JPH10177032A - 加速度センサ - Google Patents

加速度センサ

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JPH10177032A
JPH10177032A JP8353562A JP35356296A JPH10177032A JP H10177032 A JPH10177032 A JP H10177032A JP 8353562 A JP8353562 A JP 8353562A JP 35356296 A JP35356296 A JP 35356296A JP H10177032 A JPH10177032 A JP H10177032A
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acceleration
sub
acceleration sensor
detection
power supply
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JP8353562A
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Inventor
Kazuhiro Okada
和廣 岡田
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Wako KK
Original Assignee
Wako KK
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Publication date
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    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01PMEASURING LINEAR OR ANGULAR SPEED, ACCELERATION, DECELERATION, OR SHOCK; INDICATING PRESENCE, ABSENCE, OR DIRECTION, OF MOVEMENT
    • G01P15/00Measuring acceleration; Measuring deceleration; Measuring shock, i.e. sudden change of acceleration
    • G01P15/02Measuring acceleration; Measuring deceleration; Measuring shock, i.e. sudden change of acceleration by making use of inertia forces using solid seismic masses
    • G01P15/08Measuring acceleration; Measuring deceleration; Measuring shock, i.e. sudden change of acceleration by making use of inertia forces using solid seismic masses with conversion into electric or magnetic values
    • G01P2015/0805Measuring acceleration; Measuring deceleration; Measuring shock, i.e. sudden change of acceleration by making use of inertia forces using solid seismic masses with conversion into electric or magnetic values being provided with a particular type of spring-mass-system for defining the displacement of a seismic mass due to an external acceleration
    • G01P2015/0822Measuring acceleration; Measuring deceleration; Measuring shock, i.e. sudden change of acceleration by making use of inertia forces using solid seismic masses with conversion into electric or magnetic values being provided with a particular type of spring-mass-system for defining the displacement of a seismic mass due to an external acceleration for defining out-of-plane movement of the mass
    • G01P2015/084Measuring acceleration; Measuring deceleration; Measuring shock, i.e. sudden change of acceleration by making use of inertia forces using solid seismic masses with conversion into electric or magnetic values being provided with a particular type of spring-mass-system for defining the displacement of a seismic mass due to an external acceleration for defining out-of-plane movement of the mass the mass being suspended at more than one of its sides, e.g. membrane-type suspension, so as to permit multi-axis movement of the mass

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  • Measuring Volume Flow (AREA)
  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)
  • Geophysics And Detection Of Objects (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低消費電力で動作可能な地震計に適した電子
式加速度センサを提供する。 【解決手段】 加速度の作用で撓みが生じる圧電素子を
用意し、その上面に電極A1〜A9を配置し、下面に共
通電極Bを配置する。平常時は、スイッチ181は開放
状態を維持し、主検出素子群160は休眠状態となる。
副検出素子170に対する電力供給は常に行われ、モニ
タ用電極A9で発生した電荷はアンプ171を介して端
子Tmに与えられる。地震の初期振動により、端子Tm
の信号がしきい値を越えた場合、制御信号によりスイッ
チ181が閉じられ、主検出素子群160に対する電力
供給が行われる。X軸,Y軸,Z軸方向の各加速度成分
の作用により各電極に発生した電荷は、アンプ161〜
163を介して端子Tx,Ty,Tzに与えられ、コン
ピュータ180で検出される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は加速度センサに関
し、特に、地震の振動検出に用いるのに適した低消費電
力型の多次元加速度センサに関する。
【0002】
【従来の技術】都市生活でごく日常的に利用されている
インフラ設備には、災害時における対応策を盛り込むこ
とが不可欠であり、特に、地震対策はその最も重要な課
題である。たとえば、エレベータの運転制御装置は、地
震の振動を検知したら、かごを最寄階で停止させ、運転
を停止させる必要がある。また、都市ガスの供給系に
は、マイクロコンピュータを内蔵したガスメータが設置
されており、地震の振動を検知すると、ガスの供給弁を
閉鎖し、自動的にガスの供給を停止させる機能が付加さ
れている。
【0003】このような地震の振動を検出するためのセ
ンサとして、従来は、機械式の加速度センサが用いられ
ている。たとえば、ガスメータに内蔵されている一般的
な地震計は、いわゆる「ボール式感震センサ」であり、
半球状のカップの底に、自由に転がる状態でボールを収
容し、カップの縁の部分に機械式スイッチを設けたもの
である。地震の揺れにより、ボールがカップの内壁面を
底から縁へと伝い上がり機械式スイッチに接触すると、
電気的な検出信号が得られるしくみになっている。
【0004】この「ボール式感震センサ」は、単純な構
造ではあるが、機械式スイッチのON/OFFの状態を
示す信号しか得られないため、検出結果を示す情報量は
乏しいと言わざるを得ない。通常、地震には、「横揺れ
成分(水平方向の振動成分)」と「縦揺れ成分(垂直方
向の振動成分)」とが含まれており、前者はS波と呼ば
れている振動波に起因する揺れの成分であり、後者はP
波と呼ばれている振動波に起因する揺れの成分である。
一般に、地震による被害を予測するためには、「横揺れ
成分」と「縦揺れ成分」との双方を別個独立して検出す
るのが望ましい。ところが、従来から用いられている
「ボール式感震センサ」は、その構造上、「横揺れ成
分」の検出しか行うことができない(「縦揺れ」が生じ
ても、センサ全体が上下に振動するため、ボールがカッ
プの縁まで転がり上ることがなく、機械式スイッチを動
作させることができない)。また、この「ボール式感震
センサ」は、機械的な構成要素を含むため、小型化が困
難であるという別な問題もかかえている。
【0005】このような機械式の加速度センサに代わっ
て、近年、電子式の加速度センサが種々提案されてお
り、特に、最近では、二次元あるいは三次元の加速度を
各方向成分ごとに独立して検出し、電気信号として出力
することが可能な多次元加速度センサが注目を集めてい
る。たとえば、特許協力条約に基づく国際公開公報第W
O88/08522号には、ピエゾ抵抗素子を用いた三
次元加速度センサが開示されている。このセンサでは、
複数のピエゾ抵抗素子を半導体基板上の特定の位置に形
成することにより、XYZ三次元座標系における各座標
軸方向の加速度成分をそれぞれ独立して検出することが
できる。また、国際公開公報第WO91/10118号
や同WO92/17759号公報には、静電容量素子を
用いた三次元加速度センサが開示されており、国際公開
公報第WO93/02342号公報には、圧電素子を用
いた三次元加速度センサが開示されている。これらのセ
ンサでは、複数の電極を特定の位置に形成することによ
り、やはりXYZ三次元座標系における各座標軸方向の
加速度成分をそれぞれ独立して検出することができる。
【0006】上述した電子式の多次元加速度センサを地
震計として利用すれば、「横揺れ成分」と「縦揺れ成
分」との双方を別個独立して検出することが可能にな
る。しかも、検出結果は、各方向成分ごとの大きさを示
す電気信号として出力されるため、マイクロコンピュー
タなどを用いてエレベータの運転制御やガスの供給制御
を行う上で非常に適している。また、電子式の加速度セ
ンサは、半導体回路などで利用されている集積化の技術
を転用して大量生産を行うことも可能であり、小型化や
量産化にも適している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、機械
式の加速度センサに比べ、電子式の加速度センサは、多
次元の検出値を電気信号として得ることができ、小型化
や量産化に適しているというメリットを有するが、消費
電力の面で問題がある。機械式の加速度センサの場合、
振動が生じたときにのみ電力が消費される構造を採るこ
とが可能であり、電力供給を常時行う必要はない。たと
えば、現在、多くのガスメータに内蔵されている「ボー
ル式感震センサ」は、地震のない平常時は、ボールがカ
ップの底に静止した状態となっており、カップの縁に取
り付けられた機械式スイッチはOFFの状態を維持して
いる。この状態では、原理的には、電力消費は一切生じ
ない。別言すれば、地震の振動により、ボールがカップ
の縁へと転がり上り、機械式スイッチをONにしたとき
にのみ電力が消費されることになる。
【0008】これに対して、上述した電子式の加速度セ
ンサは、電力の供給を受けてはじめてセンサとしての正
常動作を行う機構になっているため、電力供給を常時行
っていなければ、センサとして機能しない。もちろん、
一般的な工作機械などに取り付けて利用する場合には、
常時、電力供給を行うことを前提とした加速度センサで
も何ら問題はない。しかしながら、地震計の場合、平常
時は振動のない環境に設置されながら、非常に長い期間
にわたって万一の振動発生を検知する役目を果たす必要
がある。このため、電力供給を常時必要とする電子式の
加速度センサを地震計に利用するには、徹底した低消費
電力化を図ることが不可欠である。
【0009】たとえば、わが国の基準によると、ガスメ
ータは10年ごとに交換されることになっているため、
ガスメータ用の地震計として用いる加速度センサには、
少なくとも10年間は電池交換なしに動作し続けるとい
う性能が要求されることになる。
【0010】そこで本発明は、低消費電力で動作可能な
電子式の加速度センサを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第1の態様は、所定の検出軸方向の加速
度成分を検出する複数の主検出素子と、これら主検出素
子に対して電力を供給する主電力供給手段と、個々の主
検出素子をそれぞれの検出軸方向が互いに異なるような
配置となるように支持する支持手段と、を備え、各主検
出素子に対して主電力供給手段から電力供給を行うこと
により、複数の検出軸方向の加速度成分をそれぞれ独立
した電気信号として出力する機能をもった加速度センサ
において、予め設定したモニター用検出軸方向の加速度
成分を検出できるように支持手段によって支持された副
検出素子と、この副検出素子により検出される加速度成
分が電気信号として出力されるように、副検出素子に対
して電力を供給する副電力供給手段と、副電力供給手段
に対しては、センサ動作中の期間における少なくとも主
電力供給手段が電力供給を行っていない期間は、電力供
給を行うよう制御し、主電力供給手段に対しては、副検
出素子の出力する電気信号が所定のしきい値レベル以上
の場合にのみ、電力供給を行うよう制御する制御手段
と、を更に設けたものである。
【0012】(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1
の態様に係る加速度センサにおいて、複数組の副検出素
子を、それぞれのモニター用検出軸方向が互いに異なる
ような配置となるように、支持手段によって支持したも
のである。
【0013】(3) 本発明の第3の態様は、上述の第1
または第2の態様に係る加速度センサにおいて、複数の
主検出素子のうちの一部を副検出素子として兼用し、主
電力供給手段の一部を副電力供給手段として兼用するよ
うにしたものである。
【0014】(4) 本発明の第4の態様は、上述の第1
〜第3の態様に係る加速度センサにおいて、副電力供給
手段による電力供給を、所定のサンプリング周期をもっ
たパルス信号を用いて断続的に行うようにしたものであ
る。
【0015】(5) 本発明の第5の態様は、上述の第1
〜第4の態様に係る加速度センサにおいて、中心部と周
辺部とのいずれか一方がセンサ筐体に固定され、他方に
重錘体が形成された可撓性をもった基板により支持手段
を構成し、この可撓性基板の中心部に原点Oを定め、基
板主面がXY平面に含まれるようにXYZ三次元座標系
を定義したときに、基板のX軸の正の部分の応力もしく
は変位を検出する第1の検出器と、基板のX軸の負の部
分の応力もしくは変位を検出する第2の検出器と、基板
のY軸の正の部分の応力もしくは変位を検出する第3の
検出器と、基板のY軸の負の部分の応力もしくは変位を
検出する第4の検出器と、を設け、第1の検出器と第2
の検出器とによりX軸方向を検出軸方向とする主検出素
子を構成し、第3の検出器と第4の検出器とによりY軸
方向を検出軸方向とする主検出素子を構成し、更に、基
板の任意の一部分の応力もしくは変位を検出する補助検
出器を設け、この補助検出器により副検出素子を構成し
たものである。
【0016】(6) 本発明の第6の態様は、上述の第5
の態様に係る加速度センサにおいて、重錘体にZ軸方向
の力が作用したときに可撓性基板に生じる応力もしくは
変位を検出する検出器を更に設け、この検出器によりZ
軸方向を検出軸方向とする主検出素子を構成したもので
ある。
【0017】(7) 本発明の第7の態様は、上述の第1
〜第6の態様に係る加速度センサにおいて、加速度の作
用により応力が加わるように構成された圧電素子の基板
を支持手段として用い、この圧電素子の所定部分に発生
する電荷を検出する電極と、この電極で検出された電荷
量を電気信号として出力する電子回路と、によって各検
出素子を構成したものである。
【0018】(8) 本発明の第8の態様は、上述の第1
〜第6の態様に係る加速度センサにおいて、加速度の作
用により応力が加わるように構成された単結晶基板を支
持手段として用い、この単結晶基板上の所定位置に形成
されたピエゾ抵抗素子と、このピエゾ抵抗素子の抵抗値
の変化を電気信号として出力する電子回路と、によって
各検出素子を構成したものである。
【0019】(9) 本発明の第9の態様は、上述の第1
〜第6の態様に係る加速度センサにおいて、加速度の作
用により撓みが生じるように構成された可撓性基板と、
この可撓性基板に対向する位置に配置された固定基板
と、によって支持手段を構成し、可撓性基板上の所定位
置に配置された変位電極と、固定基板上の所定位置に配
置された固定電極と、によって容量素子を構成し、この
容量素子と、この容量素子の容量値の変化を電気信号と
して出力する電子回路と、によって各検出素子を構成し
たものである。
【0020】(10) 本発明の第10の態様は、上述の第
7の態様に係る加速度センサにおいて、副検出素子を構
成する圧電素子に発生した電荷に基づいてON/OFF
動作するトランジスタを設け、このトランジスタに流れ
る電流を副検出素子からの電気信号として取り出すよう
にしたものである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示する実施形態
に基づいて説明する。図1は、従来の一般的な電子式の
三次元加速度センサの基本構成を示すブロック図であ
る。この加速度センサは、XYZ三次元座標系における
X軸方向の加速度成分αx、Y軸方向の加速度成分α
y、Z軸方向の加速度成分αzをそれぞれ別個独立して
検出し、これらを電気信号として出力する機能を有して
いる。ここで、X軸方向主検出素子11は、X軸方向の
加速度成分αxを検出する機能を有し、Y軸方向主検出
素子12は、Y軸方向の加速度成分αyを検出する機能
を有し、Z軸方向主検出素子13は、Z軸方向の加速度
成分αzを検出する機能を有している。また、主電力供
給手段20は、これらの各主検出素子11〜13を動作
させるための電力供給を行う機能を有している。各主検
出素子11〜13は、この電力供給を受けることにより
動作する検出素子であり、電力供給が停止すると動作は
停止する。一方、支持手段30は、各主検出素子11〜
13をそれぞれ特定の方向に配置した状態で支持固定す
る手段である。上述のように、各主検出手段11〜13
は、それぞれXYZ三次元座標系における各座標軸方向
の加速度成分を検出する機能を有しており、それぞれが
特定の方向性をもった検出処理を行うことになる。支持
手段30は、個々の主検出手段11〜13による検出軸
方向がそれぞれ異なるように(この実施形態では、各検
出軸方向が互いに直交するように)、各主検出手段11
〜13を所定の向きに配置して支持固定する役目を果た
す。
【0022】この図1に示すような構成をもった加速度
センサは、作用した加速度についてのXYZ三次元座標
系における各座標軸方向成分を、それぞれ独立した電気
信号として検出することができるので、作用した加速度
の三次元空間内での向きと大きさを特定することができ
る。したがって、この加速度センサを地震計として利用
すれば、「横揺れ成分」と「縦揺れ成分」とを独立して
認識できることはもとより、揺れの方向について、正確
な角度まで特定することが可能になる。
【0023】しかしながら、この加速度センサを動作さ
せるには、主電力供給手段20から各主検出手段11〜
13へ電力供給を行うことが前提となるため、地震計と
して機能させるためには、主電力供給手段20からの電
力供給を常時行う必要がある。したがって、たとえば、
10年間電池交換なしで動作することが要求される用途
に利用する場合には、内蔵電池で10年分の消費電力を
賄う必要があり、消費電力を低減させるための工夫が不
可欠となる。
【0024】図2は、本発明に係る電子式の三次元加速
度センサの基本構成を示すブロック図である。この加速
度センサは、図1に示した従来の加速度センサと同様
に、XYZ三次元座標系における各軸方向の加速度成分
αx、αy、αzをそれぞれ独立した電気信号として出
力する機能を有する。ここで、各主検出素子11〜1
3、主電力供給手段20、支持手段30は、図1に示す
従来の加速度センサと同様の構成要素である。この加速
度センサの特徴は、従来の電子式加速度センサに、更
に、副検出素子40、副電力供給手段50、制御手段6
0を付加した点にある。
【0025】副検出素子40は、予め設定したモニター
用検出軸方向の加速度成分を検出できるように支持手段
30によって支持された素子である。ここで、モニター
用検出軸は、加速度(振動)を監視する対象となる方向
を示す軸であり、用途に応じて最も効果的と思われる方
向に、モニター用検出軸を設定すればよい。もちろん、
このモニター用検出軸は、主検出素子の検出軸と同じ方
向(具体的には、X軸,Y軸,Z軸)に設定してもかま
わない。実用上は、各主検出素子11〜13および副検
出素子40を、物理的に同じ構造をもち同じ原理を利用
した同種の検出素子で構成するのが、全体の構造を単純
化し、製造コストを低減させる上で好ましい。
【0026】副電力供給手段50は、副検出素子40に
対して電力供給を行うための手段であり、電力を供給す
るという本質的な機能に関しては、主電力供給手段20
と全く同じである。副検出素子40は、副電力供給手段
50からの電力供給を受けることにより、モニター用検
出軸方向の加速度成分、すなわち、モニター加速度成分
αmを電気信号として出力する。
【0027】制御手段60は、主電力供給手段20およ
び副電力供給手段50に対して、電力供給指示を与える
機能を有する。まず、副電力供給手段50に対しては、
センサ動作中は常時、電力供給を行う旨の指示が与えら
れる。すなわち、この加速度センサの電源スイッチをO
Nにすると、制御手段60から副電力供給手段50に対
して常に電力供給を行う旨の指示が与えられ、副検出素
子40はこの電力供給を受けて、常時、検出動作を行う
ことになる。一方、主電力供給手段20に対しては、副
検出素子40から電気信号として出力されるモニター加
速度成分αmの値が、所定のしきい値レベル以上の場合
にのみ、電力供給を行う旨の指示が与えられる。別言す
れば、モニター加速度成分αmの値がしきい値レベルに
達しない場合、主電力供給手段20には、給電停止の指
示が与えられることになり、各主検出素子11〜13に
対する電力供給は行われないことになる。
【0028】結局、この図2に示す本発明の加速度セン
サを地震計として利用した場合、電源スイッチをONに
することにより、まず、副電力供給手段50から副検出
素子40に対して電力供給が行われ、主電力供給手段2
0から各主検出素子11〜13に対する電力供給は停止
した状態になる。別言すれば、主検出素子11〜13は
動作せず、副検出素子40のみが動作した状態になる。
副検出素子40は、所定のモニター用検出軸方向の加速
度成分αmを検出して電気信号として出力するが、平常
時、所定の大きさ以上の地震が発生しなければ、モニタ
ー加速度成分αmはしきい値以下の値となるので、制御
手段60は、依然として、副電力供給手段50に対して
のみ電力供給を行う旨の指示を与えることになる。こう
して、この加速度センサの平常時の動作モードでは、副
検出素子40のみが機能している状態が続くことにな
る。
【0029】ところが、実際に地震が発生すると、副検
出素子40の出力するモニター加速度成分αmが所定の
しきい値を越え、地震の初期振動が検出されることにな
る。すると、制御手段60は、主電力供給手段20に対
して電力供給を開始するよう指示を与える。その結果、
主電力供給手段20から各主検出素子11〜13に対し
て電力が供給され、各主検出素子11〜13はそれぞれ
本来の検出動作を開始する。これにより、加速度の各軸
方向成分αx,αy,αzがそれぞれ独立して検出さ
れ、電気信号として出力されることになる。やがて、地
震の振動が収まり、副検出素子40の出力するモニター
加速度成分αmが所定のしきい値に満たなくなると、制
御手段60から主電力供給手段20に対して、電力供給
を停止するよう指示が与えられる。その結果、主電力供
給手段20から各主検出素子11〜13に対する電力供
給は停止し、各主検出素子11〜13は動作を停止する
ことになる。
【0030】このように、本発明に係る加速度センサで
は、各主検出素子11〜13は、平常時は休眠状態とな
っており、地震の初期振動が検出されてから地震が収ま
るまでの間だけ動作することになる。したがって、平常
時に消費される電力は、副検出素子40の動作に必要な
電力だけであり、図1に示す従来の加速度センサに比べ
て、消費電力が軽減されることになる。具体的には、副
検出素子40として、仮に、各主検出素子11〜13と
同程度の消費電力を要する素子を用いた場合であって
も、図2に示す加速度センサの平常時の消費電力は、図
1に示す加速度センサの平常時の消費電力の1/3に低
減されることになる。
【0031】モニター加速度成分αmに対するしきい値
は、用途に応じて適当に設定すればよい。微小な振動ま
でも検出できる高感度の測定が必要な場合には、しきい
値を低く設定するようにすればよいし、逆に、高感度の
測定は不要だが消費電力をできるだけ低減させる必要が
ある場合には、しきい値を高く設定すればよい。
【0032】また、副検出素子40による検出対象とな
るモニター用検出軸の向きも、用途に応じて適宜設定す
ればよい。後述する実施例のように、可撓性基板を支持
手段として用い、この可撓性基板の各部の応力もしくは
変位を検出する検出器によって検出素子を構成すると、
1つの検出器によって複数の検出軸に関する加速度の検
出が可能になる。したがって、「縦揺れ成分」と「横揺
れ成分」との双方を検出する必要ある地震計などに利用
するには便利である。たとえば、図3に示すXYZ三次
元座標系において、各主検出素子11〜13による検出
軸方向が、それぞれDx,Dy,Dz(すなわち、X軸
方向,Y軸方向,Z軸方向)であったとしよう。この場
合、図のような2つのモニター用検出軸Dm11,Dm
12に関する加速度をともに検出することができる検出
素子を副検出素子として用いれば、この副検出素子によ
って、「横揺れ成分(モニター用検出軸Dm11の方向
の成分)」と「縦揺れ成分(モニター用検出軸Dm12
の方向の成分)」との双方を検出することが可能にな
る。
【0033】もっとも、この場合、2つのモニター用検
出軸Dm11,Dm12の双方に直交する方向について
の「横揺れ成分」は検出することができない。三次元空
間内のどのような方向の揺れについても、副検出素子に
よって検出する必要がある場合には、2組の副検出素子
を設けるようにすればよい。たとえば、第1の副検出素
子41と第2の副検出素子42とを用意し、図3に示す
ように、第1の副検出素子41によって、2つのモニタ
ー用検出軸Dm11,Dm12に関する加速度成分の検
出が可能になり、第2の副検出素子42によって、2つ
のモニター用検出軸Dm21,Dm22に関する加速度
成分の検出が可能になるように、これら2組の副検出素
子を配置すればよい。各モニター用検出軸の向きは、少
なくとも3つの検出軸が互いに平行にならないような関
係になればよい。ただ、最も効率的な検出を行うために
は、3つの検出軸が互いに直交するような関係に設定す
るのが好ましい。図3に示す例では、3つの検出軸Dm
11,Dm12,Dm21が互いに直交しており、この
ような2組の副検出素子41,42を用いれば、互いに
直交する3つの方向(図3に示す検出軸Dm11,Dm
12,Dm21)に沿ったすべての加速度成分をモニタ
ーすることができる。
【0034】図4は、上述した2組の副検出素子41,
42を用いた加速度センサの基本構成を示すブロック図
である。図2に示す加速度センサとの相違点は、副検出
素子40の代わりに2組の副検出素子41,42を用い
た点である。第1の副検出素子41からは、モニター加
速度成分αm1(図3に示すモニター用検出軸Dm11
またはDm12に沿った加速度方向成分)が出力され、
第2の副検出素子42からは、モニター加速度成分αm
2(図3に示すモニター用検出軸Dm21またはDm2
2に沿った加速度方向成分)が出力される。制御手段6
0は、モニター加速度成分αm1またはαm2のいずれ
か一方が所定のしきい値以上になったときに、主電力供
給手段20に対して電力供給を開始する旨の指示を与え
る。なお、モニター加速度成分αm1とαm2とで、そ
れぞれ異なるしきい値を設定してもよい。
【0035】本発明を実施する上では、複数の主検出素
子のうちの一部を副検出素子として兼用し、主電力供給
手段の一部を副電力供給手段として兼用することも可能
である。図5は、このような兼用を行った実施形態の基
本構成を示すブロック図である。この例では、3つの主
検出素子のうち、X軸方向主検出素子11の一部を第1
の副検出素子として兼用し、Y軸方向主検出素子12の
一部を第2の副検出素子として兼用するようにしてい
る。また、主電力供給手段25の一部が副電力供給手段
55として兼用されている。
【0036】平常時、制御手段60は、主電力供給手段
25内の一部を構成する副電力供給手段55に対して、
X軸方向主検出素子11の一部を構成する第1の副検出
素子への電力供給と、Y軸方向主検出素子12の一部を
構成する第2の副検出素子への電力供給とを指示する。
この動作モードでは、X軸方向主検出素子11およびY
軸方向主検出素子12は、その一部分のみしか動作して
おらず、また、Z軸方向主検出素子13には電力供給は
行われていないため、本来の動作に比べると消費電力は
少なくてすむ。すなわち、X軸方向主検出素子11は、
本来、X軸方向の加速度成分αxの正確な値を検出する
機能を有し、Y軸方向主検出素子12は、本来、Y軸方
向の加速度成分αyの正確な値を検出する機能を有する
が、この平常時の動作モードでは、このような正確な値
を検出する必要はないため、その一部分のみを動作させ
れば足りる。こうして、この平常時の動作モードでは、
第1の副検出素子(X軸方向主検出素子11の一部)か
らはモニター加速度成分αm1が出力され、第2の副検
出素子(Y軸方向主検出素子12の一部)からはモニタ
ー加速度成分αm2が出力されることになる。
【0037】制御手段60は、このモニター加速度成分
αm1,αm2のいずれかが、所定のしきい値(同一の
しきい値でもよいし、それぞれ別個のしきい値でもよ
い)以上になった場合、主電力供給手段25に対して電
力供給を行うよう指示を与える。これにより、各主検出
素子11〜13には本来の動作を行うための電力供給が
行われ、作用している加速度の各軸方向成分の正確な検
出値αx,αy,αzが出力されることになる。このと
き、モニター加速度成分αm1,αm2も引き続き出力
され、これら双方の値がともに所定のしきい値未満にな
ったら、制御手段60から主電力供給手段25に対し
て、電力供給を停止するよう指示が出される。以後、副
電力供給手段55からの電力供給だけ引き続き継続さ
れ、平常時の動作モードに復帰することになる。
【0038】このように主電力供給手段と副電力供給手
段とを一部兼用し、主検出素子と副検出素子とを一部兼
用すれば、全体的な構成はより単純化される。このよう
な兼用を行った具体的な実施例については後述する。
【0039】なお、主電力供給手段からの電力供給が開
始した時点で、副電力供給手段からの電力供給を一時休
止させるようにしてもよい。この場合、主検出素子を一
時的に副検出素子として利用し、主検出素子の出力する
信号が所定のしきい値未満になったら、主電力供給手段
の電力供給を停止させ、副電力供給手段からの電力供給
を再開すればよい。
【0040】続いて、平常時における消費電力を更に低
減させるための付加的なアプローチを述べておく。この
方法は、検出対象となる加速度の主たる周波数成分が、
一定の周波数以下の成分しか含まないような場合に有効
であり、特に地震に基づく加速度検出には非常に効果的
である。一般に、地震の揺れを構成する周波数成分のう
ち、ある程度の大きさの振幅をもった主たる周波数成分
の最大値はたかだか10Hz程度であることが知られて
いる。したがって、本発明に係る加速度センサにおい
て、平常時の動作モードで地震の揺れをモニターする場
合、揺れを常時モニターし続ける必要はない。たとえ
ば、上述した地震の揺れの最大周波数10Hzに対し
て、十分に余裕をもって、50Hz程度のサンプリング
周波数を定め、このサンプリング周波数で周期的にモニ
ターを行えばよい。別言すれば、本発明に係る加速度セ
ンサを地震計として利用する場合、副検出素子による平
常時の検出動作は、50Hzのサンプリング周波数、す
なわち、20msの周期で実行すれば足りる。
【0041】結局、地震計に限らず、一定の周波数以下
の成分しか含まないような加速度成分を測定する場合、
副電力供給手段50,55から副検出素子40,41,
42に対する電力供給は、図6に示すように、給電状態
と非給電状態とを交互に繰り返すパルス信号を用いて断
続的に行えば十分である。特に、地震計として利用する
場合、パルス信号の周期Lを20ms(サンプリング周
波数50Hz)程度に設定すれば十分である。また、パ
ルス信号のパルス幅Wとしては、瞬時における加速度検
出を行うのに十分な時間が確保できればよく、たとえ
ば、後述する種々の実施例の場合、回路の立上がり時間
を1ms程度とすれば、パルス幅Wを2ms程度に設定
すれば十分である。仮に、パルス信号の周期Lを20m
s,パルス幅Wを2msに設定すれば、給電を行ってい
る時間を全体の1/10に短縮することができ、消費電
力もほぼ1/10に抑制させることができる。したがっ
て、上述した本発明に係る加速度センサにおいて、副電
力供給手段による電力供給を、所定のサンプリング周期
をもったパルス信号を用いて断続的に行うようにすれ
ば、従来の加速度センサに比べて消費電力を格段に低減
させることが可能になる。
【0042】
【実施例】§1. 圧電素子を用いた基本的な実施例 ここでは、各検出素子として圧電素子を用いた基本的な
実施例を述べる。すなわち、この実施例では、加速度の
作用により応力が加わるように構成された圧電素子から
なる可撓性基板を支持手段として用い、この圧電素子の
所定部分に発生する電荷を検出する電極と、この電極で
検出された電荷量を電気信号として出力する電子回路
と、によって各検出素子が構成されることになる。
【0043】以下、圧電素子を用いた加速度センサの実
施例の基本構造を図を参照しながら説明する。図7は、
この実施例に係る加速度センサの本体部を斜め上方から
見た斜視図、図8は、このセンサ本体部を斜め下方から
見た斜視図である。この加速度センサ本体部は、円盤状
の圧電素子110の上面に9枚の上部電極A1〜A9を
形成するとともに、下面に1枚の下部電極Bを形成した
ものである。ここでは説明の便宜上、XYZ三次元座標
系の原点Oを、円盤状の圧電素子110の上面の中心位
置に定義し、X軸およびY軸をこの圧電素子110の上
面に沿った方向に定義し、Z軸をこの上面に対して垂直
上方に向かう方向に定義することにする。したがって、
この圧電素子110の上面は、XY平面に含まれること
になる。なお、ここでは、X軸およびY軸に対して45
°の角度をなすW1軸およびW2軸を図9のように定義
することにする。
【0044】圧電素子110の構造的な特徴は、図8に
示されているように、下面に環状溝115が形成されて
いる点である。この実施例では、環状溝115は原点O
を取り囲むような円形をしている。下部電極Bは、1枚
の単一の電極層であり、この環状溝115の内部をも含
めた圧電素子110の下面全面に形成されている。一
方、9枚の上部電極A1〜A9は、図9の上面図に明瞭
に示されているように、いずれも原点Oを中心とした円
弧に沿った帯状をしており、X軸、Y軸あるいはW2軸
に関して線対称な形状および配置をなしている。
【0045】この加速度センサ本体部の構造は、図10
を参照すると、より明らかになる。図10は、この加速
度センサ本体部をXZ平面で切った側断面図である。圧
電素子110の環状溝115が形成された部分は、他の
部分に比べて肉厚が薄くなっており、可撓性を有する。
ここでは、圧電素子110の中の環状溝115の上方に
位置する部分を可撓部112と呼び、この可撓部112
によって囲まれた中心の部分を中心部111と呼び、可
撓部112の外周に位置する部分を周囲部113と呼ぶ
ことにする。これら3つの部分の相対的な位置関係は、
図11の下面図に明瞭に示されている。すなわち、中心
部111の周囲の環状溝115が形成された部分に可撓
部112が形成され、この可撓部112の周囲に周囲部
113が形成されていることになる。
【0046】ここで、たとえば中心部111だけをセン
サ筐体に固定し、センサ筐体全体を揺らすと、周囲部1
13が重錘体として機能することになり、この重錘体に
は加速度に基づく力が作用し、この力により可撓部11
2に撓みが生じることになる。逆に、周囲部113だけ
をセンサ筐体に固定し、センサ筐体全体を揺らすと、中
心部111が重錘体として機能することになる。すなわ
ち、中心部111には加速度に基づく力が作用し、この
力によりやはり可撓部112に撓みが生じることにな
る。結局、中心部111と周囲部113とは、可撓性を
もった可撓部112によって接合されているため、いず
れか一方に加速度が作用すると、可撓部112に応力が
発生し、撓みが生じることになる。応力の発生態様は、
作用した加速度の向きおよび大きさによって異なること
になる。この加速度センサでは、この応力の分布を求め
ることにより、作用した加速度の向きおよび大きさを検
出するのである。
【0047】可撓部112に生じる応力を検出するため
に、可撓部112の上部に9枚の上部電極A1〜A9が
配置されている。この上部電極A1〜A9の配置は、図
9の上面図に明瞭に示されているが、図10の側断面図
を見ればわかるように、9枚の上部電極A1〜A9は、
いずれも可撓部112の上方に配置されている。これ
は、可撓部112の撓みによって圧電素子の各部に発生
する電荷を取り出すためである。
【0048】一般に、圧電素子は、機械的な応力の作用
により分極現象を生じる。すなわち、ある特定の方向に
応力が加わると、一方には正の電荷が発生し、他方には
負の電荷が発生する性質を有する。この実施例の加速度
センサ本体部には、圧電素子110として、図12に示
すような分極特性をもった圧電セラミックスが用いられ
ている。すなわち、図12(a) に示すように、XY平面
に沿って伸びる方向の力が作用した場合には、上部電極
A側に正の電荷が、下部電極B側に負の電荷が、それぞ
れ発生し、逆に、図12(b) に示すように、XY平面に
沿って縮む方向の力が作用した場合には、上部電極A側
に負の電荷が、下部電極B側に正の電荷が、それぞれ発
生するような分極特性をもっている。ここでは、このよ
うな分極特性をタイプと呼ぶことにする。ここで述べ
る実施例の加速度センサでは、圧電素子110はどの部
分においても、このタイプの分極特性をもつ。
【0049】続いて、上述した加速度センサの動作原理
を説明する。この加速度センサは、圧電素子110上面
の中心位置を原点OとするXYZ三次元座標系における
各軸方向成分ごとに、作用した加速度を検出することが
できる三次元加速度センサである。このような三次元セ
ンサとして機能させるために、特有の配置をもった9枚
の上部電極A1〜A9が用意されている。なお、後述す
るように、この9枚の電極のうち、電極A1〜A8は主
検出素子として機能し、電極A9は副検出素子のモニタ
用電極として機能することになる。
【0050】ここでは、まず、図9の上面図を参照し
て、9枚の上部電極A1〜A9についての特有の配置を
見てみよう。まず、上部電極A1,A3,A7,A2,
A4,A6は、円形の環状帯(以下、内側環状領域と呼
ぶ)に沿って配置されており、その外側の円形の環状帯
(以下、外側環状領域と呼ぶ)に沿って、上部電極A
5,A8,A9が配置されている。このように、原点O
を取り囲むように定義された内側環状領域および外側環
状領域に沿って、各上部電極を配置することにより、非
常に効率的な検出が可能になる。特に、外側環状領域に
配置された各上部電極の外周部分を、可撓部112の外
周部分(すなわち、環状溝115の外壁部分)に揃える
ようにし、内側環状領域に配置された各上部電極の内周
部分を、可撓部112の内周部分(すなわち、環状溝1
15の内壁部分)に揃えるようにすると、感度良い検出
を行う上で好ましい。
【0051】さて、この加速度センサ本体部について、
周囲部113をセンサ筐体に固定した状態で、重錘体と
して機能する中心部111内の作用点Pに所定方向の加
速度に基づく力が作用した場合に、どのような現象が起
こるかを考える。まず、図13に示すように、作用点P
に対してX軸方向の力Fx(X軸方向の加速度に基づく
力)が作用した場合を考える。このような力Fxが作用
すると、可撓部112に撓みが生じ、図13に示すよう
な変形が起こる。その結果、この圧電素子110の上面
のX軸に沿った位置X1,X2,X3,X4には、図に
矢印で示すような応力が発生することになる。すなわ
ち、位置X1,X3の部分については、X軸方向に沿っ
て縮む応力が発生し、位置X2,X4の部分について
は、X軸方向に沿って伸びる応力が発生する。
【0052】ところで、この圧電素子110は、図12
に示すように、タイプの分極特性を有するので、結
局、圧電素子110の位置X1,X3の上面部分には
「−」の極性の電荷が発生し、位置X2,X4の上面部
分には「+」の極性の電荷が発生することになる。この
とき、下部電極Bは単一の共通電極となっているので、
部分的に「+」または「−」の極性の電荷が発生しても
相殺され、トータルでの電荷の発生はない。なお、この
実施例では、下部電極Bを単一の共通電極としている
が、各上部電極に対向する位置に、それぞれ電気的に独
立した個々の下部電極を設けるようにすれば、各電極に
発生する電荷を個々に処理することが可能である。
【0053】一方、作用点Pに対してY軸方向の力Fy
が作用した場合には、可撓部112に同様に撓みが生
じ、Y軸に沿った各位置の上面部分に同様の極性の電荷
が発生する(図13において、X軸をY軸に置き換え、
位置X1,X2,X3,X4を、位置Y1,Y2,Y
3,Y4と置き換えればよい)。
【0054】次に、Z軸方向の力Fz(Z軸方向の加速
度に基づく力)が作用した場合を考える。この場合は、
可撓部112が図14に示すように変形し、外側環状領
域に相当する位置X1,X4の部分は縮むために上面部
分に「−」の電荷が発生し、内側環状領域に相当する位
置X2,X3の部分は伸びるために上面部分に「+」の
電荷が発生することになる。
【0055】ここで、力Fx,Fy,Fzのそれぞれが
作用した場合に、各上部電極に発生する電荷の極性をま
とめると、図15に示す表が得られる。表中「0」と記
されているのは、圧電素子が部分的には伸びるが部分的
には縮むため、正負が相殺されてトータルとして電荷は
発生しないことを示す。特に、上部電極A1〜A4は、
X軸またはY軸に関して線対称な形状をしており、互い
に線対称な位置に配置されているため、力Fxの作用に
より電荷を発生する上部電極A1,A2には、力Fyが
作用しても電荷は発生せず、逆に、力Fyの作用により
電荷を発生する上部電極A3,A4には、力Fxが作用
しても電荷は発生しないのである。このように、他軸干
渉を避ける上では、電極形状を線対称にしておくことは
重要である。なお、図15の表は、いずれも各軸の正方
向の力+Fx,+Fy,+Fzが作用した場合の極性を
示すものであるが、各軸の負方向の力−Fx,−Fy,
−Fzが作用したときは、それぞれこの表とは逆の極性
の電荷が現われることになる。このような表が得られる
ことは、図13および図14に矢印で示す応力分布と、
図9に示す各上部電極の配置とを参照すれば、容易に理
解できよう。また、作用した力の大きさは、発生した電
荷量として検出することが可能である。
【0056】上述した加速度センサ本体部を用いて、作
用した加速度の検出を行うためには、図16に示すよう
な検出回路を用意すればよい。この検出回路は、主検出
素子群130と、副検出素子150とによって構成され
ている。主検出素子群130は、図2に示すブロック図
における各主検出素子11〜13に対応するものであ
り、副検出素子150は同ブロック図における副検出素
子40に対応するものである。図16に示す回路図の左
側に示されているA1〜A9およびBなる回路構成要素
は、上述の加速度センサ本体部の上部電極A1〜A9お
よび下部電極Bを示すものであり、これらの電極に接続
されたQ/V変換回路131〜138,151は、各上
部電極A1〜A9に発生する電荷量を、下部電極Bの電
位を基準電位としたときの電圧値に変換する回路であ
る。たとえば、上部電極に「+」の電荷が発生した場合
には、発生した電荷量に応じた正の電圧(基準電位に対
して)が出力され、逆に、上部電極に「−」の電荷が発
生した場合には、発生した電荷量に応じた負の電圧(基
準電位に対して)が出力される。演算器141〜143
は、こうして出力された電圧V1〜V8に対して所定の
演算処理を実施する回路であり、最終的には、端子T
x,Ty,Tz,Tmにそれぞれ所定の電圧が出力され
ることになる。ここで、端子Txの基準電位に対する電
圧値が力Fxの検出値となり、端子Tyの基準電位に対
する電圧値が力Fyの検出値となり、端子Tzの基準電
位に対する電圧値が力Fzの検出値となる。
【0057】各出力端子Tx,Ty,Tzに得られる電
圧値が、力Fx,Fy,Fzの検出値になることは、図
15の表を参照すればわかる。たとえば、力Fxが作用
した場合、上部電極A1には「+」の電荷が発生し、上
部電極A2には「−」の電荷が発生する。したがって、
V1は正、V2は負の電圧となる。そこで、演算器14
1によって、V1−V2なる演算を行うことにより、電
圧V1,V2の絶対値の和が求まり、これが力Fxの検
出値として端子Txに出力されることになる。同様に、
力Fyが作用した場合は、上部電極A3には「+」の電
荷が発生し、上部電極A4には「−」の電荷が発生す
る。したがって、V3は正、V4は負の電圧となる。そ
こで、演算器142によって、V3−V4なる演算を行
うことにより、電圧V3,V4の絶対値の和が求まり、
これが力Fyの検出値として端子Tyに出力されること
になる。また、力Fzが作用した場合は、上部電極A
6,A7には「+」の電荷が発生し、上部電極A5,A
8には「−」の電荷が発生する。したがって、V6,V
7は正、V5,V8は負の電圧となる。そこで、演算器
143によって、−V5+V6+V7−V8なる演算を
行うことにより、電圧V5〜V8の絶対値の和が求ま
り、これが力Fzの検出値として端子Tzに出力される
ことになる。
【0058】ここで注目すべき点は、主検出素子群13
0を構成する各出力端子Tx,Ty,Tzに得られる検
出値は、他軸成分を含まないということである。たとえ
ば、図15の表に示されているように、力Fxだけが作
用した場合、力Fy検出用の上部電極A3,A4には電
荷の発生はなく、端子Tyには検出電圧は得られない。
このとき、力Fz検出用の上部電極A5〜A8にはそれ
ぞれ電荷が発生するが、演算器143において全電圧V
5〜V8は互いに加算されるため相殺されてしまい、や
はり端子Tzには検出電圧は得られない。力Fyだけが
作用した場合も同様に、端子Ty以外には検出電圧は得
られない。また、力Fzだけが作用した場合も同様に、
端子Tz以外には検出電圧は得られない。こうして、主
検出素子群130を動作させることにより、XYZの三
軸方向成分が独立して検出できる。
【0059】一方、副検出素子150は、非常に単純な
構成からなる。すなわち、上部電極A9に発生した電荷
量がQ/V変換回路151によって電圧値V9に変換さ
れ、この電圧値V9がそのまま端子Tmに出力されるこ
とになる。この端子Tmに得られる電圧値V9は、モニ
ター加速度成分αmを示す電圧値として利用することが
できる。図15の表に示されているように、モニタ用の
上部電極A9には、X軸方向の力Fxが作用した場合
も、Z軸方向の力Fzが作用した場合も、何らかの電荷
が発生する。したがって、端子Tmに得られる電圧値V
9は、X軸およびZ軸をモニター用検出軸としたときの
モニター加速度成分αmを示す電圧値となる。
【0060】本発明に係る加速度センサを実現するため
には、図16の回路図に示す構成要素に、更に、主電力
供給手段20、副電力供給手段50、制御手段60を付
加する必要がある(図2のブロック図を参照)。ここ
で、主電力供給手段20は、主検出素子群130を構成
する8個のQ/V変換回路131〜138および3個の
演算器141〜143への電力供給を行うための手段で
あり、副電力供給手段50は、副検出素子150を構成
するQ/V変換回路151への電極供給を行うための手
段であり、制御手段60は、これら各電力供給手段によ
る電力供給動作を制御する手段である。
【0061】これらの各手段を図16に示す回路に付加
すれば、この加速度センサは次のような動作が可能にな
る。まず、この加速度センサの電源スイッチをONにす
ると、副電力供給手段50から副検出素子150への電
力供給が開始される。すなわち、Q/V変換回路151
への電力供給が行われることになり、端子Tmには、モ
ニター加速度成分αmに相当する電圧値V9が得られる
ことになる。制御手段60は、この電圧値V9に基づい
て、主電力供給手段20へ所定の指示を与える。すなわ
ち、電圧値V9が所定のしきい値以上であった場合にの
み、主電力供給手段20に対して電力供給を行うよう指
示する。したがって、電圧値V9がしきい値に到達しな
い限り、主電力供給手段20から主検出素子群130に
対して電力供給が行われることはない。
【0062】このような構成の加速度センサを地震計と
して利用すれば、消費電力が非常に低い電子式多次元地
震計を実現することができる。すなわち、平常時の動作
モードでは、副検出素子150内のQ/V変換回路15
1に対してのみ電力供給が行われ、主検出素子群130
は休眠状態を維持するため、消費電力は非常に少なくて
すむ。特に、上述したように、所定のサンプリング周期
をもったパルス信号をQ/V変換回路151に与え、端
子Tmにはこのサンプリング周期ごとに電圧値V9を得
るようにすれば、消費電力は更に低減されることにな
る。そして、所定のレベル以上の地震が発生した場合に
は、この地震の振動により、端子Tmに得られる電圧値
V9が所定のしきい値を越えることになるので、主検出
素子群130に対する電力供給が開始される。その結
果、端子Tx,Ty,Tzには、作用した加速度の方向
および大きさが、X軸,Y軸,Z軸の各軸方向成分ごと
に独立して出力されることになる。前述したように、こ
の検出結果は、他軸成分の干渉がない正確な値になる。
やがて、地震の振動が収まると、端子Tmに得られる電
圧値V9がしきい値未満となるため、主検出素子群13
0への電力供給は停止され、副検出素子150のみが動
作する平常時の動作モードに戻ることになる。
【0063】なお、図15の表によれば、モニタ用の上
部電極A9には、X軸方向の力FxおよびZ軸方向の力
Fzが作用した場合には所定極性の電荷が発生するが、
Y軸方向の力Fyが作用した場合には電荷の発生はな
い。したがって、理論的には、Y軸方向の加速度成分の
みからなる地震の揺れや、X軸方向およびZ軸方向の加
速度成分が極めて小さい地震の揺れが生じた場合、副検
出素子150によってこの揺れを検出することはできな
い。このような問題に対処するためには、図3および図
4を用いて既に説明したように、副検出素子をもう1組
設けるようにすればよい。このように副検出素子を2組
設けた具体的な実施例については、後の§2で説明す
る。なお、通常の地震は、「縦揺れ」と「横揺れ」との
双方の振動成分を含んでいるのが一般的であり、上述し
た実施例のように、1組の副検出素子のみを用いた加速
度センサであっても、実用上は大きな問題は生じない。
【0064】§2. 圧電素子を用いた実用的な実施例
(1) 上述の§1では、本発明に係る圧電素子を用いた加速度
センサの基本的な実施例を述べた。ここでは、より実用
的ないくつかの変形例を述べることにする。
【0065】図17は、図7に示す加速度センサ本体部
を利用して、より実用的なセンサを実現するための検出
回路の一例を示す回路図である。この検出回路の主たる
構成要素は、主検出素子群160と、副検出素子170
と、マイクロコンピュータ180とである。この図17
の回路図中に示されている電極A1〜A9および電極B
は、図7の加速度センサ本体部に形成されている上部電
極A1〜A9および下部電極Bに相当する。また、チャ
ージアンプ161〜163,171は、図16に示す回
路におけるQ/V変換回路に相当するものであり、各電
極に発生した電荷量に比例した電圧値をもった信号を発
生する機能を有する。図16に示す回路では、合計9組
のQ/V変換回路が用いられているのに対し、図17に
示す回路では、合計4組のチャージアンプしか用いられ
ていない。これは、主検出素子群160内のチャージア
ンプ161がQ/V変換回路131,132の機能を兼
ね、チャージアンプ162がQ/V変換回路133,1
34の機能を兼ね、チャージアンプ163がQ/V変換
回路135〜138の機能を兼ねているためである。な
お、副検出素子170内のチャージアンプ171は、そ
のままQ/V変換回路151に対応するものである。ま
た、図16に示す検出回路における各演算器141,1
42,143は、図17に示す検出回路では不要になっ
ている。
【0066】もっとも、図16に示す検出回路の代わり
に、図17に示す検出回路を用いるためには、図7に示
す加速度センサ本体部に若干の設計変更を施す必要があ
る。図7に示す加速度センサ本体部に用いられている圧
電素子110は、既に述べたように、図12に示すよう
なタイプの分極特性をもつ。そして、このタイプの
分極特性をもつ圧電素子110を用いると、種々の方向
からの力(加速度)の作用により、図15の表に示すよ
うな極性の電荷が上部電極側に発生することになる。そ
こで、図16に示すような回路を用意しておけば、作用
した力の各軸方向成分をそれぞれ別個独立して検出する
ことができることは既に述べたとおりである。この図1
6の回路において、演算器141〜143が必要な理由
は、信号の差分を求めるためである。別言すれば、図1
6に示す回路において、電圧値V2,V4,V5,V8
は、演算器141〜143によって正負の極性を反転し
た上で他の電圧値に加算されていることになる。したが
って、これらの電圧値V2,V4,V5,V8の極性を
もともと反転させておくことができれば、演算器141
〜143は不要になる。電圧値V2,V4,V5,V8
の極性を反転させるには、上部電極A2,A4,A5,
A8に発生する電荷の極性を反転させればよい。
【0067】本実施例は、部分的に分極特性の異なる圧
電素子を用いることにより、このような発生電荷の極性
反転を行っている。すなわち、図12に示す「タイプ
の分極特性」とは全く逆の「タイプの分極特性」を定
義し、圧電素子110のうち、上部電極A2,A4,A
5,A8が形成された領域だけは、「タイプの分極特
性」をとるように設計変更するのである。このような設
計変更を行った加速度センサ本体部を用いると、図15
に示す表のうち、上部電極A2,A4,A5,A8の欄
は正負が逆転した結果(図19の太枠部分参照)が得ら
れることになる。その結果、電圧値V1〜V8について
の減算は一切不要になる。
【0068】図17に示す検出回路は、このような設計
変更を行った加速度センサ本体部に適用するための回路
である。上述の設計変更により、X軸正方向の力Fxが
作用した場合、上部電極A1,A2のいずれにも正の電
荷が発生することになる。チャージアンプ161は、こ
れら両電極A1,A2に発生した正電荷の合計に相当す
る電圧値を発生し、この電圧値をマイクロコンピュータ
180の端子Txに与える機能を有する。また、上述の
設計変更により、Y軸正方向の力Fyが作用した場合、
上部電極A3,A4のいずれにも正の電荷が発生するこ
とになる。チャージアンプ162は、これら両電極A
3,A4に発生した正電荷の合計に相当する電圧値を発
生し、この電圧値をマイクロコンピュータ180の端子
Tyに与える機能を有する。同様に、上述の設計変更に
より、Z軸正方向の力Fzが作用した場合、上部電極A
5〜A8のいずれにも正の電荷が発生することになる。
チャージアンプ163は、これら4つの電極A5〜A8
に発生した正電荷の合計に相当する電圧値を発生し、こ
の電圧値をマイクロコンピュータ180の端子Tzに与
える機能を有する。このように、圧電素子に局在的な分
極処理を施すことにより、検出回路の構成をより単純化
することができる。
【0069】この図17に示す検出回路を用いた加速度
センサの動作は、マイクロコンピュータ180によって
統括管理される。まず、このセンサの電源スイッチをO
Nにすると、電源Eに電力が供給される。電源Eからの
電力供給を受けたマイクロコンピュータ180は、制御
スイッチ181に対して、OFF状態を維持すべき制御
信号を与えるとともに、チャージアンプ171から端子
Tmに入力される電圧値を所定のしきい値電圧と比較す
る処理を開始する。チャージアンプ171の電源入力端
子eに対しては、電源Eから常に電力供給がなされる状
態になるため、チャージアンプ171は、上部電極A9
に発生する電荷に相当する電圧を常に発生し、これをマ
イクロコンピュータ180の端子Tmに与える。センサ
本体に大きな振動が加わらない平常時の動作モードで
は、この端子Tmに与えられる電圧値はしきい値より小
さな値となるため、マイクロコンピュータ180は、ひ
き続きOFF状態を維持すべき制御信号を制御スイッチ
181に与える。その結果、電源Eの電力は、主検出素
子群160を構成する各チャージアンプ161〜163
へは供給されず、主検出素子群160は休眠状態を維持
する。よって、マイクロコンピュータ180の端子T
x,Ty,Tzには加速度の検出値は得られない。
【0070】このように、平常時の動作モードでは、電
源Eから供給された電力がマイクロコンピュータ180
で消費されるとともに、副検出素子170内で消費され
ることになるが、主検出素子群160内で消費されるこ
とはない。このため、通常の動作を行わせる場合に比べ
て、平常時の電力消費は大幅に低減される。
【0071】一方、地震の発生により、センサ本体に大
きな振動が加わると、端子Tmに与えられる電圧値が所
定のしきい値を越えることになる。すると、マイクロコ
ンピュータ180は、ON状態に切り替えるべき制御信
号を制御スイッチ181に与える。これにより、電源E
から主検出素子群160への給電が開始し、チャージア
ンプ161〜163は、各電源入力端子eに電力の供給
を受けて本来の動作を開始する。その結果、マイクロコ
ンピュータ180の端子Tx,Ty,Tzには、実際に
作用した加速度のX軸,Y軸,Z軸方向成分の検出値が
得られることになる。たとえば、この加速度センサがガ
スメータ用のセンサであれば、マイクロコンピュータ1
80は、これらの加速度検出値に基づいて、ガスの供給
を停止すべきか否かを判断し、供給を停止する必要があ
ると判断した場合には、端子Toff から遮断信号をガス
供給弁に対して出力することになる。
【0072】やがて、地震の振動が収まり、端子Tmに
与えられる電圧値が所定のしきい値よりも小さくなる
と、マイクロコンピュータ180は、OFF状態に切り
替えるべき制御信号を制御スイッチ181に与える。こ
れにより、電源Eから主検出素子群160への給電は再
び停止し、主検出素子群160は休眠状態に入り、平常
時の動作モードへ復帰することになる。
【0073】なお、図15の表に示されているように、
モニタ用の上部電極A9には、Y軸方向の力Fyのみが
作用した場合、何ら電荷は発生しない。したがって、Y
軸方向成分に比べて、X軸およびZ軸方向成分が極めて
小さな揺れが生じた場合、全体としては比較的大きな揺
れであったとしても、モニタ用の上部電極A9に発生す
る電荷は微量なものとなり、マイクロコンピュータ18
0の端子Tmに与えられる電圧値はしきい値に達しない
ものになる。このような事態を避けるためには、互いに
モニター用検出軸の方向が異なる複数の副検出素子を設
けるようにするのが好ましい。
【0074】図18は、2組の副検出素子を有する加速
度センサ本体部を示す上面図である。この加速度センサ
本体部と、図9に示した加速度センサ本体部との相違は
次の2点である。まず、第1の相違点は、図9に示す圧
電素子110は、全領域がタイプの分極特性を有して
いたが、この図18に示す圧電素子118は、電極A
2,A4,A5,A8が形成されている領域については
タイプの分極特性を示すような分極処理が施されてい
る点である。このような局在的な分極処理を施す理由
は、既に述べたように、検出回路における減算を不要と
し、回路を単純化するためである。第2の相違点は、第
10番目の上部電極A10がY軸上に形成されている点
である。このセンサでは、X軸上に形成されている上部
電極A9が第1の副検出素子として機能し、Y軸上に形
成されている上部電極A10が第2の副検出素子として
機能する。
【0075】図19は、図18に示す加速度センサ本体
部について、各上部電極に発生する電荷の極性を示す表
である。ここで、太枠で囲った欄は、タイプの分極特
性を有する領域に形成された電極を示しており、図15
に示す表と比較すると、この太枠欄の符号が正負逆転し
ていることがわかる。図19の表に示されているよう
に、この実施例のセンサでは、モニタ用に2つの上部電
極A9,A10が用意されており、上部電極A9はX軸
およびZ軸方向の加速度検出が可能であり、上部電極A
10はY軸およびZ軸方向の加速度検出が可能である。
したがって、両電極A9,A10を利用すれば、X軸、
Y軸、Z軸のいずれの加速度成分が作用した場合にも検
出が可能になる。
【0076】図20に示す検出回路は、この図18に示
す加速度センサ本体部に適用するための回路である。図
17に示す検出回路との大きな相違点は、図17に示す
回路における副検出素子170の代わりに、副検出素子
群175が設けられている点である。モニタ用の上部電
極A9に発生した電荷量は、チャージアンプ171によ
って電圧値に変換され、マイクロコンピュータ185の
端子Tm1に与えられ、もうひとつのモニタ用の上部電
極A10に発生した電荷量は、チャージアンプ172に
よって電圧値に変換され、マイクロコンピュータ185
の端子Tm2に与えられる。マイクロコンピュータ18
5は、端子Tm1およびTm2に与えられる2組の電圧
値に基づいて、制御スイッチ181に与える制御信号の
ON/OFFを決定することになる。具体的には、予め
共通のしきい値を設定しておき、いずれか一方の電圧値
でもしきい値以上になった場合には、スイッチONを示
す制御信号を与えるようにしてもよいし、両電圧値の和
が所定のしきい値以上になった場合に、ONを示す制御
信号を与えるようにしてもよい。また、個々の電圧値ご
とにそれぞれ別個のしきい値を設定しておいてもかまわ
ない。
【0077】また、この図20の検出回路では、副検出
素子群175に対しての電力供給を、マイクロコンピュ
ータ185の端子Tpから出力するパルス信号Epによ
って行っている。このパルス信号Epは、図6に示した
ような所定のサンプリング周波数をもった信号であり、
副検出素子群175の動作は断続的に行われることにな
る。したがって、マイクロコンピュータ185の端子T
m1,Tm2には、所定のサンプリング周期で電圧値が
与えられることになるが、既に述べたように、サンプリ
ング周期を地震の揺れの周期よりも短い設定しておけ
ば、地震計として用いるには何ら支障は生じない。この
図20に示す検出回路では、平常時の動作モードで2組
のチャージアンプ171,172が動作することになる
が、パルス信号Epによる断続的な動作になるようにし
たため、図17に示す検出回路よりもむしろ消費電力は
低下している。この図20の検出回路のその他の動作
は、上述した図17の検出回路と同様である。
【0078】なお、図17あるいは図20の検出回路で
は、マイクロコンピュータの端子Tcからの制御信号に
よって、制御スイッチ181のON/OFFを切り替
え、電源Eからの主検出素子群160への給電を制御し
ているが、この制御信号をそのまま給電信号として各チ
ャージアンプ161〜163の電源入力端子eに供給す
るようにしてもかまわない。
【0079】図21は、2組の副検出素子を有する別な
加速度センサ本体部を示す上面図である。この加速度セ
ンサ本体部は、図18に示す加速度センサ本体部におけ
るモニタ用の上部電極A9の代わりに、モニタ用の上部
電極A11を設けたものである。図18に示すモニタ用
の上部電極A9,A10は、いずれも外側環状領域に形
成されていたが、図21に示すモニタ用の上部電極A1
0は外側環状領域、A11は内側環状領域に形成されて
いる。図22は、図21に示す加速度センサ本体部につ
いて、各上部電極に発生する電荷の極性を示す表であ
る。やはり、太枠で囲った欄は、タイプの分極特性を
有する領域に形成された電極を示している。モニタ用の
上部電極A10,A11の欄を見ると、やはりこの2組
の上部電極A10,A11により、X軸,Y軸,Z軸の
すべての方向の加速度の検出が可能になっている。
【0080】図18の実施例では、上部電極A9がX軸
上に配置され、上部電極A10がY軸上に配置されてい
たため、両配置軸は直交関係にあった。ところが、図2
1の実施例では、上部電極A10はY軸上に配置され、
上部電極A11はW1軸上に配置されているため、両配
置軸は直交関係にはない。このように2組の副検出素子
を設ける場合、両者は必ずしも直交関係にある軸上に配
置する必要はない。また、図18の実施例では、2組の
副検出素子(上部電極A9,A10)がともに外側環状
領域に配置されているが、図21に示すように、一方を
外側環状領域に配置し、他方を内側環状領域に配置する
ことも可能であるし、両方ともに内側環状領域に配置す
ることも可能である。
【0081】§3. 圧電素子を用いた実用的な実施例
(2) ここでは、主検出素子の一部を副検出素子として兼用し
た実施例を説明する。図23は、このような素子の兼用
を行った加速度センサ本体部を示す上面図である。この
加速度センサ本体部には、8枚の上部電極A1〜A8の
みが形成されており、これまでの実施例で述べてきたモ
ニタ用の上部電極A9〜A11は形成されていない。一
方、圧電素子118は、これまで図18あるいは図21
に示した圧電素子118と同様に、電極A2,A4,A
5,A8が形成されている領域についてはタイプの分
極特性をもち、それ以外の領域についてはタイプの分
極特性をもつような分極処理が施されている。
【0082】既に述べたように、上部電極A1,A2は
X軸方向の加速度成分検出に利用され、上部電極A3,
A4はY軸方向の加速度成分検出に利用され、上部電極
A5〜A8はZ軸方向の加速度成分検出に利用される。
したがって、これら8枚の上部電極A1〜A8は、いず
れも主検出素子を構成する電極である。しかしながら、
ここで述べる実施例では、これらの8枚のうち、上部電
極A2およびA4は、副検出素子を構成する電極(モニ
タ用電極)としても利用される。上部電極A2およびA
4がモニタ用の電極を兼ねるものとすると、この加速度
センサ本体部について、各上部電極に発生する電荷の極
性は、図24の表のように表される。ここで、太枠で囲
った欄は、タイプの分極特性を有する領域に形成され
た電極を示している。この表からもわかるとおり、上部
電極A2およびA4をモニタ用電極として利用した場
合、この2組のモニタ用電極A2,A4により、X軸,
Y軸,Z軸のすべての方向の加速度の検出が可能になっ
ている。
【0083】図25は、図23に示す加速度センサ本体
部に適用すべき検出回路を示す回路図である。主検出素
子群190は、センサ本体部に形成された上部電極A1
〜A8および下部電極Bと、5組のチャージアンプ19
1〜195と、3組の演算器196〜198によって構
成されている。チャージアンプ191〜194は、それ
ぞれ上部電極A1〜A4に発生した電荷量を電圧値に変
換する機能を有し、チャージアンプ195は、上部電極
A5〜A8に発生した電荷量の総和を電圧値に変換する
機能を有する。また、演算器196,197は加算器か
ら構成され、演算器198は単なるアンプ回路から構成
されている。各チャージアンプ191〜195および各
演算器196〜198は、電源入力端子eへの電力供給
を受けて動作する。各電源入力端子eへの電力供給は、
電源Eから制御スイッチ182,183を介して行われ
る。また、チャージアンプ192および194に関して
は、マイクロコンピュータ188の端子Tpから供給さ
れるパルス信号Epの形でも、電源入力端子eへの電力
供給がなされる。
【0084】まず、このセンサの電源スイッチをONに
すると、電源Eに電力が供給される。電源Eからの電力
供給を受けたマイクロコンピュータ188は、制御スイ
ッチ182,183に対して、OFF状態を維持すべき
制御信号を与えるとともに、端子Tpから所定のサンプ
リング周期をもったパルス信号Epを出力する処理を開
始する。このパルス信号Epは、5組のチャージアンプ
191〜195のうち、2組のチャージアンプ192,
194の電源入力端子eに対してのみ供給される。既に
述べたように、この実施例では、上部電極A2,A4は
副検出素子の構成要素としても機能し、2組のチャージ
アンプ192,194も副検出素子としての機能を果た
すことになる。結局、センサ本体に大きな振動が加わら
ない平常時の動作モードでは、主検出素子群190内の
各要素のうち、副検出素子を兼ねる2組のチャージアン
プ192,194の電源入力端子eに対してのみ電力供
給(パルス信号Ep)がなされ、上部電極A2に発生し
た電荷量に応じた電圧値がマイクロコンピュータ188
の端子Tm1に与えられるとともに、上部電極A4に発
生した電荷量に応じた電圧値がマイクロコンピュータ1
88の端子Tm2に与えられる。
【0085】マイクロコンピュータ188は、端子Tm
1に入力される電圧値および端子Tm2に入力される電
圧値を所定のしきい値電圧と比較する処理を行う。セン
サ本体に大きな振動が加わらない平常時の動作モードで
は、これらの電圧値はしきい値より小さな値となるた
め、マイクロコンピュータ188は、ひき続きOFF状
態を維持すべき制御信号を制御スイッチ182,183
に与える。その結果、電源Eの電力は、主検出素子群1
90を構成するチャージアンプ191,193,195
や各演算器196〜198へは供給されず、主検出素子
群190は、副検出素子群を構成するチャージアンプ1
92および194を除いて、休眠状態を維持する。よっ
て、マイクロコンピュータ188の端子Tx,Ty,T
zには加速度の検出値は得られない。
【0086】このように、平常時の動作モードでは、電
源Eから供給された電力がマイクロコンピュータ188
で消費されるだけであり、マイクロコンピュータ188
は、パルス信号Epの発生にある程度の電力を消費する
ものの、通常の動作を行わせる場合に比べて、平常時の
電力消費は大幅に低減される。
【0087】一方、地震の発生により、センサ本体に大
きな振動が加わると、端子Tm1あるいはTm2に与え
られる電圧値が所定のしきい値を越えることになる。す
ると、マイクロコンピュータ188は、ON状態に切り
替えるべき制御信号を制御スイッチ182,183に与
える。これにより、電源Eから主検出素子群190への
給電が開始し、チャージアンプ191〜195および演
算器196〜198は、各電源入力端子eに電力の供給
を受けて本来の動作を開始する。なお、マイクロコンピ
ュータ188は、この時点で、端子Tpからのパルス信
号Epの出力を停止する(回路に支障がなければ出力を
継続してもかまわない)。主検出素子群190が本来の
動作を開始した結果、マイクロコンピュータ188の端
子Tx,Ty,Tzには、実際に作用した加速度のX
軸,Y軸,Z軸方向成分の検出値が得られることにな
る。たとえば、この加速度センサがガスメータ用のセン
サであれば、マイクロコンピュータ188は、これらの
加速度検出値に基づいて、ガスの供給を停止すべきか否
かを判断し、供給を停止する必要があると判断した場合
には、端子Toff から遮断信号をガス供給弁に対して出
力することになる。
【0088】やがて、地震の振動が収まり、端子Tm1
あるいはTm2に与えられる電圧値が所定のしきい値よ
りも小さくなると、マイクロコンピュータ188は、O
FF状態に切り替えるべき制御信号を制御スイッチ18
2,183に与える。これにより、電源Eから主検出素
子群190への給電は再び停止する。一方、マイクロコ
ンピュータ188は、端子Tpからパルス信号Epの供
給を開始する。こうして、主検出素子群190は、副検
出素子群を兼ねるチャージアンプ192,194を除い
て、休眠状態に入り、平常時の動作モードへ復帰するこ
とになる。
【0089】§4. ピエゾ抵抗素子を用いた実施例 図26は、ピエゾ抵抗素子を用いて、本発明に利用でき
る加速度センサ本体部を構成した実施例の上面図であ
り、図27は、この図26に示す構造体をX軸に沿って
切断した側断面図である。半導体基板210は、シリコ
ンの単結晶基板であり、ここでは説明の便宜上、この半
導体基板210の上面中央にXYZ三次元座標系の原点
Oを定義し、図示の各方向に、X軸,Y軸,Z軸を定義
する。したがって、半導体基板210の上面はXY平面
に含まれる面になる。また、図示のとおり、X軸および
Y軸に対して45°の角度をなすW1軸およびW2軸を
定義する。
【0090】半導体基板210の構造的な特徴は、図2
6に破線で示されているように、下面に環状溝215が
形成されている点である。この実施例では、環状溝21
5は原点Oを取り囲むような円形をしている。図27の
側断面図に示されているように、半導体基板210の環
状溝215が形成された部分は、他の部分に比べて肉厚
が薄くなっており、可撓性を有する。ここでは、半導体
基板210の中の環状溝215の上方に位置する部分を
可撓部212と呼び、この可撓部212によって囲まれ
た中心の部分を中心部211と呼び、可撓部212の外
周に位置する部分を周囲部213と呼ぶことにする。
【0091】このような機械的な構造は、これまで述べ
てきた圧電素子を用いた加速度センサ本体部と全く同様
である。したがって、この半導体基板210において
も、中心部211だけをセンサ筐体に固定し、センサ筐
体全体を揺らすと、周囲部213が重錘体として機能す
ることになり、この重錘体には加速度に基づく力が作用
し、この力により可撓部212に撓みが生じることにな
る。逆に、周囲部213だけをセンサ筐体に固定し、セ
ンサ筐体全体を揺らすと、中心部211が重錘体として
機能することになる。すなわち、中心部211には加速
度に基づく力が作用し、この力によりやはり可撓部21
2に撓みが生じることになる。
【0092】この実施例では、このような撓みにより各
部に生じた応力を、ピエゾ抵抗素子の抵抗値の変化とし
て検出することになる。そのために、図26に示されて
いるように、合計14組の抵抗素子が半導体基板210
の上面の所定位置に形成されている。すなわち、X軸上
には4組の抵抗素子Rx1〜Rx4が、Y軸上には4組
の抵抗素子Ry1〜Ry4が、W2軸上には4組の抵抗
素子Rz1〜Rz4が、それぞれ形成されている。これ
ら12組の抵抗素子の他に、モニタ用の抵抗素子Rm
1,Rm2が図示の位置に形成されている。抵抗素子R
x1〜Rx4は、X軸方向の加速度成分を検出するため
の主検出素子であり、抵抗素子Ry1〜Ry4は、Y軸
方向の加速度成分を検出するための主検出素子であり、
抵抗素子Rz1〜Rz4は、Z軸方向の加速度成分を検
出するための主検出素子である。一方、モニタ用の抵抗
素子Rm1,Rm2は、副検出素子であり、地震計とし
て用いた場合、地震の初期振動を検出する機能を果た
す。
【0093】モニタ用の抵抗素子Rm1,Rm2の形成
位置は任意でかまわないが、この2組の副検出素子によ
り、X軸,Y軸,Z軸のすべての加速度方向成分を効率
的に検出できるようにするためには、互いに直交する2
軸に沿ってそれぞれのモニタ用抵抗素子を配置するよう
にするのが好ましい。図示の実施例では、抵抗素子Rm
1はW1軸に沿って配置されており、抵抗素子Rm2は
ほぼW2軸に沿って配置されており、2つの配置軸は直
交関係にある。
【0094】図28は、図26に示す加速度センサ本体
部に適用するための検出回路を示す回路図である。この
検出回路の中で、マイクロコンピュータ230の上方の
部分が主検出素子群を構成し、下方の部分が副検出素子
群を構成する。ブリッジ回路Brxは、図26に示され
ている4組の抵抗素子Rx1〜Rx4により構成され、
ブリッジ回路Bryは、図26に示されている4組の抵
抗素子Ry1〜Ry4により構成され、ブリッジ回路B
rzは、図26に示されている4組の抵抗素子Rz1〜
Rz4により構成される。各ブリッジ回路の上端点に
は、マイクロコンピュータ230の端子Teから所定の
電源電圧が供給され、各ブリッジ回路の下端点は接地さ
れている。個々のブリッジ回路Brx,Bry,Brz
の左右端点の電圧差は、それぞれアンプ回路221,2
22,223によって増幅され、増幅された電圧値は、
マイクロコンピュータ230の端子Tx,Ty,Tzに
与えられる。また、各アンプ回路221,222,22
3の電源入力端子eには、マイクロコンピュータ230
の端子Teからの電力が供給される。
【0095】各アンプ回路221,222,223は、
各ブリッジ回路Brx,Bry,Brzの左右端点間の
平衡状態を検出する機能を有する。図26に示す加速度
センサ本体部に対して、何ら加速度が作用していない状
態では、各ブリッジ回路Brx,Bry,Brzの左右
端点間は平衡状態を維持するように調整されている。加
速度が作用すると、その加速度の方向成分に応じた所定
のブリッジ回路の平衡がくずれるので、作用した加速度
は、所定のアンプ回路によって検出されることになる。
具体的には、アンプ回路221によって作用した加速度
のX軸方向成分が検出され、アンプ回路222によって
Y軸方向成分が検出され、アンプ回路223によってZ
軸方向成分が検出されることになる。
【0096】このような検出が行われる原理は、前述し
た圧電素子を用いた加速度センサとほぼ同じである。す
なわち、半導体基板210の周囲部213をセンサ筐体
に固定し、中心部211を重錘体として機能させ、この
重錘体に各座標軸方向の加速度が作用した場合を考える
と、作用した加速度の向きに応じて、半導体基板210
の各部には、図13あるいは図14に矢印で示すよう
に、伸びる方向もしくは縮む方向への応力が生じること
になる。一方、半導体基板210上に形成された各ピエ
ゾ抵抗素子は、伸びたり縮んだりする機械的変形によ
り、抵抗値が増減する性質を有する。このため、図28
に示すようなブリッジ回路を形成しておけば、X軸,Y
軸,Z軸方向の加速度成分を、他軸成分の干渉を排除し
た状態で、それぞれ独立して検出できるようになり、マ
イクロコンピュータ230の端子Tx,Ty,Tzに
は、加速度の各軸方向成分を示す電圧値が与えられるこ
とになる。
【0097】一方、マイクロコンピュータ230の下方
の部分(副検出素子群)には、端子Tp1からモニタ用
の抵抗素子Rm1を通って端子Tm1に至る電流路と、
端子Tp2からモニタ用の抵抗素子Rm2を通って端子
Tm2に至る電流路と、が形成されており、これらの電
流路には、モニタ用電流im1,im2が供給される。
この実施例では、モニタ用電流im1,im2として、
所定のサンプリング周期をもって断続的に供給されるパ
ルス状の電流が用いられている。
【0098】この図28に示す回路を用いた加速度セン
サの動作は次のとおりである。まず、この加速度センサ
の電源スイッチをONにすると、端子Tp1,Tp2か
らモニタ用電流im1,im2の供給が開始され、モニ
タ用抵抗素子Rm1,Rm2を通る電流路が形成され
る。この時点では、端子Teからの電力供給は行われな
いため、各ブリッジ回路Brx,Bry,Brzおよび
各アンプ回路221,222,223は動作せず休眠状
態となっている。大きな振動のない平常時の動作モード
では、モニタ用抵抗素子Rm1,Rm2は標準となる抵
抗値を示す。マイクロコンピュータ230は、端子Tm
1,Tm2へと還流する電流値(あるいは端子Tm1,
Tm2の電圧値)をモニタすることにより、モニタ用抵
抗素子Rm1,Rm2の抵抗値を検出することができ
る。そして、この検出された抵抗値と標準抵抗値との差
が所定のしきい値に達しない限りは、そのまま平常時の
動作モードを維持する。すなわち、端子Teからの電力
供給は停止状態のままとなる。
【0099】結局、この平常時の動作モードでは、マイ
クロコンピュータ230の下方に示された副検出素子の
みが動作している状態となり、上方に示された主検出素
子は休眠状態となっている。しかも、副検出素子に供給
されるモニタ用電流im1,im2は、サンプリングに
必要な周期で断続的に供給されるため、この平常時の動
作モードの消費電力は極めて低いものになる。
【0100】一方、所定のレベル以上の地震が発生した
場合、この地震の振動により半導体基板210に撓みが
生じ、モニタ用抵抗素子Rm1もしくはRm2の抵抗値
に大きな変化が生じることになる。マイクロコンピュー
タ230は、この抵抗値の変化が所定のしきい値以上に
なった場合、端子Teからの電力供給を開始する。これ
により、各ブリッジ回路Brx,Bry,Brzおよび
各アンプ回路221,222,223は通常の動作を開
始し、端子Tx,Ty,Tzには、作用した加速度の方
向および大きさが、X軸,Y軸,Z軸の各軸方向成分ご
とに独立して出力されることになる。マイクロコンピュ
ータ230は、これらの検出値に基づいて、たとえば、
ガスの供給を停止すべきか否かを判断し、必要に応じ
て、端子Toff からガスの供給弁に対して遮断信号を与
える処理を実行する。
【0101】やがて地震の振動が収まると、モニタ用抵
抗素子Rm1もしくはRm2の抵抗値がもとの標準値に
もどるため、マイクロコンピュータ230は、端子Te
からの電力供給を停止し、もとの平常時の動作モードに
復帰する。
【0102】§5. 容量素子を用いた実施例(1) 続いて、容量素子を用いて、本発明に利用できる加速度
センサ本体部を構成した実施例を説明する。いま、図2
9に示すように、可撓性をもち、表面が絶縁性を有する
可撓性基板310を用意し、その上面に7枚の電極E1
〜E7を形成する。一方、図30に示すような固定基板
320を用意し、電極E0を形成する。そして、両基板
の電極形成面を向かい合わせるようにして、両基板の周
囲部をセンサ筐体に固定する。図31は、このようにし
て構成したセンサ本体部の側断面図である。この例で
は、図29に示す可撓性基板310を、電極E1〜E7
の形成面が上向きになるように配置するとともに、図3
0に示す固定基板320を、電極E0の形成面が下向き
になるようにして配置しており、可撓性基板310の下
面には、円柱状の重錘体330を取り付けている。可撓
性基板310と固定基板320とは、互いに所定間隔を
保って平行になるように配置され、両基板の周囲部はセ
ンサ筐体340に固着されている。
【0103】図示のとおり、固定基板320は比較的厚
く、撓みを生じない剛性を有するのに対し、可撓性基板
310は比較的薄く、可撓性を有している。両基板の対
向面には、それぞれ所定位置に電極が形成されている。
いま、可撓性基板310の上面に原点Oを定め、図示の
方向にX軸,Y軸,Z軸を定めることにより、XYZ三
次元座標系を定義する。可撓性基板310および固定基
板320は、いずれもXY平面に平行に配置されている
ことになる。
【0104】図29に示すように、可撓性基板310上
には、X軸上に電極E1,E2が形成され、Y軸上に電
極E3,E4が形成され、中心部に円形の電極E5が形
成されている。ここで、電極E1,E2はX軸に関して
線対称となるような形状および配置を有し、電極E3,
E4はY軸に関して線対称となるような形状および配置
を有している。また、X軸およびY軸に対して45°を
なすW1軸およびW2軸が定義されており、電極E6,
E7は、それぞれW1軸,W2軸上に配置されている。
これに対し、図30に示す電極E0は、電極E1〜E7
のすべてに対向するような大型の円形をなしており、図
31に示すように両基板を対向配置した場合に、可撓性
基板310側の7枚の電極E1〜E7は、それぞれ固定
基板320側の電極E0の一部分と対向することにな
り、この対向した一対の電極により容量素子が形成され
ることになる。ここでは、7枚の電極E1〜E7と、電
極E0の各対向部分とによって形成される容量素子を、
それぞれ容量素子C1〜C7と呼ぶことにする。
【0105】いま、この加速度センサ本体部に対して、
X軸方向の加速度が作用した場合を考える。この場合、
重錘体330の重心Pに対しては、X軸方向の力Fxが
加わることになり、可撓性基板310は図32に示すよ
うに撓みを生じることになる。この撓みにより、可撓性
基板310の各部分はそれぞれ変位を生じる。たとえ
ば、電極E1が形成されている部分は電極E0へ接近す
る方向への変位を生じ、電極E2が形成されている部分
は電極E0から遠ざかる方向への変位を生じる。同様
に、Y軸方向の加速度が作用した場合は、重錘体330
の重心Pに対してY軸方向の力Fyが加わることにな
り、電極E3が形成されている部分は電極E0へ接近す
る方向への変位を生じ、電極E4が形成されている部分
は電極E0から遠ざかる方向への変位を生じる。更に、
この加速度センサ本体部に対して、Z軸方向の加速度が
作用した場合は、重錘体330の重心Pに対してZ軸方
向の力Fzが加わることになり、可撓性基板310は図
33に示すように撓みを生じることになる。この撓みに
より、可撓性基板310上の全電極は、電極E0へ接近
する方向への変位を生じることになる。
【0106】この実施例に係る加速度センサの原理は、
このように可撓性基板310の各部分の変位に基づい
て、作用した加速度を検出するというものである。変位
の検出には、容量素子の静電容量値の変化を利用するこ
とができる。すなわち、一対の電極により構成される容
量素子の静電容量値は、電極間隔によって変化する。電
極間隔が広がれば容量値は小さくなり、電極間隔が縮ま
れば容量値は大きくなる。したがって、各容量素子の容
量値を測定することにより、電極間隔を測定することが
でき、可撓性基板310各部の変位状態を認識すること
ができる。
【0107】図29に示されている7枚の電極E1〜E
7のうち、電極E1,E2はX軸方向の加速度検出に利
用され、電極E3,E4はY軸方向の加速度検出に利用
され、電極E5はZ軸方向の加速度検出に利用される。
これら5枚の電極は、主検出素子を構成する電極という
ことになる。一方、電極E6およびE7は、モニタ用の
電極であり、副検出素子を構成する電極である。
【0108】図32の変位状態を観察すれば、容量素子
C1,C2の容量値の変化により、X軸方向の加速度検
出が可能なことが理解できよう。X軸方向の加速度に基
づいて、重錘体330に力Fxが加わると、電極E1−
E0間の距離は小さくなり、電極E2−E0間の距離は
大きくなる。したがって、容量素子C1の容量値は大き
くなり、容量素子C2の容量値は小さくなる。結局、両
容量素子C1,C2の容量値の差が、作用したX軸方向
の加速度の値を示していることになる。同様に、両容量
素子C3,C4の容量値の差が、作用したY軸方向の加
速度の値を示すことになる。しかも、電極E1〜E4
は、X軸またはY軸に関して線対称になっているので、
他軸成分の検出値が干渉を及ぼすことはない。たとえ
ば、X軸方向の加速度が作用した場合、電極E3−E0
間の距離や電極E4−E0間の距離は、部分的に大きく
なったり小さくなったりするが、全体としては変わりは
ないため、両容量素子C3,C4の容量値の差に変化は
生じない。
【0109】また、Z軸方向の加速度に基づいて、重錘
体330に力Fzが加わると、図33に示されているよ
うに、電極E5−E0間の距離が小さくなり、容量素子
C5の容量値は大きくなる。よって、容量素子C5の容
量値の変化分が作用したZ軸方向の加速度の値を示すこ
とになる。
【0110】一方、モニタ用電極E6,E7が形成され
ている部分は、X軸,Y軸,Z軸のいずれの加速度成分
が作用した場合であっても変位が生じる。したがって、
容量素子C6,C7の容量値の変化をモニタしていれ
ば、X軸,Y軸,Z軸のいずれの加速度成分が作用した
場合であっても検出が可能になる。なお、モニタ用電極
を2組設けているのは、1組だけでは、W1軸方向のみ
の加速度あるいはW2軸方向のみの加速度を検出するこ
とができないためである。
【0111】図34は、図31に示す加速度センサ本体
部に適用するための検出回路の一例を示す回路図であ
る。この検出回路の主たる構成要素は、主検出素子群3
50と、副検出素子群360と、マイクロコンピュータ
370とである。この図34の回路図中に示されている
電極E1〜E7は図29に示されている各電極であり、
電極E0は図30に示されている電極である。前述のよ
うに、対向する各電極により、容量素子C1〜C7が形
成されている。主検出素子群350には、5組のC/V
変換回路351〜355と3組の演算器356〜358
が設けられている。5組のC/V変換回路351〜35
5は、それぞれ容量素子C1〜C5の静電容量値を電圧
値に変換する機能を有する。
【0112】演算器356は、C/V変換回路351の
出力電圧とC/V変換回路352の出力電圧との差に相
当する電圧を求め、これをX軸方向の加速度検出値とし
てマイクロコンピュータ370の端子Txに与える機能
を有する。容量素子C1の容量値と容量素子C2の容量
値との差が、X軸方向の加速度成分を示すことは既に述
べたとおりである。同様に、演算器357は、C/V変
換回路353の出力電圧とC/V変換回路354の出力
電圧との差に相当する電圧を求め、これをY軸方向の加
速度検出値としてマイクロコンピュータ370の端子T
yに与える機能を有する。容量素子C3の容量値と容量
素子C4の容量値との差が、Y軸方向の加速度成分を示
すことも既に述べたとおりである。演算器358は、単
なるアンプとして機能し、C/V変換回路355の出力
に相当する電圧を、Z軸方向の加速度検出値としてマイ
クロコンピュータ370の端子Tzに与える機能を有す
る。容量素子C5の容量値の変化分が、Z軸方向の加速
度成分を示すことも既に述べたとおりである。
【0113】5組のC/V変換回路351〜355も3
組の演算器356〜358も、いずれもマイクロコンピ
ュータ370の端子Teから各電源入力端子eへ電力供
給を受けることにより動作する。したがって、端子Te
からの電力供給が行われないと、主検出素子群350は
本来の機能を停止し休眠状態となる。
【0114】一方、副検出素子群360には、2組のC
/V変換回路361,362が設けられている。C/V
変換回路361は、モニタ用容量素子C6の静電容量値
を電圧値に変換してマイクロコンピュータ370の端子
Tm1に与える機能を有し、C/V変換回路362は、
モニタ用容量素子C7の静電容量値を電圧値に変換して
マイクロコンピュータ370の端子Tm2に与える機能
を有する。C/V変換回路361,362の電源入力端
子eに対しては、マイクロコンピュータ370の端子T
pからパルス信号Epが供給され、このパルス信号Ep
による電力でC/V変換回路361,362は断続的に
動作する。既に述べてきたように、パルス信号Epを用
いて副検出素子を断続的に動作させることは、消費電力
を低減するために非常に効果的である。しかも、この加
速度センサの利用環境に応じた所定のサンプリング周期
をもったパルス信号Epを用いるようにすれば、断続的
な動作であっても何ら支障は生じない。
【0115】この図34に示す検出回路を用いた加速度
センサの動作は、マイクロコンピュータ370によって
統括管理される。まず、このセンサの電源スイッチをO
Nにすると、電源Eに電力が供給される。電源Eからの
電力供給を受けたマイクロコンピュータ370は、端子
Tpからパルス信号Epの供給を開始し、副検出素子群
360に対する電力供給を行う。この時点では、端子T
eからの電力供給は行われないため、主検出素子群35
0は休眠状態を維持する。C/V変換回路361,36
2は、容量素子C6,C7の静電容量値に対応する電圧
値を、マイクロコンピュータ370の端子Tm1,Tm
2へ与える。センサ本体に大きな振動が加わらない平常
時の動作モードでは、端子Tm1,Tm2に与えられる
電圧値は所定の基準値を維持する。マイクロコンピュー
タ370は、端子Tm1,Tm2に与えられる電圧値と
所定の基準値との差が所定のしきい値より小さい限り、
端子Teからの電力供給は行わない。このため、主検出
素子群350はひき続き休眠状態を継続することにな
り、平常時の動作モードが維持される。
【0116】このように、平常時の動作モードでは、電
源Eから供給された電力がマイクロコンピュータ370
で消費されるとともに、C/V変換回路361,362
で消費されることになるが、主検出素子群350内で消
費されることはない。このため、通常の動作を行わせる
場合に比べて、平常時の電力消費は大幅に低減される。
【0117】一方、地震の発生により、センサ本体に大
きな振動が加わると、端子Tm1あるいはTm2に与え
られる電圧値と基準値との差が所定のしきい値を越える
ことになる。すると、マイクロコンピュータ370は、
端子Teからの電力供給を開始し、主検出素子群350
を通常動作させる。その結果、マイクロコンピュータ3
70の端子Tx,Ty,Tzには、実際に作用した加速
度のX軸,Y軸,Z軸方向成分の検出値が得られること
になる。たとえば、この加速度センサがガスメータ用の
センサであれば、マイクロコンピュータ370は、これ
らの加速度検出値に基づいて、ガスの供給を停止すべき
か否かを判断し、供給を停止する必要があると判断した
場合には、端子Toff から遮断信号をガス供給弁に対し
て出力することになる。
【0118】やがて、地震の振動が収まり、端子Tm1
およびTm2に与えられる電圧値が基準値に近い値まで
戻ると、マイクロコンピュータ370は、端子Teから
の電力供給を停止し、主検出素子群350を再び休眠状
態にする。こうして、平常時の動作モードへ復帰するこ
とになる。
【0119】§6. 容量素子を用いた実施例(2) ここでは、§5で述べた実施例において、主検出素子の
一部を副検出素子として兼用した実施例を説明する。図
35は、このような素子の兼用を行う場合の可撓性基板
310上の電極構成を示す上面図である。図29に示す
電極構成と比較すればわかるように、図35に示す可撓
性基板310には、モニタ用の電極E6,E7が設けら
れていない。既に述べたように、電極E1,E2はX軸
方向の加速度成分検出に利用され、電極E3,E4はY
軸方向の加速度成分検出に利用され、電極A5はZ軸方
向の加速度成分検出に利用される。したがって、これら
5枚の電極E1〜E5は、いずれも主検出素子を構成す
る電極である。しかしながら、ここで述べる実施例で
は、これらの5枚のうち、電極E2およびE4は、副検
出素子を構成する電極(モニタ用電極)としても利用さ
れる。
【0120】図36は、図35に示す可撓性基板310
を用いたセンサ本体部に適用すべき検出回路を示す回路
図である。主検出素子群359は、センサ本体部に形成
された電極E0〜E5と、5組のC/V変換回路351
〜355と、3組の演算器356〜358によって構成
されており、この構成は図34に示す回路における主検
出素子群350の構成とほぼ同じである。ただ、図36
に示す回路におけるC/V変換回路352a,354a
の電源入力端子eには、マイクロコンピュータ375の
端子Teからの電力と端子Tpからの電力(パルス信号
Ep)との双方を受け入れる機能が備わっている。
【0121】まず、このセンサの電源スイッチをONに
すると、電源Eに電力が供給される。電源Eからの電力
供給を受けたマイクロコンピュータ375は、端子Tp
から所定のサンプリング周期をもったパルス信号Epを
出力する処理を開始する。このパルス信号Epは、5組
のC/V変換回路351〜355のうち、2組のC/V
変換回路352a,354aの電源入力端子eに対して
のみ供給される。既に述べたように、この実施例では、
電極E2,E4は副検出素子の構成要素としても機能
し、2組のC/V変換回路352a,354aも副検出
素子としての機能を果たすことになる。一方、マイクロ
コンピュータ375は、端子Teからの電力供給はこの
時点では行わない。したがって、C/V変換回路35
1,353,355および各演算器356〜358へは
電力が供給されない状態となる。
【0122】結局、センサ本体に大きな振動が加わらな
い平常時の動作モードでは、主検出素子群359内の各
要素のうち、副検出素子を兼ねる2組のC/V変換回路
352a,354aの電源入力端子eに対してのみ電力
供給(パルス信号Ep)がなされ、容量素子C2の静電
容量値に応じた電圧値がマイクロコンピュータ375の
端子Tm1に与えられるとともに、容量素子C4の静電
容量値に応じた電圧値がマイクロコンピュータ375の
端子Tm2に与えられる。
【0123】マイクロコンピュータ375は、端子Tm
1に入力される電圧値および端子Tm2に入力される電
圧値と、所定の基準値との電圧差を求め、この電圧差が
所定のしきい値以上か否かを判断する。センサ本体に大
きな振動が加わらない平常時の動作モードでは、この電
圧差はしきい値より小さな値となるため、マイクロコン
ピュータ375は、ひき続き、2組のC/V変換回路3
52a,354aに対してのみ電力供給を行うことにな
る。その結果、主検出素子群359は、副検出素子群を
構成する2組のC/V変換回路352a,354aを除
いて、休眠状態を維持する。よって、マイクロコンピュ
ータ375の端子Tx,Ty,Tzには加速度の検出値
は得られない。
【0124】このように、平常時の動作モードでは、電
源Eから供給された電力がマイクロコンピュータ375
で消費されるだけであり、マイクロコンピュータ375
は、パルス信号Epの発生にある程度の電力を消費する
ものの、通常の動作を行わせる場合に比べて、平常時の
電力消費は大幅に低減される。
【0125】一方、地震の発生により、センサ本体に大
きな振動が加わると、端子Tm1あるいはTm2に与え
られる電圧値が変動し、基準値に対する電圧差が所定の
しきい値を越えることになる。すると、マイクロコンピ
ュータ375は、端子Teからの電力供給を開始する。
これにより、主検出素子群359全体が本来の動作を開
始する。なお、マイクロコンピュータ375は、この時
点で、端子Tpからのパルス信号Epの出力を停止する
(回路動作に支障がなければ出力を継続したままでもよ
い)。主検出素子群359が本来の動作を開始した結
果、マイクロコンピュータ375の端子Tx,Ty,T
zには、実際に作用した加速度のX軸,Y軸,Z軸方向
成分の検出値が得られることになる。たとえば、この加
速度センサがガスメータ用のセンサであれば、マイクロ
コンピュータ375は、これらの加速度検出値に基づい
て、ガスの供給を停止すべきか否かを判断し、供給を停
止する必要があると判断した場合には、端子Toff から
遮断信号をガス供給弁に対して出力することになる。
【0126】やがて、地震の振動が収まり、端子Tm1
あるいはTm2に与えられる電圧値が所定の基準値に近
い値まで戻ると、マイクロコンピュータ375は、端子
Teからの電力供給を停止するとともに、端子Tpから
パルス信号Epの供給を開始する。こうして、主検出素
子群359は、副検出素子群を兼ねる2組のC/V変換
回路352a,354aを除いて、休眠状態に入り、平
常時の動作モードへ復帰することになる。
【0127】§7. 消費電力を更に低減させるための
回路構成 最後に、平常時の消費電力を更に低減させるための工夫
を述べておく。この工夫は、§1〜§3で述べた圧電素
子を用いた実施例に適用するためのものである。図1
7,図20,図25には、圧電素子を用いた実用的な実
施例に係る検出回路を示した。これらの検出回路では、
副検出素子として機能する圧電素子についての発生電荷
量を、チャージアンプを用いて所定の電圧値に変換し、
マイクロコンピュータに信号伝達を行うようにしてい
た。このとき、チャージアンプへの電力供給を、所定の
サンプリング周期をもったパルス信号を用いて間欠的に
行えば、平常時の電力消費を低減させることができるこ
とは既に述べたとおりである。しかしながら、チャージ
アンプを駆動させるためには、間欠的にせよ電力供給を
行うことが不可欠であり、電力消費は避けられない。
【0128】ここでは、消費電力を更に低減させ、平常
時における電力消費を理論的には零に抑えることができ
る検出回路を開示しておく。図37は、副検出素子から
の信号を取り出してマイクロコンピュータに伝達させる
仕事を、チャージアンプではなく、MOSトランジスタ
を用いて行うようにした検出回路を示す回路図である。
ここで、圧電素子410は、副検出素子として機能する
圧電素子であり、上部電極Aと下部電極Bとによって挟
まれている。下部電極Bは接地され、上部電極Aは、P
型MOSトランジスタTR1およびN型MOSトランジ
スタTR2のゲート電極に接続されている。また、各M
OSトランジスタTR1,TR2のソース・ドレイン電
極の一方は接地され、他方はマイクロコンピュータ42
0の端子Tm1,Tm2に接続されている。マイクロコ
ンピュータ420の端子Tm1,Tm2には、接地電位
に対して所定の電圧が加わっており、各MOSトランジ
スタがONになると、端子Tm1,Tm2からそれぞれ
モニタ電流im1,im2が流れるようになっている。
【0129】平常時、すなわち加速度が作用していない
状態では、圧電素子410には何ら電荷は発生しない。
したがって、平常時には各MOSトランジスタTR1,
TR2のゲート電極の電位は零(接地レベル)になり、
両トランジスタはOFFの状態になる。このため、モニ
タ電流im1,im2は流れることなく、副検出素子と
しての消費電力は零になる。ところが、地震発生により
加速度が作用すると、上部電極Aに所定の電荷が発生
し、MOSトランジスタがON状態になる。すなわち、
上部電極Aに正の電荷が発生すると、各トランジスタの
ゲート電極に正電圧が印加され、N型MOSトランジス
タTR2がON状態になり、モニタ電流im2が観測さ
れることになる。逆に、上部電極Aに負の電荷が発生す
ると、各トランジスタのゲート電極に負電圧が印加さ
れ、P型MOSトランジスタTR1がON状態になり、
モニタ電流im1が観測されることになる。マイクロコ
ンピュータ420は、端子Tm1,Tm2を流れるモニ
タ電流im1,im2を監視し、この電流値が所定のし
きい値以上になった場合に、主検出素子(図示されてい
ない)への給電を開始すればよい。
【0130】なお、地震の揺れは、上下や左右の往復振
動であるため、加速度の方向は周期的に逆転する。この
ため、上部電極Aに発生する電荷の極性も周期的に反転
することになる。したがって、図37に示す回路図で
は、一対のMOSトランジスタTR1,TR2を設けた
例を示したが、地震などの往復振動を検出する一般的な
加速度センサとして用いるのであれば、P型MOSトラ
ンジスタTR1か、N型MOSトランジスタTR2かの
いずれか一方だけを設けておけば十分である。
【0131】図38は、MOSトランジスタの代わり
に、npn型バイポーラトランジスタを用いた例であ
る。上部電極Aは、抵抗素子Rおよび容量素子Cを介し
て接地されるとともに、バイポーラトランジスタTR3
のベース電極に接続されている。また、バイポーラトラ
ンジスタTR3のエミッタ電極は接地され、コレクタ電
極はマイクロコンピュータ430の端子Tmに接続され
ている。マイクロコンピュータ430の端子Tmには、
接地電位に対して所定の電圧が加わっており、トランジ
スタTR3がONになると、モニタ電流imが流れるよ
うになっている。
【0132】平常時、すなわち加速度が作用していない
状態では、圧電素子410には何ら電荷は発生しない。
したがって、平常時にはトランジスタTR3のベース電
極の電位は零(接地レベル)になり、npn型トランジ
スタはOFFの状態になる。このため、モニタ電流im
は流れることなく、副検出素子としての消費電力は零に
なる。ところが、地震発生により加速度が作用すると、
上述したように、上部電極Aには正の電荷および負の電
荷が周期的に発生する。ベース電極に正の電圧がかかる
と、トランジスタTR3はON状態になり、モニタ電流
imが観測されることになる。マイクロコンピュータ4
30は、端子Tmを流れるモニタ電流imを監視し、こ
の電流値が所定のしきい値以上になった場合に、主検出
素子(図示されていない)への給電を開始すればよい。
【0133】このように、図37あるいは図38に示す
回路を副検出素子の信号検出に用いれば、平常時の電力
消費を零に抑えることが可能になり、センサ全体の消費
電力を更に低減させることが可能になる。
【0134】たとえば、図17に示す検出回路の場合、
チャージアンプ171の代わりに上述のトランジスタ回
路を適用すればよい。また、図20に示す検出回路の場
合、チャージアンプ171,172の代わりに上述のト
ランジスタ回路を適用すればよい。更に、図25に示す
検出回路の場合、上部電極A2,A4を上述のトランジ
スタ回路に接続するようにし、このトランジスタ回路に
流れるモニタ電流をマイクロコンピュータ188で監視
するようにすればよい。
【0135】
【発明の効果】以上のとおり本発明に係る加速度センサ
によれば、平常時の動作モードではモニタ用の副検出素
子に対してのみ電力供給を行い、この副検出素子が所定
レベル以上の加速度を検出したときにのみ、本来の加速
度検出を行う主検出素子への電力供給を行うようにした
ため、低消費電力で動作可能な電子式の加速度センサを
実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の一般的な電子式の三次元加速度センサの
基本構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る電子式の三次元加速度センサの基
本構成を示すブロック図である。
【図3】XYZ三次元座標系において各主検出素子およ
び各副検出素子による検出軸方向を示す概念図である。
【図4】2組の副検出素子を用いた加速度センサの基本
構成を示すブロック図である。
【図5】複数の主検出素子のうちの一部を副検出素子と
して兼用し、主電力供給手段の一部を副電力供給手段と
して兼用した実施形態の基本構成を示すブロック図であ
る。
【図6】副電力供給手段から副検出素子に対する電力供
給を、給電状態と非給電状態とを交互に繰り返すパルス
信号を用いて断続的に行うことを示す波形図である。
【図7】圧電素子を用いた基本的な実施例に係る加速度
センサの本体部を斜め上方から見た斜視図である。
【図8】図7に示すセンサ本体部を斜め下方から見た斜
視図である。
【図9】図7に示すセンサ本体部の上面図である。
【図10】図7に示すセンサ本体部をXZ平面で切った
側断面図である。
【図11】図7に示すセンサ本体部の下面図である。
【図12】圧電素子の分極特性の一例を示す側断面図で
ある。
【図13】図7に示すセンサ本体部にX軸方向の力Fx
(X軸方向の加速度に基づく力)が作用した場合の撓み
状態を示す側断面図である。
【図14】図7に示すセンサ本体部にZ軸方向の力Fz
(Z軸方向の加速度に基づく力)が作用した場合の撓み
状態を示す側断面図である。
【図15】図9に示す電極配置をもつセンサ本体部に対
して、力Fx,Fy,Fzのそれぞれが作用した場合
に、各上部電極に発生する電荷の極性を示す図表であ
る。
【図16】図9に示す電極配置をもつセンサ本体部を用
いて加速度検出を行うための検出回路を示す回路図であ
る。
【図17】図9に示す電極配置をもつセンサ本体部を用
いて、より実用的な加速度検出を行うための検出回路を
示す回路図である。
【図18】2組の副検出素子を有する加速度センサ本体
部を示す上面図である。
【図19】図18に示す電極配置をもつセンサ本体部に
対して、力Fx,Fy,Fzのそれぞれが作用した場合
に、各上部電極に発生する電荷の極性を示す図表であ
る。
【図20】図18に示す電極配置をもつセンサ本体部を
用いて加速度検出を行うための検出回路を示す回路図で
ある。
【図21】2組の副検出素子を有する別な加速度センサ
本体部を示す上面図である。
【図22】図21に示す電極配置をもつセンサ本体部に
対して、力Fx,Fy,Fzのそれぞれが作用した場合
に、各上部電極に発生する電荷の極性を示す図表であ
る。
【図23】主検出素子と副検出素子との一部兼用を行っ
た圧電素子を用いた加速度センサ本体部を示す上面図で
ある。
【図24】図23に示す電極配置をもつセンサ本体部に
対して、力Fx,Fy,Fzのそれぞれが作用した場合
に、各上部電極に発生する電荷の極性を示す図表であ
る。
【図25】図23に示す加速度センサ本体部に適用すべ
き検出回路を示す回路図である。
【図26】ピエゾ抵抗素子を用いた実施例に係る加速度
センサの本体部を示す上面図である。
【図27】図26に示すセンサ本体部をXZ平面で切っ
た側断面図である。
【図28】図26に示す加速度センサ本体部に適用すべ
き検出回路を示す回路図である。
【図29】容量素子を用いた実施例に係る加速度センサ
の本体部を構成する可撓性基板310の上面図である。
【図30】容量素子を用いた実施例に係る加速度センサ
の本体部を構成する固定基板320の下面図である。
【図31】容量素子を用いた実施例に係る加速度センサ
の本体部の側断面図である。
【図32】図31に示すセンサ本体部にX軸方向の力F
x(X軸方向の加速度に基づく力)が作用した場合の撓
み状態を示す側断面図である。
【図33】図31に示すセンサ本体部にZ軸方向の力F
z(Z軸方向の加速度に基づく力)が作用した場合の撓
み状態を示す側断面図である。
【図34】図31に示す加速度センサ本体部に適用すべ
き検出回路を示す回路図である。
【図35】検出素子と副検出素子との一部兼用を行った
容量素子を用いた加速度センサの電極配置を示す上面図
である。
【図36】図35に示す加速度センサ本体部に適用すべ
き検出回路を示す回路図である。
【図37】副検出素子からの信号をMOSトランジスタ
を用いて取り出す検出回路を示す回路図である。
【図38】副検出素子からの信号をバイポーラトランジ
スタを用いて取り出す検出回路を示す回路図である。
【符号の説明】
11…X軸方向主検出素子 12…Y軸方向主検出素子 13…Z軸方向主検出素子 20,25…主電力供給手段 30…支持手段 40…副検出素子 41…第1の副検出素子 42…第2の副検出素子 50,55…副電力供給手段 60…制御手段 110…圧電素子 111…中心部 112…可撓部 113…周囲部 115…環状溝 118…局在的な分極処理がなされた圧電素子 130…主検出素子群 131〜138…Q/V変換回路 141〜143…演算器 150…副検出素子 151…Q/V変換回路 160…主検出素子群 161〜163…チャージアンプ 170…副検出素子 171,172…チャージアンプ 175…副検出素子群 180,185,188…マイクロコンピュータ 181,182,183…制御スイッチ 190…主検出素子群 191〜195…チャージアンプ 196〜198…演算器 210…単結晶半導体基板 211…中心部 212…可撓部 213…周囲部 215…環状溝 221〜223…アンプ回路 230…マイクロコンピュータ 310…可撓性基板 320…固定基板 330…重錘体 340…センサ筐体 350…主検出素子群 351〜355,352a,354a…C/V変換回路 356〜358…演算器 359…主検出素子群 360…副検出素子群 361,362…C/V変換回路 370,375…マイクロコンピュータ 410…圧電素子 420,430…マイクロコンピュータ A,A1〜A11…上部電極 B…下部電極 Brx,Bry,Brz…ブリッジ回路 C,C1〜C7…容量素子 Dm11,Dm12,Dm21,Dm22…モニター用
検出軸方向 Dx,Dy,Dz…加速度の検出軸方向 E…電源 E0,E1〜E7…電極 Ep…パルス信号 e…電源入力端子 Fx…X軸方向に作用する力 Fz…Z軸方向に作用する力 im,im1,im2…モニタ用電流 L…サンプリング周期 P…中心部の重心 R…抵抗素子 Rx1〜Rx4,Ry1〜Ry4,Rz1〜Rz4…ピ
エゾ抵抗素子 Rm1,Rm2…モニタ用ピエゾ抵抗素子 Tc…制御信号出力端子 Te…電力供給用端子 Tm,Tm1,Tm2…モニター加速度成分の検出値が
得られる端子 Toff …遮断信号出力端子 Tp,Tp1,Tp2…パルス信号供給端子 TR1…P型MOSトランジスタ TR2…N型MOSトランジスタ TR3…バイポーラトランジスタ Tx,Ty,Tz…加速度のX軸,Y軸,Z軸成分の検
出値が得られる端子 W…パルス信号のパルス幅 W1,W2…配置軸 X1,X2,X3,X4…X軸上の位置 αx…加速度のX軸方向成分 αy…加速度のY軸方向成分 αz…加速度のZ軸方向成分 αm,αm1,αm2…モニター加速度成分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01V 1/18 G01V 1/18

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の検出軸方向の加速度成分を検出す
    る複数の主検出素子と、これら主検出素子に対して電力
    を供給する主電力供給手段と、前記複数の主検出素子を
    それぞれの検出軸方向が互いに異なるような配置となる
    ように支持する支持手段と、を備え、前記各主検出素子
    に対して前記主電力供給手段から電力供給を行うことに
    より、複数の検出軸方向の加速度成分をそれぞれ独立し
    た電気信号として出力する機能をもった加速度センサに
    おいて、 予め設定したモニター用検出軸方向の加速度成分を検出
    できるように前記支持手段によって支持された副検出素
    子と、 前記副検出素子により検出される加速度成分が電気信号
    として出力されるように、前記副検出素子に対して電力
    を供給する副電力供給手段と、 前記副電力供給手段に対しては、センサ動作中の期間に
    おける少なくとも前記主電力供給手段が電力供給を行っ
    ていない期間は、電力供給を行うよう制御し、前記主電
    力供給手段に対しては、前記副検出素子の出力する電気
    信号が所定のしきい値レベル以上の場合にのみ、電力供
    給を行うよう制御する制御手段と、 を更に設けたことを特徴とする加速度センサ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の加速度センサにおい
    て、 複数組の副検出素子を、それぞれのモニター用検出軸方
    向が互いに異なるような配置となるように、支持手段に
    よって支持したことを特徴とする加速度センサ。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の加速度センサ
    において、 複数の主検出素子のうちの一部を副検出素子として兼用
    し、主電力供給手段の一部を副電力供給手段として兼用
    することを特徴とする加速度センサ。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の加速度
    センサにおいて、 副電力供給手段による電力供給を、所定のサンプリング
    周期をもったパルス信号を用いて断続的に行うことを特
    徴とする加速度センサ。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の加速度
    センサにおいて、 中心部と周辺部とのいずれか一方がセンサ筐体に固定さ
    れ、他方に重錘体が形成された可撓性をもった基板によ
    り支持手段を構成し、 前記可撓性基板の中心部に原点Oを定め、基板主面がX
    Y平面に含まれるようにXYZ三次元座標系を定義した
    ときに、前記基板のX軸の正の部分の応力もしくは変位
    を検出する第1の検出器と、前記基板のX軸の負の部分
    の応力もしくは変位を検出する第2の検出器と、前記基
    板のY軸の正の部分の応力もしくは変位を検出する第3
    の検出器と、前記基板のY軸の負の部分の応力もしくは
    変位を検出する第4の検出器と、を設け、 前記第1の検出器と前記第2の検出器とによりX軸方向
    を検出軸方向とする主検出素子を構成し、前記第3の検
    出器と前記第4の検出器とによりY軸方向を検出軸方向
    とする主検出素子を構成し、 更に、前記基板の任意の一部分の応力もしくは変位を検
    出する補助検出器を設け、この補助検出器により副検出
    素子を構成したことを特徴とする加速度センサ。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の加速度センサにおい
    て、 重錘体にZ軸方向の力が作用したときに可撓性基板に生
    じる応力もしくは変位を検出する検出器を更に設け、こ
    の検出器によりZ軸方向を検出軸方向とする主検出素子
    を構成したことを特徴とする加速度センサ。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の加速度
    センサにおいて、 加速度の作用により応力が加わるように構成された圧電
    素子の基板を支持手段として用い、 この圧電素子の所定部分に発生する電荷を検出する電極
    と、この電極で検出された電荷量を電気信号として出力
    する電子回路と、によって各検出素子を構成したことを
    特徴とする加速度センサ。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれかに記載の加速度
    センサにおいて、 加速度の作用により応力が加わるように構成された単結
    晶基板を支持手段として用い、 この単結晶基板上の所定位置に形成されたピエゾ抵抗素
    子と、このピエゾ抵抗素子の抵抗値の変化を電気信号と
    して出力する電子回路と、によって各検出素子を構成し
    たことを特徴とする加速度センサ。
  9. 【請求項9】 請求項1〜6のいずれかに記載の加速度
    センサにおいて、 加速度の作用により撓みが生じるように構成された可撓
    性基板と、この可撓性基板に対向する位置に配置された
    固定基板と、によって支持手段を構成し、 前記可撓性基板上の所定位置に配置された変位電極と、
    前記固定基板上の所定位置に配置された固定電極と、に
    よって容量素子を構成し、 前記容量素子と、前記容量素子の容量値の変化を電気信
    号として出力する電子回路と、によって各検出素子を構
    成したことを特徴とする加速度センサ。
  10. 【請求項10】 請求項7に記載の加速度センサにおい
    て、 副検出素子を構成する圧電素子に発生した電荷に基づい
    てON/OFF動作するトランジスタを設け、このトラ
    ンジスタに流れる電流を副検出素子からの電気信号とし
    て取り出すことを特徴とする加速度センサ。
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