JPH10221020A - 測長システム - Google Patents

測長システム

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JPH10221020A
JPH10221020A JP9025325A JP2532597A JPH10221020A JP H10221020 A JPH10221020 A JP H10221020A JP 9025325 A JP9025325 A JP 9025325A JP 2532597 A JP2532597 A JP 2532597A JP H10221020 A JPH10221020 A JP H10221020A
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JP
Japan
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atmosphere
laser light
laser beam
wavelength
interferometer
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JP9025325A
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English (en)
Inventor
Masaru Hachisuga
勝 蜂須賀
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】空気ゆらぎによって測定精度が左右されない測
長システムを提供する。 【解決手段】移動体Aに固定した鏡2との位置関係がア
ッベの原則に従うように、干渉計4を置く。干渉計4の
隣には、超音波bの送受波器5を置く。波形処理装置6
は、超音波bが送受波器5と鏡2間を往復する時間tを
検出し、補正装置11は、センサ8,9,10の出力を用
いてレーザ光a1の波長を環境補正する。処理装置12
は、補正装置11が補正した波長の半値を一目盛として
用いて移動体Aの変位量の概略値L'を算出した後、こ
の概略値L'と、波形処理装置6が検出した時間tとを
用いて大気の平均絶対温度TAveを算出する。更に、エ
ドレンの式の温度パラメータとして大気の平均絶対温度
Aveを用いて、レーザ光a1の波長を改めて環境補正す
る。最終的に、処理装置12は、自身が環境補正した波
長の半値を目盛とすることによって移動体Aの正規の変
位量を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超精密位置決め技
術に係り、特に、制御対称である移動体の変位量を測定
するレーザ測長システムに関する。
【0002】
【従来の技術】サブnmという極めて高分解能の測定を
可能とするレーザ干渉計は、半導体製造に使用されるス
テッパを始めとする超精密機器のXYステージ等の位置
決め制御系の検出要素等として多く用いられている。
【0003】以下、図2により、この干渉計を含む測長
システム(以下、従来の測長システムと呼ぶ)の基本構成
の概要について説明する。
【0004】レーザ発振器100から射出されたレーザ
光100aは、ミラー干渉計101を通過した後、制御
対称である移動体A(例えば、XYテーブル等)に装着さ
れたミラー102を照明する。このミラー102で反射
したレーザ光100aは、ミラー干渉計101に入射し
て、参照光(元のレーザ光)との干渉縞を形成する。そし
て、この干渉縞の強度を検出するレシーバ103の出力
は、レーザ光100aの光路に沿って移動体Aがレーザ
光100aの半波長(λa/2)に相当する距離だけ移動
する毎に正弦的に変動する。そこで、処理装置104
は、レシーバ103の出力値の変動を一周期毎にカウン
トする。尚、より分解能を向上させるために、レシーバ
103の出力を電気的に分割するような場合もある。
【0005】一方、大気の屈折率nの算出に必要とされ
る環境パラメータT,P,Fをインプロセス計測するため
に、レーザ光100aの光路の近傍には、大気中の温度
Tを検出する温度センサー105と、大気力Pを検出す
る気圧センサー106と、大気の湿度Hを検出する湿度
センサー107がそれぞれ配置されている。
【0006】そして、補正装置108は、まず、これら
センサ105,106,107が検出した環境パラメータ
T,P,Hを用いて、以下に示すエドレンの実験式(1)か
ら大気の屈折率nを算出する。
【0007】
【数1】
【0008】続いて、補正装置108は、このとき算出
した大気の屈折率nと、以下に示す数式(2)とを用い
て、真空中のレーザ光100aの波長値λv(6.33
nm)を補正することによって、大気中のレーザ光10
0aの波長値λaとする。そして、この大気中のレーザ
光100aの波長値λaを処理装置104に入力する。
【0009】λa=λv/n ……(2) そして、処理装置104は、レーザ光100aの波長値
λaの入力を受付けると、この波長値の半値λa/2を
一目盛として移動体Aの変位量ΔLを算出する。具体的
には、移動体Aの変位量ΔLとして、レシーバ103の
出力変動のカウント数分の目盛に相当する距離を算出す
る。その後、この算出結果ΔLは、表示部104a上に
表示されると共に、主フィードバック信号として、移動
体Aの駆動装置のサーボアンプ(不図示)にフィードバッ
クされる。
【0010】ここで示した構成のみによっても、約±
1.4ppm程度の測定精度(判り易く言えば、測長距
離1m当たり±1.4μm程度の精度)を実現すること
ができるが、別途、波長トラッカと呼ばれる補正機を設
ければ、約±0.14ppm程度にまで測定精度を向上
させることが可能となることが知られている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】実際の測定環境におい
ては、レーザ光100aの光路上において環境パラメー
タT,P,Hが一様に分布している場合は少ない。特に、
構造上、レーザ光aの光路付近からの熱源(移動体Aを
駆動するモータ等)を除去することができず、レーザ光
100aの光路上に、図3(A)に示すような温度むらT
1,T2,T3(但し、T0≠T1≠T2≠T3)が発生している
ことが非常に多い。その結果、レーザ光aの光路上にお
ける屈折率分布が不均一となるため、即ち、n0≠n1
2≠n3となるため、レーザ光100aの波長λ01,
λ23は、通常、図3(B)に示すような非周期的な変
動を起こす。
【0012】そして、この温度むらT1,T2,T3が時間
と共に変化するため、その変化にあわせて、レーザ光a
の光路上における屈折率分布も時々刻々と変化し、移動
体Aが静止している状態であっても、あたかも移動体A
が移動したかのように、レシーバ103の出力値がラン
ダムに微小変動する現象が現れる。こうした現象を発生
させる空気の経時的な状態変化は、一般に空気ゆらぎと
呼ばれている。測定環境の状態の安定性の如何によって
も異なるが、この空気ゆらぎは、ときとして、サブμm
オーダに達する変動を測定値に与える場合があることか
ら、検出要素の測定精度に対する要求の厳しい超精密位
置決め制御系においては無視できない誤差要因とされて
いる。
【0013】ところが、上記従来の測長システムにおい
ては、レーザ光100aの光路全域に渡る温度を示す環
境パラメータTとして、温度センサー105で検出され
る局所的な空間300aの温度T3が用いられているこ
とからも明らかなように、レーザ光100aの光路上の
温度むらT1,T2,T3の存在自体が全く無視されてい
る。即ち、空気ゆらぎに起因する測定誤差の補正に関し
て全く考慮がなされていない。従って、従来の測長シス
テムにおいては、移動体の変位量ΔLの測定精度が、当
然に、空気ゆらぎによる影響をまともに受けることにな
る。
【0014】そこで、本発明は、測定環境の空気ゆらぎ
によって測定精度が左右されない測長システムを提供す
ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、波長値の既知なレーザ光を測定面に向け
て照射するレーザ光源と、基準光と前記測定面で反射し
たレーザ光との干渉縞を形成する干渉計と、前記レーザ
光の波長値を基準値として用いて前記干渉計が形成した
干渉縞の強度変化に応じた距離を算出する処理装置とを
備えた測長システムであって、前記レーザ光源と前記測
定面との間に介在する雰囲気の平均温度を検出する平均
温度検出手段と、前記雰囲気の湿度を検出する湿度検出
手段と、前記雰囲気の圧力を検出する圧力検出手段と、
前記平均温度検出手段が検出した前記雰囲気の平均温度
と、前記湿度検出手段が検出した前記雰囲気の湿度と、
前記圧力検出手段が検出した前記雰囲気の圧力とを用い
て、予め定めた既知の補正関数に従って、前記レーザ光
の既知の波長値を環境補正し、当該前記処理装置が基準
値として用いる環境補正手段とを備えることを特徴とす
る測長システムを提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照しなが
ら、本発明に係る実施の一形態について説明する。
【0017】まず、図1により、移動体AのX方向への
変位量を検出する場合を一例に挙げて、本実施の形態に
係る測長システムの基本構成について説明する。
【0018】移動体Aの変位量測定面A1には、予め、
固定具3によって反射鏡2が取り付けてある。そして、
変位センサである干渉計4は、この反射鏡2との位置関
係がアッベの原理に従うように配置されている。レーザ
発振器1から照射されたレーザ光aは、この干渉計4に
入射して、内部のビームスプリッタで、反射鏡2と参照
鏡(不図示)とに向かう2方向に分割される。そして、反
射鏡2に向かった一方のレーザ光a1は、反射鏡2で反
射し、再度、干渉計4に入射して、参照鏡(不図示)で反
射した他方のレーザ光との干渉縞を形成する。この干渉
縞の強度Kは、レシーバ7によってリアルタイムに検出
される。従って、X方向に移動体Aがレーザ光a1の半
波長(λ/2)に相当する距離だけ移動する毎に、レシー
バ7の出力は正弦的に変動することとなる。
【0019】また、この干渉計4の近傍には、大気の屈
折率nの算出に必要とされる環境パラメータをインプロ
セス計測する各種センサ8,9,10(本実施の形態で
は、大気の絶対温度Tを検出する温度センサ8、大気圧
Pを検出する気圧センサ9、大気の湿度Hを検出する湿
度センサ10)が配置してある。
【0020】更に、この干渉計4の隣には、後述の波形
処理装置6の制御信号に応じて前方の反射鏡2に向けて
超音波パルスbを送波し、且つ、その反響を受波する送
受波器5が配置されている。このように干渉計4と送受
波器5とを隣接させているのは、干渉計4から出射して
反射鏡2に向かうレーザ光a1の光路と、送受波器5か
ら反射鏡2に向かう超音波パルスbの経路とを可能な限
り近接させるためである。
【0021】そして、処理部13は、以上の検出要素
5,7,8,9,10の出力に基づいて、移動体Aの変位量
ΔLを算出する。そのための演算処理(後述)を実行する
ために、この処理部13は、各センサ8,9,10の出力
T,P,Hから大気中のレーザ光の波長λを算出するレー
ザ波長補正装置11と、送受波器5の出力から超音波パ
ルスbが送受波器5と反射鏡2との間を往復伝播するた
めに要した時間t(以下、超音波パルスbの往復伝播時
間tと呼ぶ)を算出する波形処理装置6と、レシーバ7
の出力Kとレーザ波長補正装置11の出力λと波形処理
装置6の出力tとから移動体Aの変位量ΔLを算出する
処理装置12とを備えている。以下、全体の測定処理の
流れに沿って、処理部13の各装置6,11,12で実行
される演算処理について説明する。但し、レーザ波長補
正装置11のROM(不図示)には、レーザ発振器1から
照射されたレーザ光aの真空中の波長値λv(本実施の
形態では、6.33nm)が予め格納してあるものとす
る。また、その他、以下の演算に必要とされる数式も、
予めレーザ波長補正装置11のROMに格納してあるも
のとする。また、処理装置12のROMO(不図示)に
は、反射鏡2の初期位置から干渉計4迄の距離L0と、
レーザ発振器1から照射されたレーザ光aの真空中の波
長値λvとが予め格納してあるものとする。また、その
他、以下の演算に必要とされる数式も、予め処理装置1
2のROMに格納してあるものとする。
【0022】レーザ波長補正装置11は、各センサ8,
9,10がインプロセス計測した環境パラメータT,P,
Hを用いて、まず、従来技術の欄で説明したエドレンの
実験式(1)から大気の屈折率nを算出する。続いて、こ
の大気の屈折率nと、従来技術の欄で説明した数式(2)
とを用いて、真空中のレーザ光aの波長値λvを環境補
正することによって、大気中のレーザ光aの波長値λを
算出する。そして、この大気中のレーザ光aの波長値λ
を処理装置12に入力する。あわせて、ここで用いた3
つの環境パラメータT,P,Hの内の圧力パラメータPと
湿度パラメータHも処理装置12に入力する。
【0023】一方、波形処理装置6は、送受波器5に定
期的に超音波パルスbを送波させて、超音波パルスbの
往復伝播時間tをリアルタイムに受波する。具体的に
は、送受波器5が反射鏡2に向けて超音波パルスbを送
波してから、その反響を受波する迄の時間tをカウント
している。そして、この超音波パルスbの往復伝播時間
tを処理装置12に逐次入力する。
【0024】その間、処理装置12は、レシーバ7の出
力変動を一周期毎にカウントしている。そして、レーザ
波長補正装置11から大気中のレーザ光a1の波長値λ
等の入力を受付けると、まずは、一旦、大気中のレーザ
光a1の半波長値λ/2を一目盛として移動体Aの変位
量の概略値ΔL'を算出する。具体的には、レシーバ7
の出力変動のカウント値分の目盛に相当する距離ΔL'
を算出する。そして、この概略値ΔL'を、反射鏡2の
初期位置から干渉計4迄の距離L0に加算することによ
って、反射鏡2の現在位置から干渉計4迄の距離の概略
値L'を算出する。更に、波形処理装置6から超音波パ
ルスbの往復伝播時間tの入力を受付けると、この超音
波パルスbの往復伝播時間tと、反射鏡2の現在位置か
ら干渉計4迄の距離の概略値L'とを用いて、次式(3)
から、反射鏡2と送受波器5との間の超音波パルスbの
往復経路上の平均絶対温度TAveを算出する。即ち、レ
ーザ波長補正装置11と波形処理装置6とからリアルタ
イムに入力されてくるデータに基づいて、反射鏡2と送
受波器5との間の超音波パルスbの往復経路上の平均絶
対温度TAvを算出する。
【0025】 TAve=(2×L'/(20.067×t))2 …(3) 本式(3)は、以下に示す過程に沿って導出したものであ
る。
【0026】空気中の超音波の伝播速度Cは、空気の絶
対温度T、空気の圧力P、水蒸気張力によって変化する
が、これらを通常の状態付近の値に限るならば、次式に
よって近似することができる。
【0027】C≒20.067×√T また、空気中の超音波の伝播速度Cは、超音波の伝播距
離Lと伝播時間tとを用いて、次式のように表わすこと
もできる。
【0028】C=2×L/t そこで、この空気中の超音波の伝播速度Cを表わす2つ
の式から、パラメータCを消去すれば、前述の数式(3)
を導くことができる。
【0029】尚、本実施の形態では、反射鏡2から干渉
計4迄の正確な距離が未知であるため、反射鏡2から干
渉計4迄の距離の概略値L'を用いて大気の平均絶対温
度TA veを算出しているが、この概略値L'に含まれる測
定誤差は、従来の測長システムの測定誤差(測長距離1
m当たり約±1.4μm)と同程度の値であるため、反
射鏡2から干渉計4迄の正確な距離の概略値L'を用い
たことにより、数式(3)により算出される大気の平均絶
対温度TAveに極端な誤差が発生することはない。
【0030】ところで、前述したように、干渉計4から
出射したレーザ光a1の光路と、送受波器5から送波さ
れた超音波パルスbの経路とが可能な限り近接されてい
るため、反射鏡2と送受波器5との間の超音波パルスb
の往復経路上の平均絶対温度TAは、干渉計4と反射鏡
2との間のレーザ光a1の往復光路上の温度分布と殆ど
変らないと仮定することができる。この仮定の下では、
送受波器5から反射鏡2との間の超音波パルスbの往復
経路上の平均絶対温度TAveを、干渉計4と反射鏡2と
の間のレーザ光a1の往復光路上の平均絶対温度と見做
すことができる。そこで、処理装置12は、数式(3)に
よって算出した平均絶対温度TAveを温度パラメータT
として用いることによって、従来技術の欄で説明したエ
ドレンの実験式(1)から、干渉計4と反射鏡2との間の
レーザ光a1の往復光路上の平均屈折率nAveを算出す
る。尚、この際に使用する他の2つのパラメータP,H
は、大気中のレーザ光a1の波長値λと共にレーザ波長
補正装置11から入力されたものである。
【0031】続いて、処理装置12は、従来技術の欄で
説明した数式(2)と、干渉計4と反射鏡2との間のレー
ザ光a1の往復光路上の平均屈折率nAveとを用いて、真
空中のレーザ光aの波長値λvを環境補正することによ
って、干渉計4と反射鏡2との間を往復するレーザ光a
1の平均波長値λAveを算出する。レーザ光a1の平均波
長値λAveが変動し続けている場合には、この段階で、
レーザ光a1の平均波長値λAveの変動率に応じてレシー
バ7の出力変動のカウント値を補正しておく。これによ
り、空気ゆらぎに起因するレシーバ7の出力変動分のカ
ウント値を除去することができるからである。
【0032】その後、処理装置12は、レーザ光a1
平均波長値λAveの半値λAve/2を新たな一目盛として
用いて、レシーバ7の出力変動のカウント値分の目盛に
相当する距離ΔLを算出する。尚、本実施の形態では、
この距離ΔLを、移動体Aの変位量として表示部12a
上に表示するのみとしているが、場合によっては、主フ
ィードバック信号として、移動体Aの駆動装置のサーボ
アンプ(不図示)にフィードバックするようなこともあ
る。
【0033】このように、本測長システムによれば、空
気ゆらぎに起因するレシーバ7の出力変動分のカウント
値が除去されるので、空気ゆらぎに起因する測定誤差が
現れることがない。また、レーザ光a1の光路上の局所
的な空間の温度(屈折率)を使用せずに、レーザ光a1
光路全域に渡る平均絶対温度(平均屈折率)を使用してレ
ーザ光a1の波長を環境補正しているため、レーザ光a1
の光路上に発生した温度むら(不均一な屈折率分布)に起
因する測定誤差を大幅に低減させることができる。具体
的には、空気ゆらぎを防止する特別な対策(例えば、レ
ーザ光の光路上に空気を吹き付けるファンを設ける等)
を施さなくとも、最低でも±0.10ppm程度の測定
精度が達成されることは、シミュレーション等によって
既に確認済みである。この値を、同一の使用条件の下に
おける従来の測長システムの測定精度(約±1.4pp
m)と比較すれば、大気の平均平均屈折率を用いたレー
ザ波長の環境補正を新たに採用したことによって、測定
環境の空気ゆらぎに起因する測定誤差の大幅な除去が達
成されたことが明らかに認識される。
【0034】尚、別途、波長トラッカを設けることによ
って、測定精度の一層の向上が期待できることは言うま
でもない。
【0035】尚、本実施の形態では、超音波パルスの往
復伝播時間tから、レーザ光の光路上の平均温度TAve
を算出することとしているが、必ずしも、このようにす
る必要はない。例えば、超音波の送波器と受波器とをそ
れぞれ別々に配置して、送受波信号の位相差を検出する
ようにすれば、この位相差から、レーザ光の光路上の平
均温度TAveを算出することも可能である。このような
構成にすると、超音波の周波数が測定の分解能に影響を
及ぼすこととなるが、使用条件等を限定すれば実用に問
題が生じることは殆どない。
【0036】また、本実施の形態では、レシーバ7の出
力変動のカウント値と、レーザ波長補正装置11が環境
補正したレーザ光の波長値とを用いて、反射鏡2の現在
位置から干渉計4迄の距離の概略値L'を算出するよう
にしているが、反射鏡2の現在位置から干渉計4迄の概
略距離を同程度のレベルで測定することができる簡易な
測定手段があれば、代わりに、それを用いても構わな
い。
【0037】ここで、最後にはなるが、本実施の形態に
おいてレーザ光a1の光路上の平均温度TAveを検出する
ために超音波パルスbを採用した理由について説明して
おく。
【0038】第一の理由は、現在の技術によれば、超音
波パルスbの繰返し周期をmsecオーダ以下に設定す
ることが可能であるため、大気の平均絶対温度を約1K
Hz程度のレスポンスで測定することができることであ
る。即ち、現在の技術によれば、空気ゆらぎに起因する
大気の平均絶対温度の変動(約1KHz程度)の検出にも
充分に対応することができるからである。
【0039】第二の理由は、現在の技術によれば、有効
な環境補正を行うことができる程度の分解能で大気の平
均絶対温度を検出することができることである。
【0040】従来の測長システム(測定精度 約±1.4
ppm)の測定誤差が空気ゆらぎのみに起因するもので
あるとすると、これは大気の平均絶対温度に約±1.5
K程度の変動が発生したことに相当する。従って、有効
な環境補正を行うためには、少なくとも0.1K程度の
分解能で大気の平均絶対温度を検出する必要がある。
【0041】一方、図4に示した表によれば、大気の平
均温度が常温付近で約±0.1K変動すると、単位距離
(1m)間を超音波パルスbが往復伝播する時間t0は、
約±1.00μsec程度変化することが判る。従っ
て、0.1K程度の分解能で大気の平均絶対温度を検出
するためには、1.00μsec程度の分解能で超音波
パルスの往復伝播時間を検出することが必要である。
【0042】ところが、現在、0.1μsecオーダの
分解能で大気中の超音波の伝播時間を検出する程度の技
術は既に確立されている。従って、現在の技術によれ
ば、本実施の形態において必要とされる程度の分解能で
大気の平均絶対温度を検出することは充分に可能であ
る。
【0043】第三の理由は、大気の絶対温度の変動に対
する超音波パルスbの往復伝播時間の感度が極めて高い
ため、空気ゆらぎに起因する大気の平均絶対温度TAve
の変動を正確に算出することができることである。
【0044】超音波パルスbの往復伝播時間tは、空気
ゆらぎに起因する大気の絶対平均温度の変動のみでな
く、移動体Aの振動等に起因する超音波パルスbの伝播
距離の変動によっても変動する。従って、数式(3)によ
り算出される大気の平均絶対温度TAveには、移動体A
の振動等に起因する超音波パルスbの伝播距離の変動に
よる誤差が含まれている可能性が高い。
【0045】ところが、従来の測長システムの測定精度
が、約±1.4ppmであることを考慮すれば、移動体
Aの振動等に起因する超音波パルスbの伝播距離の変動
は、精々、約±1.4ppm程度にしかならない。つま
り、単位距離間を超音波パルスbが往復伝播する時間t
0には、約±8.2nsec程度の微小変動しか現れな
いことになる。
【0046】その一方で、大気の平均温度が常温付近で
約±0.1K変動すると、単位距離(1m)間を超音波パ
ルスbが往復伝播する時間t0には、約±1.00μs
ecにも達する変動が現れることは前述した通りであ
る。
【0047】以上より、移動体Aの振動等に起因する超
音波パルスbの伝播距離の変動が、数式(3)により算出
される大気の平均絶対温度TAveの誤差要因になること
は殆どない。従って、空気ゆらぎに起因する大気の平均
絶対温度TAveの変動を正確に算出することができるの
である。
【0048】
【発明の効果】本発明に係る測長システムによれば、測
定環境の空気ゆらぎによる影響を受けずに、移動体の変
位量を精度良く測定することができる。
【0049】従って、構造上、レーザ光の光路付近か
ら、空気ゆらぎの発生原因となる熱源(例えば、モータ
等)を除去することが不可能な場合に、特に有益な効果
が奏されることを期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る測長システムの基本
構成を示した図である。
【図2】従来の測長システムの基本構成を示した図であ
る。
【図3】(A)は、空気ゆらぎの概念図であり、(B)は、
空気ゆらぎによるレーザ光の波長変動を説明するための
図である。
【図4】超音波の伝播速度及び伝播時間と、大気の温度
との関係を示した表である。
【符号の説明】
1…レーザ発振器 2…反射鏡 3…固定具 4…干渉計 5…送受波器 6…波形処理装置 7…レシーバ 8…温度センサ 9…気圧センサ 10…湿度センサ 11…レーザ波長補正装置 12…処理装置 13…処理部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】波長値の既知なレーザ光を測定面に向けて
    照射するレーザ光源と、基準光と前記測定面で反射した
    レーザ光との干渉縞を形成する干渉計と、前記レーザ光
    の波長値を基準値として用いて前記干渉計が形成した干
    渉縞の強度変化に応じた距離を算出する処理装置とを備
    えた測長システムであって、 前記レーザ光源と前記測定面との間に介在する雰囲気の
    平均温度を検出する平均温度検出手段と、 前記雰囲気の湿度を検出する湿度検出手段と、 前記雰囲気の圧力を検出する圧力検出手段と、 前記平均温度検出手段が検出した前記雰囲気の平均温度
    と、前記湿度検出手段が検出した前記雰囲気の湿度と、
    前記圧力検出手段が検出した前記雰囲気の圧力とを用い
    て、予め定めた既知の補正関数に従って、前記レーザ光
    の既知の波長値を環境補正し、当該前記処理装置が基準
    値として用いる環境補正手段とを備えることを特徴とす
    る測長システム。
  2. 【請求項2】波長値の既知なレーザ光を測定面に向けて
    照射するレーザ光源と、基準光と前記測定面で反射した
    レーザ光との干渉縞を形成する干渉計と、前記レーザ光
    の波長値を基準値として用いて前記干渉計が形成した干
    渉縞の強度変化に応じた距離を算出する処理装置とを備
    えた測長システムであって、 前記レーザ光源の近傍の位置から前記測定面に向けて、
    前記レーザ光源から出射されたレーザ光の光路に沿って
    前記レーザ光源と前記測定面との間に介在する雰囲気中
    を伝播する超音波を送波すると共に、前記測定面からの
    前記超音波の反響を受波する送受波器と、 前記雰囲気中を前記超音波が往復伝播した往復伝播時間
    として、前記送受波器が前記超音波を送波してから当該
    超音波の反射波を受波する迄の時間を検出する往復伝播
    時間検出手段と、 前記レーザ光の光路の近傍の位置に配置され、当該位置
    で前記雰囲気の湿度を検出する湿度センサと、 前記レーザ光の光路の近傍の位置に配置され、当該位置
    で前記雰囲気の圧力を検出する圧力センサと、 前記レーザ光源から前記測定面迄の概略距離を測定する
    概略距離測定手段と、 前記往復伝播時間検出手段が検出した往復伝播時間と、
    前記概略距離測定手段が測定した概略距離とを用いて、
    前記雰囲気の平均温度を算出する平均温度算出手段と、 前記平均温度算出手段が算出した前記雰囲気の平均温度
    と、前記湿度センサが検出した前記雰囲気の湿度と、前
    記圧力センサが検出した前記雰囲気の圧力とを用いて、
    予め定めた既知の補正関数に従って、前記処理装置が基
    準値として用いる前記レーザ光の波長値を環境補正する
    第一環境補正手段とを備えることを特徴とする測長シス
    テム。
  3. 【請求項3】請求項2記載の測長システムであって、 前記概略距離測定手段として、 前記レーザ光の光路の近傍の位置に配置され、当該位置
    で前記雰囲気の温度を検出する温度センサと、 前記温度センサが検出した前記雰囲気の温度と、前記湿
    度センサが検出した前記雰囲気の湿度と、前記圧力セン
    サが検出した前記雰囲気の圧力とを用いて、予め定めた
    既知の補正関数に従って、前記レーザ光の波長値を環境
    補正する第二環境補正手段と、 前記概略距離として、前記第二環境補正手段が環境補正
    した前記レーザ光の波長値を基準値として前記干渉計が
    形成した干渉縞の強度変化に応じた距離を算出する算出
    手段とを備えることを特徴とする測長システム。
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