JPH10224101A

JPH10224101A - 導波管のチョークフランジ

Info

Publication number: JPH10224101A
Application number: JP4302697A
Authority: JP
Inventors: Kibatsu Shinohara; 己拔篠原; Atsushi Kashiwagi; 厚柏木
Original assignee: Nihon Koshuha Co Ltd
Current assignee: Nihon Koshuha Co Ltd
Priority date: 1997-02-12
Filing date: 1997-02-12
Publication date: 1998-08-21

Abstract

(57)【要約】【課題】従来のチョークフランジに比べ、小型、軽量
で製造コストも安価な導波管のチョークフランジを提供
する。【解決手段】導波管のチョークフランジにおいて、チ
ョーク回路を形成する空間部分に誘電体を配置すること
により、チョーク回路の機械的寸法を短縮する。そのチ
ョーク回路を形成する空間部分が方形導波管開口部の外
側に該方形導波管と相似の方形の細溝として設けられ、
さらに導波管面のギャップを、チョークフランジの軸方
向に窪ませて形成した凹面と、相手のフランジに前記凹
部と嵌合するように形成した凸面との間に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えばマイクロ波
電力を利用した加熱装置、プラズマ発生装置、粒子加速
装置などに用いられる導波管のチョークフランジに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来例えば粒子加速装置等の電子ビーム
の加速には、ピーク電力でメガワット（以下「ＭＷ」と
記す）級の大電力のマイクロ波が主に使用されている。
このようなマイクロ波の伝送には導波管系、特に方形導
波管を複数個接続したものが多く用いられている。

【０００３】導波管の接続に一般に用いられる接触形の
バットフランジは、導波管の接合面の加工精度が良好で
あることが必要であり、かつその接合面を隙間なく十分
な締付力で締め付けることが要求される。マイクロ波に
より大電力を伝送する場合は、導波管の接続部に高周波
の大電流が流れるので、接続部のフランジの接合面に隙
間があると電波洩れの原因となり、その隙間に流れ込む
高周波電流の物理的および化学的作用のため、フランジ
面の変色や接触不良の原因となる物質の形成につながる
おそれがある。これに対し、導波管の面を直接接触させ
ないチョークフランジは、機械的寸法の許容誤差が大き
くとれるのでマイクロ波大電力の伝送に適している。

【０００４】チョークフランジの動作原理を以下に説明
する。導波管のチョークフランジは、接続する導波管の
（両フランジの）内面を直接接触させないで、２つの導
波管の間に１／２波長の先端短絡の直列分岐回路を設け
たものである。図３（ａ）は一般に用いられている導波
管のチョークフランジの一例を示す縦断面図、図３
（ｂ）はそのチョークフランジの正面図である。図３
（ａ）および（ｂ）において、１１・１１は接続する二
つの導波管、１２はチョークフランジ、１３は相手側の
フランジで、両導波管１１・１１は接触することなく、
導波管接続部のチョークフランジの面と相手側のフラン
ジの面の間に狭いギャップ（導波管面のギャップ）１５
が形成されている。このギャップ１５はその端縁が導波
管軸に平行に設けられた同軸導波管１４と通じている。
導波管面のギャップ１５では電流分布はラジアルライン
を形成し、同軸導波管１４ではＴＥ₁₁モードが主に伝送
される。この同軸導波管１４の先端部１６はＴＥ₁₁モー
ドの短絡面で、同軸導波管１４は前記導波管面のギャッ
プ１５と共にチョーク回路を形成する。

【０００５】導波管面のギャップ１５においては、電
界、磁界および電流の分布が１／４波長のラジアルライ
ンを形成する。同軸導波管１４の長さをＴＥ₁₁モードの
１／４波長とすると、その先端部１６を短絡する１／４
波長の伝送線路であるので、フランジの接触面１７にお
いては面を横切って流れる電流が殆どないため、たとえ
接触が多少悪くてもほとんど影響がない。さらに、ラジ
アルラインおよび同軸導波管１４のＴＥ₁₁モードの伝送
線路を狭くしてその特性インピーダンスを低くしてあ
る。これらの作用の結果、上記ギャップ１５は電気的に
短絡されたに等しい動作をする。これがチョークフラン
ジの動作原理である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが上記チョーク
フランジは、構造上ラジアルモードや同軸導波管のＴＥ
₁₁モードの１／４波長の長さを必要とする。そのため構
造が大きくなり重量も重くなり、レイアウト上も制限を
受け、取扱いも容易とはいえなかった。また、製造コス
トもバットフランジに比べると高くなることは避けられ
ない。

【０００７】本発明は上記の事情に鑑みて提案されたも
ので、小型、軽量で製造コストも高くない導波管のチョ
ークフランジを提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】すなわち本発明に係る導
波管のチョークフランジは、チョーク回路を形成する空
間部分に誘電体を配置することにより、チョーク回路の
機械的寸法を短縮したことを特徴とする。

【０００９】上記チョーク回路を形成する空間部分は、
（同軸）導波管および導波管面のギャップからなり、導
波管が方形の場合は、（同軸）導波管が方形導波管開口
部の外側に該方形導波管と相似の方形の細溝として設け
られ、導波管面のギャップは、チョークフランジの軸方
向に窪ませて形成した凹面と、相手のフランジに前記窪
みと嵌合するように形成した凸面との間に設けられるの
が好ましい。

【００１０】本発明のチョークフランジのチョーク回路
は、ＴＥ₁₁モードの先端短絡の１／４波長の同軸導波管
（導波管の軸方向に平行）と、ラジアルモードの１／４
波長の長さの導波管面のギャップ（導波管の軸方向に垂
直）とにより形成される。従来のチョークフランジにお
いては、これらのチョーク回路を形成する空間部分は空
気であるのでその機械的寸法は必然的に長くなる。本発
明はこの空間部分に誘電体を配置することにより波長短
縮効果でその機械的寸法を短縮しようと企図したもので
ある。

【００１１】本発明において、チョーク回路に配置する
誘電体は、チョーク回路を形成する空間部分に隙間なく
充填してあってもよく、あるいは部分的に存在させてあ
ってもよく、また隙間があってもよい。チョーク回路を
形成する空間部分に何らかの形の誘電体が存在すると、
それにより波長が短くなるからである。空間部分に隙間
なく誘電体を充填した場合に波長短縮効果が最も大きく
なる。

【００１２】空間部分に配置する誘電体としては、電力
損失の少ないものであればよく、特に限定はない。実用
的にはポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン（四
フッ化エチレン樹脂）等のプラスチックス類あるいはア
ルミナ等のセラミックス類が用いられる。これらの物質
は、いずれもチョークフランジの開口部の形状寸法に合
わせて作成された成形品として用いるのが好都合であ
る。

【００１３】

【作用】本発明はチョーク回路を形成する空間部分に誘
電体を配置して、その波長短縮効果によりチョーク回路
の機械的寸法を短くしたものである。誘電体を配置する
ことによりチョーク回路の特性インピーダンスは低くな
るので、導波管面のギャップから見た入力インピーダン
スの周波数特性は短絡により近くなる。従ってチョーク
回路の動作は通常のチョーク回路に比べてさらに良好に
なる。チョーク回路に誘電体を部分的に配置した場合
も、波長短縮効果は少なくなるが、チョーク回路の機械
的寸法を適当に選ぶことにより、チョーク回路として作
動することは明らかである。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明によるチョークフランジ
を、図に示した実施形態に基づいて具体的に説明する。
図１（ａ）は本発明による方形導波管の接続に用いるチ
ョークフランジの一実施形態を示す断面図、図１（ｂ）
はその正面図である。

【００１５】図１（ａ）および（ｂ）において、１・１
は互いに接続すべき導波管で、その各導波管１は図示例
においては偏平角筒状の方形導波管が用いられ、その一
方の導波管の端部には長方形状のチョークフランジ２、
接続する相手の導波管の端部にはチョークフランジ２と
嵌合する相手のフランジ３が溶接もしくはろう付等によ
り一体的に設けられている。その両フランジ２および３
の周方向複数箇所には略等間隔に貫通孔が形成され、そ
の各貫通孔は、両フランジ２および３を図１（ａ）のよ
うに向かい合わせて重ねた状態において互いに一致する
ように設けられている。

【００１６】図１（ａ）および（ｂ）に示したように、
互いに接続すべき導波管１・１は直接接触せず、チョー
クフランジ２の軸方向に窪ませて形成した凹面７と、相
手のフランジ３に前記窪みと嵌合するように形成した凸
面８との間にチョーク回路を形成する空間部分４および
５が設けられている。この空間部分の４は同軸導波管、
５は導波管面のギャップで、ギャップ５の周囲は同軸導
波管４の一方の端に連結している。この同軸導波管４の
先端６はＴＥ₁₁モード短絡面となり、チョークフランジ
２には、ＴＥ₁₁モードの伝送線路となる同軸導波管（チ
ョーク回路の一部）４が方形導波管１の開口部の外側に
該方形導波管と相似の方形の細溝として設けられてい
る。導波管面のギャップ５はマイクロ波伝送時のラジア
ルライン部（チョーク回路の一部）を形成する。そして
空間部分４および５には誘電体としてポリテトラフルオ
ロエチレンの成形品が充填されている。図２は充填され
ている誘電体２０の形状の一例を示す斜視図である。図
２において、（２１）は誘電体の同軸導波管４に充填さ
れる部分、（２２）は誘電体の導波管面のギャップ５に
充填される部分である。なお、図１（ａ）の９は相手フ
ランジ３に方形導波管１の開口部に沿って設けられた溝
に嵌め込まれたガスケットである。

【００１７】なお、上記チョークフランジの接続方法と
してボルト・ナットで締めつける方法を例示したが、先
に本発明者らが提案した「導波管接続装置」（出願番号
平成８年特許願第３５９３７５号）に記載された各種
の接続方法を適用してもよい。例えば、１）前記チョー
クフランジと接続する相手のフランジとの接合面の反対
側にそれぞれテーパ面を設け、該テーパ面に係合し、断
面略Ｖ字形のクランプ片と、そのクランプ片を上記テー
パ面に圧接させる締付手段とからなる連結クランプとを
使用して接続する方法、２）前記二つのチョークフラン
ジの接合面の反対側の面に、断面略三角形状のテーパ面
形成部材を配置することによって前記テーパ面を形成す
るようにした接続方法、または３）前記の断面略三角形
状のテーパ面形成部材を予め薄いシート状の連結部材で
連結しておく接続方法等を適用することも可能である。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように本発明によるチョー
クフランジは上記の構成であるので、小型、軽量であ
り、通常の接触型のバットフランジのフランジ部分の板
厚を若干厚くした程度の外形寸法でよいため取扱が容易
である。しかも、チョークフランジであるから、大電力
のマイクロ波伝送に適しており、加工コストも通常のチ
ョークフランジに比べて安価にできる。従って粒子加速
装置や大電力マイクロ波伝送装置のように、多数の導波
管を接続する装置においては、本発明によるチョークフ
ランジが極めて有効である。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）本発明によるチョークフランジの一例を
示す断面図（ｂ）同上の正面図

【図２】チョーク回路に充填する誘電体の形状の一例を
示す斜視図

【図３】（ａ）従来のチョークフランジの一例を示す断
面図（ｂ）同上の正面図

【符号の説明】

１、１１方形導波管２、１２チョークフランジ３、１３相手フランジ４、１４同軸導波管５、１５導波管面のギャップ６、１６同軸導波管の先端部７チョークフランジの凹面８相手フランジの凸面１７フランジの接触面２０誘電体

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】方形導波管のチョークフランジにおい
て、チョーク回路を形成する空間部分が、導波管面のギ
ャップと方形導波管開口部の外側に該方形導波管と相似
の方形の細溝として設けられた導波管とから構成され、
この空間部分に誘電体を配置したことを特徴とする導波
管のチョークフランジ。
【請求項２】上記導波管面のギャップが、チョークフ
ランジの軸方向に窪ませて形成した凹面と、相手のフラ
ンジに前記窪みと嵌合するように形成した凸面との間に
設けられた請求項１記載の導波管のチョークフランジ。