JPH1026258A - 軸封装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 特殊な工具を用いなくとも、スタフィンボッ
クスの内周面と軸体の外周面との間に圧入されている積
層グランドパッキン群の全てを容易、かつ、迅速に抜き
取って定期交換などを作業性よく行うことができるよう
にする。 【解決手段】 スタフィンボックス４の内周面と軸体２
の外周面との間に軸方向に積層されて挿入されるグラン
ドパッキン群５をスタフィンボックス４の軸方向内端部
で受止め支持するリング状のパッキン受座体１１および
該パッキン受座体１１に一端が固定され、かつ、他端が
スタフィンボックス４の軸方向外端開口部よりも外方へ
突出する状態で積層グランドパッキン群５に軸方向に貫
通される引き抜き操作体１２により構成されるパッキン
引き抜き部材１３を備え、このパッキン引き抜き部材１
３における引き抜き操作体１２の外方への突出端部１２
ａをパッキン押え部材６に対して軸方向に相対変位可能
に保持させている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば弁装置にお
ける弁箱と弁軸との間からの流体漏れを防止するためな
どのように、ケーシングと該ケーシングを貫通する軸体
との間をシールするために適用される軸封装置に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】図７は、例えば弁装置における流体漏れ
防止に従来から一般的に使用されている軸封装置の縦断
面図であり、同図において、１は弁箱で、弁軸２の貫通
孔３を有しているとともに、その外端部には上記貫通孔
３と同心状にスタフィンボックス４が形成されている。
このスタフィンボックス４の内周面と上記弁軸２の外周
面との間には、軸方向に積層された複数のグランドパッ
キン群５が挿入されている。６は上記スタフィンボック
ス４内に嵌入されるパッキン押え部材であり、このパッ
キン押え部材６は、上記弁箱１の軸方向外端面から外方
へ固定突出させたスタッドボルト７，７に螺合するナッ
ト８，８の締め付けに伴って軸方向内方に移動して上記
積層グランドパッキン群５を軸方向内方へ押圧し、この
押圧力によって上記積層グランドパッキン群５の内周面
および外周面を上記弁軸２の外周面およびスタフィンボ
ックス４の内周面に圧接させて弁軸２と弁箱１との間か
らの流体漏れを防止するように構成されている。なお、
図７中、９は弁軸２に外嵌させたブッシュである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記したような構成の
軸封装置においては、上記弁軸２の回転や軸方向移動の
繰り返しによって上記積層グランドパッキン群５のスタ
フィンボックス４の内周面および上記弁軸２の外周面と
の摺動面が経時的に摩耗してシール性能が低下するため
に、上記積層グランドパッキン群５を定期的に交換する
必要がある。

【０００４】ところが、上記した構成の従来の軸封装置
においては、積層グランドパッキン群５がパッキン押え
部材６による軸方向内方への強い押圧力を受けて弁軸２
の外周面及びスタフィンボックス４の内周面に強力に圧
接され密着しており、該積層グランドパッキン群５を定
期交換等のために引き抜くためには、特殊な工具が必要
であり、その上、特殊工具を使用しても積層グランドパ
ッキン群５の全てを抜き取るには多大な時間と労力を要
する面倒な作業が強いられるといった問題があった。

【０００５】本発明は上記実情に鑑みてなされたもの
で、特殊な工具を用いなくとも、積層グランドパッキン
群の全てを容易に、かつ、迅速に抜き取って定期交換な
どを作業性よく行うことができる軸封装置を提供するこ
とを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る軸封装置は、軸体の貫通孔を有するケ
ーシングと、上記貫通孔に挿通された軸体の外周部に対
応する上記ケーシングに該貫通孔と同心状に形成された
スタフィンボックスと、このスタフィンボックスの内周
面と上記軸体の外周面との間に軸方向に積層状態で挿入
されたグランドパッキン群と、上記スタフィンボックス
内に嵌入されて上記積層グランドパッキン群を軸方向の
内方へ押圧するパッキン押え部材とを備えた軸封装置に
おいて、上記スタフィンボックスの軸方向内端部に配設
されて上記積層グランドパッキン群を受止め支持するリ
ング状のパッキン受座体および該パッキン受座体に一端
が固定され、かつ、他端が上記スタフィンボックスの軸
方向外端開口部よりも外方へ突出するように上記積層グ
ランドパッキン群を軸方向に貫通する引き抜き操作体に
より構成されるパッキン引き抜き部材を設け、このパッ
キン引き抜き部材における上記引き抜き操作体の外方へ
の突出端部を上記パッキン押え部材の軸方向内端側に形
成された溝部内に軸方向に相対変位可能に挿入させてい
ることを特徴とするものであり、上記積層グランドパッ
キン群を定期的に交換するに際して、上記パッキン押え
部材を取り除いた上で、上記パッキン引き抜き部材にお
ける引き抜き操作体を汎用工具で挟持して軸方向外方へ
引き抜くことによって、この引き抜き操作体の一端が固
定されたリング状のパッキン受座体を介して、これに受
止め支持されている積層グランドパッキン群の全てを一
括的に軸方向外方へ移動させてスタフィンボックスの軸
方向外端開口部より外方へ抜き出すことが可能であり、
特殊な工具の使用が不要であるとともに、積層グランド
パッキン群の全てを手間をかけずに容易、迅速に抜き取
って交換することができる。

【０００７】ここで、上記パッキン引き抜き部材におけ
る引き抜き操作体としては、円筒状の操作体を用いて、
その内外両周面に複数のグランドパッキン群を二重に積
層させる構成を採用しても、また、ロッド状の操作体を
用いてこれを径方向で単層の積層グランドパッキンの径
方向中間部に挿通させる構成を採用してもよい。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図１は本発明に係る軸封装置の縦
断正面図であり、同図において、図７に示す従来例と同
一の構成要素にはそれぞれ同一の符号を付して、それら
の詳しい説明を省略する。

【０００９】図１において、１１はスタフィンボックス
４の軸方向内端部に配設されて積層グランドパッキン群
５を受止め支持するリング状のパッキン受座体であり、
このパッキン受座体１１の軸方向外面には、図２に明示
するように、その軸方向外端部１２ａが上記スタフィン
ボックス４の軸方向外端開口部よりも外方へ突出するよ
うな軸方向長さをもつ円筒状の引き抜き操作体１２の軸
方向内端部が固定されており、この円筒状の引き抜き操
作体１２と上記リング状パッキン受座体１１とによりパ
ッキン引き抜き部材１３が構成されている。

【００１０】上記積層グランドパッキン群５は、上記パ
ッキン引き抜き部材１３における円筒状引き抜き操作体
１２の内周側において軸方向に積層されたクランドパッ
キン群５Ａと、上記円筒状引き抜き操作体１２の外周側
において軸方向に積層されたクランドパッキン群５Ｂと
から構成されている。

【００１１】また、パッキン押え部材６の軸方向内端部
側には、軸方向に適当深さを有する環状溝部１４が形成
されており、この環状溝部１４内に上記パッキン引き抜
き部材１３における円筒状引き抜き操作体１２の軸方向
外端部１２ａが、パッキン押え部材６による積層グラン
ドパッキン群５の押圧を許容するように軸方向に相対変
位可能に挿入されている。

【００１２】上記のように構成された軸封装置において
は、上記パッキン引き抜き部材１３における円筒状引き
抜き操作体１２の内周側および外周側にそれぞれ軸方向
に積層させた内外二重のグランドパッキン群５Ａ，５Ｂ
からなる積層グランドパッキン群５を上記パッキン引き
抜き部材１３と共にスタフィンボックス４内に挿入した
上、パッキン押え部材６を軸方向内方に移動させて上記
積層グランドパッキン群５を軸方向内方へ押圧すること
により、上記積層グランドパッキン群５の内周面および
外周面を上記弁軸２の外周面およびスタフィンボックス
４の内周面に圧接させて弁軸２と弁箱１との間からの流
体漏れを防止する所定のシール状態に組付けて使用され
る。

【００１３】そして、上記積層グランドパッキン群５の
スタフィンボックス４の内周面および上記弁軸２の外周
面との摺動面が経時的に摩耗してシール性能が低下した
ことに伴う上記積層グランドパッキン群５の定期交換等
に際しては、ナット８，８をスタッドボルト７，７から
螺合解除してパッキン押え部材６を取り除くことによっ
て、図３に示すように、上記パッキン引き抜き部材１３
における引き抜き操作体１２の軸方向外端部１２ａがス
タフィンボックス４から外方へ突出することになり、こ
の突出した引き抜き操作体１２の軸方向外端部１２ａを
例えばプライヤーなどの汎用工具で挟持して軸方向外方
へ引き抜き操作することによって、この引き抜き操作体
１２の一端が固定されたリング状のパッキン受座体１１
に受止め支持されている積層グランドパッキン群５の全
てが一括的に軸方向外方へ移動されてスタフィンボック
ス４の軸方向外端開口部より外方へ抜き出すことが可能
である。このように特殊な工具を使用しなくても、積層
グランドパッキン群５の全てを手間をかけずに容易、迅
速に抜き取って交換することができる。

【００１４】図４は本発明に係る軸封装置の他の実施の
形態を示す縦断正面図であり、この実施の形態では、上
記パッキン押え部材６の軸方向内端部側に形成された軸
方向に適当深さを有する環状溝部１４内に径方向に沿っ
た係止ピン２１を固定する一方、上記パッキン引き抜き
部材１３における円筒状引き抜き操作体１２には、図５
に明示するように、上記パッキン押え部材６を周方向に
回転操作することで上記係止ピン２１に係合される係合
部２２と、上記パッキン押え部材６によるパッキン押圧
時に上記係止ピン２１が上記係合部２２側に相対変位す
ることを許容するピンガイド孔２３とを形成したもので
ある。

【００１５】上記図４及び図５に示す構成の軸封装置に
おいては、上記パッキン押え部材６により積層グランド
パッキン群５を押圧した状態で該パッキン押え部材６を
回転操作することによって、係止ピン２１をパッキン引
き抜き部材１３における円筒状引き抜き操作体１２の係
合部２２に係合させることが可能であり、この状態で上
記パッキン押え部材６を把持して軸方向外方へ引き抜き
操作すると、上記係止ピン２１と係合部２２との係合箇
所を介してパッキン引き抜き部材１３が上記パッキン押
え部材６と一体に軸方向外方へ移動することになり、こ
れによって、プライヤーなどの汎用工具も用いることな
く、積層グランドパッキン群５の全てをスタフィンボッ
クス４から抜き取ることができる。

【００１６】なお、上記各実施の形態では、上記パッキ
ン引き抜き部材１３における引き抜き操作体１２を円筒
状に構成したものについて説明したが、これに限られ
ず、例えば図６に示すように、リング状パッキン受座体
１１の外面で、その直径方向の２箇所に一端を固定し、
かつ、軸方向外端部１２ａ，１２ａが上記スタフィンボ
ックス４の軸方向外端開口部よりも外方へ突出するよう
な軸方向長さをもつロッド状の引き抜き操作体１２Ａ，
１２Ａを使用したものであってもよく、このロッド状引
き抜き操作体１２Ａ，１２Ａを用いた構成のパッキン引
き抜き部材１３の場合は、径方向で単層の積層グランド
パッキン群５の径方向中間部にロッド状引き抜き操作体
１２Ａ，１２Ａを挿通させる構成とすればよい。

【００１７】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、積層グ
ランドパッキン群を定期的に交換する際、パッキン押え
部材を取り除いた上で、積層グランドパッキン群ととも
にスタフィンボックス内に挿入されているパッキン引き
抜き部材における引き抜き操作体を汎用工具で挟持して
軸方向外方へ引き抜くといった簡単な作業を行うことに
より、この引き抜き操作体の一端が固定されたリング状
のパッキン受座体を介して、これに受止め支持されてい
る積層グランドパッキン群の全てを一括的に軸方向外方
へ移動させてスタフィンボックスの軸方向外端開口部よ
り外方へ抜き出すことができる。したがって、特殊な工
具の使用を不要にできるとともに、積層グランドパッキ
ン群の全てを手間をかけずに容易、迅速に抜き取ること
ができ、積層グランドパッキン群の定期交換などの作業
性の著しい向上を図ることができるという効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る軸封装置の縦断正面図である。

【図２】同上軸封装置におけるパッキン引き抜き部材の
一部破断拡大斜視図である。

【図３】同上軸封装置におけるパッキン引き抜き時の様
子を示す縦断正面図である。

【図４】本発明に係る軸封装置の他の実施の形態を示す
縦断正面図である。

【図５】同上軸封装置におけるパッキン引き抜き部材の
一部破断拡大斜視図である。

【図６】本発明に係る軸封装置におけるパッキン引き抜
き部材の変形例を示す拡大斜視図である。

【図７】従来の軸封装置の縦断正面図である。

【符号の説明】

１ 弁箱（ケーシング） ２ 弁軸（軸体） ３ 貫通孔 ４ スタフィンボックス ５，５Ａ，５Ｂ 積層グランドパッキン群 ６ パッキン押え部材 １１ パッキン受座体 １２，１２Ａ パッキン引き抜き操作体 １３ パッキン引き抜き部材 １４ 環状溝部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸体の貫通孔を有するケーシングと、 上記貫通孔に挿通された軸体の外周部に対応する上記ケ
   ーシングに該貫通孔と同心状に形成されたスタフィンボ
   ックスと、 このスタフィンボックスの内周面と上記軸体の外周面と
   の間に軸方向に積層状態で挿入されたグランドパッキン
   群と、 上記スタフィンボックス内に嵌入されて上記積層グラン
   ドパッキン群を軸方向の内方へ押圧するパッキン押え部
   材とを備えた軸封装置において、 上記スタフィンボックスの軸方向内端部に配設されて上
   記積層グランドパッキン群を受止め支持するリング状の
   パッキン受座体および該パッキン受座体に一端が固定さ
   れ、かつ、他端が上記スタフィンボックスの軸方向外端
   開口部よりも外方へ突出するように上記積層グランドパ
   ッキン群を軸方向に貫通する引き抜き操作体により構成
   されるパッキン引き抜き部材を設け、 このパッキン引き抜き部材における上記引き抜き操作体
   の外方への突出端部を上記パッキン押え部材の軸方向内
   端側に形成された溝部内に軸方向に相対変位可能に挿入
   させていることを特徴とする軸封装置。