JPH101728A - 酸化錫の還元処理方法及び装置 - Google Patents

酸化錫の還元処理方法及び装置

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JPH101728A
JPH101728A JP15358496A JP15358496A JPH101728A JP H101728 A JPH101728 A JP H101728A JP 15358496 A JP15358496 A JP 15358496A JP 15358496 A JP15358496 A JP 15358496A JP H101728 A JPH101728 A JP H101728A
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tin oxide
reduction
reducing agent
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reduction treatment
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Nobumoto Takashiba
信元 高柴
Yoshichika Sato
良親 佐藤
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Kawaden Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】錫の気化損失を可及的に防止しつつ、酸化錫の
還元処理を効率よく且つ経済的に行うことができるよう
にする。 【解決手段】炉本体2内を耐火壁である仕切壁6により
還元処理室7と加熱室8とに区画する。還元処理室7内
に供給された酸化錫と炭素質還元剤との混合物16を、
加熱室8に導入させた高温ガスにより、仕切壁6を介し
て間接的に加熱する。これによって酸化錫を還元処理
し、その溶湯を出湯口11から炉本体2の外に取り出
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化錫を含む原料
から金属錫を精製又は再生させるための酸化錫の還元処
理方法及び当該方法を実施するための酸化錫の還元処理
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化錫(酸化第2錫SnO2 を主成分と
して、酸化第1錫SnOとの混合物)を含む原料から金
属錫を精製する技術としてもっとも一般的なものは、錫
石等の錫原料鉱中の酸化錫の還元処理であり、図17に
示すようなプロセスで行われている。先ず予備処理して
S,Sb,As,W,Cu,Pb等の不純物を除去した
酸化錫原料鉱を電気炉あるいは反射炉等を用いて溶錬す
る。すなわち、酸化錫原料に10〜15重量%の石炭,
木炭又はコークス等の炭素質還元剤を混じて炉内で加熱
し、次のような反応でSnO2 を還元する。
【0003】 SnO2 +2C→Sn+2CO (1) SnO2 +2CO→Sn+2CO2 (2) 反応は600℃位から徐々に始まるが未だ不活発であ
り、900℃以上になると急に活発になる。しかし、ス
ラグの流動性が得られる温度1200℃を考慮して、通
常は1200℃前後で上記還元反応が行われている。1
200℃を超えると錫自身が蒸発する(気化損失)率が
多くなる。この鉱石溶錬で、粗錫(Sn約90%)及び
スラグ(Sn10〜15%)が生じる。粗錫は直接次の
精製工程に送られる。一方、スラグはからみ溶錬工程に
送られる。ここでスラグ(からみともいう)中のSnを
回収するために電気炉で強還元する。この強還元によ
り、硬くてもろい錫を生じる原因となる過剰の鉄分(F
e)をハードヘッド(FeSn)として分離する。その
後、ケイ砂を加えておよそ1500℃で還元溶錬し、残
部FeをFe−Si合金として除去する。こうして得ら
れた粗錫(Sn90%)を精製工程に送る。精製工程で
は、反射炉を用いて粗錫中の不純物(Feの大部分,C
u,As)が溶離される。又は当該不純物が酸化されて
Fe,Zn,Pb,As等を含む浮遊固形物として除去
分離される。これにより、Sn含有量99.8〜99.
9%の金属錫を得る。必要に応じて、この金属錫を更に
電解精製工程に送り、陽極に鋳造して電解することによ
りSn99.99%の金属錫としている。
【0004】上記の酸化錫還元プロセスでは、還元用の
炉として電気炉や反射炉が広く利用されている。錫鉱石
及びその精錬過程中のものは、比較的高くない温度で電
気導電性をもつようになる。例えば電気炉の場合は、先
に酸化錫含有鉱石を炉内に投入して3相交流電気を通電
すると、錫鉱石が抵抗体となり、直ちに発熱して溶融し
はじめる。この溶融した錫鉱石に石炭を添加して還元反
応を生じさせれば、容易に金属錫を得ることができる。
また、反射炉の場合は、耐火物製の炉内に酸化錫含有原
料とコークスなどの還元剤との混合物を投入する。そし
て、LPGのような燃料ガスをバーナーにより炉内に直
接に噴射して燃焼させる直火方式で、当該混合物を加熱
溶融させて酸化錫の還元を行っている。
【0005】一方、一般的な錫石等の錫原料鉱石以外の
ものを対象とした酸化錫の還元処理もおこなわれてお
り、例えば特公昭61−46528号公報には、メッキ
スラッジ中に含まれた酸化錫を水素還元して金属錫を回
収する方法が示されている。これは、例えばフェロスタ
ンタイプの電気錫メッキにおいて生成する有機物を含有
するメッキスラッジを水素還元して金属錫を回収する技
術であり、先ず水素還元前にメッキスラッジを焼いて有
機物を熱分解除去する。次に、その有機物を除去した生
成物を網目容器内に入れて水素還元することにより、高
品位の金属錫を回収するようにしたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、酸化錫還元用
の炉として電気炉を用いた場合には、電源が高価であ
る。しかもそればかりではなく、プラズマアークで原料
を加熱溶融するため、実際には微視的な小さなアークの
起点・着点の近傍において数千℃の高温が発生する。こ
の局部的高温により、錫が蒸発気化して2〜3割にも及
ぶ気化損失が発生するという問題がある。
【0007】そして、この錫の気化損失を低減させるべ
く、スラグ層を用いて酸化錫原料と石炭との混合物を覆
い、いわゆるサブマージ化して操業することが一般に行
われている。そのスラグはできるだけ低融点であること
が望ましい。例えば最も低融点のFeO−CaO−Si
2 スラグは融点が1100℃である。ところが、錫の
精錬で困難なのはFeの分離であり、それ故、折角Fe
を分離除去して精製した酸化錫を還元する場合に、還元
された金属錫中にFeが再溶解するおそれのある上記F
e含有スラグを使用することは非常に不利になる。そこ
で、Feを含まない低融点のスラグとしてCaFやNa
FやKF等のフッ化物スラグの使用が考えられるのであ
るが、それらは炉内の耐火物の損耗を早める懸念があ
り、経済的に不利である。
【0008】結局、FeOを含まないCaO−SiO2
でスラグを構成せざるを得ないのであるが、その場合の
スラグ融点は1475℃と高温である。それゆえ、スラ
グの流動性を確保するべく、加熱温度を必要以上に昇温
させることとなり、投入電力量が増大するのみならず、
錫の気化損失が増加するという悪循環に陥る。
【0009】酸化錫還元用の炉として直火バーナー加熱
方式の反射炉を用いた場合には、燃焼排ガス中に多量の
CO2 ガスが存在する。このCO2 (11.2%)と還
元雰囲気のCOとの還元平衡条件であるCO/CO2
0.24(1000℃)を満たすためには、COの総排
出量が必然的に多くなる。そのため一酸化炭素ガス中毒
や爆発等が起こるおそれもあり、排ガス処理が困難にな
るという問題点がある。
【0010】また、反射炉は伝熱面積を確保するために
横断面積の大きな浅い炉とするため、湯の表面積が極め
て大きくなって錫の気化損失も多くなるとう問題点もあ
る。一方、特公昭61−46528号公報に示されたメ
ッキスラッジ中の酸化錫の水素還元法の場合は、還元ガ
スである水素ガスの洩れによる爆発のおそれや、多量の
水素ガスの入手の困難性などの問題がある。
【0011】そこで本発明は、このような従来の問題点
に着目してなされたものであり、Feが混入することが
なく(高純度)、錫の気化損失が少なく(高収率)、か
つ、排ガス処理に費用がかからず又炉の損耗も少なく
(低コスト)、COガス排出量が少なく(安全)、スラ
グ不要、ケイ石,石灰等の副原料の分離不要(取り扱い
容易)な酸化錫の還元処理方法及び装置を提供すること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、酸化錫を
含む原料から錫の気化損失を可及的に防止しつつ、酸化
錫の還元処理を効率良く且つ経済的に行うことのできる
酸化錫の還元処理方法及び装置を開発するべく、種々の
実験を繰り返しながら鋭意研究を進めた結果、コークス
等の炭素質固体と共に、又は還元ガス雰囲気下におい
て、酸化錫を含む原料を間接加熱することにより所期の
目的を達成しうることを見い出して本発明を完成するに
至った。
【0013】すなわち、請求項1に係る本発明の酸化錫
の還元処理方法は、耐火壁を有する還元処理室内で、酸
化錫を含む原料と還元剤とを加熱手段により間接的に加
熱することにより、酸化錫を金属に還元することを特徴
とするものである。
【0014】また、請求項9に係る本発明の酸化錫の還
元処理方法は、耐火壁を有する還元処理室内で、酸化錫
を含む原料を、還元性ガス雰囲気下に、前記還元処理室
に高温の不活性ガスを供給して、又は高温の不活性ガス
と他の加熱手段とを併用して間接的に加熱することによ
り前記酸化錫を還元することを特徴とするものである。
【0015】本発明の酸化錫還元処理方法にあっては、
安価で入手しやすい還元剤を使用して、酸化錫含有原料
を、還元雰囲気下に間接加熱方式で還元する。そのた
め、排ガスによるCO排出量が非常に少ないという利点
がある。これに対して、例えばLPGガスによる直火バ
ーナー加熱方式のように、加熱バーナで原料と還元剤と
を直接加熱する場合は、先にも述べたように、加熱バー
ナーの排ガス中に含まれるCO2 が還元処理室内に存在
するため、還元平衡条件(Pco/Pco2 )により、
CO排出量も増加することになる。
【0016】例えば1100℃の反応温度において酸化
錫の還元を行う場合に、間接加熱でのCO排出量は、上
記直接加熱の場合の約1/40と非常に少ない。従っ
て、排ガス処理が容易であり、安価である。また、一酸
化炭素ガス中毒や爆発等が起こるおそれもなく安全性が
高い。
【0017】また、本発明の間接加熱方式によれば、電
熱加熱の一方式である原料に直接通電するアーク加熱方
式の場合のように、アークの発生により局部的高温が発
生することがない。それ故、間接加熱方式とアーク加熱
方式との両者の還元温度を同じ1200℃に設定した場
合、間接加熱方式の方が錫の気化損失は大幅に低減され
る。気化損失がなければこれを防止するべく溶融温度の
高いスラグを使用する必要もなく、従って還元反応をよ
り低い温度で行わせることが可能になり、気化損失は一
層減少する。
【0018】また、間接加熱方式としたことにより、加
熱と還元反応とが完全に切り離されるから、加熱制御を
還元反応の雰囲気に関係なく行える。そのために、例え
ば加熱バ−ナ−の空燃比が自由に設定できるという利点
がある。また、還元反応が略密閉された還元室内で進行
するので、空気中の酸素と接触することがない。そのた
めに、還元剤と酸化錫を主成分とする原料とが反応する
温度まで昇温すれば、自動的に還元雰囲気になるという
利点もある。
【0019】以下、本発明に係る酸化錫の還元処理につ
いて、詳細に説明する。初めに、本発明における間接加
熱方式の概念を図面を参照しつつ説明する。本発明でい
うところの間接加熱方式とは、高温で還元反応を行わせ
るために用いる加熱源が還元雰囲気に対して何らの影響
も与えない加熱方法をさし、大気中の酸素とは隔離され
た状態で行われるものである。
【0020】代表的な 間接加熱方式としては、電熱加
熱方式や高温ガス加熱方式などを挙げることができる。
電熱加熱方式には、抵抗加熱,誘導加熱,赤外線加熱,
電子ビーム加熱等が包含される。但し、電熱加熱方式の
一形態である原料中に直接通電する方式のアーク加熱
は、発生したアークの局部的高温により錫の気化損失を
招くことから、本発明の電熱加熱方式には含まれない。
以下の説明では、これらの電熱加熱方式に用いられる熱
源を総称して電気ヒーターと記述することがある。ま
た、高温ガス加熱方式の一形態である一般的な反射炉の
ような直火方式は、加熱バーナーの排ガス中のCO2
2 Oにより、還元雰囲気(CO/CO2 )が影響を受
けるから、本発明の間接加熱方式には含まれない。ま
た、溶鉱炉についても、コークスを空気で燃焼させて加
熱するとともに還元を行うため還元雰囲気に影響を与え
る。したがって、本発明の間接加熱方式には含まれな
い。
【0021】本発明における間接加熱を、高温ガス加熱
方式である加熱バーナーを利用して行う場合は、図1に
示すように、密閉された反応室Aに原料の酸化錫と還元
剤(例えば固体炭素質還元剤)とを装入し、図外の加熱
バーナー(ガスバーナー,石油バーナー,微粉炭バーナ
ー等)で加熱する。その際、バーナー排ガス成分や大気
中の酸素が反応室A内の雰囲気に影響を与えないよう
に、反応室Aを耐火物等で作られた仕切壁Cで隔離し、
この仕切壁Cを介して加熱する。この時、還元反応によ
って発生するガスDは系外に排出する。発生ガスD中に
CO,H2 等の燃焼成分が残っている場合は、系外の燃
焼器Eで燃焼させてから大気中に放出する。なお、実際
には、反応室Aに、原料の酸化錫と還元剤を装入する装
入口や、還元して得た金属錫Snを排出する出湯口が設
けられる。これらの装入口,出湯口は、いずれも密閉で
きる構造である。
【0022】本発明における間接加熱を、電熱加熱方式
である電気ヒーターを利用して行う場合は、図2に示す
ように、原料の酸化錫と還元剤とを装入した反応室Aを
密閉して、仕切壁Cの外面側に配設した電気ヒータF1
で仕切壁Cを介して加熱する。または、反応室Aを、仕
切壁Cの内部に配設した電気ヒータF2 で仕切壁Cを介
して加熱する。
【0023】また、前記電気ヒータF3 として、例えば
電熱線を絶縁密閉したシーズ線ヒータを使用し、当該密
閉型電気ヒータを仕切壁Cの内面側に配設して反応室A
内で原料を加熱する場合も、本発明における間接加熱に
含まれる。この場合も、電熱線から発生し密閉管を介し
て放散される熱により、原料は間接的に加熱されるの
で、加熱源が還反応室A内の還元雰囲気に直接影響を与
えることがない。
【0024】なお、上記各電気ヒータF1 ,F2 ,F3
を併用してもよい。また、電熱加熱方式として、誘導加
熱方式を利用する場合は、反応室Aとして黒鉛るつぼや
炭化ケイ素るつぼを使用するとよい。誘導加熱で発熱し
た黒鉛るつぼや炭化ケイ素るつぼ自体が加熱源となり、
還元雰囲気に影響を与えずに原料を間接的に加熱する。
【0025】本発明における間接加熱方式において、還
元剤として還元性ガスを用いることもできる。当該還元
性ガスとしては、例えば高炉ガス,ミックスガス,発生
炉ガス等の如きCOを含むガスを利用できる。還元性ガ
スを還元剤に使用する場合は、図3に示すように、密閉
された反応室Aに原料の酸化錫を装入し、図外の加熱バ
ーナーあるいは電熱加熱により、反応室Aを仕切壁Cを
介して間接加熱すると共に、還元に必要な量の還元性ガ
スGを反応室A内に導入して還元を行う。還元性ガスG
の導入方法は、酸化錫の上表面に吹き付けたり、流した
りして行う方法や、反応室Aの底部及び側壁から導入し
て酸化錫の粒子層中を通気させる方法のいずれでもよ
い。
【0026】なお、本発明における間接加熱を、図4に
示すように加熱バーナーBを利用して行う場合に、炉H
の外へ排出される排気ガスの熱を利用して、原料の酸化
錫及び/又は還元剤の乾燥や予熱に利用できる。当該乾
燥または予熱のための設備Iには、原料の装入設備を利
用すれば、熱損失と発塵の防止を図ることができる。あ
るいは乾燥機,予熱機を別に設置して使用することもで
きる。いずれにしても、排気ガスの熱を利用して酸化錫
を含む原料や還元剤を予め予熱及び/又は乾燥すれば、
次にそれらの材料を還元処理室内で所定の温度に昇温し
たり水分を蒸発させたりするために要する時間が削減さ
れて還元反応時間の短縮が図れるし、還元処理の熱効率
を改善できるという効果がある。特に、還元処理室の耐
火性仕切壁の材料として、後述するような黒鉛質耐火材
や炭化ケイ素系耐火材を使用する場合には、これらの耐
火材は水蒸気によって酸化し損傷し易いのであるが、酸
化錫を含む原料や還元剤を予め乾燥することで耐火材の
損傷を未然に防止できるという効果がある。また、酸化
錫を含む原料や還元剤を予め予熱することで、それらの
材料を還元処理室に装入するときのヒートショックや熱
応力による耐火材の損傷を低減できる効果もある。
【0027】また、溶融状態の金属錫を、溶融状態で保
持したり、固化した金属錫を再溶解したりするための金
属錫の溶解設備Jに、前記排気ガスの熱を利用すること
も可能である。
【0028】本発明において使用する酸化錫を含む原料
としては、基本的には、酸化鉄等の不純物のない原料が
好適である。しかし、予め酸化鉄等の不純物を除去する
前処理を行うことにより、天然の砂錫や錫石のような鉄
分を含有する錫鉱石も対象にできる。また、錫めっき工
程で発生する錫スクラップ等も利用できる。特に、ブリ
キの電気メッキラインで生成される錫及び鉄を含有する
スラッジの場合、これを化学処理して得られる白スラッ
ジは、酸化錫を主成分とし鉄分を極力除去した高純度の
酸化錫である。したがって、その白スラッジを酸化錫を
含む原料として用いれば(請求項10)、錫鉱石の場合
のような予備処理、からみ溶錬の過程は必要なく、直接
に本発明の酸化錫還元処理方法を好適に適用することが
できる。
【0029】本発明で用いる還元剤としては、例えば固
体炭素質還元剤又はガス還元剤等がある(請求項2,請
求項5)。前者では、コ−クス、石炭、木炭等を挙げる
ことができるが、中でもコークスが好適といえる。固体
炭素質還元剤の形態は、通常、粒状又は粉状で、その粒
径の違いにより反応性が異なる。一般的には粒径が小さ
い程反応性が良い。一方、酸化錫原料から溶出した金属
錫と固体炭素質還元剤との分離性については、粒径が大
きい方が良好である。本発明にあっては、反応性と分離
性とのバランスを考慮して、平均粒径50mm以下の還
元剤を使用することが望ましい。
【0030】固体炭素質還元剤は、酸化錫を含む原料と
交互に還元処理室内に層状に分割して装入するか(請求
項3)、または両者を予め混合した状態で装入する(請
求項4)。層状に装入する場合は、上下方向に水平に重
ねた複数の層としても良く、または上下方向に斜めに傾
斜させて重ねた複数の層としても良く、また左右方向に
垂直に並べた層としても良い。層状装入では分割数が多
い方が原料と還元剤との接触面積が大きくなって還元反
応が早く進行する。層状装入と混合装入とでは、混合装
入の方が接触面積が多いために還元反応が早く進行す
る。しかし、層状装入の場合は、固体炭素質還元剤と酸
化錫を含む原料とを予め混合するための混合装置である
ミキサーが不要で、設備が簡略化される利点がある。
【0031】後者のガス還元剤としてはCOガスのよう
なガス炭素質還元剤が好適に使用できる(請求項6)。
なかでも、一酸化炭素COを含む高炉ガス,ミックスガ
ス,発生炉ガス等は製鉄所で入手し易く、代表的なガス
炭素質還元剤として用いることができる。一般的にガス
還元剤として広く利用される水素ガスH2 は、大量入手
の困難性の見地から、本発明にあっては除外される。ガ
ス還元剤を還元処理室内の酸化錫を含む原料に吹き込み
つつ加熱処理することにより、処理室内の酸化錫を良好
な還元性雰囲気下で還元することができる。
【0032】本発明の酸化錫を含む原料中の酸化錫と炭
素質還元剤中の炭素との還元処理室内への装入量の比
(質量比)率は、酸化錫:炭素=100:4〜30(質
量比)、とすることができる(請求項7)。好ましくは
100:8〜23である。炭素の混合比率が4未満であ
ると、酸化錫SnO2 の還元に必要な理論炭素量をかな
り下回る結果、金属錫Snの回収率が大きく低下する。
一方、炭素の混合比率が30を超えると、CO発生量が
非常に増加して排ガス処理が難しくなると共に、未反応
の炭素質還元剤(例えばコークス)の残滓が増加して金
属錫Snとの分離がしにくくなるなど、事後の処理が多
少難しくなる。
【0033】本発明の酸化錫の還元反応の温度は600
〜1300℃とすることができる(請求項8)。好まし
くは900〜1200℃である。酸化錫は還元雰囲気中
で400℃以上に昇温すると不安定になり還元が始まる
が、600℃未満では反応速度が遅く実用的でない。一
方、1300℃を超えるとSnの気化損失が増大して錫
回収率が急激に低下し、経済性が悪くなる。特に、気化
損失を低減させる見地からは、1200℃を超えないこ
とが好ましい。
【0034】請求項9に係る本発明の酸化錫の還元処理
方法は、先に述べたように、耐火壁を有する還元処理室
内で、酸化錫を含む原料と還元剤とを、高温の不活性ガ
スで加熱することにより酸化錫を還元する。すなわち、
還元処理室内に酸化錫を含む原料と還元剤(例えば固体
炭素質還元剤またはガス炭素質還元剤等)とを装入する
と共に、外部で予め熱交換等により高温に加熱した窒素
ガスのような不活性ガスを、その還元処理室内に送給し
つつ加熱する。より詳細には、還元剤が固体炭素質還元
剤であれば、酸化錫原料と共に還元処理室内に装入し
て、高温の不活性ガスを還元処理室内に供給しつつ還元
処理する。当該還元処理室内は、固体炭素質還元剤が熱
分解して発生する還元性ガスにより還元性雰囲気に保た
れる。
【0035】一方、還元剤がガス炭素質還元剤であれ
ば、酸化錫原料を予め還元処理室内に装入し、高温の不
活性ガスとガス炭素質還元剤とを同時又は別々に還元処
理室内に供給しつつ還元処理する。当該還元処理室内
は、不活性ガスに混合されているガス炭素質還元剤によ
り還元性雰囲気に保たれる。
【0036】いずれにしても、上述の高温不活性ガスに
より酸化錫原料を加熱する場合は、耐火壁を介して加熱
する場合より加熱効率が高くなる。高温不活性ガスによ
る加熱と耐火壁を介しての加熱とを併用することもで
き、その場合は還元処理時間が短縮されるという効果が
ある。
【0037】請求項10に係る本発明の酸化錫の還元処
理方法は、酸化錫原料として、電気メッキ工程で生成さ
れた酸化錫を主成分とするスラッジを用いる。このスラ
ッジは鉄分の含有量が極めて少ないので、予め鉄分を除
去しないでも、本発明の酸化錫を含む原料として使用可
能であり、容易に錫資源の回収ができる。
【0038】本発明に係る酸化錫の還元処理装置は、酸
化錫の還元処理に用いる炉であって、炉体本体内を耐火
性の仕切壁で還元処理室と加熱室とに区画し、その還元
処理室に排気口と出湯口と酸化錫及び炭素質還元剤との
供給口を設けると共に、前記還元処理室内の酸化錫及び
炭素質還元剤を間接的に加熱する加熱手段を備えたこと
を特徴とする(請求項11)。
【0039】前記耐火性の仕切壁は塩基性耐火物又は非
酸化物系耐火物とするのが良い(請求項12)。前者で
は、各種の塩基性耐火物に対する塩基性酸化物であるS
nOの浸透力を考慮すると、なかでも、中庸の浸透力を
有する酸化マグネシュウムMgO系のものが好ましい。
後者の非酸化物系耐火物としては、例えば窒化ケイ素系
耐火物,炭化ケイ素系耐火材又は黒鉛質耐火材等が好ま
しい。炭化ケイ素や黒鉛質耐火材等の炭素系耐火物を用
いると、これを誘導加熱方式で加熱することにより、仕
切壁自体を加熱源とすることも可能である。
【0040】本発明に係る酸化錫の還元処理装置におい
ては、還元処理室を炉体本体内に複数室設けたものとす
ることができる(請求項13)。還元処理室を複数設け
ると、外気と接触する外壁の面積の割合が少なくなり熱
効率が向上する。更には、各室毎に行われる(A)原料
装入、(B)還元、(C)出湯の3工程の時間軸を少し
ずつずらすことにより、(A)原料装入、(C)出湯の
作業が重ならないように順序良く作業工程を組むことが
できるから、無駄のない連続的な生産が可能になる利点
もある。
【0041】本発明に係る酸化錫の還元処理装置におい
て、酸化錫を含む原料と還元剤とを加熱する手段として
は、加熱バーナーを用いることができる。但し、この場
合は加熱バーナーの直火を直接還元処理室内に噴射して
加熱するのではなく、還元処理室の耐火壁の外側から加
熱し、当該耐火壁を介して間接加熱する。
【0042】また、前記加熱手段に電気ヒータを用いる
ことができる。この場合の電気ヒータは、還元処理室の
耐火壁の外面側に配設してもよく、また還元処理室の耐
火壁の内部に配設しても良く、また還元処理室の耐火壁
の内面側に配設してもよい。あるいは、それらの配置を
併用してもよい。
【0043】いずれにしても、前記加熱手段による間接
加熱方式をとるため、還元反応が行われる還元処理室の
雰囲気に影響を与えない。例えば加熱バ−ナ−の場合で
も、還元反応の雰囲気に関係なく空燃比を自在に設定で
きるから、加熱を容易に制御できる。また、還元反応が
還元室内で進行するので、空気中の酸素との接触を容易
に防止できる。
【0044】また、本発明に係る酸化錫の還元処理装置
において、加熱室から排出された排ガスと熱交換する酸
化錫及び/又は還元剤の予熱及び/又は乾燥手段を付加
することができる(請求項14)。これにより、廃熱の
有効利用を図り熱効率を改善するのみならず、後述する
ように水分が炉体材料に与える悪影響を除去することが
できる。
【0045】本発明の酸化錫の還元処理にあっては、酸
化錫を含む原料として、先にも述べたように化学処理を
施した白スラッジ(高純度の酸化錫)を用いることがで
きる。白スラッジは、ハロゲン法によるブリキの電気錫
メッキライン(以下、ETLと記述する)で生成される
スラッジを化学処理して得られるものである。その代表
的な組成の一例を示すと、例えば、脱水乾燥した固形状
白スラッジ中のSnO 2 量は78%、Fe含有量は0.
4%以下である。
【0046】ハロゲン法ETLで発生するスラッジはN
2 SnF6 ,Na3 FeF6 等を主成分とする。これ
を第1の反応槽で熱水とH2 2 を加えて熱水反応させ
た後、フィルタでろ過し、溶液の方を第2の反応槽に送
り、NaOHを混合してNa 2 SnF6 +4NaOH→
6NaF+SnO2 ↓+H2 Oの反応により沈殿した酸
化錫をフィルタでろ過してスラリー状の白スラッジを得
る。これを脱水して乾燥白スラッジとする。
【0047】本発明の酸化錫の還元処理方法によれば、
この白スラッジ中の酸化錫からも、金属錫を好適に回収
することが可能である。更に、フェロスタイン法ETL
(電気錫メッキライン)から生成されるメッキスラッジ
であっても、鉄分が例えば5%以下と極力少ない酸化錫
を主成分とするスラッジであれば、当該メッキスラッジ
中の酸化錫を還元して、金属錫を好適に回収することが
可能である。
【0048】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図5,図6は本発明に係る酸化錫
の還元処理装置1を示すもので、炉本体2と原料供給装
置3と間接加熱手段としての熱源供給装置4とを備えて
いる。なお、以下の説明で、「前後」とは図5における
左右を、また「左右」とは図6における左右を、それぞ
れ意味するものとする。
【0049】炉本体2は、図に示すように炉壁5の底部
5aを後方に向けて下り勾配に傾斜させた箱状で、内部
は仕切壁6により左右一対の還元処理室7,7と加熱室
8とに区画してある。各還元処理室7及び加熱室8は、
それぞれ炉本体2の外壁である炉壁5と仕切壁6とで囲
まれている。すなわち、各還元処理室7は、炉壁天井部
5bと仕切壁6である前後壁6a,6b、左右側壁6
c,6c及び底壁6dとで囲まれた前後に長い矩形箱状
のもので、底壁6dは炉壁底部5aと平行して後方に下
り勾配に傾斜している。また、加熱室8は、各還元処理
室7の周囲の仕切壁6と炉壁5(炉壁底部5aを除く)
との間及び両還元処理室7,7の対向壁間に形成された
一連の空間で構成されており、両還元処理室7,7の上
面を除いてこれらを全面的に囲んでいる。なお、各還元
処理室7の周囲の仕切壁6と炉壁5(炉壁底部5aを除
く)との間隔及び両還元処理室7,7の対向壁の間隔は
同程度に設定されており、各還元処理室7の底壁6dと
炉壁底部5aとの間隔よりやや大きく設定されている。
【0050】また、各還元処理室7の天井壁5cには排
気口9及び供給口10が設けられ、また後壁6bの下部
には加熱室8及び炉壁後部5eを貫通して下り勾配に傾
斜して延びる出湯口11が設けられている。供給口10
は開閉自在に構成されており、出湯口11は出湯時以外
は閉塞されるようになっている。なお、排気口9は適宜
の排ガス処理手段等を設けた排気系9aに接続されてい
る。
【0051】ところで、炉壁5及び仕切壁6は耐熱性に
優れた耐火材で構成されるが、炉壁5については、一般
的な加熱炉等の炉壁と同様に十分な断熱性を必要とする
ことから、その壁厚を考慮しつつ断熱性に優れた耐火材
により構成してある。一方、仕切壁6については、後述
するように加熱室8に供給される熱源により還元処理室
7内が効果的に加熱されねばならないから、物理的,熱
的な強度を十分に確保できる範囲において壁厚を可及的
に薄くすると共に、伝熱性に優れ、且つ酸化錫SnO2
の還元反応の過程で生成する塩基性酸化物であるSnO
に浸食されにくい塩基性耐火材(例えば酸化マグネシウ
ム系耐火材等)又は非酸化物系耐火材である炭素系耐火
材(例えば黒鉛質耐火材,炭化ケイ素系耐火材等)で構
成してある。具体的には、仕切壁6の還元処理室7側の
内面は、マグネシア系の塩基性耐火物で内張りしてい
る。但し、酸化マグネシウム系耐火材としては、マグネ
シア単体では耐スポーリング性が良くないから、マグネ
シアクロム煉瓦,マグネシアカーボン煉瓦等の方が好ま
しい。
【0052】原料供給装置3は、炉本体2の上方位置に
おいて、枠体13に支持台14を介し固定して取り付け
られた左右一対の原料ホッパ15,15とを備えてい
る。各原料ホッパ15には、原料である酸化錫と炭素質
還元剤とを所定の割合で混合した原料・還元剤混合物1
6が収容されている。しかして、各原料ホッパ15の下
部には供給管15aが設けられていて、原料・還元剤混
合物16を各還元処理室7内に供給口10から均等に配
分して供給させるようになっている。
【0053】熱源供給装置4は加熱バーナーであって、
図5に示すように炉壁底部5aに設けた熱源供給口1
7,17と、炉本体2外に設置された燃焼器18と、こ
の燃焼器18の燃焼室18aから熱源供給口17,17
に導かれた燃焼ガス供給管19とを備えて、燃焼室18
aで発生する燃焼ガスを、還元処理室7,7内を仕切壁
6を介して間接的に加熱するための熱源として、熱源供
給口17,17から加熱室8内に供給するようになって
いる。燃焼器18は、還元処理室7内を還元反応(酸化
錫と炭素質還元剤との反応)が生じる温度以上(一般に
600℃以上)に加熱し得る燃焼ガスを発生させるもの
であれば良く、その燃焼方式等は任意である。この例で
は、燃焼器18としてガス燃料によるバーナ燃焼方式の
ものを使用している。なお、加熱室8の前後壁である炉
壁前部5d及び炉壁後部5eの上部には排気口20,2
0が設けられている。これらの排気口20 ,20は、
酸化錫を含む原料や還元剤の乾燥・予熱設備I又は金属
錫の溶解設備J等の排ガス利用手段を設けた排気系20
aに接続されている。この金属錫溶解設備Jは、回収さ
れた金属錫を加熱して溶融状態に保持したり、又は一旦
固化した金属錫を必要に応じて再溶解するのに利用され
る。
【0054】続いて、上記の還元処理装置1を用いて実
施される本発明に係る酸化錫の還元処理方法の一実施形
態を説明する。酸化錫を含む原料と、還元剤としての例
えばコークス等(固体炭素質還元剤)とを所定の割合で
均一に混合させた原料・還元剤混合物16を各原料ホッ
パ15に収容しておく。酸化錫を含む原料としては、天
然鉱石である砂錫や錫石の他に、錫メッキスラッジを処
理して得られる酸化錫を使用することができるが、予め
不純物(特に鉄)を除去したもの(例えば、Sn:50
%以上,Fe:5%以下のもの)を使用することがより
好ましい。
【0055】原料・還元剤混合物16を供給する前に、
先ず還元処理室7の内壁をおよそ1100℃まで加熱す
る。この加熱は、燃焼器18の燃焼室18aで発生した
燃焼ガスを導入管19から加熱室8に導入し、仕切壁6
を介して間接的に加熱することにより行う。還元処理室
7の内壁温度が所定値に達したら、原料ホッパ15内の
原料・還元剤混合物16を各還元処理室7内に供給す
る。この原料・還元剤混合物16の供給は、上述したよ
うに、複数の供給口10から均等配分で行われる。した
がって、各還元処理室7には、原料・還元剤混合物16
が略均一に供給されることになる。
【0056】そして、各供給口10を閉塞した上で、還
元処理室7内の温度を例えば1100℃(定常操業)に
保つ。通常、酸化錫と炭素質還元剤とが還元反応する温
度は400℃以上である。温度400℃以上(例えば6
00℃)になると、還元処理室7は空気(酸素)が侵入
しない密閉空間とされていることとも相まって、先に述
べた式(1),式(2)で表される還元反応によって発
生する一酸化炭素COにより、還元処理室7が還元雰囲
気に保持される。したがって、既に予め1100℃に予
熱されている還元処理室7内で還元反応が促進されて酸
化錫が還元処理される。上記の還元反応を促進させるた
めに、還元処理室温度は600〜1300℃の範囲であ
る。もっとも、約900℃からソルーションロス反応が
活発になってより反応が速くなり、一方1200℃を超
えると錫の気化損失が上昇することから、好ましくは9
00〜1200℃の範囲である。また、反応速度と気化
損失との両面から、より望ましいのは、1000〜11
50℃の範囲である。因みに、Sn−SnO2 還元時の
COとCO2 の平衡定数(Pco/ Pco2 )sn-sno2
ギブズ自由エネルギーの差ΔG°から次式で計算して、
平衡定数(Pco/Pco2)の温度との関係をプロットす
ると図7のようになる。 (2ΔG°co-co2−ΔG°sn-sno2 )=−19.14 ×T×
log(Pco2/Pco)sn-sno2 2 ただし、2ΔG°co-co2=−564840+173.3 ×T ΔG°sn-sno2 =−584090+212.55×T SnO2 は(Pco /Pco2 )が1000℃で0.24と低
いCO濃度で還元できることがわかる。すなわち、Sn
2 の還元は、(Pco /Pco2 )の小さい比較的弱い還元
性の雰囲気での還元反応が可能であるといえる。
【0057】かくして、本実施形態の場合、燃焼ガスを
加熱室8に導入させることにより、還元処理室7内の原
料・還元剤混合物16は、仕切壁6を介して間接的に加
熱される。すなわち、従来の如くに、燃焼器18による
燃焼ガスを還元処理室7内に直接導入して直火で加熱す
るものではない。そのため、還元平衡条件が燃焼ガスの
性状(特に二酸化炭素濃度)の影響を受けることはな
い。従って、還元反応によって発生する一酸化炭素と二
酸化炭素とが迅速に還元平衡に達し、良好な還元雰囲気
を形成,維持することができる。よって、還元反応に必
要な還元雰囲気を迅速に形成し得て、還元処理を効率よ
く行うことが可能である。しかも、排気口9から排出さ
れる排ガス中の一酸化炭素濃度が極めて低くなり、これ
により排ガス処理を容易に行うことができて大気汚染等
のおそれもない。
【0058】また、前後方向に長尺な還元処理室7が、
その略全面から間接加熱されるものであるから、伝熱面
が極めて大きく、還元処理室7内は均一加熱されること
になる。その結果、還元処理室7内が局部的に高温にな
ることが防止されて、錫の気化損失を殆ど生じることな
く酸化錫の還元処理を良好に行うことができる。
【0059】しかも、このように錫の気化損失がよく抑
制されるため、スラグによるサブマージ化を行う必要が
ない(原料から鉄等の不純物が予め除去されていれば、
精錬用としてのスラグも全く必要としない)。したがっ
て、スラグの流動性を確保できる温度(1200℃程
度)にまで還元処理室7内を昇温させる必要がなく、そ
の結果錫の気化損失が更に防止されるという好循環が実
現する。
【0060】また、還元処理室7を加熱室8に導入した
燃焼ガスにより間接的に加熱するようにしているから、
当該燃焼ガス成分が還元処理室7内の還元雰囲気に影響
することがない。すなわち、燃焼ガス成分とは無関係に
加熱温度を制御することが可能である。したがって、予
め定めた所定の還元雰囲気を保持しつつ加熱温度を還元
反応に最適な温度に制御することが可能で、酸化錫の還
元処理を効率よく行うことができる。なお、加熱温度の
制御は、燃焼器18における加熱バーナー空燃比の設定
等により容易に行うことができる。
【0061】還元された溶融状態の金属錫は、還元処理
室7内の原料・還元剤混合物16の粒子の間を滴下し
て、還元処理室7の底部に溜まる。複数バッチ分の還元
処理が完了すると、出湯口11を開放して溶融した金属
錫を出湯させ、取鍋22等により受けたものをモールド
に鋳込み、回収する。
【0062】なお、加熱室8から排気口20を経て排気
系20aに排出された排ガスは、原料の酸化錫及び/又
は還元剤の乾燥・予熱設備Iにおいて熱交換されて酸化
錫原料や還元剤の予熱または乾燥に利用される。また、
排ガスを上記金属錫溶解設備Jに導いてその熱を加熱に
利用することもできる。排ガスの熱を利用して酸化錫を
含む原料や還元剤の予熱又は乾燥をおこない、次回の還
元処理にそれらの材料を使用すれば、還元反応時間が短
縮できる。特に、還元処理室7の耐火性仕切壁6の材料
として水蒸気により酸化損傷し易い黒鉛質耐火材や炭化
ケイ素系耐火材を使用した場合、排ガスの熱を利用して
酸化錫を含む原料や還元剤を予熱乾燥することで耐火材
の損傷を未然に防止できるという顕著な効果が得られ
る。また、それらの材料を還元処理室7に装入するとき
のヒートショックや熱応力による耐火材の損傷を低減で
きる効果もある。
【0063】ところで、両還元処理室7,7における還
元処理の開始と終了を、適当な時間差をもってずらすよ
うにしておくと、原料・還元剤混合物16の供給作業及
び出湯作業を同時に行う必要がないから、作業をより少
ない作業員により効率良く行うことができるメリットが
ある。例えば図8に示すように、原料送入工程Aが済ん
だ一方の還元処理室7Aによる還元処理工程Bの最中
に、他方の還元処理室7Bへの原料送入工程Aを行う。
また、他方の還元処理室7Bによる還元処理工程Bの最
中に、一方の還元処理室7Aからの出湯作業Cを行うよ
うに設定する。かかる関係を維持しながら、還元処理を
中断することなく連続的に継続するものである。
【0064】なお、本発明は、上記の実施形態に限定さ
れるものではなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲
において適宜に改良,変更することが可能である。例え
ば、上記実施形態では、炉本体2内に独立した一対の還
元処理室7,7を設置しているが、この還元処理室7の
設置数は、炉本体2の大きさ,形状に応じて設定するこ
とができる。但し、酸化錫の還元処理量を確保しつつ加
熱効率及び還元処理効率を向上させるためには、還元処
理室7の設置数を2以上としておくことが好ましい。こ
のようにすれば、各還元処理室7が分担する還元処理量
が少なくなるため、加熱室8からの間接加熱の熱効率が
向上すると共に、前述したように原料・還元剤混合物1
6の供給作業と出湯作業とを各還元処理室7毎に重複す
ることなく各別に行うことができて、還元処理効率を向
上させることができる。複数の還元処理室7を設ける場
合に、各還元処理室7を独立のものとせずに相互に連通
するものとしてもよい。
【0065】また、炉本体2及び還元処理室7の形状
も、上記実施形態の矩形箱状のものに限定されず、例え
ば横断面円形のるつぼ形状や円筒形状等であってもよ
い。このように横断面円形状にすると、加熱ガスを還元
処理室7の外周に沿って螺旋状に旋回させながら通過さ
せることで熱効率を向上させ得る利点がある。
【0066】また、加熱室8の構造も任意であり、還元
処理室7の形状,設置数に応じて適宜に設計することが
できる。但し、伝熱面積を向上させるために、還元処理
室7の全面ないし略全面を囲むように構成しておくこと
が好ましい。勿論、複数の還元処理室7が設置される場
合にあっては、一連のものとせずに複数に分割された加
熱室8としておくことも可能である。
【0067】また、原料及び還元剤の還元処理室7への
供給手段である原料供給装置3についても、上記実施形
態に限定されない。例えば、酸化錫を含む原料と還元剤
とを混合して還元処理室7へ供給する場合には、図9に
示すように、酸化錫原料貯蔵ホッパ50及び還元剤(例
えばコークス)貯蔵ホッパ51から、それぞれの秤量ホ
ッパ52及び53に必要量を取り出して秤量した後、こ
れらを混合機(ミキサー)54に投入して予め均一に混
合しておき、その混合したものを、運搬用バッグ55で
運搬して還元処理室7の直上にある原料ホッパ15に運
び、還元処理室7内に装入することも考えられる。勿
論、運搬用バッグ55や原料ホッパ15を省略して連続
化し、混合機54内の混合物を直接に還元処理室7に装
入するようにすることもできる。
【0068】また、例えば、図5,図6には原料ホッパ
15が固定式のものを示したが、これに代えて、枠体1
3上にレールを敷設すると共に支持台14に車輪を設け
て移動台とした移動式ホッパの採用も可能である。この
ように移動式にすると、酸化錫原料と還元剤とを別々に
貯えた各ホッパ15を移動させることにより、酸化錫原
料と還元剤とを交互に層状に重ねて還元処理室7内に装
入することも容易にできる。
【0069】さらに、加熱室8に熱源を供給する手段で
ある熱源供給装置4としては、上記のように、専用の燃
焼器18で発生させた燃焼ガスを供給するようにする
他、還元処理室7内を還元反応が生じる温度以上に間接
加熱できるものであることを条件として、他の設備で発
生する排ガス等の廃熱や余熱を加熱室8に直接に又は加
熱して供給するようにしてもよい。または、電気ヒータ
を熱源として直接に加熱室8内に持ち込んで仕切壁6ひ
いては還元処理室7内を加熱してもよい。更には、仕切
壁6の本体を例えば黒鉛や炭化ケイ素のような炭素系耐
火材で形成すると共にこれを誘導加熱手段により加熱す
るようにしてもよい。その場合は、例えば、誘導加熱手
段により炭素系耐火材からなる仕切壁6に交流電流を通
じて発熱せしめ、これを熱源として還元処理室7内を間
接加熱し還元反応を生じさせることとなる。
【0070】以下に、本発明の酸化錫の還元処理におけ
る処理条件、例えば原料中の酸化錫と還元剤量の比、還
元反応温度の影響、原料の混合状態の影響等について検
討するべく実施した実験について説明する。 (実施例1) 〔原料中の酸化錫と還元剤量との比率について〕 (1)原料:酸化錫を含む原料として、含水率10%の
白スラッジを使用した。還元剤としては、代表的な固形
炭素質還元剤であるコ−クス(炭素C含有比率90%)
を用いた。この白スラッジの水分を除き、定量分析して
得た酸化錫SnO2 の含有率は77.5%(すなわち、
水分0%,酸化錫Sn02 約78%)であった。なお、
比率は全て重量%を表す(以下、同じ)。
【0071】(2)処理装置:耐火壁を有する還元処理
室として、直径65mm、高さ150mm、内容積49
7ccの酸化マグネシウムるつぼを使用した。また、そ
の還元処理室としてのるつぼを外から加熱する手段とし
て、図10に示すような試験炉を使用した。このもの
は、炉内に、前記るつぼRを収納するステンレス鋼製の
蓋付き反応管T、その反応管Tを外部から加熱する発熱
体Fを備えている。
【0072】(3)処理方法 原料を装入したるつぼRを反応管Tに収納して蓋をし、
反応管Tの内部に窒素ガスを通しながら発熱体Fで加熱
して還元反応を行わせる。所定時間間隔で反応管T内の
ガスを採取してガス分析し、窒素ガス(N2 )中のCO
%及びCO2 %を測定すると共に、白スラッジからの錫
Snの回収率を測定した。なお、実験は、るつぼR内に
原料を装入して各別に行い、結果を比較する。
【0073】(4)還元処理条件 原料装入状態:図10に示すように、原料の白スラッジ
Sとコ−クスCとを、るつぼR内に交互に層状に装入し
た。白スラッジ総量/コ−クス総量=300g/10〜
120gの範囲とした。
【0074】(5)処理結果 図11に、処理結果として、コークス量とSn回収率と
の関係を示す。この実験から、コークス量が増加するに
従い、未反応のコークス残渣が増加するため、排気処
理,残渣処理等の事後処理が難しくなることが判明し
た。また、Sn回収率についても、図11から明らかな
ように、コークス量が少ない範囲では回収率が増加し、
コークス量がある量を超えて多くなるに従い、Sn回収
率は逆に減少することが判明した。これは、コークス残
渣が多い程、残渣と分離した金属錫Snと残渣との分離
がしにくくなるためと思われる。
【0075】ここで、上記白スラッジ総量/コ−クス総
量の比を酸化錫量と炭素量との比に換算すると、白スラ
ッジ中の酸化錫含有量78%、コークス中の炭素の含有
量90%として、次のようになる。
【0076】酸化錫:炭素=100:3.8〜46.2 そこで、以上の結果を踏まえて、原料中の酸化錫量と還
元剤中の炭素量との配合比率について、図11に基づい
て作成した図12により検討する。
【0077】上記実験から、酸化錫量を1とした場合
に、その酸化錫中の錫Snを85%以上回収するに要す
る炭素量は0.08〜0.23の範囲である。また、当
該錫Snを70%以上回収するに要する炭素量は0.0
4〜0.3の範囲である。
【0078】すなわち、本発明における原料中の酸化錫
SnO2 とこれに混入する還元剤中の炭素Cとの配合比
率は、錫回収率85%以上の場合は 酸化錫:炭素=100:8〜23(質量比) である。
【0079】しかし、実用上は、錫回収率が85%を下
回ることが許容されることもあり得る。そこで、実際的
な見地から、本発明の酸化錫と還元剤である炭素との比
率は、錫回収率が70%以上である 酸化錫:炭素=100:4〜30 とする。上記炭素比が4〜30の範囲外になると、錫回
収率が低すぎたり、コークス残渣処理が困難になったり
して、不経済になる。
【0080】(実施例2) 〔還元反応温度と錫の気化損失について〕 (1)原料:実施例1と同じ。
【0081】(2)処理装置:実施例1と同じ。 (3)処理方法 実施例1と略同じ。
【0082】但し、るつぼR内の原料装入状態は実施例
1と同様とし、炉温度を600〜1200℃の範囲で設
定して行い、結果を比較する。 (4)還元処理条件 1)原料装入状態:実施例1と同じにした。
【0083】2)雰囲気:N2 (10Nl/min ) 3)温 度:600〜1200℃ (5)処理結果 処理結果として、反応温度とSn回収率との測定値をプ
ロットしたものを図13に示す。また、ガス分析結果
(単位時間当たり脱酸素量,g/min)から計算した
各処理温度別の還元反応速度を図14に示す。
【0084】これらの結果から、処理温度600℃〜9
00℃の範囲では還元反応時間が不足し、Sn回収率が
70%未満と低い値しか得られない。処理温度が900
℃を超えると、速やかに還元反応が進行することがわか
る。また、一般的に900℃以上ではソルーションロス
反応により還元反応が迅速化する。すなわち、ソルーシ
ョンロス反応が発生する温度範囲において、必要十分な
コークスが存在すれば、還元反応によって生成したCO
2 がCOになり、このCOガスにより再度還元反応が起
こる。
【0085】特に、図13において、Sn回収率は処理
温度1000〜1100℃迄の範囲で、急激に上昇して
いるが、その後は回収率の低下傾向が始まり、1200
℃以降では、図14に示ように還元反応速度は急上昇し
ているにもかかわらず、Sn回収率は1100℃の場合
よりむしろ低下している。その原因としては、錫成分の
気化損失が考えられる。
【0086】そこで、本発明者らは、酸化錫SnO2
還元反応における、錫成分の理論気化損失量の割合を、
蒸気圧に基づき温度別に計算して図15のグラフにプロ
ットしてみた。因みに、例えばSnOの各温度毎の蒸気
圧に関しては、文献:「金属酸化物と複合酸化物」田部
浩三,他編〔講談社,1978年 4月20日,第134 頁〕に記
載の次式(1)で計算できる。
【0087】 logP(mmHg)=10.775−(13161/T(K))……(1) 一方、気化損失量については、SnO2 1kg中のSn
量は788g,O量は212gであることから、炭素還
元で発生するCO2 量は290gとなる。
【0088】したがって、今錫成分(SnまたはSnO
2 )の蒸気圧をx(atm)とすると、CO2 のそれは
1−x(atm)であるから、両者の蒸気のモル分率は
1−x:xとなる。ゆえに、錫成分の気化損失量は次式
(2)で求められる。
【0089】 {290/44(mol) /(1 −蒸気圧)}×蒸気圧×119 (g/mol) ………… (2) 図15は、上式から計算した理論錫成分損失割合(%)
と反応温度との関係をプロットしたものである。図15
において、反応温度が1000℃をこえると、理論錫成
分損失割合が増加しはじめ、1200℃以上では急激に
増大することが認められる。このことからも、本発明の
酸化錫の還元処理における処理温度の上限値は1300
℃することが可能であるが、1200℃とすることが好
ましいといえる。また、気化損失を低減させることを目
指すなら、1150℃以下が望ましい。 (実施例3) 〔原料の酸化錫と還元剤の、混合装入と層状装入との比
較〕 (1)原料:実施例1と同じ。
【0090】(2)処理装置:実施例1と同じ。 (3)処理方法 実施例1と略同じ。
【0091】但し、るつぼR内の原料装入状態は、白ス
ラッジとコークスを、予め完全に混合してるつぼ内に装
入したもの、白スラッジとコークスを3層ずつ交互に層
状に装入したものの2通りである。
【0092】これを、炉温度1100℃で還元処理して
結果を比較する。 (4)還元処理条件 1)原料装入状態:混合に対し、層状とは、白スラッジ
は各層毎に100gを3層とし、コークスは各層毎に1
0gを3層とし、交互に合計6層としたものである。
【0093】2)雰囲気:N2 (10Nl/min ) 3)温 度:1100℃ (5)処理結果 ガス分析結果から計算した各原料装入状態別の還元反応
速度の比較を図16に示す。
【0094】これらの結果から、混合装入の方が層状装
入の場合より還元反応が早く進行することがわかる。還
元ガスとの接触面積が多いためである。一方、Sn回収
量は層状装入の方が良いが、両者の差は小さい。
【0095】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の酸化錫の
還元処理方法によれば、酸化錫を含む原料と還元剤とを
還元処理室で間接加熱するものとしたため、Feが混入
することがなく高純度で、錫の気化損失が少なく高収率
で、かつ、排ガス処理に費用がかからず又炉の損耗も少
なくて低コストであり、COガス排出量が少なくて安全
で、しかもスラグを使用せずに容易に金属錫を回収する
ことができるという効果を奏する。
【0096】また、本発明の酸化錫の還元処理装置によ
れば、耐火性の仕切壁で区画した還元処理室と加熱室と
を備え、還元処理室に排気口と出湯口と酸化錫及び炭素
質還元剤の供給口とを設け、更に還元処理室内の酸化錫
原料及び還元剤を間接的に加熱する手段を設けたものと
したため、上記本発明の酸化錫の還元処理方法を効率的
に実施するこができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る酸化錫の還元処理方法を説明する
概念図である。
【図2】本発明に係る酸化錫の還元処理方法を説明する
概念図である。
【図3】本発明に係る酸化錫の還元処理方法を説明する
概念図である。
【図4】本発明に係る酸化錫の還元処理方法を説明する
概念図である。
【図5】本発明に係る酸化錫の還元処理装置の一実施形
態の断面図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図である。
【図7】SnO2 の炭素還元における平衡定数(Pco /
Pco2)と温度との関係を表した図である。
【図8】図5に示す装置による、酸化錫還元処理作業の
態様を説明する図である。
【図9】原料混合装入の他の実施形態を説明する模式図
である。
【図10】酸化錫還元処理に使用した試験炉の模式図で
ある。
【図11】酸化錫還元処理におけるコークス量別のSn
回収率を表した図である。
【図12】酸化錫還元処理における炭素/酸化錫量の比
とSn回収率との関係を表した図である。
【図13】酸化錫還元処理における反応温度とSn回収
率との関係を表した図である。
【図14】酸化錫還元処理における処理温度と還元反応
速度の推移を表した図である。
【図15】酸化錫還元処理における、錫成分の理論気化
損失量の割合と反応温度との関係を表す図である。
【図16】酸化錫還元処理における原料装入状態と還元
反応速度との関係を表した図である。
【図17】従来の酸化錫還元処理プロセスの一例を説明
する図である。
【符号の説明】
1 還元処理装置 4 加熱手段(熱源供給装置) 6 仕切壁(耐火壁) 7 還元処理室 8 加熱室 9 排気口 10 供給口 11 出湯口
【手続補正書】
【提出日】平成9年5月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項12
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】なお、本発明における間接加熱を、図4に
示すように加熱バーナーBを利用して行う場合に、炉H
の外へ排出される排気ガスの熱を利用して、原料の酸化
錫及び/又は還元剤の乾燥や予熱に利用できる。当該乾
燥または予熱のための設備Iには、原料の装入設備を利
用すれば、熱損失と発塵の防止を図ることができる。あ
るいは乾燥機,予熱機を別に設置して使用することもで
きる。いずれにしても、排気ガスの熱を利用して酸化錫
を含む原料や還元剤を予め予熱及び/又は乾燥すれば、
次にそれらの材料を還元処理室内で所定の温度に昇温し
たり水分を蒸発させたりするために要する時間が削減さ
れて還元反応時間の短縮が図れるし、還元処理の熱効率
を改善できるという効果がある。また、酸化錫を含む原
料や還元剤を予め予熱することで、それらの材料を還元
処理室に装入するときのヒートショックや熱応力による
耐火材の損傷を低減できる効果もある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】前記耐火性の仕切壁は塩基性耐火物とする
のが良い(請求項12)。炉を構成する耐火物が断熱を
目的とするものは、SiO2 等の酸性耐火物やAl2
3 ,CrO3 等の中性耐火物を含めた一般的な酸化物系
耐火物で良いが、仕切壁等のSn,SnO,SnO2
接触する部位には塩基性耐火物を使用することが望まし
い。また、各種の塩基性耐火物に対する塩基性酸化物で
あるSnOの浸透力を考慮すると、なかでも、中庸の浸
透力を有する酸化マグネシュウムMgO系のものが好ま
い。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐火壁を有する還元処理室内で、酸化錫
    を含む原料と還元剤とを、加熱手段により間接的に加熱
    することにより、前記酸化錫を金属に還元することを特
    徴とする酸化錫の還元処理方法。
  2. 【請求項2】 前記還元剤は固体炭素質還元剤であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の酸化錫の還元処理方法。
  3. 【請求項3】 前記酸化錫を含む原料と前記固体炭素質
    還元剤とを前記還元処理室内に交互に層状に重ねて装入
    して加熱することを特徴とする請求項2記載の酸化錫の
    還元処理方法。
  4. 【請求項4】 前記酸化錫を含む原料と前記固体炭素質
    還元剤とを予め互いに混合した状態で前記還元処理室内
    に装入して加熱することを特徴とする請求項2記載の酸
    化錫の還元処理方法。
  5. 【請求項5】 前記還元剤はガス還元剤であり、前記還
    元処理室内の酸化錫を含む原料に当該ガス還元剤を吹き
    込むことにより還元性ガス雰囲気とすることを特徴とす
    る請求項1記載の酸化錫の還元処理方法。
  6. 【請求項6】 前記ガス還元剤は、ガス炭素質還元剤で
    ある請求項5記載の酸化錫の還元処理方法。
  7. 【請求項7】 前記酸化錫を含む原料中の酸化錫と前記
    還元剤中の炭素との前記還元処理室内への装入量の比率
    が、酸化錫:炭素=100:4〜30(質量比)である
    請求項1乃至6のいずれか一項に記載の酸化錫の還元処
    理方法。
  8. 【請求項8】 前記酸化錫を含む原料中の酸化錫の還元
    反応の温度を600〜1300℃とすることを特徴とす
    る前記請求項1乃至7のいずれか一項に記載の酸化錫の
    還元処理方法。
  9. 【請求項9】 耐火壁を有する還元処理室内で、酸化錫
    を含む原料を還元性ガス雰囲気下に、前記還元処理室に
    高温の不活性ガスを供給して、又は高温の不活性ガスと
    他の加熱手段とを併用して間接的に加熱することにより
    前記酸化錫を還元することを特徴とする酸化錫の還元処
    理方法。
  10. 【請求項10】 前記酸化錫を含む原料が、電気メッキ
    工程で生成された酸化錫を主成分とするスラッジである
    ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載
    の酸化錫の還元処理方法。
  11. 【請求項11】 酸化錫の還元処理に用いる炉であっ
    て、炉体本体内を耐火性の仕切壁で還元処理室と加熱室
    とに区画し、前記還元処理室に排気口と出湯口と酸化錫
    及び還元剤との供給口を設けると共に、前記還元処理室
    内の酸化錫及び還元剤を間接的に加熱する加熱手段を備
    えたことを特徴とする酸化錫の還元処理装置。
  12. 【請求項12】 前記耐火性の仕切壁が塩基性耐火物又
    は非酸化物系耐火物である前記請求項11記載の酸化錫
    の還元処理装置。
  13. 【請求項13】 前記還元処理室を前記炉体本体内に複
    数室設けたことを特徴とする請求項11又は12記載の
    酸化錫の還元処理装置。
  14. 【請求項14】 請求項11乃至請求項13のいずれか
    一項に記載の酸化錫の還元処理装置において、加熱室か
    ら排出された排ガスと熱交換する酸化錫及び/又は還元
    剤の予熱及び/又は乾燥手段を付加したことを特徴とす
    る酸化錫の還元処理装置。
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