JPH10231476A - 有機el素子 - Google Patents

有機el素子

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JPH10231476A
JPH10231476A JP3501197A JP3501197A JPH10231476A JP H10231476 A JPH10231476 A JP H10231476A JP 3501197 A JP3501197 A JP 3501197A JP 3501197 A JP3501197 A JP 3501197A JP H10231476 A JPH10231476 A JP H10231476A
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JP
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organic
group
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light emitting
complex
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Application number
JP3501197A
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English (en)
Inventor
Shinko Kamikawa
真弘 上川
Hiroo Miyamoto
裕生 宮本
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Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高輝度で、耐久性のある、ピーク波長が60
0nm以上の有機EL素子を提供する。 【解決手段】 少なくとも陽極、有機発光層、有機電子
輸送層および陰極を構成要素として含む有機EL素子に
おいて、当該有機発光層と陰極との間にホールブロッキ
ング層を設けるとともに、当該有機発光層に、式(1)
または式(3)により表されるジアミン化合物を発光物
質の主成分として用い、かつ、式(2)で表されるEu
錯体をドーパントの主成分として用いる。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、エレクトロルミ
ネッセンスを利用した有機発光素子(以下、有機EL素
子)に関し、特に、EL発光のピーク波長が600nm
以上の、高輝度であって、しかも長時間使用しても劣化
の少ない有機EL素子に関する。
【0002】
【従来の技術】1963年に、アントラセンの結晶に直
流電場を印加すると発光する、いわゆるエレクトロルミ
ネッセンス現象が観測されて以来、様々な観点から当該
EL現象を示す有機EL素子材料およびそれを用いた有
機EL素子の研究が行われてきており、1987年に
は、T.W.TangやS.A.VanSlykeによ
り、蛍光性金属キレート錯体分子とホール輸送性ジアミ
ン系分子の薄膜を積層させた構造により、低電圧直流駆
動での高輝度発光を実現させている。
【0003】ここで、従来の有機EL素子の構造として
は、「有機EL素子開発戦略」(編集次世代表示デバイ
ス研究会、1992年、(株)サイエンスフォーラム刊
行)に記載されているように、一般に、有機発光層が有
機電子輸送層を兼ねた、陽極、有機ホール輸送層、有機
発光層および陰極からなる二層構造−A型、または、有
機発光層が有機ホール輸送層を兼ねた、陽極、有機発光
層、有機電子輸送層および陰極からなる二層構造−B
型、あるいは、有機ホール輸送層および有機電子輸送層
がそれぞれ有機発光層とは独立して設けられた、陽極、
有機ホール輸送層、有機発光層、有機電子輸送層および
陰極からなる三層構造型であつて、適宜、これらの構造
に併せてホールブロッキング層や電子ブロッキング層
が、発光効率をさらに高めるために設けられているもの
である。
【0004】そして、より具体的には、例えば二層構造
−A型では、陽極として、ガラス基板にスパッタリング
法等で製膜された酸化インジウムスズ(ITO)等の透
明電極が用いられ、有機ホール輸送層には、銅フタロシ
アニン、式(8)で表される1,1´−ビス−(4−
N,N´−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン、
式(1)で表されるN,N´−ジフェニル−N,N´−
(3−メチルフェニル)−1,1´−ビフェニル−4,
4´−ジアミン(以下、TPD)等のジアミン化合物お
よびその誘導体等が一般に用いられ、さらに有機発光層
には、式(9)で表されるトリス(8−キノリノール)
アルミニウム(以下、Alq)等が用いられ、陰極に
は、マグネシウム、マグネシウム−銀合金、アルミニウ
ム等の金属が用いられていた。
【0005】そして、適宜、有機発光層における発光効
率を高めるために、ドーパントとして、式(6)で表さ
れるヘテロ環を有するEu錯体や、式(10)で表され
る4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−p−ジメチ
ルアミノスチリル−4H−ピランや、あるいはクマリン
等が、有機発光層に、約0.1〜3モル%の範囲で添加
されて用いられていた。
【0006】
【化7】
【0007】そして、各種有機EL素子材料の改良、開
発が行われており、特に、ホール輸送材料は研究がさか
んであり、特公昭34−10966、特開昭58−65
440あるいはUSP5061569等に、TPDを初
めとして、種々のホール輸送材料が開示されている。
【0008】また、有機EL素子材料の一環として、ド
ーパントの研究もなされており、特に、式(6)で表さ
れるヘテロ環を有するEu錯体は、「Jpn.J.Ap
pl.Phys.」、vol.34(1995)、p
p.1883〜1887に記載されているように、主
に、陽極、有機ホール輸送層、有機発光層および陰極か
らなる二層構造−A型の有機EL素子の有機発光層にお
いて、Alq等の発光物質に対する、蒸着容易なドーパ
ントとして研究されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
有機EL素子、特に、600nm以上の長波長のEL発
光をする有機EL素子において、(1)発光輝度に乏し
い、(2)有機EL素子の駆動に伴う発熱等のために発
光物質が劣化しやすい、という問題があった。
【0010】もちろん、前述したように、各種有機EL
素子材料の改良、開発が行われており、特に、ホール輸
送材料は研究が進んでいるものの、その研究の中心は、
「有機EL素子開発戦略」にも記載されているように、
有機ホール輸送層におけるホール輸送材料としてのもの
であり、ホール輸送性能が高い材料を、有機発光層にお
ける発光物質として使用するとの試みはほとんどなされ
ていなかった。
【0011】また、ドーパントの研究においても、当該
ドーパントをホール輸送性能が高い特定の物質と組み合
わせて、有機発光層に使用するという試みは、ほとんど
なされていなかった。
【0012】すなわち、従来から、高輝度で、耐久性の
ある赤色発光有機EL素子、より具体的には、ピーク波
長が600nm以上であって、15V未満の低電圧の負
荷により、100cd/m2 以上の輝度の、EL発光が
可能な、耐熱性、耐酸化性を有する有機発光層を備えた
有機EL素子が望まれていた。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明によれば、少な
くとも陽極、有機発光層、ホールブロッキング、有機電
子輸送層および、陰極を構成要素として含む有機EL素
子において、当該有機発光層の発光物質として、式
(1)で表される、N,N´−ジフェニル−N,N´−
(3−メチルフェニル)−1,1´−ビフェニル−4,
4´−ジアミン(以下、TPD)を用い、かつ、式
(2)で表されるEu錯体をドーパントの主成分として
用いる。
【0014】
【化8】
【0015】(R1 は、置換または非置換の炭素数1〜
20のアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基
を表し、R2 は、水素またはヒドロキシ基、あるいは置
換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、シクロ
アルキル基またはアリール基を表す。) また、この発明の別な態様によれば、少なくとも陽極、
有機発光層、ホールブロッキング、有機電子輸送層およ
び、陰極を構成要素として含む有機EL素子において、
当該有機発光層の発光物質として、式(3)で表され
る、N,N´−ジフェニル−N,N´−ジナフチル−
1,1´−ビフェニル−4,4´−ジアミン(以下、N
PD)を用い、かつ、式(2)で表されるEu錯体をド
ーパントの主成分として用いる。
【0016】
【化9】
【0017】そこで、まず、この発明の特徴たる有機発
光層について説明する。すなわち、有機発光層は、陽極
から注入されたホールと陰極から注入された電子とが再
結合し、かかる再結合のエネルギーにより、有機発光層
における有機発光物質を励起させてEL発光を生じる層
とする。
【0018】そして、この発明においては、当該有機発
光層に、式(1)で表されるTPDまたは式(3)で表
されるNPDを用いることを必須要件とする。なぜなら
ば、TPDおよびNPDは、(1)イオン化ポテンシャ
ルが小さく、かつホール輸送性が高く、(2)その一方
で、ホールブロッキング層を設けることにより、ホール
の移動性を比較的容易に制御でき、(3)特定のEu錯
体をドーパントとして使用することにより、耐熱性や耐
酸化性が飛躍的に向上し、結果として、ピーク波長が6
00nm以上の赤色発光において、高い輝度を長時間持
続させることができるためである。
【0019】なお、この発明に用いられるTPDおよび
NPDは、それぞれの誘導体を含む広い意味であり、よ
って、この明細書でTPDおよびNPDという時は、そ
れぞれの単独使用はもちろんのこと、それぞれの誘導体
の単独使用あるいは、TPDまたはNPDと、それぞれ
の誘導体との混合使用をも意味するものである。
【0020】また、TPDおよびNPDの誘導体とは、
より具体的に言えば、分子内に含まれるベンゼン環また
はナフタレン環に存在する少なくとも1つの水素が、ヒ
ドロキシ基、メチル、エチル、ハロゲン化メチル等のア
ルキル基、シクロペンタン、シクロヘキサン等のシクロ
アルキル基あるいは、ベンゼン環、ナフタレン環等のア
リール基等により置換されたものをいい、各種誘導体が
この発明の使用に好適である。
【0021】次に、この発明に用いられるTPDおよび
NPDの諸物性について説明する。
【0022】まず、TPDのガラス転移点については、
60〜200℃の範囲内であることが好適である。その
理由は、TPDのガラス転移点がかかる範囲にあれば、
耐熱性や耐酸化性が良好であるばかりか、真空蒸着法等
により、容易にTPDの薄膜形成が可能なためである。
【0023】また、TPDのイオン化ポテンシャルにつ
いては、5.0〜5.8eVの範囲内であることが好適
である。その理由は、TPDのイオン化ポテンシャルが
かかる範囲にあれば、陽極を介して優れたホールの注入
効率が得られるためである。
【0024】そして、同様に、NPDのガラス転移点に
ついては、90〜200℃の範囲内であることが好適で
ある。その理由は、NPDのガラス転移点がかかる範囲
にあれば、特定のEu錯体をドーパントとして組み合わ
せることを条件に、TPDほどでは無いにしても、良好
な耐熱性や耐酸化性が得られるばかりか、真空蒸着法等
により、容易にNPDの薄膜形成が可能なためである。
【0025】また、NPDのイオン化ポテンシャルにつ
いては、5.0〜5.8eVの範囲内であることが好適
である。その理由は、NPDのイオン化ポテンシャルが
かかる範囲にあれば、TPDと同じく、陽極を介して優
れたホールの注入効率が得られるためである。
【0026】その他、TPDおよびNPD、さらにはそ
れらの誘導体の合成方法については、特に限定されるも
のでは無いが、例えば、ウルマン(Ullmann)反
応により、ハロゲン化アリールとアリールアミンからジ
アリールアミンとして、当該TPDおよびNPDを作製
することが可能である。そして、さらに、式(1)また
は式(3)で表されるTPDまたはNPDの化合物が合
成されているか否かは、赤外分光光度計やNMRを用い
て、容易に確認することが可能である。
【0027】次に、この発明において使用されるEu錯
体について説明する。すなわち、TPDまたはNPD
に、式(2)で表されるEu錯体を主成分としたドーパ
ントを添加することが必要である。なぜならば、TPD
またはNPD単独では、耐熱性や耐酸化性が不十分なば
かりか、波長が600nm以上の、高輝度の赤色系のE
L発光をさせることが困難なためである。
【0028】ここで、式(2)で表されるEu錯体につ
いてより詳細に説明すると、置換基R1 としては、電子
供与性の高いものが好適であり、具体的に、炭素数1〜
20の置換または非置換のアルキル基、シクロアルキル
基またはアリール基が好適である。
【0029】なぜならば、かかる範囲の炭素数を有する
置換基を用いることにより、より強い電子供与性を示す
ことが可能となり、置換基R2 から吸引した電子を発光
部位であるEu金属を介して、電子を外部に効率良く押
し出すことができ、高い発光輝度が得られるためであ
る。
【0030】また、かかる炭素数を有する置換基であれ
ば、Eu錯体自身の耐耐性、耐酸化性が良好になり、あ
るいは置換基の立体障害等によりβ−ジケトンの反応性
が低下して、当該Eu錯体を合成することが困難となる
おそれも少ないためである。
【0031】ここで、特に、式(2)で表されるEu錯
体のうち、式(4)で表されるアルコキシ基を有するE
u錯体、式(5)で表されるフルオレン基を有するEu
錯体、あるいは式(6)で表されるヘテロ環を有するE
u錯体が、電子供与性の高い置換基R1 を有するEu錯
体として、この発明に好適である。
【0032】
【化10】
【0033】(R3 は、置換または非置換の炭素数1〜
20のアルキル基またはシクロアルキル基を表し、R4
は、水素またはヒドロキシ基、あるいは置換または非置
換の炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基ま
たはアリール基を表す。)
【0034】
【化11】
【0035】(R5 は、水素またはヒドロキシ基、ある
いは置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、
シクロアルキル基またはアリール基を表す。)
【0036】
【化12】
【0037】(R6 は、水素またはヒドロキシ基、ある
いは置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、
シクロアルキル基またはアリール基を表す。) 式(4)で表されるアルコキシナフチル基を有するEu
錯体は、当該アルコキシナフチル基末端にさらに含まれ
る電子供与性の高いアルコキシ基が、β−ジケトンの炭
素原子のパラ位に位置することにより、置換基R2 で吸
引した電子を、直接の発光部位であるEuを介して、外
部により強く押し出すことができるため、さらに強い電
子供与性を示すことが可能となり、結果として高い蛍光
強度が得られる点で、この発明に好適である。
【0038】なお、式(4)で表されるEu錯体のアル
コキシナフチル基の好適例としては、置換または非置換
のメトキシナフチル基、エトキシナフチル基、プロポキ
シナフチル基、ブトキシナフチル基、シクロプロポキシ
ナフチル基、シクロブトキシナフチル基、ターシャリー
ブトキシナフチル基等であり、特に、メトキシナフチル
基は、化学的にも安定であり、また、あまり嵩高く無い
ため、合成する際にも、障害になりずらいという利点が
あり、この発明に最適である。
【0039】また、この発明において、式(5)で表さ
れるフルオレン基を有するEu錯体を使用することを好
適とするのは、当該Eu錯体は、電子供与性の高いフル
オレン基を、β−ジケトンの末端に位置して有してお
り、前述したアルコキシナフチル基と同様に置換基R2
で吸引した電子を、直接の発光部位であるEuを介し
て、外部により強く押し出すことができると考えられる
ためである。
【0040】さらに、式(6)で表されるヘテロ環を有
するEu錯体は、アルコキシナフチル基やフルオレン基
ほど電子供与性は高く無いものの、他のEu錯体の置換
基と比較すれば、優れた電子供与性を有するヘテロ環を
有しており、また従来から深く研究がなされており、入
手が容易という利点があるためである。
【0041】一方、式(2)で表されるEu錯体におけ
る置換基R2 は、置換基R1 とは異なり、電子吸引性の
高いものが好適であり、具体的に、水素またはヒドロキ
シ基あるいは炭素数1〜20の置換または非置換のメチ
ル基、エチル基等のアルキル基、シクロペンタン、シク
ロヘキサン等のシクロアルキル基または、ベンジル基、
ナフチル基等のアリール基が好適に使用可能である。
【0042】特に、ハロゲン化アルキルは、電子吸引性
がより高い点で、本発明に好適であり、より具体的に
は、CF3 、C25 、C37 であり、電子吸引性が
より高い上にあまり嵩高くなく、一般的材料を用いて、
分子内への導入を容易に行える点から、この発明に最適
である。
【0043】ここで、式(2)における置換基R2 の炭
素数は、1〜20の範囲が好適である。その理由は、か
かる範囲の炭素数を有する置換基を用いることにより、
強い電子吸引性を示すことがより容易となり、また一方
で、耐熱性が低下したりあるいは、反応性が低下して、
当該Eu錯体を合成することが困難となるおそれが少な
いためである。
【0044】よって、かかるバランスがより良好なた
め、置換基R2 としてのアルキル基またはシクロアルキ
ル基の炭素数は、より好適には1〜10の範囲である。
【0045】また、式(2)で表されるEu錯体は、フ
ェナントロリン環を有していることが必要である。当該
フェナントロリン環をEu錯体内に導入することによ
り、蒸発性を向上させることができ、真空蒸着法等によ
り、有機EL素子の発光層における薄膜形成を容易に行
えるためである。
【0046】ここで、フェナントロリン環は、形成する
3つの環の両端の環が、少なくとも1つの窒素を有して
いる複素環式芳香族環基であり、フェナントロリン環を
形成する3つの環が、それぞれ、ヒドロキシ基、メチル
基、エチル基等のアルキル基、シクロペンタン、シクロ
ヘキサン等のシクロアルキル基、あるいはベンジル基、
ナフチル基等のアリール基等の置換基を有する誘導体で
あることも可能である。
【0047】なお、この明細書で、Eu錯体と言うとき
は、当該Eu錯体の誘導体も含む広い意味であり、この
発明においては、式(2)で表されるEu錯体の単独使
用はもちろんのこと、当該Eu錯体の誘導体の単独使
用、あるいは式(2)で表されるEu錯体と当該Eu錯
体の誘導体との混合使用も好適に可能である。
【0048】次に、この発明に使用される、式(2)で
表されるEu錯体の諸物性について説明する。まず、当
該Eu錯体の蛍光強度について説明すると、一般に、有
機EL素子の発光輝度は、発光物質やドーパントを初め
として、構成要素の材料等により大きくかわるが、発光
物質やドーパントの単独の蛍光強度が高いものほど、当
該材料を用いて有機EL素子を作製した場合にも、高い
発光輝度が得られると言われている。
【0049】したがって、この発明に使用される、式
(2)で表されるEu錯体の蛍光強度も値が高い程好適
であるが、具体的には、赤色系の長波長である600〜
650nmの波長範囲において、式(6)で表されるヘ
テロ環を有するEu錯体の蛍光強度を基準として、少な
くとも同等、より好適には5%以上、最適には、10〜
100%高いことである。
【0050】なお、蛍光強度の測定方法としては、例え
ば、蛍光分光光度計を用いて、テトラヒドロフラン(T
HF)等の溶剤に対して、1×10-4mol/lの濃度
になるように対象となるEu錯体を溶解させて測定する
ことが好適である。
【0051】また、この発明に使用される、式(2)で
表されるEu錯体の融点については、示差熱走査型熱量
計(DSC)等を用いて、融解ピークの位置から測定す
ることができるが、例えば、100〜500℃の範囲が
好適である。その理由は、当該Eu錯体がかかる温度範
囲の融点を有すれば、有機EL素子における発光層の耐
熱性が良好となり、一方で、当該Eu錯体が、容易に結
晶化するおそれも少なくなり、さらには当該Eu錯体を
用いて容易に真空蒸着を行うことができるためでもあ
る。よって、かかるバランスがより良好な観点から、こ
の発明に使用される、式(2)で表されるEu錯体の融
点としては、200〜450℃の範囲がより好適であ
る。
【0052】さらに、この発明に使用される、式(2)
で表されるEu錯体の熱分解温度については、熱天秤計
(TGA)等を用いて、質量が半減する温度として測定
チャートから求めることができるが、例えば、200〜
500℃の範囲が好適である。その理由は、当該Eu錯
体が、かかる範囲の熱分解温度を有すれば、有機EL素
子における発光層の耐熱性が良好となり、また、当該E
u錯体を用いて容易に真空蒸着を行うことができるため
である。よって、かかるバランスがより良好な観点か
ら、この発明に使用される、式(2)で表されるEu錯
体の熱分解温度としては、300〜450℃の範囲がよ
り好適である。
【0053】次に、この発明に使用される、式(2)で
表されるEu錯体の添加量について説明する。すなわ
ち、当該Eu錯体の添加量としては、有機EL素子の輝
度等を考慮して定めることが好適であるが、具体的に、
例えば、有機発光層に0.01〜20モル%の範囲内で
含まれることが好適である。その理由は、ドーパントと
しての十分な添加効果が得られるとともに、一方でキャ
リア輸送能力の低下により、有機EL素子の輝度や寿命
が低下したりするおそれが少ないためである。
【0054】よって、かかるバランスがより良好な観点
から、式(2)で表されるEu錯体の添加量としては、
0.1〜10.0モル%、最適には、0.2〜3.0モ
ル%の範囲内とするのが良い。
【0055】なお、式(2)で表されるEu錯体の有機
発光層における添加量は、当該Eu錯体と発光物質との
蒸発速度比率を制御することにより、容易に調節するこ
とが可能である。
【0056】さらに、次に、この発明に使用される、式
(2)で表されるEu錯体の合成例について説明する。
但し、当該Eu錯体において、かかる合成方法に限定さ
れることなく、種々の公知の合成方法をとることが可能
である。
【0057】すなわち、この発明に使用される、式
(2)で表されるEu錯体の合成方法の一例として、例
えば、2−アルコキシナフタレンとハロゲン化アセチル
を、フリーデルクラフト反応を利用して反応させた後、
クライゼン縮合反応を用いて、ハロゲン化アルキルカル
ボン酸エステルを付加させることにより、まず特定のβ
−ジケトンを得て、それと、フェナントロリンとユーロ
ピウム塩を反応させることにより、合成することが可能
である。また、あらかじめ、フルオレン基を有するβ−
ジケトンやヘテロ環を有するβ−ジケトンを入手して使
用すれば、フェナントロリンとユーロピウム塩を混合し
て反応させることにより、合成することも可能である。
【0058】次に、この発明における有機発光層の構成
について説明する。前述したように、有機発光層は、陽
極から注入されたホールと陰極から注入された電子とが
再結合して発するエネルギーにより、発光物質を励起し
て発光させる機能を有するものである。よって、かかる
有機発光層の厚さも、高い発光輝度を示すか否かの観点
から、定めることが好適であるが、一方で、耐久性の高
い有機EL素子を得るために、有機EL素子の内部抵抗
の増加や有機発光層の機械的耐久性等も考慮する必要が
ある。
【0059】そして、より具体的な有機発光層の厚さ
は、例えば10〜1000nmの範囲内が好適である。
その理由は、かかる範囲内であればホールと電子の再結
合エネルギーが電極に吸収される割合が少なくなり、ま
た、有機発光層の膜厚の増加に伴う有機EL素子の内部
抵抗値の増加もあまり問題とならないためであり、さら
には、一定の有機発光層の機械的耐久性も得られるため
である。よって、かかるバランスがより好適な観点か
ら、有機発光層の厚さは、より好適には、15〜500
nmであり、最適には、20〜100nmの範囲内であ
る。
【0060】なお、有機発光層に使用される材料が、ホ
ール輸送性も有する場合には、一般に、有機EL素子に
有機ホール輸送層を別途設ける必要はない。そして、こ
の発明に用いられる、NPDおよびTPDは、前述した
ように、発光物質としての機能のほかに、優れたホール
輸送性を有しており、この発明の有機EL素子におい
て、有機ホール輸送層を設けることは必ずしも必須要件
ではなく、逆に、この発明は、有機ホール輸送層を省略
したり、あるいは可及的に薄くすることにより、製造を
容易にしたり、あるいは有機EL素子の内部抵抗を減少
させることができるという利点を有している。
【0061】但し、陽極からのホールを、有機発光層に
さらに効率良く導入したい場合、あるいは当該有機発光
層に、ホール輸送性を有しないか、あるいはホール輸送
性に乏しい発光物質を、NPDと混合して使用する場合
には、図2に示すように、陽極と有機発光層との間に、
厚さ1〜1000nm、より好適には5〜100nmの
有機ホール輸送層を設けることも、ホール輸送性の調節
のために好適である。
【0062】次に、この発明の有機EL素子におけるホ
ールブロッキング層について説明する。すなわち、ホー
ルブロッキング層は、NPDおよびTPDの優れたホー
ル輸送性のために、有機発光層を透過しやすいホールを
有効に遮蔽し、NPDおよびTPDを発光物質として機
能あらしめるものであり、有機発光層と有機電子輸送層
との間に設けられる。
【0063】ここで、当該ホールブロッキング層の材料
としては、イオン化ポテンシャルが大きく、ホール移動
度の小さいものであれば好適に使用可能であるが、特
に、式(7)で表されるトリアゾール化合物およびその
誘導体の、双方またはいずれか一方を、主成分としたも
のが好適である。
【0064】
【化13】
【0065】なぜならば、トリアゾール化合物およびそ
の誘導体は、イオン化ポテンシャルが6.0eV以上と
高く、優れたホール遮蔽効果が得られるためであり、ま
た、当該化合物は、真空蒸着法等により、容易に薄膜形
成ができ、有機EL素子材料としての使い勝手が良好な
ためでもある。そして、さらには、トリアゾール化合物
およびその誘導体が、この発明に好適であるというの
は、トリアゾール化合物およびその誘導体の紫外線の吸
収波長は、一般に300〜400nm(3.1〜4.1
eV)であり、エネルギーレベル的に、かかる範囲の波
長を有する化合物であれば、電子の移動性に対して、あ
まり悪影響を与えないためである。
【0066】ここで、当該ホールブロッキング層の厚さ
は、ホールブロッキング効果や機械的強度、さらには、
有機EL素子の内部抵抗の増加等を考慮して定めること
が好適であるが、具体的には、例えば0.1〜1000
nmの範囲内とすることが可能である。その理由は、当
該厚さであれば、一定の機械的強度や、一定のホールブ
ロッキング効果が得られるとともに、ホールブロッキン
グ層に起因する有機EL素子の内部抵抗の増加もあまり
問題とならないためである。よって、かかるバランスが
より良好であり、また、ホールブロッキング層の厚さの
制御が容易なことから、当該ホールブロッキング層の厚
さは、より好適には、1〜100nm、最適には、15
V未満の低電圧の印加により、100cd/m2 以上の
高い輝度がより容易に得られやすいことから5〜30n
mの範囲内とするのが良い。
【0067】なお、当該ホールブロッキング層の厚さ
は、真空蒸着法における、蒸着時間や蒸着速度等を制御
することにより、容易に調整することが可能である。
【0068】次に、この発明における有機EL素子の有
機電子輸送層について説明する。すなわち、有機電子輸
送層は、陰極から注入された電子を、有機発光層に伝達
する機能を有するものとする。当該有機電子輸送層の材
料としては、金属キレート化合物、多環縮合炭化水素、
ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ペリレン系化
合物等を好適に用いることができる。
【0069】そして、金属キレート化合物のうち、アル
ミニウムキレート化合物は、特に電子輸送性が高い点
で、この発明に好適であり、中でも、式(9)で表され
るAlqは、電子輸送性に優れ、耐熱性が高く、しかも
使用実績もある点で、本発明における有機電子輸送層の
材料として最適である。
【0070】また、当該有機電子輸送層の厚さは、電子
輸送性、有機EL素子の内部抵抗の増加および機械的強
度等を考慮して定めることが好適であるが、具体的に、
例えば10〜1000nmの範囲内が好適である。その
理由は、当該厚さであれば、一定の電子輸送性および薄
膜の機械的強度が得られるとともに、有機電子輸送層に
起因する有機EL素子の内部抵抗の増加もあまり問題と
ならないためである。
【0071】よって、かかるバランスがより良好であ
り、また有機電子輸送層の厚さの制御が容易なことか
ら、より好適には、15〜500nm、最適には、20
〜100nmの範囲内とするのが良い。
【0072】なお、当該有機電子輸送層の厚さは、真空
蒸着法における、蒸着時間や真空度等を制御することに
より、容易に調整することが可能である。
【0073】次に、この発明の有機EL素子における、
電極(陽極と陰極)について説明する。すなわち、陽極
は、電圧を外部から印加することによりホールを注入す
る機能を有する。そのため、陽極材料としては、仕事関
数の大きな(概ね4.0eV以上)金属や電気伝導材料
を用いることができる。具体的には、酸化インジウムス
ズ(ITO)、SnO2 、ZnOなどの透明酸化物導電
材料、または金等の金属が好適である。
【0074】なお、一般に、有機EL素子においては陽
極側に発光させるため、陽極の材料としては、可視光域
の光透過率が優れている点から、透明酸化物導電材料の
使用が好適である。但し、金等の金属を用いる場合に
は、EL光の透過を良くするために、膜厚を、10〜4
0nmの範囲内の半透明薄膜とすることが望ましい。
【0075】一方、陰極は、有機発光層および有機ホー
ル輸送層への電子の注入効率が優れている点から、仕事
関数の小さい(概ね4.0eV以下)金属や合金が好適
である。そして、陰極材料として、より具体的には、マ
グネシウム、インジウム、アルミニウム等の金属あるい
はマグネシウムとアルミニウム、マグネシウムとインジ
ウム、あるいはアルミニウムとリチウム等の合金が使用
に好適である。特に、マグネシウムは、電子の注入効率
に優れているとともに、安価で、化学的に安定な点で、
この発明の陰極材料として最適である。
【0076】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて、図1および2を用いて、より具体的に説明する。
【0077】図1は、この発明における、二層構造−B
型の有機EL素子の一例である。ガラス基板10の上
に、酸化インジウムスズ(ITO)等が、スパッタリン
グ等により積層されて陽極12として形成されており、
その上に、TPDまたはNPDおよび式(2)で表され
るEu錯体からなる有機発光層14、ホールブロッキン
グ層16、有機電子輸送層18および陰極20が、順次
蒸着等により積層されている。そして、陽極12と陰極
20が電源22に接続されて、有機EL素子100が構
成されている。
【0078】かかる有機EL素子100の構成によれ
ば、まず、電源22により所定の電圧が電極に印加され
ることにより、陽極12には、ホールが注入され、そし
て、注入されたホールは速やかに有機発光層14へと移
動する。その際、ホールは、この発明に用いられたTP
DまたはNPDの優れたホール輸送性により、有機発光
層14を透過しようとするが、ホールブロッキング層1
6により有効に遮蔽されて、有機発光層14内にとどま
ることになる。
【0079】一方、電源22から陰極20には、電子が
注入され、そして、注入された電子は、有機電子輸送層
18およびホールブロッキング層16を介して、有機発
光層14へと移動させられる。
【0080】そして、当該電子は、有機発光層14にお
いて、ホールブロッキング層16により遮蔽されて有機
発光層14にとどまったホールと、再結合し、当該再結
合のエネルギーにより、この発明における発光物資であ
るTPDまたはNPDを励起させ、そして、励起された
TPDまたはNPDのエネルギーがEu錯体に移り、結
果として、有機EL素子100は、ピーク波長が600
nm以上の、赤色系の高輝度のEL発光をする。そし
て、さらには、有機EL素子100は、TPDまたはN
PDと組み合わされた、式(6)で表されるEu錯体か
らなる、耐熱性に優れた材料を発光物質として用いてい
ることにより、当該高輝度のEL発光が持続する。
【0081】図2は、この発明における、有機ホール輸
送層を可及的に薄くした、三層型構造の有機EL素子の
一例である。ガラス基板10の上に、インジウムスズ酸
化物(ITO)等がスパッタリング等により積層されて
陽極12として形成されており、その上に、薄い有機ホ
ール輸送層24、有機発光層14、ホールブロッキング
層16、有機電子輸送層18および陰極20が、順次蒸
着等により積層されている。そして、陽極12と陰極2
0が電源22に接続されて、有機EL素子200が構成
されている。
【0082】かかる有機EL素子200の構成によれ
ば、まず、電源22により所定の電圧が電極に印加され
ることにより、陽極12には、電子と分離したホールが
注入される。それから、注入されたホールは、薄い有機
ホール輸送層24を介して、より速く、より効率良く有
機発光層14へ移動させられる。
【0083】そして、この発明に用いられたTPDまた
はNPDの優れたホール輸送性により、ホールはさらに
有機発光層14を透過しようとするが、ホールブロッキ
ング層16により有効に遮蔽されて、有機発光層14内
にとどまることになる。
【0084】一方、図1の有機EL素子100と同様
に、陰極20には、電源22からホールと分離された電
子が注入される。そして、注入された電子は、有機電子
輸送層18およびホールブロッキング層16を介して、
有機発光層14へと移動する。そして、さらに、当該電
子は、有機発光層14において、有機発光層14内にと
どまったホールと、再結合し、当該再結合のエネルギー
により、この発明における発光物資であるTPDまたは
NPDを励起させ、そして励起されたTPD等のエネル
ギーがEu錯体に移り、結果として、有機EL素子20
0は高輝度のEL発光を行い、しかも高輝度のEL発光
が持続する。
【0085】
【実施例】この発明を、さらに実施例を用いて詳細に説
明する。
【0086】(実施例1)陽極として、厚さ200nm
になるように、酸化インジウムスズ(ITO)を、ガラ
ス基板にスパッタリングしたものを用い、当該ガラス基
板を、アセトンおよび2−プロパノールを用いて順次洗
浄した。その後、真空蒸着法を用いて、有機発光層とし
て、発光物質としてのTPDと、ドーパントとしての、
式(6)で表されるEu錯体を、蒸着速度比で約5:1
(Eu錯体約10モル%)の条件において、50nmの
厚さに積層した。なお、使用したTPDの、ガラス転移
点は、63℃であり、イオン化ポテンシャルは、5.4
eVであった。
【0087】それから、その上に、ホールブロッキング
層として、式(2)に示すトリアゾール化合物を15n
mの厚さに積層し、さらに順次、有機電子輸送層とし
て、厚さ30nmのAlq、陰極として、厚さ150n
mのマグネシウムを、それぞれ真空蒸着法を用いて積層
し、二層構造−B型の有機EL素子を得た。
【0088】そして、当該有機EL素子に、電源を用い
て16Vまでの電圧を負荷し、発光輝度を、輝度計を用
いて測定した。その測定結果を、図3に示す。なお、測
定データは、横軸に電圧(V)をとり、縦軸に輝度(c
d/m2 )をとって示している。
【0089】この測定結果から明らかなように、この発
明の有機EL素子は、5V過ぎの電圧からEL発光を開
始し、12Vの電圧負荷により、輝度は100cd/m
2 以上となり、15Vの電圧負荷により、約150cd
/m2 の最大輝度を示した。また、15Vの電圧印加を
続けたところ、100時間経過後も、顕著な輝度の低下
は見られなかった。
【0090】一方、蛍光分光光度計を用いて、当該有機
EL素子の15Vの電圧印加時の波長を調べた。その測
定結果を図4に示す。なお、測定データは、横軸に波長
(nm)をとり、縦軸に発光強度(任意単位)をとって
示している。この測定結果から明らかなように615n
mのピーク波長が得られ、この発明の有機EL素子は、
赤色発光をしていることが確認された。また、分解能1
0nmのスリットを用いて測定した半値幅も、20nm
を以下と狭い値であることも確認された。
【0091】(実施例2)実施例1において、TPDの
かわりに、NPDを用いたほかは、同様に実験を行っ
た。なお、使用したNPDの、ガラス転移点は、92℃
であり、イオン化ポテンシャルは、5.2eVであっ
た。その測定結果を図5に示す。なお、測定データは、
横軸に電圧(V)をとり、縦軸に輝度(cd/m2 )を
とって示している。
【0092】この測定結果から明らかなように、この発
明の有機EL素子は、5V過ぎの電圧からEL発光を開
始し、12Vの電圧印加により、100cd/m2 以上
の輝度となり、15Vの電圧印加により、約210cd
/m2 の最大輝度を示した。
【0093】一方、蛍光分光光度計を用いて、当該有機
EL素子の15Vの電圧印加時の波長を調べた。その測
定結果を図6に示す。なお、測定データは、横軸に波長
(nm)をとり、縦軸に発光強度(任意単位)をとって
示している。この測定結果から明らかなように615n
mのピーク波長が得られ、この発明の有機EL素子は、
赤色発光をしていることが確認された。また、分解能1
0nmのスリットを用いて測定した半値幅も、20nm
以下と狭い値であることも確認された。
【0094】(実施例3および4)ホールブロッキング
層の厚さを15nmから、実施例3では1nm、実施例
4では、300nmに変えたほかは、実施例1と同様の
有機EL素子を作製し、輝度およびピーク波長を同様に
測定した。
【0095】その結果、有機EL素子のピーク波長の値
はそれぞれ同等であったが、輝度は、14Vの電圧印加
により、それぞれ、100cd/m2 未満になり、実施
例1よりも低くなった。
【0096】(比較例1)実施例1において、ホールブ
ロッキング層を設けず、式(6)で表されるEu錯体を
ドーパントとして用いなかったほかは、実施例1と同様
の有機EL素子を作製し、輝度およびピーク波長を同様
に測定した。
【0097】その結果、その結果、当該有機EL素子
は、有機電子輸送層としてのAlqからのわずかな緑色
の発光が得られた。すなわち、TPDからなる有機発光
層は、ホール輸送層としての機能しか果たさなかった。
【0098】(比較例2)実施例1において、式(6)
で表されるEu錯体をドーパントとして用いなかったほ
かは、実施例1と同様の有機EL素子を作製し、輝度お
よびピーク波長を同様に測定した。
【0099】その結果、最大輝度は、約20cd/m2
の青色発光であり、実施例1の約1/20であった。さ
らに、電圧印加を続けたところ、当該有機EL素子が著
しく劣化し、1時間以内に顕著な輝度の低下が見られ
た。
【0100】
【発明の効果】有機発光層に、発光物質として、ホール
輸送性が高いTPDおよびNPDを用い、さらに特定の
Eu錯体をドーパントとして用いるともに、ホールブロ
ッキング層を設けて、有機発光層におけるホール輸送性
を制御することにより、この発明の有機EL素子は、 (1)600nm以上の赤色発光のピーク波長におい
て、高い輝度のEL発光を示した。そして、ホールブロ
ッキング層の厚さを、さらに調節することにより、15
V以下の低電圧の印加により、100cd/m2 以上の
高い輝度のEL発光を示した。
【0101】(2)また、有機EL素子の発熱等によ
り、発光物質であるTPDまたはNPDが容易に劣化す
ることなく、時間の経過とともに、発光輝度が顕著に低
下することもなかった。
【0102】(3)さらに、当該発明の有機発光層に用
いるTPDおよびNPDは、ホール輸送性が高いため
に、有機発光層が有機ホール輸送層を兼ねることがで
き、有機ホール輸送層を省略したり、あるいは可及的に
薄くすることができるという利点も得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の有機EL素子の構成例(二層構造−
B型)を示す図である。
【図2】この発明の有機EL素子の構成例(三層構造
型)を示す図である。
【図3】図1に示す有機EL素子に、発光物質としてT
PDを用いた場合の電圧−輝度特性を示す図である。
【図4】図1に示す有機EL素子に、発光物質としてT
PDを用いた場合のEL発光スペクトルを示す図であ
る。
【図5】図1に示す有機EL素子に、発光物質としてN
PDを用いた場合の電圧−輝度特性を示す図である。
【図6】図1に示す有機EL素子に、発光物質としてN
PDを用いた場合のEL発光スペクトルを示す図であ
る。
【符号の説明】
10:ガラス基板 12:陽極 14:有機発光層 16:ホールブロッキング層 18:有機電子輸送層 20:陰極 22:電源 24:有機ホール輸送層 100、200:有機EL素子

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも陽極、有機発光層、ホールブ
    ロッキング層、有機電子輸送層および、陰極を構成要素
    として含む有機EL素子において、当該有機発光層の発
    光物質として、式(1)で表される、N,N´−ジフェ
    ニル−N,N´−(3−メチルフェニル)−1,1´−
    ビフェニル−4,4´−ジアミンを用い、かつ、式
    (2)で表されるEu錯体をドーパントの主成分として
    用いることを特徴とする有機EL素子。 【化1】 (R1 は、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキ
    ル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、R2
    は、水素またはヒドロキシ基、あるいは置換または非置
    換の炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基ま
    たはアリール基を表す。)
  2. 【請求項2】 少なくとも陽極、有機発光層、ホールブ
    ロッキング、有機電子輸送層および、陰極を構成要素と
    して含む有機EL素子において、当該有機発光層の発光
    物質として、式(3)で表される、N,N´−ジフェニ
    ル−N,N´−ジナフチル−1,1´−ビフェニル−
    4,4´−ジアミンを用い、かつ、式(2)で表される
    Eu錯体をドーパントの主成分として用いることを特徴
    とする有機EL素子。 【化2】 (R1 は、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキ
    ル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、R2
    は、水素またはヒドロキシ基、あるいは置換または非置
    換の炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基ま
    たはアリール基を表す。)
  3. 【請求項3】 前記Eu錯体が、式(4)で表されるア
    ルコキシ基を有するEu錯体、式(5)で表されるフル
    オレン基を有するEu錯体、あるいは式(6)で表され
    るヘテロ環を有するEu錯体のうち、少なくとも1種で
    あることを特徴とする請求項1または2に記載の有機E
    L素子。 【化3】 (R3 は、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキ
    ル基またはシクロアルキル基を表し、R4 は、水素また
    はヒドロキシ基、あるいは置換または非置換の炭素数1
    〜20のアルキル基、シクロアルキル基またはアリール
    基を表す。) 【化4】 (R5 は、水素またはヒドロキシ基、あるいは置換また
    は非置換の炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキ
    ル基またはアリール基を表す。) 【化5】 (R6 は、水素またはヒドロキシ基、あるいは置換また
    は非置換の炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキ
    ル基またはアリール基を表す。)
  4. 【請求項4】 前記式(4)におけるR4 、式(5)に
    おけるR5 および式(6)におけるR6 が、ハロゲン化
    アルキル基であることを特徴とする、請求項3に記載の
    有機EL素子。
  5. 【請求項5】 前記ホールブロッキング層に、式(7)
    で表されるトリアゾール化合物を主成分として用いたこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有
    機EL素子。 【化6】
  6. 【請求項6】 前記有機発光層に、ドーパントの主成分
    として、前記Eu錯体を、0.01〜10モル%添加す
    ることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記
    載の有機EL素子。
  7. 【請求項7】 前記有機EL素子のピーク波長が、60
    0nm以上であることを特徴とする、請求項1〜6のい
    ずれか1項に記載の有機EL素子。
  8. 【請求項8】 前記有機EL素子が、15V以下の低電
    圧の印加により、100cd/m2 以上の輝度を有する
    ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載
    の有機EL素子。
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