JPH10182916A - Ｎ複素環を含むアクリル樹脂含有金属表面処理組成物、処理方法及び処理金属材料 - Google Patents
Ｎ複素環を含むアクリル樹脂含有金属表面処理組成物、処理方法及び処理金属材料Info
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- JPH10182916A JPH10182916A JP9266063A JP26606397A JPH10182916A JP H10182916 A JPH10182916 A JP H10182916A JP 9266063 A JP9266063 A JP 9266063A JP 26606397 A JP26606397 A JP 26606397A JP H10182916 A JPH10182916 A JP H10182916A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 耐食性や塗膜密着性を改善し、更にすべり性
を付与する金属表面処理組成物を提供する。 【解決手段】 水溶性、水分散性又はエマルション性の
いずれかであって、窒素原子含有複素環、少なくともア
ミノ基もしくはアンモニウム基のいずれか一方及び疎水
基を含むアクリル樹脂と、重金属又はその塩と、を含有
するＮ複素環を含むアクリル樹脂含有金属表面処理組成
物である。前記アクリル樹脂内のアミノ基もしくはアン
モニウム基は、少なくとも下記化１又は化２に示す構造
を有する。 【化１】 【化２】
を付与する金属表面処理組成物を提供する。 【解決手段】 水溶性、水分散性又はエマルション性の
いずれかであって、窒素原子含有複素環、少なくともア
ミノ基もしくはアンモニウム基のいずれか一方及び疎水
基を含むアクリル樹脂と、重金属又はその塩と、を含有
するＮ複素環を含むアクリル樹脂含有金属表面処理組成
物である。前記アクリル樹脂内のアミノ基もしくはアン
モニウム基は、少なくとも下記化１又は化２に示す構造
を有する。 【化１】 【化２】
Description
【０００１】
【発明の属する分野】本発明はＮ複素環を含むアクリル
樹脂含有金属表面処理組成物、処理方法及び処理金属材
料、特に耐食性、塗膜密着性やすべり性（「潤滑性」と
もいう）を改良したＮ複素環を含むアクリル樹脂含有金
属表面処理組成物、処理方法及び処理金属材料に関す
る。
樹脂含有金属表面処理組成物、処理方法及び処理金属材
料、特に耐食性、塗膜密着性やすべり性（「潤滑性」と
もいう）を改良したＮ複素環を含むアクリル樹脂含有金
属表面処理組成物、処理方法及び処理金属材料に関す
る。
【０００２】
【従来の技術】食缶、自動車のボディー、鋼板のコイル
コーティング、建材等の金属材の表面処理として、従来
はリン酸塩処理、クロメート処理やノンクロメート処理
等が行われていた。例えば、鉄、亜鉛、アルミニウム等
の金属表面の塗料、接着剤等の有機皮膜を塗布する際
に、前処理としてリン酸塩処理によって金属表面にリン
酸塩皮膜を形成させる。次いで、塗料等の有機皮膜をそ
の上面に塗布することによって耐食性、塗膜密着性を向
上できる。しかし、従来のリン酸塩処理方法等における
金属表面処理組成物は、耐食性、塗膜密着性やすべり性
が必ずしも近年の要求に対して十分ではなかった。
コーティング、建材等の金属材の表面処理として、従来
はリン酸塩処理、クロメート処理やノンクロメート処理
等が行われていた。例えば、鉄、亜鉛、アルミニウム等
の金属表面の塗料、接着剤等の有機皮膜を塗布する際
に、前処理としてリン酸塩処理によって金属表面にリン
酸塩皮膜を形成させる。次いで、塗料等の有機皮膜をそ
の上面に塗布することによって耐食性、塗膜密着性を向
上できる。しかし、従来のリン酸塩処理方法等における
金属表面処理組成物は、耐食性、塗膜密着性やすべり性
が必ずしも近年の要求に対して十分ではなかった。
【０００３】そこで、通常更に耐食性の向上を図るため
に、リン酸塩処理の後、プライマー塗料を塗布してから
塗料を塗装する方法が行われていた。しかし、プライマ
ーを塗装すると、耐食性及び塗膜密着性は向上するもの
の、塗装工程が増加して作業が煩雑になると共に、塗装
コストが高くなるという課題を有していた。
に、リン酸塩処理の後、プライマー塗料を塗布してから
塗料を塗装する方法が行われていた。しかし、プライマ
ーを塗装すると、耐食性及び塗膜密着性は向上するもの
の、塗装工程が増加して作業が煩雑になると共に、塗装
コストが高くなるという課題を有していた。
【０００４】そこで、高度な耐食性及び塗膜密着性を付
与しつつ、プライマー塗装を省略することを目的とする
金属表面処理剤として、例えば特開平５−１１７８６９
号公報の「複合皮膜形成用金属表面処理剤」が提案され
ている。上記公報の金属表面処理剤は、陽イオン性窒素
原子を１個以上含み、分子量が１，０００〜１，００
０，０００である陽イオン性有機高分子化合物又はその
塩を含有するリン酸塩表面処理液からなることが開示さ
れている。
与しつつ、プライマー塗装を省略することを目的とする
金属表面処理剤として、例えば特開平５−１１７８６９
号公報の「複合皮膜形成用金属表面処理剤」が提案され
ている。上記公報の金属表面処理剤は、陽イオン性窒素
原子を１個以上含み、分子量が１，０００〜１，００
０，０００である陽イオン性有機高分子化合物又はその
塩を含有するリン酸塩表面処理液からなることが開示さ
れている。
【０００５】また、特開昭５１−７３９３８号公報の
「アルミニウム及びその合金の表面処理法」には、特
に、表面処理を行う金属をアルミニウム等に限定して、
耐食性及び塗膜密着性を付与するすることを目的とする
金属表面処理法が提案されている。この金属表面処理法
は、酢酸ビニル・塩化ビニリデン、アクリル酸等の水溶
性樹脂又はエマルション樹脂を含む有機高分子皮膜形成
物質と、水溶性チタン化合物とを主成分とする処理液を
用いることが記載されている。
「アルミニウム及びその合金の表面処理法」には、特
に、表面処理を行う金属をアルミニウム等に限定して、
耐食性及び塗膜密着性を付与するすることを目的とする
金属表面処理法が提案されている。この金属表面処理法
は、酢酸ビニル・塩化ビニリデン、アクリル酸等の水溶
性樹脂又はエマルション樹脂を含む有機高分子皮膜形成
物質と、水溶性チタン化合物とを主成分とする処理液を
用いることが記載されている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記金
属表面処理剤や処理法は、従来の金属表面処理剤に比べ
れば耐食性及び塗膜密着性が向上するものの、近年の要
求水準には未だ到達していない。
属表面処理剤や処理法は、従来の金属表面処理剤に比べ
れば耐食性及び塗膜密着性が向上するものの、近年の要
求水準には未だ到達していない。
【０００７】特に、アルミニウム又はその合金を用いて
食缶を製造する場合には、上記金属表面処理剤等では、
ジャミング防止が図れず、また鋼板のコイルコーティン
グにおいては、潤滑性に欠けるという問題点があった。
食缶を製造する場合には、上記金属表面処理剤等では、
ジャミング防止が図れず、また鋼板のコイルコーティン
グにおいては、潤滑性に欠けるという問題点があった。
【０００８】本発明は、耐食性や塗膜密着性を改善し、
更にすべり性を付与するＮ複素環を含むアクリル樹脂含
有金属表面処理組成物、処理方法及び処理金属材料を提
供することを目的としたものである。
更にすべり性を付与するＮ複素環を含むアクリル樹脂含
有金属表面処理組成物、処理方法及び処理金属材料を提
供することを目的としたものである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、本発明に係るＮ複素環を含むアクリル樹脂含有
金属表面処理組成物は、水溶性、水分散性又はエマルシ
ョン性のいずれかであって、窒素原子含有複素環、少な
くともアミノ基もしくはアンモニウム基のいずれか一方
及び疎水基を含むアクリル樹脂と、重金属又はその塩
と、を含有する。
ために、本発明に係るＮ複素環を含むアクリル樹脂含有
金属表面処理組成物は、水溶性、水分散性又はエマルシ
ョン性のいずれかであって、窒素原子含有複素環、少な
くともアミノ基もしくはアンモニウム基のいずれか一方
及び疎水基を含むアクリル樹脂と、重金属又はその塩
と、を含有する。
【００１０】従って、重金属又はその塩からなる無機皮
膜によって透水性が抑制されるので、耐食性が向上す
る。また、窒素原子含有複素環及びアミノ基（アンモニ
ウム基）を含むアクリル樹脂中の窒素原子は、（重）金
属に配位するので、上記無機皮膜は、アクリル樹脂を介
して相互に連結される。従って、無機皮膜の凝集破壊が
防止され、ほぼ均一な塗装下地用皮膜を金属表面に形成
させることができる。このため、塗装下地用皮膜と上塗
塗膜との密着性が向上する。本発明における塗装下地用
皮膜とは、アクリル樹脂によって連結された上記無機皮
膜からなる金属表面に形成された皮膜をいう。更に、上
記アクリル樹脂が塗装下地用皮膜表面にほぼ均一に存在
するので、摩擦抵抗を下げることができ、すべり性を向
上させることができる。
膜によって透水性が抑制されるので、耐食性が向上す
る。また、窒素原子含有複素環及びアミノ基（アンモニ
ウム基）を含むアクリル樹脂中の窒素原子は、（重）金
属に配位するので、上記無機皮膜は、アクリル樹脂を介
して相互に連結される。従って、無機皮膜の凝集破壊が
防止され、ほぼ均一な塗装下地用皮膜を金属表面に形成
させることができる。このため、塗装下地用皮膜と上塗
塗膜との密着性が向上する。本発明における塗装下地用
皮膜とは、アクリル樹脂によって連結された上記無機皮
膜からなる金属表面に形成された皮膜をいう。更に、上
記アクリル樹脂が塗装下地用皮膜表面にほぼ均一に存在
するので、摩擦抵抗を下げることができ、すべり性を向
上させることができる。
【００１１】また、本発明に係るＮ複素環を含むアクリ
ル樹脂含有金属表面処理組成物において、前記アクリル
樹脂内のアミノ基もしくはアンモニウム基は、少なくと
も下記化６又は化７に示す構造を有する。
ル樹脂含有金属表面処理組成物において、前記アクリル
樹脂内のアミノ基もしくはアンモニウム基は、少なくと
も下記化６又は化７に示す構造を有する。
【００１２】
【化６】
【化７】 また、本発明に係るＮ複素環を含むアクリル樹脂含有金
属表面処理組成物において、前記アクリル樹脂内のアミ
ノ基もしくはアンモニウム基は、少なくとも下記化８又
は化９に示す構造のモノマーを共重合させることにより
導入される。
属表面処理組成物において、前記アクリル樹脂内のアミ
ノ基もしくはアンモニウム基は、少なくとも下記化８又
は化９に示す構造のモノマーを共重合させることにより
導入される。
【００１３】
【化８】
【化９】 更に、本発明に係るＮ複素環を含むアクリル樹脂含有金
属表面処理組成物において、前記アクリル樹脂に含まれ
る疎水基は、少なくとも下記化１０に示す構造のモノマ
ーを共重合させることにより導入される。
属表面処理組成物において、前記アクリル樹脂に含まれ
る疎水基は、少なくとも下記化１０に示す構造のモノマ
ーを共重合させることにより導入される。
【００１４】また、本発明に係るＮ複素環を含むアクリ
ル樹脂含有金属表面処理組成物において、前記アクリル
樹脂は、アクリル酸及びメタクリル酸からなる酸モノマ
ーと多官能の架橋モノマーとから選ばれる少なくとも１
種が更に共重合されているのも好ましい。
ル樹脂含有金属表面処理組成物において、前記アクリル
樹脂は、アクリル酸及びメタクリル酸からなる酸モノマ
ーと多官能の架橋モノマーとから選ばれる少なくとも１
種が更に共重合されているのも好ましい。
【００１５】
【化１０】 更に、本発明に係るＮ複素環を含むアクリル樹脂含有金
属表面処理組成物は、前記重金属が、ジルコニウム、モ
リブデン、タングステン、ニオブ、ニッケル、コバル
ト、マンガン、タンタルの少なくとも１種である。
属表面処理組成物は、前記重金属が、ジルコニウム、モ
リブデン、タングステン、ニオブ、ニッケル、コバル
ト、マンガン、タンタルの少なくとも１種である。
【００１６】また、本発明に係る金属表面処理方法は、
上記Ｎ複素環を含むアクリル樹脂含有金属表面処理組成
物を金属表面に接触させ、引き続き水洗・乾燥させるこ
とを特徴とする。
上記Ｎ複素環を含むアクリル樹脂含有金属表面処理組成
物を金属表面に接触させ、引き続き水洗・乾燥させるこ
とを特徴とする。
【００１７】更に、本発明に係る表面処理金属材料は、
上記Ｎ複素環を含むアクリル樹脂含有金属表面処理組成
物を用いて表面処理されたことを特徴とする。
上記Ｎ複素環を含むアクリル樹脂含有金属表面処理組成
物を用いて表面処理されたことを特徴とする。
【００１８】
【発明の実施の形態】本発明に係るＮ複素環を含むアク
リル樹脂含有金属表面処理組成物は、水溶性、水分散性
又はエマルション性のいずれかであって、窒素原子含有
複素環、少なくともアミノ基もしくはアンモニウム基の
いずれか一方及び疎水基を含むアクリル樹脂と、重金属
又はその塩と、を含有する。好ましくは、Ｎ複素環を含
むアクリル樹脂含有金属表面処理組成物において、前記
アクリル樹脂内のアミノ基もしくはアンモニウム基は、
少なくとも下記化１１又は化１２に示す構造を有する。
リル樹脂含有金属表面処理組成物は、水溶性、水分散性
又はエマルション性のいずれかであって、窒素原子含有
複素環、少なくともアミノ基もしくはアンモニウム基の
いずれか一方及び疎水基を含むアクリル樹脂と、重金属
又はその塩と、を含有する。好ましくは、Ｎ複素環を含
むアクリル樹脂含有金属表面処理組成物において、前記
アクリル樹脂内のアミノ基もしくはアンモニウム基は、
少なくとも下記化１１又は化１２に示す構造を有する。
【００１９】
【化１１】
【化１２】 Ｎ複素環を含むアクリル樹脂含有金属表面処理組成物に
おいて、前記アクリル樹脂内のアミノ基もしくはアンモ
ニウム基は、少なくとも下記化１３又は化１４に示す構
造のモノマーを共重合させることにより導入される。
おいて、前記アクリル樹脂内のアミノ基もしくはアンモ
ニウム基は、少なくとも下記化１３又は化１４に示す構
造のモノマーを共重合させることにより導入される。
【００２０】
【化１３】
【化１４】 また、前記アクリル樹脂に含まれる疎水基は、少なくと
も下記化１５に示す構造のモノマーを共重合させること
により導入される。
も下記化１５に示す構造のモノマーを共重合させること
により導入される。
【００２１】
【化１５】 また、本発明に係るアクリル樹脂の分子量は、５００〜
１００，０００であり、好ましくは１，０００〜２０，
０００である。分子量が５００未満の場合には、耐食性
が低下する。一方、分子量が１００，０００を越える
と、親水性が低下する。
１００，０００であり、好ましくは１，０００〜２０，
０００である。分子量が５００未満の場合には、耐食性
が低下する。一方、分子量が１００，０００を越える
と、親水性が低下する。
【００２２】また、上記アクリル樹脂の含有量は、Ｎ複
素環を含むアクリル樹脂含有金属表面処理組成物に対し
て０．０１〜１０ｇ／ｌであり、好ましくは０．１〜５
ｇ／ｌである。アクリル樹脂の含有量が０．０１ｇ／ｌ
未満の場合には、アクリル樹脂のバインダー効果が発揮
されず、表面処理皮膜の物理的な耐久性が低下する。一
方、アクリル樹脂の含有量が１０ｇ／ｌを超えると、表
面処理皮膜と金属表面との密着性が低下する。
素環を含むアクリル樹脂含有金属表面処理組成物に対し
て０．０１〜１０ｇ／ｌであり、好ましくは０．１〜５
ｇ／ｌである。アクリル樹脂の含有量が０．０１ｇ／ｌ
未満の場合には、アクリル樹脂のバインダー効果が発揮
されず、表面処理皮膜の物理的な耐久性が低下する。一
方、アクリル樹脂の含有量が１０ｇ／ｌを超えると、表
面処理皮膜と金属表面との密着性が低下する。
【００２３】本発明におけるＮ複素環を含むアクリル樹
脂含有金属表面処理組成物に含まれるアクリル樹脂とし
ては、以下に示すモノマーの共重合体が好適である。す
なわち、（１）Ｎ複素環含有モノマーとしては、Ｎ−ビ
ニルピロリドン、ビニルピリジン、Ｎ−ビニルイミダゾ
ール、Ｎ−ビニルカプロラクタム、ビニルオキサゾリ
ン、Ｎ−ビニルオキサゾリドン、アクロイルモルホリン
等が挙げられる。
脂含有金属表面処理組成物に含まれるアクリル樹脂とし
ては、以下に示すモノマーの共重合体が好適である。す
なわち、（１）Ｎ複素環含有モノマーとしては、Ｎ−ビ
ニルピロリドン、ビニルピリジン、Ｎ−ビニルイミダゾ
ール、Ｎ−ビニルカプロラクタム、ビニルオキサゾリ
ン、Ｎ−ビニルオキサゾリドン、アクロイルモルホリン
等が挙げられる。
【００２４】（２）アミノ基（アンモニウム基）含有ア
クリルモノマーとして、Ｎ，Ｎ−ジメチルアミノエチル
（メタ）アクリレート、Ｎ，Ｎ−ジエチルアミノエチル
（メタ）アクリレート、（メタ）アクリルアミド、Ｎ，
Ｎ−ジメチルアクリルアミド、Ｎ−メチロールアクリル
アミド、Ｎ−メチルアミノプロピル（メタ）アクリルア
ミド、Ｎ，Ｎ−ジメチルアミノプロピル（メタ）アクリ
ルアミド、Ｎ−エチルアミノプロピル（メタ）アクリル
アミド、Ｎ，Ｎ−ジエチルアミノプロピル（メタ）アク
リルアミド及びこれらのクロライド塩、等が挙げられ
る。
クリルモノマーとして、Ｎ，Ｎ−ジメチルアミノエチル
（メタ）アクリレート、Ｎ，Ｎ−ジエチルアミノエチル
（メタ）アクリレート、（メタ）アクリルアミド、Ｎ，
Ｎ−ジメチルアクリルアミド、Ｎ−メチロールアクリル
アミド、Ｎ−メチルアミノプロピル（メタ）アクリルア
ミド、Ｎ，Ｎ−ジメチルアミノプロピル（メタ）アクリ
ルアミド、Ｎ−エチルアミノプロピル（メタ）アクリル
アミド、Ｎ，Ｎ−ジエチルアミノプロピル（メタ）アク
リルアミド及びこれらのクロライド塩、等が挙げられ
る。
【００２５】（３）疎水基含有モノマーとしては、ｎ−
ブチル（メタ）アクリレート、ｉ−ブチル（メタ）アク
リレート、ｔ−ブチル（メタ）アクリレート、ｎ−ヘキ
シル（メタ）アクリレート、２−エチルヘキシル（メ
タ）アクリレート、ラウリル（メタ）アクリレート、ス
テアリル（メタ）アクリレート、シクロヘキシル（メ
タ）アクリレート、イソボルニル（メタ）アクリレー
ト、スチレン、ｐ−ｔ−ブチルスチレン、ビニルトルエ
ン、ビニルフェノール、ベンジル（メタ）アクリレート
等が挙げられる。
ブチル（メタ）アクリレート、ｉ−ブチル（メタ）アク
リレート、ｔ−ブチル（メタ）アクリレート、ｎ−ヘキ
シル（メタ）アクリレート、２−エチルヘキシル（メ
タ）アクリレート、ラウリル（メタ）アクリレート、ス
テアリル（メタ）アクリレート、シクロヘキシル（メ
タ）アクリレート、イソボルニル（メタ）アクリレー
ト、スチレン、ｐ−ｔ−ブチルスチレン、ビニルトルエ
ン、ビニルフェノール、ベンジル（メタ）アクリレート
等が挙げられる。
【００２６】（４）その他、更に加えてよいアクリルモ
ノマーとしては酸モノマーであるアクリル酸、メタクリ
ル酸、多官能の架橋モノマーである、エチレングリコー
ルジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリ
レート、１，４−ブタンジオールジメタクリレート、ネ
オペンチルグリコールジメタクリレート、グリセリンジ
メタクリレート、１，６−ヘキサンジオールジメタクリ
レート、トリメチロールプロパントリアクリレート、そ
の他２−ヒドロキシエチル（メタ）アクリレート、ヒド
ロキシプロピル（メタ）アクリレート、４−ヒドロキシ
ブチル（メタ）アクリレート等が挙げられる。
ノマーとしては酸モノマーであるアクリル酸、メタクリ
ル酸、多官能の架橋モノマーである、エチレングリコー
ルジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリ
レート、１，４−ブタンジオールジメタクリレート、ネ
オペンチルグリコールジメタクリレート、グリセリンジ
メタクリレート、１，６−ヘキサンジオールジメタクリ
レート、トリメチロールプロパントリアクリレート、そ
の他２−ヒドロキシエチル（メタ）アクリレート、ヒド
ロキシプロピル（メタ）アクリレート、４−ヒドロキシ
ブチル（メタ）アクリレート等が挙げられる。
【００２７】上記モノマーからなる共重合体の共重合比
は、アミノ基（アンモニウム基）含有アクリルモノマー
が５〜６０重量％、Ｎ複素環含有モノマーが２０〜８０
重量％、疎水基含有モノマーが５〜５０重量％、その他
のアクリルモノマーが０〜６０重量％である。
は、アミノ基（アンモニウム基）含有アクリルモノマー
が５〜６０重量％、Ｎ複素環含有モノマーが２０〜８０
重量％、疎水基含有モノマーが５〜５０重量％、その他
のアクリルモノマーが０〜６０重量％である。
【００２８】好ましくは、アミノ基（アンモニウム基）
含有アクリルモノマーが２０〜４０重量％、Ｎ複素環含
有モノマーが３０〜６０重量％、疎水基含有モノマーが
２０〜４０重量％である。
含有アクリルモノマーが２０〜４０重量％、Ｎ複素環含
有モノマーが３０〜６０重量％、疎水基含有モノマーが
２０〜４０重量％である。
【００２９】また、上記のその他モノマーを加える場合
の共重合比は、酸モノマーが１〜５０重量％、好ましく
は１０〜４０重量％、多官能の架橋モノマーが１〜１０
重量％である。
の共重合比は、酸モノマーが１〜５０重量％、好ましく
は１０〜４０重量％、多官能の架橋モノマーが１〜１０
重量％である。
【００３０】上記共重合体におけるＮ複素環含有モノマ
ーの共重合比が２０重量％未満の場合には、親水性、塗
膜密着性及び金属への付着性が低下する。一方、上記共
重合体におけるＮ複素環含有モノマーの共重合比が８０
重量％を超える場合には、耐食性は低下する。
ーの共重合比が２０重量％未満の場合には、親水性、塗
膜密着性及び金属への付着性が低下する。一方、上記共
重合体におけるＮ複素環含有モノマーの共重合比が８０
重量％を超える場合には、耐食性は低下する。
【００３１】また上記共重合体におけるアミノ基（アン
モニウム基）含有アクリルモノマーの共重合比が５重量
％未満の場合には、親水性が低下し、又アクリル樹脂と
重金属又はその塩とからなる無機皮膜同士の連結性が低
下する。一方、上記共重合体におけるアミノ基（アンモ
ニウム基）含有アクリルモノマーの共重合比が６０重量
％を超えると、耐食性が低下する。
モニウム基）含有アクリルモノマーの共重合比が５重量
％未満の場合には、親水性が低下し、又アクリル樹脂と
重金属又はその塩とからなる無機皮膜同士の連結性が低
下する。一方、上記共重合体におけるアミノ基（アンモ
ニウム基）含有アクリルモノマーの共重合比が６０重量
％を超えると、耐食性が低下する。
【００３２】更に、上記共重合体における疎水基含有モ
ノマーの共重合比が５重量％未満の場合には、すべり性
及び耐食性が低下する。一方、上記共重合体における疎
水基含有モノマーの共重合比が５０重量％を超える場合
には、親水性及び塗膜密着性が低下する。
ノマーの共重合比が５重量％未満の場合には、すべり性
及び耐食性が低下する。一方、上記共重合体における疎
水基含有モノマーの共重合比が５０重量％を超える場合
には、親水性及び塗膜密着性が低下する。
【００３３】また、本発明におけるＮ複素環を含むアク
リル樹脂含有金属表面処理組成物に含まれるアクリル樹
脂としては、上述したように、アクリル酸及びメタクリ
ル酸からなる酸モノマーと多官能の架橋モノマーとから
選ばれる少なくとも１種であることが好ましい。
リル樹脂含有金属表面処理組成物に含まれるアクリル樹
脂としては、上述したように、アクリル酸及びメタクリ
ル酸からなる酸モノマーと多官能の架橋モノマーとから
選ばれる少なくとも１種であることが好ましい。
【００３４】重金属 また、本発明に係るアクリル樹脂含有金属表面処理組成
物は、前記重金属が、ジルコニウム（Ｚｒ）、モリブデ
ン（Ｍｏ）、タングステン（Ｗ）、ニオブ（Ｎｂ）、ニ
ッケル（Ｎｉ）、コバルト（Ｃｏ）、マンガン（Ｍ
ｎ）、タンタル（Ｔａ）の少なくとも１種である。上記
重金属の供給源は、上記重金属の錯フッ化物が好まし
く、その他、硝酸塩、リン酸塩等も挙げられる。
物は、前記重金属が、ジルコニウム（Ｚｒ）、モリブデ
ン（Ｍｏ）、タングステン（Ｗ）、ニオブ（Ｎｂ）、ニ
ッケル（Ｎｉ）、コバルト（Ｃｏ）、マンガン（Ｍ
ｎ）、タンタル（Ｔａ）の少なくとも１種である。上記
重金属の供給源は、上記重金属の錯フッ化物が好まし
く、その他、硝酸塩、リン酸塩等も挙げられる。
【００３５】本発明に係るＮ複素環を含むアクリル樹脂
含有金属表面処理組成物に対して重金属の錯フッ化物の
含有量は、０．０１〜１０ｇ／ｌが好ましい。重金属の
錯フッ化物の含有量が０．０１ｇ／ｌ未満の場合には、
耐食性が低下する。一方、重金属の錯フッ化物の含有量
が１０ｇ／ｌを超える場合にも、耐食性が低下する。
含有金属表面処理組成物に対して重金属の錯フッ化物の
含有量は、０．０１〜１０ｇ／ｌが好ましい。重金属の
錯フッ化物の含有量が０．０１ｇ／ｌ未満の場合には、
耐食性が低下する。一方、重金属の錯フッ化物の含有量
が１０ｇ／ｌを超える場合にも、耐食性が低下する。
【００３６】本発明に係るＮ複素環を含むアクリル樹脂
含有金属表面処理組成物は、更にリン酸又はリン酸塩を
含有してもよい。リン酸又はリン酸塩としては、Ｈ3 Ｐ
Ｏ4、Ｎａ3 ＰＯ4 、Ｎａ2 ＨＰＯ4 、ＮａＨ2 Ｐ
Ｏ4 、（ＮＨ4 ）3 ＰＯ4 等が挙げられる。上記Ｎ複素
環を含むアクリル樹脂含有金属表面処理組成物に対して
リン酸又はリン酸塩の含有量は、０．０１〜２０ｇ／ｌ
であり、好ましくは、０．０５〜０．１ｇ／ｌである。
リン酸又はリン酸塩の含有量が０．０１ｇ／ｌ未満の場
合には、耐食性が低下する。リン酸又はリン酸塩の含有
量が２０ｇ／ｌを超えると、塗膜密着性が低下する。
含有金属表面処理組成物は、更にリン酸又はリン酸塩を
含有してもよい。リン酸又はリン酸塩としては、Ｈ3 Ｐ
Ｏ4、Ｎａ3 ＰＯ4 、Ｎａ2 ＨＰＯ4 、ＮａＨ2 Ｐ
Ｏ4 、（ＮＨ4 ）3 ＰＯ4 等が挙げられる。上記Ｎ複素
環を含むアクリル樹脂含有金属表面処理組成物に対して
リン酸又はリン酸塩の含有量は、０．０１〜２０ｇ／ｌ
であり、好ましくは、０．０５〜０．１ｇ／ｌである。
リン酸又はリン酸塩の含有量が０．０１ｇ／ｌ未満の場
合には、耐食性が低下する。リン酸又はリン酸塩の含有
量が２０ｇ／ｌを超えると、塗膜密着性が低下する。
【００３７】本発明に係るＮ複素環を含むアクリル樹脂
含有金属表面処理組成物は、必要に応じて、以下のエッ
チング剤やエッチング助剤を含有してもよい。
含有金属表面処理組成物は、必要に応じて、以下のエッ
チング剤やエッチング助剤を含有してもよい。
【００３８】エッチング剤 エッチング剤としては、フッ化水素及びその塩が挙げら
れる。そして、このエッチング剤は、金属表面処理組成
物に対して０．００５〜０．５ｇ／ｌ含有してもよい。
エッチング剤の含有量が０．００５ｇ／ｌ未満の場合に
は、エッチング性が不足し、塗装下地用皮膜が十分に金
属表面に形成されない。一方、エッチング剤の含有量が
０．５ｇ／ｌを超えると、エッチングが過多になる。
れる。そして、このエッチング剤は、金属表面処理組成
物に対して０．００５〜０．５ｇ／ｌ含有してもよい。
エッチング剤の含有量が０．００５ｇ／ｌ未満の場合に
は、エッチング性が不足し、塗装下地用皮膜が十分に金
属表面に形成されない。一方、エッチング剤の含有量が
０．５ｇ／ｌを超えると、エッチングが過多になる。
【００３９】エッチング助剤 エッチング助剤としては、過酸化水素（Ｈ2 Ｏ2 ）、亜
硝酸（ＨＮＯ2 ）、ＨＢＦ4 及びその塩が挙げられる。
そして、このエッチング助剤の過酸化水素（Ｈ
2 Ｏ2 ）、亜硝酸（ＨＮＯ2 ）、又はその塩は、金属表
面処理組成物に対して０．００５〜５ｇ／ｌ含有しても
よい。上記エッチング助剤の含有量が０．００５ｇ／ｌ
未満の場合には、耐食性が低下する。一方、上記エッチ
ング助剤の含有量が５ｇ／ｌを超えても、耐食性が低下
する。また、ＨＢＦ4 又はその塩は、金属表面処理組成
物に対して０．００３〜０．２ｇ／ｌ含有するのが好ま
しい。ＨＢＦ4 又はその塩の含有量が０．００３ｇ／ｌ
未満の場合には、耐食性が低下する。一方、ＨＢＦ4 又
はその塩の含有量が０．２ｇ／ｌを超えても、耐食性が
低下する。
硝酸（ＨＮＯ2 ）、ＨＢＦ4 及びその塩が挙げられる。
そして、このエッチング助剤の過酸化水素（Ｈ
2 Ｏ2 ）、亜硝酸（ＨＮＯ2 ）、又はその塩は、金属表
面処理組成物に対して０．００５〜５ｇ／ｌ含有しても
よい。上記エッチング助剤の含有量が０．００５ｇ／ｌ
未満の場合には、耐食性が低下する。一方、上記エッチ
ング助剤の含有量が５ｇ／ｌを超えても、耐食性が低下
する。また、ＨＢＦ4 又はその塩は、金属表面処理組成
物に対して０．００３〜０．２ｇ／ｌ含有するのが好ま
しい。ＨＢＦ4 又はその塩の含有量が０．００３ｇ／ｌ
未満の場合には、耐食性が低下する。一方、ＨＢＦ4 又
はその塩の含有量が０．２ｇ／ｌを超えても、耐食性が
低下する。
【００４０】処理条件と処理方法 本発明に係る金属表面処理方法は、上記Ｎ複素環を含む
アクリル樹脂含有金属表面処理組成物を金属表面に接触
させ、引き続き水洗・乾燥させる。また、上記金属表面
処理組成物のｐＨは、約２．０〜５．０であり、好まし
くは２．５〜３．５である。この時、ｐＨの調整は、Ｎ
ａＯＨ、アンモニア水溶液、硝酸等により行う。本発明
の金属表面処理組成物と金属材料との接触温度は、常温
（例えば２０℃）〜９０℃、好ましくは３５〜６５℃で
ある。一般には、金属材料と本発明に係るＮ複素環を含
むアクリル樹脂含有金属表面処理組成物との接触時間
は、接触温度が高いほど短くなる。
アクリル樹脂含有金属表面処理組成物を金属表面に接触
させ、引き続き水洗・乾燥させる。また、上記金属表面
処理組成物のｐＨは、約２．０〜５．０であり、好まし
くは２．５〜３．５である。この時、ｐＨの調整は、Ｎ
ａＯＨ、アンモニア水溶液、硝酸等により行う。本発明
の金属表面処理組成物と金属材料との接触温度は、常温
（例えば２０℃）〜９０℃、好ましくは３５〜６５℃で
ある。一般には、金属材料と本発明に係るＮ複素環を含
むアクリル樹脂含有金属表面処理組成物との接触時間
は、接触温度が高いほど短くなる。
【００４１】金属材料に対してスプレー塗布を行う場
合、約５秒間〜５分間、好ましくは１０〜６０秒間本発
明の組成物と接触させるのが一般的である。浸漬法を用
いる場合には、上記接触時間より長い接触時間を要す
る。その他、フローコート法、ロールコート法で接触さ
せても良い。
合、約５秒間〜５分間、好ましくは１０〜６０秒間本発
明の組成物と接触させるのが一般的である。浸漬法を用
いる場合には、上記接触時間より長い接触時間を要す
る。その他、フローコート法、ロールコート法で接触さ
せても良い。
【００４２】上記のように、表面処理を施された金属材
料は、水洗され、乾燥工程が入るが、乾燥温度は１５０
〜２４０℃であり、乾燥温度が１５０℃未満では、耐食
性が低下する。
料は、水洗され、乾燥工程が入るが、乾燥温度は１５０
〜２４０℃であり、乾燥温度が１５０℃未満では、耐食
性が低下する。
【００４３】更に、本発明の好ましい他の実施態様を以
下に示す。
下に示す。
【００４４】１．Ｎ複素環含有モノマーとして、Ｎ−ビ
ニルピロリドン、Ｎ−ビニルカプロラクタムを含むこと
を特徴とする金属表面処理組成物である。
ニルピロリドン、Ｎ−ビニルカプロラクタムを含むこと
を特徴とする金属表面処理組成物である。
【００４５】２．重金属は、ジルコニウム、ニオブ、マ
ンガン、タンタルの少なくとも１種であることを特徴と
する金属表面処理組成物である。
ンガン、タンタルの少なくとも１種であることを特徴と
する金属表面処理組成物である。
【００４６】３．アクリル樹脂の分子量は、５００〜１
００，０００であることを特徴とする金属表面処理組成
物である。
００，０００であることを特徴とする金属表面処理組成
物である。
【００４７】４．本発明の金属表面処理組成物に対する
アクリル樹脂の含有量は、０．０１〜１０ｇ／ｌであ
る。
アクリル樹脂の含有量は、０．０１〜１０ｇ／ｌであ
る。
【００４８】５．本発明の金属表面処理組成物に対する
アクリル樹脂の含有量は、０．１〜５ｇ／ｌである。
アクリル樹脂の含有量は、０．１〜５ｇ／ｌである。
【００４９】６．アクリル樹脂共重合体中のモノマーの
共重合比は、アミノ基（アンモニウム基）含有アクリル
モノマーが５〜６０重量％、Ｎ複素環含有モノマーが２
０〜８０重量％、疎水基含有モノマーが５〜５０重量
％、その他のアクリルモノマーが０〜６０重量％であ
る。
共重合比は、アミノ基（アンモニウム基）含有アクリル
モノマーが５〜６０重量％、Ｎ複素環含有モノマーが２
０〜８０重量％、疎水基含有モノマーが５〜５０重量
％、その他のアクリルモノマーが０〜６０重量％であ
る。
【００５０】７．アクリル樹脂共重合体中のアミノ基
（アンモニウム基）含有アクリルモノマーが２０〜４０
重量％、Ｎ複素環含有モノマーが３０〜６０重量％、疎
水基含有モノマーが２０〜４０重量％である。
（アンモニウム基）含有アクリルモノマーが２０〜４０
重量％、Ｎ複素環含有モノマーが３０〜６０重量％、疎
水基含有モノマーが２０〜４０重量％である。
【００５１】８．重金属の供給源は、その重金属の錯フ
ッ化物、硝酸塩、リン酸塩である。
ッ化物、硝酸塩、リン酸塩である。
【００５２】９．本発明の金属表面処理組成物に対して
重金属の錯フッ化物の含有量は、０．０１〜１０ｇ／ｌ
である。
重金属の錯フッ化物の含有量は、０．０１〜１０ｇ／ｌ
である。
【００５３】１０．更に、リン酸又はリン酸塩を含有す
ることを特徴とする金属表面処理組成物である。
ることを特徴とする金属表面処理組成物である。
【００５４】１１．上記「１０．」のリン酸又はリン酸
塩は、Ｈ3 ＰＯ4 、Ｎａ3 ＰＯ4 、Ｎａ2 ＨＰＯ4 、Ｎ
ａＨ2 ＰＯ4 、（ＮＨ4 ）3 ＰＯ4 であることを特徴と
する金属表面処理組成物である。
塩は、Ｈ3 ＰＯ4 、Ｎａ3 ＰＯ4 、Ｎａ2 ＨＰＯ4 、Ｎ
ａＨ2 ＰＯ4 、（ＮＨ4 ）3 ＰＯ4 であることを特徴と
する金属表面処理組成物である。
【００５５】１２．本発明の金属表面処理組成物に対し
てリン酸又はリン酸塩の含有量は、０．０１〜２０ｇ／
ｌである。
てリン酸又はリン酸塩の含有量は、０．０１〜２０ｇ／
ｌである。
【００５６】１３．更に、エッチング剤を含有すること
を特徴とする金属表面処理組成物である。
を特徴とする金属表面処理組成物である。
【００５７】１４．エッチング剤は、フッ化水素及びそ
の塩であることを特徴とする金属表面処理組成物であ
る。
の塩であることを特徴とする金属表面処理組成物であ
る。
【００５８】１５．エッチング剤の含有量は、本発明の
金属表面処理組成物に対して０．００５〜５ｇ／ｌであ
る。
金属表面処理組成物に対して０．００５〜５ｇ／ｌであ
る。
【００５９】１６．更に、エッチング助剤を含有するこ
とを特徴とする金属表面処理組成物である。
とを特徴とする金属表面処理組成物である。
【００６０】１７．エッチング助剤は、過酸化水素（Ｈ
2 Ｏ2 ）、亜硝酸（ＨＮＯ2 ）、ＨＢＦ4 及びその塩で
ある。
2 Ｏ2 ）、亜硝酸（ＨＮＯ2 ）、ＨＢＦ4 及びその塩で
ある。
【００６１】１８．過酸化水素（Ｈ2 Ｏ2 ）、（ＨＮＯ
2 ）、又はその塩の含有量は、本発明の金属表面処理組
成物に対して０．００５〜５ｇ／ｌである。
2 ）、又はその塩の含有量は、本発明の金属表面処理組
成物に対して０．００５〜５ｇ／ｌである。
【００６２】１９．ＨＢＦ4 又はその塩の含有量は、本
発明の金属表面処理組成物に対して０．００３〜０．２
ｇ／ｌである。
発明の金属表面処理組成物に対して０．００３〜０．２
ｇ／ｌである。
【００６３】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を
具体的に説明する。
具体的に説明する。
【００６４】実施例１〜１１及び比較例１〜３ （１）被処理物：Ａｌ−Ｍｎ系（ＪＩＳ−Ａ３００４）
アルミニウム合金板をＤＩ加工等して得られた成型缶。
アルミニウム合金板をＤＩ加工等して得られた成型缶。
【００６５】（２）表面処理皮膜評価方法：ここで、沸
水黒変性とは、食缶（アルミ缶）における、殺菌のため
に行う水道水等による沸水処理時に、未塗装部の素地が
水中の金属と作用して黒色化する現象に対する耐性をい
う。
水黒変性とは、食缶（アルミ缶）における、殺菌のため
に行う水道水等による沸水処理時に、未塗装部の素地が
水中の金属と作用して黒色化する現象に対する耐性をい
う。
【００６６】ａ）耐沸水黒変性：本実施例及び比較例の
組成物によって表面処理を行った金属材料を沸騰水道水
中に３０分間浸漬した後の外見評価を次の基準で行っ
た。
組成物によって表面処理を行った金属材料を沸騰水道水
中に３０分間浸漬した後の外見評価を次の基準で行っ
た。
【００６７】 ○ ： 外観の変化なし △ ： 僅かに黒変 × ： 黒変 ｂ）表面処理皮膜表面のすべり性：本実施例の方法で表
面処理を行った金属材料を「ＨＥＩＤＯＮ−１４型」試
験機で５ｍｍφ鋼球、荷重５０ｇ、触針速度３００ｍｍ
／ｍｉｎ．で動摩擦係数を求めた。
面処理を行った金属材料を「ＨＥＩＤＯＮ−１４型」試
験機で５ｍｍφ鋼球、荷重５０ｇ、触針速度３００ｍｍ
／ｍｉｎ．で動摩擦係数を求めた。
【００６８】 ○ ： ０．６未満 △ ： ０．６〜０．８ × ： ０．８を超える場合 ｃ）上塗り塗膜密着性：バーコーターによってＢＡＳＦ
社製塗料（ＥＢ−７０−００１Ｎ １５０ｍｇ／ｍ2 ／
ＥＢ−６９−００２Ｎ ６０ｍｇ／ｍ2 ）を処理金属材
料に塗装する。そしてこの塗装された金属材料を、ウェ
ッジベンディング加工し、折れ曲り部をニチバン製セロ
テープによりテープ剥離した時の塗膜剥離評価を次の基
準で行った。
社製塗料（ＥＢ−７０−００１Ｎ １５０ｍｇ／ｍ2 ／
ＥＢ−６９−００２Ｎ ６０ｍｇ／ｍ2 ）を処理金属材
料に塗装する。そしてこの塗装された金属材料を、ウェ
ッジベンディング加工し、折れ曲り部をニチバン製セロ
テープによりテープ剥離した時の塗膜剥離評価を次の基
準で行った。
【００６９】 ○ ： テープ剥離幅が１５ｍｍ未満 △ ： テープ剥離幅が１５〜２０ｍｍ × ： テープ剥離幅が２０ｍｍを超える。
【００７０】ｄ）耐レトルト性：本実施例及び比較例の
組成物によって表面処理を行った金属材料をオートクレ
ーブを使用し、１２５℃スチーム中に３０分間放置した
後の外観評価を次の基準で行った。
組成物によって表面処理を行った金属材料をオートクレ
ーブを使用し、１２５℃スチーム中に３０分間放置した
後の外観評価を次の基準で行った。
【００７１】 ○ ： 外観の変化なし △ ： 僅かに白変 × ： 白化 ここで、耐レトルト性とは、食缶（アルミ缶）におけ
る、殺菌のために行う加圧下スチーム処理時に、未塗装
部の素地が白化する現象に対する耐性をいう。 （３）金属表面処理条件： （実施例１）Ａｌ−Ｍｎ系（ＪＩＳ−Ａ３００４）成型
缶を３０ｇ／ｌ濃度の酸性脱脂剤（「サーフクリーナー
ＮＨＣ２５０」、日本ペイント（株）製）を用いて７５
℃、６０秒スプレーの条件で脱脂した後、水洗した。次
に、リン酸ジルコニウム系処理剤（「アルサーフ ４４
０」、日本ペイント（株）製）を２０ｇ／ｌに希釈した
水溶液に、表１に示す水溶性アクリル樹脂を０．５ｇ／
ｌ溶解させて本発明の金属表面処理組成物を作製し、そ
の組成物を用いて、５０℃で２０秒間スプレー処理を行
った。その後、水道水で水洗し、１９０℃で２分間加熱
乾燥を行った。その評価結果を表３に示す。
る、殺菌のために行う加圧下スチーム処理時に、未塗装
部の素地が白化する現象に対する耐性をいう。 （３）金属表面処理条件： （実施例１）Ａｌ−Ｍｎ系（ＪＩＳ−Ａ３００４）成型
缶を３０ｇ／ｌ濃度の酸性脱脂剤（「サーフクリーナー
ＮＨＣ２５０」、日本ペイント（株）製）を用いて７５
℃、６０秒スプレーの条件で脱脂した後、水洗した。次
に、リン酸ジルコニウム系処理剤（「アルサーフ ４４
０」、日本ペイント（株）製）を２０ｇ／ｌに希釈した
水溶液に、表１に示す水溶性アクリル樹脂を０．５ｇ／
ｌ溶解させて本発明の金属表面処理組成物を作製し、そ
の組成物を用いて、５０℃で２０秒間スプレー処理を行
った。その後、水道水で水洗し、１９０℃で２分間加熱
乾燥を行った。その評価結果を表３に示す。
【００７２】（実施例２〜７及び比較例１〜３）実施例
２〜７及び比較例１〜３は、表１に示した水溶性アクリ
ル樹脂と重金属の錯フッ化物とを、表２に示す配合量で
作製された金属表面処理組成物であって、これらの組成
物を上述の実施例１に準じて、金属表面処理を行った。
その評価結果を表３に示す。
２〜７及び比較例１〜３は、表１に示した水溶性アクリ
ル樹脂と重金属の錯フッ化物とを、表２に示す配合量で
作製された金属表面処理組成物であって、これらの組成
物を上述の実施例１に準じて、金属表面処理を行った。
その評価結果を表３に示す。
【００７３】
【表１】 註）ＮＶＰ：Ｎ−ビニルピロリドン ＶＩＺ：Ｎ−ビニルイミダゾール ＶＰ：ビニルピリジン ＤＭＡＥＡ：Ｎ，Ｎ−ジメチルアミノエチルアクリレー
ト ＤＭＡＰＡＡ：Ｎ，Ｎ−ジメチルアミノプロピルアクリ
ルアミド ＤＭＡＰＭＡ：Ｎ，Ｎ−ジメチルアミノプロピルメタク
リルアミド ＤＭＡＡｍ：Ｎ，Ｎ−ジメチルアクリルアミド ＮＢＡ：ｎ−ブチルアクリレート ＳＴ：スチレン ＥＨＡ：２−エチルヘキシルアクリレート ＬＭＡ：ラウリルメタクリレート ＨＥＡ：２−ヒドロキシエチルアクリレート
ト ＤＭＡＰＡＡ：Ｎ，Ｎ−ジメチルアミノプロピルアクリ
ルアミド ＤＭＡＰＭＡ：Ｎ，Ｎ−ジメチルアミノプロピルメタク
リルアミド ＤＭＡＡｍ：Ｎ，Ｎ−ジメチルアクリルアミド ＮＢＡ：ｎ−ブチルアクリレート ＳＴ：スチレン ＥＨＡ：２−エチルヘキシルアクリレート ＬＭＡ：ラウリルメタクリレート ＨＥＡ：２−ヒドロキシエチルアクリレート
【表２】 註）アルサーフ４４０；リン酸ジルコニム系処理剤、日
本ペイント（株）製
本ペイント（株）製
【表３】 これらの結果から、本発明の金属表面処理用組成物によ
れば、耐沸水黒変性、すべり性、上塗塗膜密着性のいず
れの性能も従来のものと比べ向上していることが判明し
た。
れば、耐沸水黒変性、すべり性、上塗塗膜密着性のいず
れの性能も従来のものと比べ向上していることが判明し
た。
【００７４】（実施例８〜１１）実施例８〜１１は、表
４に示した水溶性アクリル樹脂と重金属の錯フッ化物と
を、表５に示す配合量で調整された金属表面処理組成物
であって、これらの組成物を上述の実施例１に準じて、
金属表面処理を行った。その結果を表６に示す。
４に示した水溶性アクリル樹脂と重金属の錯フッ化物と
を、表５に示す配合量で調整された金属表面処理組成物
であって、これらの組成物を上述の実施例１に準じて、
金属表面処理を行った。その結果を表６に示す。
【表４】 註）ＭＡＡ：メタクリル酸 ＡＡ：アクリル酸 ＮＰＧＤＭ：ネオペンチルグリコールジメタクリレート ＳＭＡ：ステアリルメタクリレート その他の略語は、表１の註と同様である。
【００７５】
【表５】
【表６】 これらの結果から、本発明の金属表面処理組成物、特に
酸モノマー及び／又は多官能の架橋モノマーを含む組成
物は、上記特性に加え耐レトルト性も向上していること
が判明した。
酸モノマー及び／又は多官能の架橋モノマーを含む組成
物は、上記特性に加え耐レトルト性も向上していること
が判明した。
【００７６】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る金属表面処
理組成物によれば、重金属又はその塩からなる無機皮膜
によって透水性が抑制されるので、耐食性が向上する。
また、アクリル樹脂の中の窒素原子は、（重）金属に配
位するので、上記無機皮膜は、アクリル樹脂を介して相
互に連結される。従って、無機皮膜の凝集破壊が防止さ
れ、ほぼ均一な塗装下地用皮膜を金属表面に形成するこ
とができる。このため、塗装下地用皮膜と上塗塗膜との
密着性が向上する。本発明における塗装下地用皮膜と
は、アクリル性樹脂によって連結された上記無機皮膜か
らなる金属表面に形成された皮膜をいう。更に、アクリ
ル樹脂が塗装下地用皮膜表面にほぼ均一に存在するの
で、摩擦抵抗を下げることができ、すべり性を向上させ
ることができる。
理組成物によれば、重金属又はその塩からなる無機皮膜
によって透水性が抑制されるので、耐食性が向上する。
また、アクリル樹脂の中の窒素原子は、（重）金属に配
位するので、上記無機皮膜は、アクリル樹脂を介して相
互に連結される。従って、無機皮膜の凝集破壊が防止さ
れ、ほぼ均一な塗装下地用皮膜を金属表面に形成するこ
とができる。このため、塗装下地用皮膜と上塗塗膜との
密着性が向上する。本発明における塗装下地用皮膜と
は、アクリル性樹脂によって連結された上記無機皮膜か
らなる金属表面に形成された皮膜をいう。更に、アクリ
ル樹脂が塗装下地用皮膜表面にほぼ均一に存在するの
で、摩擦抵抗を下げることができ、すべり性を向上させ
ることができる。
【００７７】従って、本発明に係る金属表面処理組成物
によれば、従来に比べ著しく耐食性や塗膜密着性を改善
することができ、更にすべり性を付与することができ
る。
によれば、従来に比べ著しく耐食性や塗膜密着性を改善
することができ、更にすべり性を付与することができ
る。
【００７８】また、本発明の金属表面処理組成物によれ
ば、アルミニウム又はその合金を用いて食缶を製造する
場合には、ジャミングを防止することができ、コイルコ
ーティングにおいては、潤滑性を付与することができ
る。
ば、アルミニウム又はその合金を用いて食缶を製造する
場合には、ジャミングを防止することができ、コイルコ
ーティングにおいては、潤滑性を付与することができ
る。
【００７９】本発明の金属表面処理組成物は、食缶、自
動車のボディー、鋼板のコイルコーティング、建材等の
金属表面処理に用いることができる。
動車のボディー、鋼板のコイルコーティング、建材等の
金属表面処理に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前川 進 東京都品川区南品川４丁目１番地15号 日 本ペイント株式会社東京事業所内 (72)発明者 安原 清忠 東京都品川区南品川４丁目１番地15号 日 本ペイント株式会社東京事業所内
Claims (8)
- 【請求項１】 水溶性、水分散性又はエマルション性の
いずれかであって、窒素原子含有複素環、少なくともア
ミノ基もしくはアンモニウム基のいずれか一方及び疎水
基を含むアクリル樹脂と、重金属又はその塩と、を含有
することを特徴とするＮ複素環を含むアクリル樹脂含有
金属表面処理組成物。 - 【請求項２】 請求項１に記載のＮ複素環を含むアクリ
ル樹脂含有金属表面処理組成物において、 前記アクリル樹脂内のアミノ基もしくはアンモニウム基
は、少なくとも下記化１又は化２に示す構造を有するこ
とを特徴とするＮ複素環を含むアクリル樹脂含有金属表
面処理組成物。 【化１】 【化２】 - 【請求項３】 請求項１に記載のＮ複素環を含むアクリ
ル樹脂含有金属表面処理組成物において、 前記アクリル樹脂内のアミノ基もしくはアンモニウム基
は、少なくとも下記化３又は化４に示す構造のモノマー
を共重合させることにより導入されることを特徴とする
Ｎ複素環を含むアクリル樹脂含有金属表面処理組成物。 【化３】 【化４】 - 【請求項４】 請求項１に記載のＮ複素環を含むアクリ
ル樹脂含有金属表面処理組成物において、 前記アクリル樹脂に含まれる疎水基は、少なくとも下記
化５に示す構造のモノマーを共重合させることにより導
入されることを特徴とするＮ複素環を含むアクリル樹脂
含有金属表面処理組成物。 【化５】 - 【請求項５】 請求項１に記載のＮ複素環を含むアクリ
ル樹脂含有金属表面処理組成物において、 前記アクリル樹脂は、アクリル酸及びメタクリル酸から
なる酸モノマーと多官能の架橋モノマーとから選ばれる
少なくとも１種が更に共重合されていることを特徴とす
るＮ複素環を含むアクリル樹脂含有金属表面処理組成
物。 - 【請求項６】 請求項１に記載のＮ複素環を含むアクリ
ル樹脂含有金属表面処理組成物において、 前記重金属は、ジルコニウム、モリブデン、タングステ
ン、ニオブ、ニッケル、コバルト、マンガン、タンタル
の少なくとも１種であることを特徴とするＮ複素環を含
むアクリル樹脂含有金属表面処理組成物。 - 【請求項７】 請求項１から請求項６のいずれかに記載
のＮ複素環を含むアクリル樹脂含有金属表面処理組成物
を金属表面に接触させ、引き続き水洗・乾燥させること
を特徴とする金属表面処理方法。 - 【請求項８】 請求項１から請求項６のいずれかに記載
のＮ複素環を含むアクリル樹脂含有金属表面処理組成物
を用いて表面処理されたことを特徴とする表面処理金属
材料。
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| JP27836796 | 1996-10-21 | ||
| JP9266063A JPH10182916A (ja) | 1996-10-21 | 1997-09-30 | Ｎ複素環を含むアクリル樹脂含有金属表面処理組成物、処理方法及び処理金属材料 |
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