JPH10263769A - 鋼の連続鋳造法 - Google Patents

鋼の連続鋳造法

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JPH10263769A
JPH10263769A JP7151997A JP7151997A JPH10263769A JP H10263769 A JPH10263769 A JP H10263769A JP 7151997 A JP7151997 A JP 7151997A JP 7151997 A JP7151997 A JP 7151997A JP H10263769 A JPH10263769 A JP H10263769A
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Akira Yamauchi
章 山内
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 割れ感受性の高い鋼種の連続鋳造であって
も、縦割れのない良好な鋳片をブレークアウトの発生な
しに鋳造する。 【解決手段】 凝固温度:1080〜1300℃および塩基度:
1.05〜1.5 未満で、TiO2およびMgO がそれぞれ2〜5%
未満含有するモールドフラックスを用い、メニスカスを
中心とする上下方向にそれぞれ少なくとも20mmの範囲に
わたる鋳型内壁面の表面粗度が10〜50μmの連続鋳造用
鋳型により鋳造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は鋼の連続鋳造法に
関し、特に、中炭素鋼ならびにフェライト系およびマル
テンサイト系のステンレス鋼などの割れ感受性の高い鋼
種の高速連続鋳造(鋳造速度:1.5m/min以上)におい
て、不可避であった鋳片表面の縦割れを軽減して、鋳片
の品質向上および鋳片の表面手入れ処理低減によるコス
トダウンを図るとともに、ブレークアウト等の操業不安
定因子を取り除き連続鋳造操業の安定化を図ろうとする
ものである。
【0002】
【従来の技術】C含有量が0.08〜0.16wt%(以下単に%
であらわす)の、いわゆる中炭素鋼を対象とする連続鋳
造では、鋳造時に鋳片表面に縦割れが発生しやすく、こ
れまで、かかる割れの防止対策が種々図られてきてい
る。
【0003】中炭素鋼の連続鋳造において問題となる縦
割れ発生機構については、従来より多くの研究がなされ
ていて、中炭素鋼において縦割れが発生しやすいのは、
C含有量が0.08〜0.16%の包晶変態域にあるためで、鋼
の凝固過程における変態応力の付加により凝固シェルの
成長の遅い部分と速い部分との成長速度に大きな差が生
じること、すなわち凝固シェルの不均一度が大きくなる
ことが原因であることが明らかとなっている。
【0004】そして、この凝固シェル成長の不均一度
は、鋳型内初期の抜熱量との間に相関があって、鋳型内
で凝固シェルを緩冷却化すること、鋳型内抜熱の不均一
要因となるエアギャップを解消すること、鋳型と凝固シ
ェルとの間のモールドフラックス(以下単にフラックス
という)フィルムの厚みの変動を抑さえることなどで緩
和できることがすでに知られている。
【0005】これらに関する先行技術として、例えば特
開昭50-59229号公報(表面疵の少ない広幅連続鋳造スラ
ブの製造方法)にはオイルキャスティング法とフラック
スキャスティング法とを併用することによって、鋳型内
溶鋼の不均一冷却に起因した表面縦割れの防止を図った
技術が提案開示されている。
【0006】また、特開昭61-92756号公報(鋳片表面割
れ防止連続鋳造法および鋳型)には、連続鋳造用鋳型と
して、鋳型内の上部表面に適性な形状の複数の縦溝を形
成させたものを用い、ここに中炭素鋼の溶湯を供給して
鋳型の上部のみで緩冷却することにより、凝固シェルを
均一に冷却して表面割れを回避しながら連続鋳造を行う
方法とその鋳型が提案開示されている。
【0007】さらに、フラックスに関する先行技術とし
て、フラックスを鋳型・凝固シェル間に均一に流入させ
て凝固シェルの不均一冷却を回避すべく、該フラックス
の粘度、結晶化温度を低く設定し、そのフラックスを鋳
型の中央部のみに適用する技術が特開昭63-235054 号公
報(連続鋳造鋳片の高速鋳造時の縦割れ防止方法)に提
案開示されているほか、フラックスの塩基度ならびに凝
固温度を上昇させ、鋳型と鋳片との間のフラックス層に
おける固相厚さを増加させ、輻射熱流束を減少させるこ
とによって割れの防止を図った技術が「CAMP-ISIJ, 5
(1992), P.283」に、また、フラックスを、その塩基度
を1.2 程度に維持し、ZrO2を3%あまり添加し、さらに
凝固点を高温化することで、輻射伝熱の低減ならびに鋳
型とフラックス凝固層との間の接触熱抵抗の増加によっ
て緩冷却化を図り、割れを防止する技術が「CAMP-ISIJ,
6 (1993), P.283」にそれぞれ開示されている。
【0008】しかしながら、上記において、特開昭50-5
9229号公報に開示の技術は、現在一般的に常用されてい
るフラックスキャスティングのため設備のほかに、オイ
ルキャスティング用の設備を新設する必要があり、加え
て操業人員を増加しなければならないため、設備費や作
業費などのコスト上昇が避けられないといった難点があ
った。
【0009】また、特開昭61-92756号公報に開示の技術
は、中炭素鋼を鋳造するための専用の鋳型を用いる必要
があり、鋳型交換等のダウンタイムを考慮した場合、製
造コストの面で不利になることのほか、鋳型表面温度が
推定で400 ℃以上となるため、鋳型自体およびめっきの
劣化が著しく、鋳型の寿命の点で実現困難な方法であっ
た。
【0010】さらに、特開昭63-235054 号公報に開示の
技術は、2種類のフラックスを鋳片の長辺面中央部から
200mm 程度のところを境にして使い分けるため、この領
域でのフラックスが混合することに起因する不安定な抜
熱が起り、ある程度の縦割れの抑制効果は認められるも
のの、その改善度合いは極めて軽微なものであった。
【0011】また、「CAMP-ISIJ, 5 (1992), P.283」お
よび「CAMP-ISIJ, 6 (1993), P.283」に開示の高凝固点
フラックスを用いる技術は、フラックスの凝固温度が約
1200℃とかなり高いために、鋳型と鋳片との間に介在す
るフラックスフィルムの液相部分の厚さが十分に確保で
きないので潤滑不良となり、ブレークアウトが発生しや
すいという問題のほか、鋳型上下方向の中央部から下部
にかけて、フラックスの流入が不良となりがちで鋳型温
度の部分的変化が生じやすく、したがって、鋳型温度を
測定するタイプのブレークアウト警報システムを導入し
ている場合には、高い頻度で誤警報が発生し、操業を攪
乱し生産性を低下させる原因となることがあった。
【0012】加えて、フラックスの凝固温度が高いこと
に起因して、溶鋼上面と鋳型が接するいわゆるメニスカ
ス直上にスラグリムと呼ばれるフラックスの凝着層が厚
く不均一に発達し、これが鋳型振動時に溶融フラックス
の鋳型と鋳片との間への流入に干渉し、不均一な流入を
生じせしめるため凝固シェルを拘束し、ブレークアウト
の原因になる場合があるなど、未だに課題の残る方法で
あった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、前記した
問題点を有利に解決しようとするものであり、主として
割れ感受性の高い中炭素鋼、フェライト系ステンレス鋼
およびマルテンサイト系ステンレス鋼などの連続鋳造に
あたり、凝固シェルの不均一成長を抑制して割れなどの
表面欠陥の発生を防止し、併せて、ブレークアウトやブ
レークアウトの誤警報の発生を回避できる鋼の連続鋳造
法を提案することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】発明者は、包晶変態域に
ある中炭素鋼ならびに凝固シェル強度の小さいフェライ
ト系およびマルテンサイト系のステンレス鋼の連続鋳造
における特有の問題である鋳片の表面割れ防止と鋳型と
鋳片との間の潤滑性の向上について種々実験・検討を重
ねた結果、凝固シェルと鋳型との間に介在するフラック
ス層いわゆるフラックスフィルムのうち、鋳型表面に固
着するフラックス凝固層と鋳型との界面伝熱抵抗を制御
することにより、十分な潤滑を保ちつつ鋳型内の抜熱量
を抑制し、鋳片の縦割れを防止することが可能であるこ
との新規知見を得てこの発明を達成するに至ったもので
ある。すなわち、この発明の要旨とするところは以下の
通りである。
【0015】鋼の連続鋳造にあたり、凝固温度が1080℃
以上、1300℃以下および塩基度が1.05以上、1.5 未満
で、TiO2およびMgO をそれぞれ2wt%以上、5wt%未満
の範囲で含有するモールドフラックスを用い、メニスカ
スを中心とする上下方向にそれぞれ少なくとも20mmの範
囲にわたる鋳型内壁面の表面粗度が10μm以上、50μm
以下の連続鋳造用鋳型により鋳造することを特徴とする
鋼の連続鋳造法。
【0016】
【発明の実施の形態】この発明の作用効果を実験・検討
結果を交じえて以下に述べる。まず、連続鋳造用鋳型内
の上部のいわゆるメニスカス近傍域で、凝固シェルが形
成されつつある状況について以下に説明する。
【0017】鋳型内における溶鋼ならびに凝固シェルの
抜熱は、すべて溶鋼ならびに凝固シェルと鋳型との間の
フラックスを介して行われている。そしてフラックスの
鋳型に接した部分では固相の層(フラックスの凝固層)
を形成し、凝固シェルに接した部分では、フラックスが
その凝固温度を超えているので液相を形成している。こ
のようなフラックスフィルムを介して行われる熱伝達
は、その寄与率からいって50%以上が鋳型とフラックス
凝固層との間の伝熱抵抗、すなわち両者の接触状況で決
定され、鋳型に接するフラックス凝固層面の凹凸の程度
(粗度) が大きいほど伝熱抵抗は大きくなり、鋳片はよ
り緩冷却されることになる。
【0018】ここで、鋳型とフラックスとの間の熱伝達
機構の説明図を図1に示す。この図1において、図面上
半分は鋳型に接するフラックス凝固層面まで結晶が析出
した結晶相となりその面に凹凸が生じた場合で、この場
合、伝熱抵抗が大きくなり鋳片は緩冷却される。一方、
図面下半分は鋳型に接するフラックス凝固層面がガラス
相の平滑な場合で、この場合は伝熱抵抗が小さく鋳片は
急冷却される。
【0019】したがって、例えば従来技術に示したよう
に凝固点温度の高いフラックスを用いることで、鋳型側
にフラックスの液相から直接結晶相を生じさせ、10μm
程度の凝固層面の凹凸に相当する鋳型面との熱抵抗を得
て均一緩冷却化が達成される。しかし、この技術では、
フラックスの液相厚さが十分に確保できなくなるため潤
滑が不安定になり、さらに、フラックスの凝固温度が高
いことに起因して、溶鋼上面と鋳型が接するいわゆるメ
ニスカス直上にスラグリムと呼ばれるフラックスの固着
層が厚く不均一に発達し、これが鋳型振動時に溶融フラ
ックスの鋳型−鋳片間への流入に干渉し、不均一な流入
を生じせしめるため、ブレークアウト発生の危険度を増
大させる。
【0020】そこで、発明者らは、実験・検討結果の新
規知見をまとめた下記する8点に基づいてこの発明の鋳
造法の検討を行った。
【0021】1)鋳型表面に液相フラックスが接触し、
瞬時にガラス状に固化し、ガラス相が安定となっている
場合には、鋳型とガラス状フラックスとの間の界面伝熱
抵抗は極めて0に近い。そして、そのときガラス状フラ
ックスの鋳型との接触面の粗度は数μm以下である。
【0022】2)鋳型表面に液相フラックスが接触し、
接触面で直接結晶核が生成・成長凝固する場合には、界
面伝熱抵抗は0.1 〜0.3m2/kw程度と比較的小さく、この
ときの鋳型との接触面の粗度は10μm以下である。
【0023】3)鋳型表面に液相フラックスが接触し、
瞬時にガラス状に固化し、その後ガラス相内で十分に結
晶が析出しその析出相が鋳型表面に到達した場合には、
界面伝熱抵抗は0.2 〜0.5m2/kw程度となり、このときの
鋳型との接触面の粗度は15μm以下である。
【0024】4)フラックス凝固層の鋳型との接触面の
粗度が大きいほどスラグリム厚みは薄くなる。したがっ
て、フラックスの凝固温度が比較的高い場合でもこの粗
度を大きくできればスラグリムの形成が抑制され、潤滑
不良によるブレークアウトの発生を防止できる。ここ
で、フラックス凝固層の鋳型との接触面の粗度Rmax
スラグリム厚みとの関係のグラフを図2に示す。この図
から明らかなように、スラグリム厚みは粗度Rmax が増
大するにしたがって薄くなる。
【0025】5)フラックス凝固層の鋳型との接触面の
粗度とフラックスフィルムの見掛け上の熱伝導率は、粗
度が大きいほど低熱伝導率となる。ここで、フラックス
凝固層の鋳型との接触面の粗度Rmax とフラックスフィ
ルムの見掛け熱伝導率との関係のグラフを図3に示す。
この図から明らかなように、粗度が大きくなるにしたが
って見掛け熱伝導率は小さくなる。なお、この見掛け熱
伝導率は、平行平板法(川鉄技報、Vol.28 (1996) 、P.
59〜65) にて得られた値をフラックス層厚み:0.3mm に
勘案したときのものである。
【0026】6)ガラス相内における最低結晶析出温度
が低いほど、鋳型表面に接したフラックス凝固層の結晶
相は安定となり、鋳型との界面伝熱抵抗が比較的均一に
なる(0.3m2/kw程度) 。
【0027】7)鋳型表面(内壁面)に微細な凹凸が存
在すると、鋳型と接するフラックス界面も凹凸形状にな
り、鋳型の凹部に接触しているフラックスが局部的に高
温になり、その部分を起点としてガラス状フラックス固
相から結晶相が析出し、鋳型とフラックスフィルムとの
間に均一な熱抵抗層を生じさせる。
【0028】8)TiO2およびMgO を適量添加することに
より、鋳型との接触面の粗度をおよそ50μmにすること
が可能となる。
【0029】よって、この発明における連続鋳造の際
の、均一冷却化および安定潤滑化の機構は、凝固温度を
1080〜1300℃の範囲とし、塩基度を1.05以上、1.5 未満
とした上で、TiO2およびMgO をそれぞれ2%以上、5%
未満含有するフラックスを用いることにより、結晶核生
成数を増大させ、かつ、鋳型内壁面に設ける微細な凹凸
(粗度10〜50μm)により、その鋳型と接するフラック
ス凝固層が速やかに均一に結晶化し、鋳型とフラックス
フィルムとの間の伝熱抵抗も均一化する。
【0030】ここで、図4は鋳型内壁面に微細な凹凸を
設けた場合の鋳型とフラックスとの間の熱伝達機構の説
明図で、この図において、図面上半分は鋳型内面に凹凸
があり、これと接するフラックス層が結晶相となってそ
の面にも凹凸が生じた場合で、伝熱抵抗が大きくなり鋳
片が緩冷却される状態を示し、下半分は鋳型内壁面も、
これと接するフラックス層(ガラス相)も平滑な場合
で、伝熱抵抗が小さく鋳片が強冷却される状態を示す。
【0031】加えて、ガラス相からの結晶相の析出反応
時の体積収縮率は大きく、結晶化時のフラックスの鋳型
接触面の粗度が50μm以上になるので、特にメニスカス
直上領域で鋳型とフラックスの伝熱抵抗が増大し、スラ
グリムの形成を抑制するため、フラックスの鋳型−鋳片
間への流入が不均一になることなく、安定した低伝熱、
高潤滑条件が提供できることになる。
【0032】なお、この発明に用いるフラックスの凝固
温度は1080〜1300℃の範囲と比較的に高いが、上記した
理由によりスラグリムの形成が抑制されるため、スラグ
リム厚が厚くなることに起因するブレークアウトの発生
は解消できる。
【0033】つぎに、この発明の限定理由について述べ
る。この発明で用いるフラックスは、TiO2およびMgO を
それぞれ2%以上、5%未満の範囲で含有させるが、Ti
O2またはMgO のいずれかの含有量が2%に満たないと、
フラックス凝固層の結晶化時の鋳型との接触面の粗度が
30μm以下となり緩冷却の効果が明確でなくなる。一
方、TiO2またはMgO のいずれかの含有量が5%以上の場
合は、フラックス凝固層のガラス相の安定度が増加する
ことにより、固相フィルムが部分的にガラス相のまま残
存し、不均一冷却を招く。
【0034】また、フラックスの塩基度を1.05以上、1.
5 未満とするが、塩基度が1.05未満の場合には、ガラス
相から結晶相が析出する温度が750 ℃を超えてしまい、
鋳型によって冷却されているフラックスフィルムの鋳型
との接触面は結晶析出反応が生じず、安定かつ均一な熱
抵抗層が形成されない。逆に、塩基度が1.5 以上の場合
には、フラックスが鋳型表面に接すると直接結晶相を形
成するようになり、前述した知見から鋳型との接触は比
較的密になり、結果として比較的均一な冷却にはなるも
のの、フラックスフィルムの見掛け熱伝導率が大きくな
ることから、スラグリムの発達が著しくなり、液相フラ
ックスの流入が阻害され、ブレークアウトを引き起こす
ことになる。
【0035】さらに、フラックスの凝固温度を、1080℃
以上、1300℃以下とするが、凝固温度が1080℃を下回る
と、フラックスフィルムの鋳型との接触面粗度を一定に
保つことができなくなる。特に、フラックスフィルムの
表面粗度が50μmある場合には、フラックスフィルム表
面の温度が、フラックスの軟化温度以上になる場合もあ
り、このときには鋳型との接触が部分的に密になり、不
均一冷却の原因となる場合がある。逆にフラックスの凝
固温度が1300℃を超える場合は、十分な厚みの液相フラ
ックスフィルムが形成されなくなり、鋳型−鋳片間の潤
滑が損われ、ブレークアウトの発生頻度が著しく高くな
る。
【0036】なお、このフラックスには通常のモールド
フラックスの基材として、SiO2:20〜50wt%、CaO :20
〜50wt%、Al2O3 :1〜10wt%、Na2O:1〜15wt%およ
びF:1〜10wt%の範囲、もしくはこれらに加えてB
2O3:8wt%以下の範囲でそれぞれ含有させることが好
ましく、さらに、粘度、凝固温度を調整するために、上
記成分組成に加えてLi2O:5wt%以下および/またはB2
O :10wt%以下の範囲で含有させることもよい。
【0037】一方、この発明で使用する連続鋳造用鋳型
は、メニスカス近傍の鋳型内壁面に微細な凹凸を設け、
その表面粗度を10μm以上、50μm以下の範囲とする。
この粗度が10μm未満では、鋳型に接するフラックスフ
ィルムの結晶化の促進が十分でなく、50μmを超える
と、フラックスフィルムの鋳型に接する部分の温度が、
そのフラックスの軟化温度以上になる場合があり、この
とき鋳型とフラックスフィルムとの接触が部分的に密に
なり、不均一冷却の原因となる場合が生じる。また、表
面粗度を10μm以上、50μm以下とする鋳型内壁面の範
囲は、メニスカスを中心として上下方向にそれぞれ少な
くとも20mm(合計40mm) の範囲とする。なお、通常、鋼
の連続鋳造においては、鋳型を上下方向に振動(オシレ
ーション)させるので、メニスカス位置は鋳型に対して
相対的に上下する。この発明で鋳型内壁面の表面粗度を
10μm以上、50μm以下とする領域を定める基準とする
メニスカス位置は、上記の相対的に変動するメニスカス
の中心位置とする。また、表面粗度:10〜50μmを付与
する領域のうち、上記中心位置から上方向の好適領域は
40mm程度までであり、これ以上上方に付与しても鋳片表
面性状の及ぼす影響は皆無である。一方、下方向の好適
領域はメニスカス中心位置からの距離が長いほどこの発
明の効果が安定するが、150mm を超えるともはやその効
果が飽和してしまうため、経済性の点からその上限は15
0mm とすることがよい。
【0038】
【実施例】表1に示す種々のフラックスを用い、かつ、
内法寸法が長辺:1000mm、短辺:200mm のメニスカス近
傍の鋳型内壁面が表1に示す異なる状態(粗度とその範
囲)の連続鋳造鋳型により、下記する鋳造条件のもと中
炭素鋼の連続鋳造を行い、それぞれブレークアウト、鋳
片の表面縦割れ状況等を調査した。
【0039】
【表1】
【0040】鋳造条件 ○鋳型振動条件 ・ストローク:8mm ・ネガティブ速度率(Ns率):20%(鋳型の振動による
鋳型下降速度が鋳片の引き抜き速度を上回る率) ・f=Vc/2×8・(1+Ns/100)×1000 ここで f:鋳型振動数(cpm) Vc:鋳造速度(m/min) ○鋳造速度Vc:1.5 〜2.20m/min ○ΔT:34〜50℃(鋳型への注入時溶鋼温度と鋼の液相
線温度との差) ○鋼の主要成分組成範囲:C:0.08〜0.16%, Si:0.05
〜0.40%およびMn:0.20〜1.20%
【0041】これらの調査結果をまとめて表1に併記し
た。なお、表1において 縦割れ指数は、縦割れ発生部分の長さを1m単位であら
わした時の、「割れ長さ/スラブ総長」の値を、試料N
o.1を基準に指数化したものである。ブレークアウト指
数は、ブレークアウトまたは鋳片表面に凝固シェルの破
断痕(ブレークアウトマーク)が発生したチャージ数
を、スラブ総長で徐した値を、試料No.1を基準に指数化
したものである。
【0042】表1から明らかなように、この発明に適合
するフラックスを用いこの発明に適合する連続鋳造用鋳
型で鋳造した適合例には、鋳片の表面縦割れの発生は全
くなく、ブレークアウトの発生も指数表示で基準とする
比較例の1/10以下に激減している。
【0043】
【発明の効果】この発明は、凝固温度および塩基度を特
定し、TiO2およびMgO を適量含有させたモールドフラッ
クを用い、メニスカス近傍の鋳型内壁面の粗度を特定し
た連続鋳造鋳型により鋳造するものであって、この発明
によれば、割れ感受性の高い中炭素鋼やフェライト系、
マルテンサイト系のステンレス鋼などの連続鋳造におい
ても、縦割れのない良好な鋳片をブレークアウトの発生
なしに安定して鋳造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋳型とフラックスとの間の熱伝達機構の説明図
である。
【図2】フラックス凝固層の鋳型との接触面の粗度R
max とスラグリム厚みとの関係のグラフである。
【図3】フラックス凝固層の鋳型との接触面の粗度R
max とフラックスフィルムの見掛け熱伝導率との関係の
グラフである。
【図4】鋳型内壁面に微細な凹凸を設けた場合の鋳型と
フラックスとの間の熱伝達機構の説明図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼の連続鋳造にあたり、凝固温度が1080
    ℃以上、1300℃以下および塩基度が1.05以上、1.5 未満
    で、TiO2およびMgO をそれぞれ2wt%以上、5wt%未満
    の範囲で含有するモールドフラックスを用い、メニスカ
    スを中心とする上下方向にそれぞれ少なくとも20mmの範
    囲にわたる鋳型内壁面の表面粗度が10μm以上、50μm
    以下の連続鋳造用鋳型により鋳造することを特徴とする
    鋼の連続鋳造法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006247713A (ja) * 2005-03-11 2006-09-21 Jfe Steel Kk 鋼の連続鋳造方法
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