JPH10234734A - 超音波プローブ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は、ゼリー状の音響インピーダンス
整合用媒体を用いることなく、容易に且つ正確に皮下脂
肪の測定を行うことができる超音波プローブを提供する
ことを課題とする。 【解決手段】 被験者の皮膚に吸引パッド６を直接接触
し、吸引ポンプ９を作動させて吸引ホース８を介して空
気室７内の空気を吸引すると、吸引パッド６と被験者の
皮膚とで囲まれた空間内の空気が空気孔１０を介して吸
引され、吸引パッド６及び保護膜５の表面が皮膚に密着
する。この状態で、リード線１１及び１２間にパルス電
圧を印加して圧電体４から超音波を発生し、体内からの
反射波を圧電体４で受信することにより脂肪分の厚みが
測定される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、超音波プローブ
に係り、特に皮下脂肪の測定等に使用される超音波プロ
ーブに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、人体の皮下脂肪の測定には超音
波プローブが用いられ、皮膚の上から超音波をパルス的
に発生して体内からの反射波を受信することにより脂肪
分の厚みが測定される。このとき、超音波プローブと皮
膚との間に空気層が存在すると、空気と皮膚との間の音
響インピーダンスの差に起因して空気と皮膚との界面で
反射が生じるために正確な測定ができなくなる。そこ
で、従来は、皮膚の上にゼリー状の音響インピーダンス
整合用媒体を塗布し、この媒体に超音波プローブを密着
させることにより空気層の介在を回避しつつ測定を行っ
ていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ゼリー
状の媒体は粘着性を有するために、被験者に不快感を与
え、衣服に付着する虞れがあり、また測定後に皮膚及び
超音波プローブからゼリー状の媒体を拭き取る必要があ
って、使用に際しては好ましいものではなかった。ま
た、ゼリー状の媒体を使用しても、空気層を形成せずに
超音波プローブを密着させるには熟練を要し、熟練者で
なければ正確な測定を行うことが難しいという問題点も
あった。

【０００４】この発明は、このような従来の問題点を解
消するためになされたもので、ゼリー状の音響インピー
ダンス整合用媒体を用いることなく、容易に且つ正確に
皮下脂肪の測定を行うことができる超音波プローブを提
供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明に係る超音波プ
ローブは、超音波を送信すると共にその反射波を受信す
る圧電体を有する超音波プローブであって、圧電体の周
辺部に形成されると共に測定対象物に付着する付着手段
を備えたものである。付着手段は、圧電体の周辺部に形
成され且つ測定対象物の表面に接触する吸引パッドと、
吸引パッド内の空気を吸引する吸引装置とから構成する
ことができる。あるいは、圧電体の周辺部に配設された
粘着テープから付着手段を構成することもできる。ま
た、付着手段を圧電体の周辺部に配設されたゲル状シー
トから形成してもよい。さらに、凹状の前面を有する圧
電体を用いることもできる。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を添
付図面に基づいて説明する。 実施の形態１．図１にこの発明の実施の形態１に係る超
音波プローブの構造を示す。円筒状のケーシング１の中
に接着剤等によってプローブ基体２が固定され、プロー
ブ基体２の前面に反射板３を介して圧電体４が設けら
れ、圧電体４の前面が保護膜５によって被覆されてい
る。なお、このプローブ基体２は反射板３及び圧電体４
の固定基板であり、反射板３が反射波を受けて歪むのを
抑え、反射板３が好適な条件で振動するバッキング材と
して機能している。ケーシング１の前端周縁部には前方
へ向かって拡がるような円錐形状の吸引パッド６が形成
され、吸引パッド６の前端部は開放されている。プロー
ブ基体２の後端部とケーシング１の後端部との間に空気
室７が画成され、この空気室７に可撓性の吸引ホース８
を介して吸引ポンプ９が接続されている。ケーシング１
の側壁には吸引パッド６内の空間と空気室７とを連通す
る空気孔１０が形成されている。

【０００７】また、圧電体４の前面上には図示しない表
電極が形成され、圧電体４の裏面には銅等からなる反射
板３が接触し、この反射板３が裏電極を兼ねている。こ
れら表電極と裏電極にそれぞれリード線１１及び１２の
一端が電気的に接続され、リード線１１及び１２の他端
は空気室７から吸引ホース８内を通って外部へと引き出
されている。なお、図１において、１３は吸引ポンプ９
に設けられた吐出弁を示している。また、吸引ホース８
及び吸引ポンプ９によりこの発明の吸引装置が形成され
ている。

【０００８】圧電体４としては、例えばフッ化ビニリデ
ン（以下、２フッ化エチレンという）、２フッ化エチレ
ンと１フッ化エチレン（すなわち、フッ化ビニル）との
２元共重合体、２フッ化エチレンと１フッ化エチレンと
フッ化トリフルオロエチレン（以下、３フッ化エチレン
という）との３元共重合体、２フッ化エチレンと３フッ
化エチレンとの２元共重合体等の高分子圧電材料や、あ
るいはこれらの高分子圧電材料とチタン酸ジルコン酸鉛
（ＰＺＴ）、リチウムタンタレート（ＬＴ）、チタン酸
鉛（ＰＴ）等の無機圧電材料との複合体等が用いられ
る。なお、２フッ化エチレンの場合には、延伸後に分極
されて圧電体とされ、共重合体の場合は熱処理後に分極
されて圧電体とされる。また、吸引パッド６は、皮膚と
の密着性を有するものであればよいが、例えば、軟質塩
化ビニル、シリコンゴム、エチレン酢酸ビニル樹脂等
で、直径１０〜６０ｍｍの大きさが好ましい。

【０００９】次に、この実施の形態１に係る超音波プロ
ーブの動作について説明する。まず、ケーシング１を持
って測定対象物である被験者の皮膚に吸引パッド６を直
接接触させる。このとき、従来用いられていたようなゼ
リー状の音響インピーダンス整合用媒体は塗布しない。
次に、吸引ポンプ９を作動させて吸引ホース８を介して
空気室７内の空気を吸引する。空気室７は空気孔１０を
通して吸引パッド６内と連通しているため、吸引パッド
６と被験者の皮膚とで囲まれた空間内の空気が空気孔１
０、空気室７及び吸引ホース８を介して吸引ポンプ９へ
と吸引される。その結果、吸引パッド６は皮膚に密着
し、保護膜５の表面も皮膚に密着する。

【００１０】この状態で、リード線１１及び１２間に９
０Ｖ程度のパルス電圧を印加することにより圧電体４か
ら超音波をパルス的に発生し、体内からの反射波を圧電
体４で受信すると、リード線１１及び１２間に３Ｖ程度
の電圧信号が生じ、この電圧信号をオシロスコープ等で
計測することにより脂肪分の厚みが測定される。

【００１１】このように、空気室７内の空気を吸引する
ことにより、保護膜５の表面を皮膚に密着させるので、
これらの間に空気層が介在することが防止され、正確な
測定を行うことが可能となる。特に、人体の皮膚には、
いたる箇所に汗腺が存在するため、吸引パッド６内の空
気を吸引して減圧にすると、微量ではあるが汗腺から汗
が出て、この汗が従来のゼリー状媒体の代替品として作
用し、超音波プローブと皮膚との密着性を向上させる。
また、空気の吸引により、吸引パッド６が皮膚に吸着さ
れるので、ケーシング１から手を離しても吸引パッド６
が皮膚から離れず、この超音波プローブの皮膚への固定
が容易となる。

【００１２】なお、吸引ポンプ９の代わりに、注射器を
吸引ホース８の端部に接続して手動により空気を吸引す
ることもできる。さらに、注射器の代わりに、ピペット
や大型のスポイトに用いられるような蛇腹状の吸引部を
吸引ホース８の端部に接続しても、手動によって空気の
吸引を行うことができる。

【００１３】実施の形態２．この発明の実施の形態２に
係る超音波プローブを図２に示す。ケーシング２１は、
有底円筒状の収容部２２と、収容部の前端周縁部に前方
へ向かって拡がるように形成された円錐形状の密着パッ
ド２３とを有し、収容部２２内にプローブ本体２４が収
容される。プローブ本体２４は、図１に示したプローブ
と同様に、プローブ基体の前面に反射板を介して圧電体
が設けられ、圧電体の前面に保護膜が設けられたもので
ある。このプローブ本体２４の前面、すなわち保護膜の
表面とケーシング２１の一部との上に粘着テープ２５が
配設されている。

【００１４】この超音波プローブは、粘着テープ２５を
その粘着力を利用して被験者の皮膚に直接貼り付け、こ
の状態で測定が行われる。粘着テープ２５の粘着力を利
用するため、極めて簡単に且つしっかりと超音波プロー
ブを皮膚に密着固定することができ、正確な測定が可能
となる。

【００１５】なお、粘着テープ２５として両面テープを
使用し、測定毎に剥がして新たな両面テープを用いるよ
うにすれば、衛生的に好ましく、また粘着力が低下して
皮膚との密着性が劣ることもない。

【００１６】また、図３に示されるように、吸引パッド
を用いずに、収容部のみのケーシング３１内にプローブ
本体３４を収容し、その前面に粘着テープ３５を設けて
もよい。このようにすれば、極めて小型の超音波プロー
ブが実現される。さらに、図４に示されるように、収容
部のみのケーシング４１内に前面が凸状に形成されたプ
ローブ本体４４を収容し、その前面に粘着テープ４５を
設けてもよい。この場合、プローブを皮膚に押し付ける
だけで、粘着テープ４５と皮膚との間に空気層を形成す
ることなく容易にプローブを皮膚に密着固定することが
できる。上述した粘着テープ２５、３５及び４５の代わ
りに、図５に示されるように、空気抜き用の細長い開口
部５０が形成された粘着テープ５５を用いることもでき
る。

【００１７】また、粘着テープは必ずしもプローブ本体
の前面に位置する必要はなく、例えば図６に示されるよ
うに、円筒状のケーシング６１内にプローブ本体６４を
収容し、ケーシング６１の前端面上に環状の粘着テープ
６５を設けてもよい。

【００１８】実施の形態３．この発明の実施の形態３に
係る超音波プローブを図７に示す。この実施の形態３の
超音波プローブは、図３に示したプローブにおいて、粘
着テープ３５の代わりに付着手段として、３ｍｍ程度以
下の厚さのゲル状シート７５を用いたものである。ゲル
状シート７５は、例えばシリコーン（シロキサン重合
体）を主材としたゲル状物質からなり、適度な粘着力を
有し、さらにアルコール等でシートの表面を洗浄しても
その粘着力はほとんど低下しないという性質を有してい
る。また、超音波を減衰させることなく通過させる性質
も有している。ゲル状シート７５は、液体と固体の中間
の状態にあり、このため測定面である被験者の皮膚に凹
凸があっても、空気層を介在させることなく皮膚の表面
に粘着させることができる。従って、空気層の介在を回
避した正確な測定が容易になると共にゲル状シート７５
の表面をアルコールで洗浄しながら何回も使用すること
ができる。

【００１９】図６に示したプローブの粘着テープ６５と
同様に、ゲル状シート７５は、必ずしもプローブ本体の
前面に位置する必要はなく、図８に示されるように、円
筒状のケーシング６１内にプローブ本体６４を収容し、
ケーシング６１の前端面上に環状のゲル状シート７５を
設けてもよい。

【００２０】実施の形態４．この発明の実施の形態４に
係る超音波プローブを図９に示す。この実施の形態４の
超音波プローブは、図１に示したプローブにおいて、プ
ローブ基体２の前面を凹面とし、この凹面の上にそれぞ
れ均一な厚さの反射板３、圧電体４及び保護膜５を順次
形成したものである。すなわち、圧電体４は凹状の前面
を有している。このように圧電体４の前面を凹面とする
ことにより、圧電体４から発せられる超音波の指向性が
拡大され、プローブを被験者の皮膚に当てたときに皮膚
に対するプローブの角度に左右されることなく正確な測
定を行うことが可能となる。また、吸引ポンプ９で空気
室７内の空気を吸引したときに、その吸引力により皮膚
が部分的に引っ張られて保護膜５上の凹部が埋められ、
皮膚と保護膜５との密着性が向上する。

【００２１】なお、図９に示した超音波プローブでは、
反射板３と圧電体４の周縁部がケーシング１内に収めら
れ、保護膜５の周縁部がケーシング１の前端面上に設け
られているが、保護膜５の周縁部も反射板３及び圧電体
４の周縁部と同様にケーシング１内に収めるように構成
してもよい。

【００２２】実施の形態５．この発明の実施の形態５に
係る超音波プローブを図１０に示す。この実施の形態５
の超音波プローブは、図３に示したプローブにおいて、
プローブ本体３４の前面を凹面とし、その上に粘着テー
プ３５を設けたものである。このようにしても、超音波
の指向性の拡大及び皮膚への密着性を向上することがで
きる。なお、図６に示したプローブのように、ケーシン
グ３１の前端面上のみに環状の粘着テープ３５を設ける
ようにしてもよい。

【００２３】また、粘着テープ３５の代わりに、実施の
形態３で用いたゲル状シートをプローブ本体３４の凹面
上に設ける、あるいはケーシング３１の前端面上のみに
環状に設けることもできる。さらに、図１１に示される
ように、プローブ本体３４の前面上に形成された凹部内
に凸状のゲル状シート８５を埋め込んで、皮膚に当たる
プローブの前面を平面状にすることもできる。

【００２４】この発明に係る超音波プローブは、圧電体
４の前面に形成された保護膜５を皮膚に密着させるよう
に構成されているため、極めて薄く且つ小型のプローブ
が実現され、例えば米粒大の超音波プローブを形成する
こともできる。このため、衣服を身に着けたままで、容
易に皮下脂肪の厚みを測定することが可能となる。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、ゼリー状の音響インピーダンス整合用媒体を用いる
ことなく、容易に且つ正確に皮下脂肪の測定を行うこと
が可能となる。したがって、ゼリー状媒体の使用によっ
て被験者に不快感を与えたり、衣服を汚すことがなく、
また測定後に皮膚や超音波プローブからゼリー状媒体を
拭き取る必要がなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の形態１に係る超音波プローブ
を示す断面図である。

【図２】実施の形態２に係る超音波プローブを示し、
（ａ）は断面図、（ｂ）は平面図である。

【図３】実施の形態２の変形例に係る超音波プローブを
示し、（ａ）は断面図、（ｂ）は平面図である。

【図４】実施の形態２の他の変形例に係る超音波プロー
ブを示す断面図である。

【図５】実施の形態２で用いられる粘着テープの変形例
を示す平面図である。

【図６】実施の形態２のさらに他の変形例に係る超音波
プローブを示し、（ａ）は断面図、（ｂ）は平面図であ
る。

【図７】実施の形態３に係る超音波プローブを示す断面
図である。

【図８】実施の形態３の変形例に係る超音波プローブを
示す断面図である。

【図９】実施の形態４に係る超音波プローブを示す断面
図である。

【図１０】実施の形態５に係る超音波プローブを示す断
面図である。

【図１１】実施の形態５の変形例に係る超音波プローブ
を示す断面図である。

【符号の説明】

１，２１，３１，４１，６１ ケーシング ２ プローブ基体 ３ 反射板 ４ 圧電体 ５ 保護膜 ６ 吸引パッド ７ 空気室 ８ 吸引ホース ９ 吸引ポンプ １０ 空気孔 １１，１２ リード線 ２４，３４，４４，６４ プローブ本体 ２５，３５，４５，５５，６５ 粘着テープ ７５，８５ ゲル状シート

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 超音波を送信すると共にその反射波を受
   信する圧電体を有する超音波プローブであって、 圧電体の周辺部に形成されると共に測定対象物に付着す
   る付着手段を備えたことを特徴とする超音波プローブ。
2. 【請求項２】 前記付着手段は、圧電体の周辺部に形成
   され且つ測定対象物の表面に接触する吸引パッドと、吸
   引パッド内の空気を吸引する吸引装置とを有することを
   特徴とする請求項１に記載の超音波プローブ。
3. 【請求項３】 前記付着手段は、圧電体の周辺部に配設
   された粘着テープからなることを特徴とする請求項１に
   記載の超音波プローブ。
4. 【請求項４】 前記付着手段は、圧電体の周辺部に配設
   されたゲル状シートからなることを特徴とする請求項１
   に記載の超音波プローブ。
5. 【請求項５】 前記圧電体は凹状の前面を有することを
   特徴とする請求項１〜４のいずれか一項に記載の超音波
   プローブ。