JPH10192737A - 成分分離部材 - Google Patents

成分分離部材

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JPH10192737A
JPH10192737A JP42797A JP42797A JPH10192737A JP H10192737 A JPH10192737 A JP H10192737A JP 42797 A JP42797 A JP 42797A JP 42797 A JP42797 A JP 42797A JP H10192737 A JPH10192737 A JP H10192737A
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JP
Japan
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blood
wall
separation
separating member
liquid
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JP42797A
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Inventor
Toshimasa Yamamoto
俊昌 山本
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Niigata Engineering Co Ltd
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Niigata Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液体等の成分中への沈降不良や成分の混和不
良を招くことなく、成分分離が的確に行える成分分離部
材を提供する。 【解決手段】 部材本体11の上下に、採血管31の内
壁31aに圧接するシート部15および弾性片23をそ
れぞれ形成し、さらにシート部15の上面に半球状の突
起部16を形成する。分離部材2の下方に注入された採
血管31内の血液41は、下部の弾性片23に遮られて
部材本体11と内壁31aとの間の隙間に入らず、混和
不良とならない。また、突起部16により、血液41中
へ分離部材2が埋没する前の段階では、シート部15と
内壁31aとの間に生じる摩擦力に抗する力が助長され
て沈降重力が増大し、血液41中に埋没した後は、通常
通りの適度な沈降重力を得る。したがって、沈降不良が
生じることなく的確な成分分離が行える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば血液検体を
遠心分離操作により血漿と血球に分離するなど、液体サ
ンプルを遠心分離操作により複数の成分に分離する際に
用いて好適な成分分離部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、遠心分離操作により液体サンプル
を複数の成分に分離する場合、これらの成分の分離状態
を安定化させるために分離部材が用いられる。これらの
遠心分離操作には、通常円筒状の試験管が用いられる。
使用される分離部材としては種々のタイプがあるが、そ
の1つに、シート型がある。
【0003】図5は、従来のシート型のゴム製分離部材
51が試験管61の内部にセットされた状態を示してい
る。この分離部材51は、下方に開口する空洞部52が
軸心に形成された円筒状の部材本体53の上部に、首部
54を介して円盤状のシート部55が一体形成されたも
ので、シート部55の上面は凹面状をなし、首部54の
径が部材本体53の径より十分小さいことにより、シー
ト部55の首振りが容易な構造となっている。シート部
55の上面が凹面状となっていることにより、試験管6
1の内径に変動があってもシート部55が任意に傾き、
その外周部が滑らかに試験管61の内壁61aに圧接、
密着し、シート部55の上下のシール性を確保できるよ
うになっている。この分離部材51は、Oリング(オー
リング)56により、常態において試験管61の開口部
に固定される。
【0004】空洞部52は、図示せぬ液体注入針をシー
ト部55から首部54を貫通するように刺して試験管6
1内に液体を注入される部分であるが、この分離部材5
1では、空洞部52内の空気は全量逃がす事はせず、一
部を空洞部52内に保持し、残りの空気を部材本体53
の外面と空洞部52の上部の間に穿った横貫通口57か
ら逃がしている。空洞部52の上部の空気は、遠心分離
操作中に遠心力に応じて圧縮され、これにより、分離部
材51の見かけ比重が変化する。分離部材51は、遠心
分離操作が与えられると液体中(下方)に沈降し、遠心
力と分離部材51の液体中の位置(液中での深さ)と空
洞部52中に保持される空気とにより、見かけ比重が異
なってくる。この現象を積極的に利用する事により、液
体中への分離部材51の沈降開始のタイミングや、液体
中での沈降速度の制御が可能となる。
【0005】Oリング56は、前述のように分離部材5
1を試験管61の開口部に固定しており、遠心分離操作
開始後、設定遠心力になったら、分離部材51はOリン
グ56による拘束から脱して下方に脱落するような構造
になっている。これにより、ある程度遠心分離が進んだ
状態で、分離部材51は液体中に沈降可能となり、さら
に遠心分離が終了後においては、分離部材51によって
良好な隔壁が得られるようになっている。
【0006】上記分離部材51は遠心分離に極めて有効
なものであり、液ー液分離あるいは液ー固分離が可能で
あり、例えば、臨床検査に用いられる採血管に好適に用
いられる。採血管に使用する場合は、液ー液分離の血漿
ー血球の分離や、液−固分離の血液−血餅の分離等に用
いられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかるに上記分離部材
51には、以下のような難点があった。そのlつは、沈
降不良である。すなわち遠心分離操作が開始され、ある
一定の遠心力に達すると、分離部材51はOリング56
から脱落して液面へ到達する。この時、空洞部52に保
持された空気の存在により、すぐには液体中への沈降を
開始せず、さらに遠心力が上昇して所定の遠心力に達す
ると、分離部材51の見かけ比重が液比重より大きくな
り、さらに、シート部55が試験管61の内壁61aと
の間に生じる摩擦に打ち克つと、分離部材51は液体中
を沈降し始める。しかしながら、シート部55と試験管
61の内壁61aとの摩擦は、シート部55と内壁61
aとの接し方が一様でない事より、一定とならずバラツ
キがある。そのため、分離部材51がOリング56より
落下し、液面に到達して空洞部52内の空気が圧縮さ
れ、見かけ比重が液体のそれより大きくなっても沈降し
ない不具合が生じる場合があった。
【0008】この不具合の解決策の1つとして、見かけ
比重が大きくなるように部材本体53を比重の大きい材
質にしたり、または、空洞部52の空気保持容積が小さ
くなるようにして見かけ比重を大きくすることは容易に
考えられ、事実このようにすると、分離部材51の沈降
開始は確実となる。しかしながら、この場合、液体中で
の分離部材51の沈降速度も大きくなって分離部材51
が重い比重と軽い比重の相の境界へ到達して両相の隔壁
になると、分離部材51の上に重い比重の相が存在する
場合があって好ましくない。
【0009】2つ目としては、部材本体53の直径が試
験管61の内径より小さく、試験管61の内壁61aと
の間に隙間が生じることによって生じる混和の不十分で
ある。すなわち、試験管61がPET(ポリエチレンテ
レフタレート)のようなプラスチックの場合には、内壁
61aに勾配(管の上部が太く、下へいくほど径が小さ
くなること)が必要であることや、遠心分離操作が終了
して分離部材51が軽い相と重い相の境界に移動した場
合、その境界での試験管61の内径が、分離部材51を
開口部に固定させる位置(試験管の上端開口部)の内径
より小さいことなどへの配慮を要する。
【0010】例えば、試験管61が、長さ75mm、上
端内径10mm、片側3/1000の勾配のPET管で
は、血液を2ml採血し、遠心分離した場合の血漿と血
球の境界での管内径は9.6mm程度となる。したがっ
て、分離部材51の下部外径を9.6mm以下としなく
てはならない。今、分離部材51の外径を9.5mmに
設定したとするならぱ、この分離部材51を試験管61
の上端開口部に固定すると、部材本体53と内壁61a
との隙間は約0.5mmとなり、同軸的に固定するなら
ば、隙間は0.25mmとなる。
【0011】一方、試験管61が真空採血管である場
合、採血する際に試験管61を傾けるか水平にする場合
が多く、その結果、採血途中で血液が部材本体53と内
壁61aとの間の隙間に入り込む。そして、採血終了
後、試験管61は正立されたり採血後も密閉状態で放置
されるので、血液がその隙間の中で分離部材51の表面
や内壁61aに固着せず、遠心操作開始直後の低い遠心
力で落下するので、特に問題とならないものの、上記隙
間に血液が入り込まない方が良いと思われる。
【0012】さらに、試験管の種類によっては、予め抗
凝固剤等の薬剤を試験管内に入れておく場合があり、こ
の場合は、これらの液体または粉状の薬剤が上記隙間に
入り込む恐れがあり、そうなると、採血後に行う転倒混
和で血液と薬剤とが十分に混和されない可能性がある。
【0013】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、液体等の成分中への沈降不良や成分の混和不良を招
くことなく、成分分離が的確に行える成分分離部材を提
供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、次の手段をも
って上記目的の達成を図っている。すなわち、請求項1
に記載の成分分離部材は、円筒状の容器内に挿入される
部材本体の上部外周部に、周方向に−巡し、前記容器の
内壁を圧接する弾性部を一体に形成してなる成分分離部
材において、前記弾性部の上面略中央部に、円柱状ある
いは半円球状などの形状を有する突起部を一体に形成し
てなることを特徴としている。また、請求項2に記載の
成分分離部材は、円筒状の容器内に挿入される部材本体
の上部外周部に、周方向に一巡し、前記容器の内壁を圧
接する弾性部を一体に形成してなる成分分離部材におい
て、前記部材本体の下部に、前記上部外周部の弾性部よ
りも薄く、当該成分分離部材が前記容器内にセットされ
た状態において容器の内壁を圧接する弾性部を周方向に
一巡して形成してなることを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。 (1)第1の実施形態 A.第1の実施形態の構成 図1は、本発明の第1の実施形態に係る成分分離部材1
を示している。この分離部材1は、図5で示したものと
同様のシート型であり、符号11は、円筒状の部材本体
である。この部材本体11の軸心には、下方に開口する
空洞部12が形成され、部材本体11には、部材本体1
1の外面側から空洞部12の上部に連通する横貫通口1
3が、対称の位置に2つ(図面では1つしか示されない
が)形成されている。この横貫通口13は、部材本体1
1の径方向に延びている。
【0016】部材本体11の上部には、部材本体11の
径より十分細い首部14を介して円盤状のシート部(弾
性部)15が一体に形成されている。首部14およびシ
ート部15は部材本体11と同軸的である。シート部1
5は、当該分離部材1が図示せぬ試験管内に挿入される
と、その外周部が試験管の内壁に弾性的に圧接するよう
になっている。そして、このシート部15の上面中央に
は、半球状の突起部16が一体に形成されている。
【0017】なお、シート部15の上面は、シート部1
5の外周部が試験管の内壁に密着しやすいよう凹面状に
形成されていると好ましい。また、図示例では突起部1
6は半球状であるが、円柱状等であってもよい。
【0018】分離部材1の材質は、検体にもよるが、例
えば血漿ー血球分離の採血管に用いる場合には、空洞部
12内の空気を考慮した部材本体11の平均比重が血漿
と血球の中間であり、かつ、採血針が容易に貫通でき、
しかもその採血針を引き抜いた後は再び閉塞するような
弾性および柔軟性を有するものであればよい。具体的に
は、ゴムやエラストマー、例えば、スチレン・ブタジエ
ンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、ポリスチレン系
エラストマー、ポリアミド系エラストマー、シリコーン
系エラストマー等、または、これらの材料に硫酸バリウ
ム等の無機材料を混入して比重を調整したもの等が好適
に用いられる。これらゴムやエラストマーの硬度は、例
えば、JISA(JISK6301)によれば、30〜
60度程度である。
【0019】上記分離部材1によれば、試験管内に挿入
され、シート部15が液体に埋没しない状態では、突起
部16は液相の上の空気中にあり、遠心力が直接作用す
る。しかるに、シート部15が液体に埋没すると、シー
ト部15の外周部と試験管の内壁との間には液体の皮膜
が存在し、シート部15の動きが滑らかとなって分離部
材1は沈降を開始する。分離部材1が沈降するとともに
突起部16も液体中へ埋没する。この場合、突起部16
の大きさにもよるが、突起部16の沈降しようとする力
は突起部16の浮力を控除したものであるから、分離部
材1の沈降速度の増加に与える影響は僅かである。
【0020】B.第1の実施形態の実験例 次に、上記分離部材1の実験例を説明する。図1で示し
た分離部材1を、硬度45度、比重1.085のエラス
トマーを用い、次に示す寸法で製作した。 部材本体11の高さH1 =15mm 部材本体11の外径D1 =9.5mmφ 空洞部12の高さH2 =10mm 空洞部12の径D2 =4mmφ 空洞部12の上面と横貫通口13の距離L=5mm 首部14の高さH3 =0.3mm 首部14の径D3 =3mmφ シート部15の厚さH4 =0.75mm シート部15の径D4 =10.2mmφ 突起部16の半径R=1.75mm 横貫通口13の径D5 =1mmφ
【0021】図2は比較例として製作した分離部材3で
あり、この分離部材3は、図1の分離部材1における突
起部16を形成していないもので、他の構成および寸法
は分離部材1と同一である。なお、本実施形態の分離部
材1の体積は1.01157cm3 であり、比較例の分
離部材3の体積は、突起部16の分(0.01122c
3 )だけ減って1.00035cm3 である。
【0022】この2種類のシート型分離部材1、3を、
全長75mm、内径1Ommの採血管に注入した2ml
の血液の血漿ー血球の分離に使用した。遠心分離操作が
開始され、分離部材1、3が血液の液面(遠心が開始さ
れると若干は分離が進むので、液面はほぼ血漿と考えて
よい)に到達したとする。また、シート部15の上面が
液面と同じ位置と仮定し、分離部材1、3に働く遠心力
を1000Gと仮定する。この時、空洞部12内の横貫
通口13より上にある空気は遠心力に基づく圧力により
圧縮される。圧縮された空気の体積を考慮した分離部材
1、3の見かけ比重は、1.037と算出される。
【0023】この時の浮力を控除した比較例の分離部材
3が血液中を沈降しようとする力(沈降重力=W1とす
る)は、 分離部材3に働く遠心力=1000G 血液の比重=1.025 とすると、 Wl=1000×1.00035×(1.037−l.025) =12.0042g となる。シート部15が採血管の内壁に圧接して生じる
摩擦抵抗が12.0042gより小さければ、分離部材
3は血液中への沈降を開始する。しかし、摩擦抵抗が1
2.0042gより大であれば、分離部材3は血液の液
面に浮いたままの状態となる。
【0024】一方、本実施形態の分離部材1は、シート
部15の上面に半径1.75mmの突起部16が形成さ
れている以外、比較例の分離部材3の構成と同一であ
る。ここで、シート部15の上面と液面が同一レベルと
すると、完全に空気相にあるのは突起部16だけであ
り、その他の部分はシート部15の上面が液面と同一レ
ベルという条件の基に血液に没している。この条件で分
離部材1に1000Gの遠心力を与えると、分離部材1
が沈降しようとする沈降重力(W2と称する)は、突起
部16のみが血液の浮力を受けないので、 W2=W1+1000×1.085×0.001122(突起部16の体積) =12.0042+12.1737 =24.1779g となり、比較例より約2倍の沈降重力が得られる。
【0025】突起部16の体積は分離部材1全体の約1
%と僅かの割合だが、分離部材1が沈降を始める直前の
沈降重力は、突起部16がない場合の2倍近い値が得ら
れている。ところで、一旦突起部16を含んだ分離部材
1全体が血液に没した場合の沈降重力(W3と称する)
は、遠心力が1000Gで不変と仮定すれば、 W3=1000×(1.00035+0.01122)×(1.037−1. 025) =12.1388g で、W1とほとんど変わらない。すなわち、分離部材1
全体が血液に埋没した後は、突起部16が沈降重力を増
加させることはない。
【0026】上記のように、シート部15の上面中央に
突起部16が形成された分離部材1によれば、シート部
15が液体に没する直前において沈降重力の増大が図ら
れ、さらに、突起部16を含む分離部材1全体が液体に
没した後は、沈降速度に影響を与えない。したがって、
沈降不良が生じず、液体分離が的確に行える。
【0027】(2)第2の実施形態 次に、本発明の第2の実施形態を説明する A.第2の実施形態の構成 図3は、本発明の第2の実施形態に係る成分分離部材2
を示している。この分離部材2は、空洞部12および横
貫通口13を有する円筒状の部材本体11の上部に、首
部14を介して円盤状のシート部15が一体に形成さ
れ、このシート部15の上面中央に、半球状の突起部1
6が形成された点において、図1で示した分離部材1と
同様の構成である。この場合、空洞部12は下方に向か
うにしたがい徐々に拡径する錐状に形成されている。ま
た、シート部15の上面は、シート部15の外周部が試
験管の内壁に密着しやすいよう凹面状に形成されてい
る。
【0028】そして、先の分離部材1の構成に加え、部
材本体11の上部外周面には、断面半円状の周溝21が
形成されている。また、部材本体11の下部には、首部
22を介して周方向に一巡する環状かつシート状の弾性
片(弾性部)23が一体に形成されている。この弾性片
23は、シート部15よりも薄く、図4(a)に示すよ
うに、当該分離部材2を試験管の上端開口部にセットし
た状態において、その位置における試験管の内壁よりも
大径であり、したがって、弾性片23は試験管の内壁に
弾性的に圧接するようになっている。
【0029】上記弾性片23により、分離部材2を試験
管の上端開口部に固定した場合に、予め入れてある液体
が、部材本体11と試験管の内壁との間の隙間に入り込
まない。ここで重要なのは、弾性片23が、遠心分離操
作時における分離部材2の液体中への沈降速度を大きく
妨げないことである。つまり、弾性片23と試験管の内
壁との摩擦が、シート部15と試験管の内壁との摩擦よ
りも大きくなって分離部材2が液体中を沈降することが
できなくなるようではいけない。そのため、弾性片23
の厚さをシート部15のそれよりも薄く、かつ首部22
を適度に細く設定する。これにより、弾性片23は試験
管の内壁に沿って柔軟に撓むことが可能となっている。
【0030】B.第2の実施形態の実験例 次に、上記分離部材の実験例を説明する。図3で示した
分離部材2を、硬度42度、比重1.085のエラスト
マーを用い、次に示す寸法で製作した。 部材本体11の高さH1 =16mm 部材本体11の外径D1 =9.5mmφ 空洞部12の高さH2 =15mm 空洞部12の上端径D2 a=3.5mmφ 空洞部12の下端径D2 b=4mmφ 底面と横貫通口13の距離L=9.5mm 上部の首部14の高さH3 =0.3mm 上部の首部14の径D3 =3mmφ シート部15の厚さH4 =0.75mm シート部15の径D4 =10.2mmφ 突起部16の半径R1 =1.75mm 下部の首部22の高さH5 =1.5mm 下部の首部22の径D5 =7.8mmφ 弾性片23の厚さH6 =0.3mm 弾性片23の径D6 =10.2mmφ 横貫通口13の径D7 =1mmφ 周溝21の半径R2 =0.5mm
【0031】この分離部材2を、図4に示すPET製の
試験管(採血管:容器)31に注入した1.8mlの血
液41の血漿ー血球の分離に使用した。この採血管31
は、全長75mm、上端内径11mm、上端より深さ1
0mmまでは内径11mmのまま、そこから内径は10
mmとなり、それより下は片側テ−パ3/1000の勾
配となっている。そして、底面は半球状に形成されてい
る。分離部材2は、まず採血管31の上端開口部にセッ
トされる。なおセット前に、分離部材2の表面と採血管
31の内壁31aに、予め疎水性のシリコーンオイル
(例えば信越化学社製KF96)を薄く塗布しておき、
さらに、抗凝固剤(図示略)として、3.8%濃度のク
エン酸ナトリウムを0.2mlを予め採血管に入れてお
いた。
【0032】分離部材2を採血管31の内部に挿入して
セットするには、採血管31の内壁に固着されるプラス
チック(硬質ポリエチレン等)製のスリーブ32が用い
られる。このスリーブ32は、環状の本体部33の内周
に断面半円状の環状凸部34が形成されており、この凸
部34に周溝21を嵌合させて分離部材2をセットす
る。スリーブ32は、例えば本体部33の外周に採血管
31の内壁31aよりも僅かに大きい凸条(図示略)を
複数形成し、採血管31の内壁31aにきつく嵌め込む
などの手段で採血管31の内部に固定する。
【0033】このようにして分離部材2をセットした採
血管31を遠心分離操作すると、遠心力が1000Gか
ら1200Gで、分離部材2がスリーブ32から脱落す
るようになっている。スリーブ32は固定状態が保た
れ、かつ不安定に動くことはない。
【0034】次に、図示せぬ採血針を分離部材2に刺し
て、採血した血液41を分離部材2よりも下方の採血管
31の内部へ1.8ml注入した。血液41を注入直
後、採血管31を数回にわたり転倒混和し、血液41と
抗凝固剤をよく混合した。この時、弾性片23が採血管
31の内壁31aに圧接していることにより、部材本体
11と採血管31の内壁31aとの間の隙間への血液4
1の浸入は全くないことが観察された。すなわち、弾性
片23の隔離性能が十分であることを示している。この
採血検体を6本用意し、全ての採血管31にゴムギヤッ
プ35を被せ、室内に30分放置した。この後、6本を
1500Gで5分間、遠心分離操作を行った。
【0035】実験結果としては、6本とも溶血は生じ
ず、図4(b)に示すように、分離部材2の上方には血
漿41a、下方には血球41bがそれぞれ分離し、分離
部材2の上方に血球41bは存在せず、分離性能は良好
であった。
【0036】C.比較例 次に、上記第2の実施形態に基づく実験例に対する比較
例を2例示す。
【0037】Cー1.比較例1 比較例1の分離部材として、図3に示した実験例の分離
部材2とは、シート部15の上面の突起部16および下
部の弾性片23がない以外、全く同一の構成のものを作
成し、図4(a)と同様にして採血管31にセットし
た。採血本数を6本とし、採血直後に転倒混和したとこ
ろ、全てにおいて部材本体11と採血管31の内壁31
aとの間の隙間への血液41の侵入が観察された。次い
で、採血30分後に150OGで5分間、遠心分離操作
を行った。
【0038】その結果、全ての分離部材がセット位置よ
り脱落していたが、そのうち3つは液面で停止していて
血液41中への沈降が起こらなかった。残りの3つにお
いては、分離部材は血漿41aと血球41bの境界へ到
達していたが、それらのうち2つはシ−ト部15の上に
若干の血球41bが載っているのが観察され、1つはシ
−ト部15の上に血球41bもなく良い分離性能であっ
た。
【0039】この比較例1より、当該比較例1の分離部
材は液面から血液41中への埋没にはかなりの抵抗があ
ること、および一旦血液41中に埋没すると、血液41
中における沈降速度は速いことがわかる。
【0040】Cー2.比較例2 比較例2の分離部材として、図3に示した実験例の分離
部材2とは下部の弾性片23がない以外、全く同一の構
成のものを作成し、図4(a)と同様にして採血管31
にセットした。採血本数を6本とし、採血直後に転倒混
和したところ、全てにおいて部材本体11と採血管31
の内壁31aとの間の隙間への血液41の侵入が観察さ
れた。採血30分後に150OGで5分間、遠心分離操
作を行った。
【0041】その結果、溶血は生じず、6つの分離部材
は各採血管31の中で血漿41aと血球41bの境界に
到達していたが、6本のうち4本においては、分離部材
の上に若干の血球41bが載っていた。
【0042】この比較例2により、実験例の分離部材2
に形成された弾性片23の効果は、部材本体11と採血
管31の内壁31aとの間の隙間に血液41が侵入する
ことを防止する他に、分離部材2の血液41中への沈降
速度を遅らせる効果があることがわかった。つまり、遠
心力で分離部材2がセット位置より脱落すると分離部材
2は一旦血液41の液面で停止するが、この時、弾性片
23は既に血液41中にある。弾性片23と採血管31
の内壁31aとの間に生じる摩擦は、両者の間に血液4
1が潤滑剤として存在することにより、滑らかで変動の
少ないものとなり、その結果、分離部材2の沈降速度が
効果的に制御されることになる。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
に記載の成分分離部材によれば、部材本体上部の弾性部
の上面略中央部に、円柱状あるいは半円球状の突起部を
形成したので、遠心分離操作が与えられた際、成分中へ
当該分離部材が埋没する前の段階では、弾性部と容器内
壁との間に生じる摩擦力に抗する力を助長させて沈降重
力を増大させ、成分中に埋没した後は、通常通りの適度
な沈降重力を得る。したがって、沈降不良が生じること
なく的確な成分分離が行える。また、本発明の請求項2
に記載の成分分離部材によれば、部材本体の下部に形成
された弾性部により、部材本体と容器内壁との間の隙間
に成分が浸入せず混和不良が防止されるとともに、弾性
部と容器内壁との間に適度の摩擦が生じて当該分離部材
の沈降速度が効果的に制御される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る分離部材を示
す断面図である。
【図2】 本発明の第1の実施形態に係る分離部材に対
する比較例の分離部材を示す断面図である。
【図3】 本発明の第2の実施形態に係る分離部材を示
す断面図である。
【図4】 (a)は本発明の第2の実施形態に係る分離
部材を試験管(採血管)にセットした状態を示す断面
図、(b)は遠心分離操作後の状態を示す断面図であ
る。
【図5】 従来の分離部材の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1,2、分離部材 11 部材本体 15 シート部(上部の弾性部) 16 突起部 23 弾性片(下部の弾性部) 31 試験管,採血管(容器) 31a 内壁。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒状の容器内に挿入される部材本体の
    上部外周部に、周方向に−巡し、前記容器の内壁を圧接
    する弾性部を一体に形成してなる成分分離部材におい
    て、 前記弾性部の上面略中央部に、円柱状あるいは半円球状
    などの形状を有する突起部を一体に形成してなることを
    特徴とする成分分離部材。
  2. 【請求項2】 円筒状の容器内に挿入される部材本体の
    上部外周部に、周方向に一巡し、前記容器の内壁を圧接
    する弾性部を一体に形成してなる成分分離部材におい
    て、 前記部材本体の下部に、前記上部外周部の弾性部よりも
    薄く、当該成分分離部材が前記容器内にセットされた状
    態において容器の内壁を圧接する弾性部を周方向に一巡
    して形成してなることを特徴とする成分分離部材。
JP42797A 1997-01-06 1997-01-06 成分分離部材 Withdrawn JPH10192737A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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