JPH10231302A - 塩化ビニルの重合方法 - Google Patents

塩化ビニルの重合方法

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JPH10231302A
JPH10231302A JP35133597A JP35133597A JPH10231302A JP H10231302 A JPH10231302 A JP H10231302A JP 35133597 A JP35133597 A JP 35133597A JP 35133597 A JP35133597 A JP 35133597A JP H10231302 A JPH10231302 A JP H10231302A
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JP
Japan
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polymerization
phenothiazine
aldehyde
monomer
condensate
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Application number
JP35133597A
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English (en)
Inventor
Ichisaburo Nakamura
市三郎 中村
Akihiko Takahashi
明彦 高橋
Masaaki Ozawa
雅昭 小澤
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
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  • Polymerisation Methods In General (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水溶液で重合槽内壁等へ塗布することが可能
で、重合速度や製品の諸物性に影響を与えずに、且つ重
合槽等でのポリマー付着を極めて効果的に防止すること
が可能とし、重合終了毎に付着ポリマーの除去作業を実
施する必要がなくなるため、重合毎にマンホールを開放
しないクローズド重合が達成可能とする塩化ビニルの重
合方法の提供。 【解決手段】 塩化ビニル(共)重合させるのに際し、
重合槽内壁及び重合操作中に前記モノマーが接触する装
置部分に、予め、フェノチアジン類とアルデヒド類、ま
たはフェノチアジン類およびナフトール類とアルデヒド
類との初期縮合物に多価フェノール類をさらに反応して
得られる共縮合物を含有するコーティング液を塗布す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塩化ビニルの改良さ
れた単独重合または共重合方法に関し、さらに詳しくは
重合に際して、重合装置である重合槽等の内壁面へのポ
リマー付着防止方法およびそれに用いるポリマー付着防
止剤に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニルを単独重合、これと共重合し
うる単量体との共重合または塩化ビニルのグラフト重合
(以下単に「重合」という)をするに際し、重合槽内
壁、還流冷却器、攪拌翼、邪魔板および各種付属配管接
続部等、重合操作中にモノマーが接触する装置部分にポ
リマーが付着するため、重合槽の冷却能力が減少した
り、あるいは一旦付着した後剥離したポリマーが塩化ビ
ニルの単独重合体または共重合体(以下「製品」とい
う)中に混入して製品の品質を低下させるなどの問題が
生じる。
【0003】従って重合終了後、毎回重合槽内を清掃し
た後再び重合するのが通例であるが、そのためには多大
な労力と時間を必要とし重合槽の稼働率の低下や製品コ
ストの増加をもたらしている。
【0004】これを避けるため、重合槽内壁その他の部
分に薬剤を塗布してポリマーの付着を防止する方法が従
来から提案されてきている。
【0005】例えば、特公昭61−843号公報(US
P4355141)にはレゾールと含窒素化合物(ニト
ロフェノール類、ニトロ安息香酸類、アミノフェノール
類、アミノ安息香酸類等)との共縮合物を塗布する方
法、あるいは特表平2−500845号公報(PCT−
US−88−02462、WO−89−00993)、
特表平5−501892号公報(PCT−US−90−
05829、WO−91−06576)にはフェノチア
ジンとアルデヒドとの縮合物を塗布する方法が提案され
ている。
【0006】しかしながら、特公平61−843号公報
の方法では十分なスケール付着防止効果が得られず、さ
らに効果的な方法が望まれている。一方、特表平2−5
00845号公報、特表平5−501892号公報によ
る方法では使用する付着防止剤が有機溶媒にしか溶解し
ないので、塗布液の溶媒として特定の有機溶媒を使用し
ているため、取扱い上の安全性の見地から、また重合系
から溶剤の回収が必要であり装置及び操作が煩雑にな
る。また、もし溶剤回収が不十分になった場合は製品の
品質に悪影響をもたらす等の実用上の問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、塩化ビ
ニル系単量体の重合において、重合速度や製品への諸物
性に影響を与えずに、且つ重合槽等でのポリマー付着を
極めて効果的に防止することを可能にし、しかも付着防
止剤のコーティング液として塗布する際に有機溶媒を使
用しないか極く少量の使用でも塗布することが可能であ
り、重合終了毎に付着ポリマーの除去作業を実施する必
要をなくし、重合毎にマンホールを開放しないクローズ
ド重合を達成可能にすることを課題とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を行った結果、塩化ビニル系単
量体を重合する際に、重合槽内壁やその他の重合操作中
にモノマーが接触する重合装置、重合付属機器の部分に
あらかじめ特定の壁付着防止剤を含有するコーティング
液を塗布することにより、ポリマーの重合装置への付着
が大幅に減少し、かつ少量付着したポリマーも水洗等に
より容易に除去できることを見いだし、本発明に到達し
た。即ち、本願は以下の発明及び実施態様を包含する。
【0009】(a) 塩化ビニル単量体を単独で、また
は該単量体と共重合しうる単量体と共に、水性媒体中に
おいてまたは塊状において(共)重合させるのに際し、
重合槽内壁及び重合操作中に前記モノマーが接触する装
置部分に、予め、フェノチアジン類とアルデヒド類、ま
たはフェノチアジン類およびナフトール類とアルデヒド
類との初期縮合物に多価フェノール類をさらに反応して
得られる共縮合物を含有するコーティング液を塗布する
ことを特徴とする塩化ビニル系単量体の重合方法。
【0010】(b) 共縮合物がフェノチアジン類とア
ルデヒド類またはフェノチアジン類およびナフトール類
とアルデヒド類とを酸性触媒の存在下で反応させた初期
縮合物に、多価フェノール類を分割または連続で加えて
さらに反応させて得られる共縮合物であることを特徴と
する(a)記載の方法。
【0011】(c) 前記コーティング液が前記共縮合
物のアルカリ金属水溶液またはアルカリ土類金属の水溶
液である(a)記載の方法。
【0012】(d) フェノチアジン類とアルデヒド類
またはフェノチアジン類およびナフトール類とアルデヒ
ド類との初期縮合物に、多価フェノール類を加えてさら
に反応させて得られる重量平均分子量が500〜5,0
00の範囲である共縮合物。 (e) 前記共縮合物がフェノチアジン類とアルデヒド
類またはフェノチアジン類およびナフトール類とアルデ
ヒド類とを酸性触媒の存在下で反応させた初期縮合物
に、多価フェノール類を分割または連続で加えてさらに
反応させて得られた(d)記載の共縮合物。
【0013】(f) 多価フェノールがピロガロールで
ある(d)記載の共縮合物。
【0014】(g) 前記共縮合物がフェノチアジン類
とアルデヒド類またはフェノチアジン類およびナフトー
ル類とアルデヒド類とを酸性触媒の存在下で反応させた
初期縮合物に、多価フェノール類を分割または連続で加
えてさらに反応させて得られた塩化ビニル(共)重合時
の壁付着防止剤。
【0015】(h) 多価フェノールがピロガロールで
ある(g)記載の塩化ビニル(共)重合時の壁付着防止
剤。 (i)濃度が0.1〜10.0wt%であり、アルカリ
金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物の濃度が
0.05〜5.0wt%である(c)記載の方法。 (j)塩化ビニル単量体単独、または該単量体と共重合
しうる単量体とを(共)重合させるのに際し、前記単量
体が接触する重合装置の内壁に予めコーティング液を塗
布して、前記内壁へのスケールの付着を防止する方法に
おいて、該コーティング液が、予めフェノチアジン類と
アルデヒド類またはフェノチアジン類およびナフトール
類とアルデヒド類との初期縮合物に多価フェノール類を
さらに反応して得られる共縮合物であることを特徴とす
る前記内壁へのスケールの付着を防止する方法。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明で使用される共縮合物は、
予め、フェノチアジン類とアルデヒド類またはフェノチ
アジン類およびナフトール類とアルデヒド類との初期縮
合物に多価フェノールをさらに反応させて得られる共縮
合物である。
【0017】フェノチアジン類としてはフェノチアジン
およびその誘導体が使用でき、フェノチアジンが一般的
であるがその誘導体、例えば次式(化1)で示されるも
のも使用できる。
【0018】
【化1】 ナフトール類としては、α−ナフトールまたはβ−ナフ
トールまたはそのアルキル誘導体が例示され、特にα−
ナフトールまたはβ−ナフトールが好ましい。アルデヒ
ド類としてはCHO基を有する有機化合物が使用でき、
例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズア
ルデヒド等が挙げられ、これ等を単独でまたは混合して
使用できる。
【0019】多価フェノールとしてはレゾルシン、ハイ
ドロキノン、ピロガロール、ビスフェノールA等が例示
でき、特にピロガロールが好ましい。
【0020】本発明の方法では、まず酸性触媒を用いて
フェノチアジン類とアルデヒド類またはフェノチアジン
類およびナフトール類とアルデヒド類との初期縮合物を
合成する。
【0021】本発明の方法では、最終生成物を水溶液の
形とするため、初期縮合物には多価フェノールと反応し
得るメチロール基の存在が必要となる。この場合、アル
デヒド類をフェノチアジンに対して過剰に用いる必要が
あり、フェノチアジン類1.0モルに対してアルデヒド
類を1.0モルを越え、3.0モル以下、好ましくは
1.2〜2.0モルの範囲である。
【0022】ナフトール類を使用する場合は、フェノチ
アジン類1モル当たり5〜50モル%、好ましくは10
〜30モル%使用される。ナフトール類を使用すると、
初期縮合物の反応において使用する反応器壁にポリマー
が付着するのが防止できて好ましい。
【0023】酸性触媒としては、特に強酸性触媒である
硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸等が好ましく、特
に好ましくは硫酸である。酸性触媒の使用量はフェノチ
アジン1.0モルに対して0.001〜0.1モルが好
ましく、より好ましくは0.002〜0.05モルの範
囲である。
【0024】本初期縮合物の反応は、特に制限はないが
温度は60〜90℃、時間は1〜6時間程度が一般的で
ある。またその際、溶媒の使用が望ましく、例えばジオ
キサン、ジメチルホルムアミド、シクロヘキサン等が例
示される。
【0025】次に、上記初期縮合物に多価フェノール類
を加えて反応させる。この縮合物の反応は、特に制限は
ないが温度は60〜90℃、時間は1〜6時間程度が一
般的である。多価フェノール類はフェノチアジン類1.
0モルに対して0.1〜1.0モルが好ましく、さらに
好ましくは0.2〜0.8モルの範囲である。
【0026】フェノチアジン類とアルデヒド類またはフ
ェノチアジン類およびナフトール類とアルデヒド類との
初期縮合物に多価フェノールを反応させる際に、上記量
の多価フェノール類を一度に添加すると縮合反応する容
器に生成縮合物が析出して収率が低下する場合があるの
で、多価フェノール類を分割でまたは連続的に添加する
法が好ましい。分割や連続添加の速度は縮合反応する容
器に生成縮合物が析出しないように適宜調節することに
よって容易に決めることができるが、通常は30分〜3
00分程度、より好ましくは60分〜240分で添加す
る。
【0027】本発明の方法のポリマー付着防止剤の製造
の際には、通常有機溶媒を使用するが、反応終了後溶媒
を蒸留等で除去してもよいが、本発明のポリマー付着防
止剤は大量のアルカリ水溶液に溶解させて使用するので
低濃度、5%以下の有機溶媒しか含まないので安全の見
地から、また操作性の点からも好ましく使用できる。最
終生成物の分子量は重要な要素である。実験結果によれ
ば、良好なポリマー付着防止効果はGPC(ゲルパーミ
ュエーションクロマトグラフィー)で測定した重量平均
分子量(以下、Mwという)として、500〜500
0、好ましくは1000〜3000の範囲である。Mw
は反応時間、反応温度等によって制御することができ
る。
【0028】本発明においては、上記反応生成物のアル
カリ金属水酸化物水溶液、アルカリ土類金属水酸化物水
溶液が重合槽内壁等へ塗布される。
【0029】アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類
金属水酸化物水溶液の場合、アルカリ金属水酸化物とし
ては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム等が使用され、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸
化カリウムであり、アルカリ土類金属水酸化物は好まし
くは水酸化カルシウムである。
【0030】この場合コーティング液は、アルカリ金属
水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物の濃度が0.
05〜5.0wt%、好ましくは0.1〜3.0wt
%、反応生成物濃度が0.1〜10.0wt%、好まし
くは0.2〜6.0wt%になるようなアルカリ水溶液
に調製される。反応生成物の濃度が0.1wt%以上で
は、塗布するための液量が適量で良好な作業性が保た
れ、さらにはポリマー付着防止効果が良好である。また
10.0wt%以下では、壁面に満遍なく容易に塗布す
ることでき塗布量も適量で経済的である。さらには適当
な濃度に塗布されるため、塗膜成分が反応系へ溶出し製
品が着色する等の不利益をもたらすことがない。
【0031】また、該反応生成物のアルカリ金属水酸化
物またはアルカリ土類金属水酸化物の水溶液を使用する
場合、スケール防止剤の重合槽の壁面等への付着効率を
高めるために水溶性の添加剤を添加しても良い。該添加
剤としては、例えば特開昭54−85291号公報に記
載されているフミン酸またはその誘導体、特開昭54−
162782号公報に記載されているセルロースまたは
セルロース誘導体、特開昭55−13708号公報に記
載されているアルギン酸、特開昭55−231235号
公報に記載されているヘミセルロース、特開昭54−3
8844号公報に記載されているデンプンあるいはデン
プン誘導体、またはポリビニルアルコール、ポリビニル
ピロリドン等の水溶性化合物が挙げられる。
【0032】本発明におけるコーティング液を重合槽内
壁等へ塗布する方法は特に制限はないが、たとえばコー
ティング液を刷毛塗り、あるいはスプレー、リンス等の
一般的な方法で行うことができる。塗布後、必要に応じ
て水洗される。塗布量は、通常は反応生成物の重量とし
て、0.005〜10g/m2の範囲で良く、好ましく
は0.01〜5g/m2の範囲である。0.005g/
2以上では塗膜の厚さが適当であり、良好なポリマー
付着防止効果が得られ、10g/m2を以下ではコーテ
ィング液が経済的であり、製品への品質に悪影響を与え
る可能性が低いので好ましい。コーティング液の塗布
は、毎バッチ重合開始前に行っても良く、また1度の塗
布で数バッチ以上を、各バッチ終了後に簡単な水洗を行
うのみで繰り返して重合を行うこともできる。
【0033】本発明は、塩化ビニルの単独重合のみなら
ず、塩化ビニルと他の少なくとも一種のラジカル共重合
性単量体との共重合または塩化ビニルをグラフト重合し
うる重合体へのグラフト共重合にも適用できる。
【0034】これに用いられる他の重合性単量体として
は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニ
ル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のビニル
エステル類;エチレン、プロピレン、イソブチレン等の
オレフィン類;イソブチルビニルエーテル、オクチルビ
ニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、フェニルビニ
ルエーテル等のアルキルビニルエーテル類、アリールビ
ニルエーテル類;塩化ビニリデン、ふっ化ビニル、塩化
プロピレン、臭化ビニル等のハロゲン化オレフィン類;
エチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−
エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタ
クリレート、ステアリルメタクリレート等のアクリル酸
エステルおよびメタクリル酸エステル;アクリル酸、メ
タクリル酸、クロトン酸等のアクリル系誘導体;アクリ
ロニトリル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のその
他のモノマー等が例示される。
【0035】また、塩化ビニルをグラフト重合し得る重
合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EV
A)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、塩素化ポ
リエチレン、ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリブタ
ジエン−スチレン−メチルメタクリレート(MBS)、
ポリブタジエン−アクリロニトリル−(α−メチル)ス
チレン(ABS)、ポリブチルアクリレート、ブチルゴ
ム、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、架
橋アクリルゴム等が例示される。
【0036】さらに本発明が適用できる重合形式は、上
記モノマーの水性懸濁重合、水性乳化重合および上記モ
ノマーのみで重合媒体を含まない塊状重合にも各々の通
常の重合条件下で有効に適用できる。さらに本発明は、
特開平7−233207に示されるようなクローズド重
合条件でも有効である。
【0037】本発明の方法により、塩化ビニル系単量体
の重合において、重合速度や製品への諸物性に影響を与
えずに、且つ重合槽等でのポリマー付着を極めて効果的
に防止することが可能となる。従って重合終了毎に付着
ポリマーの除去作業を実施する必要がなくなるため、近
年行われるようになってきた重合毎にマンホールを開放
しないクローズド重合が達成可能となる。
【0038】以下、実施例により本発明をさらに具体的
に説明する。しかし、この実施例は単なる例示であって
本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中、
特に記さない限り、すべての%は重量%を示す。
【0039】
【実施例】
製造例1(フェノチアジンとピロガロールとの共縮合物
の製造) SUS製500ml反応器にフェノチアジン20.0
(O.10モル)、ジオキサン240ml、37重量%
ホルマリン13.8g(0.17モル)、5.0重量%
の硫酸0.41g(0.0021モル)を装入し80℃
まで昇温した。さらにこの温度に保ちながら1時間反応
させて初期縮合物を得た。この初期縮合物のGPC法で
測定したMwは365であった。
【0040】その後65℃まで冷却して、同温度でピロ
ガロール7.6g(0.06モル)を3時間40分かけ
て滴下し、さらに同温度で1時間反応させ共縮合物を得
た。その後降温して共縮合物の濃度が2.0重量%にな
るように2.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液で希釈
し得た。得られた共縮合物のGPCによるMwは154
0であった。
【0041】製造例2(フェノチアジンとピロガロール
との共縮合物の製造) SUS製500ml反応器にフェノチアジン20.0
(O.10モル)、ジオキサン240ml、37重量%
ホルマリン12.2g(0.15モル)、5.0重量%
の硫酸0.41g(0.0021モル)を装入し80℃
まで昇温した。さらにこの温度に保ちながら1時間反応
させて初期縮合物を得た。この初期縮合物のGPC法で
測定したMwは361であった。
【0042】その後65℃まで冷却して、同温度でピロ
ガロール3.8g(0.03モル)を3時間40分かけ
て滴下し、さらに同温度で1時間反応させ共縮合物を得
た。その後降温して共縮合物の濃度が2.0重量%にな
るように2.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液で希釈
した。得られた共縮合物のGPCによるMwは1480
であった。
【0043】製造例3(フェノチアジン、β−ナフトー
ルとピロガロールとの共縮合物の製造) 容量2リットルのSUS製オートクレーブにフェノチア
ジン46.1g(0.232モル)、β−ナフトール
8.40g(0.0583モル)、ジオキサン620
g、37重量%ホルマリン39.88g(0.492モ
ル)および5.0重量%硫酸1.28g(0.0006
5モル)を装入し、80℃まで昇温し、同温度で1時間
反応させた。
【0044】その後65℃にして、ピロガロール21.
85g(0.173モル)を3時間40分かけて装入
し、さらに1時間20分同温度で反応させた。
【0045】その後、降温して、2.0重量%の水酸化
ナトリウム水溶液を加えて反応生成物濃度が2.0重量
%になるように調整した。得られた共縮合物のMwは1
490であった。
【0046】製造例4 還流冷却器付き300ml三つ口フラスコにフェノール
37.5(O.39モル)、37重量%ホルマリン4
8.5g(0.599モル)、水酸化ナトリウム0.6
38g(0.16モル)を装入し、85℃まで昇温し
た。さらにこの温度に保ちながら2時間40分反応させ
て初期縮合物を得た。この初期縮合物のGPC法で測定
したMwは410であった。
【0047】その後40℃まで冷却して、同温度でo−
セカンダリーブチルフェノール1.50g(0.010
モル)、90重量%オルタニル酸7.67g(0.04
0モル)を加えて溶解させた後、75℃に昇温し同温度
で反応を続けた。B型粘度計を用いて粘度を測定して、
粘度が100センチポイズに達したところで降温し、反
応生成物濃度10.0重量%、水酸化ナトリウムが2.
0重量%になるように26重量%水酸化ナトリウム水溶
液及びイオン水を装入した。得られた反応生成物のGP
Cで測定したMwは1430であった。
【0048】コーティング液の調整例1 製造例1で得られた反応生成物を含有する水酸化ナトリ
ウム水溶液を脱イオン水で希釈し、共縮合物濃度0.3
重量%になるように調整した。
【0049】コーティング液の調整例2 製造例2で得られた反応生成物を含有する水酸化ナトリ
ウム水溶液を脱イオン水で希釈し、共縮合物濃度0.3
重量%になるように調整した。
【0050】コーティング液の調整例3 製造例3で得られた反応生成物を含有する水酸化ナトリ
ウム水溶液を脱イオン水で希釈し、共縮合物濃度0.3
重量%になるように調整した。
【0051】コーティング液の調整例4 製造例4で得られた反応生成物を含有する水酸化ナトリ
ウム水溶液を脱イオン水で希釈し、縮合物濃度1.0重
量%になるように調整した。
【0052】実施例1 内容積840リッターの還流コンデンサー付き重合反応
層の内部の空気を真空ポンプで排気した後、重合反応槽
の内圧が0.1kg/cm2Gになるように塩化ビニル
モノマーを装入した後、前述のコーティング液の調整例
1のコーティング液1リッターをスプレーにて重合反応
槽の内壁に噴霧して塗布し、次いで重合反応槽内を十分
に水洗した。
【0053】次いで、脱イオン水260リッターを装入
し、続いて分散剤として鹸化度80モル%、重合度20
00のポリビニルアルコールを0.037重量部(塩化
ビニルモノマー100重量部に対する重量部、以下同
様)と)、鹸化度70モル%、重合度700のポリビニ
ルアルコールを0.074重量部を装入した後、塩化ビ
ニルモノマー229kgを装入した。重合開始剤として
純度60重量%のジオクチルパーオキシジカーボネート
の水エマルジョン167gおよび純度50重量%のα−
クミルパーオキシネオデカネートの水エマルジョン64
gをポンプ装入した。
【0054】反応温度を57.8℃に上げ重合反応を開
始した。4時間30分後にフェノール系酸化防止剤の水
懸濁液をポンプにより装入した後、重合槽よりスラリー
を排出し、脱モノマー工程を経由させてモノマーを除去
し、脱水後得られたポリマーを乾燥してPVCレジンを
得た。PVCスラリー後、重合槽は、マンホールを開放
することなく、内部を水洗し、コーティング液を塗布す
ることなく次のバッチの原料を装入し第2回目の重合を
行った。以降同様に重合を連続計10バッチ繰り返し
た。10バッチ終了後に製品を回収しその物性を評価し
た。また、その際に重合器内部の付着ポリマーを回収し
その重量を求めた。結果を表1に示す。
【0055】なお、本明細書に記載のポリマーの試験及
び評価方法を以下に示す。 1)平均重合度:JIS K−6721記載の方法によ
った。 2)見かけ比重:JIS K−6721記載の方法によ
った。 3)フィッシュアイ:ポリマー100重量部にDOP
(ジオクチルフタレート)50重量部、三塩基性硫酸鉛
2重量部を混合し、150℃で5分間混練し、厚み0.
3mmのシートを作成して、その10(cm)x10
(cm)の面積中に存在するブツを目視により数えた。 4)ポロシティ:水銀圧入法で測定した。
【0056】実施例2 調整例1のコーティング液を,調整例2のコーティング
液に変えた以外は実施例1と同様にして重合を行った。
結果を表1に示す。
【0057】実施例3 調整例1のコーティング液を,調整例3のコーティング
液に変えた以外は実施例1と同様にして重合を行った。
結果を表1に示す。
【0058】比較例1 調整例1のコーティング液を,調整例4のコーティング
液に変えた以外は実施例1と同様にして重合を行った。
結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】本発明の方法によって重合速度や製品の
諸物性に影響を与えずに、且つ重合槽等でのポリマー付
着を極めて効果的に防止することが可能となる。従って
重合終了毎に付着ポリマーの除去作業を実施する必要が
なくなるため、重合毎にマンホールを開放しないクロー
ズド重合が達成可能となる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル単量体を単独で、または該単
    量体と共重合しうる単量体と共に、水性媒体中において
    または塊状において、(共)重合させるのに際し、重合
    槽内壁及び重合操作中に前記モノマーが接触する装置部
    分に、予め、フェノチアジン類とアルデヒド類、または
    フェノチアジン類およびナフトール類とアルデヒド類と
    の初期縮合物に多価フェノール類をさらに反応して得ら
    れる共縮合物を含有するコーティング液を塗布すること
    を特徴とする塩化ビニル系単量体の重合方法。
  2. 【請求項2】 共縮合物がフェノチアジン類とアルデヒ
    ド類、またはフェノチアジン類およびナフトール類とア
    ルデヒド類とを酸性触媒の存在下で反応させた初期縮合
    物に、多価フェノール類を分割または連続で加えてさら
    に反応させて得られる共縮合物であることを特徴とする
    請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記コーティング液が前記共縮合物のア
    ルカリ金属水溶液またはアルカリ土類金属の水溶液であ
    る請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 フェノチアジン類とアルデヒド類、また
    はフェノチアジン類およびナフトール類とアルデヒド類
    との初期縮合物に、多価フェノール類を加えてさらに反
    応させて得られる重量平均分子量が500〜5,000
    の範囲である共縮合物。
  5. 【請求項5】 前記共縮合物がフェノチアジン類とアル
    デヒド類、またはフェノチアジン類およびナフトール類
    とアルデヒド類とを酸性触媒の存在下で反応させた初期
    縮合物に、多価フェノール類を分割または連続で加えて
    さらに反応させて得られた請求項4記載の共縮合物。
  6. 【請求項6】 多価フェノールはピロガロールである請
    求項4記載の共縮合物。
  7. 【請求項7】 前記共縮合物がフェノチアジン類とアル
    デヒド類、またはフェノチアジン類およびナフトール類
    とアルデヒド類とを酸性触媒の存在下で反応させた初期
    縮合物に、多価フェノール類を分割または連続で加えて
    さらに反応させて得られた塩化ビニル(共)重合時の壁
    付着防止剤。
  8. 【請求項8】 多価フェノールがピロガロールである請
    求項7記載の塩化ビニル(共)重合時の壁付着防止剤。
  9. 【請求項9】 アルカリ金属またはアルカリ土類金属の
    水酸化物水溶液中の反応生成物の濃度が0.1〜10.
    0wt%であり、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ
    土類金属水酸化物の濃度が0.05〜5.0wt%であ
    る請求項3記載の方法。
  10. 【請求項10】 塩化ビニル単量体単独、または該単量
    体と共重合しうる単量体とを(共)重合させるのに際
    し、前記単量体が接触する重合装置の内壁に予めコーテ
    ィング液を塗布して、前記内壁へのスケールの付着を防
    止する方法において、該コーティング液が、予めフェノ
    チアジンとアルデヒド類、またはフェノチアジン類およ
    びナフトール類とアルデヒド類との初期縮合物に多価フ
    ェノール類をさらに反応して得られる共縮合物であるこ
    とを特徴とする前記内壁へのスケールの付着を防止する
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2003050145A1 (fr) * 2001-12-12 2003-06-19 Tokuyama Corporation Inhibiteur de tartre, procede de fabrication correspondant, polymerisateur dont la paroi interne est couverte par l'inhibiteur, et procede de fabrication de polymeres de vinyle au moyen du polymerisateur
KR20190075347A (ko) 2017-12-21 2019-07-01 주식회사 엘지화학 염화비닐계 중합체 제조용 개시제 조성물, 이를 이용한 염화비닐계 중합체의 제조방법 및 이로부터 제조된 염화비닐계 중합체

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