JPH10251464A - 熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型品

Info

Publication number
JPH10251464A
JPH10251464A JP6055797A JP6055797A JPH10251464A JP H10251464 A JPH10251464 A JP H10251464A JP 6055797 A JP6055797 A JP 6055797A JP 6055797 A JP6055797 A JP 6055797A JP H10251464 A JPH10251464 A JP H10251464A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
thermoplastic resin
resin composition
polymer
monomer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6055797A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsunehisa Yamada
倫久 山田
Takashi Imaeda
俊 今枝
Hiroshi Omura
博 大村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOF Corp
Original Assignee
NOF Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NOF Corp filed Critical NOF Corp
Priority to JP6055797A priority Critical patent/JPH10251464A/ja
Publication of JPH10251464A publication Critical patent/JPH10251464A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリプロピレン系重合体の特徴を保持しつ
つ、良好な密着性、塗装性、耐衝撃性、を有する熱可塑
性樹脂組成物及びその樹脂成形品を提供する。 【解決手段】 ポリプロピレン系重合体に、下記式
(1) CH2=CR1−COOR2 ・・・(1) (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1
から8のアルキル基を表す。)で表される単量体を重合
して得られる重合体セグメントとビニル芳香族単量体を
重合して得られる重合体セグメントとが結合したブロッ
ク共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物である。ま
た、前記の熱可塑性樹脂組成物を用いて成型することに
よる、バンパー等に適した樹脂成型品である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性、塗装
性、密着性に優れた熱可塑性樹脂組成物およびその樹脂
成型品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン系重合体は機械的物性、
成形加工性、耐薬品性などに優れた性質を有しており、
かつ安価であるが、耐衝撃性、塗装性、密着性などに問
題がある。そのため例えば自動車のバンパ−に用いる場
合、耐衝撃性、塗装性を改良する目的で熱可塑性エラス
トマ−が添加されたポリプロピレン系重合体が開示され
ている(特開昭63−39951号公報)。そして、そ
の後プライマ−塗装、上塗り塗装を行う方法が広く行わ
れている。
【0003】また一方、ポリプロピレン系重合体の上記
欠点を改善するために、オレフィン系共重合体セグメン
トとビニル系共重合体セグメントとからなる多相構造熱
可塑性樹脂を、プロピレン系重合体にブレンドした組成
物が開示されている(特開平6−192490号公
報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開昭63−
39951号公報に開示されている組成物は、含ハロゲ
ン系有機溶剤による表面洗浄を行わないとプライマーと
の密着性が極端に低下する。また、特開平6−1924
90号公報に開示されている組成物は、塗装性、塗膜密
着性には優れているが、機械的物性、特に曲げ弾性率を
低下させるという欠点がある。従って、車体の軽量化要
求のため薄肉化された高剛性バンパーには使用できなか
った。
【0005】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであって、その目的はポリプロピレン系重合体
の特徴を保持しつつ、塗料に対する良好な密着性、塗装
性、機械的物性を有する熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成
形品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、第1の発明は(I)ポリプロピレン系重合体9
9.9〜50重量%と(II)ブロック共重合体0.1〜
50重量%とからなり、前記(II)ブロック共重合体
が、下記一般式(1) CH2=CR1−COOR2 ・・・(1) (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1
から8のアルキル基を表す。)で表される単量体を重合
して得られる重合体セグメント1〜70重量%と、ビニ
ル芳香族単量体または該単量体を30重量%以上含む単
量体混合物を重合して得られる重合体セグメント30〜
99重量%とから形成されていることを特徴とする熱可
塑性樹脂組成物である。第2の発明は、第1の発明の熱
可塑性樹脂組成物に、さらに熱可塑性エラストマーを配
合した熱可塑性樹脂組成物である。第3の発明では、第
1の発明又は第2の発明の熱可塑性樹脂組成物にさらに
無機フィラーを分散させた熱可塑性樹脂組成物である。
第4の発明では、第1の発明ないし第3の発明のいずれ
かの熱可塑性樹脂組成物を所定形状に成形した樹脂成型
品である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で用いる(I)ポリプロピ
レン系重合体とは、結晶性のポリプロピレンであって、
プロピレン単独重合体、又はプロピレンを主体とする他
のα−オレフィンとの共重合体をいう。共重合体の場合
には、プロピレンを75重量%以上含有することが望ま
しい。具体的には例えば、アイソタクチックポリプロピ
レン、結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体、
結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体、結晶性
プロピレン−ブテン−1ランダム共重合体等が代表的な
ものである。そしてこれらのポリプロピレン系重合体か
ら選択される1種又は2種以上が使用される。
【0008】本発明で用いられる(II)ブロック共重合
体とは、一般式(1)で表される単量体を重合して得ら
れる重合体セグメント1〜70重量%と、ビニル芳香族
単量体または該単量体を30重量%以上含む単量体混合
物を重合して得られる重合体セグメント30〜99重量
%とが化学的に結合したブロック共重合体である。
【0009】一般式(1)で表される単量体を重合して
得られる重合体セグメントの割合が1重量%未満の場
合、及び70重量%より多い場合、いずれも塗装性改良
効果が低くなるため、好ましくは5〜60重量%であ
る。
【0010】前記一般式(1)で表される単量体とは、
具体的には、例えばアクリル酸エチル、アクリル酸n−
ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メ
タクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル等であ
り、これらは1種又は2種以上を混合して用いることが
できる。
【0011】前記ビニル芳香族単量体を30重量%以上
含む単量体混合物を重合して得られる重合体セグメント
とは、ビニル芳香族単量体とそれ以外のラジカル共重合
が可能なビニル系単量体との混合物に基づく重合体セグ
メントから構成されており、塗装性改良の観点から混合
物中に占めるビニル芳香族単量体の割合が30重量%以
上、好ましくは50重量%以上含むものである。用いら
れるビニル芳香族単量体としては、具体的には、例えば
スチレン、核置換スチレン、例えばメチルスチレン、ジ
メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレ
ン、クロルスチレン、α−置換スチレン、例えばα−メ
チルスチレン、α−エチルスチレン等がある。
【0012】用いられるラジカル共重合が可能なビニル
芳香族単量体としては、具体的には(メタ)アクリル酸
エステル単量体、例えば(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸の炭
素数1〜20のアルキルエステル、(メタ)アクリロニ
トリル、ビニルエステル単量体、例えば酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル等を挙げることができる。また、ハロ
ゲン化ビニルないしビニリデン(特に、塩化ビニル、塩
化ビニリデン)、ビニルナフタレン、ビニルカルバゾ−
ル、フェニルないしシクロヘキシルなどのマレイミド、
その他のビニル系単量体も使用することができる。
【0013】次に、本発明におけるブロック共重合体の
製造方法について説明する。まず、公知の方法に従っ
て、一般式(1)で表された単量体の1種または2種以
上を重合して得られる重合体セグメントを合成する。こ
の方法としては、特に工業的な生産性の容易さ、多義に
わたる性能的な面より、例えば下記式 −{CO(CH24COO(C24O)3−CO(C
24COOO}10− で表される1分子中に2個以上のペルオキシ結合を持つ
ポリメリックペルオキシドを重合開始剤としたラジカル
重合により製造することが好ましい。
【0014】ポリメリックペルオキシドを重合開始剤と
した製造法を具体的に説明すると以下の通りになる。ま
ずポリメリックペルオキシドを用いて、一般式(1)で
表される単量体の共重合反応を行うことにより、連鎖中
にペルオキシ結合が導入されたペルオキシ結合含有ビニ
ル重合体を得る。これにビニル芳香族単量体または該単
量体を30重量%以上含むラジカル共重合性単量体を加
えて重合を行うと、ペルオキシ結合が開裂し、効率よく
ブロック共重合体が得られる。また、本発明における
(II)で示されたブロック重合体の割合は、(I)で示
されたプロピレン系重合体と(II)で示されたブロック
共重合体との総計中、(II)で示されたブロック共重合
体を0.1〜50重量%含むものである。(II)で示さ
れたブロック共重合体の割合が0.1重量%未満の場
合、塗装性改良効果が低くなるし、50重量%を越える
と耐衝撃性等のポリプロピレン系重合体の性質を損な
う。また前記ブロック共重合体は、合成中に副生するホ
モポリマーやランダム共重合体を除去せずに使用しても
良い。
【0015】また、第2の発明に使用する熱可塑性エラ
ストマーとしては、具体的には、例えばポリブタジエ
ン、スチレン−ジエン共重合体、アクリロニトリル−ブ
タジエン共重合体、ポリイソプレン等のジエン系ゴム、
スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレ
ン−ブタジエンブロック共重合体、エチレン−プロピレ
ン共重合ゴム、エチレンープロピレンージエン共重合ゴ
ム、エチレン系アイオノマー樹脂、水素化スチレン−イ
ソプレンブロック共重合体等がある。これらの熱可塑性
エラストマーの中では耐衝撃性、耐ガソリン性及び成型
品表面外観の面からエチレンープロピレン共重合ゴム、
エチレンープロピレンージエン共重合ゴムが好ましい。
さらに好ましくは、ムーニー粘度(ML1+4、100
℃)が5〜150のものである。これらの熱可塑性エラ
ストマーは1種又は2種以上を混合して使用することが
できる。
【0016】また熱可塑性エラストマーの添加量は機械
的物性及び耐熱性の観点からポリプロピレン系重合体
(I)100重量部に対して1〜300重量部、さらに
好ましくは1〜200重量部、特に好ましくは1〜10
0重量部である。1重量部未満では樹脂組成物の弾力性
が小さくなりやすく、300重量部を超えると耐熱性が
低下しやすい。
【0017】また、第1の発明又は第2の発明の熱可塑
性樹脂組成物100重量部に対して200重量部以下の
範囲で無機フィラーをさらに配合することができる。こ
の配合量が200重量部を越えると成形品の衝撃強度が
低下するので好ましくない。その無機フィラーとしては
粉粒状、平板状、鱗片状、針状、球状、または中空状及
び繊維状等が挙げられる。具体的には、硫酸カルシウ
ム、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、
クレー、珪藻土、タルク、アルミナ、珪砂、ガラス粉、
酸化鉄、金属粉、グラファイト、炭化珪素、窒素珪素、
シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、カーボンブラ
ック等の粉粒状充填剤、雲母、ガラス板、セリサイト、
パイロファイト、アルミフレーク等の金属箔、黒鉛等の
平板状もしくは鱗片状充填剤、シラスバルーン、金属バ
ルーン、ガラスバルーン、軽石等の中空状充填剤、ガラ
ス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、ウイスカー、金
属繊維、シリコーンカーバイト繊維、アスベスト、ウオ
ストナイト等の鉱物繊維等の例を挙げることができる。
【0018】これらの中でも炭酸カルシウム、硫酸バリ
ウム、タルクが好ましい。さらに機械的物性、成形品の
表面外観、耐熱性の面からタルクが最も好ましい。タル
クは一般に市販されているものでよいが、特に好ましい
のは平均粒径が1〜4μmのものである。
【0019】またこの無機フィラーの表面は、ステアリ
ン酸、オレイン酸、パルチミン酸またはそれらの金属
塩、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたは
それらの変性物、有機シラン、有機ボラン、有機チタネ
−ト等を使用して表面処理を施すことが好ましい。これ
らの無機フィラーは単独または2種以上を用いることが
できる。
【0020】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造
は、温度150〜350℃で各成分を溶融・混合するこ
とによって行われる。前記温度が150℃未満の場合、
溶融が不完全であったり、また溶融粘度が高く、混合が
不充分となり、成形物に相分離や層状剥離が現れるため
好ましくない。また350℃を超えると、混合される樹
脂の分解が起こり好ましくない。
【0021】溶融・混合する方法としては、バンバリ−
ミキサ−、加圧ニ−ダ−、混練押出機、二軸押出機、ロ
−ル等の通常用いられる混練機により行うことができ
る。また、本発明では、更に本発明の要旨を逸脱しない
範囲において、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウ
ム等の無機難燃剤、ハロゲン系、リン系等の有機難燃
剤、金属粉、酸化防止剤、紫外線防止剤、滑剤、分散
剤、カップリング剤、発泡剤、架橋剤、着色剤等の添加
剤などを添加しても差し支えない。
【0022】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物の用途
としては、機械的物性、成形加工性、耐衝撃性、密着性
および塗装性に優れるため、様々な用途で使用が可能で
ある。例えば自動車部品としてのバンパ−、モール、マ
ッドガード、その他電気製品、建築用部材等に利用でき
る。そのうち特に自動車用バンパーとしての用途に好適
である。
【0023】
【実施例】以下に参考例、実施例及び比較例をあげて本
発明をさらに詳しく説明する。表中の略号は次の通りで
ある。 EA:アクリル酸エチル St:スチレン BA:アクリル酸ブチル MMA:メタアクリル酸メチル
【0024】参考例1(ブロック共重合体の合成) 容積5000mlのステンレス製オ−トクレ−ブに、純
水2500gを入れ、さらに懸濁剤としてポリビニルア
ルコ−ル2.5gを溶解させた。次に重合開始剤として
のポリメリックペルオキシド「ポリパーAT」(商品
名、日本油脂(株)製)1.5gをアクリル酸エチル3
00g中に溶解させ、この溶液を前記オートクレーブ中
に投入、攪拌した。次いでオ−トクレ−ブ中の温度を7
0〜72℃に上げ、その温度で1時間維持して重合し
た。次いでスチレン700gをオートクレーブ中に投入
し、温度を80℃に上げ、その温度で5時間重合反応を
行い、重合を完結させ、水洗及び乾燥してポリアクリル
酸エチル−ポリスチレンブロック共重合体を得た。得ら
れたポリマーを熱分解ガスクロマトグラフィーを用いて
組成分析を行ったところ、アクリル酸エチルとスチレン
の重量比が32:68であり、ほぼ仕込比通りのポリマ
ーが得られていることがわかった。
【0025】参考例2〜6 参考例1と同様の方法で各ブロック共重合体を合成し
た。合成したブロック共重合体の仕込組成とガスクロマ
トグラフィー分析の結果を表1に示す。
【0026】
【表1】 (注)表中、上段はモノマーの種類を表し、下段はその
仕込割合(重量部)又はポリマー中の存在割合(重量
%)を表している。
【0027】実施例1 ポリプロピレン系重合体「Jアロイ650G」(日本ポ
リオレフィン(株)製の商品名)に、参考例1で得られ
たポリアクリル酸エチル−ポリスチレンブロック共重合
体を5重量%溶融・混合した。
【0028】溶融・混合の方法は、各樹脂をドライブレ
ンドした後、シリンダ−温度230℃に設定されたスク
リュ−径30mmの同軸方向二軸押出機に供給し、押出
後造粒した。造粒した樹脂は射出成形によって試験片を
作成した。試験片の大きさは次のとうりである。
【0029】 アイゾット衝撃試験片:13mm×65mm×6mm 曲げ弾性率試験片:80mm×10mm×4mm 荷重たわみ温度試験片:13mm×130mm×6mm 塗膜密着性試験片:45mm×90mm×4mm なお、試験法は次のとうりである。
【0030】(1)アイゾット衝撃試験(ノッチ付き)
(表中、アイゾットと記した。また単位はkg・cm/
cm2である。):JIS K7110 (2)曲げ弾性率試験(単位はkgf/mm2であ
る。):ASTM D790 (3)加重たわみ温度試験(表中、荷重たわみと記し
た。また測定は18.6kg/cm2で実施した。):
JIS K7207 (4)塗膜密着性試験:試験片にポリオレフィン系プラ
イマーを塗装し、その上にアクリル系塗料を焼き付け塗
装した後、縦横各11本の1mm間隔の直交する切れ目
をナイフで素材に到達するまで入れて、格子状に一辺の
長さ1mmの正方形を100個作った後、その格子へセ
ロハン粘着テ−プ(ニチバン(株)製)を貼りつけ、瞬
時にはがしたとき剥がれずに残った正方形の数で表し
た。 (5)外観:模擬バンパ−(長さ460mm×幅120
mm×高さ56mm、バンパ−裏面に4本のリブを具
備、厚さ3mm)を成形し、外観(フロ−マ−クの有
無)を調べた。 試験結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】実施例2〜8 実施例1と同様の方法で各試験片を作成し、それぞれの
試験を行った。各試験片の配合組成及び試験結果を表2
及び3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】実施例9〜13 ポリプロピレン系重合体「Jアロイ630G」(日本ポ
リオレフィン(株)製の商品名)と参考例1で得たブロ
ック共重合体と熱可塑性エラストマー「EPC2P」
(日本合成ゴム(株)製の商品名)をブレンドした例を
表4に示した。また、これらの組成物を実施例と同様の
方法で各試験片に成形し、それぞれの試験を行った。試
験結果を表4に示す。
【0035】
【表4】
【0036】実施例14〜18 熱可塑性樹脂組成物に、さらに無機添加剤としてタルク
を添加した例を表5に示した。
【0037】
【表5】 (注1)富士タルク工業社製の商品名「LMS−20
0」であり、配合割合は熱可塑性樹脂分100重量部に
対する重量%で示した。
【0038】参考例7(ランダム共重合体の合成) 容積5000mlのステンレス製オ−トクレ−ブに、純
水2500gを入れ、さらに懸濁剤としてポリビニルア
ルコ−ル2.5gを溶解させた。次に重合開始剤として
のベンゾイルパーオキサイド「ナイパーBW」(商品
名、日本油脂(株)製)1.5gをスチレン700g及
びアクリル酸エチル300gの混合溶液中に溶解させ、
この溶液を前記オートクレーブ中に投入、攪拌した。次
いでオ−トクレ−ブ中の温度を80℃に上げ、その温度
で5時間維持して重合した。その後90℃に温度を上げ
1時間反応させ重合を完結させた。この重合体を取りだ
し、水洗及び乾燥してアクリル酸エチル−スチレンラン
ダム共重合体を得た。得られたポリマーを熱分解ガスク
ロマトグラフィーを用いて組成分析を行ったところ、ア
クリル酸エチルとスチレンの重量比が31:69であ
り、ほぼ仕込比通りのポリマーが得られていることがわ
かった。
【0039】参考例8〜10 参考例1と同様の方法で各ブロック共重合体を合成し
た。合成した共重合体の仕込組成とガスクロマトグラフ
ィー分析結果を表6に示す。
【0040】
【表6】 (注)表中、上段はモノマーの種類を表し、下段はその
仕込割合(重量部)又はポリマー中の存在割合(重量
%)を表している。
【0041】参考例11(多層構造熱可塑性樹脂の合
成) 容積5000mlのステンレス製オートクレーブに、純
水2500gを入れ、さらに懸濁剤としてポリビニルア
ルコ−ル2.5gを溶解させた。この中にエチレン−酢
酸ビニル共重合体「NUC3150」(商品名、日本ユ
ニカー(株)製)800gを入れ、攪拌・分散した。別
に重合開始剤としてのベンゾイルパーオキサイド「ナイ
パーBW」(商品名、日本油脂(株)製)1.5g及び
ラジカル重合性有機過酸化物としてt−ブチルペルオキ
シメタクロイルオキシエチルカーボネート4gを、ビニ
ル単量体としてステアリルメタクリレート200gに溶
解させ、この溶液を前記オートクレーブ中に投入して攪
拌した。
【0042】次いでオートクレーブを60〜65℃に昇
温し、2時間攪拌することにより上記重合開始剤、ラジ
カル重合性有機過酸化物およびビニル単量体をエチレン
−酢酸ビニル共重合体中に含浸させた。次いで、含浸量
が50%以上になっていることを確認した後、温度を8
0〜85℃に上げ、その温度で4時間維持して重合を完
結させた。この重合体を取りだし、水洗及び乾燥してグ
ラフト化前駆体を得た。次いで、この得られたグラフト
化前駆体をラボプラストミル一軸押出機((株)東洋精
機製作所製)で200℃にて押し出し、グラフト化反応
させることにより多層構造熱可塑性樹脂を得た。
【0043】比較例1〜7 参考例7で得られたランダム共重合体を用い、参考例8
〜10で合成したブロック共重合体を用い、及び参考例
11で合成した多層構造熱可塑性樹脂を用いて表7に示
す配合組成で、実施例1に準じて各試験を行った。その
結果を表7に示す。
【0044】
【表7】
【0045】以上のことより、ポリプロピレン系重合体
または、ポリプロピレン系重合体と熱可塑性エラストマ
ーとの混合物、またはこれらの何れかに、さらに無機フ
ィラーを分散させた混合物に、本発明の特定のブロック
共重合体を特定量配合させた熱可塑性樹脂組成物は、耐
衝撃性、耐熱性、塗装性および成形性に優れた組成物で
あることがわかる。それに対し、比較例の組成物は塗膜
の密着性が悪く、性能が不十分であることがわかる。
【0046】
【発明の効果】第1の発明では、ポリプロピレン系重合
体の機械的性質などの特性を保持しつつ優れた密着性、
塗装性を発揮することができる。第2の発明では第1の
発明の特質を保持しつつ耐衝撃性等の機械的物性を向上
させることができる。第3の発明では第1から第2の発
明の特質を保持しつつ優れた耐熱性を付与できる。第4
の発明では、樹脂成形品が第1から第3の発明の熱可塑
性樹脂組成物から容易に成形でき、得られた樹脂成形品
は熱可塑性樹脂組成物のもつ物性を十分に発揮でき、特
に自動車用バンパーとして好適に利用できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (I)ポリプロピレン系重合体99.9
    〜50重量%と(II)ブロック共重合体0.1〜50重
    量%とからなり、前記(II)ブロック共重合体が、下記
    一般式(1) CH2=CR1−COOR2 ・・・(1) (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1
    から8のアルキル基を表す。)で表される単量体を重合
    して得られる重合体セグメント1〜70重量%と、ビニ
    ル芳香族単量体または該単量体を30重量%以上含む単
    量体混合物を重合して得られる重合体セグメント30〜
    99重量%とから形成されていることを特徴とする熱可
    塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物
    に、さらに熱可塑性エラストマーを配合した熱可塑性樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組
    成物にさらに無機フィラーを分散させた熱可塑性樹脂組
    成物。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の熱
    可塑性樹脂組成物を所定形状に成形してなる樹脂成型
    品。
JP6055797A 1997-03-14 1997-03-14 熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型品 Pending JPH10251464A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6055797A JPH10251464A (ja) 1997-03-14 1997-03-14 熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6055797A JPH10251464A (ja) 1997-03-14 1997-03-14 熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10251464A true JPH10251464A (ja) 1998-09-22

Family

ID=13145710

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6055797A Pending JPH10251464A (ja) 1997-03-14 1997-03-14 熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10251464A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999048971A1 (fr) * 1998-03-23 1999-09-30 Kuraray Co., Ltd. Composition de resine ignifuge
US10208193B2 (en) 2013-06-24 2019-02-19 Dow Global Technologies Llc Reinforced polypropylene composition

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999048971A1 (fr) * 1998-03-23 1999-09-30 Kuraray Co., Ltd. Composition de resine ignifuge
US10208193B2 (en) 2013-06-24 2019-02-19 Dow Global Technologies Llc Reinforced polypropylene composition

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH06145439A (ja) 幅広い分子量分布を有するポリプロピレンを含む耐衝撃性の改良されたグラフトコポリマー組成物
JPH06345828A (ja) 改質ポリオレフィン系樹脂組成物およびそれを含有してなるポリオレフィン系樹脂組成物
JP3039560B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその用途
US4914155A (en) Thermoplastic resin composition
JP3622017B2 (ja) 表面保護フィルム・シート
JPH08100090A (ja) 熱可塑性オレフィン系エラストマー組成物およびその製造方法
KR900008734B1 (ko) 고강성 프로필렌 단독 중합체 조성물
EP0612800B1 (en) Propylene polymer compositions
JP3255266B2 (ja) ガスケット
JPH0515740B2 (ja)
JP4318436B2 (ja) 芳香族ビニル系水素添加ゴム組成物
JPH10251464A (ja) 熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型品
JP2574168B2 (ja) プロピレン重合体組成物
JP4700186B2 (ja) 複合エラストマー組成物
JP2607099B2 (ja) 高剛性エチレン−プロピレンブロック共重合体組成物
JPH083009B2 (ja) 高剛性プロピレン単独重合体組成物
JPH06192490A (ja) 熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成形品
JPH07258557A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2003165872A (ja) ポリオレフィン系樹脂組成物
JP2562915B2 (ja) 高剛性高溶融粘弾性エチレン−プロピレンブロック共重合体組成物
JP2011184594A (ja) 架橋組成物、架橋組成物の製造方法、成形体
JPH08143780A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0689186B2 (ja) 成形体および塗装された成形体
JP3185232B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0464327B2 (ja)