JPH10209794A - 圧電薄膜共振子 - Google Patents

圧電薄膜共振子

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JPH10209794A
JPH10209794A JP864697A JP864697A JPH10209794A JP H10209794 A JPH10209794 A JP H10209794A JP 864697 A JP864697 A JP 864697A JP 864697 A JP864697 A JP 864697A JP H10209794 A JPH10209794 A JP H10209794A
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thin film
film
piezoelectric
thickness
substrate
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JP864697A
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Naoyuki Hanashima
直之 花嶋
Shuji Tsuzumi
修司 津々見
Masa Yonezawa
政 米澤
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Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気機械結合係数が大きく、共振子、フィル
タ等に適用した場合の帯域幅及び発振周波数範囲が広
く、かつ、Q値が高い圧電薄膜共振子であって、下部電
極を露出させる必要がなく、製造が容易な圧電薄膜共振
子を提供する。 【解決手段】 ダイヤモンド薄膜1が形成されたSi基
板2上に、下部電極3、PZT薄膜又はPT薄膜4及び
2個の上部電極5A,5Bを有する圧電薄膜共振子。上
部電極5A,5Bの間隔はPZT薄膜又はPT薄膜4の
膜厚よりも大きい。 【効果】 圧電体膜がPZT又はPTで形成されている
ため、広帯域なフィルタや発振周波数範囲の広い共振器
を実現できる。上部電極間に電界を印加することにより
圧電体膜を厚み方向に分極処理することができる。従っ
て、下部電極を端子電極として露出させる必要がない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は圧電薄膜共振子に係
り、特に、高周波帯域で動作する圧電薄膜の厚み方向の
バルク波を利用した共振器、フィルタ等に好適な圧電薄
膜共振子に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、高周波帯域において使用される
圧電振動子では、薄板の厚み振動が利用されている。従
来、提供されている高周波用の圧電振動子としては、次
の〜の構成のものなどがある。
【0003】 水晶、圧電セラミックス等の圧電板を
薄く研磨し、その基本振動を用いた圧電振動子。 水晶、圧電セラミックス等の高次振動を利用した高
次モード振動子。 圧電性蒸着膜を基板上に形成し、この圧電性蒸着膜
を励振して基板を高次振動させて用いる複合振動子。
【0004】上記従来の圧電振動子のうち、の構成の
ものでは、水晶、圧電セラミックス等の圧電板を薄くす
れば、板厚に反比例して基本共振周波数が高くなるが、
板厚を薄くすればするほど、機械加工が困難となる。こ
のため、現在では、板厚30〜40μmで共振周波数5
0MHz程度が限界である。
【0005】の構成のものでは、高次振動を用いるた
め電気機械結合係数が小さくなり、周波数帯域幅が小さ
すぎて実用的ではなく、また、電気機械結合係数が大き
い低次振動ではスプリアスとなる欠点がある。また、
の構成のものでも同様の欠点がある。
【0006】なお、のような高次振動モードを利用し
たものでは、基板に対して圧電体薄膜が相当に薄くなる
ことから、共振のQや温度特性が主に基板材料で決定さ
れることとなるため、基板の構成材料が極めて重要とな
る。
【0007】ところで、圧電素子用の高周波用圧電材料
としては、例えば、常誘電体のAlN、CdS、ZnO
等が用いられている。これらの材料は、機械加工により
薄く加工したとしても、40μm程度の厚みが限界であ
り、この程度の厚みのものでは、基本波の共振周波数
は、いずれの材料でも数十MHzが限界である。これら
の材料を用いた高周波用圧電薄膜共振子においては、例
えば、500MHz以上の高い共振周波数の基本振動を
得るためには、板厚を10μm以下にする必要がある。
【0008】一方、数百MHzの高周波帯域において、
電気機械結合係数の大きな圧電振動子を得る方法として
は、スパッタ法等の薄膜製造技術とエッチング技術を用
いる方法があり、例えば、特開昭60−31305号公
報には、スパッタ法で酸化亜鉛及びチタン酸鉛の薄膜を
形成した圧電素子が記載されている。この特開昭60−
31305号公報に記載される圧電素子は、基板の影響
をなくし、圧電体薄膜の振動特性を活かすために、基板
の一部をエッチングで除去している。
【0009】なお、従来、厚み振動を用いた圧電薄膜共
振子では、特開平8−148968号公報に記載される
圧電薄膜共振子に代表されるように、圧電体膜の上下の
電極に電界を印加することよりバルク波を励振させてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】スパッタ法による酸化
亜鉛、その他、従来の圧電材料は、いずれも電気機械結
合係数が20〜30%程度と小さいため、共振子、フィ
ルタ等を構成した場合、帯域幅及び発振周波数範囲が限
定される。なお、特開昭60−31305号公報では、
この点を改善するために、基板の一部を除去している
が、このように基板を除去した場合、素子強度が低下す
るという欠点がある。
【0011】また、従来提供されている厚み振動を用い
た圧電薄膜共振子では、圧電体膜の上下の電極に電界を
印加して厚み方向に分極処理することでバルク波を励振
させている。このため、下部電極をこの分極処理におけ
る端子電極とするべく、下部電極を露出させる必要があ
る。従って、圧電体膜を下部電極上に一様に形成した
後、エッチングにより圧電体膜の一部を除去して下部電
極を露出させたり、圧電体膜の形成に当り、下部電極を
部分的にマスクするなどして、下部電極の一部を残して
圧電体膜を形成する必要があり、下部電極を露出させる
ための煩雑な工程を必要とするという欠点がある。
【0012】また、前述の如く、高次振動モードを利用
したものでは、圧電薄膜共振子特性が基板材料に大きく
影響を受けるため、基板材料の選定が極めて重要となる
が、従来において、圧電薄膜共振子に最適な基板材料の
検討は十分に行われていない。
【0013】本発明は上記従来の問題点を解決し、電気
機械結合係数が大きく、共振子、フィルタ等に適用した
場合の帯域幅及び発振周波数範囲が広く、かつ高いQ値
が得られる圧電薄膜共振子であって、下部電極を露出さ
せる必要がなく、従って製造が容易な圧電薄膜共振子を
提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の圧電薄膜共振子
は、単結晶又は多結晶基板と、該基板上に形成された下
部電極と、該下部電極上に形成された圧電体薄膜と、該
圧電体薄膜上に形成された2個の上部電極とを備えてな
る圧電薄膜共振子であって、該圧電体薄膜がPZT薄膜
又はPT薄膜であり、該2個の上部電極同士の間の間隔
が、該圧電体薄膜の膜厚よりも大きいよりも大きいこと
を特徴とする。
【0015】本発明の圧電薄膜共振子は、圧電体膜が電
気機械結合係数の大きい圧電材料であるPZT(チタン
酸ジルコン酸鉛)、或いは、キューリー点が約500度
と高く、厚み方向の結合係数と広がり方向の結合係数の
値が大きく異なる等の特徴を有するPT(チタン酸鉛)
で形成されているため、広帯域なフィルタや発振周波数
範囲の広い共振器を実現できる。
【0016】また、単結晶又は多結晶ダイヤモンド基板
等の単結晶又は多結晶基板を用いるため、高いQ値が得
られ、従って、挿入損失を低減できる。この単結晶又は
多結晶基板は特に、Si基板上に厚さ1〜30μmのダ
イヤモンド薄膜を形成したものが好ましい。
【0017】しかも、上部電極が間隔をあけて2個形成
されているため、この上部電極間に電界を印加すること
により圧電体膜を厚み方向に分極処理することができ
る。従って、下部電極を端子電極とする必要がなく、こ
のため下部電極を露出させるための煩雑な工程が不要と
なる。
【0018】ところで、PZT又はPTは、良質な膜質
の圧電体薄膜を得ることが困難である。例えば、スパッ
タ法では、厚み振動の共振を十分確認できるほど良好な
PZT薄膜又はPT薄膜を形成できない。
【0019】これに対して、ゾルゲル法によるPZT薄
膜又はPT薄膜の成膜であれば、厚み振動に対して高い
共振を示し、圧電体薄膜として有効に機能する良好な膜
質のPZT薄膜又はPT薄膜を形成することができる。
このPZT薄膜又はPT薄膜の膜厚は0.1〜10μm
であることが好ましい。
【0020】また、分極処理効果の面から、上部電極同
士の間の間隔(以下、「上部電極間隔」と称す。)は、
圧電体薄膜のPZT薄膜又はPT薄膜の膜厚の2〜20
0倍であることが好ましい。
【0021】本発明におては、基板の下部電極形成面と
反対側の面を一部エッチングで除去して凹部を形成して
も良く、これにより、発信周波数、挿入損失の特性を向
上させることができる。この場合において、基板がダイ
ヤモンド薄膜を有することにより、凹部を形成しても強
度を十分に維持することができる。
【0022】本発明によれば、PZT薄膜又はPT薄膜
の膜厚0.1〜10μmであり、上部電極間隔0.2μ
m〜2mmで、共振周波数帯域50MHz〜10GHz
の高特性圧電薄膜共振子が提供される。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。
【0024】図1は本発明の実施の形態を示す斜視図、
図2は本発明の他の実施の形態を示す正面図、図3は本
発明の別の実施の形態を示す斜視図、図4は本発明の異
なる実施の形態を示す図であって、図4(a)は正面
図、図4(b)は側面図である。
【0025】図1〜4において、同一機能を奏する部材
には同一符号を付してある。
【0026】本実施の形態では、基板として、表面にダ
イヤモンド薄膜1が形成されたSi基板2を用いる。こ
のダイヤモンド薄膜1付きSi基板2であれば機械的強
度も十分であるため、ゾルゲル法により、良好な膜質の
PZT薄膜を形成することができる。なお、2Aは絶縁
膜としての酸化膜(SiO2 膜)である。
【0027】このダイヤモンド薄膜付きSi基板2のダ
イヤモンド薄膜1の厚さは、薄過ぎると、ダイヤモンド
の方位がそろわず、配向しにくい。また、平滑化が困難
で強度向上効果も低い。逆に、厚過ぎると成膜に時間が
かかり、コスト面で不利であり、また、音響的に損失の
原因となりうるので、1〜30μm程度であることが好
ましい。
【0028】なお、Si基板2の裏面側のSiO2 膜2
Aの厚さは0.5〜1.5μmであることが好ましい。
【0029】また、ダイヤモンド薄膜付きSi基板2と
しては、薄膜圧電素子としての用途上、できる限り薄い
ことが望ましいが、過度に薄いと機械的強度が低下する
ため、厚さ200〜600μm程度であることが好まし
い。
【0030】このようなダイヤモンド薄膜付きSi基板
2は、Si基板上に気相合成法により、所望の厚さのダ
イヤモンド薄膜を形成することにより製造することがで
きる。
【0031】本発明の圧電薄膜共振子は、このようなダ
イヤモンド薄膜付きSi基板2上に、下部電極3、PZ
T薄膜又はPT薄膜4及び上部電極5(5A,5B)を
順次成膜して得られるが、下部電極3の成膜に先立ち、
Ti層(図示せず)を形成するのが、PZT薄膜又はP
T薄膜4の成膜の上で有利である。
【0032】即ち、ゾルゲル法によるPZT薄膜又はP
T薄膜の成膜では、乾燥、焼成時に収縮を伴うため、5
μmを超える膜厚の薄膜を形成することは困難である
が、膜厚0.1μm以下のPZT薄膜又はPT薄膜で
は、圧電体薄膜として機能するには薄すぎて好ましくな
い。これに対して、基板上にTi層を形成しておくこと
により、基板と下地電極との密着層としての作用で、P
ZT薄膜又はPT薄膜を比較的厚い薄膜として形成する
ことが可能となる。
【0033】このTi層はスパッタ法等により形成する
ことができ、その厚さは50〜500Å程度であること
が好ましい。Ti層の厚さが50Å未満ではTi層を形
成したことによる効果が十分に得られない。
【0034】下部電極3としては、Pt、Ir、Al等
の導電性金属層をスパッタ法等で形成することができ、
その厚さは、通常の場合1000〜2000Å程度であ
る。
【0035】本発明において、圧電体薄膜としてのPZ
T薄膜又はPT薄膜4は、高周波対応とするために膜厚
10μm以下であることが必要とされ、好ましくは0.
1〜10μm、より好ましくは0.2〜3μmの範囲で
使用目的に応じて適宜決定される。なお、PZT薄膜又
はPT薄膜の膜厚が薄過ぎると圧電効果が十分得られ
ず、逆に、厚過ぎると良好な膜質が得られない。
【0036】PZT薄膜又はPT薄膜4上の上部電極5
(5A,5B)としては、前述の下部電極3と同様の導
電性金属層をスパッタ法等によりパターニング形成する
ことができ、その厚さは、通常の場合、1000〜20
00Å程度である。
【0037】本発明においては、上部電極として2個の
上部電極5A,5Bを形成し、この上部電極5A,5B
同士の間隔をPZT薄膜又はPT薄膜4の膜厚よりも大
きくする。
【0038】上部電極間隔がPZT薄膜又はPT薄膜4
の膜厚以下であると、分極処理に当り上部電極5A,5
B間に電界を印加した際、短絡が生じ、PZT薄膜又は
PT薄膜4を厚み方向に分極処理することができない。
ただし、上部電極間隔が過度に大きいと素子寸法が徒に
大きくなり、好ましくない。
【0039】この上部電極間隔はPZT薄膜又はPT薄
膜の膜厚の2〜200倍、即ち、膜厚0.1〜10μm
のPZT薄膜又はPT薄膜に対して上部電極間隔0.2
〜2000μmであることが好ましい。上部電極間隔は
特にPZT薄膜又はPT薄膜の膜厚の10〜100倍で
あることが好ましい。
【0040】本発明においては、図2に示す如く、Si
基板2の下部電極3形成面と反応側の面をエッチング処
理して凹部6を形成しても良く、このように凹部6を形
成することにより、圧電薄膜共振子の機械的強度は若干
劣るものの低次モードをより強く励振することが可能と
なり、発信周波数、挿入損失の特性を向上させることが
できる。この場合において、Si基板2にはダイヤモン
ド薄膜1が形成されているため、エッチングによる強度
低下は抑えられ、基板強度を維持することができる。
【0041】この凹部6は、上部電極5A,5Bの形成
位置に対向する位置(上部電極を基板上に厚さ方向に透
影した位置)にSi基板2の厚さの50〜100%の深
さで形成するのが好ましい。
【0042】また、本発明においては、図3に示す如
く、PZT薄膜又はPT薄膜4上にSiO2 膜等の絶縁
膜7を部分的に形成し、上部電極5A,5Bを、この絶
縁膜7とPZT膜又はPT薄膜4の表出面とにまたがる
ように形成することにより、端子電極としての上部電極
5A,5Bの形成位置をずらして構造上の補強を図るこ
とができる。この場合、この絶縁膜7はSiO2 ,Si
N,AlN,TiO2 ,Al2 3 等により形成するこ
とができ、その厚さは0.05〜1μm程度であること
が好ましい。
【0043】また、このように絶縁膜7を形成した場合
においても、図4に示す如く、Si基板2に凹部6を形
成しても良い。
【0044】次に、本発明の圧電薄膜共振子の製造方法
の好適例について説明する。
【0045】まず、ダイヤモンド薄膜付きSi基板の表
面に、スパッタ法によりTi層及び下部電極を順次形成
する。
【0046】次いで、下部電極上に、酢酸鉛等の鉛化合
物及びチタニウムイソプロポキシド、チタニウムブトキ
シド等のチタン化合物(PT薄膜の場合)、或いは更に
ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムプロポキシド等
のジルコニウム化合物(PZT薄膜の場合)を所定のモ
ル比で、合計濃度が10〜20重量%程度となるよう
に、メトキシエタノール、酢酸エステル等の溶剤に溶解
したPZT薄膜又はPT薄膜形成用組成物を塗布し、1
50〜400℃で乾燥し、所定の膜厚となるように、こ
の塗布、乾燥を繰り返し、最後に500〜800℃で
0.1〜2hr焼成する。
【0047】このようにして形成したPZT薄膜又はP
T薄膜上に、必要に応じて熱処理,CVD等によりSi
2 等の絶縁膜を形成した後、スパッタ法により、2個
の上部電極を所定のパターンで形成する。その後、2個
の上部電極間に120〜200℃で200〜500kV
/cm程度の直流電界を10〜60分程度印加してPZ
T薄膜又はPT薄膜の分極処理を行う。この分極処理を
行うことでPZT薄膜又はPT薄膜振圧電体薄膜として
機能するようになる。
【0048】圧電薄膜共振子において、良好な膜質のP
ZT薄膜又はPT薄膜を形成することは極めて重要であ
る。即ち、PZT薄膜又はPT薄膜は、十分な分極処理
をすることで圧電体薄膜として機能するが、膜質が不良
である分極処理の電界を十分に印加できず、圧電体薄膜
として機能しないことになる。このため、本発明におい
ては、基板、下部電極、PZT薄膜又はPT薄膜、上部
電極の形成条件の最適化により、膜質の良好なPZT薄
膜又はPT薄膜を形成することが重要である。
【0049】Si基板をエッチングして凹部を形成する
場合には、TMAH(tetramethyl amm
onium hydroxide)等のエッチング液を
用いて、部分的に基板を除去すれば良い。
【0050】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明する。
【0051】実施例1,2 基板として、表面に厚さ20μmのダイヤモンド薄膜を
形成した厚さ250μmのSi基板を用い、このSi基
板のダイヤモンド薄膜上にスパッタ法により、厚さ50
0ÅのTi層及び厚さ2000ÅのPt下部電極層を順
次形成した。
【0052】このPt下部電極層上に、ゾルゲル法によ
り、厚さ0.8μmのPZT薄膜又はPT薄膜を形成し
た。
【0053】なお、PZT薄膜の形成には、酢酸鉛とジ
ルコニウムブトキシドとチタニウムイソプロポキシドと
を所定のモル比で合計濃度18重量%となるように溶解
したPZT薄膜形成用溶液を用い、また、PT薄膜の形
成には、酢酸鉛とチタニウムイソプロポキシドとを所定
のモル比で合計濃度10重量%となるように溶解したP
T薄膜形成用溶液を用い、各々、スピンコートにより塗
布した後400℃で乾燥し、この塗布、乾燥を所定の膜
厚になるまで繰り返し、最後に650℃で1hr焼成し
た。
【0054】更に、PZT薄膜又はPT薄膜上にスパッ
タ法により、図1に示す如く、厚さ1500Åで、70
μm×75μmの長方形状のAl上部電極2個を上部電
極間隔75μmでパターニング形成した。
【0055】その後、上部電極同士の間に150℃で3
00kV/cmの直流電界を10min印加したとこ
ろ、PZT薄膜又はPT薄膜が厚み方向に分極処理さ
れ、圧電薄膜共振子が得られた。
【0056】得られた圧電薄膜共振子の厚み振動の基本
共振周波数及び挿入損失は表1に示す通りであった。
【0057】比較例1,2 実施例1,2において、基板として、表面に厚さ1μm
の酸化膜が形成された厚さ250μmのSi基板を用い
たこと以外は同様にして圧電薄膜共振子を製造し、得ら
れた圧電薄膜共振子の厚み振動の基本共振周波数及び挿
入損失を表1に示した。
【0058】
【表1】
【0059】比較例3,4 実施例1,2において、上部電極間隔をPZT薄膜又は
PT薄膜の膜厚より小さい0.2μmとしたこと以外は
同様にして行ったところ、上部電極間に直流電界を印加
しても短絡してしまい分極処理を行うことができなかっ
た。
【0060】実施例3 実施例1において、PZT膜厚を0.8μmとし、80
μm×75μmの長方形状のAl上部電極2個を上部電
極間隔75μmで形成したこと以外は同様にして圧電薄
膜共振子を作製し、その共振周波数及び挿入損失を表2
に示した。
【0061】実施例4 実施例3において、図2に示す如く、上部電極形成位置
に対向するSi基板の裏面側に、235μm×75μm
×235μm深さの凹部を形成したこと以外は同様にし
て圧電薄膜共振子を作製し、その共振周波数及び挿入損
失を表2に示した。本実施例では、基板に凹部を形成し
たが、基板表面にダイヤモンド薄膜が形成されているた
め、凹部形成による強度低下の問題はなかった。
【0062】
【表2】
【0063】実施例5 実施例1において、PZT薄膜の成膜後、図3に示す如
く、振動領域以外に厚さ1μmのSiO2 膜をスパッタ
により形成し、その後、このSiO2 膜とPZT薄膜と
にまたがるように、厚さ1500ÅのAl上部電極を上
部電極間隔180μmで形成したこと以外は同様にして
圧電薄膜共振子を作製した。この圧電薄膜共振子の上部
電極は、PZT薄膜上に形成された部分の面積が70μ
m×70μmで、SiO2 薄膜上に形成された部分の面
積が100μm×100μmで連結部の幅が20μmの
ものである。
【0064】この圧電薄膜共振子について、上部電極の
面積のちがいによる、インピーダンスを調べ、実施例1
の圧電薄膜共振子と比較したところ、実施例1の圧電薄
膜共振子は50Ω付近であるのに対して、本実施例の圧
電薄膜共振子も50Ω付近であり、このような構成とし
ても、特性に変化はなく、上部電極形成位置をずらし
て、補強構造とすることができることがわかった。
【0065】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の圧電薄膜共
振子によれば、圧電体膜として電気機械結合係数の大き
いPZT薄膜、又は、キューリー点が約500度と高く
厚み方向の結合係数と広がり方向の結合係数の値が大き
く異なる等の特徴を有するPT薄膜を用いるため、簡単
な構造においても広帯域なフィルタや発信周波数の広い
共振器を実現する圧電薄膜共振子を得ることができる。
また、上部電極を所定の間隔をあけて2個設けたため、
下部電極を端子電極として用いる必要がなく、この結
果、下部電極を露出するための煩雑な工程が不要とな
り、圧電薄膜共振子を容易に製造することが可能とな
る。しかも、基板として単結晶又は多結晶基板を用いる
ため、高いQ値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の他の実施の形態を示す正面図である。
【図3】本発明の別の実施の形態を示す斜視図である。
【図4】本発明の異なる実施の形態を示す図であって、
図4(a)は正面図、図4(b)は側面図である。
【符号の説明】
1 ダイヤモンド薄膜 2 Si基板 3 下部電極 4 PZT薄膜又はPT薄膜 5A,5B 上部電極 6 凹部 7 絶縁膜

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単結晶又は多結晶基板と、該基板上に形
    成された下部電極と、該下部電極上に形成された圧電体
    薄膜と、該圧電体薄膜上に形成された2個の上部電極と
    を備えてなる圧電薄膜共振子であって、 該圧電体薄膜がPZT薄膜又はPT薄膜であり、 該2個の上部電極同士の間の間隔が、該圧電体薄膜の膜
    厚よりも大きいことを特徴とする圧電薄膜共振子。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記単結晶又は多結
    晶基板が単結晶又は多結晶ダイヤモンド基板であること
    を特徴とする圧電薄膜共振子。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記単結晶又は多結
    晶基板がSi基板上に単結晶又は多結晶ダイヤモンド薄
    膜が形成されたものであり、前記下部電極は、該基板の
    ダイヤモンド薄膜上に形成されていることを特徴とする
    圧電薄膜共振子。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記ダイヤモンド薄
    膜の厚さが1〜20μmであることを特徴とする圧電薄
    膜共振子。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項におい
    て、前記PZT薄膜又はPT薄膜はゾルゲル法により形
    成されたものであり、その膜厚が0.1〜10μmであ
    ることを特徴とする圧電薄膜共振子。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1項におい
    て、前記2個の上部電極同士の間の間隔が前記圧電体薄
    膜の膜厚の2〜200倍であることを特徴とする圧電薄
    膜共振子。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項におい
    て、前記基板の下部電極形成面と反対側の面にエッチン
    グにより凹部が形成されていることを特徴とする圧電薄
    膜共振子。
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