JPH10266215A - 法面緑化用防護ネット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 地山に形成した法面を培土で覆って植物を生
育させる場合に使用される緑化用防護ネットに、腐食性
を具えさせて、植物の生育が促進されるようにする。ネ
ットの土留め機能を高めて覆土作業をし易くするととも
に、ネットを水になじみ易くして覆土中に排水水路を形
成させないようにする。 【解決手段】 木綿または麻またはやし等のように土中
で腐食する天然繊維を紡いで適宜に太い撚り糸を形成
し、この撚り糸を粗い目の格子形に織って得たネット２
を法面１に張設して培土を覆土する場合の基盤となるよ
うにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、主として地山で
形成した法面に緑化用培土を保持させる基盤として用い
られるようにした法面緑化用防護ネットに関し、従来金
網など金属材で形成されていた防護ネットに天然繊維で
形成したネットを使用するようにしたことを特長とす
る。

【０００２】

【従来の技術】地山を削り出した法面とか置き出しの法
面とかの法面保護のために、法面にネットを張設し、こ
れに緑化用培土を吹き付けるなどして覆土をして、芝な
どの植物を生育させるようにした法面緑化用防護ネット
には、従来一般に金網などが用いられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】防護ネットに金網など
金属材で形成したネットを用いた場合、覆土中で金属の
腐食がすすみ、育成すべき植物の根の伸長が損なわれた
り、金属線を伝って覆土中に排水水路が形成されて剥落
を生じ易い等の欠点がある。また、表面が滑面の金属線
ネットには培土が掛止され難く、土留め機能が低いので
培土で覆う作業に手間を要するという欠点もある。

【０００４】以上のことから、本発明が解決ずべき課題
は、張設した防護ネットが育成する植物の生育を妨げな
いようにすること、培土中に排水水路が形成されないよ
うにすること、土留め機能を高めて覆土作業に手間がか
からないような基盤を形成にすることにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】そこで本発明は、土中で
腐食する木綿または麻またはやし等の天然繊維で撚った
適宜に太い撚り糸を、比較的に粗い格子目に織ってネッ
トを形成し、このネットを法面に張設して、緑化用培土
を保持させるようにしたことを特徴とする法面緑化用防
護ネットを提供するものである。

【０００６】本発明ネットは、土中で腐食する天然繊維
で形成されているので、植物が生育するころには腐食し
ても発根とか根の伸長の妨げにならない。また、ネット
自体が保水性を有するので培土中に排水水路を形成しな
い。また、土留め機能が高いので覆土作業の手間が短縮
される。本発明は以上のようにして前記の課題を解決し
たものである。

【０００７】なお、本発明において、ネットを高分子系
例えばアクリル系の水性エマルジョン液に浸漬すると、
撚り糸の表面とともに粗い格子目が固定されるので、耐
候性に富むようになり、かつ、張設し易くなる。さらに
高分子系水性エマルジョン液に浸漬する前に、予め撚り
糸に、植生用種子、肥料分、栄養分、保水剤を適宜選択
的に含侵させておけば、播種を要せずに所望の植物を発
芽させることができるとともに、腐食の進行にしたがっ
て法面一様に施肥効果が機能するので、植物の育成がさ
らに高まる。

【０００８】

【実施例】以下に、本発明の実施例を図面について説明
する。図において、１は法面、２は法面緑化用防護ネッ
ト、３は植物育成用の培土である。

【０００９】法面緑化用防護ネット２は、土中で腐食す
る木綿または麻またはやし等の天然繊維の単一素材また
はそれらの複合素材を適宜の太さに、例えば径4.0 〜10
ミリメートルに紡いで撚り糸４とし、これを図２に示す
ように、縦糸と横糸に配糸して縦横に織り、粗い目の格
子目、例えば10〜50ミリメートルの格子目を形成させた
ものである。

【００１０】上記ネット２は、高分子系例えばアクリル
系の水性エマルジョン液に浸漬させることにより、糸の
表面と共に格子目を固定して、張設の際、運搬の際等の
ネット２の取扱いを容易にしている。また、撚り糸４中
に、植生用種子、肥料分、栄養分、保水剤を適宜選択的
に含侵させておけば、播種を要さずに所望の植物を発芽
させることができるとともに、含侵された肥料分、栄養
分がネット２の腐食の進行にしたがって法面１に一様な
施肥効果を発揮して、植栽される植物の生育を促進す
る。

【００１１】上記のように構成したこのネット２は、上
述のように取扱いが容易になる上に、耐候性に富むよう
になるので、覆土されるまでの期間が長くなる場合に、
曝天下にあっても劣化し難い。覆土される場合は、ネッ
ト２自体の厚さに撚り糸４の毛羽立ちが加味されて高い
土留め機能を具えた基盤が形成される。

【００１２】そして、土中にあっては、ネット２自体の
吸水性が機能して保水力があり、土中に浸透する雨水ま
たは湧き水となじんで金属線材のような排水水路の形成
を阻止する。さらにこのネット２は、埋設後に腐食して
土に同化するので、法面１に植栽する植物の根の発生を
妨げず、伸長を阻害しない。

【００１３】なお、ネット２に施す高分子系水性エマル
ジョンの含侵は本発明の実施に際する任意の事項に属
し、またその含侵の程度は、本発明の要旨にそって覆土
後は速やかに親水性を取り戻せる程度であることはいう
までもない。また、撚り糸４中に、植生用種子、肥料
分、栄養分および保水剤を含侵させることについても同
様に任意であるとともに、撚り糸中に本発明の作用効果
を損なわない程度に合成繊維を混紡させることもでき
る。

【００１４】

【発明の効果】前記のように構成し、上記のように使用
されるようにした本発明法面緑化用保護ネットは、覆土
前に法面を保護するようにも使用できる。また、埋設後
は土中に腐食して植物の生育を促進し、根の発達を良く
するとともに、土中の水分と良くなじんで排水水路の形
成を防止する機能も備えている。本発明には以上のよう
に優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の実施例の使用状態を示す一部切
欠斜視図

【図２】図２はネットの一部切欠平面図である。

【符合の説明】

１ 法面 ２ 法面緑化用防護ネット ３ 培土 ４ 撚り糸

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 土中で腐食する木綿または麻またはやし
   等の天然繊維で撚った適宜に太い撚り糸を、比較的に粗
   い格子目に織ってネットを形成し、このネットを法面に
   張設して、緑化用培土を保持させるようにしたことを特
   徴とする法面緑化用防護ネット。
2. 【請求項２】 前記格子目に織られたネットは、高分子
   系水性エマルジョン液に浸漬されることにより、撚り糸
   の表面とともに格子目を固定されていることを特徴とす
   る請求項１の法面緑化用防護ネット。
3. 【請求項３】 前記ネットは、予め前記撚り糸に、植生
   用種子、肥料分、栄養分、保水剤を含侵させていること
   を特徴とする請求項２の法面緑化用防護ネット。