JPH10270774A - ブリッジ型磁界センサ及びその製造方法 - Google Patents

ブリッジ型磁界センサ及びその製造方法

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JPH10270774A
JPH10270774A JP9075172A JP7517297A JPH10270774A JP H10270774 A JPH10270774 A JP H10270774A JP 9075172 A JP9075172 A JP 9075172A JP 7517297 A JP7517297 A JP 7517297A JP H10270774 A JPH10270774 A JP H10270774A
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magnetic field
bridge
field sensor
magnetic
thin film
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JP9075172A
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Kenichi Arai
賢一 荒井
Minoru Komatsu
實 小松
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Tokin Corp
Original Assignee
Tokin Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 励磁調整が容易で品質特性や検出磁界感度に
優れ、外部環境に影響されずに安定して動作する簡素な
構成のブリッジ型磁界センサを提供すること。 【解決手段】 このブリッジ型磁界センサ11は、誘電
体板上の一方の主面に4つの軟磁性薄膜4a,4b,4
c,4dを四辺としてブリッジ回路を成すように各辺に
配設して4つ磁気検出部を持たせて成る磁気検出素子に
対し、同時に誘電体板2上の一方の主面のブリッジ回路
における4隅の接続点位置に軟磁性薄膜4a,4b,4
c,4dに電流を流すための入力端子及び出力端子とし
ての4つの電極9a,9b,9c,9dを設けて構成さ
れる。又、誘電体板上の他方の主面はブリッジ回路の外
乱の影響を回避するために接地導体層で覆われている。
ここで軟磁性薄膜4a,4b,4c,4dは、予め決め
られた一方向に交差する他方向からの外部磁界を受けた
ときに生じるインピーダンスの変化を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として外部磁界
に応じてインピーダンス変化を呈する磁気検出素子を用
いたブリッジ型磁界センサ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器では小型化や高性能化が
急速に進んでおり、特にコンピュータ関連機器ではハー
ドディスクの小型化並びに大容量化に伴って旧来の磁束
密度の変化を利用したヘッドに代わり、磁気抵抗効果を
利用したMR(磁気抵抗)ヘッドやMRセンサ等が読み
取りに使用されつつある。但し、このような磁気抵抗効
果を利用する場合、基本特性として外部磁界の変化に対
して電気特性の変化(ΔR/Rs として表わされる)が
一層大きいヘッド用素子であることが望まれている。
【0003】一方、例えば地磁気の測定や脳内磁界の測
定等の微少な磁界の測定検出を行う場合にも、上述した
MRセンサや、或いは最近開発されて注目されているG
MR(巨大磁気抵抗)センサが使用されるが、こうした
MRセンサやGMRセンサの場合、検出磁界感度,温度
安定性,ヒステレシス特性等の諸特性が実用的に十分で
ないという難点がある。
【0004】そこで、こうした問題を解決するために、
例えば特開平6−176930号公報,特開平7−24
8365号公報,電気学会論文誌E116巻1号p7
(1996)等に開示されているように、新たに開発さ
れた磁気検出素子(磁気インピーダンス素子とも呼ばれ
る)の利用が提案されている。この磁気検出素子は、軟
磁性線に高周波電流を通電することにより、外部磁界の
変動に応じた軟磁性線の抵抗及びインダクタンス変化を
呈する性質,即ち、外部磁界の変化をインピーダンス変
化として捕らえる性質を有している。
【0005】この磁気検出素子において、磁界の変化分
に対するインピーダンスZ(その変化)は、素子のオー
ム抵抗をR,インダクタンスの比例定数をLとし、軟磁
性線へ通電させる交流電流の角周波数をωとした場合、
Z=R+jωLなる関係で表わされ、この関係に従って
インピーダンスZの変化を検出している。
【0006】ところが、このような磁気検出素子は、外
部磁界の変化に伴うインピーダンスの変化が大きく、磁
界センサや磁気ヘッドとして優れた特徴を持っている
が、外部磁界の変化に伴うインピーダンスの変化率(即
ち、検出磁界感度)は10%/Oe程度に止まり、しか
もその製造工程においても微細加工を行うための量産性
に欠けるという難点がある。
【0007】このような問題を改善するため、日本応用
磁気学会誌第19巻、469(1995)等には軟磁性
線をトランジスタと組み合わせて発振回路を構成し、L
C共振を利用することによって検出磁界感度の向上を可
能にした磁気検出素子が提案されている。
【0008】他方、内山他著による電気学会論文誌11
5−A、949(1995)には、アモルファス金属磁
性単層膜を磁気検出素子として用いることが検討されて
おり、このような磁気検出素子では金属磁性単層膜に直
接高周波電流の通電を行うことによって、外部磁界に応
じてインピーダンスが変化する小型の磁界センサを具現
できる。因みに、小型の磁界センサとしては、コルピッ
ツ型発振回路を併用したものも提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したLC共振を利
用する磁気検出素子の場合、能動部品以外に幾つかの抵
抗器,コンデンサ,ダイオード等の付加的受動部品を必
要とするため、部品点数が多くなって磁気検出素子自体
のコストアップ化が避けられないという問題がある上、
磁気検出素子周辺に存在する他の回路素子や回路配線等
との間に種々の浮遊容量が発生して動作が不安定になり
易いという欠点がある。
【0010】又、アモルファス金属磁性単層膜を利用し
た磁気検出素子の場合、アモルファス金属磁性単層膜自
体がCu,Al,Ag等の導体線路として一般に用いら
れる金属に比べて電気抵抗が大きいため、通電電流によ
る励磁が効率良く行われず、しかも磁界変化に伴うイン
ピーダンス変化率が小さくなるため、検出磁界感度が8
%/Oeに止まって実用化への具現が困難な状況にあ
る。即ち、こうしたアモルファス金属磁性単層膜を利用
した磁気検出素子の場合、その等価回路におけるインピ
ーダンスZはZ=R+jωLなる関係で表わされるが、
磁気検出素子に使用する磁性膜が数MHz以上の周波数
において表皮効果の影響,渦電流損失の影響等のために
外部磁界の変化に対するインダクタンス分の変化が小さ
くなってしまい、しかも電気抵抗値が大きいことも起因
し、結果として通電電流による励磁が効率良く行われず
に検出磁界感度が向上しないものとなっている。
【0011】更に、コルピッツ型発振回路を併用した小
型磁界センサでは、部品点数が多くなってコストアップ
化され易いという欠点がある上、この場合の検出磁界感
度も24.8%/Oe程度であって、期待する程度の特
性が得らないという問題がある。
【0012】加えて、従来の何れの磁気検出素子の場合
も、基本構成並びに製造工程において特性の揃った品質
特性の優れたものを得ることが困難となっており、最適
励磁条件を決める励磁回路調整にも時間や手間を要する
ものとなっている。
【0013】本発明は、このような問題点を解決すべく
なされたもので、その技術的課題は、励磁調整が容易で
品質特性や検出磁界感度に優れ、外部環境に影響されず
に安定して動作する簡素な構成のブリッジ型磁界センサ
及びその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、予め決
められた一方向に交差する他方向からの外部磁界を受け
たときに生じるインピーダンスの変化を検出するための
軟磁性薄膜を誘電体板の一方の主面に設けて成る磁気検
出素子を用いた磁界センサであって、軟磁性薄膜は誘電
体板上にブリッジ回路を成すように配設されたブリッジ
型磁界センサが得られる。
【0015】このブリッジ型磁界センサにおいて、軟磁
性薄膜はブリッジ回路として4辺にそれぞれ配設された
もののうち、相対向する辺の2対2組のものがそれぞれ
互いに直交するX方向とY方向とによる2軸方向に形成
されること、軟磁性薄膜は相対向する辺の1対2つのも
のがそれぞれ互いに180度異なる方向の磁気検出方向
を持つこと、軟磁性薄膜はX方向に磁気検出方向を持つ
ものの1対2つが磁気異方性を有することはそれぞれ好
ましい。又、これらのブリッジ型磁界センサにおいて、
誘電体板上のブリッジ回路における4隅の接続点位置に
軟磁性薄膜に電流を流すための入力端子及び出力端子と
しての電極が設けられること、誘電体板上の他方の主面
を覆って積層された接地導体層を有すること、軟磁性薄
膜はミアンダ状に形成されることはそれぞれ好ましい。
【0016】一方、本発明によれば、誘電体板の一方の
主面全体に軟磁性薄膜を成膜して磁気検出素子を形成す
る磁気検出素子形成工程と、磁気検出素子を磁界中熱処
理して磁気異方性を付与する磁気処理工程と、磁気異方
性を付与した磁気検出素子に対してフォトリソグラフ及
びイオンミリングにより軟磁性薄膜をパターニングする
パターニング工程とを含み、パターニング工程では軟磁
性薄膜をブリッジ回路を成すようにパターニングするブ
リッジ型磁界センサの製造方法が得られる。
【0017】このブリッジ型磁界センサの製造方法にお
いて、パターニング工程では軟磁性薄膜をブリッジ回路
としてパターニングする際、該ブリッジ回路の4辺にお
ける相対向する辺の2対2組のものをそれぞれミアンダ
状にパターニングすることは好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げ、本発明のブ
リッジ型磁界センサについて、図面を参照して詳細に説
明する。
【0019】図1は、本発明の一実施例に係るブリッジ
型磁界センサに用いられる磁気検出素子1の局部的構造
の一例を示したものであり、同図(a)はその外観斜視
図に関するもの,同図(b)は同図(a)のA−A線方
向における側面断面図に関するものである。
【0020】この磁気検出素子1は、誘電体板2の一方
の主面の局部に予め決められた一方向に交差する他方向
からの外部磁界を受けたときに生じるインピーダンスの
変化を検出するための軟磁性薄膜4が形成され、誘電体
板2の他方の主面を覆って接地導体層3が積層されて成
っている。
【0021】即ち、磁気検出素子1は、直線状に設けら
れた軟磁性薄膜4を利用して外部磁界の変化をインピー
ダンスの変化として検出するようになっている。具体的
に云えば、軟磁性薄膜4にはその幅方向[図1(a)中
のA−A線方向]に磁界中にてアニールを施して一軸方
向に磁気異方性を付与している。これにより、軟磁性薄
膜4に高周波の通電電流を供給すれば、軟磁性薄膜4内
に表皮効果による渦電流を発生して外部から加えられる
磁界の変化によってそのインピーダンスが変化する。こ
の現象はMI(磁気−インピーダンス)効果と呼ばれ、
磁気検出素子1はこのMI効果を利用して外部からの磁
界の変化を検出する。
【0022】図2は、本発明の他の実施例に係るブリッ
ジ型磁界センサに用いられる磁気検出素子5の局部的構
造の他例を示したものであり、同図(a)はその外観斜
視図に関するもの,同図(b)は同図(a)のA´−A
´線方向における側面断面図に関するものである。
【0023】この磁気検出素子5は、誘電体板6の一方
の主面に予め決められた一方向に交差する他方向からの
外部磁界を受けたときに生じるインピーダンスの変化を
検出するための軟磁性薄膜8がミランダ状(じぐざく
状)に形成され、誘電体板6の他方の主面を覆って接地
導体層7が積層されて成っている。
【0024】ここでの軟磁性薄膜8は、ミランダ状とし
て長く設けられているので、この場合の磁気検出素子5
はインピーダンスが増すため、検出磁界感度が向上す
る。
【0025】ところで、本発明の一実施例や他の実施例
に係るブリッジ型磁界センサを構成する場合、軟磁性薄
膜4を誘電体板2上にブリッジ回路を成すように配設し
て4つ磁気検出部を持たせたり、軟磁性薄膜8を誘電体
板6上にブリッジ回路を成すように配設して4つ磁気検
出部を持たせる。これらのブリッジ型磁界センサを構成
する場合、軟磁性薄膜4,8をブリッジ回路として4辺
にそれぞれ配設したものうち、相対向する辺の2対2組
のものをそれぞれ互いに直交するX方向とY方向とによ
る2軸方向に形成したり、軟磁性薄膜4,8の相対向す
る辺の1対2つのものをそれぞれ互いに180度異なる
方向の磁気検出方向を持つようにしたり、或いは更に軟
磁性薄膜4,8のX方向に磁気検出方向を持つものの1
対2つを磁気異方性を有するものとすれば良い。又、こ
れらのブリッジ型磁界センサにおいて、誘電体板2,6
上のブリッジ回路における4隅の接続点位置に軟磁性薄
膜4,8に電流を流すための入力端子及び出力端子とし
ての電極を設ければ良い。こうした場合のブリッジ型磁
界センサにおいても、誘電体板2,6上の他方の主面全
体には接地導体層3,7を積層して覆った構成とすれば
良い。
【0026】一方、こうしたブリッジ型磁界センサを製
造するためには、誘電体板2,6の一方の主面全体に軟
磁性薄膜を成膜して磁気検出素子1,5を形成する磁気
検出素子形成工程と、磁気検出素子1,5を磁界中熱処
理して磁気異方性を付与する磁気処理工程と、磁気異方
性を付与した磁気検出素子1,5に対してフォトリソグ
ラフ及びイオンミリングにより軟磁性薄膜4,8をパタ
ーニングするパターニング工程とを実行するものとし、
パターニング工程に際しては軟磁性薄膜4をブリッジ回
路を成すようにパターニングしたり、或いは軟磁性薄膜
8をパターニングする場合にはブリッジ回路の4辺にお
ける相対向する辺の2対2組のものをそれぞれミアンダ
状にパターニングすれば良い。
【0027】図3は、図1に示す磁気検出素子1を適用
した一実施例に係るブリッジ型磁界センサ11の概観構
成を平面図により示したものである。
【0028】このブリッジ型磁界センサ11は、誘電体
板2上に4つの軟磁性薄膜4a,4b,4c,4dを四
辺としてブリッジ回路を成すように各辺に配設して成る
磁気検出素子に対し、同時に誘電体板2上のブリッジ回
路における4隅の接続点位置に軟磁性薄膜4a,4b,
4c,4dに電流を流すための入力端子及び出力端子と
しての4つの電極9a,9b,9c,9dを設けて構成
される。このうち、軟磁性薄膜4a,4b,4c,4d
のそれぞれ一つの寸法は、幅100μm,長さ5mm,
膜厚3μmとなっている。又、電極9a,9b,9c,
9dのそれぞれ一つの寸法は、縦1mm,横1mm,膜
厚3μmとなっている。
【0029】このブリッジ型磁界センサ11を製造する
場合、初期的には磁気検出素子形成工程として、rfス
パッタ法によりガラス基板等の誘電体板2上に成膜した
CoZrNb膜等の軟磁性薄膜をフォトリソグラフ及び
イオンミリングを用いて微細加工を行って磁気検出素子
を作成する。
【0030】次に、磁気処理工程として、熱処理温度4
00℃の条件下で回転磁界中熱処理及び静磁界中熱処理
を施し、図4に示した方向に磁気異方性として磁化容易
軸Ea (Easy axis orientatio
n)を付与する。
【0031】更に、パターニング工程として、磁気異方
性を付与した磁気検出素子に対してフォトリソグラフ及
びイオンミリングにより軟磁性薄膜4a,4b,4c,
4dをパターニングする。最後に電極形成工程として、
ブリッジ回路における4隅の接続点位置に4つの電極9
a,9b,9c,9dを形成する。
【0032】これにより、ブリッジ型磁界センサ11に
おいて、軟磁性薄膜4a及び4cはその幅方向が磁化容
易軸方向Ea に配置され、軟磁性薄膜4b及び4dはそ
の幅方向が磁化困難軸方向に配置される。又、ここで軟
磁性薄膜4a及び4cはそのインピーダンスや外部磁界
の変化に対するインピーダンスの変化が一致し、磁気検
出素子4b及び4dに関しても同様の関係が成り立つよ
うになる。即ち、軟磁性薄膜4a及び4cは外部磁界印
加方向が直流磁界Hdc1の印加方向であるときにインピ
ーダンスが変化し、軟磁性薄膜4b及び4dは外部磁界
印加方向が直流磁界Hdc2の印加方向であるときにイン
ピーダンスが変化する。
【0033】図5は、軟磁性薄膜4a,4b,4c,4
dを用いた場合にそれぞれインピーダンスZ1 ,Z2
3 ,Z4 を有するブリッジ型磁界センサ11のブリッ
ジ回路を示したものである。
【0034】このブリッジ回路においてインピーダンス
1 ,Z4 は等しく、インピーダンスZ2 ,Z3 も等し
い。軟磁性薄膜4a及び4cのインピーダンスをZa
a+jXa ,軟磁性薄膜4b及び4dのインピーダン
スをZb =Rb +jXb として、Z1 4 =Z2 3
る関係式[第1の式とする]を用いてブリッジ回路の平
衡条件を求めると、Ra =Rb [第2の式とする],X
a =Xb [第3の式とする]なる関係が得られる。
【0035】ブリッジ型磁界センサ11のブリッジ回路
では、外部磁界を印加しないとき、数10MHz以下の
周波数領域では表皮効果の影響が顕著でないため、抵抗
a,Rb はほぼ等しくなり、上述した第2の式の関係
となる。
【0036】一方、軟磁性薄膜4a及び4cは磁化容易
軸方向Ea を高周波で励磁し、軟磁性薄膜4b及び4d
は磁化困難軸方向を高周波で励磁しているため、リアク
タンスの値Xa ,Xb の間には差が生じる。従って、上
述した第3の式の関係は満たされず、ブリッジ回路から
は出力電圧V0 が生じる。ところが、周波数が数10M
Hz以下でのリアクタンスの大きさは、抵抗に比べて小
さいことから、接続点b−d間に生じる電位差V0 は僅
かである。
【0037】ブリッジ型磁界センサ11に図4に示す直
流磁界Hdc1の方向に外部磁界を印加した場合、軟磁性
薄膜4aのインピーダンスは異方性磁界付近で大きく変
化するが、軟磁性薄膜4bは反磁界の影響が大きくなっ
てインピーダンスの変化は認められない。このため、外
部から印加する磁界を大きく変化させると、インピーダ
ンスの不平衡の度合が大きくなって出力電圧V0 が大き
く変化する。
【0038】これに対し、ブリッジ型磁界センサ11に
図4に示す直流磁界Hdc2の方向に外部磁界を印加した
場合、軟磁性薄膜4aのインピーダンスは殆ど変化しな
いが、軟磁性薄膜4bのインピーダンスは磁界に対して
単調に減少する。ところが、周波数が数MHz〜数10
MHzにおいてはその変化分は小さく、出力電圧V0
余り変化しない。
【0039】図6は、ブリッジ型磁界センサ11に入力
電圧に関して特定(電圧値Vi =3V,周波数f=5M
Hz)の条件下で一方向(図4に示した直流磁界Hdc
の方向)に外部磁界を印加した場合[発生磁場Hdc(k
A/m)に対して磁場Hdc(Oe)が印加されるものと
している]の出力電圧V0 (mV)の変化(出力電圧の
外部磁界依存性)を示したものである。図6からは周波
数5MHzの場合、直流磁界Hdc1の方向に外部磁界を
印加すると出力電圧V0 は5(Oe)付近で最大値とな
るが、直流磁界Hdc2の方向に外部磁界を印加すると出
力電圧V0 は変化しないことが判る。
【0040】図7は、ブリッジ型磁界センサ11に入力
電圧に関して他の(電圧値Vi =3V,周波数f=20
MHz)の条件下で他方向(図4に示した直流磁界Hdc
2の方向)に外部磁界を印加した場合[ここでも発生磁
場Hdc(kA/m)に対して磁場Hdc(Oe)が印加さ
れるものとしている]の出力電圧V0 (mV)の変化
(出力電圧の外部磁界依存性)を示したものである。図
7からは周波数20MHzの場合、直流磁界Hdc1の方
向に外部磁界を印加すると出力電圧V0 は5(Oe)付
近で最大値となるが、直流磁界Hdc2の方向に外部磁界
を印加すると出力電圧V0 は若干変化が認められるもの
の、直流磁界Hdc1の方向に印加した場合と比べれば非
常に小さくなっていることが判る。
【0041】図8は、ブリッジ型磁界センサ11に特定
(電圧値Vi =3V)の条件下で一方向(図4に示した
直流磁界Hdc1の方向)に外部の直流磁界を印加した場
合の出力電圧V0 に関する変化率ΔV0 /V0 (%)を
周波数(MHz)に対する特性として示したものであ
る。図8からは周波数15MHz付近で最大270%の
変化率を示している様子が判る。
【0042】ところで、図3〜図8に関しては、図1に
示した磁気検出素子1を適用した場合のブリッジ型磁界
センサ11について説明したが、同様に図2に示す磁気
検出素子5を適用した場合の他の実施例に係るブリッジ
型磁界センサ,即ち、誘電体板6上のブリッジ回路の四
辺におけるそれぞれにミランダ状の軟磁性薄膜8を有す
る構成のブリッジ型磁界センサについても同様な効果が
得られる。但し、この場合にはミランダ状の軟磁性薄膜
によってインピーダンスが一層増加するため、一実施例
のブリッジ型磁界センサ11よりも検出磁界感度が更に
向上して一層高い性能が得られる。
【0043】又、図1に示した磁気検出素子1や図2に
示した磁気検出素子5の何れを適用したブリッジ磁界セ
ンサに関しても、上述したように軟磁性薄膜とは反対側
の誘電体板2,6の主面(下面)の全面に図8に示され
るように接地導体層3,7を積層し、この接地導体層
3,7の形成によって軟磁性薄膜4,8との間で容量を
持たせれば、それぞれのブリッジ回路が外乱の影響を受
け難くなり、使用上における特性維持対策として有効と
なる。
【0044】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、一枚の誘電体板上の一方の主面に軟磁性薄膜をブリ
ッジ回路として配設して4つの磁気検出部を持たせた
上、ブリッジ回路の外乱の影響を回避するために誘電体
板上の他方の主面を接地導体層で覆った構成の磁気検出
素子を用いるようにしているので、励磁調整が容易で品
質特性や検出磁界感度に優れ、しかも外部環境に影響さ
れずに安定して動作する簡素な構成のブリッジ型磁界セ
ンサが具現されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るブリッジ型磁界センサ
に用いられる磁気検出素子の局部的構造の一例を示した
ものであり、(a)はその外観斜視図に関するもの,
(b)は(a)のA−A線方向における側面断面図に関
するものである。
【図2】本発明の他の実施例に係るブリッジ型磁界セン
サに用いられる磁気検出素子の局部的構造の他例を示し
たものであり、(a)はその外観斜視図に関するもの,
(b)は(a)のA´−A´線方向における側面断面図
に関するものである。
【図3】図1に示す磁気検出素子を適用した一実施例に
係るブリッジ型磁界センサの概観構成を示した平面図で
ある。
【図4】図3に示すブリッジ型磁界センサを製造する場
合の磁化容易軸方向の付与並びに外部磁界印加方向を説
明するために示した平面図である。
【図5】図3に示すブリッジ型磁界センサのブリッジ回
路を示したものである。
【図6】図3に示すブリッジ型磁界センサに入力電圧に
関して特定の条件下で一方向に外部磁界を印加した場合
の出力電圧の変化(出力電圧の外部磁界依存性)を示し
たものである。
【図7】図3に示すブリッジ型磁界センサに入力電圧に
関して他の条件下で他方向に外部磁界を印加した場合の
出力電圧の変化(出力電圧の外部磁界依存性)を示した
ものである。
【図8】図3に示すブリッジ磁界センサに特定の電圧条
件下で一方向に外部の直流磁界を印加した場合の出力電
圧に関する変化率を周波数に対する特性として示したも
のである。
【図9】図1に示す磁気検出素子や図2に示す磁気検出
素子を適用したブリッジ磁界センサにおける接地導体層
を示した平面図である。
【符号の説明】
1,5 磁気検出素子 2,6 誘電体板 3,7 接地導体層 4,4a,4b,4c,4d,8 軟磁性薄膜 9a,9b,9c,9d 電極 11 ブリッジ型磁界センサ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予め決められた一方向に交差する他方向
    からの外部磁界を受けたときに生じるインピーダンスの
    変化を検出するための軟磁性薄膜を誘電体板の一方の主
    面に設けて成る磁気検出素子を用いた磁界センサであっ
    て、前記軟磁性薄膜は前記誘電体板上にブリッジ回路を
    成すように配設されたことを特徴とするブリッジ型磁界
    センサ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のブリッジ型磁界センサに
    おいて、前記軟磁性薄膜は、前記ブリッジ回路として4
    辺にそれぞれ配設されたもののうち、相対向する辺の2
    対2組のものがそれぞれ互いに直交するX方向とY方向
    とによる2軸方向に形成されたことを特徴とするブリッ
    ジ型磁界センサ。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のブリッジ型磁界センサに
    おいて、前記軟磁性薄膜は、相対向する辺の1対2つの
    ものがそれぞれ互いに180度異なる方向の磁気検出方
    向を持つことを特徴とするブリッジ型磁界センサ。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のブリッジ型磁界センサに
    おいて、前記軟磁性薄膜は、前記X方向に前記磁気検出
    方向を持つものの1対2つが磁気異方性を有することを
    特徴とするブリッジ型磁界センサ。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れか一つに記載のブリ
    ッジ型磁界センサにおいて、前記誘電体板上の前記ブリ
    ッジ回路における4隅の接続点位置に前記軟磁性薄膜に
    電流を流すための入力端子及び出力端子としての電極が
    設けられたことを特徴とするブリッジ型磁界センサ。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れか一つに記載のブリ
    ッジ型磁界センサにおいて、前記誘電体板上の他方の主
    面を覆って積層された接地導体層を有することを特徴と
    するブリッジ型磁界センサ。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の何れか一つに記載のブリ
    ッジ型磁界センサにおいて、前記軟磁性薄膜はミアンダ
    状に形成されたことを特徴とするブリッジ型磁界セン
    サ。
  8. 【請求項8】 誘電体板の一方の主面全体に軟磁性薄膜
    を成膜して磁気検出素子を形成する磁気検出素子形成工
    程と、前記磁気検出素子を磁界中熱処理して磁気異方性
    を付与する磁気処理工程と、前記磁気異方性を付与した
    磁気検出素子に対してフォトリソグラフ及びイオンミリ
    ングにより前記軟磁性薄膜をパターニングするパターニ
    ング工程とを含み、前記パターニング工程では前記軟磁
    性薄膜をブリッジ回路を成すようにパターニングするこ
    とを特徴とするブリッジ型磁界センサの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項8記載のブリッジ型磁界センサの
    製造方法において、前記パターニング工程では前記軟磁
    性薄膜を前記ブリッジ回路としてパターニングする際、
    該ブリッジ回路の4辺における相対向する辺の2対2組
    のものをそれぞれミアンダ状にパターニングすることを
    特徴とするブリッジ型磁界センサの製造方法。
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