JPH10174519A - きのこ栽培用培地およびきのこ栽培用菌床 - Google Patents

きのこ栽培用培地およびきのこ栽培用菌床

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JPH10174519A
JPH10174519A JP8336078A JP33607896A JPH10174519A JP H10174519 A JPH10174519 A JP H10174519A JP 8336078 A JP8336078 A JP 8336078A JP 33607896 A JP33607896 A JP 33607896A JP H10174519 A JPH10174519 A JP H10174519A
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water
nonionic
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ionic
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JP8336078A
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Tetsuhiko Yamaguchi
哲彦 山口
Shinya Ishioka
信也 石岡
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐候性が高く、菌糸に対する生長阻害作用が
ない保水材を用いたきのこ栽培用培地およびきのこ栽培
用菌床を提供する。 【解決手段】 弱アニオン性吸水性樹脂あるいは非イオ
ン性吸水性樹脂を必須成分として含むきのこ栽培用培
地、およびきのこ栽培容器内に、弱アニオン性吸水性樹
脂あるいは非イオン性吸水性樹脂からなる保水層が形成
され、該保水層の上に、培地層が積層されたきのこ栽培
用菌床。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は食用あるいは薬用き
のこ類の人工栽培に用いられる培地および菌床に関し、
特に保水性に優れ菌糸の生長が良好な培地および菌床に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、食用あるいは薬用きのこ類の人
工栽培は、おがくず、チップ、わら等の基材に、米ぬ
か、ふすま、コーン粉末等を添加して栄養を富化したき
のこ用培地を調製し、この培地を栽培容器に充填し、適
量の水を添加し、これを滅菌後、種菌を接種する方法で
行われている。この際、培地中の水分含量が多すぎて
も、あるいは少なすぎても、菌糸の生長や子実体発生基
の形成が遅れる。したがって、植菌後の菌糸生育から子
実体形成に至るまで、培地に含有される水分含量の管理
が重要であり、例えば、シメジの場合、培地の水分含量
が60〜65重量%、好ましくは62重量%程度となる
ように管理しつつ、栽培されている。
【0003】ところが、培養開始時に最適な水分条件と
なるように調整した場合、培養中に培養基表面の水分が
徐々に発散あるいは培地の下部に移行し、菌床表面の含
水率が低下し、原基発生に支障をきたすことがある。こ
のような培養途中の水分不足を防止するために、培地に
やや過剰に水分を添加することも行われているが、この
場合も余剰水が培地の下部に移行し、培養容器底部に水
が滞留し、培地の通気性が低下して菌糸の生長が遅くな
ったり、雑菌の繁殖を招いたりする問題があった。
【0004】上述の水分管理の問題に対処するため、ポ
リアクリル酸塩などの吸水性樹脂をきのこ栽培培地の組
成成分として添加する方法が開発されている(特公昭6
3−3563号公報)。この方法においては、きのこ栽
培用培地に添加された吸水性高分子物質が、余剰水分を
吸収し、かつ培養の進行と共に徐々にこの吸水水分を放
出するので、培地の過湿および乾燥を防止することがで
きる。ところが、ポリアクリル酸塩などのイオン系吸水
性樹脂は、通常イオン性モノマーを30モル%を越える
割合で含み、イオン化度が高く、菌糸に対する生長阻害
作用を示す。このため菌糸は容器内側面に沿って下方に
延びるだけで、培地の内部にまで十分に生長できず、菌
糸の初期生長が遅れ、子実体の収穫量が低下するだけで
なく、栽培期間が延び、栽培ロット間において生育差が
生じ、出荷作業に支障をきたすことがあった。またアク
リル酸系の(共)重合体は耐候性が不十分であり、栽培
中に保水性が低下するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐候性が高
く、菌糸に対する生長阻害作用がない保水材を用いたき
のこ栽培用培地およびきのこ栽培用菌床を提供するもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のきのこ栽培用培
地は、弱アニオン性吸水性樹脂と非イオン系吸水性樹脂
との少なくとも一方を必須成分として含むことを特徴と
している。また本発明のきのこ栽培用菌床は、きのこ栽
培容器内に、弱アニオン性吸水性樹脂あるいは非イオン
系吸水性樹脂からなる保水層が形成され、該保水層の上
に、培地層が積層されたことを特徴としている。上記き
のこ栽培用培地あるいはきのこ栽培用菌床において、前
記弱アニオン性吸水性樹脂あるいは非イオン系吸水性樹
脂をN−ビニルカルボン酸アミドの単独重合体架橋物ま
たはイオン性および非イオン性のいずれかのモノマーと
の共重合体架橋物としてもよく、さらにN−ビニルアセ
トアミドの単独重合体架橋物またはイオン性および非イ
オン性のいずれかのモノマーとの共重合体架橋物として
もよい。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のきのこ栽培用培地(以
下、培地と略記する)あるいはきのこ栽培用菌床(以下
菌床と略記する)において、非イオン系吸水性樹脂と
は、イオン性モノマーを含まず、重合体を構成するモノ
マーがすべて非イオン性モノマーであるものをさす。ま
た弱アニオン性吸水性樹脂とは、共重合体を構成するモ
ノマーのうち、イオン性モノマーの割合が30モル%以
下であるものをいう。
【0008】本発明において用いられる弱アニオン性吸
水性樹脂あるいは非イオン系吸水性樹脂としては、例え
ばポリオキシエチレン(PEO)系の単独重合体架橋物
または共重合体架橋物、ポリビニルアルコール(PV
A)系の単独重合体架橋物または共重合体架橋物、ポリ
アクリルアミド(PAM)系の単独重合体架橋物または
共重合体架橋物、N−ビニルカルボン酸アミドの単独重
合体架橋物または共重合体架橋物などを用いることがで
きるが、耐光性、耐熱性が良好で生分解性がないという
理由から、N−ビニルアセトアミドの単独重合体架橋物
または共重合体架橋物(以下、PNVAという)を用い
ることが好ましく、N−ビニルアセトアミドの単独重合
体架橋物がより好ましい。
【0009】以下、弱アニオン性吸水性樹脂あるいは非
イオン系吸水性樹脂として、N−ビニルカルボン酸アミ
ドの単独重合体架橋物または共重合体架橋物を例にとっ
て、更に詳しく本発明を説明する。N−ビニルカルボン
酸アミドは下記の式(I)で表される。
【0010】
【化1】
【0011】式(I)において、R1、R2は水素または
メチル基、R3は水素、メチル基、またはエチル基を示
し、R2とR3とが炭素数3〜5のアルキレン基を形成し
ていてもよい。具体的には、N−ビニルアセトアミド、
N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホル
ムアミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−
ビニルピロリドンなどが挙げられる。N−ビニルカルボ
ン酸アミドと共重合しうるイオン性モノマーとしては、
例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン
酸、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホ
ン酸、2−アクリルアミドエタンスルホン酸、2−メタ
クリルアミドエタンスルホン酸、3−メタクリルアミド
プロパンスルホン酸、アクリル酸メチルスルホン酸、メ
タクリル酸メチルスルホン酸、アクリル酸−2−エチル
スルホン酸、メタクリル酸−2−エチルスルホン酸、ア
クリル酸−3−プロピルスルホン酸、メタクリル酸−3
−プロピルスルホン酸、アクリル酸−2−メチル−3−
プロピルスルホン酸、メタクリル酸−2−メチル−3−
プロピルスルホン酸、アクリル酸−1,1’−ジメチル
−2−エチルスルホン酸、メタクリル酸−1,1’−ジ
メチル−2−エチルスルホン酸またはこれらの塩であ
る。またN−ビニルカルボン酸アミドと共重合しうる非
イオン性モノマーとしては、例えば、メチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、2−
ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、メタ
アクリルアミド、アクリロニトリル、メチルビニルケト
ン、エチルビニルケトン、ビニルアセテート、メチルビ
ニルエーテル、エチルビニルエーテル、メチルメタクリ
レート、エチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチル
メタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレー
ト、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イ
ソプロピル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。前記
イオン性のモノマーの共重合の比率は、非イオン性モノ
マーに対して、30モル%以下が好ましく、20モル%
以下がより好ましい。イオン性のモノマーの共重合の比
率が、非イオン性モノマーに対して、30モル%以下な
らば、生育阻害を起こすことがなく、十分な保水性が得
られる。
【0012】PNVAは、1分子中に重合可能な不飽和
基を少なくとも2個以上有する化合物(「架橋剤」とい
う)とN−ビニルアセトアミド、必要により共重合モノ
マーを酸素の存在しない条件下でラジカル重合開始剤を
用いて製造することができる。重合プロセスについては
必ずしも限定されないが、ポリアクリル酸ソーダ架橋物
の製造方法として従来採用されている水溶液重合、逆相
懸濁重合等を採用することができ、その具体例は特開平
3−223304、特開平4−230250および特開
平4−346833に記載されている。上記(共)重合
体架橋物の製造において使用される架橋剤の具体例とし
ては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、トリエ
チレングリコール(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールトリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼ
ン、N,N−アルキレンビス(N−ビニルアセトアミ
ド)化合物(例えば、N’−1,4−ブチレンビス(N
−ビニルアセトアミド)やN,N’−ジアセチルN,
N’−ジビニル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキ
サンなど)、ペンタエリスリトールトリアリルエーテ
ル、テトラアリルオキシエタンなどがあげられ、これら
は一種または必要により二種以上を用いることができ
る。これら架橋剤の使用量は(共)重合成分を基準とし
て2×10-4〜10モル%、好ましくは5×10-4〜2
モル%の範囲である。上記(共)重合体架橋物の製造に
おいて使用される重合開始剤は従来知られている過酸化
物、有機、無機過酸もしくはその塩、アゾビス系化合物
の単独或いは還元剤との組み合わせによるレドックス系
のものが用いられ、これらの中で特に好ましいものはア
ゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−
アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパ
ン]二塩酸塩などのアゾビス系開始剤である。また、重
合開始剤の使用量は(共)重合成分を基準として0.0
005〜5モル%、特に好ましくは0.005〜0.5
モル%である。重合開始温度は通常−10〜80℃程度
であり、反応時間は0.5〜30時間程度である。当該
PNVAのN−ビニルアセトアミド単位と共重合モノマ
ー単位との比率はモル比で100:0〜25:75が好
ましい。吸液性樹脂としては上記範囲の中から選ばれる
一種または二種以上の混合物を使用することも可能であ
る。
【0013】N−ビニルカルボン酸アミド(共)重合体
架橋物、特にPNVAは、従来の吸水剤に比較して、耐
熱性、耐光性、耐生分解性等に優れて安定であり、栽培
中に保水性が低下することがない。また吸水状態でのN
−ビニルカルボン酸アミド(共)重合体架橋物は、培地
に適度な弾性を付与し、培地の通気性を確保するので好
ましい。
【0014】本発明の培地は、上記弱アニオン性吸水性
樹脂と非イオン系吸水性樹脂の他に、通常きのこの栽培
に用いられる培地基材および栄養源を含むものである。
培地基材としては、例えば、鋸屑、パルプ、紙、腐食土
壌、チップダスト、バーク、稲藁、麦藁、コーン粉末な
どが用いられ、これらは培地の基材となって他の栄養源
および弱アニオン性吸水性樹脂あるいは非イオン性吸水
性樹脂を保持しつつ培床を形成し、かつきのこにより分
解されて養分となりうるものである。また栄養源として
は、米ぬか、トウモロコシぬか、サトウキビかす、おか
ら、パン粉、たい肥等の有機物、糖分、タンパク質系栄
養源などが用いられる。そして培地の基材2−80重量
部に、栄養源を1−80重量部混合することが好まし
い。本発明の培地における、乾燥状態でのN−ビニルカ
ルボン酸アミドの単独重合体架橋物または共重合体架橋
物の含有量は、0.01〜5.0重量%程度が好まし
く、0.1〜1.0重量%程度がより好ましい。N−ビ
ニルカルボン酸アミドの単独重合体架橋物または共重合
体架橋物は、吸水後、他の組成物と混合することも可能
である。この範囲のN−ビニルカルボン酸アミド(共)
重合体架橋物を添加することにより、菌糸に対する生育
阻害なしに、保水性を付与することができる。0.01
重量%未満であると保水性が充分でなく、5.0重量%
を越えると経済性の点で劣る。
【0015】上記組成物を混合して調製された本発明の
培地は、通常用いられるプラスチック製の栽培瓶に充填
され、培地は、水分含有量が50〜80重量%、好まし
くは60〜70重量%程度になるように水が添加され
る。このとき、弱アニオン性吸水性樹脂あるいは非イオ
ン性吸水性樹脂が添加された水を吸収するので、弱アニ
オン性吸水性樹脂あるいは非イオン性吸水性樹脂を含ま
ない培地を用いた場合より、多量の水を添加しても、培
地がべとつくことはない。さらに、培地中央に上下に貫
通する直径1cm程度の穴をあけ、110〜120℃、
60分間加熱滅菌して菌床とする。
【0016】あるいは、栽培容器内に、弱アニオン性吸
水性樹脂あるいは非イオン系吸水性樹脂からなる保水層
を形成し、この保水層の上に、上述の培地基材および栄
養源を含む培地層を積層して、きのこの栽培用菌床を形
成してもよい。この保水層は、栽培容器内の上、中、下
部に形成することが可能であり、好ましくは下部に形成
することがより効果的である。きのこ栽培容器としては
特に限定されないが、例えば、従来よりきのこの栽培容
器として通常用いられる、ポリプロピレンなどのプラス
チック製容器が用いられる。
【0017】この保水層の形成を、弱アニオン性吸水性
樹脂あるいは非イオン性吸水性樹脂を含む保水シートの
敷設によって行なうこともでき、省力化が可能となる。
弱アニオン性吸水性樹脂あるいは非イオン性吸水性樹脂
を含む保水シートとしては、特に限定されないが、例え
ば織布、不織布、水溶性フィルム、紙などのシート状の
吸水性あるいは透液性担体を用い、この担体の片面ある
いは両面に弱アニオン性吸水性樹脂あるいは非イオン性
吸水性樹脂が塗布あるいは貼着された構成の保水性シー
ト、あるいは同様の担体を2枚用いてこれらの担体の間
に弱アニオン性吸水性樹脂あるいは非イオン性吸水性樹
脂が挟持された構成の保水性シート、織布に弱アニオン
性吸水性樹脂あるいは非イオン性吸水性樹脂を織り込ん
だ構成の保水性シート、紙あるいは不織布に弱アニオン
性吸水性樹脂あるいは非イオン性吸水性樹脂をすき込ん
だ構成の保水性シートなどが挙げられる。上記保水性シ
ートの厚みは、0.01〜10mmが好ましく、0.1
〜5mmがより好ましい。またシートに多数の穴を穿設
すれば、培地の通気性が良好となるので好ましい。上記
シートにおいて、弱アニオン性吸水性樹脂または非イオ
ン系吸水性樹脂は担体に対して50〜500g/m2
有されることが好ましい。
【0018】保水層の上に積層する培地層は上述の栄養
源物質を含むものが用いられる。さらに植菌前に水を添
加するが、保水層の弱アニオン性吸水性樹脂あるいは非
イオン性吸水性樹脂が添加された水を吸収するので、弱
アニオン性吸水性樹脂あるいは非イオン性吸水性樹脂を
含まない培地を用いた場合より、多量の水を添加して
も、培地がべとつくことはない。ついで好ましくは培地
中央に上下に貫通する直径1cm程度の穴をあけ、11
0〜120℃、60分間加熱滅菌して菌床とする。この
ような滅菌処理を行っても、弱アニオン性吸水性樹脂あ
るいは非イオン性吸水性樹脂の性能になんら影響はな
い。
【0019】本発明の培地あるいは菌床を用いてきのこ
を栽培するには、まず上述の構成の菌床に栽培するきの
この種菌を接種する。本発明の栽培方法は、食用または
薬用きのこ類の栽培に広く用いられ、その種類は限定さ
れないが、例えば、エノキタケ、シメジ、ナメコ、シイ
タケ、ヒラタケ、キクラゲ、タモギタケ、マイタケ、マ
ンネンタケ、マッシュルーム等が挙げられる。
【0020】植菌後、通常の方法で、例えば18〜25
℃程度、湿度50〜95%の環境で菌糸を生長させる。
この間N−ビニルカルボン酸アミドの単独重合体架橋物
または共重合体架橋物が水分を吸収し、これを保持す
る。そして周囲の培地が乾燥するのに伴って、弱アニオ
ン性吸水性樹脂あるいは非イオン性吸水性樹脂に保持さ
れた水分は徐々に放出され、周囲の培地に拡散されるの
で、培地の過度の乾燥および過湿を防止でき、培地の水
分含有量を、栽培に適した範囲に容易に制御できる。し
たがって、培地調製時に添加水分量を増やしても過湿に
ならず、雑菌の繁殖を防ぐことができる。長期間培養し
ても急速に水分が失われず、菌糸生育が促進される。ま
た弱アニオン性吸水性樹脂あるいは非イオン性吸水性樹
脂が膨潤して適度な弾性を持つようになるため、培地が
固くならず通気性が改善される。ついで菌糸が十分に生
長し、子実体発生基が形成された段階で、必要なら再度
吸水させ、12℃〜18℃、湿度50〜95%の環境で
子実体を生長させる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の作用効果を実施例によって説
明する。 (実施例)鋸屑(スギ、ブナを1:1に混合したもの)
1000g、栄養材(米ぬか:フスマ:乾燥オカラ=
6:3:1)800g、PNVA10g(以上いずれも
乾燥重量)を混合し、水分含有量が67重量%になるよ
うに加水し、800ml容ポリプロピレン製栽培瓶に充
填し、105℃、10分間殺菌した。こうして調製した
培地表面に、予め寒天培地で培養しておいたシメジ菌糸
を植菌した。菌糸生長のため22℃、湿度70%の恒温
室で、二酸化炭素濃度3,000ppmとして28日間
培養した後、芽かきをし、15℃、湿度97%の恒温室
に移し、二酸化炭素濃度1,800ppmとして9日間
培養して芽出しを行い、さらにこの恒温室にて照度1,
00ルクスの光を1日当たり6時間ずつ照射して子実体
を生育させ、22日後収穫した。子実体の収量は152
gであった。 (比較例)PNVAに代えて、ポリアクリル酸ナトリウ
ム架橋物を添加した以外は実施例と同様に行った。菌糸
生長までの日数が31日、芽出し日数が10日、子実体
生育日数が22日間で、子実体の収量は134gであっ
た。実施例においては、比較例と比較して、培養日数が
短く、菌床間のロット差も少なく、一菌床当りの収量が
高かった。
【0022】以上PNVAを例にとって本発明を説明し
たが、他の弱アニオン性吸水性樹脂あるいは非イオン系
吸水性樹脂を用いても、本発明を同様に実施することが
可能である。
【0023】
【発明の効果】本発明の培地および菌床に用いられる弱
アニオン性吸水性樹脂あるいは非イオン性吸水性樹脂
は、菌糸に対する生長阻害作用がなく、耐候性が高く、
栽培容器内の余剰水の発生を防ぎ、栽培中の水分量の低
下を抑制する。したがって本発明の培地は、菌糸が培地
の内部にまで十分に生長し、子実体の収穫量が向上し、
栽培期間が短期化され、栽培ロット間の生育差がほとん
どない。また水分を多めに添加することができるので、
子実体の収穫量が増加する。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弱アニオン性吸水性樹脂と非イオン系吸
    水性樹脂との少なくとも一方を必須成分として含むこと
    を特徴とするきのこ栽培用培地。
  2. 【請求項2】 前記弱アニオン性吸水性樹脂あるいは非
    イオン系吸水性樹脂がN−ビニルカルボン酸アミドの単
    独重合体架橋物またはイオン性および非イオン性のいず
    れかのモノマーとの共重合体架橋物であることを特徴と
    する請求項1記載のきのこ栽培用培地。
  3. 【請求項3】 前記N−ビニルカルボン酸アミドの単独
    重合体架橋物またはイオン性および非イオン性のいずれ
    かのモノマーとの共重合体架橋物が、N−ビニルアセト
    アミドの単独重合体架橋物またはイオン性および非イオ
    ン性のいずれかのモノマーとの共重合体架橋物であるこ
    とを特徴とする請求項2記載のきのこ栽培用培地。
  4. 【請求項4】 きのこ栽培容器内に、弱アニオン性吸水
    性樹脂あるいは非イオン系吸水性樹脂からなる保水層が
    形成され、該保水層の上に、培地層が積層されたことを
    特徴とするきのこ栽培用菌床。
  5. 【請求項5】 前記弱アニオン性吸水性樹脂あるいは非
    イオン系吸水性樹脂がN−ビニルカルボン酸アミドの単
    独重合体架橋物またはイオン性および非イオン性のいず
    れかのモノマーとの共重合体架橋物であることを特徴と
    する請求項4記載のきのこ栽培用菌床。
  6. 【請求項6】 前記N−ビニルカルボン酸アミドの単独
    重合体架橋物またはイオン性および非イオン性のいずれ
    かのモノマーとの共重合体架橋物が、N−ビニルアセト
    アミドの単独重合体架橋物またはイオン性および非イオ
    ン性のいずれかのモノマーとの共重合体架橋物であるこ
    とを特徴とする請求項5記載のきのこ栽培用菌床。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018216682A1 (ja) * 2017-05-25 2018-11-29 株式会社パームホルツ ヤシ材の利用方法、並びに、木質系材料及びその製造方法

Cited By (2)

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WO2018216682A1 (ja) * 2017-05-25 2018-11-29 株式会社パームホルツ ヤシ材の利用方法、並びに、木質系材料及びその製造方法
JPWO2018216682A1 (ja) * 2017-05-25 2020-05-07 株式会社パームホルツ ヤシ材の利用方法、並びに、木質系材料及びその製造方法

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