JPH10229831A - 甲殻類の免疫賦活方法及び飼料添加剤 - Google Patents

甲殻類の免疫賦活方法及び飼料添加剤

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JPH10229831A
JPH10229831A JP9033469A JP3346997A JPH10229831A JP H10229831 A JPH10229831 A JP H10229831A JP 9033469 A JP9033469 A JP 9033469A JP 3346997 A JP3346997 A JP 3346997A JP H10229831 A JPH10229831 A JP H10229831A
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vibrio
cell wall
vitamin
derived
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JP9033469A
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English (en)
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Yukinori Takahashi
幸則 高橋
Toshiaki Itami
利明 伊丹
Mitsuyuki Horiuchi
三津幸 堀内
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NIPPON NOUSAN KOGYO KK
Nihon Nosan Kogyo Co Ltd
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NIPPON NOUSAN KOGYO KK
Nihon Nosan Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、甲殻類が生来備えている生体防御
能を増強させ、産業上重大な脅威となっているRV−P
J感染症をはじめとする各種伝染病による被害を軽減す
る効果のある甲殻類用飼料添加剤ないし甲殻類用飼料を
提供し、その結果として養殖場ないし種苗生産施設にお
ける生産性を向上させることにある。 【解決手段】 ビブリオ属細菌の細胞壁由来のペプチド
グリカン、フェノール化合物及びビタミンCのうちのい
ずれか2種又は3種を飼料に添加することによって甲殻
類の免疫を賦活することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】クルマエビ、ウシエビ等の各
種甲殻類におけるウィルス病及び細菌病等の感染症に対
する免疫賦活方法及び飼料添加剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、クルマエビ、ウシエビ等をはじめ
とするエビ類の養殖は、東南アジアや中南米を中心とし
て驚異的に増大しているが、過密養殖や養殖場の環境汚
染による飼育環境悪化が原因となって、ウィルス病や細
菌病等が蔓延し、顕著な斃死を招いている。
【0003】一方、クルマエビの他、カニ類とくにガザ
ミについては、天然資源量の減少から資源回復を目的と
して、放流用の種苗生産が行われているが、種苗生産段
階での大量斃死が散発し歩留まりが悪いのが現状であ
る。
【0004】わが国では、クルマエビが主たる養殖対象
であるが、他国と同様環境悪化が引き金となって各種感
染症が多発し、著しい減耗が起こっている。特に、中国
からクルマエビの稚エビを導入した養殖場で1993年
に初発例が認められたウィルス病〔RV−PJ(Rod
−shaped Nuclear Virus ofP
enaeus japonicus)感染症〕は、その
後急速に西日本各地の養殖場に蔓延し、従来から被害が
多かったビブリオ病(細菌病)とともに、重大な脅威と
なっている。本症の原因ウィルスは中国、インドネシ
ア、タイ及びインドで養殖されている各種のクルマエビ
属エビ類に発生して問題化しているSy−stemic
Ectodermal and Mesoderma
l Ba−culovirus Disease(SE
MB病)と同一であり、一般にホワイトパッチ病と呼称
されている。
【0005】わが国ではこの対策として、ビブリオ病に
対しては各種抗菌剤の投与、RV−PJ感染症に対して
は、養殖池の塩素消毒・天日干し等が行われているが、
十分な効果が上がっていないのが現状である。
【0006】本出願人は、先にビブリオ・エスピー・ピ
ージェー(Vibrio sp.PJ)由来のペプチド
グリカンが、甲殻類の感染症に対して抗病性があること
を見いだした(特開平6−217712号公報)が、こ
の発明はビブリオ・エスピー・ピージェー(Vibri
o sp.PJ)由来のペプチドグリカン単独の使用で
あるためその効果には限界がある。
【0007】また、同じく本出願人は、飼料中のチロシ
ンの含有量を強化することにより、甲殻類の感染症に対
して有効である(特開平6−21771号公報)ことを
見いだしたが、これも単品使用であるため、効果が十分
とは言えない。
【0008】この他に、魚類や甲殻類の免疫賦活物質と
しては、ミヤイリ菌の死菌体(日本化薬(株))、ブレ
ビバクテリウム属・バチルス属等の細菌の菌体殺菌処理
物、細胞破壊物あるいは細胞壁画分(特開平4−193
832号公報)、グラム陽性菌・酵母類・真菌類由来の
ペプチドグリカン(特許登録第2547371号公
報)、酵母類や菌類由来のβ−1,3−グルカン、カニ
殻由来のキチン・キトサン、牛乳由来のラクトフェリン
等が知られており、すでに実用化されているものもあ
る。また、ビタミンCやビタミンEの投与も抗病性を増
強することが知られている。
【0009】細菌病に対してはこれらの物質の単独投与
によってもある程度の効果は期待できるが、RV−PJ
感染症のような急激な斃死を伴う高病原性のウィルス病
に対しては十分な効果が期待できない。更に、ビタミン
類を除くこれらの免疫賦活物質を単独で長期に使用する
と効果が減衰したり、時には免疫抑制の状態に陥ること
がある。
【0010】抗菌剤の投与は、細菌病に対しては効果が
期待できるがウィルス病に対しては無効であり、また、
出荷エビへの薬剤残留の恐れもあり、公衆衛生上問題化
する懸念がある。以上の状況において、これらクルマエ
ビをはじめとする甲殻類の養殖場ないし種苗生産施設で
は、従来の方法とは異なる安全で確実な効果が期待でき
る斃死軽減方法の早急な開発を切望しているのが現状で
ある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、甲殻類が生
来備えている生体防御能を増強させ、産業上重大な脅威
となっているRV−PJ感染症をはじめとする各種伝染
病による被害を軽減する効果のある甲殻類用飼料添加剤
ないし甲殻類用飼料を提供し、その結果として養殖場な
いし種苗生産施設における生産性を向上させることにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】甲殻類の生体防御系は、
脊椎動物と同様に細胞性因子と体液性因子に分けられ
る。細胞性因子としては、血球による貪食・包囲化及び
ノジュール形成等があり、体液性因子としては、フェノ
ール酸化酵素前駆体(proPO)活性化をはじめとし
て、リゾチーム、レクチンおよび補体関連因子がある。
甲殻類は病原体の感染に際し、これらの細胞性因子と体
液性因子が相互に協力することにより最高の防御能を発
揮するものと考えられる。
【0013】ペプチドグリカンは細菌細胞壁の構成成分
で、血球の食活性を昂進する結果、免疫賦活効果を示す
ことが明らかにされているが、投与対象とする動物種に
よって、最適なペプチドグリカンを含有する細菌等の生
物種は異なることを見いだした。
【0014】ビブリオ属細菌のうちの数種の菌種は甲殻
類の病原細菌として認知されているが、特にビブリオ・
ペネイシダ(Vibrio penaeicida、ビ
ブリオ・エスピー・ピージェーの新名称)はビブリオ属
細菌の中でもエビ類に強い病原性を示す細菌であること
から、そのペプチドグリカンはクルマエビ及びウシエビ
をはじめとするクルマエビ属エビ類の生体防御能を最も
強く刺激する最適な物質の一つであることを見いだし
た。
【0015】本発明では、ビブリオ属細菌の細胞壁由来
のベプチドグリカンに限定したが、ビブリオ属細菌以外
のグラム陰性菌、グラム陽性菌、酵母類あるいは真菌類
由来のペプチドグリカンについては、チロシン等のフェ
ノール化合物やビタミンCの増量投与を併用した例はな
く、また、たとえチロシン等のフェノール化合物やビタ
ミンCの増量投与を併用したとしても、ある程度の効果
上のアップは認められるものの、甲殻類の免疫賦活上、
ビブリオ属細菌のような顕著な相乗効果は認められな
い。
【0016】一方、甲殻類の体液性の防御因子として重
要であるフェノール酸化酵素前駆体(proPO)活性
化系は血球中に存在し、チロシン、フェニールアラニン
あるいはドーパなどのフェノール化合物が、この酵素反
応系によって活性化されたフェノールオキシダーゼによ
って酸化され、最終的にメラニンが産生される。p−r
oPO活性化系の最終産物であるメラニンは病原体に対
してそれ自体が毒性を持ち、また、血球の食活性も促進
する。大量の病原体が体内に侵入し、血球の貪食によっ
ても除去できない場合には、ノジュール形成が起こり、
病原体は血球によって取り囲まれて隔離され、ノジュー
ルは最終的にメラニン化され、血球で処理される。
【0017】従って、チロシン、フェニールアラニンあ
るいはドーパなどが豊富な飼料を甲殻類に給与すれば、
体内のフェノール系化合物の含有量が増大し、proP
O活性化系におけるメラニン形成が活発になる結果、感
染防御能を増強することが期待できる。
【0018】食活性を有するエビ類の血球は、病原菌を
取り込んだ際、酸素の利用によって過酸化物が生じる。
その過酸化物は病原菌を殺菌消化するが、一方において
血球も壊しうる。ビタミンCは過酸化物を還元し無毒化
することで血球の破壊を防ぎ、その食活性を活発化させ
ることができる。また、ビタミンCは抗ストレス活性を
有することも知られている。
【0019】本発明者らは、上述した知見に基づき、甲
殻類用飼料にビブリオ属細菌とくにビブリオ・ペネイシ
ダの細胞壁由来のペプチドグリカンを添加する方法、チ
ロシン・フェニールアラニン・ドーパ等のフェノール系
化合物を増量する方法及びビタミンCを増量する方法の
うちの2〜3方法を組み合わせればエビ類をはじめとす
る甲殻類の生体防御能を長期間最高の状態に維持でき、
かつ安全である可能性が高いと考え研究に着手した。
【0020】すなわち、ビブリオ・ペネイシダ由来ペプ
チドグリカンのみを添加した飼料、チロシンのみを増量
した飼料、ビタミンCのみを増量した飼料、ビブリオ・
ペネイシダ由来ペプチドグリカンを添加しチロシンを増
量した飼料、ビブリオ・ペネイシダ由来ペプチドグリカ
ンを添加しビタミンCを増量した飼料、チロシンとビタ
ミンCを増量した飼料、ビブリオ・ペネイシダ由来ペプ
チドグリカンを添加しチロシンとビタミンCを増量した
飼料の7種類の試験用飼料を作製し、クルマエビのRV
−PJ人為感染系での防御効果比較試験を実施したとこ
ろ、これらのうちの2物質ないし3物質の添加ないし増
量を組み合わせたほうが、単独物質の添加ないし増量よ
りも防御効果が相乗的に高まり、とりわけビブリオ・ペ
ネイシダ由来ペプチドグリカンを添加するとともにチロ
シンとビタミンCを増量した飼料が最高の防御効果を示
すことを発見し、本発明を完成させた。なお、いずれも
併用したことにより、長期間投与しても効果が減衰せ
ず、免疫抑制作用もみられなかった。
【0021】すなわち、本発明は(1)ビブリオ属細菌
の細胞壁由来のペプチドグリカン、フェノール化合物及
びビタミンCのうちのいずれか2種を飼料に添加するこ
とを特徴とする甲殻類の免疫賦活方法、(2)ビブリオ
属細菌の細胞壁由来のペプチドグリカン、フェノール化
合物及びビタミンCを飼料に添加することを特徴とする
甲殻類の免疫賦活方法、(3)ビブリオ属細菌の細胞壁
由来のペプチドグリカンが、その精製品、粗精製品、細
胞壁自体のいずれかであることを特徴とする(1)また
は(2)に記載の甲殻類の免疫賦活方法、(4)フェノ
ール化合物がチロシン、フェニールアラニン又はドーパ
であることを特徴とする(1)または(2)に記載の甲
殻類の免疫賦活方法、(5)ビブリオ属細菌の細胞壁由
来のペプチドグリカン、フェノール化合物及びビタミン
Cのうちのいずれか2種ないし3種からなる飼料添加
剤、(6)フェノール化合物がチロシン、フェニールア
ラニン又はドーパであることを特徴とする(5)に記載
の飼料添加剤、(7)飼料が甲殻類用であることを特徴
とする(5)に記載の飼料添加剤に関するものである。
【0022】なお、ビブリオ・ペネイシダは、日本農産
工業株式会社中央研究所において保管されており、自由
分譲可能である。本発明の意図するところは、甲殻類自
体が生来備えている細胞性防御因子と体液性防御因子
を、単独では十分な効果を発揮し得ず効果機序の異なる
2物質ないし3物質を併用投与することによって、相乗
効果として甲殻類に最高の生体防御能を付与せしめ、ウ
ィルス病や細菌病等による斃死被害及び成長遅延要因を
排除し、結果として養殖場及び種苗生産施設での生産性
を改善することにある。
【0023】ビブリオ属細菌の細胞壁由来のペプチドグ
リカンは、次のようにして作製する。すなわち、適度に
希釈した海水で調製したブイヨン、適度の食塩を加えた
ブイヨン、あるいはこれらと同じ食塩濃度の適切な液体
培地にてビブリオ属細菌を至適温度(通常は20〜30
℃)で24〜72時間培養し、これを遠心分離して集菌
した菌体を出発材料とする。
【0024】細胞壁のみを集めるには例えば菌体浮遊液
をラウリル硫酸ナトリウム溶液で処理し遠心分離法によ
ってまず細胞質を、ついでラウリル硫酸ナトリウムを除
去して細胞壁を集める方法、菌体浮遊液をフレンチプレ
ス等を用いて強圧をかけて細胞壁構造を破壊したのち、
遠心分離法によって細胞質を除去して細胞壁を集める方
法及び菌体浮遊液を石英砂等とともにホモブレンダー等
によって強力に攪拌して摩砕したのち、遠心分離法によ
って細胞壁のみを集める方法等任意の方法を採用でき
る。
【0025】このようにして得られた細胞壁画分を各種
の酵素で処理して夾雑物を除去すればペプチドグリカン
精製画分が得られ、これを噴霧乾燥法ないし凍結乾燥法
等の任意の乾燥法で粉末化すれば、常温での長期保管と
輸送が可能であり、使用に際しても便利である。ペプチ
ドグリカンは精製品でも粗精製品でもよく、またこれを
含有する細胞壁画分でもペプチドグリカンとしての投与
レベルが適正ならば効果を発揮する。
【0026】本発明のチロシンの供給源としては、酵素
法ないし糖からの直接発酵法で生産されるもの、蛋白質
の加水分解物から抽出されたものなどが含まれ、いずれ
も精製品、粗精製品を問わず使用できる。また、糖から
の直接発酵法によるチロシン高含有菌体あるいは家蚕の
蛹粕、繭ないしその加水分解物、イカ内蔵などの飼料用
原料なども利用可能である。
【0027】また、エビ類体内で分解されチロシンとな
るフェノールアラニンや、チロシンからメラニン形成に
至る中間体としてのドーパなどの強化給与でも同様の免
疫賦活効果が期待できる。
【0028】本発明のビタミンCの補給源は、L−アス
コルビン酸、L−アスコルビン酸カルシウム、リン酸L
−アスコルビルマグネシウム等として工業的製法により
合成される合成品の他、果汁、緑茶、大根、緑葉等のビ
タミンCを豊富に含む天然物ないしその加工品でもよ
い。
【0029】勿論、本発明に用いるビブリオ属細菌の細
胞壁由来のペプチドグリカンに替えて、既述のミヤイリ
菌の死菌体、ブレビバクテリウム属・バチルス属等の細
菌の菌体殺菌処理物、細胞破壊物あるいは細胞壁画分、
グラム陽性菌・酵母類・真菌類由来のペプチドグリカ
ン、酵母類や菌類由来のβ−1,3−グルカン、カニ殻
由来のキチン・キトサン、牛乳由来のラクトフェリン等
の免疫賦活物質を使用し、これにチロシンあるいはビタ
ミンCの増量投与のうちの1〜2方法を併用することも
有効である。
【0030】本発明における飼料用添加剤は、本発明に
用いる物質以外に、一般に使用される賦形剤、例えば酵
母粉末、小麦粉、脱脂米糠、大豆粕、炭酸カルシウム、
無水ケイ酸等を配合してもよい。また、ビタミンEなど
のビタミン類、カルシウム、リン、亜鉛、セレン等の各
種ミネラル類、メチオニン、リジン、トリプトファン等
のアミノ酸類、プロテアーゼ、リパーゼ等の酵素類、嗜
好性改善効果のあるイカエキス、オキアミエキス、フィ
ッシュソリュブル、酵母エキス等の任意の物質を配合し
て、エビ類への栄養補強と一層の健康増進を図ることも
可能である。
【0031】本発明の飼料添加剤の甲殻類用飼料への添
加方法は特に制限されないが、配合飼料工場において事
前に添加混合した後成型・乾燥してドライペットとする
か、あるいは粉末の配合飼料に添加混合した後適量の水
を加えて成型し、モイストペレットとするか、あるいは
生餌と粉末飼料に添加混合して成型し、モイストペレッ
トとするか等、要するに本発明の飼料添加剤を添加した
飼料が水中で十分な保形性を保ち、有効成分が甲殻類に
確実に捕食される方法ならば任意の方法を採用できる。
【0032】本発明に用いる物質以外の飼料用原料とし
ては、魚粉、イカミール、オキアミミール、穀類を主体
とし、これにコレステロール、レシチン、植物性油粕
類、各種粘結剤(CMC、アルギン酸ナトリウム、グア
ガム等)、ビタミン混合物、ミネラル混合物等及び生餌
との併用等、特に制限されるものではない。
【0033】本発明におけるビブリオ属細菌の細胞壁由
来のペプチドグリカンとは、精製品、粗精製品、細胞壁
自体のいずれでもよく、その配合量は細胞壁粉末として
通常飼料1kg当たり0.1〜20mgの範囲で有効で
ある。特に好ましくは、1〜5mgである。
【0034】本発明における免疫賦活飼料中のチロシン
の強化量としては、他の原料中のチロシン含有量によっ
ても異なるが、通常の甲殻類用飼料のチロシン含有量は
2〜3%程度であるので、0.2〜3.0%程度強化
し、最終的な飼料中のチロシン含有量としては2.2〜
6.0%とすることが望ましい。
【0035】本発明における免疫賦活飼料中のビタミン
C強化量としては、通常の甲殻類用飼料1kg中のビタ
ミンC含有量が100〜250mg程度であるので、2
00〜1000mg程度のビタミンCを増量し、飼料中
1kg中の含有量を300〜1250mgとするとよ
い。
【0036】本発明における飼料添加剤は飼料に添加混
合して使用するものであるので、そのビブリオ属細菌由
来ペプチドグリカンの精製品、粗精製品あるいは細胞壁
画分、チロシン、ドーパあるいはフェニールアラニン等
のフェノール化合物及びビタミンCの含有量は、飼料添
加剤の飼料への添加率によって適宜決定されるべきもの
である。たとえばこれらの3物質のすべてを含有し飼料
に5%添加するものならば、本発明の飼料添加剤1kg
中にはビブリオ属細菌由来ペプチドグリカンの精製品、
粗精製品あるいは細胞壁を2〜400mg、チロシンあ
るいはフェニルアラニン等を40〜600g、ビタミン
Cを4〜20gを含有させるとよい。
【0037】甲殻類の種苗生産では微粒子飼料等の配合
飼料に加えて、発育段階に応じて、珪藻等の植物性プラ
ンクトンのほかに、ワムシ・アルテミア等の動物性プラ
ンクトンが併用給餌されることが多い。例えばビブリオ
属細菌由来細胞壁画分、チロシン高含有菌体及びビタミ
ンCのマイクロカプセル等を動物性プランクトンに給与
すると、これが体内に取り込まれ、一種のバイオカプセ
ルとなり、これを給与することで甲殻類稚仔の生体防御
能を増強することも可能である。
【0038】本発明における飼料及び飼料添加剤は、ク
ルマエビ(Penaeus Ja−ponicus)、
ウシエビ(Penaeus monodon)、大正エ
ビ(Penaeus orientalisあるいはP
enaeus chin−iensis)、ホワイトシ
ュリンプ(Penaeus vannamei)、ブル
ーシュリンプ(Penaeus stylirostr
is)、ブラウンシュリンプ(Metapenaeus
affinis)、テンジクエビ(Pe−naeus
merguiensis)、オニテナガエビ(Mac
robra−chium rosenbergii)、
アメリカザリガニ(Procamb−arus cla
rkii)等の海産エビ類及び淡水産エビ類、ガザミ、
タラバガニ、マツバガニ、ケガニ、シャコ等のカニ類等
の増殖、養殖並びに種苗生産対象となるすべての有用甲
殻類に利用できる。
【0039】
【発明の実施の形態】
【0040】
【実施例】表1の配合割合により原料を配合した後、
0.7mmスクリーンを取り付けた高速粉砕機で粉砕し
て80kgのペレット作製用粉末原体を得た。使用した
ビタミン混合物にはリン酸L−アスコルビルマグネシウ
ムが含まれ、ペレット作製用粉末原体中のリン酸L−ア
スコルビルマグネシウムの実測値は451mg/kgで
あった。また、同粉末原体中のチロシン含有量の実測値
は2.18%であった。
【0041】
【表1】
【0042】試験用飼料に添加するビブリオ・ペネイシ
ダのペプチドグリカン源としては、同細菌の細胞壁画分
を使用した。その製造方法は以下の通りである。すなわ
ち、ビブリオ・ペネイシダを少量の1.5%食塩添加ハ
ートインヒュージョン・ブロス(pH8.0)で25
℃、16時間前培養し、これを3Lの同培地に移植して
25℃にて24時間培養し、7000rpmにて60分
間遠心して湿菌量として約27gの菌体を回収した。こ
れを100mlの3%食塩水に浮遊させ、室温で1mg
のDNaseを加えてよく攪拌し、さらに3%食塩水で
調製した2%ラウリル硫酸ナトリウムを等量加え、よく
攪拌し、室温で一夜震トウして溶菌させた。この溶菌液
を精製水で2倍に希釈し、58000×gで60分間遠
心し、その沈査に同様の条件で再度、DNase及びラ
ウリル硫酸ナトリウムを作用させ、遠心後、得られた沈
査を6モルの尿素液にて遠心洗浄操作を6回反復した。
遠心上清中にラウリル硫酸ナトリウムが検出されなくな
ったことを確認した後、精製水でさらに遠心洗浄を5回
反復し、最終遠心の沈査を凍結乾燥して粉末化した。そ
の結果、約200mgの細胞壁粉末を得た。
【0043】0.3%グアガム水溶液16Lを調製し、
その2Lずつ計14Lにはビブリオ・ペネイシダの細胞
壁粉末(20mg)、試薬特級チロシン(170g)及
びリン酸L−アスコルビルマグネシウム(9.6g)の
うちの1〜3物質を溶解あるいは懸濁させた。
【0044】上述のペレット作製用粉末原体を10kg
ずつ分け、対照区の飼料用の10kgには、0.3%グ
アガム水溶液のみをミキサーで2L混合し、残りの10
kgずつには各物質1〜3種を溶解ないし懸濁させた
0.3%グアガム水溶液2Lずつをミキサーで混合し
た。その後φ2.5mmダイをセットした二軸エキスト
ルーダー(栗本鉄工所製)でペレット状に成型した。次
いで温風乾燥機(約60℃)で乾燥し、対照区飼料1
種、試験区飼料7種の計8種類の飼料を得た。
【0045】平均体重10gのクルマエビ120尾を1
5尾ずつ計8群に分け、それぞれを60×30×40c
mのガラス水槽に収容し、水温22〜23℃で飼育し
た。これらに各区飼料をウィルス攻撃日の7日前から試
験終了日までの18日間、いずれも体重の1%の割合
で、毎日1回夕方に投与した。
【0046】攻撃は、RV−PJ人為感染斃死クルマエ
ビの頭部をハンクス液とともに冷却しながらホモゲナイ
ズし、3000rpmで30分間冷却遠心し、その上清
を各水槽に2mlずつ滴下する方法によった。攻撃10
日間まで毎日の斃死尾数を記録して比較した。
【0047】その結果は、表2の通りとなった。すなわ
ち、対照区は全尾斃死したのに対して、ビブリオ・ペネ
イシダ細胞壁の単独添加区、チロシン単独増量区及びリ
ン酸L−アスコルビルマグネシウム単独増量区では、生
残率がそれぞれ33.3%、13.3%及び13.3%
であり、チロシン・リン酸L−アスコルビルマグネシウ
ム増量区、ビブリオ・ペネイシダ細胞壁添加・リン酸L
−アスコルビルマグネシウム増量区およびビブリオ・ペ
ネイシダ細胞壁添加・チロシン増量区における生残率は
それぞれ26.7%、40.0%および46.7%であ
り、いずれも生残率の向上を認めたが、ビブリオ・ペネ
イシダ細胞壁を添加し、チロシンとリン酸L−アスコル
ビルマグネシウムを増量した区での生残率が最高の6
6.7%となった。
【0048】この結果からクルマエビ用飼料にビブリオ
・ペネイシダ由来のペプチドグリカン、チロシンおよび
ビタミンCの3種のうちの2〜3種を組み合わせた飼料
の投与はクルマエビの生体防御能を増強させ、とくにこ
れらの3種を併用した飼料は最も顕著な免疫賦活効果を
発揮することが確認された。
【0049】
【表2】
【0050】(表中「Vibrio属菌細胞壁」は「ビブリオ
・ペネイシダ細胞壁」のことである。)
【0051】次に、ビブリオ・ペネイシダ細胞壁添加、
チロシン・リン酸L−アスコルビルマグネシウム強化飼
料の長期給与がクルマエビに及ぼす影響すなわち安全性
を明らかにするため、2ケ月間の水槽試験を行った。飼
料は上述の人為感染試験に使用した対照区飼料とビブリ
オ・ペネイシダ細胞壁を添加し、チロシンとリン酸L−
アスコルビルマグネシウムを増量した試験区飼料の2種
類を使用した。水槽は200Lプラスチック製コンテナ
を使用し、1水槽あたり平均体重6〜7gのクルマエビ
を30尾放養した。換水率は10〜15回転/日で試験
期間中の水温は17〜19℃であった。給餌回数は毎夕
1回のみとし、飽食量を給餌した。その結果は表3に示
すとおりとなり、生残率、個体成長倍率および飼料効率
において、試験区は対照区よりも高い値を示し、試験区
飼料の長期給与はクルマエビに悪影響を及ぼさないこと
が明らかとなった。
【0052】
【表3】
【0053】
【発明の効果】クルマエビのRV−PJ感染症やビブリ
オ病をはじめとする甲殻類の各種感染症による被害を少
なくすることができ、その結果、養殖場では生産性が向
上するとともに収益性が高まり経営の安定に寄与するこ
とが期待でき、またクルマエビやガザミ等の甲殻類の種
苗生産施設では種苗の計画的な安定生産が可能となる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 35/74 AER A61K 35/74 AERB

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビブリオ属細菌の細胞壁由来のペプチド
    グリカン、フェノール化合物及びビタミンCのうちのい
    ずれか2種を飼料に添加することを特徴とする甲殻類の
    免疫賦活方法。
  2. 【請求項2】 ビブリオ属細菌の細胞壁由来のペプチド
    グリカン、フェノール化合物及びビタミンCを飼料に添
    加することを特徴とする甲殻類の免疫賦活方法。
  3. 【請求項3】 ビブリオ属細菌の細胞壁由来のペプチド
    グリカンが、その精製品、粗精製品、細胞壁自体のいず
    れかであることを特徴とする請求項1または2に記載の
    甲殻類の免疫賦活方法。
  4. 【請求項4】 フェノール化合物がチロシン、フェニー
    ルアラニン又はドーパであることを特徴とする請求項1
    または2に記載の甲殻類の免疫賦活方法。
  5. 【請求項5】 ビブリオ属細菌の細胞壁由来のペプチド
    グリカン、フェノール化合物及びビタミンCのうちのい
    ずれか2種ないし3種からなる飼料添加剤。
  6. 【請求項6】 フェノール化合物がチロシン、フェニー
    ルアラニン又はドーパであることを特徴とする請求項5
    に記載の飼料添加剤。
  7. 【請求項7】 飼料が甲殻類用であることを特徴とする
    請求項5に記載の飼料添加剤。
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JP2012532629A (ja) * 2010-09-28 2012-12-20 中国科学院南海海洋研究所 海洋由来のBacillusbarbaricusSCSIO02429及びこれを用いたイカオリゴペプチドの調製方法
KR20210009578A (ko) * 2019-07-17 2021-01-27 손경원 큰징거미 새우용 사료 조성물
CN114732093A (zh) * 2022-04-24 2022-07-12 江苏海洋大学 一种淡水甲壳动物用复合免疫增强剂及其应用方法

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