JPH10216466A - 高度清浄空間 - Google Patents

高度清浄空間

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JPH10216466A
JPH10216466A JP9033172A JP3317297A JPH10216466A JP H10216466 A JPH10216466 A JP H10216466A JP 9033172 A JP9033172 A JP 9033172A JP 3317297 A JP3317297 A JP 3317297A JP H10216466 A JPH10216466 A JP H10216466A
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JP
Japan
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clean space
highly clean
zeolite
water
repellent
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Application number
JP9033172A
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English (en)
Inventor
Soichiro Sakata
総一郎 阪田
Katsumi Sato
克己 佐藤
Hideto Takahashi
秀人 高橋
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Takasago Thermal Engineering Co Ltd
Original Assignee
Takasago Thermal Engineering Co Ltd
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Priority to AT98901053T priority patent/ATE322327T1/de
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Priority to KR10-1998-0707817A priority patent/KR100461613B1/ko
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防災に優れ,かつ湿度の低下が無く,しかも
基板などの有機物汚染を防止できるクリーンルームやク
リーンベンチなどの高度清浄空間を提供する。 【解決手段】 湿度が調節された空気を循環させる機構
を備えた高度清浄空間1において,空気の循環経路に,
撥水性ゼオライトを備えた通気性を有する吸着層11
と,この吸着層11の下流側に配された粒子状不純物を
除去するフィルタ12を設けたことを特徴とする。この
高度清浄空間1によれば,高度清浄空間1内において循
環している空気中のガス状有機不純物を,湿度を低下さ
せることなく除去することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は,例えば半導体素子
(LSI)や液晶ディスプレイ(LCD)の製造に好適
に利用されるクリーンルームやクリーンベンチなどの,
空気雰囲気の調湿機能と空気雰囲気中のガス状有機不純
物と粒子状不純物の除去機能を有する高度清浄空間に関
する。
【0002】
【従来の技術】今日,LSIやLCDの製造に清浄空間
が広く利用されている。例えばベアウェハ(シリコンウ
ェハ)から1MDRAMチップを製造するまでに至る半
導体製造ラインは約200程度の工程を含んでおり,ま
た,素ガラス(LCD基板)から9.4型TFTを製造
するまでに至るLCDパネル製造ラインは約80程度の
工程を含んでいる。これらの製造ラインにおいて,ウェ
ハやLCD基板を各プロセスに常に連続的に流すことは
困難である。例えば,TFT−LCDの製造ラインで
は,前工程で回路が一通り形成された半製品基板は,後
工程に移送されるまでに数時間〜数十時間の間,搬送容
器(キャリア)や保管庫(ストッカ)の中において,清
浄空間雰囲気に曝されながら待機させられる。
【0003】このように,ウェハやLCD基板を通常の
清浄空間雰囲気中に長時間放置すると,それら基板の表
面には清浄空間雰囲気由来の有機物が付着する。そし
て,例えばウェハに有機物が付着した場合には,次のよ
うな不都合を生じる。即ち,有機物が付着した状態でウ
ェハ表面に絶縁酸化膜(SiO2)を形成すると,有機
物中の炭素成分が絶縁酸化膜中に取り込まれることによ
り,絶縁酸化膜の絶縁耐圧が大幅に低下し,リーク電流
も大幅に増大するといった問題を生ずる。また,ウェハ
表面への有機物の吸着により,レジスト膜の密着性が悪
くなり,露光・エッチング不良を起こし,正確なパター
ン形成ができなくなる恐れがある。加えて,表面に絶縁
膜が形成されたウェハの表面抵抗率が上昇してウェハの
帯電が生じやすくなり,気中に浮遊している微粒子が更
にウェハ表面に静電吸着しやすくなって,より絶縁破壊
が起きやすくなる。また,清浄空間雰囲気中に含まれた
有機不純物に光学機器の紫外線が照射されると,その清
浄空間中において光りCVD反応が起こり,その生成物
が露光装置などの光学系レンズやミラー等の表面に付着
して曇りが生じ,光学効率が低下してしまう。
【0004】また,雰囲気由来の有機物がLCD基板で
あるガラス基板に付着した状態でその表面上に薄膜トラ
ンジスタ(TFT)用のアモルファスシリコン(a−S
i)を成膜した場合は,LCD基板とa−Si膜の密着
不良を生じてしまう。このように,清浄空間雰囲気由来
の有機物は,LSIやLCDの製造に悪影響を及ぼす。
【0005】一方,基板の表面に付着した有機物を,例
えば紫外線/オゾン洗浄などの洗浄技術によって除去す
ることも可能である。しかし,基板一枚当たりの洗浄時
間は数分間も要し,頻繁に洗浄することは生産性の低下
を招く。このように,特に最近では,金属不純物やパー
ティクルによる基板の汚染に加えて,清浄空間雰囲気中
に存在する有機不純物が半導体製造に及ぼす影響が問題
視されている。例えば,米国のSEMATECHが19
95年5月31日に発表したTechnology T
ransfer #95052812A−TR「For
ecast of Airborne Molecul
ar Contamination Limits f
or the 0.25 Micron High P
erformance Logic Process」
には,表1に示すようなウェハ表面の有機物汚染制御レ
ベル(表面汚染の許容値)が記載されている。この記載
によると,1998年には前工程で5×1013炭素原子
個数/cm2,後工程で1×1015炭素原子個数/cm2
の制御が必要とされている。
【0006】
【表1】
【0007】そこで従来より,清浄空間雰囲気中に含ま
れるガス状有機不純物を除去するための手段として,活
性炭を用いてガス状の有機不純物を吸着して除去するケ
ミカルフィルタが使用されている。そして,活性炭を用
いたケミカルフィルタの最も簡素な形式として,所定の
ケースなどに粒状活性炭を詰め込んだ構成の充填塔が知
られている。また,その他の形式として,繊維状活性炭
を低融点ポリエステルやポリエステル不織布のバインダ
と複合してフェルト形状にした構成のケミカルフィルタ
や,粒状活性炭をウレタンフォームや不織布に接着剤で
強固に付着させたブロック形状およびシート形状のケミ
カルフィルタも知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】例えば,天井面が清浄
空気の吹き出し面となっているクリーンルームの場合に
ついていえば,天井に取り付けられている粒子除去用フ
ィルタの上流側にケミカルフィルタを配置することが,
クリーンルームの空気雰囲気中のガス状有機不純物を除
去するために極めて有効な手段である。しかし,活性炭
は消防法において指定された可燃物であり,火気には厳
重な注意が必要である。このため,防災上の観点から,
活性炭を使用したケミカルフィルタは天井に配置し難
い。
【0009】また,LSIやLCDの製造に利用される
清浄空間は,通常,温度23〜25℃,相対湿度40〜
55%の雰囲気に保たれる。しかし,活性炭は弱い疎水
性であるから,ガス状有機不純物のみならず空気中の水
分も相当に吸着する。このため,清浄空間への給気側に
活性炭を使用したケミカルフィルタを取り付けた場合
は,ケミカルフィルタの上流側においてせっかく所定の
湿度に調節しても,ケミカルフィルタに使用されている
活性炭が空気中の水分を吸着するので,清浄空間内の湿
度が所定の値よりも低くなってしまう。湿度の低下は静
電気の発生を容易にし,LSIやLCDの製造に支障を
きたす。
【0010】そして,充填塔形式の従来のケミカルフィ
ルタは,有機物の吸着効率は高いが,圧力損失(通気抵
抗)が高いという欠点を有する。一方,フェルト形状や
シート形状のケミカルフィルタは通気性に優れ,吸着効
率も充填塔とさほど劣らないが,濾材(例えば,不織
布,バインダなど)や,活性炭をシートに付着させてい
る接着剤(例えば,ネオプレン系樹脂,ウレタン系樹
脂,エポキシ系樹脂,シリコン系樹脂など)や,濾材を
周囲のフレームに固着するために用いるシール材(例え
ばネオプレンゴムやシリコンゴム等)などから発生した
ガス状有機不純物がケミカルフィルタ通過後の空気中に
含まれてしまい,半導体の製造に悪影響を与える可能性
がある。さらに,これらフェルト形状やシート形状のケ
ミカルフィルタは,クリーンルーム雰囲気中に含まれる
ppbオーダの極微量有機不純物を一旦は除去しておき
ながら,再びケミカルフィルタ自身から発生したガス状
有機不純物を通過空気中に混入させてしまう。
【0011】また,吸着層の下流側に設けられた粒子状
不純物を除去するフィルタには,従来,ガス状有機不純
物を発生する素材を構成要素として含むため,粒子状不
純物を除去するフィルタ自身がガス状有機不純物を発生
するという不具合もあった。
【0012】従って本発明の目的は,防災に優れ,かつ
湿度の低下が無く,しかも基板などの有機物汚染を防止
できるクリーンルームやクリーンベンチなどの高度清浄
空間を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに,請求項1の発明は,湿度が調節された空気を循環
させる機構を備えた高度清浄空間において,前記空気の
循環経路に,撥水性ゼオライトを備えた通気性を有する
吸着層と,該吸着層の下流側に配された粒子状不純物を
除去するフィルタを設けたことを特徴とする。この請求
項1の高度清浄空間によれば,高度清浄空間内において
循環している空気中のガス状有機不純物を,湿度を低下
させることなく除去することが可能となる。
【0014】この請求項1の高度清浄空間は,可燃物で
ある活性炭を使用していないので防災に優れており,従
って請求項2に記載したように,前記吸着層とフィルタ
を,高度清浄空間の天井部に配置することができるよう
になる。なお,防災性を更に向上させるために,請求項
3に記載したように,前記吸着層は可燃物を含まない素
材のみで構成するのがよい。また,請求項4に記載した
ように,前記吸着層は,ガス状有機不純物を発生しない
素材のみで構成することが好ましい。
【0015】なお,前記吸着層の好ましい構成として
は,請求項5に記載したように,ハニカム構造体の表面
に撥水性ゼオライトを固着させたものが提供される。こ
の場合,前記固着は,請求項6に記載したように,撥水
性ゼオライトの粉末を分散させた懸濁液にハニカム構造
体を含浸させた後,該ハニカム構造体を乾燥する方法,
請求項7に記載したように,接着剤によってなされる方
法などによって行うことができる。また,請求項8に記
載したように,前記ハニカム構造体は,無機繊維を必須
成分としそれ以外の成分として粘土鉱物又は珪酸カルシ
ウムのいずれかを含有する不燃性の構造体とすることが
好ましい。更に,請求項9に記載したように,前記撥水
性ゼオライトの有効細孔径は,7オングストローム以上
とすることが好ましい。
【0016】また,請求項10に記載したように,前記
フィルタも,ガス状有機不純物を発生しない素材のみで
構成するのがよい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下,添付図面を参照しながら本
発明の好ましい実施の形態にかかる高度清浄空間につい
て詳細に説明する。
【0018】図1は,本発明の実施の形態にかかる高度
清浄空間1の構成を概略的に示す説明図である。この高
度清浄空間1は,具体的には,例えばクリーンルームや
クリーンベンチなどである。高度清浄空間1は,例えば
LSIやLCDなどの製造を行うための処理空間2と,
この処理空間2の上下に位置する天井部(サプライプレ
ナム)3及び床下部(レタンプレナム)4と,処理空間
2の側方に位置するレタン通路5から構成される。
【0019】天井部3には,ファンユニット10と通気
性を有する吸着層11とフィルタ12を有するクリーン
ファンユニット13が配置されている。処理空間2に
は,熱発生源となる例えば半導体の製造装置14が設置
されている。床下部4は多数の孔が穿孔されたグレーチ
ング15で仕切られている。また,床下部4には,半導
体製造装置14の熱負荷を処理するためのドライコイル
16が設置されている。ドライコイル16は,熱交換表
面に結露を生じさせない条件で空気を冷却する空気冷却
器を意味する。レタン通路5に温度センサ17が設置さ
れており,この温度センサ17で検出される温度が所定
の設定値となるように,ドライコイル16の冷媒圧調整
弁18が制御される。
【0020】そして,クリーンファンユニット13のフ
ァンユニット10が稼働することによって,適宜気流速
度が調整されながら,高度清浄空間1内部の空気は,天
井部3→処理空間2→床下部4→レタン通路5→天井部
3の順に流れて循環するように構成されている。またこ
の循環中に,ドライコイル16によって冷却され,クリ
ーンファンユニット13内の吸着層11とフィルタ12
によって空気中のガス状有機不純物と粒子状不純物が除
去されて,適温で清浄な空気が処理空間2内に供給され
るようになっている。
【0021】吸着層11は,循環空気からガス状有機物
を除去するための撥水性ゼオライトを備えている。また
吸着層11は,可燃物を含まない素材のみで構成され,
かつガス状有機不純物を発生しない素材のみで構成され
ている。
【0022】フィルタ12は吸着層11の下流側に配さ
れており,このフィルタ12は粒子状不純物を除去する
ことが可能な機能を有している。またフィルタ12は,
ガス状有機不純物を発生しない素材のみで構成されてい
【0023】また,高度清浄空間1の床下部4内には,
取り入れ外気が回路20を経て適宜供給される。この回
路20には,取り入れ外気からガス状有機物を除去する
ための,撥水性ゼオライトを備えた吸着層21が配され
ており,吸着層21の上流側には,取り入れ外気の除塵
・調温・調湿を行うユニット型空調機22が設けられて
いる。また,回路20には湿度センサ27が配置されて
おり,この湿度センサ27で検出される湿度が所定の設
定値となるように,ユニット型空調機22の調湿部の給
水圧調整弁29が制御される。一方,処理空間2内には
湿度センサ28が設置されており,この湿度センサ28
で処理空間2内の雰囲気の湿度が検出される。
【0024】回路20から高度清浄空間1の床下部4に
供給された取り入れ外気は,レタン通路5及び天井部3
を経由して,処理空間2に導入される。そして,この取
り入れ外気に見合った空気量が,排気口25から排気ガ
ラリ26を介して室外に排気される。
【0025】図2は,本発明の実施の形態にかかる吸着
層11の概略的な分解組立図である。隣接する波形シー
ト30の間に,凹凸のない薄板シート31を挟んだ構成
のハニカム構造体32を有し,このハニカム構造体32
の表面全体に撥水性ゼオライトが固着されている。後述
するように,撥水性ゼオライトの有効細孔径は,7オン
グストローム以上であることが好ましい。図示のよう
に,吸着層11は,処理空気の流通方向(図中,白抜き
矢印33で示す方向)に開口するようにアルミニウム製
の外枠35a,35b,35c,35dを筒状に組み立
て,その内部空間に撥水性ゼオライトを表面に固着した
ハニカム構造体32を配置することにより構成される。
吸着層11の外形および寸法は,設置空間に合わせて任
意に設計変更することができる。
【0026】吸着層11の製造方法の一例を簡単に説明
する。無機繊維(セラミック繊維,ガラス繊維,シリカ
繊維,アルミナ繊維等)と有機材料(パルプ,溶融ビニ
ロンの混合物)と珪酸カルシウムの3つの材料を1:
1:1の等重量で配合し,湿式抄紙法により約0.3m
mの厚みに抄造する。なお,珪酸カルシウムの代わり
に,珪酸マグネシウムを主成分とするセピオライト,ア
タパルジャイト等の粘土鉱物を使用してもよい。この抄
造シートをコルゲータによって波形加工し,出来上がっ
た波形シート30を薄板シート31に接着剤で接着して
図2に示すようなハニカム構造体32に成形する。この
ハニカム構造体32を,電気炉に入れて,400℃,1
時間の熱処理を行い,有機質成分を全て除去し,ハニカ
ム構造体32を多孔性とする。つぎに撥水性ゼオライト
の粉末(数μm)と無機バインダ(シリカゾル,アルミ
ナゾル等)を分散させた懸濁液に,多孔性ハニカム構造
体を数分間浸した後,300℃,1時間の熱処理で乾燥
して,吸着層11を得ることができる。こうして得られ
た吸着層11は,構成材料に可燃物を含まないし,吸着
層が熱処理される際に構成材料に含まれていた表面汚染
の原因となるガス状有機不純物成分が全て脱離・除去さ
れるため,吸着層自身からガス状有機不純物を発生する
こともない。
【0027】次に,吸着層11の他の製造方法の一例を
説明する。ハニカム構造体32を製作するまでは,先に
説明した製造方法例と同じである。前述の例では,多孔
性となったハニカム構造体32に撥水性ゼオライトの粉
末(数μm)を含浸させたが,本例では,ハニカム構造
体32に粒状の撥水性ゼオライトを接着剤で付着させ
る。図3は,本例における製造方法の吸着層11の断面
部分拡大図である。波形シート30と薄板シート31の
表面全体に隙間なく粒状の撥水性ゼオライト36を不燃
性接着剤で固着する。そして,このハニカム構造体32
を,電気炉に入れて,接着剤の耐熱温度以下の100℃
で2時間の熱処理を行い,接着剤に含まれる表面汚染の
原因となるガス状有機不純物成分を全て脱離・除去する
ことにより,吸着層11を製造する。処理空気は図3に
示す疑似半月形の断面形状をした筒状の空間37を通過
することになる。なお,図4に示すように,山形シート
38と薄板シート31を組み合わせて構成したハニカム
構造体32の表面全体に隙間なく粒状の撥水性ゼオライ
ト36を不燃性接着剤で固着することにより,吸着層1
1を製造しても良い。この図4の場合は,処理空気は三
角形の断面形状をした筒状の空間39を通過することに
なる。
【0028】このようにして製造される吸着層11は,
構成材料に可燃物を含まないため,図1のように吸着層
11を天井部3に取り付けた場合,可燃物である活性炭
をベースとした従来のケミカルフィルタを天井面に取り
付けた場合と比較して,防災上の安全性は著しく高ま
る。なお,図1に示した高度清浄空間1において,取り
入れ外気を処理する吸着層21も循環空気を処理する吸
着層11と同様の構成とすれば,可燃物である活性炭を
ベースとした従来のケミカルフィルタを外気取り入れ口
に取り付けた場合と比較して,防災上の安全性は更に高
まる。
【0029】フィルタ12は,通常の中性能フィルタや
HEPAフィルタ,ULPAフィルタでは,濾材に揮発
性有機物を含むバインダを使用しているのでバインダか
らの脱ガスがある。したがってバインダを使用しない濾
材を用い,あるいはバインダを使用していても焼きだし
などの処理により揮発性有機物を除去した濾材を用い,
さらに濾材をフレームに固定する手段であるシール材に
も脱ガスの発生のない種類を選択したり,あるいは濾材
を脱ガスのない素材で物理的に圧着してフレームに固定
することが望ましい。
【0030】つぎに,本発明の他の実施の形態にかかる
高度清浄空間1’を図5に示した。この図5に示す高度
清浄空間1’は,撥水性ゼオライトを固着させたハニカ
ム構造体の吸着層11を高度清浄空間1’の天井部3全
面に取り付けるのではなく,所々間引いて設置してい
る。本例では,図1と比較して吸着層11の設置台数を
半分にした。その他の点は,先に図1において説明した
高度清浄空間1と同様の構成である。従って,図5に示
す高度清浄空間1’おいて,先に図1で説明した高度清
浄空間1と同じ構成要素については同じ符号を付するこ
とにより,詳細な説明は省略する。
【0031】半導体の製造などを行う高度清浄空間にお
いて発生する,基板表面汚染の原因となる有機物は,シ
ーラントから発生する有機物シロキサン,建材中の難燃
剤から発生するリン酸エステル,建材中の可塑剤から発
生するフタレート,レジスト密着剤から発生するHMD
S,カセット酸化防止剤から発生するBHTなどの高沸
点・高分子の有機化合物に限られる。これらの有機物の
発生源はクリーンルームなどといった高度清浄空間の構
成部材もしくは高度清浄空間内部に存在する製造に利用
する種々の物品であり,取り入れ外気に由来するものは
あまりない。したがって,吸着層11の役割は,主とし
て高度清浄空間内部で発生する表面汚染の原因となる高
沸点・高分子の有機化合物を循環空気中から除去し,高
度清浄空間内部のこれら有機物濃度を低減することであ
る。吸着層11を備えた高度清浄空間を稼働すると,稼
働初期に高度清浄空間内部の有機物濃度は最も高く,稼
働時間の経過とともに,循環空気中からこれら有機物が
逐一除去されて,濃度は低下していき,遂には高度清浄
空間内部の発生量と平衡する濃度で安定化する。空気が
1回循環する際に除去される有機物量は,天井全面に取
り付けた図1の高度清浄空間1と,間引いた図5の高度
清浄空間1’を比較すると,2:1の関係がある。つま
り,稼働初期の最高濃度から,高度清浄空間内部の発生
量と平衡する濃度まで達するまでの時間は,間引いた図
5の高度清浄空間1’の場合は天井全面に取り付けた図
1の高度清浄空間1の場合よりも相当に長くなる。ま
た,最終的に到達する平衡濃度も,間引いた場合は天井
全面に取り付けた場合よりも少し高くなる。つまり,間
引くと濃度の低減に時間がかかり,低減後の平衡濃度も
間引かない場合よりも少し高くなるという短所はある
が,吸着層11のイニシャルコストや定期的交換に伴う
ランニングコストを安くしたいという経済的要望から,
この図5に示す例のように,吸着層11の設置台数を間
引くことも多い。
【0032】
【実施例】次に,以上に説明した本発明の実施の形態に
かかる高度清浄空間の作用効果を,実施例によって説明
する。
【0033】まず,高度清浄空間の一例として,クリー
ンルーム中において,粒状活性炭と繊維状活性炭をそれ
ぞれ使用した市販のケミカルフィルタ2種とイオン交換
繊維を使用したケミカルフィルタのそれぞれにより処理
したクリーンルームエアと,クリーンルーム中の空気を
液体窒素で冷却し不純物を凝縮除去した後のドライエア
の計4つの雰囲気中で,酸化膜付きシリコンウェハ表面
の接触角の経時変化を測定した結果を図6に示した。表
面に超純水を滴下して測定される接触角は,表面の有機
物汚染の程度を簡便に評価する方法である。洗浄直後の
有機物汚染のない酸化膜付きシリコンウェハやガラスの
表面は水に馴染みやすい性質,つまり親水性であり,接
触角は小さい。ところが,有機物で汚染されたそれらの
表面は水をはじく性質,つまり撥水性であり,接触角は
大きくなる。例えば,クリーンルーム雰囲気中に放置さ
れたガラス基板表面を対象に,超純水滴下による接触角
の測定値と,X線光電子分光法(XPS:X−ray
Photoelectron Spectroscop
y)により測定した有機物表面汚染は,図7に示すよう
な相関関係があることが知られている。酸化膜付きシリ
コンウェハの表面についても,接触角と有機物表面汚染
の間にはほぼ同様の相関関係がある。このように,基板
表面における水の接触角の大きさと有機物表面汚染の間
には極めて強い相関がある。
【0034】図6の結果からつぎのことが分かる。イオ
ン交換繊維は本来水溶性無機不純物を吸着除去するため
のものであり,有機物を吸着できず,逆にガス状有機物
を発生する。1日放置で約10゜の接触角の増加が見ら
れる。一方,ドライエア雰囲気中には,ガス状有機物は
ほとんど含まれないから接触角は増加しない。本来有機
物表面汚染を防止するはずの活性炭フィルタ2種は,1
日放置で約10゜の接触角の増加となり,表面汚染防止
効果はほとんどない結果を示した。活性炭を利用した2
種のケミカルフィルタに効果が見られない理由として,
バインダ,接着剤,シール剤等の表面有機汚染物質がケ
ミカルフィルタの構成部材に含まれるため,折角の活性
炭吸着効果が自身の構成部材脱ガスにより打ち消されて
しまったためである。一方,充填塔を使用した場合に
は,充填塔の容器などを金属製などとすればこのような
心配はないが,充填塔は圧力損失(通気抵抗)が高いと
いう欠点を有することは前述したとおりである。
【0035】次に,先に図1で説明した本発明の高度清
浄空間を実際に製作し,処理空間に洗浄直後の有機物汚
染のない酸化膜付きシリコンウェハ基板を放置した。吸
着層は,ハニカム構造体に撥水性ゼオライトを固着させ
た構成である。そして洗浄直後と3日間放置後の接触角
をそれぞれ測定し,3日間放置による接触角の増加を調
べた。3日間放置による接触角の増加の測定(洗浄→接
触角測定→3日間放置→接触角測定)を同じようにして
15日ごとに繰り返し,吸着層の吸着性能の経時劣化を
測定した。高度清浄空間内の循環空気流量を5000m
3/minとし,この循環空気を処理するために使用し
た撥水性ゼオライト使用量は5000kgとした。つま
り,1m3/minの通気量当たりの撥水性ゼオライト
使用量は1kgとした。外気取り入れ量は,循環空気流
量の4%の200m3/minとした。クリーンルーム
全体の内容積は3120m3であり,1時間当たりの換
気回数は100回であった。
【0036】また比較のため,撥水性ゼオライトを備え
た吸着層を,繊維状活性炭を低融点ポリエステルやポリ
エステル不織布のバインダと複合してフェルト形状にし
た従来の構成のケミカルフィルタに交換し,酸化膜付き
シリコンウェハ基板を洗浄後3日間放置したことによる
接触角の増加の測定を15日ごとに繰り返した。この場
合も1m3/minの通気量当たりの活性炭使用量は1
kgとした。さらに,本発明にかかる撥水性ゼオライト
を備えた吸着層や従来の構成によるケミカルフィルタを
一切設けない場合,即ち,清浄空間雰囲気中に含まれる
ガス状有機不純物が除去されない場合についても同様の
測定を行った。
【0037】なお,洗浄直後の酸化膜付きシリコンウェ
ハ表面の接触角は3°であった。3日間曝された酸化膜
付きシリコンウェハ表面の接触角が6°以下に保たれて
いることがガス状有機不純物汚染によるデバイスの品質
低下を防止するための清浄空間雰囲気に求められる必要
条件であると仮定する。
【0038】図8に測定結果を示す。本発明に従う高度
清浄空間雰囲気と,従来の構成によるケミカルフィルタ
を設けた清浄空間雰囲気と,ガス状有機不純物が除去さ
れない清浄空間雰囲気のそれぞれに曝された酸化膜付き
シリコンウェハ表面の接触角の経時変化を比較したもの
である。
【0039】ガス状有機不純物が除去されない清浄空間
雰囲気に曝された酸化膜付きシリコンウェハ表面の接触
角は,3日間放置によって26°〜30°も増加する。
撥水性ゼオライトを備えた吸着層については,使用開始
直後の状態において,3日間放置後の酸化膜付きシリコ
ンウェハの接触角は4°以下に保たれた。しかし,通気
時間の増加と共に撥水性ゼオライトの吸着性能は低下
し,吸着層通過後の空気中に含まれるガス状有機物の濃
度も増加する。つまり,撥水性ゼオライトへの通気時間
の増加と共に,下流側の処理済み空気に一定時間曝され
た酸化膜付きシリコンウェハ表面の接触角も増加するこ
とになる。吸着層通過後の空気に3日間曝された酸化膜
付きシリコンウェハ表面の接触角が6°に達するまでの
吸着層の使用時間は約6ヶ月であることがわかる。一
方,従来のケミカルフィルタについては,使用開始直後
の状態においてすら3日間放置酸化膜付きシリコンウェ
ハの接触角は12°に達した。この理由は繊維状活性炭
を担持するために使用される低融点ポリエステルやポリ
エステル不織布のバインダからの脱ガスがケミカルフィ
ルタをそのまま素通りしてしまい,下流側に放置された
シリコンウェハの表面を汚染してしまったためである。
本発明にかかる吸着層では,前に製造方法の一例を簡単
に述べたように,構成材料に有機質を含まないので,構
成材料自身からガス状有機不純物を発生することはな
い。従来のケミカルフィルタにおいても,通気時間の増
加と共に活性炭の吸着性能は低下し,6ヶ月間使用後に
おいては20°に達した。
【0040】次に,撥水性ゼオライトについて種々の検
討を行った。ゼオライトの主成分はシリカ(SiO2
とアルミナ(Al23)であるが,その含有重量比Si
2/Al23を大きくしていくと,水の吸着特性が親
水性から撥水性へと大きく変化する。図9に,25℃,
相対湿度50%の雰囲気において測定した含有重量比S
iO2/Al23とゼオライト100g当たりの水の吸
着量(cc/100g)の関係を示す。SiO2/Al2
3が20以上で水の吸着量は低下し,80以上ではほ
とんど吸着しない。さらに,SiO2/Al23が40
の撥水性ゼオライトについて,25℃の雰囲気において
測定した水の吸着等温線図を図10に示す。比較のた
め,活性炭についても水の吸着等温線図を図10に示し
た。相対湿度50%において,活性炭(g)への水吸着
量(cc)は0.11cc/g,撥水性ゼオライト
(g)への水吸着量(cc)は0.03cc/gであっ
た。
【0041】また,細孔径6オングストロームの撥水性
ゼオライト,細孔径8オングストロームの撥水性ゼオラ
イト,椰子殻を出発原料とする天然物系活性炭,石油ピ
ッチを出発原料とする合成物系活性炭の4種の吸着剤を
対象に,クリーンルーム雰囲気中(23℃,40%R
H)に含まれる表面汚染の原因となる微量有機物の吸着
性能を比較した。それぞれの吸着剤0.04gを断面積
0.15cm2のカラムに充填し,クリーンルームエア
を3l/min通気した。実験条件を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】図11において,曲線40は,洗浄直後の
有機物汚染のない酸化膜付きシリコンウェハを吸着剤に
通気する前のクリーンルームエアに曝した場合であり,
曲線41は,細孔径6オングストロームの撥水性ゼオラ
イトを備えた吸着剤に通気後のクリーンルームエアに曝
した場合であり,曲線42は,細孔径8オングストロー
ムの撥水性ゼオライトを備えた吸着剤に通気後のクリー
ンルームエアに曝した場合であり,曲線43は,天然物
系活性炭を主成分とする吸着剤に通気後のクリーンルー
ムエアに曝した場合であり,曲線44は,合成物系活性
炭を主成分とする吸着剤に通気後のクリーンルームエア
に曝した場合である。それぞれの場合の接触角の変化を
図11に示す。なお,ウェハ表面の洗浄直後の接触角の
測定値は約3°であった。
【0044】図11からつぎのようなことがわかる。 1.吸着性能は,曲線42(細孔径8オングストローム
の撥水性ゼオライト)>曲線43(天然物系活性炭)>
曲線41(細孔径6オングストロームの撥水性ゼオライ
ト)>曲線44(合成物系活性炭)の順である。特に合
成物系活性炭が悪い。 2.細孔径6オングストロームの撥水性ゼオライトと天
然物系活性炭は,通気時間が50時間を越えるあたりか
ら吸着性能の低下が始まる。 3.細孔径8オングストロームの撥水性ゼオライトと合
成物系活性炭は,通気時間が200時間まで吸着性能は
低下しない。 4.吸着性能が低下しない使用初期において,細孔径6
オングストロームの撥水性ゼオライトと細孔径8オング
ストロームの撥水性ゼオライトを比較すると,細孔径6
オングストロームの撥水性ゼオライトが3°→6.4°
の変化に対して,細孔径8オングストロームの撥水性ゼ
オライトは3°→3.1°の変化であった。細孔径8オ
ングストロームの撥水性ゼオライトはクリーンルーム雰
囲気中に含まれる表面汚染の原因となる微量有機物をほ
ぼ完全に吸着除去できるのに対して,細孔径6オングス
トロームの撥水性ゼオライトは吸着除去できずに通過し
てしまう表面汚染の原因となる微量有機物があるという
ことがわかる。 5.細孔径8オングストロームの撥水性ゼオライトおよ
び天然物系活性炭の吸着性能は,細孔径6オングストロ
ームの撥水性ゼオライトおよび合成物系活性炭の吸着性
能よりもはるかに良い。ゼオライトは,細孔径よりも大
きな分子を吸着することはできない。従って,細孔径8
オングストロームの撥水性ゼオライトでクリーンルーム
雰囲気中に含まれる表面汚染の原因となる微量有機物を
ほぼ完全に吸着除去できたということは,表面汚染の原
因となる微量有機物の分子サイズが8オングストローム
以下であるということを示す。一方,細孔径6オングス
トロームの撥水性ゼオライトは合成物系活性炭と比較す
るとほぼ満足できる吸着性能があるものの,わずかに吸
着除去できずに通過する表面汚染の原因となる微量有機
物があるということは,この通過した微量有機物の分子
サイズが6オングストローム以上8オングストローム以
下であるということを示す。
【0045】次に,本発明にかかる高度清浄空間を,温
度23℃,相対湿度50%で稼働した場合の湿度制御性
を調べた。比較のため,本発明に従って撥水性ゼオライ
トを備えた吸着層を取り付けた清浄空間と,図1に示し
た吸着層の代わりに繊維状活性炭を低融点ポリエステル
やポリエステル不織布のバインダと複合してフェルト形
状にした従来の構成のケミカルフィルタに交換した以外
は全て同じ条件とした従来の清浄空間の湿度制御性を調
べた。湿度センサは,除塵・調温・調湿を行うユニット
型空調機と吸着層を通過後の外気取り入れ回路に設け
た。この湿度センサの信号によってユニット型空調機内
に設けた調湿機の給水弁を調節した。湿度制御性の良否
を判定するため,本発明に従う高度清浄空間と従来の清
浄空間の内部にも湿度センサをそれぞれ設けた。また,
循環空気量5000m3/minに対して,外気取り入
れ量はわずか200m3/minとした。
【0046】図12に測定結果を示す。従来の構成のケ
ミカルフィルタを備えた清浄空間では,ケミカルフィル
タは通過空気中の水分を吸着しやすいため,ケミカルフ
ィルタの取り付け後,活性炭が水分を吸着して平衡状態
に達するまでの約2週間の間は清浄空間内部の相対湿度
は設定値50%よりも5%も低い45%で推移する。一
方,撥水性ゼオライトを固着させたハニカム構造体の吸
着層を備えた本発明に従う清浄空間内部では,通過空気
中の水分はほとんど吸着しないため,相対湿度は設定値
の50%に維持された。LSIやLCDの製造工程にお
いては,湿度が設定値よりも低下してしまうと,ウェハ
やガラス基板に静電気が発生しやすくなって,それら製
品表面の微粒子汚染や素子の静電破壊が起きて歩留まり
が低下する。従来の構成のケミカルフィルタを備えた清
浄空間では,フィルタの取り付け後約2週間にわたって
製品の歩留まりが低下した。しかし,本発明に従う吸着
層を備えた高度清浄空間内部では,吸着層の取り付け直
後から相対湿度は設定値に保たれ,製品の歩留まり低下
は見られなかった。
【0047】さらに図13に示すように,繊維状活性炭
を担持した従来のケミカルフィルタ50を設けた清浄空
間Aと,ケミカルフィルタのような吸着層を一切設けな
い清浄空間Bの,2つの清浄空間A,Bをいずれも温度
23℃,相対湿度50%で稼働した場合の湿度制御性を
調べた。これら清浄空間A,Bは,天井部のサプライプ
レナム51と床下部のレターンプレナム52において互
いに連通しているが,それ以外はパーティション53
(壁)で仕切られている。また図13では,湿度センサ
54は従来のケミカルフィルタ50を設けた清浄空間A
内に設けた。清浄空間A内には,ゲート酸化膜前工程を
行う処理装置56が設けられ,清浄空間B内には,シリ
サイドの工程を行う処理装置57が設けられている。
【0048】ここで,表3は,米国のSEMATECH
が1995年5月31日に発表したTechnolog
y Transfer #95052812A−TR
「Forecast of Airborne Mol
ecular Contamination Limi
ts for the 0.25 Micron Hi
gh Performance Logic Proc
ess」に掲載された0.25μmプロセス(’98以
降)に必要な化学汚染許容濃度(ppt)である。
【0049】
【表3】
【0050】表3中,アンダーラインを付した箇所は,
許容値が厳しく,必ず制御が必要になるケースである。
また,%値は許容値設定の根拠となったデータの信頼度
である。有機物については,ゲート酸化膜前工程では1
ppb,配線工程では2ppbという厳しい制御が必要
なのに対して,シリサイドでは35ppb,フォトリソ
グラフィでは100ppbという高濃度が許容され,雰
囲気中の有機物の制御は不要であることがわかる。
【0051】図14に,図13に示した清浄空間A,B
の測定結果を示す。従来の構成のケミカルフィルタ50
を備えた清浄空間Aでは,ケミカルフィルタ50は通過
空気中の水分を吸着しやすい。しかし,清浄空間A内に
は湿度制御のための湿度センサ54が設けられているた
め,ケミカルフィルタ50の取り付け後,活性炭が水分
を吸着して平衡状態に達するまでの約2週間の間は,外
気取り入れ用のユニット型空調機60の調湿部からケミ
カルフィルタ50で吸着して失われる水分量だけ過剰に
加湿される。そのため,湿度センサ54で測定した清浄
空間Aの相対湿度は,ケミカルフィルタ50を取り付け
た直後から設定値50%に維持された。ところが,ケミ
カルフィルタのような吸着層を一切設けない清浄空間B
の相対湿度を湿度センサ55で測定したところ,ユニッ
ト型空調機60の調湿部から過剰に加湿した影響がその
まま現れ,清浄空間Aに50を取り付け後約2週間にわ
たって,清浄空間B内の相対湿度は設定値よりも5%も
高い55%になった。このため,相対湿度50%の場合
と比較してウェハ表面に水分が過剰に吸着し,酸化膜が
形成されるという製品品質上の不具合点がみられた。そ
こで,清浄空間Aの従来の構成のケミカルフィルタ50
を撥水性ゼオライトを固着させたハニカム構造体の吸着
層に交換したところ,清浄空間B内の相対湿度は設定値
に維持されるようになり,前述のような不具合は全く起
こらなかった。
【0052】つぎに,本発明に従う高度清浄空間におい
て,吸着層の下流側にガス状有機不純物を発生しない素
材のみから構成された粒子状不純物を除去するフィルタ
を取り付けた場合と,フィルタ構成材からガス状有機物
が発生する従来の粒子状不純物を除去するフィルタを取
り付けた場合を比較した。高度清浄空間内に洗浄直後の
有機物汚染のない酸化膜付きシリコンウェハ基板を放置
した。そして洗浄直後と3日間放置後の接触角をそれぞ
れ測定し,3日間放置による接触角の増加を求めた。ガ
ス状有機不純物を発生しない素材のみから構成された粒
子状不純物を除去するフィルタを取り付けた場合は,3
日間放置後のウェハ表面の接触角は3.0°→4.0°
とほとんど増加しなかった。これは,吸着層において
は,表面汚染の原因となるガス状有機不純物はほとんど
吸着除去され,しかもその下流側に配置された粒子状不
純物を除去するフィルタはガス状有機不純物を発生しな
いことによる。一方,フィルタ構成材からガス状有機物
の発生のある従来の粒子状不純物を除去するフィルタを
取り付けた場合には,フィルタ構成材からの脱ガスの影
響で3日間放置後のウェハ表面の接触角は3.0°→
5.0°とわずかではあるが増加した。
【0053】以上,本発明の好適な例について,LSI
やLCDの製造プロセス全般などに好適に利用される高
度清浄空間(いわゆるクリーンルーム)に関して説明し
たが,本発明はかかる例に限定されない。ミニエンバイ
ロメントと称する局所的な清浄空間やクリーンベンチや
クリーンチャンバや清浄な製品を保管するための各種ス
トッカなど様々な規模の清浄空間,吸着層の処理可能風
量,循環風量と外気取り入れ空気量の割合,清浄空間内
部からのガス状有機不純物の発生の有無などの処理環境
に応じて多様な適用が考えられる。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば,清浄空間のガス状有機
不純物を除去するために撥水性ゼオライトを用いている
ので,消防法において可燃物に指定された活性炭を含む
従来のケミカルフィルタと比較して,防災上極めて安全
である。また,撥水性ゼオライトを含む吸着層をガス状
有機不純物を発生しない素材のみで構成することによ
り,吸着層自身がガス状有機不純物を発生するという不
具合も解消できる。また,吸着層の下流側に設けられた
粒子状不純物を除去するフィルタをガス状有機不純物を
発生しない素材のみで構成することにより,粒子状不純
物を除去するフィルタ自身がガス状有機不純物を発生す
るといった不具合も解消できる。さらに,撥水性ゼオラ
イトを含む吸着層は,ハニカム構造体に撥水性ゼオライ
トを固着させた構成とすることにより,処理空気の通気
抵抗を小さくすることができる。また,撥水性ゼオライ
トを含む吸着層の上流側に空気の調湿装置を設けても,
撥水性ゼオライトは吸湿しないため,湿度コントロール
が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる高度清浄空間の構
成を概略的に示す説明図である。
【図2】吸着層の概略的な分解組立図である。
【図3】波形シートと薄板シートを積層した吸着層の部
分拡大図である。
【図4】山形シートと薄板シートを積層した吸着層の部
分拡大図である。
【図5】本発明の他の実施の形態にかかる高度清浄空間
の構成を概略的に示す説明図である。
【図6】ケミカルフィルタによる処理空気に曝されたウ
ェハ表面の接触角の経時変化を示すグラフである。
【図7】接触角と炭素付着量の関係を示すグラフであ
る。
【図8】洗浄直後の酸化膜付きシリコンウェハを3日間
各種雰囲気に曝した場合の接触角の経時変化を示すグラ
フである。
【図9】含有重量比SiO2/Al23とゼオライト1
00g当たりの水分吸着量(25℃,相対湿度50%)
の関係を示すグラフである。
【図10】撥水性ゼオライトと活性炭への水の吸着等温
線図である。
【図11】各種の吸着剤の表面汚染の原因となる微量有
機物の吸着性能を比較したグラフである。
【図12】撥水性ゼオライトを用いた吸着層を備えた清
浄空間と従来のケミカルフィルタを備えた清浄空間のそ
れぞれの相対湿度の変化を示すグラフである。
【図13】従来技術の湿度制御の不具合を説明する図面
である。
【図14】図13に示した実験の結果を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 高度清浄空間 2 処理空間 3 天井部 4 床下部 5 レタン通路 10 ファンユニット 11 吸着層 12 フィルタ 13 クリーンファンユニット

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湿度が調節された空気を循環させる機構
    を備えた高度清浄空間において,前記空気の循環経路
    に,撥水性ゼオライトを備えた通気性を有する吸着層
    と,該吸着層の下流側に配された粒子状不純物を除去す
    るフィルタを設けたことを特徴とする高度清浄空間。
  2. 【請求項2】 前記吸着層とフィルタが,高度清浄空間
    の天井部に配置されていることを特徴とする請求項1に
    記載の高度清浄空間。
  3. 【請求項3】 前記吸着層が,可燃物を含まない素材の
    みで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の高度清浄空間。
  4. 【請求項4】 前記吸着層が,ガス状有機不純物を発生
    しない素材のみで構成されていることを特徴とする請求
    項1,2又は3に記載の高度清浄空間。
  5. 【請求項5】 前記吸着層が,ハニカム構造体の表面に
    撥水性ゼオライトを固着させたものであることを特徴と
    する請求項1,2,3又は4に記載の高度清浄空間。
  6. 【請求項6】 前記固着が,撥水性ゼオライトの粉末を
    分散させた懸濁液にハニカム構造体を含浸させた後,該
    ハニカム構造体を乾燥することによってなされたことを
    特徴とする請求項5に記載の高度清浄空間。
  7. 【請求項7】 前記固着が,接着剤によってなされたこ
    とを特徴とする請求項5に記載の高度清浄空間。
  8. 【請求項8】 前記ハニカム構造体が,無機繊維を必須
    成分としそれ以外の成分として粘土鉱物又は珪酸カルシ
    ウムのいずれかを含有する不燃性の構造体であることを
    特徴とする請求項5,6又は7に記載の高度清浄空間。
  9. 【請求項9】 前記撥水性ゼオライトの有効細孔径が,
    7オングストローム以上であることを特徴とする請求項
    1,2,3,4,5,6,7又は8に記載の高度清浄空
    間。
  10. 【請求項10】 前記フィルタが,ガス状有機不純物を
    発生しない素材のみで構成されていることを特徴とする
    請求項1,2,3,4,5,6,7,8又は9に記載の
    高度清浄空間。
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