JPH10209018A - X線マスクフレームおよびx線マスクの保持方法 - Google Patents

X線マスクフレームおよびx線マスクの保持方法

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JPH10209018A
JPH10209018A JP1128697A JP1128697A JPH10209018A JP H10209018 A JPH10209018 A JP H10209018A JP 1128697 A JP1128697 A JP 1128697A JP 1128697 A JP1128697 A JP 1128697A JP H10209018 A JPH10209018 A JP H10209018A
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ray mask
ray
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holding
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JP1128697A
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Toshiyuki Horiuchi
敏行 堀内
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Publication date
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    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
    • G03F7/70Microphotolithographic exposure; Apparatus therefor
    • G03F7/70691Handling of masks or workpieces

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  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 接着剤を用いず、X線マスクが変形したりす
ることがなく、またX線マスクの洗浄が容易で、パタン
の位置精度および平面度を良好に維持する。 【解決手段】 フレーム本体2に設けた2つのマスク保
持部材13によってX線マスク120の側面を上下方向
から4点保持する。マスク保持部材13は板ばね9に取
付けられ、X線マスク120に対するマスク保持力の作
用線は、X線マスク120のバックエッチング部より外
側である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線リソグラフィ
用のX線マスクを保持するX線マスクフレームおよびX
線マスクの保持方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】大規模集積回路等の非常に微細なパタン
を形成するための技術としてX線リソグラフィが注目さ
れている。図6は、X線リソグラフィの原理を示す構成
図である。X線リソグラフィでは、シリコン等からなる
マスク基板117の表面にCVD法(ケミカル ベーパ
ー デポジッション)等により形成されたX線透過薄膜
118上にX線吸収体金属パタン119またはX線を一
部吸収するとともにその位相を所定量変化させる位相シ
フタパタン、あるいはその両方を配置したX線マスク1
20を用いる。そして、X線マスク120に近接して被
露光基板121を配置した状態でX線122を照射し、
前記被露光基板121上に前記X線吸収体金属パタン1
19や位相シフタパタンの配置に応じたX線の強度分布
を作る。被露光基板121上に予めX線感光性物質12
3を塗布しておけば、X線122の照射により前記X線
感光性物質123が変化する。最も典型的な例は、X線
感光性物質123としてレジストを用いる場合であり、
X線122の照射後、現像処理を施すことにより、X線
吸収体金属パタン119と略同じ形状のパタンが被露光
基板121上にレジストパタンとして転写される。特殊
な場合としては、被露光基板121自体や被露光基板1
21の表面材質自体をX線感光性物質としておく場合も
ある。
【0003】ところで、X線マスク120は、 マスク基板117がシリコン等の脆弱な材料で作られ
ていること、 X線透過薄膜118は通常0.5〜3μm程度の極め
て薄い膜であり、非常に破れ易いこと、 X線マスク120の表面に異物が付着すると、転写欠
陥となったり、被露光基板121側に転移して被露光基
板121を汚染したりするので、X線マスク120の表
面には極力触りたくないこと、等の理由から、X線マス
ク120のハンドリングに対して上記からヘの対応
をとる目的で、ガラス、石英、金属等で作製されX線マ
スクフレーム124に取付けて使用していた。
【0004】実際問題としてX線リソグラフィを利用す
るには、X線マスク120と被露光基板121とを微小
な隙間を形成するように正確に近接対向させて設定し、
X線照射を行う動作を被露光基板121の位置を順次変
えて繰り返し行うことが必要である。また、X線マスク
120の欠陥やマスク上のパタンの寸法検査、パタンの
位置精度の測定等も必要である。これらを行うためのX
線ステッパや欠陥検査装置、パタン寸法測定装置、パタ
ン位置測定装置等の装置にX線マスク120を取付けた
り、装置内で搬送したりするにはX線マスク120を機
械や人間が触らざるを得ない。その際、X線マスクフレ
ーム124にX線マスク120を取付けておけば、X線
マスク120に直接触らずにすむ。したがって、X線マ
スク120の破損確率を低減することができ、X線マス
ク120の汚染ひいては異物の転移、付着による被露光
基板121の汚染等を防止できる。
【0005】このように、X線マスク120はX線マス
クフレーム124に取付けられて用いることが有効であ
る。しかし、従来のX線マスク120では、X線マスク
120をX線マスクフレーム124に取付ける際、接着
剤125により接着して取付けていたため、以下に述べ
るように幾つかの問題があった。
【0006】第1の問題は、X線マスク120の洗浄に
関して生ずる問題である。すなわち、X線マスク120
には、使用や時間の経過に伴って欠陥が生ずる。欠陥に
は、照射されるX線に露光雰囲気中や被露光基板121
に付したX線感光性物質123中の各種物質が反応して
生成するものや露光雰囲気中に浮遊する塵埃が付着する
もの等がある。
【0007】これらのうち、X線透過薄膜118のX線
透過部であるメンブレン118aに生じた欠陥は、X線
照射時にX線吸収体や半X線吸収体もしくはX線位相シ
フタとして作用し、有害な転写欠陥を生じる恐れがあ
る。このため、実際にX線マスク120を使用する前
に、そうした有害欠陥の有無を検査し、欠陥が存在する
場合にはX線マスク120を洗浄してから用いることに
なる。この洗浄には硫酸、過酸化水素水、塩酸、硝酸、
アンモニア等の強酸、強アルカリや有機溶剤等を単独ま
たは混合して用い、何種類かの薬液で順次洗浄すること
もある。そのため、X線マスク120をX線マスクフレ
ーム124に取付けたまま洗浄を行うと、X線マスク1
20にX線マスクフレーム124を取付けるのに用いた
接着剤125が洗浄液によって剥がれてしまうことが多
い。また、接着剤125が洗浄液中に溶出してX線マス
ク120に付着し、逆に欠陥が増えてしまう場合もあ
る。さらに、X線マスクフレーム124には人間やX線
ステッパの搬送機構部が触れているため、X線マスクフ
レーム124に付着していた異物がX線マスク120に
移動して付着することもある。なお、接着剤125が耐
えるような洗浄液は、一般に洗浄能力が低いので欠陥が
除去され難い。
【0008】さらに、後述のように、X線マスク120
とX線マスクフレーム124の接着は高々数点で行うこ
とが多く、仮にX線マスク120の全周囲で接着するに
しても接着剤125が完全に均一に付くことはないの
で、X線マスク120とX線マスクフレーム124との
間に微小な間隙ができ、その中に入り込んだ洗浄液を完
全に除去することが難しい。そのため、洗浄後の乾燥時
にX線マスク120とX線マスクフレーム124との間
に残る残液の中にマスク欠陥として付着していた異物や
X線マスクフレーム124に付着していた異物が取り残
される。そして乾燥後、X線マスク120とX線マスク
フレーム124との間の間隙が変化したり、X線マスク
120の平面度やマスクフレーム124に対する平行度
が低下する問題を生じる。また、洗浄後のX線マスク1
20の乾燥に時間がかかったり、X線マスク120とX
線マスクフレーム124との間に残った物質が後々外へ
出て来て再び欠陥生成の要因になる、等の問題もあっ
た。
【0009】一方、X線マスク120だけを洗浄するに
はX線マスクフレーム124からX線マスク120を取
り外す必要がある。しかし、一旦X線マスクフレーム1
24に接着剤125で強固に接着された脆弱なX線マス
ク120を全く損傷することなく剥離することは非常に
難しい。また、X線マスク120の裏面に接着剤が残っ
ている状態で洗浄すると、X線マスク120を逆に汚染
する場合もある。さらに、洗浄後、再度X線マスクフレ
ーム124に接着する必要があり、洗浄のために要する
時間および工数が極めて多くなる。洗浄後の検査で有害
欠陥が残っていれば、再洗浄が必要なこともあるが、再
度X線マスク120の剥離、接着を繰り返すことは、時
間の損失が非常に大きく、作業者の士気にも影響を来
す。
【0010】第2の問題は接着に起因するX線マスク1
20の歪みの問題である。すなわち、接着によってX線
マスク120が変形し、それがX線マスク120上のパ
タン位置精度を低下させる。そして、接着剤125の
量、粘度、接着場所、接着面積等によって歪み方が変化
するが、その歪み方を予知したり制御したりすることは
難しい。また、接着に起因してX線マスク120の平面
度が低下することもある。X線マスク120の平面度が
低下すると、X線マスク120と被露光基板121との
近接間隙のむらが大きくなるため、露光フィールド内や
ウエハ面内におけるパタン線幅やパタンの平面形状、断
面形状のばらつきが増加する。また、近接間隙を例えば
15μm以下に小さくして非常に微細なパタンを転写し
ようとする場合には、解像性が近接間隙の僅かな相違に
影響されるため、露光フィールド内やウエハ面内で解像
度のばらつきも生じる。こうした接着に起因するX線マ
スク120の歪みを少しでも小さくするため、X線マス
ク120とX線マスクフレーム124との接着は高々数
点で行うことが多く、歪み低減の観点からは1点のみで
接着するのが最良とされている。しかし、1点のみで接
着すると、振動を生じ易いほか、例えばX線マスク12
0の検査やパタンの寸法測定を行う際にマスク面を水平
にして置くと、片持ち梁のようになるためX線マスク1
20の全荷重が接着箇所にかかり、接着剤が剥がれた
り、傾いて被露光基板との平行度が低下する。また、大
気中で露光を行う場合に、X線取出窓とX線マスク12
0の間にヘリウムを流してX線取出窓とX線マスク12
0の間でのX線の減衰を防ごうとすると、ヘリウムがX
線マスク120とX線マスクフレーム124との間の隙
間から大量に逃げてしまい、ヘリウム置換に必要な時間
の増加やヘリウム置換率の低下を招くという問題もあっ
た。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
従来はX線マスクを接着剤でX線マスクフレームに固着
して使用していたため、 洗浄が困難、または洗浄して再び使用できる状態にす
るのに極めて大きな労力や長い時間を要する、 接着によってX線マスクが変形し、パタン位置精度や
平面度の低下を生ずる、という問題があった。
【0012】本発明は、上記した従来の問題を解決する
ためになされたもので、その目的とするところは、接着
剤を用いず、X線マスクが変形したりすることがなく、
またX線マスクの洗浄が容易で、パタン位置精度および
平面度を良好に維持し得るX線マスクフレームおよびX
線マスクの保持方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め第1の発明に係るX線マスクフレームは、フレーム本
体に設けられX線マスクの側面をX線マスクの板厚方向
と直交する方向から保持するマスク保持部材を備え、こ
のマスク保持部材によるマスク保持力の作用線がX線マ
スクのバックエッチング部を通らないことを特徴とす
る。また、第2の発明に係るX線マスクフレームは、上
記第1の発明において、X線マスクに対するマスク保持
部材力の作用点がバックエッチング部より外側で、かつ
バックエッチング部の中心を通る線に対して略対称な位
置であることを特徴とする。また、第3の発明に係るX
線マスクフレームは、上記第1または第2の発明におい
て、マスク保持部材がX線マスクを挟んで対向するよう
少なくとも2つ設けられていることを特徴とする。ま
た、第4の発明に係るX線マスクフレームは、上記第
1,第2または第3の発明において、マスク保持部材が
X線マスクに対して接近離間する方向に移動自在に設け
られ、前記X線マスクを挾んで前記マスク保持部材と対
向する他のマスク保持部材がフレーム本体に設けられた
固定保持部または固定保持部材であることを特徴とす
る。また、第5の発明に係るX線マスクフレームは、上
記第1、第2、第3または第4の発明において、マスク
保持部材をばねによって保持し、X線マスク方向に付勢
したことを特徴とする。また、第6の発明に係るX線マ
スクフレームは、上記第1、第2、第3、第4または第
5の発明において、マスク保持部材をX線マスクから後
退した待機位置に係止する機構を備えたことを特徴とす
る。また、第7の発明に係るX線マスクフレームは、上
記第6の発明において、フレーム本体に凹部を設け、こ
の凹部内にマスク保持部材と、このマスク保持部材を保
持するばねと、マスク保持部材を待機位置に係止する機
構とを収容したことを特徴とする。また、第8の発明に
係るX線マスクフレームは、上記第1〜第7の発明のう
ちのいずれか1つの発明において、X線マスクの側面に
設けられた段差部分に係合する係合部をマスク保持部材
に設けたことを特徴とする。
【0014】また、第9の発明に係るX線マスクの保持
方法は、X線マスクをX線マスクフレームの表面上に載
置し、マスク保持部材によりX線マスクの側面でかつX
線マスクを保持する力の作用線がX線マスクのバックエ
ッチング部を通らない位置を保持することを特徴とす
る。さらに、第10の発明に係るX線マスクの保持方法
は、ランアウトによりX線マスク上のパタンが露光フィ
ールドが広がる方向にずれて転写される量を低減または
補正するのに適切なX線マスクの歪みを、X線マスクを
保持する力の作用線がX線マスクのバックエッチング部
を通らない位置を押えることにより生じさせ、露光時に
ランアウトに起因するパタンのずれ量が低減または補正
される状態でX線マスクを保持することを特徴とする。
【0015】X線マスクフレームはX線マスクを保持す
るマスク保持部材を備えている。X線マスクをX線マス
クフレームから外すと、X線マスクだけを洗浄すること
ができ、また洗浄終了後、再びX線マスクフレームに容
易に取付け直すことができる。マスク保持部材は、X線
マスクの側面で、X線マスクを保持する力の作用線がX
線マスクのバックエッチング部を通らない部位を保持し
ているので、X線マスクの露光フィールドは、四角形の
場合、大略四角形を保ったまま変形する。この変形量が
パタン転写時のランアウトによって露光フィールドが広
がる量と逆方向で略同じ量であれば、ランアウトを相殺
することができ、正規の露光フィールド寸法で製作した
X線マスク上のパタンを正規の露光フィールド寸法で被
露光基板上に転写することができる。
【0016】ばねによってマスク保持部材をX線マスク
に押し付けると、X線マスクの所定の位置にはばねの強
さで決まる一定のマスク保持力が加えられるため、X線
マスクをX線マスクフレームに取付けた状態におけるX
線マスクの歪みの量は一定で再現性があり、X線マスク
を押えるばねの強さを変えれば歪みの量を制御すること
が可能である。また、ばねの強さを適切に選べば、X線
マスクの歪みが許容値以下となるようにすることもでき
る。また、X線マスクには、X線マスクの面方向、言い
換えれば板厚方向と直交する方向の保持力しか加えない
ので、X線マスクをX線マスクフレームに取付けても、
平面度の劣化が生じない。
【0017】マスク保持部材の係止部は、X線マスクの
側面に設けられた段差部分に係合することで、X線マス
クの板厚方向の移動を規制しマスク保持部材から脱落す
るのを防止する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施の
形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係るX
線マスクフレームの一実施の形態を示す分解斜視図であ
り、図においてはX線マスクをX線マスクフレームに取
付けた状態を示している。X線マスク120は、図6に
示したように、シリコン等からなるマスク基板117の
表面にCVD法等によりX線透過薄膜118を形成し、
その上にX線吸収体金属パタン119またはX線を一部
吸収するとともにその位相を所定量変化させる位相シフ
タパタン、あるいはその両方を配置して構成されてい
る。マスク基板117は、裏面中央部がバックエッチン
グされ、このバックエッチング部126(図6参照)が
X線122によって照射されることにより、前記X線吸
収体金属パタン119と大略同じ形状のパタンが被露光
基板121上にレジストパタンとして転写される。バッ
クエッチング部126としては、本実施の形態において
は矩形に形成した場合を示し、このバックエッチング部
126を覆っている部分がX線透過部であるメンブレン
118aを形成している。
【0019】このようなX線マスク120が取付けられ
るX線マスクフレーム1は、所要の板厚を有する方形ま
たは矩形の板体からなるフレーム本体2と、このフレー
ム本体2の表面、すなわちX線マスク120が取付けら
れ被露光基板121と対向する面をX線マスク120が
露出した状態で覆う上下2つのカバー5,5を備え、フ
レーム本体2の内部に前記X線マスク120を着脱自在
に4点保持する同一形状からなる2つのマスク保持部材
6,6がX線マスク120を挟んで上下方向において対
向するように組み込まれている。
【0020】前記フレーム本体2は金属等で作製され、
表面側に前記各カバー5がそれぞれ着脱可能に嵌合され
る2つのカバー用凹部7が形成され、また各凹部7の底
面には前記マスク保持部材6を収容する凹部8がそれぞ
れ形成されている。凹部7,8の形状および深さは任意
である。フレーム本体2の表面でX線マスク120が設
置される中央部と、その周辺部との表面の高さ関係は任
意でよい。X線マスク120が設置される中央部分を高
い平面度で仕上げるには、当該部分を周辺部と同一平面
にするか周辺部より突出させた方がよい。しかし、X線
マスク120とフレーム本体2の合計厚さを小さくした
り、X線マスク120を載置する際の位置決めを容易に
するため、X線マスク120が設置される部分をその周
辺部より低い窪みとし、その中にX線マスク120をは
め込むようにしてもよい。
【0021】前記マスク保持部材6は、金属板の折り曲
げ加工等によって形成され、基部が板ばね9の中央部に
ばね押え10を介して複数個のねじ11により固定さ
れ、先端側にX線マスク120の側面を保持する左右2
つの保持部13,13が一体に設けられている。保持部
13によって保持されるX線マスク120の側面部分
は、マスク保持部材6のX線マスク120を保持する力
(マスク保持力)の作用線がX線マスク120のバック
エッチング部126を通らない箇所であることが好まし
い。すなわち、図2(b)に示すようにX線マスク12
0に対するマスク保持力Fの作用線またはその延長線が
X線マスク120のバックエッチング部126より外側
で、かつバックエッチング部126の中心Oを通る線1
5を挟んでその両側に略等距離はなれた位置、言い換え
れば前記線15に対して略対称な位置とされる。
【0022】前記保持部13は、X線マスク120側に
折り曲げられ、フレーム本体2の表面側に突出してい
る。保持部13の突出量は、X線マスク120の板厚よ
り小さく設定されている。X線マスク120は、シリコ
ン等の脆弱材料であるため、マスク保持部材6のフレー
ム本体2の表面側に突出する部分と前記保持部13のX
線マスク120と接触する接触面には、ゴム、スポン
ジ、高分子材料等からなるシート等の緩衝部材16を貼
り着ければなおよい。X線マスク120のハンドリング
やX線ステッパ、X線マスク欠陥検査装置、X線マスク
パタン寸法測定装置、X線マスクパタン位置測定装置等
におけるマスク搬送や装置動作時間中の微小な外乱振動
等によってX線マスク120がフレーム本体2から離脱
したり、ずれたりしないように配慮する。
【0023】前記板ばね9は、前記凹部8内に水平に配
置され、両端部が凹部8の壁面にばね押え17を介して
複数個のねじ18によりそれぞれ固定されることによ
り、前記マスク保持部材6をX線マスク120方向に付
勢している。このような板ばね9に取付けられたマスク
保持部材6は、板ばね9の面と直交する上下方向にのみ
移動自在とされ、フレーム本体2の前後、左右方向に対
しては前記カバー5および凹部8によって規制されてい
る。
【0024】ただし、マスク保持部材6を平行板ばねに
よって保持するなどして確実に案内するようにすれば、
必ずしもカバー5と凹部8によって前後、左右方向の移
動を規制する必要はない。逆に、マスク保持部材6がカ
バー5や凹部8によって案内されるようにしておけば、
板ばね9はマスク保持部材6を単にX線マスク120方
向に付勢するだけでよい。その場合は、板ばね9の代わ
りにコイルばね等を用いてもよい。要するに、マスク保
持部材6の案内方法やX線マスク120を保持するため
のマスク保持力Fを加えるばねの種類、個数は任意であ
る。なお、フレーム本体2にカバー5を取付ける方法
は、嵌合に限らず、接着、ねじ止め等によって取付けて
もよい。また、X線マスクフレーム1を構成する各部品
の材料も任意でよいことは言う迄もない。また、カバー
5はフレーム本体2に対して開閉自在に取付けられるも
のであってもよい。
【0025】本実施の形態においては、図1に示すよう
にマスク保持部材6や板ばね9をX線マスク120を挟
んで上下方向に対向するように設けたが、左右方向に対
向させて配置してもよい。また、必ずしもそのようにし
なくてもよい。例えば、一方のマスク保持部材6をフレ
ーム本体2に固定し、他方のマスク保持部材6のみを板
ばね9に取付け、この他方のマスク保持部材をX線マス
ク120に押し付けるようにしてもよい。その場合、固
定側のマスク保持部材は必ずしも可動側のマスク保持部
材6と同じものを用いる必要はなく、フレーム本体2に
一体に突設した突起などを固定保持部としたり、適宜な
形状の固定保持部材を設ければよい。
【0026】図2はX線マスクを保持する場所とメンブ
レンの歪み方との関係を示す図で、(a)はX線マスク
120を保持するマスク保持力Fの作用線またはその延
長線がX線マスク120のバックエッチング部126を
通る中央部を2点保持した場合、(b)は図1に示した
X線マスクフレーム1によりバックエッチング部126
より外側で、かつバックエッチング部126の中心Oを
通る線15を挟んでその両側に略等距離はなれた位置を
4点保持した場合である。(a)図に示す保持状態にお
いては、マスク保持力Fがバックエッチング部126の
中央を通るため、X線透過薄膜118のメンブレン11
8aは、誇張して示すと破線30で示すように糸巻形に
変形する。メンブレン118aがこのような糸巻形に変
形すると、変形が一様でないため、後述するランアウト
の補正に利用しづらくなる。
【0027】これに対し、図2(b)においては、X線
マスク120をバックエッチング部126より外側にお
いて保持しているので、マスク保持力FがX線マスク1
20に加わると、X線透過薄膜118のメンブレン11
8aは、誇張して示すと破線31で示すように略四角形
の形状を保ったままマスク保持力Fの作用方向に圧縮変
形する。この場合には、保持によるX線マスク120の
変形を転写時のランアウトと相殺し、ランアウトによる
転写位置誤差を効果的に補正することが可能である。
【0028】X線マスク120上のパタンを被露光基板
上に転写する場合、一般にX線源の発光点の大きさは露
光フィールドの大きさより小さいので、X線122が自
然に発散するのを利用したり、反射鏡等でX線束を拡げ
たり、1方向または直交する2方向にX線を走査したり
して露光フィールドの全域にX線122を照射してい
る。そのため、X線マスク120には外側に広がるX線
122が照射され、X線マスク120上のパタンフィー
ルドがX線120の照射角に応じて被露光基板上に広が
って転写される。これを「ランアウト現象」と呼んでい
る。
【0029】大規模集積回路や光素子のパタン形成等に
X線リソグラフィを適用する場合、素子構造を作るには
被露光基板上に順次パタン形成を繰り返して行く必要が
あり、最初の層のパタン形成以外では、既に被露光基板
上に作り込まれた既形成パタン上に正確に重ねて新しい
層のパタンを転写しなければならない。上記のランアウ
ト現象によるランアウト量が大きい場合、全部の層を同
じX線リソグラフィにより形成すればよいが、大きいパ
タンしかない層をコストの安い光リソグラフィを用いて
パタン形成したり、微細な穴パタンを電子ビーム描画を
用いて形成したりする等他のリソグラフィ手段が混在す
ると、既形成パタン上に必要な精度で正確に重ねて新た
なパタンを転写することができなくなる。X線リソグラ
フィ技術以外のリソグラフィ手段を用いる場合にはラン
アウトを生じないので、露光フィールドの大きさが異な
ってしまうためである。
【0030】本発明のX線マスクフレーム1を利用する
と、このランアウト現象によりパタンフィールドが広が
って被露光基板上に転写される量を低減または補正する
ことができる。すなわち、上記したようにX線マスク1
20をマスクが内側に縮む方向に押え付けてX線マスク
フレーム1上に保持しているので、X線マスク120の
歪みは上記ランアウト現象と逆の方向に生じる。したが
って、保持によるX線マスク120の歪みを利用してラ
ンアウトを低減することができ、保持による歪み量がラ
ンアウト量と逆方向に同量になるようにすれば、完全に
補正することもできる。
【0031】図1において、X線マスク120を本発明
のX線マスクフレーム1に取付けるには、マスク保持部
材6を板ばね9に抗して後退させた状態でX線マスク1
20をフレーム本体2上に設置する。この作業を容易に
行うためには、マスク保持部材6を後退させた位置に係
止できるようにした方がよい。
【0032】図3はマスク保持部材をX線マスクから後
退した待機位置に係止する機構を備えた本発明の他の実
施の形態を示す正面図で、図の上半分は図1に示したカ
バー5を取り外した状態、下半分はカバー5を取付けた
状態を示す。なお、図中図1に示した構成部材等と同一
のものについては同一符号をもって示し、その説明を適
宜省略する。図1においては図示を省略したが、フレー
ム本体2の表面でX線マスクが設置される中央部には、
露光用X線によるX線マスクの照射を可能にする矩形の
開口40が形成されている。図においては、大略四角形
としたが、円形、長方形等任意の形状の開口であっても
よい。
【0033】フレーム本体2の表面を覆うカバー5に
は、それぞれ上下、左右方向に長い長穴51,52が2
つずつ形成され、縦方向に長い長穴51にマスク保持部
材6に突設された突子53が摺動自在に嵌挿されてい
る。一方、横方向に長い長穴52には、前記マスク保持
部材6をX線マスクから後退させた位置、すなわち待機
位置に係止するストッパ54が摺動自在に嵌挿されてい
る。
【0034】フレーム本体2の表面に形成された各凹部
7の底面には、マスク保持部材6を収容する凹部8に加
えて2つの凹部55,55がマスク保持部材6を挾んで
対向するように、かつ凹部8に連通するようにそれぞれ
形成され、これらの凹部55内に前記ストッパ54と、
このストッパ54をマスク保持部材6に押し付ける圧縮
コイルばね57が収納されている。ストッパ54は、通
常マスク保持部材6の外側面に圧接され、マスク保持部
材6がX線マスクから後退されると、圧縮コイルばね5
7の力によりマスク保持部材6の外側面に設けられた凹
部58に係入され、これによりマスク保持部材6をX線
マスクから後退した待機位置に係止する機構を構成して
いる。マスク保持部材6の係止状態を解除するには、ス
トッパ54を長穴52に沿って圧縮コイルばね57に抗
して移動させ、凹部58との係合状態を解除すればよ
い。ストッパ54の凹部58に係合する部位の形状を適
切な半径の円弧面または球面あるいは面取りを施した滑
らかな形状としておき、この部分が圧縮コイルばね57
のばね力でマスク保持部材6の凹部58に係入するよう
にしておけば、ストッパ54を動かさなくてもマスク保
持部材6をX線マスクを保持する方向に押すことにより
ストッパ54と凹部58の係合を解除することができ、
X線マスクの保持位置に速やかに復帰させることができ
る。
【0035】図3においては、マスク保持部材6の外側
面に凹部58を設けた例を示したが、凹部58を設ける
位置は任意である。例えば、マスク保持部材6の内側面
でもよい。その場合は、ストッパ54と圧縮コイルばね
57を凹部58に対応するように設ければよい。また、
フレーム本体2に設けた凹部8の底面にストッパ54と
圧縮コイルばね57を収容する凹部を形成し、マスク保
持部材の裏側面に凹部58を設けることも可能である。
凹部55,58等の形状は、図に示す矩形のほかV溝、
U溝等の形状であってもよく、また凹部ではなく穴やス
リット等であってもよい。ストッパ54やばね57の種
類、形状等も任意である。また、ばね57がストッパ5
4を兼ねるものであってもよい。例えば、フレーム本体
2やカバー5等に取付けた板ばねの一部が凹部58に引
っ掛かってマスク保持部材6を所定の位置に保持するよ
うにしてもよい。
【0036】上記とは逆に、フレーム本体2やカバー5
に凹部、穴もしくはスリットを設け、これに係入するス
トッパをマスク保持部材6側に設けるようにしてもよ
い。
【0037】図4は本発明のさらに他の実施の形態を示
すカバーを取り除いた状態の正面図である。図1および
図3に示した実施の形態では、2つのマスク保持部材6
によりX線マスク120を上下方向から押圧し4点保持
した例を示したが、本実施の形態においては、4つのマ
スク保持部材6を用いてX線マスクを直交する2方向、
すなわち垂直および水平方向から押圧し、8点で保持す
るようにしている。
【0038】フレーム本体2の中央には円形の開口40
が形成され、また表面側にはこの開口40の全周を取り
囲み4つ全てのマスク保持部材6を収容する1つの凹部
70が形成されている。開口40としては、円形に限ら
ず四角形、長方形等任意の形状でよいことは図3に示し
た実施の形態と同様である。フレーム本体2の表面で開
口40と凹部70との間に設けられた円環部72は、凹
部70より突出し、その表面がX線マスクの設置面を形
成している。なお、フレーム本体2の表面とX線マスク
が設置される設置面の高さ関係は任意でよい。フレーム
本体2の四隅部は、板ばね9をばね押え17等で支持す
るとともに、マスク保持部材6の案内となっている。ま
た、凹部70の各内壁に2つずつ突設された合計8つの
凸部74は、図示していないカバーをフレーム本体2に
ねじ止めするための固定部として用いられる。この凸部
74の突出形状は任意であり、フレーム本体2に対する
カバーの取付け方によっては不要である。カバーの数は
任意であり、1つであってもよい。
【0039】各マスク保持部材6は2つの保持部13を
一体に備え、上記した実施の形態と同様に両端部が固定
された板ばね9の中央部に固定され、そのばね力によっ
てX線マスクを保持する。各マスク保持部材6の保持部
13は、図2(b)に示したようにX線マスクを保持す
るマスク保持力Fの作用線またはその延長線がX線マス
クのバックエッチング部より外側で、かつバックエッチ
ング部の中心を通る線を挟んでその両側に略等距離はな
れた位置とされる。
【0040】また、図示を省略したが、各マスク保持部
材6を後退した待機位置に係止するストッパを図3に示
した実施の形態と同様に設けた方が便利である。また、
4つのマスク保持部材6のうち水平、垂直方向のマスク
保持部材の各1つを板ばね9に固定し、残りのマスク保
持部材をフレーム本体2やカバーに設けられた保持固定
部または固定保持部材としてもよい。
【0041】固定側には必ずしもマスク保持部材6と同
じものを用いる必要はなく、被露光基板を支える任意の
形状の固定保持部または固定部材を設ければよい。その
場合、X線マスクの取付けには固定側にX線マスクを当
て、反対側のマスク保持部材をX線マスクに押し付けれ
ばよい。
【0042】図5は本発明のさらに他の実施の形態を示
す断面図である。この実施の形態においては、X線マス
ク120の周面に段差部80を略全周もしくは一部のみ
に部分的に設け、この段差部80に係合しX線マスク1
20の板厚方向の移動を規制する係合部81をマスク保
持部材6に設けている。この係合部81は、保持部を兼
用する。
【0043】X線マスク120の側面、すなわち周囲を
なす面は円筒面や平面等の段差の存在しない面であるこ
とが多いので、図1、図3、図4に示した実施の形態の
ように側面を保持する場合、X線マスク120はその厚
さ方向に対しては、マスク保持部材6の端面とX線マス
ク120の側面との摩擦力だけで支えられる。したがっ
て、X線マスク120に板厚方向の何らかの力が加わる
とX線マスク120がX線マスクフレーム1から外れて
しまう懸念がある。しかし、図5に示すように、X線マ
スク120の側面に段差部80を設け、マスク保持部材
6に段差部80に係合する係合部81を設ければ、X線
マスク120に板厚方向の力が加わってもX線マスク1
20がX線マスクフレーム1から外れることがない。そ
の他の構成は図1、図3または図4に示した実施の形態
と同様である。
【0044】図1、図3、図4および図5に示した実施
の形態では、フレーム本体2の形状を四角形としたが、
これに限らず円形、長方形など任意の形状でよく、図4
に示したように面取り83部を設けたり、X線マスク1
20の方向を容易に識別するためのカット部84や切り
欠き等を設けてもよい。図5においてもフレーム本体2
の形状は任意である。
【0045】また、本発明を適用する対象のX線マスク
120の外形形状、寸法等も任意である。図1、図3、
図4の実施の形態で想定した円形のX線マスクまたはそ
れにオリエンテーションフラットが設けられたX線マス
クのほか四角形のX線マスク等にも適用できる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係るX線マ
スクフレームによれば、フレーム本体に設けられX線マ
スクの側面をX線マスクの板厚と直交する方向から保持
するマスク保持部材を備え、このマスク保持部材による
マスク保持力の作用線がX線マスクのバックエッチング
部を通らないようにしたので、X線マスクをX線マスク
フレームに対して簡便に脱着でき、接着剤で接着する必
要がない。したがって、X線マスクフレームへの着脱の
工数を考えずにX線マスクを洗浄できる。また、X線マ
スクフレームに取付けた状態の外形形状をX線マスクフ
レームにX線マスクを接着した場合とほとんど同じにで
きるので、X線露光は勿論、X線マスクの欠陥検査やX
線マスク上のパタンの寸法測定、位置測定等も従来の装
置を用いてX線マスクフレームに接着したX線マスクの
場合と同様にできる。さらに、前記の各種装置のうちX
線マスクを水平に保持する装置にX線マスクを装着した
場合には、X線マスクの振動や.取付け時に生じるX線
マスクの傾斜角を、1点接着の場合よりかなり小さくで
きる。
【0047】また、本発明は、マスク保持部材をばねに
よって保持し、X線マスク方向に付勢したので、X線マ
スクを略一定のマスク保持力で保持することができる。
【0048】また、本発明は、マスク保持部材をX線マ
スクから後退した待機位置に係止する機構を備えている
ので、X線マスクの脱着作業が容易である。
【0049】また、本発明は、フレーム本体に凹部を設
け、この凹部内にマスク保持部材と、このマスク保持部
材を保持するばねと、マスク保持部材を待機位置に係止
する機構とを収容したので、フレーム本体を薄形化する
ことができる。
【0050】また、本発明は、X線マスクの側面に設け
られた段差部分に係合する係合部をマスク保持部材に設
けたので、X線マスクの板厚方向の移動を規制すること
ができる。
【0051】また、本発明において、マスクの保管時
は、X線マスクフレームでX線マスクを保持したまま従
来の保管ケースに保管することができるほか、X線マス
クを取り外してX線マスクだけを保管することもでき
る。X線マスクフレームに取付けたままX線マスクを保
管すると、すぐに使用できる反面、X線マスクフレーム
の分だけ保管スペースが余分に必要となる。また、X線
マスクの枚数分だけX線マスクフレームが必要となる。
本発明のX線マスクフレームを使用すれば、当面使用す
る予定のあるX線マスクはX線マスクフレームに取付け
たまま保管し、当面使用予定のないX線マスクはX線マ
スクだけで保管する等、任意に保管方法を工夫できる。
また、X線マスクの着脱が簡便であるから、すべてX線
マスクだけで保管することもできる。したがって、X線
マスクフレームの節約による経費低減、X線マスクの保
管スペースの節減等の効果も見込める。
【0052】さらに、本発明によれば、X線取出窓とX
線マスクの裏面との間をヘリウムで置換した大気中での
露光装置に用いる場合の、X線マスクとX線マスクフレ
ームとの間からのヘリウムの漏れを低減することができ
る。X線マスクフレームにX線マスクを従来のように高
々数点以下で接着した場合、置換するためのヘリウムが
X線マスクとX線マスクフレームとの接着間隙から漏れ
る。しかし、本発明では、X線マスクをX線マスクフレ
ーム上に載置し、X線マスクの側面をマスク保持部材に
よって保持し、X線マスクとX線マスクフレームとの間
に意図的な隙間を設けていないので、ヘリウムの漏れ流
路となる隙間が従来より狭くなる。したがって、ヘリウ
ム消費量の低減やヘリウム置換に必要な時間を短縮する
ことができる。
【0053】また、本発明に係るX線マスクフレームお
よびX線マスクの保持方法によれば、ランアウト現象に
よりパタンフィールドが広がって被露光基板上に転写さ
れる量を低減または補正することができる。すなわち、
X線マスクをマスクが内側に縮む方向に押え付けてX線
マスクフレーム上に保持するので、X線マスクの歪みは
上記ランアウト現象と逆の方向に生じる。したがって、
保持によるX線マスクの歪みを利用してランアウトを低
減することができ、保持による歪み量がランアウト量と
逆方向に同量になるようにすれば、完全に補正すること
もできる。
【0054】シンクロトロン放射光X線を用いる場合に
は、一般にX線は略水平な方向に取り出され、ビーム形
状が水平方向に長く鉛直方向に短い形状となる。そのた
め、ミラー等を用いてX線束を鉛直方向に拡大したり、
X線束を鉛直方向に走査したりして所要の露光フィール
ドの大きさを確保している。このような場合には、前記
ランアウトは鉛直方向にのみ大きく生じる。したがっ
て、本発明のX線マスクフレームにおいて、先の図1に
示したようにX線マスクを1方向のみの力で保持し、保
持方向を鉛直方向とすれば、保持によるマスク基板の鉛
直方向の微小歪みによってランアウトを補正し、X線マ
スク上のパタンを本来の露光フィールド寸法をもって被
露光基板上に転写できる。
【0055】一方、プラズマX線源や露子線励起型X線
源を用いる場合には、一般にビーム形状や射出角分布は
略射出軸に対して対称となる。したがって、ランアウト
も露光フィールド内で縦横に略同量生じる。このよう
に、ランアウトが露光フィールド内で略軸対称に生ずる
場合には、本発明のX線マスクフレームにおいて、先の
図4に示したようにX線マスクを直交する2方向の力で
保持し、保持によって生ずる微小歪みが直交する2方向
で略同じに生ずるようにすれば、ランアウトを的確に相
殺し、X線マスク上のパタンを本来の露光フィールド寸
法をもって被露光基板上に転写できる。
【0056】上記のようにX線マスク上のパタンを本来
の露光フィールド寸法をもって被露光基板上に転写でき
るようにすれば、光リソグラフィや電子ビーム描画等で
形成したパタンとも露光フィールド内の全域で精度良く
重ね合わせを行うことができる。
【0057】上記の説明では、他のリソグラフィ手段を
用いてパタン形成した層上にX線リソグラフィで形成す
るパタンを重ね合わせる場合について述べたが、逆に、
先にX線リソグラフィでパタン形成した層上に他のリソ
グラフィ手段によるパタンを重ね合わせる場合にも、本
発明のX線マスクフレームを利用してランアウトを低減
または補正しておけば、重ね合わせ精度を向上できるこ
とは言う迄もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るX線マスクフレームの一実施の
形態を示すX線マスクを取付けた状態の分解斜視図であ
る。
【図2】 X線マスクを保持する場所とメンブレンの歪
み方との関係を示す図で、(a)はX線マスクを保持す
るマスク保持力の作用線またはその延長線がX線マスク
バックエッチング部を通る中央部を2点保持した場合、
(b)は図1に示したX線マスクフレームによりバック
エッチング部より外側で、かつバックエッチング部の中
心を通る線を挟んでその両側に略等距離はなれた位置を
4点保持した場合である。
【図3】 本発明の他の実施の形態を示す正面図であ
る。
【図4】 本発明のさらに他の実施の形態を示すカバー
を取り除いた正面図である。
【図5】 本発明のさらに他の実施の形態を示す断面図
である。
【図6】 X線リソグラフィの原理を示す構成図であ
る。
【符号の説明】
1…X線マスクフレーム、2…フレーム本体、5…カバ
ー、6…マスク保持部材、7,8…凹部、9…板ばね、
13…保持部、54…ストッパ、57…圧縮コイルば
ね、58…凹部、80…段差部、81…係合部、118
…X線透過薄膜、119…X線吸収体金属、120…マ
スク基板、123…被露光基板、125…接着剤、F…
マスク保持力。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フレーム本体に設けられX線マスクの側
    面をX線マスクの板厚と直交する方向から保持するマス
    ク保持部材を備え、このマスク保持部材によるマスク保
    持力の作用線がX線マスクのバックエッチング部を通ら
    ないことを特徴とするX線マスクフレーム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のX線マスクフレームにお
    いて、 X線マスクに対するマスク保持力の作用点がバックエッ
    チング部より外側で、かつバックエッチング部の中心を
    通る線に対して略対称な位置であることを特徴とするX
    線マスクフレーム。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のX線マスクフレ
    ームにおいて、 マスク保持部材がX線マスクを挟んで対向するよう少な
    くとも2つ設けられていることを特徴とするX線マスク
    フレーム。
  4. 【請求項4】 請求項1,2または3記載のX線マスク
    フレームにおいて、 マスク保持部材がX線マスクに対して接近離間する方向
    に移動自在に設けられ、前記X線マスクを挾んで前記マ
    スク保持部材と対向する他のマスク保持部材がフレーム
    本体に設けられた固定保持部または固定保持部材である
    ことを特徴とするX線マスクフレーム。
  5. 【請求項5】 請求項1,2,3または4記載のX線マ
    スクフレームにおいて、 マスク保持部材をばねによって保持し、X線マスク方向
    に付勢したことを特徴とするX線マスクフレーム。
  6. 【請求項6】 請求項1,2,3,4または5記載のX
    線マスクフレームにおいて、 マスク保持部材をX線マスクから後退した待機位置に係
    止する機構を備えたことを特徴とするX線マスクフレー
    ム。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のX線マスクフレームにお
    いて、 フレーム本体に凹部を設け、この凹部内にマスク保持部
    材と、このマスク保持部材を保持するばねと、マスク保
    持部材を待機位置に係止する機構とを収容したことを特
    徴とするX線マスクフレーム。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のうちのいずれか1つに記
    載のX線マスクフレームにおいて、 X線マスクの側面に設けられた段差部分に係合する係合
    部をマスク保持部材に設けたことを特徴とするX線マス
    クフレーム。
  9. 【請求項9】 X線マスクをX線マスクフレームの表面
    上に載置し、マスク保持部材によりX線マスクの側面で
    かつX線マスクを保持する力の作用線がX線マスクのバ
    ックエッチング部を通らない位置を保持することを特徴
    とするX線マスクの保持方法。
  10. 【請求項10】 ランアウトによりX線マスク上のパタ
    ンが露光フィールドが広がる方向にずれて転写される量
    を低減または補正するのに適切なX線マスクの歪みを、
    X線マスクを保持する力の作用線がX線マスクのバック
    エッチング部を通らない位置を押えることにより生じさ
    せ、露光時にランアウトに起因するパタンのずれ量が低
    減または補正される状態でX線マスクを保持することを
    特徴とするX線マスクの保持方法。
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