急激に遅くなってしまう。
【0050】[実施の形態2]次に、本発明の実施の形
態2を、図3、図4を参照して説明する。なお、図3、
図4において、図1、図2に示す実施の形態1と同一の
機能を有する要素には同一の符号を付して示す。
【0051】(構成)本実施の形態2の構成は、酸素と
アルゴンガスが別々に導入され、特にアルゴンガスがス
パッタリングターゲット5近傍に効率よく導入され得る
ように配管された点を除けば、実施の形態1と同様とな
っている。具体的には、以下の点を除いて、実施の形態
1と同様の構成となっている。
【0052】アルゴンガスは、その導入量を制御するマ
スフローコントローラ15からバルブ18を介して、酸
素ガスと混合されずにガス導入口20から真空槽1に導
入され、真空槽1の内部の配管21によりスパッタリン
グターゲット5の近傍の領域に噴出されるようになって
いる。
【0053】また、酸素ガスは、その導入量を制御する
マスフローコントローラ17からバルブ19を介して、
これもアルゴンガスと混合させずにガス導入口3から真
空槽1に導入され、真空槽1の内部の配管9によりガラ
ス基板6の近傍の領域10に噴出されるようになってい
る。
【0054】(作用)次に、本実施の形態2の作用を説
明する。表面を清浄な状態にしたガラス基板8を、基板
ホルダー6の窪みの部分に配置して真空槽1を密閉した
後、真空ポンプ12を動作させ、排気バルブ13を開け
ることで、真空槽1内に真空雰囲気を作り出す。真空槽
1の内部の圧力が、1.0×10-4Paとなったら、ガ
スバルブ18,19を開けると共にマスフローコントロ
ーラ15,17により、アルゴンガスと酸素の比率が
1:2:1(ccm)となるように制御して導入し、最
終的に真空槽1内の圧力を0.4Paで安定させる。
【0055】ここで、アルゴンガス、酸素をそれぞれ専
用の配管により真空槽1内に導入することで、スパッタ
リングターゲット5の近傍ではアルゴンガスが、ガラス
基板8の近傍では酸素の分圧がそれぞれ高くなることに
留意する。
【0056】次に、前記シャッター7を閉じた位置に置
いたまま、スパッタリングターゲット5に高周波電源4
によって2.5kVの高周波電圧を印加する。この高周
波電圧は徐々に30秒程度かけて上昇させるが、この電
圧上昇中にシャッター7とスパッタリングターゲット5
との間にプラズマが発生する。電圧上昇後、スパッタリ
ングターゲット5の表面の汚れ等を落とし、プラズマを
安定させるために1分間プレスパッタを行った後、シャ
ッター7を移動させ開いた位置に移す。
【0057】プラズマ中のアルゴンイオン及び酸素イオ
ンは、スパッタリングターゲット5をスパッタし、スパ
ッタリングターゲット5の材質であるSiを空間に飛び
出させるが、このSi原子(または原子団)のうち、ガ
ラス基板8の方向に飛び出したものは、そのまま又は雰
囲気中の酸素と結合した後にガラス基板8の表面に到達
し付着する。ここでアルゴンガスと酸素との混合ガス
は、ガラス基板8の近傍の領域10に導入され、さらに
基板ホルダー6が窪みを持つため、ガラス基板8の近傍
でのガスの存在確率が高い。
【0058】即ち、ガラス基板8の近傍の領域10にお
ける酸素の供給量が多いため、ガラス基板8に付着した
Si原子は、確実に酸化され、SiO2 となる。このよ
うな成膜課程の連続により、ガラス基板8の表面にはS
iO2 薄膜が形成される。
【0059】(効果)酸素を薄膜の形成面近傍に噴出し
たことと、前記薄膜の形成面が前記基板ホルダー6の窪
みの中に位置することで、供給された酸素が、ガラス基
板8の成膜面近傍に長い時間滞留する。結果として、S
i原子は十分に酸化され、吸収のない膜が安定して得ら
れる。
【0060】つまり、条件の揺らぎが発生しやすい反応
性スパッタリングにおいても、前記の酸化が十分に行わ
れる機構を採用することで、安定した品質の膜を得るこ
とができる。さらに、アルゴンガスがスパッタリングタ
ーゲット5の近傍の領域に効率良く安定して供給される
ことから、速い成膜速度をより安定して得ることができ
る。
【0061】これは、スパッタリングターゲット5の近
傍には、アルゴンガスが安定して効率よく供給されるこ
とになり、スパッタリングターゲット5の表面が酸化さ
れずSiO2 よりもスパッタ率の大きいSiの状態でス
パッタリングを行うことができる効果と、酸素ガスと比
較してスパッタ率が著しく大きいアルゴンガスでスパッ
タリングを行う効果が安定して現れる為である。
【0062】なお、本実施の形態2において、スパッタ
リングターゲット5を、Ta,Ti,Al,Zr,H
f,Y,Wとしても、上述した場合と同様の効果を得る
ことができる。
【0063】[実施の形態3]次に、本発明の実施の形
態3を図5を参照して説明する。なお、図5において、
図1に示す実施の形態1と同一の機能を有する要素には
同一の符号を付して示す。
【0064】(構成)本発明の実施の形態3において
は、実施の形態1における基板ホルダー6を図5に示す
基板ホルダー6Aに置き換える。ここで前記基板ホルダ
ー6Aは、箱型状で、その下面側に丁度ガラス基板8の
外形寸法に対応する大きさの穴を開けて形成している。
【0065】前記基板ホルダー6Aの形状を除けば、実
施の形態1と同様な構成となっている。
【0066】(作用)実施の形態1と同様の成膜過程に
より、プラズマをスパッタリングターゲット5上に発生
させる。電圧上昇後、スパッタリングターゲット5の表
面の汚れ等を落とし、プラズマを安定させるために1分
間プレスパッタを行った後、シャッター7を開ける。プ
ラズマ中のアルゴンイオン及び酸素イオンはスパッタリ
ングターゲット5をスパッタし、スパッタリングターゲ
ット5の材質であるSiを空間に飛び出させるが、この
Si原子(または原子団)のうち、ガラス基板8の方向
に飛び出したものは、そのまま又は雰囲気中の酸素と結
合した後にガラス基板8の表面に到達し付着する。
【0067】ここで、アルゴンガスと酸素との混合ガス
は、ガラス基板8近傍の領域10に導入され、さらに基
板ホルダー6Aの形状のために、導入された混合ガスは
ガラス基板8の近傍で暫く滞留する。このため、ガラス
基板8の近傍の領域10における酸素の供給量が多くな
り、ガラス基板8に付着したSi原子は、確実に酸化さ
れ、SiO2 となる。このような成膜課程の連続によ
り、ガラス基板8の表面にはSiO2 薄膜が形成され
る。
【0068】(効果)本実施の形態3によれば、酸素と
アルゴンガスとの混合ガスを、薄膜の形成面近傍に噴出
したことと、前記薄膜の形成面が前記基板ホルダー6A
の内部に形成された空間中に位置することで、供給され
た酸素が、ガラス基板6Aの成膜面近傍に長い時間滞留
する。結果として、Si原子は十分に酸化され、吸収の
ない薄膜が安定して得られる。
【0069】つまり、反応性スパッタリング特有の条件
の揺らぎが発生しても、前記の酸化が十分に行われる機
構を採用することで、安定した品質の薄膜を得ている。
さらに、酸素が効率よく前記Si原子と結合することか
ら、真空槽1内のアルゴンガスの分圧が高くなるため、
成膜速度についても向上が見られるようになる。なぜな
らば、アルゴンガスの方が、酸素ガスと比較してスパッ
タ率が著しく大きいからである。
【0070】なお、この実施の形態3において、スパッ
タリングターゲット5をTa,Ti,Al,Zr,H
f,Y,Wとしても、同様の効果が得られる。また、本
実施の形態3においても、実施の形態2と同様な構成
で、酸素とアルゴンガスの導入を分離し、アルゴンガス
の導入位置を、スパッタリングターゲット5の近傍とす
ることで、スパッタリングターゲット5の表面の酸化を
防ぐことができる。
【0071】[実施の形態4]本発明の実施の形態4を
図6を参照して説明する。なお、図6において、図1に
示す実施の形態1と同一の機能を有する要素には同一の
符号を付して示す。
【0072】(構成)本実施の形態4においては、実施
の形態1における基板ホルダー6を、図5に示すの基板
ホルダー6Bのように置き換え、基板ホルダー6Bの周
囲にこの基板ホルダー6Bを包囲する筒状体12を設置
する。ここで、前記基板ホルダー6Bは、前記筒状体1
2の内部に位置し、特にガラス基板8の保持側の面は筒
状体12により形成される内部空間に臨み、ここにガス
を滞留させ得る構成となっている。前記基板ホルダー6
B及び筒状体12とにより、基板保持手段とガス滞留手
段との機能を兼備させる簡略な機構としている。
【0073】前記基板ホルダー6Bの形状及び筒状体1
2が有ることを除けば、実施の形態1と同様な構成とな
っている。
【0074】(作用)実施の形態1と同様な成膜課程に
より、プラズマをスパッタリングターゲット5上に発生
させる。電圧上昇後、スパッタリングターゲット5の表
面の汚れ等を落とし、プラズマを安定させるために1分
間プレスパッタを行った後、シャッター7を開ける。プ
ラズマ中のアルゴンイオン及び酸素イオンはスパッタリ
ングターゲット5をスパッタし、その材質であるSiを
空間に飛び出させるが、このSi原子(または原子団)
のうち、ガラス基板8の方向に飛び出したものは、その
まま、又は、雰囲気中の酸素と結合した後にガラス基板
8の表面に到達し付着する。
【0075】ここで、アルゴンガスと酸素との混合ガス
は、ガラス基板8の近傍の領域10に導入され、さらに
基板ホルダー6Bの形状のために、導入された混合ガス
はガラス基板8の近傍で暫く滞留する。このため、ガラ
ス基板8の近傍の領域10における酸素の供給量が多く
なり、ガラス基板8に付着したSi原子は、確実に酸化
され、SiO2 となる。このような成膜課程の連続によ
り、ガラス基板8の表面にはSiO2 の薄膜が形成され
る。
【0076】(効果)酸素とアルゴンガスとの混合ガス
を、膜の形成面近傍に噴出したことと、前記膜の形成面
が前記筒状体12の内部空間中に位置することで、供給
された酸素が、ガラス基板8の成膜面近傍に長い時間滞
留する。結果として、Si原子は十分に酸化され、吸収
のない薄膜が安定して得られる。
【0077】つまり、反応性スパッタリング特有の条件
の揺らぎが発生しても、前記の酸化が十分に行われる機
構を採用することで、安定した品質の薄膜を得ている。
【0078】さらに、酸素が効率良く前記Si原子と結
合することから、真空槽1内のアルゴンガスの分圧が高
くなるため、成膜速度についても向上が見られるように
なる。なぜなら、アルゴンガスの方が、酸素ガスと比較
してスパッタ率が著しく大きいからである。
【0079】なお、本実施の形態4において、スパッタ
リングターゲット5を、Ta,Ti,Al,Zr,H
f,Y,Wとしても、同様の効果が得られる。
【0080】また、本実施の形態4においても、実施の
形態2と同様な構成で、酸素とアルゴンガスの導入を分
離し、アルゴンガスの導入位置を、スパッタリングター
ゲット5の近傍とすることで、スパッタリングターゲッ
ト5の表面の酸化を防ぐことができる。さらに、前記筒
状体12は、ガスを滞留させることを目的に設置された
ものであり、この形状は、ガスを効果的に滞留させるこ
とのできる形状であれば、筒状に限定されるものではな
い。
【0081】さらに、上述した実施の形態1乃至4にお
けるガラス基板8として、外形をモールドで成形し、内
面に反射膜を成膜して製作したダハミラーを用いること
もできる。ガラス基板8としてダハミラーを用いると、
ダハミラー自体が窪みを持っているので、基板ホルダー
6に形状的な工夫をしなくてもこのダハミラーの窪みの
近傍に混合ガスを滞留させ、ダハミラーの窪み側の面を
薄膜形成面として既述した場合と同様な成膜課程を実行
することができる。
【0082】上述した本発明によれば、以下の構成を付
記することができる。
【0083】(1)真空槽内に配置した金属をスパッタ
リングターゲットとして、不活性ガス及び酸素を含むガ
スの少なくとも2種類以上のガスを導入しながら、反応
性スパッタリング法により、基板上に光学薄膜を製造す
る光学薄膜の製造方法において、基板上の膜の形成面の
近傍に、酸素を含むガスが滞留し得る又は前記ガスの滞
留を補助し得る空間を形成する構造の基板ホルダーを使
用し、前記酸素を含むガスを、前記基板の膜の形成面近
傍の空間に向けて噴出ししつ真空槽内に導入して前記基
板上に光学薄膜を製造することを特徴とする光学薄膜の
製造方法。
【0084】この構成によれば、酸素を含むガスを基板
における膜の形成面近傍に噴出し、更に基板上の膜の形
成面の近傍に前記のガスが滞留しうる構造を持つこと
で、基板近傍に供給された酸素が基板の成膜面近傍に長
い時間滞留し、結果として、スパッタリングターゲット
から叩き出された金属原子は、十分に酸化され、基板へ
の吸収が発生しにくくなる。
【0085】また、適当な条件設定を行うことで、真空
槽内に導入された酸素は、前記膜の形成面近傍に滞留し
ている時間内に、ほとんどが前記金属原子と結合する。
このため、基板近傍以外の真空槽内の空間においては酸
素以外のガスの分圧が高くなり、スパッタリングターゲ
ット表面の酸化が抑えられることと、不活性ガスを主と
する酸素以外のガスが放電に寄与するため、早い成膜速
度が得られる。更に、酸素を含むガスを積極的に活性化
するための装置は不要で、実施上の自由度が高い。
【0086】ここで、導入するガスの種類としては、経
済性を考慮すると、不活性ガスとしてアルゴンガス,酸
素を含むガスとしてO2 を用いるのが特に好ましいが、
本発明はこれに限られるものではなく、例えば不活性ガ
スとしてHe,Ne,Kr,Xeやこれらの混合ガスを
用いても良い。また、酸素を含むガスとしてCO2 やC
O、NOx 等のガスを用いても良い。
【0087】(2)前記不活性ガスを、前記酸素を含む
ガスと分離してスパッタリングターゲット近傍から導入
することを特徴とする付記1記載の光学薄膜の製造方
法。この構成によれば、付記1の方法における不活性ガ
スの導入手段として、特にスパッタリングターゲットの
近傍から不活性ガスを導入することで、スパッタリング
ターゲット近傍において不活性ガスの分圧が高くなり、
また、不活性ガスの供給が安定することになって、この
結果、早い成膜速度を更に安定して得ることができる。
【0088】つまり、スパッタリングターゲット近傍で
のみ不活性ガスの分圧が高いことで、酸素を含むガス等
の他のガスと比較してスパッタ率が著しく大きい不活性
ガスによりスパッタリングが行われる確率が高くなる効
果と、スパッタリングターゲット表面が酸化されにくく
なる効果とにより、早い成膜速度を非常に安定して得ら
れるようになる。
【0089】(3)付記(1)又は(2)において、ス
パッタリングターゲットは、Si,Ta,Ti,Al,
Zr,Hf,Y,W又はそれらの混合物であることを特
徴とする光学薄膜の製造方法。この構成によれば、付記
(1)、(2)の光学薄膜の製造方法においては、金属
ターゲットの材質を特に限定する必要はなくさまざまな
ものに適用可能であるが、実用性や経済性、膜の耐久性
等を勘案すると、Si,Ta,Ti,Al,Zr,H
f,Y,W又はそれらの混合物をスパッタリングターゲ
ットに用いることが望ましい。その中でも、スパッタリ
ングターゲットがSi,Ta、又は、Tiであり、形成
される薄膜が、SiO2 膜、Ta2 5 膜、TiO2
であると、光学薄膜として有効性が高く、特に好まし
い。
【0090】(4)成膜を行うための真空雰囲気を作り
出すための真空槽と、真空槽内を排気する手段と、不活
性ガス及び酸素を含むガスの少なくとも2種類以上のガ
スを導入量を制御しながら基板上の膜の形成面近傍の空
間に導入するガス導入手段と、真空槽内に設置されたマ
グネトロン型カソードと、前記マグネトロン型カソード
に取り付けられた金属ターゲットと、前記金属ターゲッ
トに直流又は高周波電圧をかけるための手段と、前記基
板上の膜の形成面の近傍に酸素を含むガスが滞留し得る
空間又は前記ガスの滞留を補助し得る空間を形成する構
造物又は基板ホルダーとを具備することを特徴とする光
学薄膜の製造装置。
【0091】この構成によれば、酸素を含むガスを膜の
形成面近傍に噴出し、更に基板上の膜の形成面の近傍
に、前記のガスが滞留し得る構造をもつことで、基板近
傍に供給された酸素が、基板の成膜面近傍に長い時間滞
留し、結果として、金属ターゲットから叩き出された金
属原子は、十分に酸化され、基板に吸収が発生しにくく
なる。
【0092】また、適当な条件設定を行うことで、真空
槽内に導入された酸素は、前記膜の形成面近傍に滞留し
ている時間内に、ほとんどが前記金属原子と結合する。
このため、基板近傍以外の真空槽内の空間においては酸
素以外のガスの分圧が高くなり、金属ターゲット表面の
酸化が抑えられることと、不活性ガスを主とする酸素以
外のガスが放電に寄与するため、早い成膜速度も得られ
る。
【0093】更に、酸素を含むガスを積極的に活性化す
るための装置が不要で、実施上の自由度が高い。ここ
で、導入するガスの種類としては、経済性を考慮する
と、不活性ガスとしてAr,酸素を含むガスとしてO2
を用いるのが特に好ましいが、これに限られるものでは
なく、例えば不活性ガスとしてHe,Ne,Kr,Xe
やこれらの混合ガスを用いても良い。
【0094】また、酸素を含むガスとしてCO2 やC
O、NOx 等のガスを用いても良い。さらに、付記
(4)の光学薄膜の製造装置によれば、付記(1)の光
学薄膜の製造方法を実現できるとともに、比較的安価に
構成できる製造装置とすることが可能である。
【0095】(5)成膜を行うための真空雰囲気を作り
出すための真空槽と、前記真空槽内を排気する手段と、
真空槽内に設置されたマグネトロン型カソードと、前記
真空槽内に設置される金属ターゲットと、前記金属ター
ゲットに直流又は高周波電圧を印加するための手段と、
不活性ガスを前記金属ターゲット近傍の空間に導入量を
制御しながら導入するガス導入手段と、酸素を含むガス
を基板上の膜の形成面近傍の空間に導入量を制御しなが
ら導入するガス導入手段と、前記基板上の膜の形成面の
近傍にあるガスが滞留し得る又は前記ガスの滞留を補助
し得る空間を形成する構造物又は基板ホルダーとを具備
することを特徴とする光学薄膜の製造方法。
【0096】この構成によれば、付記(1)の不活性ガ
スの導入方法として、特に金属ターゲットの近傍から不
活性ガスを導入することで、ターゲット近傍において不
活性ガスの分圧が高くなり、また、不活性ガスの供給が
安定することで、早い成膜速度を更に安定して得ること
ができる。つまり、金属ターゲット近傍でのみ不活性ガ
スの分圧が高いことで、酸素を含むガス等の他のガスと
比較してスパッタ率が著しく大きい不活性ガスによりス
パッタが行われる確率が高くなる効果と、金属ターゲッ
ト表面が酸化されにくくなる効果により、早い成膜速度
を非常に安定して得られるようになる。また、付記
(5)の光学薄膜の製造装置によれば、付記(1)の光
学薄膜の製造方法を実現できるとともに、付記(4)の
光学薄膜の製造装置と同様に比較的安価に構成できる製
造装置とすることが可能である。
【0097】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1及び2記
載の発明によれば、金属ターゲットを用いた反応性スパ
ッタリング法を用いた光学薄膜の製造において、安定し
た品質の光学薄膜を、安定した速い成膜速度で生産性良
く低コストで製造することができる光学薄膜の製造方法
及び製造装置を提供できる。
【0098】また、請求項3記載の発明によれば、前記
発明の効果に加えて、基板保持機構の簡略化を図った光
学薄膜の製造装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学薄膜の製造装置の実施の形態1を
示す概略構成図である。
【図2】本発明の光学薄膜の製造装置の実施の形態1の
配管系統を示す概略構成図である。
【図3】本発明の光学薄膜の製造装置の実施の形態2を
示す概略構成図である。
【図4】本発明の光学薄膜の製造装置の実施の形態2の
配管系統を示す概略構成図である。
【図5】本発明の光学薄膜の製造装置の実施の形態3を
示す概略構成図である。
【図6】本発明の光学薄膜の製造装置の実施の形態4を
示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 真空槽 2 排気口 3 ガス導入口 4 高周波電源 5 スパッタリングターゲット 6 基板ホルダー 7 シャッター 8 ガラス基板 12 真空ポンプ 13 排気バルブ 14 ガスボンベ 15 マスフローコントローラ 16 ガスボンベ 17 マスフローコントローラ 18 ガスバルブ 19 ガスバルブ
フロントページの続き (72)発明者 三田村 宣明 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 池田 浩 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 生水 利明 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空槽内における反応性ガスの存在下で
    金属ターゲットをスパッタリングして、この金属ターゲ
    ットに対峙させた基板上に薄膜を形成する光学薄膜の製
    造方法において、 前記基板の薄膜形成面の近傍に設けた反応性ガスの流れ
    を規制するガス滞留部により、前記薄膜形成面に向けて
    導入する反応性ガスの滞留を促進しつつ前記基板に薄膜
    を形成すること、 を特徴とする光学薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 真空槽と、この真空槽内を排気する排気
    手段と、前記真空槽内に設けた薄膜を形成する基板を保
    持する基板保持手段と、前記基板近傍での反応性ガスの
    滞留を促進するガス滞留手段と、このガス滞留手段を経
    て前記基板の薄膜形成面に向って反応性ガスを導入する
    ガス導入手段と、前記真空槽内であって、前記基板保持
    手段と対峙する位置に設けられた金属ターゲットを保持
    するマグネトロン型カソードと、このマグネトロン型カ
    ソードに電圧を印加する電源と、 を有することを特徴とする光学薄膜の製造装置。
  3. 【請求項3】 前記ガス滞留手段は、前記薄膜を形成す
    る基板を保持する基板保持手段の機能を兼備することを
    特徴とする請求項2記載の光学薄膜の製造装置。
JP9093528A 1997-04-11 1997-04-11 光学薄膜の製造方法及び光学薄膜の製造装置 Withdrawn JPH10280140A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016513180A (ja) * 2013-02-25 2016-05-12 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials,Incorporated ガス供給を持つ堆積装置および材料を堆積させるための方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016513180A (ja) * 2013-02-25 2016-05-12 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials,Incorporated ガス供給を持つ堆積装置および材料を堆積させるための方法

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