JPH10195445A - 液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子

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JPH10195445A
JPH10195445A JP71897A JP71897A JPH10195445A JP H10195445 A JPH10195445 A JP H10195445A JP 71897 A JP71897 A JP 71897A JP 71897 A JP71897 A JP 71897A JP H10195445 A JPH10195445 A JP H10195445A
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JP
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liquid crystal
crystal display
compound
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display element
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JP71897A
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Inventor
Noriko Nishimura
紀子 西村
Masao Yamamoto
雅夫 山本
Tsuyoshi Kamimura
強 上村
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】広温度範囲で、光学ヒステリシスを良好にす
る。 【解決手段】高分子分散型の液晶表示素子において、分
子長軸に対する側方位置に極性基を有しかつ液晶に対し
て溶解性を有する化合物C1〜3を、液晶に添加すること
で、化合物C1〜3の極性基が液晶と樹脂5との間の界面
に吸着して、樹脂界面6aにおる液晶のチルト角を低く
させた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、高輝度、高コント
ラストなディスプレイに用いられる高分子分散型液晶表
示素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、薄型で軽量、かつ低消
費電力を特徴とするディスプレイであり、ワープロやテ
レビの表示画面として広く用いられている。液晶表示装
置のなかでも、液晶パネルに背面からバックライトを投
射し、光学システムを通してスクリーン上に画像を映し
出す投写型液晶表示装置は、容易に大画面の画像が得ら
れるディスプレイとして近年開発が進んでいる。
【0003】投写型液晶表示装置に用いられる液晶表示
素子として、従来から、透明電極を有するガラス基板の
間に、樹脂(高分子化合物)と液晶とを非相溶状態に分
散させてなる高分子分散型の液晶表示素子がある。高分
子分散型の液晶表示素子は、表示モードとして、散乱モ
ードを用いているために、偏光板が不要で高輝度の表示
が容易に得られるという特徴がある(S.Shikama et.al,
Society for information Display'95,Page 231-234参
照)。このため、高分子分散型の液晶表示素子を用いた
投写型液晶表示装置は、室内灯のもとでも、明るく、か
つコントラストの高い画像を見ることができるという特
徴がある。
【0004】高分子分散型の液晶表示素子には、上記の
ような利点がある反面、光学ヒステリシスが大きいとい
う不都合がある。光学ヒステリシスは、印加電圧に対す
る光の透過率の変化(透過率−印加電圧曲線)におい
て、印加電圧を増加させていった場合と、減少させてい
った場合とでは、同じ軌跡を辿らないことを示してい
る。光学ヒステリシスの大きい表示素子は、表示の焼き
付け等を起こし、表示形態としては非常に都合の悪いも
のとなる。
【0005】高分子分散型の液晶表示素子において光学
ヒステリシスが生じる要因の一つとして、次のようなこ
とがいわれている。すなわち、高分子分散型の液晶表示
素子を構成する液晶は、その配向規制力が弱いことに起
因して、印加電圧を取り除いて液晶を初期状態に戻そう
としても、向きの揃わない無秩序部分や欠陥がその配列
に生じやすい。液晶配列の無秩序状態や配列の欠陥は光
学ヒステリシスが生じる最も大きな原因の一つであるた
め、液晶配列の無秩序状態や配列の欠陥が生じやすい高
分子分散型の液晶表示素子は、構造的に光学ヒステリシ
スが発生しやすかった。
【0006】そこで、従来から、高分子分散型の液晶表
示素子においては、光学ヒステリシスを低下させるため
に、例えば、液晶にカイラル化合物を添加することで液
晶に螺旋ピッチを持たせ、これによって液晶の配向規制
力を増加させて光学ヒステリシスを低下させていた(特
開平5−100213号参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようにして光学ヒステリシスの低下を図った従来の高分
子分散型の液晶表示素子においても、まだ十分に光学ヒ
ステリシスを低下させることができないうえに、応答時
間が遅いという課題があった。以下、その理由を説明す
る。
【0008】一般に、高分子分散型の液晶表示素子の液
晶の配向は、室温以上の高温状態では、配向の極を2つ
有するバイポーラ配向状態となる一方、室温以下の低温
状態では界面に対し液晶が垂直配向となるラジアル配向
となることが知られている(Sov.Phys.JETP 58(6),1983
ないしLiquid Crystal Dispersions P.S.Drzaic著、Wor
ld Scientific 1996参照)。図7(a)には一般的なバ
イポーラ配向状態を示し、図7(b)には、一般的なラ
ジアル配向の模式図を示した。これらの図において、符
号50は樹脂であり、51は樹脂50内に形成された液
晶滴であり、51aは液晶滴51の配向方向であり、5
1bは液晶滴51の配向の極であり、52は液晶滴51
と樹脂滴50との間の界面である。なお、樹脂50内の
液晶分子は界面52を含めて、弾性エネルギーが最小値
を取る形に配向し、これによって一定の配向方向51a
が形成される。
【0009】図7(b)に示すように、配向の極51b
が液晶滴51の内部に一つだけ生じるラジアル配向状態
では、配向方向51aは配向の極51bから放射線状に
延び界面52に対してほぼ垂直配向となる。そのため、
ラジアル配向状態では、界面52における配向は、界面
52の規制を受けにくくなる。高分子分散型の液晶表示
素子では、液晶の配向方向51aは界面52における液
晶の配向に強く依存することが知られており、界面52
における配向が界面52の規制を受けにくいラジアル状
態では、配向の極51bが液晶滴51内において動きや
すくなる。
【0010】配向の極51bが動きやすくなると、液晶
表示素子に対する印加電圧を増加させた際の電圧と、印
加電圧を減少させた際の電圧とでは、同じ印加電圧を印
加した状態であっても、配向の極51bの位置が異なり
やすくなり、これによって光学ヒステリシスが増大す
る。
【0011】一方、図7(a)に示すように、配向の極
51bが液晶滴50の両端それぞれに計二つ生じるバイ
ポーラ配向状態の液晶滴50では、配向方向51aが界
面52に対してほぼ水平配向となり、界面52の規制を
受けやすい。そのため、バイポーラ配向状態では、配向
の極51bは液晶滴51内において移動しにくくなって
安定し、これにより光学ヒステリシスが低減する。
【0012】以上のことにより、光学ヒステリシスを良
好に保持するためには、バイポーラ配向状態を安定的に
維持できれはよいことがわかる。
【0013】液晶滴51がバイポーラ配向状態を維持す
るうえでは、界面52でのチルト角は低いほど良い。こ
れは、チルト角が低いほどバイポーラ配向がエネルギー
的に安定であることと、チルト角が低いほどバイポーラ
配向とラジアル配向のエネルギー差が大きく、これによ
って配向転移温度が低くなるためだと考えられる。
【0014】一般に、他の液晶表示素子では、液晶界面
に対してラビング処理等を施すことにより、液晶界面で
の液晶分子の配向を規制しているが、樹脂50内で液晶
滴51を分散配置している高分子分散型液晶表示素子で
は、各液晶滴51の界面52に対してラビング処理する
ことは構造上不可能であり、そのために、液晶分子の配
向を規制して、バイポーラ配向状態を安定的に維持する
ことが困難となっていた。このことは、単に、液晶にカ
イラル化合物を添加しただけでは解消できないのは明ら
かであり、このことが液晶にカイラル化合物を添加した
従来の改良においても、十分に光学ヒステリシスを低下
させることができない理由となっていた。
【0015】なお、高分子分散型の液晶表示素子によっ
ては、樹脂50中に分散配置する液晶滴51の数を増や
し、隣接する液晶滴どうしを連通させて構成したもの
や、網の目状に形成した樹脂を液晶内に配置して構成し
たものがある。このような液晶表示素子においては、構
造的に液晶滴が形成されない(液晶滴が互いに接してい
る)ため、厳密にいえば、バイポーラ配向やラジアル配
向といった配向状態を形成しない。しかしながら、これ
らの構造の高分子分散型の液晶表示素子においてもバイ
ポーラ型の配向やラジアル型の配向に準じる配向が形成
され、しかも、これに配向状態が温度によって上述した
のと同様の配向転移するため、上述したのと同様の理由
により、光学ヒステリシスが生じる。
【0016】また、界面52でのチルト角を低くできな
い従来の高分子分散型の液晶表示素子では、界面52に
おける配向の秩序を良好に維持することができず、その
ために応答時間が遅くなっていた。応答時間は動画表示
時の性能に大きな影響を与える要因であり、応答時間が
遅くなる従来の高分子分散型の液晶表示素子では、動画
表示に支障を来すことになり、その改善が求められてい
た。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明は、電極の間に樹脂および液晶が充填さ
れ、かつ、前記液晶を前記樹脂内に液滴状ないし液滴が
連続的に繋がった形状に配置する、もしくは網の目に形
成した前記樹脂を前記液晶中に配置してなる液晶表示素
子において、分子長軸に対する側方位置に極性基を有し
かつ前記液晶に対して溶解性を有する化合物を、前記液
晶に添加している。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、電極の間に樹脂および液晶が充填され、かつ、前記
液晶が前記樹脂内に液滴状ないし液敵が連続的に繋がっ
た形状に配置される、もしくは網の目に形成した前記樹
脂を前記液晶中に配置してなる液晶表示素子において、
分子長軸に対する側方位置に極性基を有しかつ前記液晶
に対して溶解性を有する化合物を、前記液晶に添加した
ことに特徴を有しており、これにより次のような作用を
有する。すなわち、分子長軸に対して側方に極性基を有
する化合物を液晶に添加することにより、極性基が液晶
と樹脂との間の界面に吸着し、樹脂界面におる液晶のチ
ルト角を低く抑えることができるようになる。
【0019】本発明の請求項2に記載の発明は、請求項
1に係る液晶表示素子において、前記化合物をカイラル
化合物にしており、これにより次のような作用を有す
る。すなわち、液晶に捻れ力を付与して螺旋ピッチをも
たせることにより、液晶が秩序ある配列に再配列しやす
くなるうえ、液晶分子の立ち下がり時間も短縮される。
【0020】本発明の請求項3に記載の発明は、請求項
2記載の液晶表示素子において、カイラル化合物からな
る化合物が添加された液晶の螺旋ピッチを10μmから
500μmにしたことに特徴を有しており、これにより
次のような作用を有する。すなわち、螺旋ピッチが10
μm以下であると、捻れ力が強すぎて駆動電圧が非常に
高くなってしまう。また500μm以上になると、捻れ
力が弱くなることと、カイラル化合物の添加量が非常に
微量となるため光学ヒステリシスの低減の効果がみられ
なくなる。
【0021】本発明の請求項4に記載の発明は、請求項
1に係る液晶表示素子において、前記化合物は、右旋性
のカイラル化合物と左旋性のカイラル化合物とを等量混
合したラセミ体であることに特徴を有しており、これに
より次のような作用を有する。
【0022】すなわち、化合物がカイラル化合物のラセ
ミ体であるので、液晶に対して溶解性を有する化合物を
容易に構成することができるうえ、化合物の添加量を増
加しても螺旋ピッチを持たないため駆動電圧の上昇が起
こらない。
【0023】本発明の請求項5に記載の発明は、請求項
1ないし4のいずれかに係る液晶表示素子において、前
記極性基は、水酸基、フェニル基、ないしフッ素である
ことに特徴を有しており、これにより次のような作用を
有する。すなわち、分子長軸に対する側方位置に極性基
を有する化合物を容易に構成することができる。
【0024】以下、本発明の実施の形態について図面に
基づいて説明する。
【0025】実施の形態1 図1は本発明の実施の形態1に係わる液晶表示素子11
を示している。
【0026】この液晶表示素子11は、ガラス基板等か
らなる一対の透明基板4,4を有している。これら透明
基板4,4は、画素電極ないしは対向電極となる透明電
極2と配向膜3とが形成されている。透明基板4,4
は、透明電極2を向かい合わせて対向配置されており、
透明基板4,4の間には、高分子化合物からなる樹脂5
と液晶滴6とが分散配置されて構成されている。液晶滴
6は樹脂5内に島状に存在した構造となっている。液晶
滴6を構成する液晶組成物71は、液晶にカイラル化合
物からなり分子長軸に対する側方位置に極性基を有し、
かつ液晶に対して溶解性を有する化合物C1が添加され
ている。さらには、液晶組成物71を構成する液晶は、
その螺旋ピッチが10μmから500μmの範囲に設定
されており、具体的には、15μmの螺旋ピッチを有し
ている。
【0027】なお、液晶表示素子11を構成する透明基
板4は、通常、TFTトランジスタのアクティブマトリ
クス構造を有しているが、図1では、特徴となる部分の
理解を高めるためにマトリクス構造(ソースライン,ゲ
ートライン等)に付いては図示省略している。また、液
晶滴6それぞれは互いに分離した構成となっているが、
液晶滴6の端部が互いに連通して構成されてもよいし、
網の目状に樹脂5を形成し、この樹脂5を液晶組成物7
1内に配置して構成としてもよいのはいうまでもない。
【0028】次に、この高分子分散型の液晶表示素子1
1の製造方法を説明する。
【0029】まず、重合性モノマー(2エチルヘキシル
アクリレート) 89重量%と、オリゴマー(ビスコー
ト828(商品名):大阪有機化学工業製) 9重量%
と、重合開始剤(ベンジルメチルケタール:日本化薬
製) 1重量%とを混合して第1混合物Aを作成する。
そして、この第1混合物A 20重量%と、液晶TL2
05(商品名:メルク社製) 80重量%とを混合して
第2混合物Bを作成する。
【0030】さらに、この第2混合物Bに次の式1にそ
の構造式が示される右旋性カイラル化合物R1011
(メルク社製)からなる化合物C1を添加し、液晶・樹
脂混合材料D1を作成する。化合物C1(R1011)
は、液晶に対して溶解性を有しており、かつ、その構造
式に示されるように、分子長軸に対して側方位置に極性
基(フェニル基)が配置されており、このような位置に
極性基(フェニル基)を有する化合物C1を第2混合物
Bに添加して液晶・樹脂混合材料D1を構成したことが
実施の形態1の製法上の特徴である。
【0031】
【化1】
【0032】次に、透明基板4,4に、真空蒸着とエッ
チングの手法を用いて、画素電極や対向電極等となる透
明電極2を作成する。さらに、透明電極2上に配向膜3
を印刷法を用いて形成した後、オーブンで配向膜3を硬
化する。配向膜3としては、例えば、オプトマーAL8
534(商品名:日本合成ゴム社製)を用いる。そし
て、透明基板4,4を、その間に図示しないガラススペ
ーサーを介装させることで13μmの間隔を空けて対向
配置し、さらに接着剤により貼り合わせる。
【0033】貼り合わせた透明基板4,4間に、真空注
入法を用いて液晶・樹脂混合材料D1を注入する。そし
て、このようにして構成した液晶パネルに95mW/c
2程度の紫外線を照射し、液晶・樹脂混合材料D1中の
重合性モノマーを重合させる。重合性モノマーの重合に
より、液晶・樹脂混合材料D1中の液晶組成物71は、重
合により形成される樹脂5の間で析出して液晶滴6を形
成する。このとき、液晶組成物71は化合物C1を含んだ
状態で析出して液晶滴6を構成する。以上のようにし
て、高分子分散型の液晶表示素子11を作成する。
【0034】なお、この液晶表示素子11では、化合物
1の添加量を、液晶の螺旋ピッチが10μmから50
0μmになる量と規定したが、これは次のような理由に
よっている。すなわち、螺旋ピッチが10μm以下であ
ると、捻れ力が強すぎて駆動電圧が非常に高くなってし
まう。また500μm以上になると、捻れ力が弱くなる
ことと、カイラル化合物の添加量が非常に微量となるた
め光学ヒステリシスの低減の効果がみられなくなるため
である。
【0035】螺旋ピッチ、駆動電圧、および光学ヒステ
リシスの関係を次の表1に示す。表1では、駆動電圧と
光学ヒステリシスが最良となる螺旋ピッチに対して☆を
付し、良となる螺旋ピッチに〇を付し、使用に適しない
螺旋ピッチに×を付している。
【0036】この表から明らかなように、螺旋ピッチが
5μm(10μm以下)となると、駆動電圧が極端に高
くなって(23V)、使用に適さないことがわかる。一
方、螺旋ピッチが600μm(500μm以上)となる
と、光学ヒステリシスが非常に高くなって(4%)、使
用に適さないことがわかる。なお、駆動電圧の最適値を
17V以下、光学ヒステリシスの最適値を3%以下とし
た場合、螺旋ピッチの最適値の範囲は、10μm≦螺旋
ピッチ≦300μm となる。
【0037】光学ヒステリシス、および駆動電圧は次の
ように測定している。すなわち、同一電圧印加時の透過
光強度の差を、20V印加時の透過光強度で割った値の
パーセント表示を光学ヒステリシスとして測定した。ま
た、液晶表示素子の対向電極,画素電極間に30Hzの
交流電圧を印加し、パネル透過率が90%となる印加電
圧を駆動電圧として測定した。
【0038】また、螺旋ピッチ10μm以下という化合
物C1の添加量を具体的にいうと、おおよそ液晶組成物
1に対して30重量%以下が適当といえる。
【0039】
【表1】
【0040】液晶表示素子11を構成する配向膜3は、
ポリイミドタイプ、ポリアミック酸タイプのどちらも用
いることができ、また、無機の絶縁膜を用いても良い。
さらには、配向膜3は、電圧保持率を高めることに効果
があるものの、省略してもよい。
【0041】また、液晶・樹脂材料D1は、上述した構
成に限るものではなく、一般に液晶と樹脂とを混合し紫
外線により共重合をおこす物であればどのような組み合
わせであってもよい。特に、液晶に関しては、上記した
TL201に限るものではなく、さらには、複数の液晶
を混合してもよい。この場合、液晶滴6の粒径が0.8
μm以上、2.5μm以下であれば散乱能に優れた素子
が得られる。特に液晶滴6の粒径が1μm以上、2μm
以下であれば、パネルギャップと組み合わせてTFT駆
動が十分可能な低電圧で液晶パネルを駆動することがで
きる。
【0042】さらにまた、パネルギャップは上記例に限
らず5μm以上であれば良い。特に10μm以上、15
μm以下とすることで駆動電圧と散乱能を両立させるこ
とができる。
【0043】また、紫外線強度は上記以外でも良いが、
80mW/cm2以上であれば透明基板4の傷等が目立
たず均一な液晶表示素子が得られる。特に紫外線強度が
150mW/cm2以上であれば、高温での光学ヒステ
リシスの低減に効果があり、さらに200mW/cm2
以上であれば、配向変化温度がさらに低くなる効果があ
る。また反対に、紫外線強度が30mW/cm2以下で
あれば、液晶滴6の粒径が大きくなるために、駆動電圧
を低くすることができるという効果がある。
【0044】比較例1 実施の形態1の比較例として、次に示す比較例1の液晶
表示素子1H1を製造した。液晶表示素子1H1は実施の形
態1の液晶表示素子11と基本的に同様の構成を有して
いるが、液晶組成物7H1の構成が異なっている。液晶組
成物7H1は、液晶(TL205)に、分子長軸に対して
側方位置に極性基が配置されておらず、かつ液晶に対し
て溶解性を有するカイラル化合物を添加して構成されて
いる。
【0045】この液晶表示素子1H1の製造方法は、基本
的に実施の形態1の製造方法と同様であるが、次の点で
異なっている。すなわち、第2混合物Bに対して、次の
式2にその構造式が示される右旋性カイラル化合物R8
11(商品名:メルク社製)からなる化合物CH1を0.
6重量%添加して、液晶・樹脂混合材料DH1を作成す
る。そして、この液晶・樹脂混合材料DH1を用い実施の
形態1で説明した製造方法により、液晶組成物7H1を有
する液晶表示素子1H1を作成する。
【0046】
【化2】
【0047】化合物CH1(カイラル化合物R811)で
は、構造式に示されるように、分子長軸に対して側方位
置には極性基が配置されておらず、この点が化合物C1
(カイラル化合物R1011)と異なっている。
【0048】実施の形態1および比較例1の液晶表示素
子11,1H1の電気光学特性を以下の手順で測定した。
【0049】液晶表示素子11,1H1に図示しない駆動回
路を別途接続し、TFT駆動を行った。液晶表示素子1
1,1H1の対向電極,画素電極(透明電極2,2)間に最
低0V、最大20Vの電圧を連続的に印加し電圧スイー
プの方向を逆転させて、光学ヒステリシスを測定した。
測定時のパネル透過率は液晶評価装置(LCD500
0、大塚電子製)を用いて測定した。光学ヒステリシス
は、次のように定義した。すなわち、同一電圧印加時の
透過光強度の差を、20V印加時の透過光強度で割った
値のパーセント表示を光学ヒステリシスとして定義し
た。
【0050】図2(a)は、実施の形態1の液晶表示素
子11における30℃のときの光学ヒステリシスの測定
結果である。液晶表示素子11では、光学ヒステリシス
は2%と小さい値であった。これに対して、比較例1の
液晶表示素子1H1における30℃のときの光学ヒステリ
シスを測定したところ、図示はしないが4%となり、実
施の形態1と比べて劣化している。
【0051】また、図示はしないが、30℃において階
調表示を点滅表示した際の全階調レベルでの光学ヒステ
リシスを、実施の形態1と比較例1とで比較したとこ
ろ、やはり、実施の形態1の液晶表示素子11の方が良
好な値を有しており、残像等が少ない良好な表示が得ら
れることが確認できる。
【0052】図2(b)は、実施の形態1の液晶表示素
子11における5℃のときの光学ヒステリシスの測定結
果である。液晶表示素子11では、光学ヒステリシスは
5%と比較的小さな値であった。これに対して、比較例
1の液晶表示素子1H1における5℃のときの光学ヒステ
リシスは、図示はしないものの20%となり、実施の形
態1と比べて劣化している。また、図示はしないが、5
℃において階調表示を点滅表示した際の全階調レベルで
の光学ヒステリシスを、実施の形態1と比較例1とで比
較したところ、やはり、実施の形態1の液晶表示素子1
1の方が良好な値を有していることが確認できる。
【0053】図3は、実施の形態1の液晶表示素子11
において、光学ヒステリシスを温度を変えて測定した結
果である。図3から明らかなように、液晶表示素子11
では、10℃から80℃の温度範囲において温度依存性
の低い良好な表示特性(光学ヒストリシス)が得られ
た。したがって、液晶表示素子11では、通常の使用温
度帯域において、安定した表示を行うことができる。
【0054】これに対して、図4は、比較例1の液晶表
示素子1H1において、光学ヒステリシスを温度を変えて
測定した結果である。図4から明らかなように、液晶表
示素子1H1は、5℃から30℃の温度範囲において温度
依存性の高い表示特性(光学ヒステリシス)となった。
このような温度依存性を有する液晶表示素子1H1では、
通常の使用温度帯域において、安定した表示を行うこと
ができない。
【0055】さらに以下の方法で実施の形態1および比
較例1の液晶表示素子11,1H1の応答速度を測定し
た。すなわち、液晶表示素子11,1H1の対向電極,画
素電極(透明電極2,2)間に30Hzの交流電圧を印
加する。このとき、パネル透過率が10%となる印加電
圧をV10とし、パネル透過率が90%となる印加電圧を
90とする。そして、液晶表示素子11,1H1に電圧V
10,V9Oを一定間隔で交互にスイッチング操作し、パネ
ル透過率が10%から90%に変化するのに要する時間
を立ち上がり時間として、同じく90%から10%に変
化するように要する時間を立ち下がり時間と定義して、
それぞれ透過率の変化時間を測定する。パネル透過率は
液晶評価装置(LCD5000、大塚電子製)を用いて
測定した。
【0056】実施の形態1の液晶表示素子11では、V
90は12V、V10は7Vであり、立ち上がり時間は17
msec、立ち下がり時間は39msecであった。こ
れに対して、比較例1の液晶表示素子1H1では、V90
12V、V10は7Vであり、立ち上がり時間は17ms
ec、立ち下がり時間は36msecであった。このよ
うに、液晶表示素子11は、立ち下がり時間が液晶表示
素子1H1より改善されており、その分、応答時間は速く
なっている。
【0057】このように、液晶表示素子11(分子長軸
に対して側方に極性基を有する化合物C1(R101
1)が液晶組成物71に添加されている)では、低温で
の光学ヒステリシスの急激な増加を抑制し、応答速度を
高速化することができた。これは、分子長軸に対して側
方に極性基を有する化合物C1を液晶組成物71に添加す
ることにより、化合物C1中の極性基が液晶滴6と樹脂
5との間の界面6aに吸着し、樹脂界面6aにおる液晶
のチルト角を低く抑えるためだと考えられる。以下、こ
のことを説明する。
【0058】高分子分散型の液晶表示素子において、光
学ヒステリシスを良好に保持するためには、バイポーラ
配向状態を安定的に維持できればよい。液晶滴6がバイ
ポーラ配向状態を維持するうえでは、界面6aでのチル
ト角は低いほど良い。これは、発明が解決しようとする
課題において説明したように、チルト角が低いほどバイ
ポーラ配向がエネルギー的に安定であることと、チルト
角が低いほどバイポーラ配向とラジアル配向のエネルギ
ー差が大きくなって配向転移温度が低くなるためだと考
えられる。
【0059】そのため、化合物C1(R1011)の極
性基の作用により樹脂界面6aにおる液晶のチルト角が
低く抑えられた液晶表示素子11では、低温での光学ヒ
ステリシスの急激な増加を抑制することができる。
【0060】また、界面6aでのチルト角を低くできる
液晶表示素子11では、界面6aにおける配向の秩序を
良好に維持することができ、そのために、応答時間も速
くなる。
【0061】これに対して、液晶表示素子1H1(分子長
軸に対して側方位置に極性基を有しないカイラル化合物
である化合物CH1(R811)が液晶組成物7H1に添加
されている)では、上述したような作用効果は得られな
い。
【0062】なお、実施の形態1の液晶表示素子11
は、化合物C1(R1011)を添加して液晶組成物71
を構成していたが、カイラル化合物R1011の他、次
の式3から式13にその構造式が示されるカイラル化合
物(いずれも分子長軸の側方位置に極性基を有してい
る)からなる化合物C1’を、第2混合物Bに添加して
液晶組成物71’を構成しても、液晶表示素子11と同
様、低温での光学ヒステリシスの急激な増加を抑制し、
応答速度を高速化することができる。
【0063】
【化3】
【0064】:分子長軸に対する側方位置にフッ素
(F)が配置されている。
【0065】
【化4】
【0066】:分子長軸に対する側方位置にシアノ基
(CN)が配置されている。
【0067】
【化5】
【0068】:分子長軸に対する側方位置にシアノ基
(CN)が配置されている。
【0069】
【化6】
【0070】:分子長軸に対する側方位置にフッ素
(F)が配置されている。
【0071】
【化7】
【0072】:分子長軸に対する側方位置にフッ素
(F)が配置されている。
【0073】
【化8】
【0074】:分子長軸に対する側方位置に水酸基(O
H)が配置されている。
【0075】
【化9】
【0076】:分子長軸に対する側方位置にシアノ基
(CN)が配置されている。
【0077】
【化10】
【0078】:分子長軸に対する側方位置にシアノ基
(CN)が配置されている。
【0079】
【化11】
【0080】:分子長軸に対する側方位置にシアノ基
(CN)が配置されている。
【0081】
【化12】
【0082】:分子長軸に対する側方位置にフッ素
(F)が配置されている。
【0083】
【化13】
【0084】:分子長軸に対する側方位置にフッ素
(F)が配置されている。
【0085】実施の形態2 本実施の形態の液晶表示素子12は、基本的には、実施
の形態1の液晶表示素子11と同様の構成を備えている
が、液晶滴6を構成する液晶組成物72の構成が異なっ
ている。液晶組成物72は、液晶(TL205)に、次
のラセミ体からなる化合物C2を添加して構成されてい
る。化合物C2は、・分子長軸に対して側方位置に極性
基を有する、・右旋性を有する、・液晶に対して溶解性
を有する、といった特徴のあるカイラル化合物と、・分
子長軸に対して側方位置に極性基を有する、・左旋性を
有する、・液晶に対して溶解性を有する、といった特徴
のあるカイラル化合物とを等量づつ混合したラセミ体か
ら構成されている。
【0086】この液晶表示素子12の製造方法は、基本
的に実施の形態1の製造方法と同様であるが、次の点で
異なっている。すなわち、第2混合物Bに対して、次の
ラセミ体からなる化合物C2を添加して液晶・樹脂混合
材料D2を構成した。そして、この液晶・樹脂混合材料
2を用い実施の形態1で説明した製造方法により、液
晶組成物72を有する液晶表示素子12を作成する。
【0087】ラセミ体からなる化合物C2は、右旋性カ
イラル化合物R1011(分子長軸に対して側方位置に
極性基であるフェニル基を有している:式1参照)と、
右旋性カイラル化合物R1011と対をなす左旋性カイ
ラル化合物S1011(商品名:メルク社製)とを0.
1%づつ等量混合することで作成した。
【0088】実施の形態3 本実施の形態の液晶表示素子13は、基本的には、実施
の形態2の液晶表示素子12と同様の構成を備えている
が、液晶滴6を構成する液晶組成物73の構成が若干異
なっている。液晶組成物73は、液晶材料(TL20
5)に、次のラセミ体からなる化合物C3を添加して構
成されている。化合物C3は、・分子長軸に対して側方
位置に極性基を有する、・右旋性を有する、・液晶に対
して溶解性を有する、といった特徴のあるカイラル化合
物と、・分子長軸に対して側方位置に極性基を有する、
・左旋性を有する、液晶に対して溶解性を有する、とい
った特徴のあるカイラル化合物とを等量づつ混合したラ
セミ体から構成されている。
【0089】このように実施の形態3の液晶表示素子1
3は実施の形態2の液晶表示素子12とほぼ同様の構成を
備えているが、以下に説明する化合物C3の成分構成が
実施の形態2と若干異なっている。
【0090】すなわち、液晶表示素子13では、第2混
合物Bに、次のラセミ体からなる化合物C3を添加して
液晶・樹脂混合材料D3を構成している。化合物C3は、
前記した式3にその構造式が示される右旋性カイラル化
合物と、式3の右旋性カイラル化合物と対をなす左旋性
カイラル化合物とを0.1%づつ等量混合して作成し
た。なお、このようにして作成した液晶・樹脂混合材料
3を用いた液晶表示素子13の製造方法は実施の形態1
で説明した製造方法と同様であるので、その説明は省略
する。
【0091】なお、実施の形態2,3では、ラセミ体か
らなる化合物C2,C3を上述したカイラル化合物を混合
することで構成していたが、実施の形態2,3は、これ
に限るものではない。これら実施の形態の要点は、分子
長軸に対して側方位置に極性基を有し、かつ液晶に対し
て溶解性を有する右旋性カイラル化合物と、分子長軸に
対して側方位置に極性基を有し、かつ液晶に対して溶解
性を有する左旋性カイラル化合物とを等量混合して化合
物Cを構成すればよいのである。
【0092】比較例2 実施の形態2,3の比較例として、次に示す比較例2の
液晶表示素子1H2を製造した。液晶表示素子1H2は実施
の形態2,3の液晶表示素子12,13と基本的に同様の
構成を有しているが、液晶組成物7H2の構成が異なって
いる。液晶組成物7H2は、液晶(TL205)に、次の
ラセミ体からなる化合物CH2を添加して液晶組成物7H2
とした。化合物CH2は、右旋性カイラル化合物R811
(式2参照)と、右旋性カイラル化合物R811と対を
なす左旋性カイラル化合物S811(商品名:メルク社
製)とを0.1重量%づつ等量混合したラセミ体から構
成されている。
【0093】カイラル化合物S811およびR811
は、その構造式から明らかなように、分子長軸に対して
側方位置に極性基が存在しない構成となっており、この
点が実施の形態2,3とは異なっている。
【0094】なお、このようにして作成した化合物CH2
を用いた液晶表示素子1H2の製造方法は実施の形態1で
説明した製造方法と同様であるので、その説明は省略す
る。
【0095】実施の形態2,実施の形態3、および比較
例2の液晶表示素子12,13,1H2の電気光学特性を実
施の形態1と同様に測定した。その結果を説明する。
【0096】液晶表示素子12,13では、30℃のとき
の光学ヒステリシスが2%と小さい値であった。これに
対して、比較例2の液晶表示素子1H2における30℃の
ときの光学ヒステリシスを測定したところ、5%とな
り、液晶表示素子12,13と比べて劣化している。
【0097】また、30℃において階調表示を点滅表示
した際の全階調レベルでの光学ヒステリシスを、液晶表
示素子12,13,1H2で比較したところ、やはり、液晶
表示素子12,13の方が液晶表示素子1H2より良好な値
を有しており、残像等が少ない良好な表示が得られるこ
とが確認できる。
【0098】液晶表示素子12,13では、5℃のときの
光学ヒステリシスが4%と比較的小さな値であった。こ
れに対して、液晶表示素子1H2では、5℃のときの光学
ヒステリシスは20%となり、液晶表示素子12,13
比べて劣化している。また、5℃において階調表示を点
滅表示した際の全階調レベルでの光学ヒステリシスを、
液晶表示素子12,13,1H2と比較したところ、やは
り、液晶表示素子12,13の方が良好な値を有している
ことが確認できる。
【0099】図5は、液晶表示素子12,13,1H2にお
いて、光学ヒステリシスを温度を変えて測定した結果で
ある。図5から明らかなように、液晶表示素子12,13
では、10℃から80℃の温度範囲において温度依存性
の低い良好な表示特性(光学ヒストリシス)が得られ
た。したがって、液晶表示素子12,13では、通常の使
用温度帯域において、安定した表示を行うことができ
る。
【0100】これに対して、図6は、液晶表示素子1H2
において、光学ヒステリシスを温度を変えて測定した結
果である。図6から明らかなように、液晶表示素子1H2
は、5℃から30℃の温度範囲において温度依存性の高
い表示特性(光学ヒステリシス)となった。このような
温度依存性を有する液晶表示素子1H2では、通常の使用
温度帯域において、安定した表示を行うことができな
い。
【0101】液晶表示素子12,13,1H2の応答速度は
次の通りとなった。すなわち、液晶表示素子12では、
90は8V、V10は4.5Vであり、立ち上がり時間は
20msec、立ち下がり時間は42msecであっ
た。また、液晶表示素子13では、V90は8V、V10
4.5Vであり、立ち上がり時間は19msec、立ち
下がり時間は42msecであった。これに対して、液
晶表示素子1H2では、V90は8V、V10は4.5Vであ
り、立ち上がり時間は20msec、立ち下がり時間は
48msecであった。
【0102】液晶表示素子12,13は、立ち下がり時間
が液晶表示素子1H2より改善されており、その分、応答
時間は速くなっている。また、液晶表示素子12,13
は、ラセミ体を添加することで液晶に捻れが生じること
がない。通常、液晶に捻れが加わる程、駆動電圧(上述
したデータでは、パネル透過率が90%となるのに要す
る電圧V90がほぼ相当する)は高くなる。そのため、ラ
セミ体を添加してなる実施の形態2,3の液晶表示素子
2,13は、カイラル化合物R1011を添加してなる
実施の形態1の液晶表示素子11より、駆動電圧を低く
することができる(液晶表示素子11のV90=12V,
液晶表示素子12,13のV90=8V)。
【0103】実施の形態2,3からわかるように、本発
明の特徴となる構成である分子長軸に対して側方に極性
基を有する化合物は、必ずしもカイラル化合物でなくと
もよい。要は、分子長軸に対して側方に極性基を有しか
つ液晶材料に対して溶解性を有する化合物を液晶組成物
1〜3に添加すればよい。カイラル化合物は、液晶組成
物71〜3に対して溶解性を有することを一つの理由して
選択された化合物である。また、分子長軸に対して側方
に極性基を有する化合物としてカイラル化合物を選択す
れば、液晶組成物71〜3に螺旋ピッチを持たせ、これに
よって液晶組成物71〜3の配向規制力を増加させて光学
ヒステリシスを低下させるという効果を得ることもでき
る。反対にカイラル化合物でない化合物を添加した場合
には、その分、駆動電圧を低下させることができるとい
う効果が得られる。
【0104】上述したように、本発明の特徴となる分子
長軸に対して側方に極性基を有し、かつ液晶に対して溶
解性を有する化合物は、カイラル化合物ではなくてもよ
いが、そのような化合物の例の構造式を次の各式に示
す。
【0105】
【化14】
【0106】:分子長軸に対する側方位置に水酸基(O
H)が配置されている。
【0107】
【化15】
【0108】:分子長軸に対する側方位置にシアノ基
(CN)ないしニトロ基(NO2)が配置されている。
【0109】
【化16】
【0110】:分子長軸に対する側方位置にシアノ基
(CN)が配置されている。
【0111】
【化17】
【0112】:分子長軸に対する側方位置にフッ素
(F)が配置されている。
【0113】
【化18】
【0114】:分子長軸に対する側方位置にフッ素
(F)が配置されている。
【0115】
【化19】
【0116】:分子長軸に対する側方位置にフッ素
(F)が配置されている。
【0117】
【化20】
【0118】:分子長軸に対する側方位置にフッ素
(F)が配置されている。
【0119】
【化21】
【0120】:分子長軸に対する側方位置にフッ素
(F)が配置されている。
【0121】
【発明の効果】請求項1によれば、分子長軸に対して側
方に極性基を有する化合物を液晶に添加することによ
り、極性基が液晶と樹脂との間の界面に吸着し、樹脂界
面におる液晶のチルト角を低くおさえることができるよ
うになった。そのため、バイポーラ型の配向からラジア
ル型の配向への変化が起こりにくくなって、バイポーラ
配向状態を安定的に維持することができ、これによって
光学ヒステリシスを向上させることが可能となった。
【0122】また、樹脂界面のチルト角が低いために、
樹脂界面での規制力が強くなって液晶分子の立ち下がり
時間を短縮できるようになった。そのため、立ち下がり
時間を短縮できる分、応答時間を速めることが可能とな
った。
【0123】請求項2によれば、液晶に添加する化合物
をカイラル化合物とした分、捻れ力を付与して螺旋ピッ
チをもたせることが可能となり、秩序ある配列に再配列
しやすくなるうえ、液晶分子の立ち下がり時間も短縮で
きた。そのため、さらに光学ヒステリシスの向上と応答
時間を高速化を図ることが可能となった。
【0124】以上、説明したように、本発明によれば、
分子長軸に対する側方位置に極性基を有するカイラル化
合物を液晶材料に混合することにより、広い温度範囲に
おいて光学ヒステリシスが小さく、応答速度の速い液晶
表示素子を実現することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る液晶表示素子の構成を示す断面
図である。
【図2】 本発明の実施の形態1において、光学ヒステ
リシスを測定した結果を示す図であって、(a)は30
℃における測定結果であり、(b)は5℃における測定
結果である。
【図3】 実施の形態1において、温度を変化させた場
合の光学ヒステリシスを測定した結果を示す図である。
【図4】 比較例1において、温度を変化させた場合の
光学ヒステリシスを測定した結果を示す図である。
【図5】 本発明の実施の形態2,3において、温度を
変化させた場合の光学ヒステリシスを測定した結果を示
す図である。
【図6】 比較例2において、温度を変化させた場合の
光学ヒステリシスの測定した結果を示す図である。
【図7】 高分子分散型の液晶表示素子を構成する液晶
滴の配向状態を示す図7であって、(a)はバイポーラ
型の配向状態を示し、(b)はラジアル型の配向状態を
示している。
【符号の説明】
2 透明電極 4 透明基板 5 樹脂 6 液晶滴 6a 界面

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極の間に樹脂および液晶が充填され、
    かつ、前記液晶を前記樹脂内に液滴状ないし液滴が連続
    的に繋がった形状に配置する、もしくは網の目状に形成
    した前記樹脂を前記液晶中に配置してなる液晶表示素子
    において、 分子長軸に対する側方位置に極性基を有しかつ前記液晶
    に対して溶解性を有する化合物を、前記液晶に添加した
    ことを特徴とする液晶表示素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の液晶表示素子であって、
    前記化合物はカイラル化合物であることを特徴とする液
    晶表示素子。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の液晶表示素子であって、
    カイラル化合物からなる前記化合物が添加された液晶の
    螺旋ピッチが10μmから500μmであることを特徴
    とする液晶表示素子。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の液晶表示素子であって、
    前記化合物は、右旋性のカイラル化合物と左旋性のカイ
    ラル化合物とを等量混合したラセミ体であることを特徴
    とする液晶表示素子。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか記載の液晶
    表示素子であって、前記極性基は、水酸基、フェニル
    基、ないしフッ素であることを特徴とする液晶表示素
    子。
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