JPH1025261A - フェノール誘導体の製造方法 - Google Patents

フェノール誘導体の製造方法

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JPH1025261A
JPH1025261A JP17896196A JP17896196A JPH1025261A JP H1025261 A JPH1025261 A JP H1025261A JP 17896196 A JP17896196 A JP 17896196A JP 17896196 A JP17896196 A JP 17896196A JP H1025261 A JPH1025261 A JP H1025261A
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acid
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peroxide
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JP17896196A
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Inventor
Shuichi Matsui
秋一 松井
Hiroyuki Takeuchi
弘行 竹内
Kazutoshi Miyazawa
和利 宮沢
Yasuyuki Goto
泰行 後藤
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JNC Corp
Original Assignee
Chisso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 医薬、農薬および液晶性化合物等の機能性材
料の製造原料として有用なフェノール誘導体の簡便かつ
効率的な製造方法を提供すること。 【解決手段】 一般式(1)で表されるボロン酸誘導体
に過酸化物を反応させることを特徴とする一般式(2)
で表されるフェノール誘導体の製造方法。 【化1】 式中、X1 〜X5 は水素原子、フッ素原子、塩素原子、
炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコ
キシ基、炭素数1〜3のハロアルキル基あるいは炭素数
1〜3のハロアルコキシ基を表し、Zは共有結合、-CH2
CH2-、-C≡C-または-(CH2)4-を表し、環Aは1,4−シ
クロヘキシレン基あるいは塩素原子あるいはフッ素原子
が置換していてもよい1,4−フェニレン基を表し、m
は0または1を表す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬、農薬および
液晶性化合物等の機能性材料の製造原料として有用なフ
ェノール誘導体の簡便かつ効率的な製造方法を提供する
ことである。
【0002】
【従来の技術】フェノール誘導体、中でもフルオロフェ
ノール誘導体は医薬、農薬および液晶性化合物等の機能
性材料の製造原料として有用であり、広く使用されてい
る(石川延男、小林義郎著「フッ素の化合物その化学と
応用」講談社サイエンティフィック出版)。中でも液晶
性化合物の開発分野においてはその合成原料としての必
要性から種々のフルオロフェノール誘導体が開発されて
いる。
【0003】液晶性化合物が有する光学異方性および誘
電率異方性を利用した液晶表示素子は時計をはじめとし
て電卓、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ
ー、テレビジョン等に広く利用され、その需要も年々増
加傾向にある。表示素子の方式にはこれまでに多数のも
のが考案されてきたが、現在はツイストネマチック(T
N)型、スーパーツイストネマチック(STN)型およ
び薄膜トランジスタ(TFT)型の3種類が主流となっ
ている。この中でもTFT方式はコントラスト、表示容
量、応答時間等の表示性能の面からテレビジョンやビュ
ーファインダー等の表示モードとして盛んに採用されて
いる。
【0004】これらTFT方式の表示素子に使用されて
いる液晶組成物のほとんどはフッ素系の液晶材料を中心
に構成されている。これはTFT方式においては素子自
身の構成上、高い比抵抗と電圧保持率(V.H.R)を必要と
し、フッ素系以外の材料ではこれらの要求を満たせない
からである(季刊化学総説 No.22,1994,液晶の化学学会
出版センター出版)。フッ素系液晶性化合物として以下
の化合物が知られている。
【0005】
【化2】
【0006】化合物(3)(特開昭63-44132号公報)お
よび(4)(特開平2-501311号公報)は現在TFT方式
の液晶材料として盛んに使用されている化合物であり、
中程度の誘電率異方性値(△ε=〜6)を有する。TF
T方式の液晶表示素子における近年の開発傾向は小型、
軽量で携帯できることを特徴とするテレビジョンやパー
ソナルコンピューターに代表されるように液晶表示素子
の小型、携帯化が中心に進められており、液晶材料の面
からはICの耐電圧との絡みから駆動電圧、すなわちし
きい値電圧(Vth)の低い液晶性化合物ならびに液晶組成
物の開発が主として行われている。
【0007】しきい値電圧(Vth)は以下の式(H.J.Deul
ing et al., Mol. Cryst. Liq. Cryst., 27(1975) 81)
で表されることが既に知られている。 Vth=π(K/ε0△ε)1/2 上式においてKは弾性定数、ε0 は真空の誘電率であ
る。この式から判るように、しきい値電圧を低下させる
には誘電率異方性値(△ε)を大きくするか、あるいは
弾性定数(K)を小さくするかの2通りの方法が考えら
れる。しかし実際には弾性定数のコントロールは既存の
技術では非常に困難であり、通常は誘電率異方性の大き
な液晶材料を使用し要求に対処しているのが現状であ
る。以上を背景として誘電率異方性(△ε)の大きな液
晶性化合物の開発が現在盛んに行われている。
【0008】現在までに開発された誘電率異方性の大き
な液晶性化合物としては以下に示す化合物を掲げること
ができる。
【0009】
【化3】
【0010】化合物(5)(特開平2-233626号公報記
載)は3、4、5−トリフルオロフェニル基を末端置換
基として有し、△ε=10程度の誘電率異方性値を有す
る化合物である。しかし、液晶表示素子の低電圧化の流
れには化合物(5)を使用しても対処できず、さらに大
きな誘電率異方性を有する化合物としてエステル誘導体
(6)(特開平2-233626号公報記載)が開発された。化
合物(6)はエステル基を有しないものと比較して、著
しく大きな誘電率異方性値(△ε=〜15)を有するほ
か、比較的低粘性であり、かつ高い電圧保持率を示すと
共に広いネマチック相温度範囲を有し、TFT方式の低
電圧液晶材料として非常に有望な化合物である。
【0011】エステル誘導体(6)の合成原料である
3、4、5−トリフルオロフェノール(7)の製造方法
については上記特許公報(特開平2-233626号)以外には
DavidFeldmann等の文献(J.Org. Chem., 1991, 56, 735
0)が知られているにすぎない。David Feldmann等の文
献にはポリフルオロベンゼンの相間移動触媒存在下にお
けるヒドロキシイオンの直接求核置換反応の詳細が報告
されているが、1、2、3、4−テトラフルオロベンゼ
ンを反応原料に選択した場合は、以下に示すように主と
して2、3、4−トリフルオロフェノールが生成し、
3、4、5−トリフルオロフェノールはほとんど生成し
ないことが記載されている。
【0012】
【化4】
【0013】さらに特開平2-233626号公報には、R.L.Ki
dwell 等(Org. Synth.,V, 918(1973)) の方法を応用し
た製造方法が記載されているが、本発明者らが同公報記
載の方法を追試したところ、目的物(7)以外に、副生
成物として3、4、5−トリフルオロブロモベンゼン由
来の臭素原子が置換した下記化合物(8)および(9)
が生成することが確認され、その精製に水素還元等の処
理工程を必要とし工業的製造方法としては適さないこと
が判明した。
【0014】
【化5】
【0015】上記3、4、5−トリフルオロフェノール
以外にもペルフルオロフェノール誘導体あるいはC
3 、OCF3 、OCHF2 またはOCH2 F基が置換
したフェノール、フルオロフェノール誘導体の製造につ
いても種々の方法が報告されているが、これらはいずれ
も以下の方法に大別できる。すなわち 1)ハロゲン置換誘導体の触媒存在下における加水分解
による製造方法(特開昭62-11716号) 2)アシル、ケトン誘導体のBaeyer Villiger 酸化によ
る製造方法(J.FluorineChem.,(1994),67(1),41) 3)ジアゾニウム塩の加水分解による製造方法(特開平
3-246244号) 4)フェノール誘導体へのフッ素置換による製造方法
(特開昭62-207229 号、特開平2-34335 号)である。
【0016】上記製造方法において、1)は酸あるいは
アルカリ性の条件下100 ℃以上の高温を必要とする為、
ペルフルオロベンゼン誘導体では置換したフッ素原子が
求核置換される可能性があり、対応できる化合物に限度
がある。また2)の方法ではペルフルオロベンゼンある
いはCF3 基等電子吸引基が置換している場合、Baeyer
Villiger 酸化反応自体が進行しないことが知られてい
ることから、2)についても対応できる化合物が限られ
る。3)についてもジアゾニウム塩の分解に酸性条件下
で100 ℃以上の高温を必要とする為、1)の方法と同様
にペルフルオロフェノールの合成には好適とは言えな
い。さらに4)の方法ではフッ素化に特殊な設備を必要
とし、さらに危険性の高いフッ素化剤を使用するため工
業的手法としては好ましくない。
【0017】このように、フルオロフェノール誘導体の
工業的製造方法として満足できるものは現在知られてお
らず、簡便かつ効率的な製造方法が待望されていた。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、医薬、農薬および液晶性化合物等の機能性材料の製
造原料として有用なフェノール誘導体の簡便かつ効率的
な製造方法を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前述の問題
を解決すべく鋭意検討した結果、広く市販されており、
入手が容易なブロモベンゼン誘導体から容易に調製でき
るボロン酸誘導体を過酸化物で酸化することにより、高
収率で目的とするフルオロフェノール誘導体が生成する
ことを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明
は、一般式(1)で表されるボロン酸誘導体に過酸化物
を反応させることを特徴とする、一般式(2)で表され
るフェノール誘導体の製造方法を提供するものである。
【0020】
【化6】
【0021】式中、X1 、X2 、X3 、X4 およびX5
は相互に独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭
素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキ
シ基、炭素数1〜3のハロアルキル基あるいは炭素数1
〜3のハロアルコキシ基を表し、Zは共有結合、-CH2CH
2-、-C≡C-または-(CH2)4-を表し、環Aは1,4−シク
ロヘキシレン基あるいは塩素原子あるいはフッ素原子が
置換していてもよい1,4−フェニレン基を表し、mは
0または1を表す。
【0022】本発明に使用される過酸化物の好ましい例
としては、過ぎ酸、過酢酸、過プロピオン酸、過酪酸、
過イソ酪酸、過吉草酸、過ピバル酸、過カプロン酸、過
ラウリン酸、過ミリスチン酸、過パルミチン酸、過ステ
アリン酸、過安息香酸、p−ニトロ過安息香酸、3,5
−ジニトロ過安息香酸、m−クロロ過安息香酸、過しゅ
う酸、過マロン酸、過こはく酸、過グルタル酸、過アジ
ピン酸、過ピメリン酸、過スベリン酸、過アゼライン
酸、過セバシン酸、過アクリル酸、過プロピオル酸、過
メタクリル酸、過クロトン酸、過オレイン酸、過フマル
酸、過フタル酸、過イソフタル酸、過テレフタル酸、過
トルイル酸、過けい皮酸、過マレイン酸、トリフルオロ
過酢酸、アルキルヒドロペルオキシドおよびアリールヒ
ドロペルオキシドが挙げられる。
【0023】また他の好ましい過酸化物の例としては、
ぎ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、p−ニ
トロ安息香酸、マレイン酸またはそれらの無水物と濃度
1〜99%の過酸化水素水とを反応させて調製した過酸
化物が挙げられる。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の方法で好適に製造できる
フェノール誘導体は、具体的には以下の一般式(2−
1)〜(2−35)で表される化合物である。
【0025】
【化7】
【0026】
【化8】
【0027】
【化9】
【0028】
【化10】
【0029】
【化11】
【0030】式中Y1 、Y2 、Y3 およびY4 は相互に
独立して水素原子、塩素原子またはフッ素原子を表し、
1 およびQ2 は相互に独立して炭素数1〜10のアル
キル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜3
のハロアルキル基あるいは炭素数1〜3のハロアルコキ
シ基を表し、Rは水素原子、塩素原子、フッ素原子、炭
素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキ
シ基、炭素数1〜3のハロアルキル基あるいは炭素数1
〜3のハロアルコキシ基を表し、環Aは前記と同一の意
味を表す。
【0031】本発明の方法で製造できるフェノール誘導
体(2)においてX1 、X2 、X3、X4 およびX5
相互に独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素
数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ
基、炭素数1〜3のハロアルキル基あるいは炭素数1〜
3のハロアルコキシ基を表す。さらに具体的にはアルキ
ル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基およびデシル基が挙げられ、アルコキシ基
としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブ
トキシ基、ペントキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチル
オキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基およびデ
シルオキシ基が挙げられる。
【0032】炭素数1〜3のハロアルキル基の具体例と
しては、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、
トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2
−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチ
ル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、ペル
フルオロエチル基、3−フルオロプロピル基、3,3−
ジフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフ
ルオロプロピル基、1,1,2,3,3,3−ヘキサフ
ルオロプロピル基およびペルフルオロプロピル基が挙げ
られ、また、炭素数1〜3のハロアルコキシ基の具体例
としては、モノフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキ
シ基、トリフルオロメトキシ基、2−フルオロエトキシ
基、2,2−ジフルオロエトキシ基、2,2,2−トリ
フルオロエトキシ基、1,1,2,2−テトラフルオロ
エトキシ基、ペルフルオロエトキシ基、3−フルオロプ
ロポキシ基、3,3−ジフルオロプロポキシ基、2,
2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ基、1,
1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ基およ
びペルフルオロプロポキシ基が挙げられる。
【0033】従来の技術の項でも説明したように特開平
2-233626号公報に開示されているR.L.Kidwell 等の製造
方法では、副生成物としてブロムベンゼン由来の臭素原
子がフェノール水酸基のオルト位に1つ置換した化合物
(8)および2つ置換した化合物(9)がそれぞれ生成
し、精製に水素還元等の処理工程を必要とするため、多
くの反応工程数を必要とするという問題があった。
【0034】本発明者等は、上記臭素原子の置換は、先
に示したように、Grignard試薬の調製から過酢酸による
ボロン酸エステル誘導体の過酢酸酸化までの反応工程を
ワンポットで実施していることに起因していると推定
し、ボロン酸誘導体として化合物を一旦分離、精製後、
過酸化物で酸化する方法を鋭意検討したところ、高収率
かつ高純度で目的物が得られることを見出した。さらに
種々のブロモベンゼン誘導体から容易に得られる(1)
式で表されるボロン酸誘導体に対して同様の反応を実施
したところ、同様に高収率かつ高純度で対応するフェノ
ール誘導体が得られることを見出した。
【0035】本発明において使用するボロン酸誘導体
(1)は Org.Synth.,Coll.Vol.4 P68に記載の方法で容
易に製造できる。すなわちブロモベンゼン誘導体(1
0)から常法に従い調製したGrignard試薬にホウ酸トリ
アルキルを作用させ、ボロン酸エステル誘導体(11)
とし、次いで水で加水分解することにより、ボロン酸誘
導体(1)を製造できる。
【0036】
【化12】
【0037】上記においてR’はアルキル基を表し、X
1 、X2 、X3 、X4 、X5 、Z、環Aおよびmは前記
と同一の意味を表す。
【0038】本発明において使用できる過酸化物として
は、あらゆる過酸化物が使用できるが、中でもカルボン
酸誘導体と過酸化水素水から容易に調製できるカルボン
酸過酸化物が好適である。さらに使用するカルボン酸誘
導体としては、入手の容易さ、大量スケールでの使用性
および経済性からぎ酸および酢酸が特に好適である。ま
た、広く市販されているm−クロロ過安息香酸、アルキ
ルヒドロペルオキシド類またはアリールヒドロペルオキ
シド類を使用しても何等問題はない。
【0039】上記過酸化物は基質1当量に対して1当量
以上であれば何等問題なく反応を実施できるが、転化率
を向上させる目的で2当量ないし20当量を使用するこ
とが好ましい。さらに未反応の過酸化物の還元処理を安
全に実施し、目的物の取り出しを容易にするため、2当
量ないし10当量を使用するのがより好ましく、製造す
るフェノール誘導体の製造単価を削減し、工業的製造方
法として大量スケールで実施する際には2当量ないし5
当量が最も好ましい。
【0040】反応温度は使用する過酸化物の種類と分解
点にもよるが、−70℃から過酸化物の分解温度までの
間で反応を実施することができる。より安全に反応を実
施するためには−70℃から70℃が好ましい。m−ク
ロロ過安息香酸等のように、過酸化物の状態で容易に入
手できる化合物を使用する場合には−70℃から室温が
好ましく、一方反応系内で過酸化物を発生させる場合、
例えばカルボン酸誘導体と過酸化水素水から過酸化物を
反応系内で調製する際には、効率よく過酸化物を生成さ
せ、かつ基質と反応させるために10℃から70℃が好
適である。
【0041】反応時間は基質の種類によって異なるが1
時間ないし24時間が好ましく、未反応の過酸化物を反
応系内で自然分解させるためには5時間ないし20時間
がさらに好ましい。大量スケールで実施する場合には目
的物を安全かつ容易に取り出すために、10時間ないし
20時間が好ましい。
【0042】反応溶媒は特に使用しなくても反応は容易
に進行するが、過酸化物と基質を穏和に反応させる目的
で水、ベンゼン、トルエン等の芳香族化合物、ヘキサ
ン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の
脂環式炭化水素、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチ
ルエーテル等の脂肪族エーテル化合物、テトラヒドロフ
ラン、ジオキサン等の環状エーテル化合物を使用するの
が好ましい。一方カルボン酸誘導体と過酸化水素水から
過酸化物を反応系内で調製する場合は使用するカルボン
酸誘導体をそのまま溶媒として使用することもできる。
【0043】反応終了後、目的物の取り出しは通常の有
機合成で使用される手法を用いることができる。すなわ
ち反応物をチオ硫酸ナトリウム水溶液あるいは亜硫酸水
素ナトリウム水溶液中に添加し、未反応の過酸化物を還
元後、抽出用の有機溶媒を加えよく撹拌し、有機層を分
離後、さらに水洗し、乾燥後、減圧下有機溶媒を除去
し、濃縮残査として純度90%以上の目的物を得ること
ができる。さらに蒸留あるいは再結晶することで純度9
9%以上の目的物を得ることができる。
【0044】
【実施例】以下実施例により本発明をより詳細に説明す
る。 実施例1 3,4,5−トリフルオロフェノール(一般式(2)に
おいてm=0、X1 =X2 =H、X2 =X4 =X5 =F
のもの)(化合物No. 13)の製造 1)ボロン酸誘導体の製造 撹拌機、温度計、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管
を備えた3L三口フラスコ中、削り状マグネシウム24.3
g(1.0mol) をテトラヒドロフラン(以下THF と略す)に
懸濁させ、窒素雰囲気下撹拌しながら3、4、5−トリ
フルオロブロモベンゼン215.0g(1.0mol)のTHF 溶液500m
l を50℃以下を保持しながら1時間40分を要して滴下し
た。滴下後温浴にて50℃を保ちながら2時間撹拌しGrig
nard試薬を熟成させた。次いで別に撹拌機、温度計、滴
下ロートおよび窒素導入管を備えた3L三口フラスコを
用意し、ホウ酸トリイソプロピル188.1g(1.0mol)を300m
lのTHF に溶解し、ドライアイス−アセトン浴にて-60
℃まで冷却後、撹拌しながら上記調製したGrignard試薬
を-55 ℃以下を保ちながら1時間20分を要して滴下し
た。滴下終了後さらに2時間同温度で撹拌し、ついで室
温まで昇温し、さらに9時間撹拌した。再度ドライアイ
ス−アセトン浴にて-30 ℃以下まで冷却し、水300ml を
滴下後、さらに3規定塩酸水溶液500ml を滴下し、2時
間撹拌した。遊離した赤褐色の有機層をジエチルエーテ
ルで抽出後、抽出層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20
0ml 、水(300mlx3) で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥し、減圧下溶媒を留去、濃縮し、黄土色の固体
152.8gを得た。これが3, 4, 5−トリフルオロフェニ
ルホウ酸である。 融点297.1 ℃
【0045】2)ボロン酸誘導体の過酢酸酸化によるフ
ェノール誘導体の製造 撹拌機、温度計、冷却管および滴下ロートを備えた300m
l 三口フラスコ中室温下、上記操作で得た3,4,5−
トリフルオロフェニルホウ酸15.0g(85.3mmol)をTHF50ml
に懸濁させ、酢酸10.2g(170.5mmol)を添加し、撹拌し
ながら30% 過酸化水素水38.7g(341.1mmol)を氷水で内温
を40℃以下に保ちながら20分を要して滴下した。滴下後
室温にて18時間撹拌し、反応溶液を15% チオ硫酸ナトリ
ウム水溶液に投入し反応を終了した。反応溶液はジエチ
ルエーテル200ml で抽出し、抽出層を水(150mlx3) で洗
浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下注
意しながら留去、濃縮し、反応物13.5g を得た。反応物
は減圧蒸留を行い、bp.92-94℃/41mmHgの留分を分取
し、無色結晶物10.9g を得た。ガスクロマトグラムにお
ける標準物質とのリテンションタイム値の比較、 1H−
NMRおよび19F−NMRの測定結果から、3,4,5
−トリフルオロフェノールであることを確認した。 GC純度 99.2% 実収率67.3% (使用した3,4,5−トリフルオロブロ
モベンゼンから算出した値)1 H-NMR (δppm) 6.0-6.3(1H,bs), 6.3-6.7(2H,m).19 F-NMR (δppm-CFCl3)-134.0, -170.5
【0046】実施例2 実施例1に準じ、次に示す化合物No.1〜180の化
合物を製造することができる。
【0047】
【化13】
【0048】
【化14】
【0049】
【化15】
【0050】
【化16】
【0051】
【化17】
【0052】
【化18】
【0053】
【化19】
【0054】
【化20】
【0055】
【化21】
【0056】
【化22】
【0057】
【化23】
【0058】
【化24】
【0059】
【化25】
【0060】
【化26】
【0061】
【化27】
【0062】
【化28】
【0063】
【化29】
【0064】沸点、その他性状の欄に示した数字に圧力
(mmHg)記載のないものは、1気圧での沸点を表し、性
状においてmp.は融点を、Cr−Nは結晶−ネマチッ
ク相転移温度、N−Isoはネマチック−等方性液体転
移温度を表す。
【0065】比較例 特開平2-233626号公報に開示されている製造方法にて
3,4,5−トリフルオロフェノールを合成し、得られ
た化合物の純度を分析すると共に、実収率を算出し、比
較対照とした。ただし、同公報に記載の方法で得られた
フェノール誘導体は、前述のとおりブロム置換体を含有
していたため、塩基としてトリエチルアミンの共存下、
5%パラジウム炭素を触媒として、3〜4kg/cm2の水素
圧で接触還元反応を行い、反応物を減圧蒸留することに
より精製した。表1に、実施例1と上記比較例における
実収率と化合物の純度を示す。ただし実収率は使用した
ブロムベンゼン誘導体から算出したものであり、純度は
GC純度を表す。
【0066】
【表1】 実収率(%) 化合物の純度(%) 実施例1 67.3 99.2 比較例 54.1 98.9
【0067】表1から、本発明の製造方法では公知の方
法と比較して約13%収率が向上したことがわかる。ま
た本発明の方法では、副生成物が認められず、反応混合
物の還元処理等を必要とせず、容易に高純度のフェノー
ル誘導体が製造できる。本発明の製造方法の原料となる
ボロン酸誘導体は広く市販されている種々のブロモベン
ゼン誘導体から容易に調製できるため、本発明の方法の
応用範囲は広く、さらに上述のように簡便な操作で目的
とするフェノール誘導体が得られることから、工業的製
造方法としても優れた方法と言える。
【0068】
【発明の効果】本発明方法によれば、入手の容易なブロ
モベンゼン誘導体からボロン酸誘導体を経由し、種々の
有用なフェノール誘導体を簡便かつ高収率で製造するこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 39/21 9155−4H C07C 39/21 39/23 9155−4H 39/23 39/24 9155−4H 39/24 39/26 9155−4H 39/26 39/27 9155−4H 39/27 39/28 9155−4H 39/28 39/367 9155−4H 39/367 39/373 9155−4H 39/373 39/42 9155−4H 39/42 41/26 7419−4H 41/26 43/23 7419−4H 43/23 A 7419−4H E

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)で表されるボロン酸誘導体
    に過酸化物を反応させることを特徴とする一般式(2)
    で表されるフェノール誘導体の製造方法。 【化1】 式中、X1 、X2 、X3 、X4 およびX5 は相互に独立
    して水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜10
    のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数
    1〜3のハロアルキル基あるいは炭素数1〜3のハロア
    ルコキシ基を表し、Zは共有結合、-CH2CH2-、-C≡C-ま
    たは-(CH2)4-を表し、環Aは1,4−シクロヘキシレン
    基あるいは塩素原子あるいはフッ素原子が置換していて
    もよい1,4−フェニレン基を表し、mは0または1を
    表す。
  2. 【請求項2】 過酸化物が、過ぎ酸、過酢酸、過プロピ
    オン酸、過酪酸、過イソ酪酸、過吉草酸、過ピバル酸、
    過カプロン酸、過ラウリン酸、過ミリスチン酸、過パル
    ミチン酸、過ステアリン酸、過安息香酸、p−ニトロ過
    安息香酸、3,5−ジニトロ過安息香酸、m−クロロ過
    安息香酸、過しゅう酸、過マロン酸、過こはく酸、過グ
    ルタル酸、過アジピン酸、過ピメリン酸、過スベリン
    酸、過アゼライン酸、過セバシン酸、過アクリル酸、過
    プロピオル酸、過メタクリル酸、過クロトン酸、過オレ
    イン酸、過フマル酸、過フタル酸、過イソフタル酸、過
    テレフタル酸、過トルイル酸、過けい皮酸、過マレイン
    酸、トリフルオロ過酢酸、アルキルヒドロペルオキシド
    またはアリールヒドロペルオキシドである請求項1に記
    載の製造方法。
  3. 【請求項3】 ぎ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオ
    ロ酢酸、p−ニトロ安息香酸、マレイン酸またはそれら
    の無水物と濃度1〜99%の過酸化水素水とを反応させ
    て調製した過酸化物を使用する請求項1に記載の製造方
    法。
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