JPH10212549A - 高靭性エアーバッグ用電縫鋼管とその製造方法 - Google Patents
高靭性エアーバッグ用電縫鋼管とその製造方法Info
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- JPH10212549A JPH10212549A JP9029548A JP2954897A JPH10212549A JP H10212549 A JPH10212549 A JP H10212549A JP 9029548 A JP9029548 A JP 9029548A JP 2954897 A JP2954897 A JP 2954897A JP H10212549 A JPH10212549 A JP H10212549A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 加工性に優れ、かつ高靭性が要求されるエア
ーバッグ用部品に適した電縫鋼管とその製造方法を提供
する。 【解決手段】 Ｃ：０．２０％以下、Ｓｉ：０．５０％
以下、Ｍｎ：０．３０％〜２．００％、Ｐ：０．０２０
％以下、Ｓ：０．０１０％以下、Ａｌ：０．１０％以下
を含有し、残部がＦｅおよび不可避的不純物からなる高
靭性エアーバッグ用電縫鋼管で、加工性と溶接性に優
れ、かつ高靭性を確保できる。また、前記鋼を電縫製管
たまま、もしくは電縫製管後、応力除去焼鈍、焼なま
し、焼ならし、焼入れまたは焼入れ焼戻し処理すること
によって、加工性と溶接性に優れ、かつ高靭性が要求さ
れるエアーバッグ用部品に適する。
ーバッグ用部品に適した電縫鋼管とその製造方法を提供
する。 【解決手段】 Ｃ：０．２０％以下、Ｓｉ：０．５０％
以下、Ｍｎ：０．３０％〜２．００％、Ｐ：０．０２０
％以下、Ｓ：０．０１０％以下、Ａｌ：０．１０％以下
を含有し、残部がＦｅおよび不可避的不純物からなる高
靭性エアーバッグ用電縫鋼管で、加工性と溶接性に優
れ、かつ高靭性を確保できる。また、前記鋼を電縫製管
たまま、もしくは電縫製管後、応力除去焼鈍、焼なま
し、焼ならし、焼入れまたは焼入れ焼戻し処理すること
によって、加工性と溶接性に優れ、かつ高靭性が要求さ
れるエアーバッグ用部品に適する。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工性と溶接性に
優れ、かつ高靭性が要求されるエアーバッグ用部品に適
した高靭性エアーバッグ用鋼管とその製造方法に関す
る。
優れ、かつ高靭性が要求されるエアーバッグ用部品に適
した高靭性エアーバッグ用鋼管とその製造方法に関す
る。
【０００２】
【従来の技術】近年、自動車産業においては、安全性を
追求した装置の導入が積極的に進められているが、その
中でも衝突時に乗員がハンドルやインストルメントパネ
ルなどに衝突する前に、それらと乗員との間にガス等で
エアーバッグを展開させ、乗員の運動エネルギーを吸収
して傷害軽減を図るエアーバッグシステムが開発搭載さ
れるに至っている。
追求した装置の導入が積極的に進められているが、その
中でも衝突時に乗員がハンドルやインストルメントパネ
ルなどに衝突する前に、それらと乗員との間にガス等で
エアーバッグを展開させ、乗員の運動エネルギーを吸収
して傷害軽減を図るエアーバッグシステムが開発搭載さ
れるに至っている。
【０００３】エアーバッグシステムとしては、従来爆発
性薬品を使用する方式が採用されてきたが、高価であ
り、かつ環境問題、リサイクル問題から近年アルゴンガ
ス充填鋼管製アキュムレータを使用するシステムが開発
された。アルゴンガス等のアキュムレータに用いる鋼管
は、衝突時にエアーバッグ内に吹出す不活性ガス等を常
時３００ｋｇｆ／ｃｍ2に保つたうえで、衝突時少量の
火薬点火時のガスを付加し、一気にガスを噴出させるの
で、極めて短時間に大きな歪速度で応力が付加されるた
め、従来の圧力シリンダーやラインパイプのような単な
る構造物と異なり、高靭性と共に加工性ならびに溶接性
が要求される。また、アキュムレータに用いる鋼管は、
自動車内に多数必要とされるため、低コスト化が要求さ
れる。
性薬品を使用する方式が採用されてきたが、高価であ
り、かつ環境問題、リサイクル問題から近年アルゴンガ
ス充填鋼管製アキュムレータを使用するシステムが開発
された。アルゴンガス等のアキュムレータに用いる鋼管
は、衝突時にエアーバッグ内に吹出す不活性ガス等を常
時３００ｋｇｆ／ｃｍ2に保つたうえで、衝突時少量の
火薬点火時のガスを付加し、一気にガスを噴出させるの
で、極めて短時間に大きな歪速度で応力が付加されるた
め、従来の圧力シリンダーやラインパイプのような単な
る構造物と異なり、高靭性と共に加工性ならびに溶接性
が要求される。また、アキュムレータに用いる鋼管は、
自動車内に多数必要とされるため、低コスト化が要求さ
れる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術の全くない新分野として、加工性と溶接性に優れ、
かつ強度、高靭性と共に低コストが要求されるエアーバ
ッグ用部品に適した高靭性電縫鋼管とその製造方法を提
供することにある。
技術の全くない新分野として、加工性と溶接性に優れ、
かつ強度、高靭性と共に低コストが要求されるエアーバ
ッグ用部品に適した高靭性電縫鋼管とその製造方法を提
供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意試験研究を重ねた。その結果、エアー
バッグシステムのアキュムレータ用に適した所定の化学
成分を見い出した。また、前記所定の化学成分の鋼を最
終巻取温度が７００℃以下となるように熱間圧延後、電
縫鋼管を製造するか、あるいは前記所定の化学成分の鋼
を最終巻取温度が７００℃以下となるように熱間圧延
後、電縫鋼管を製管した後、応力除去焼鈍、焼なまし、
焼ならし、焼入れままあるいは焼入れ焼戻し処理を施す
ことによって、加工性と溶接性に優れ、かつ高靭性電縫
鋼管が低コストで得られることを究明し、本発明に到達
した。
を達成すべく鋭意試験研究を重ねた。その結果、エアー
バッグシステムのアキュムレータ用に適した所定の化学
成分を見い出した。また、前記所定の化学成分の鋼を最
終巻取温度が７００℃以下となるように熱間圧延後、電
縫鋼管を製造するか、あるいは前記所定の化学成分の鋼
を最終巻取温度が７００℃以下となるように熱間圧延
後、電縫鋼管を製管した後、応力除去焼鈍、焼なまし、
焼ならし、焼入れままあるいは焼入れ焼戻し処理を施す
ことによって、加工性と溶接性に優れ、かつ高靭性電縫
鋼管が低コストで得られることを究明し、本発明に到達
した。
【０００６】本発明の請求項１の高靭性エアーバッグ用
電縫鋼管は、Ｃ：０．２０％以下、Ｓｉ：０．５０％以
下、Ｍｎ：０．３０％〜２．００％、Ｐ：０．０２０％
以下、Ｓ：０．０１０％以下、Ａｌ：０．１０％以下を
含有し、残部がＦｅおよび不可避的不純物からなる。こ
のように、鋼中の化学成分を上記成分組成に限定するこ
とによって、エアーバッグのアキュムレータ用として十
分な強度、靭性と高加工性と溶接性を確保することがで
きる。
電縫鋼管は、Ｃ：０．２０％以下、Ｓｉ：０．５０％以
下、Ｍｎ：０．３０％〜２．００％、Ｐ：０．０２０％
以下、Ｓ：０．０１０％以下、Ａｌ：０．１０％以下を
含有し、残部がＦｅおよび不可避的不純物からなる。こ
のように、鋼中の化学成分を上記成分組成に限定するこ
とによって、エアーバッグのアキュムレータ用として十
分な強度、靭性と高加工性と溶接性を確保することがで
きる。
【０００７】また、本発明の請求項２の高靭性エアーバ
ッグ用電縫鋼管は、Ｃ：０．２０％以下、Ｓｉ：０．５
０％以下、Ｍｎ：０．３０％〜２．００％、Ｐ：０．０
２０％以下、Ｓ：０．０１０％以下、Ａｌ：０．１０％
以下を含み、Ｍｏ：０．５０％以下、Ｖ：０．１０％以
下、Ｎｉ：０．５０％以下、Ｃｒ：１．００％以下、Ｃ
ｕ：０．５０％以下、Ｔｉ：０．１０％以下、Ｎｂ：
０．１０％以下、Ｂ：０．００５％以下、Ｃａ：０．０
０５％以下のうち１種以上を含有し、残部がＦｅおよび
不可避的不純物からなる。このように、鋼中の化学成分
を上記成分組成に限定することによって、エアーバッグ
のアキュムレータ用として十分な強度、靭性と高加工性
と溶接性を確保することができる。
ッグ用電縫鋼管は、Ｃ：０．２０％以下、Ｓｉ：０．５
０％以下、Ｍｎ：０．３０％〜２．００％、Ｐ：０．０
２０％以下、Ｓ：０．０１０％以下、Ａｌ：０．１０％
以下を含み、Ｍｏ：０．５０％以下、Ｖ：０．１０％以
下、Ｎｉ：０．５０％以下、Ｃｒ：１．００％以下、Ｃ
ｕ：０．５０％以下、Ｔｉ：０．１０％以下、Ｎｂ：
０．１０％以下、Ｂ：０．００５％以下、Ｃａ：０．０
０５％以下のうち１種以上を含有し、残部がＦｅおよび
不可避的不純物からなる。このように、鋼中の化学成分
を上記成分組成に限定することによって、エアーバッグ
のアキュムレータ用として十分な強度、靭性と高加工性
と溶接性を確保することができる。
【０００８】さらに、本発明の請求項３の高靭性エアー
バッグ用電縫鋼管の製造方法は、請求項１の化学成分か
らなる鋼片を、熱間圧延して巻取温度７００℃以下で巻
取った熱延コイルを用いて製造することとしている。こ
のように、上記鋼片を、熱間圧延して巻取温度７００℃
以下で巻取った熱延コイルを用いて製造することによっ
て、最終目的の特性に適した強度、高靭性でかつ加工性
と溶接性に優れたエアーバッグ用電縫鋼管を得ることが
できる。
バッグ用電縫鋼管の製造方法は、請求項１の化学成分か
らなる鋼片を、熱間圧延して巻取温度７００℃以下で巻
取った熱延コイルを用いて製造することとしている。こ
のように、上記鋼片を、熱間圧延して巻取温度７００℃
以下で巻取った熱延コイルを用いて製造することによっ
て、最終目的の特性に適した強度、高靭性でかつ加工性
と溶接性に優れたエアーバッグ用電縫鋼管を得ることが
できる。
【０００９】さらにまた、本発明の請求項４の高靭性エ
アーバッグ用電縫鋼管の製造方法は、請求項２の化学成
分の鋼片を、熱間圧延して巻取温度７００℃以下で巻取
った熱延コイルを用いて製造することとしている。この
ように、上記鋼片を、熱間圧延して巻取温度７００℃以
下で巻取った熱延コイルを用いて製造することによっ
て、最終目的の特性に適した強度、高靭性でかつ加工性
と溶接性に優れたエアーバッグ用電縫鋼管を得ることが
できる。
アーバッグ用電縫鋼管の製造方法は、請求項２の化学成
分の鋼片を、熱間圧延して巻取温度７００℃以下で巻取
った熱延コイルを用いて製造することとしている。この
ように、上記鋼片を、熱間圧延して巻取温度７００℃以
下で巻取った熱延コイルを用いて製造することによっ
て、最終目的の特性に適した強度、高靭性でかつ加工性
と溶接性に優れたエアーバッグ用電縫鋼管を得ることが
できる。
【００１０】また、本発明の請求項５の高靭性エアーバ
ッグ用電縫鋼管の製造方法は、請求項３の方法で製造し
た電縫鋼管を応力除去焼鈍、焼なまし、焼ならし、焼入
れままあるいは焼入れ焼戻し処理することとしている。
このように、前記化学成分の鋼片を巻取温度７００℃以
下で巻取った熱延コイルを用いて製造した電縫鋼管を応
力除去焼鈍、焼なまし、焼ならし、焼入れままあるいは
焼入れ焼戻し処理することによって、最終目的の特性に
適した強度、高靭性でかつ加工性と溶接性に優れたエア
ーバッグ用電縫鋼管を得ることができる。
ッグ用電縫鋼管の製造方法は、請求項３の方法で製造し
た電縫鋼管を応力除去焼鈍、焼なまし、焼ならし、焼入
れままあるいは焼入れ焼戻し処理することとしている。
このように、前記化学成分の鋼片を巻取温度７００℃以
下で巻取った熱延コイルを用いて製造した電縫鋼管を応
力除去焼鈍、焼なまし、焼ならし、焼入れままあるいは
焼入れ焼戻し処理することによって、最終目的の特性に
適した強度、高靭性でかつ加工性と溶接性に優れたエア
ーバッグ用電縫鋼管を得ることができる。
【００１１】さらに、本発明の請求項６の高靭性エアー
バッグ用電縫鋼管の製造方法は、請求項４の方法で製造
した電縫鋼管を応力除去焼鈍、焼なまし、焼ならし、焼
入れままあるいは焼入れ焼戻し処理することとしてい
る。このように、前記化学成分の鋼片を巻取温度７００
℃以下で巻取った熱延コイルを用いて製造した電縫鋼管
を応力除去焼鈍、焼なまし、焼ならし、焼入れままある
いは焼入れ焼戻し処理することによって、最終目的の特
性に適した強度、高靭性でかつ加工性と溶接性に優れた
エアーバッグ用電縫鋼管を得ることができる。
バッグ用電縫鋼管の製造方法は、請求項４の方法で製造
した電縫鋼管を応力除去焼鈍、焼なまし、焼ならし、焼
入れままあるいは焼入れ焼戻し処理することとしてい
る。このように、前記化学成分の鋼片を巻取温度７００
℃以下で巻取った熱延コイルを用いて製造した電縫鋼管
を応力除去焼鈍、焼なまし、焼ならし、焼入れままある
いは焼入れ焼戻し処理することによって、最終目的の特
性に適した強度、高靭性でかつ加工性と溶接性に優れた
エアーバッグ用電縫鋼管を得ることができる。
【００１２】
【発明の実施の形態】先ず本発明で使用する鋼材の化学
成分に関する限定理由は、以下のとおりである。Ｃは、
鋼の必要な強度を安価に得るために添加する元素である
が、０．２０％を超えると加工性ならびに溶接性が悪化
すると共に、靭性が低下するため、０．２０％以下とし
た。
成分に関する限定理由は、以下のとおりである。Ｃは、
鋼の必要な強度を安価に得るために添加する元素である
が、０．２０％を超えると加工性ならびに溶接性が悪化
すると共に、靭性が低下するため、０．２０％以下とし
た。
【００１３】Ｓｉは、鋼の冷間加工性を阻害する元素で
あり、０．５０％を超えると加工性が悪化するため、
０．５０％以下とした。
あり、０．５０％を超えると加工性が悪化するため、
０．５０％以下とした。
【００１４】Ｍｎは、鋼の強度と靭性を向上させるのに
有効な元素であるが、０．３０％未満では十分な強度と
靭性が得られず、また、２．００％を超えると溶接性が
悪化するため、０．３０〜２．００％とした。
有効な元素であるが、０．３０％未満では十分な強度と
靭性が得られず、また、２．００％を超えると溶接性が
悪化するため、０．３０〜２．００％とした。
【００１５】Ｐは、粒界偏析に起因する靭性低下をもた
らすため、０．０２０％以下とした。Ｓは、鋼中のＭｎ
と化合してＭｎＳによる介在物を形成し、加工性の悪化
ならびに溶接性、靭性を低下させるため、０．０１０％
以下とした。
らすため、０．０２０％以下とした。Ｓは、鋼中のＭｎ
と化合してＭｎＳによる介在物を形成し、加工性の悪化
ならびに溶接性、靭性を低下させるため、０．０１０％
以下とした。
【００１６】Ａｌは、加工性を向上させるのに有効な元
素があるが、０．１０％を超えるとその効果が小さくな
るため、０．１０％以下とした。
素があるが、０．１０％を超えるとその効果が小さくな
るため、０．１０％以下とした。
【００１７】鋼中の上記化学成分を限定することによっ
て、エアーバッグのアキュムレータ用として十分な強
度、靭性と高加工性、溶接性を得ることができるが、さ
らにこれらを向上させたい場合、上記化学成分にさらに
Ｍｏ、Ｖ、Ｎｉ、Ｃｒ、Ｃｕ、Ｔｉ、Ｎｂ、Ｂ、Ｃａを
添加することが有効である。これら添加成分の含有量の
限定理由は以下のとおりである。
て、エアーバッグのアキュムレータ用として十分な強
度、靭性と高加工性、溶接性を得ることができるが、さ
らにこれらを向上させたい場合、上記化学成分にさらに
Ｍｏ、Ｖ、Ｎｉ、Ｃｒ、Ｃｕ、Ｔｉ、Ｎｂ、Ｂ、Ｃａを
添加することが有効である。これら添加成分の含有量の
限定理由は以下のとおりである。
【００１８】Ｍｏは、固溶強化により高強度化すると共
に、焼入れ性を向上する効果があるが、０．５０％を超
えると溶接部が硬化し、靭性が低下するため、０．５０
％以下とした。
に、焼入れ性を向上する効果があるが、０．５０％を超
えると溶接部が硬化し、靭性が低下するため、０．５０
％以下とした。
【００１９】Ｖは、析出物を生成し強度を向上させる効
果があるが、０．１０％を超えると溶接部の靭性が低下
するため、０．１０％以下とした。
果があるが、０．１０％を超えると溶接部の靭性が低下
するため、０．１０％以下とした。
【００２０】Ｎｉは、焼入れ性を改善すると共に靭性を
向上させるのに有効な元素であるが、０．５０％を超え
るとエアーバッグ用としての効果が期待できず、しかも
高価な元素であるため、０．５０％以下とした。
向上させるのに有効な元素であるが、０．５０％を超え
るとエアーバッグ用としての効果が期待できず、しかも
高価な元素であるため、０．５０％以下とした。
【００２１】Ｃｒは、鋼の強度と耐食性を向上させるの
に有効な元素であるが、１．００％を超えると加工性な
らびに溶接部の靭性を低下させるため、１．００％以下
とした。
に有効な元素であるが、１．００％を超えると加工性な
らびに溶接部の靭性を低下させるため、１．００％以下
とした。
【００２２】Ｃｕは、鋼の耐食性を向上させるのに有効
な元素であるが、０．５０％を超えると熱間加工性を悪
化させるため、０．５０％以下とした。
な元素であるが、０．５０％を超えると熱間加工性を悪
化させるため、０．５０％以下とした。
【００２３】Ｔｉは、組織を微細化することにより靭性
の向上に有効であるが、０．１０％を超えると逆に靭性
を悪化させるため、０．１０％以下とした。
の向上に有効であるが、０．１０％を超えると逆に靭性
を悪化させるため、０．１０％以下とした。
【００２４】Ｎｂは、Ｔｉと同様に組織を微細化するこ
とにより靭性の向上に有効であるが、０．１０％を超え
ると逆に靭性を悪化させるため、０．１０％以下とし
た。
とにより靭性の向上に有効であるが、０．１０％を超え
ると逆に靭性を悪化させるため、０．１０％以下とし
た。
【００２５】Ｂは、焼入れ性を改善するのに有効な元素
であるが、０．００５％を超えると靭性を低下させるた
め、０．００５％以下とした。
であるが、０．００５％を超えると靭性を低下させるた
め、０．００５％以下とした。
【００２６】Ｃａは、ＭｎＳ系介在物の形態制御に有効
な元素で、特に溶接部近傍の介在物に起因する割れの減
少に有効であるが、０．００５％を超えると介在物が多
くなり、靭性を低下させるので、０．００５％以下とし
た。
な元素で、特に溶接部近傍の介在物に起因する割れの減
少に有効であるが、０．００５％を超えると介在物が多
くなり、靭性を低下させるので、０．００５％以下とし
た。
【００２７】本発明においては、上記のように化学成分
を調整した鋼片を、巻取温度７００℃以下で熱間圧延し
て熱延コイルとすることによって、靭性を付与する。こ
の熱間圧延時の巻取温度が７００℃を超えると、結晶粒
が粗大化し、高靭性が得られない。したがって、本発明
においては、熱間圧延時の巻取温度が７００℃以下の場
合あるいは熱延ままの状態では、必要とする強度、靭
性、加工性が得られない場合には、製管後に応力除去焼
鈍、焼なまし、焼ならし、焼入れのままあるいは焼入れ
焼戻し処理を施すことによって、強度、高靭性で、かつ
加工性、溶接性に優れたエアーバッグ用電縫鋼管を得る
ことができる。
を調整した鋼片を、巻取温度７００℃以下で熱間圧延し
て熱延コイルとすることによって、靭性を付与する。こ
の熱間圧延時の巻取温度が７００℃を超えると、結晶粒
が粗大化し、高靭性が得られない。したがって、本発明
においては、熱間圧延時の巻取温度が７００℃以下の場
合あるいは熱延ままの状態では、必要とする強度、靭
性、加工性が得られない場合には、製管後に応力除去焼
鈍、焼なまし、焼ならし、焼入れのままあるいは焼入れ
焼戻し処理を施すことによって、強度、高靭性で、かつ
加工性、溶接性に優れたエアーバッグ用電縫鋼管を得る
ことができる。
【００２８】上記製管後の熱処理のうち応力除去焼鈍
は、若干靭性が低下しても、強度が必要な場合に適用す
る。焼なまし処理は、若干強度が下がっても、一層靭性
が必要な場合に適用する。焼ならし処理は、強度よりも
加工性、靭性を重視する場合に適用する。焼入れのまま
あるいは焼入れ焼戻し処理は、高強度、高靭性を得るこ
とができる。
は、若干靭性が低下しても、強度が必要な場合に適用す
る。焼なまし処理は、若干強度が下がっても、一層靭性
が必要な場合に適用する。焼ならし処理は、強度よりも
加工性、靭性を重視する場合に適用する。焼入れのまま
あるいは焼入れ焼戻し処理は、高強度、高靭性を得るこ
とができる。
【００２９】
【実施例】表１に示す化学成分の本発明鋼および表２に
示す化学成分の比較鋼のスラブを用い、熱延仕上温度６
００〜７５０℃で熱間圧延して熱延コイルとなし、各熱
延コイルを成形後電縫溶接して外径６０．０ｍｍ、肉厚
２．５ｍｍの電縫鋼管を製造した。この後、電縫製管の
ままあるいは５００℃で応力除去焼鈍、９００℃で焼な
らし、６００℃で焼なまし、９００℃で焼入れのまま、
９００℃で焼入れ５００℃で焼戻しの熱処理を行い、各
種の特性を評価した。その結果を表３および表４に示
す。
示す化学成分の比較鋼のスラブを用い、熱延仕上温度６
００〜７５０℃で熱間圧延して熱延コイルとなし、各熱
延コイルを成形後電縫溶接して外径６０．０ｍｍ、肉厚
２．５ｍｍの電縫鋼管を製造した。この後、電縫製管の
ままあるいは５００℃で応力除去焼鈍、９００℃で焼な
らし、６００℃で焼なまし、９００℃で焼入れのまま、
９００℃で焼入れ５００℃で焼戻しの熱処理を行い、各
種の特性を評価した。その結果を表３および表４に示
す。
【００３０】特性の評価は、強度、靭性、加工性につい
て実施した。強度については、ＪＩＳ Ｚ２２０１の金
属材料引張試験片に規定の１１号試験片を用い、ＪＩＳ
Ｚ２２４１の金属材料引張試験方法に準じて引張試験
を行った。靭性については、図１に示すとおり、電縫鋼
管１を鎖線で示すように半割となし、長さ１０ｍｍの半
割試験片２を採取し、図２に示す落重試験装置の置台３
上に半割試験片２を載置し、重さ５ｋｇの重錘４を置台
３上面から２０００ｍｍの位置から落下させ、割れの有
無を調査した。なお、落重試験は、−４０℃において１
０ケ繰り返して試験し、割れ率で評価した。加工性につ
いては、へん平性で評価した。なお、へん平性は、図３
に示すとおり、先端Ｒが１０ｍｍのＶブロック（６０
°）の押工具５、５を用いて電縫鋼管１が密着するまで
へん平にし、最大へん平部の肩部６に割れの発生有無に
より評価し、割れの発生無は○、割れの発生有は×とし
た。
て実施した。強度については、ＪＩＳ Ｚ２２０１の金
属材料引張試験片に規定の１１号試験片を用い、ＪＩＳ
Ｚ２２４１の金属材料引張試験方法に準じて引張試験
を行った。靭性については、図１に示すとおり、電縫鋼
管１を鎖線で示すように半割となし、長さ１０ｍｍの半
割試験片２を採取し、図２に示す落重試験装置の置台３
上に半割試験片２を載置し、重さ５ｋｇの重錘４を置台
３上面から２０００ｍｍの位置から落下させ、割れの有
無を調査した。なお、落重試験は、−４０℃において１
０ケ繰り返して試験し、割れ率で評価した。加工性につ
いては、へん平性で評価した。なお、へん平性は、図３
に示すとおり、先端Ｒが１０ｍｍのＶブロック（６０
°）の押工具５、５を用いて電縫鋼管１が密着するまで
へん平にし、最大へん平部の肩部６に割れの発生有無に
より評価し、割れの発生無は○、割れの発生有は×とし
た。
【００３１】
【表１】
【００３２】
【表２】
【００３３】
【表３】
【００３４】
【表４】
【００３５】表１、表３に示すとおり、鋼Ｎｏ．１〜１
９の本発明鋼を用いた試験Ｎｏ．１〜２８の本発明例
は、いずれの成分、プロセスにおいても、落重試験での
割れ率が０％、さらにへん平後の肩部の割れがなく、良
好な加工性を有していた。
９の本発明鋼を用いた試験Ｎｏ．１〜２８の本発明例
は、いずれの成分、プロセスにおいても、落重試験での
割れ率が０％、さらにへん平後の肩部の割れがなく、良
好な加工性を有していた。
【００３６】これに対し、表２、表４に示すとおり、鋼
Ｎｏ．２０〜２６の比較鋼および鋼Ｎｏ．１８の本発明
鋼を用いた試験Ｎｏ．２９〜３６の比較例は、鋼Ｎｏ．
１８、２０、２３〜２６は、落重試験での割れ率が１０
％以上で、しかも密着へん平後の肩部の割れが発生し、
靭性ならびに加工性が不足している。
Ｎｏ．２０〜２６の比較鋼および鋼Ｎｏ．１８の本発明
鋼を用いた試験Ｎｏ．２９〜３６の比較例は、鋼Ｎｏ．
１８、２０、２３〜２６は、落重試験での割れ率が１０
％以上で、しかも密着へん平後の肩部の割れが発生し、
靭性ならびに加工性が不足している。
【００３７】
【発明の効果】本発明の請求項１、２の高靭性エアーバ
ッグ用電縫鋼管は、請求項１、２に記載のとおり化学成
分を調整した鋼材を素材として電縫製管することによっ
て、エアーバッグのアキュムレータ用等の用途に適した
加工性と溶接性に優れ、かつ高靭性の電縫鋼管を得るこ
とができる。
ッグ用電縫鋼管は、請求項１、２に記載のとおり化学成
分を調整した鋼材を素材として電縫製管することによっ
て、エアーバッグのアキュムレータ用等の用途に適した
加工性と溶接性に優れ、かつ高靭性の電縫鋼管を得るこ
とができる。
【００３８】本発明の請求項３、４の高靭性エアーバッ
グ用電縫鋼管の製造方法は、本発明の請求項１、２に記
載のとおり化学成分を調整した鋼片を、巻取温度７００
℃以下で熱間圧延した熱延コイルを素材として電縫製管
することによって、エアーバッグのアキュムレータ用等
の用途に適した加工性と溶接性に優れ、かつ高靭性の電
縫鋼管を得ることができる。
グ用電縫鋼管の製造方法は、本発明の請求項１、２に記
載のとおり化学成分を調整した鋼片を、巻取温度７００
℃以下で熱間圧延した熱延コイルを素材として電縫製管
することによって、エアーバッグのアキュムレータ用等
の用途に適した加工性と溶接性に優れ、かつ高靭性の電
縫鋼管を得ることができる。
【００３９】本発明の請求項５、６の高靭性エアーバッ
グ用電縫鋼管の製造方法は、本発明の請求項１、２に記
載のとおり化学成分を調整した鋼片を、巻取温度７００
℃以下で熱間圧延した熱延コイルを素材として電縫製管
した後、応力除去焼鈍、焼なまし、焼ならし、焼入れま
まあるいは焼入れ焼戻し処理することによって、最終目
標の特性に適した高靭性で、かつ加工性と溶接性に優れ
たエアーバッグのアキュムレータ用の電縫鋼管を得るこ
とができる。
グ用電縫鋼管の製造方法は、本発明の請求項１、２に記
載のとおり化学成分を調整した鋼片を、巻取温度７００
℃以下で熱間圧延した熱延コイルを素材として電縫製管
した後、応力除去焼鈍、焼なまし、焼ならし、焼入れま
まあるいは焼入れ焼戻し処理することによって、最終目
標の特性に適した高靭性で、かつ加工性と溶接性に優れ
たエアーバッグのアキュムレータ用の電縫鋼管を得るこ
とができる。
【図１】実施例における落重試験片の説明図で、（ａ）
図は半割方法の斜視図、（ｂ）図は落重試験片の斜視図
である。
図は半割方法の斜視図、（ｂ）図は落重試験片の斜視図
である。
【図２】実施例における落重試験方法説明のための概略
説明図である。
説明図である。
【図３】実施例における密着へん平試験方法説明のため
の概略説明図である。
の概略説明図である。
１ 電縫鋼管 ２ 半割試験片 ３ 置台 ４ 重錘 ５ 押工具 ６ 肩部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 ＦＩ Ｃ２２Ｃ 38/04 Ｃ２２Ｃ 38/04
Claims (6)
- 【請求項１】 Ｃ：０．２０％以下、Ｓｉ：０．５０％
以下、Ｍｎ：０．３０％〜２．００％、Ｐ：０．０２０
％以下、Ｓ：０．０１０％以下、Ａｌ：０．１０％以下
を含有し、残部がＦｅおよび不可避的不純物からなる鋼
を用いたことを特徴とする高靭性エアーバッグ用電縫鋼
管。 - 【請求項２】 Ｃ：０．２０％以下、Ｓｉ：０．５０％
以下、Ｍｎ：０．３０％〜２．００％、Ｐ：０．０２０
％以下、Ｓ：０．０１０％以下、Ａｌ：０．１０％以下
を含み、Ｍｏ：０．５０％以下、Ｖ：０．１０％以下、
Ｎｉ：０．５０％以下、Ｃｒ：１．００％以下、Ｃｕ：
０．５０％以下、Ｔｉ：０．１０％以下、Ｎｂ：０．１
０％以下、Ｂ：０．００５％以下、Ｃａ：０．００５％
以下のうち１種以上を含有し、残部がＦｅおよび不可避
的不純物からなる鋼を用いたことを特徴とする高靭性エ
アーバッグ用電縫鋼管。 - 【請求項３】 Ｃ：０．２０％以下、Ｓｉ：０．５０％
以下、Ｍｎ：０．３０％〜２．００％、Ｐ：０．０２０
％以下、Ｓ：０．０１０％以下、Ａｌ：０．１０％以下
を含有し、残部がＦｅおよび不可避的不純物からなる鋼
片を、巻取温度７００℃以下で巻取った熱延コイルを用
いて製造することを特徴とする高靭性エアーバッグ用電
縫鋼管の製造方法。 - 【請求項４】 Ｃ：０．２０％以下、Ｓｉ：０．５０％
以下、Ｍｎ：０．３０％〜２．００％、Ｐ：０．０２０
％以下、Ｓ：０．０１０％以下、Ａｌ：０．１０％以下
を含み、Ｍｏ：０．５０％以下、Ｖ：０．１０％以下、
Ｎｉ：０．５０％以下、Ｃｒ：１．００％以下、Ｃｕ：
０．５０％以下、Ｔｉ：０．１０％以下、Ｎｂ：０．１
０％以下、Ｂ：０．００５％以下、Ｃａ：０．００５％
以下のうち１種以上を含有し、残部がＦｅおよび不可避
的不純物からなる鋼片を、巻取温度７００℃以下で巻取
った熱延コイルを用いて製造することを特徴とする高靭
性エアーバッグ用電縫鋼管の製造方法。 - 【請求項５】 Ｃ：０．２０％以下、Ｓｉ：０．５０％
以下、Ｍｎ：０．３０％〜２．００％、Ｐ：０．０２０
％以下、Ｓ：０．０１０％以下、Ａｌ：０．１０％以下
を含有し、残部がＦｅおよび不可避的不純物からなる鋼
片を、巻取温度７００℃以下で巻取った熱延コイルを用
いて製造した電縫鋼管を応力除去焼鈍、焼なまし、焼な
らし、焼入れままあるいは焼入れ焼戻し処理することを
特徴とする高靭性エアーバッグ用電縫鋼管の製造方法。 - 【請求項６】 Ｃ：０．２０％以下、Ｓｉ：０．５０％
以下、Ｍｎ：０．３０％〜２．００％、Ｐ：０．０２０
％以下、Ｓ：０．０１０％以下、Ａｌ：０．１０％以下
を含み、Ｍｏ：０．５０％以下、Ｖ：０．１０％以下、
Ｎｉ：０．５０％以下、Ｃｒ：１．００％以下、Ｃｕ：
０．５０％以下、Ｔｉ：０．１０％以下、Ｎｂ：０．１
０％以下、Ｂ：０．００５％以下、Ｃａ：０．００５％
以下のうち１種以上を含有し、残部がＦｅおよび不可避
的不純物からなる鋼片を、巻取温度７００℃以下で巻取
った熱延コイルを用いて製造した電縫鋼管を応力除去焼
鈍、焼なまし、焼ならし、焼入れままあるいは焼入れ焼
戻し処理することを特徴とする高靭性エアーバッグ用電
縫鋼管の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9029548A JPH10212549A (ja) | 1997-01-28 | 1997-01-28 | 高靭性エアーバッグ用電縫鋼管とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9029548A JPH10212549A (ja) | 1997-01-28 | 1997-01-28 | 高靭性エアーバッグ用電縫鋼管とその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10212549A true JPH10212549A (ja) | 1998-08-11 |
Family
ID=12279198
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP9029548A Pending JPH10212549A (ja) | 1997-01-28 | 1997-01-28 | 高靭性エアーバッグ用電縫鋼管とその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH10212549A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US7727463B2 (en) | 2003-05-21 | 2010-06-01 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Steel pipe for an airbag system |
| US7846274B2 (en) | 2001-03-29 | 2010-12-07 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | High strength steel pipe for an air bag |
| WO2011151908A1 (ja) * | 2010-06-03 | 2011-12-08 | 住友金属工業株式会社 | エアバッグ用鋼管とその製造方法 |
| CN106498263A (zh) * | 2016-10-13 | 2017-03-15 | 南京创贝高速传动机械有限公司 | 一种高速齿轮箱排气锥管的生产工艺 |
-
1997
- 1997-01-28 JP JP9029548A patent/JPH10212549A/ja active Pending
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US7846274B2 (en) | 2001-03-29 | 2010-12-07 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | High strength steel pipe for an air bag |
| US7727463B2 (en) | 2003-05-21 | 2010-06-01 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Steel pipe for an airbag system |
| WO2011151908A1 (ja) * | 2010-06-03 | 2011-12-08 | 住友金属工業株式会社 | エアバッグ用鋼管とその製造方法 |
| KR101425738B1 (ko) * | 2010-06-03 | 2014-07-31 | 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 | 에어백용 강관과 그 제조 방법 |
| US9080223B2 (en) | 2010-06-03 | 2015-07-14 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | Steel tube for airbags and a process for manufacturing same |
| CN106498263A (zh) * | 2016-10-13 | 2017-03-15 | 南京创贝高速传动机械有限公司 | 一种高速齿轮箱排气锥管的生产工艺 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20010823 |