JPH10170920A - 液晶表示素子およびその製造方法 - Google Patents

液晶表示素子およびその製造方法

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JPH10170920A
JPH10170920A JP32661496A JP32661496A JPH10170920A JP H10170920 A JPH10170920 A JP H10170920A JP 32661496 A JP32661496 A JP 32661496A JP 32661496 A JP32661496 A JP 32661496A JP H10170920 A JPH10170920 A JP H10170920A
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JP
Japan
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liquid crystal
substrate
crystal display
alignment
temperature
Prior art date
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Pending
Application number
JP32661496A
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English (en)
Inventor
Midori Tsukane
みどり 塚根
Hirobumi Wakemoto
博文 分元
Yoshio Iwai
義夫 岩井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 配向性が良好で視野角特性を向上する。 【解決手段】 一対の基板8a,8b間に液晶が狭持さ
れ、基板の一方に各画素ごとにアクティブ素子4を配置
し、このアクティブ素子4を有する基板8a上に少なく
とも画素電極7が配置されるように一対以上の線状の画
素電極7と共通電極6を画素内の基板8a,8b上に形
成し、電極6,7間に電圧が印加された際に、基板面に
対して水平方向に電界が生じるような電圧印加手段を設
け、一方の基板8bの表面が制御された液晶配向性を有
し、電極による段差が大きい他方の基板8aの表面が液
晶のネマティック−アイソトロピック転移点より低い温
度で液晶配向力を消失する性質を有することを特徴とす
る。アニール処理により、配向性を有する一方の基板8
b側から液晶分子の配向状態が広がり、配線段差のある
他方の基板8aでも段差部近傍まで均一なホモジニアス
配向が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、視野角の広いア
クティブマトリクス型液晶表示素子およびその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、薄型で軽量、かつ低消
費電力のディスプレイ素子であり、テレビやビデオなど
の画像表示装置や、ワープロ、パソコンなどのOA機器
に広く用いられている。液晶表示素子のなかでも、アレ
イ基板上に多数のスイッチング素子を配置したアクティ
ブマトリクス型液晶表示素子の大部分は、液晶の配向方
位がほぼ90捻れたツイストネマチック(TN)モード
を表示に用いており、高速応答や高精細が可能なディス
プレイとして開発が進んでいる。
【0003】しかしながら、TNモードの液晶表示素子
は、液晶の旋光性を用いて表示しているために、パネル
を見る角度によって色調やコントラストが異なるという
大きな欠点がある。これらの欠点を解決するために位相
差フィルムを用いて補償する方法や、画素内に複数の異
なる配向領域を有する画素分割法や配向分割法等が用い
られている。しかしながら、TNモードではいまだに良
好な表示が得られる視野角範囲は陰極線管(CRT)に
比べて狭く、CRTと同等以上の表示性能を実現するに
は至っていない。
【0004】よりCRTに近い視野角特性を実現するた
めに、液晶分子を基板面にほぼ水平な方向で動かし、電
界制御複屈折効果により光透過率をコントロールする表
示方式がある。例えば櫛形電極を基板上に形成する方法
がR.A.Soref によって提案されている(J.Appl.Phys.45,
5446(1974)) 。この方式によれば、常に液晶分子をほぼ
横(短軸方向)から眺める形となり、見る方向が異なっ
ても屈折率の差が殆ど無い状態となり、コントラストの
視角依存性を極めて小さくすることが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
た液晶分子を基板面にほぼ水平に動かす方法では、従来
のTNモードでは透明電極であった画素電極および共通
電極が線状に存在するため、段差部分が増え、しかもそ
れらの電極が画素内に存在する。したがって、従来の布
によるラビング法では、段差部の陰になる部分で、ラビ
ング処理されにくくなり配向不良になりやすいという問
題があった。
【0006】したがって、この発明の目的は、このよう
な従来の問題点に鑑みて、配向性が良好で視野角の広い
液晶表示素子およびその製造方法を提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の液晶表示
素子は、一対の基板間に液晶が狭持され、基板の一方に
各画素ごとにアクティブ素子を配置し、このアクティブ
素子を有する基板上に少なくとも画素電極が配置される
ように一対以上の線状の画素電極と共通電極を画素内の
基板上に形成し、電極間に電圧が印加された際に、基板
面に対して水平方向に電界が生じるような電圧印加手段
を設けた液晶表示素子であって、一方の基板の表面が制
御された液晶配向性を有し、電極による段差が大きい他
方の基板の表面が液晶のネマティック−アイソトロピッ
ク転移点より低い温度で液晶配向力を消失する性質を有
することを特徴とする。
【0008】このように、電極間に電圧が印加された際
に、基板面に対して水平方向に電界が生じるようにし
て、液晶分子を基板に水平な方向に動かすモードで、画
素内に配線段差を有する場合でも、一方の基板が制御さ
れた液晶配向性を有し、他方の基板がN−I点(ネマテ
ィック−アイソトロピック転移点)以下で液晶配向力を
消失する性質を有することで、アニール処理により、配
向性を有する一方の基板側から液晶分子の配向状態が広
がり、配線段差のある他方の基板でも段差部近傍まで均
一なホモジニアス配向が得られ、コントラストが高く、
視野角が広くなる。
【0009】請求項2記載の液晶表示素子は、請求項1
において、他方の基板表面にガラス転移温度が液晶のネ
マティック−アイソトロピック転移点以下の熱可塑性ポ
リマーの膜を形成した。このように、他方の基板表面に
Tg(ガラス転移温度)が液晶のネマティック−アイソ
トロピック転移点以下の熱可塑性ポリマーの膜を形成し
たので、N−I点以下で液晶配向力を消失する材料とし
て特に効果がある。すなわち、熱可塑性ポリマーはTg
以上の温度では、分子鎖のミクロブラウン運動によりゴ
ム弾性状態となって液晶配向力が消失するため、Tgを
液晶分子が配向し始めるN−I点以下とすることにより
熱可塑性ポリマーが配向力が消失した状態で配向する。
【0010】請求項3記載の液晶表示素子は、請求項2
において、熱可塑性ポリマーのガラス転移温度が50℃
以上にした。このように、熱可塑性ポリマーのガラス転
移温度が50℃以上にしたので、液晶表示素子が通常使
用される環境でのパネル温度40℃よりも高く、配向安
定性が良好となる。請求項4記載の液晶表示素子は、請
求項2において、熱可塑性ポリマーが形状記憶効果を有
するポリウレタンの膜である。このように、熱可塑性ポ
リマーが形状記憶効果を有するポリウレタンの膜である
ので、Tg以下の温度で非常に良好な状態で保持され
る。すなわち、形状記憶効果を有するポリウレタンは、
ソフトセグメントとハードセグメントからなるため部分
結晶化しており、そのため配向膜として用いた場合に、
液晶で溶解や膨潤することもなく、また電圧保持率の低
下もないため、信頼性が高い。
【0011】請求項5記載の液晶表示素子は、請求項1
において、制御された液晶配向性を有する基板表面にポ
リイミドを形成した。このように、制御された液晶配向
性を有する基板表面にポリイミドを形成したので、基板
表面の配向規制力が強くなり、反対側の基板へ配向が広
がっていく。請求項6記載の液晶表示素子は、請求項1
において、他方の基板は配向処理されていない。このよ
うに、他方の基板は配向処理されていないので、アニー
ル処理により配向処理された反対側の基板界面からホモ
ジニアスの配向状態が広がり均一な配向が得られる。ま
た、一方の基板のみ配向処理を施せばよいため、工数が
削減できてコストダウンにつながる。
【0012】請求項7記載の液晶表示素子の製造方法
は、一方の基板の表面が制御された液晶配向性を有する
ように形成し、他方の基板の表面が液晶のネマティック
−アイソトロピック転移点より低い温度で液晶配向力を
消失する性質を有するように形成した後、一対の基板間
に液晶を封入した液晶パネルを液晶のネマティック−ア
イソトロピック転移点以上に温度を上げた後に冷却する
過程で、表面が制御された液晶配向性を有している一方
の基板の温度が、他方の基板の温度以下となるように制
御しながら冷却することを特徴とする。
【0013】このように、表面が制御された液晶配向性
を有している一方の基板の温度が、他方の基板の温度以
下となるように制御しながら冷却することにより、一方
の基板界面からネマティック相が出現し始め、反対側の
基板界面に向かってその配向が広がっていくため、反対
側の基板が配向性を持たなくても均一な配向が得られ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】この発明の第1の実施の形態の液
晶表示素子を図1および図2に基づいて説明する。図1
はこの発明の第1の実施の形態の液晶表示素子の平面
図、図2はその断面図である。一対のガラス基板8a,
8b間に液晶(図示せず)が狭持され、基板8aにはゲ
ート1、ソース電極2、ドレイン電極3が形成され各画
素ごとに薄膜トランジスタ素子(アクティブ素子)4を
配置している。また、画素内の基板8a上に少なくとも
一対以上の線状の画素電極7と、引出し電極5で短絡さ
れている共通電極6を形成し、電極6,7間に電圧が印
加された際に、基板8a面に対して水平方向に電界が生
じるような電圧印加手段を設けている。画素電極7は、
共通電極6に平行にかつ15μm隔ててドレイン電極3
と接続されている。また、基板8a上にポリスチレン配
向膜9aを形成し、基板8bにポリイミド配向膜9bを
形成している。
【0015】すなわち、上記のように電極が形成された
ガラス基板8a上に、固形分濃度4重量%のポリスチレ
ン溶液をオフセット印刷し、170℃で1時間加熱して
ポリスチレン配向膜9aを形成した。このときのポリス
チレン配向膜9aの膜厚は約800Åであった。このポ
リスチレン配向膜9aのTg(ガラス転移温度)は98
℃である。この基板8aをレーヨン布を用い、電極配線
に平行な方向と約5゜の角度をなすような方向10にラ
ビング処理を行った。
【0016】もう一方の透明なガラス基板8bには、固
形分濃度6重量%のポリイミドワニス(例えばオプトマ
ーAL−1054:日本合成ゴム株式会社製)をオフセ
ット印刷し、170℃で1時間加熱してポリイミド配向
膜9bを形成した。このときのポリイミド配向膜9bの
膜厚は約800Åであった。基板8bを電極を有する基
板8aと貼り合わせたときにホモジニアス配向となるよ
うな方向にラビング処理を行った。
【0017】そして、ポリスチレン配向膜9aとポリイ
ミド配向膜9bが向かい合うように基板8a,8bを対
向させ、スペーサとして直径4μmのガラスビーズ11
を介して貼合わせた。このパネルに屈折率異方性Δnが
0.075、N−I点(ネマティック−アイソトロピッ
ク転移点)が105℃のネマティック液晶を真空注入法
にて封入した。このパネルをN−I点より高温の120
℃で1時間アニール処理を行った。その結果、液晶パネ
ル全面で均一なホモジニアス配向が得られた。このパネ
ルの配向状態を偏光顕微鏡下で観察した結果、配線付近
もほぼ均一に配向しており、ノーマリーブラック状態で
の光抜けもほとんど見られなかった。
【0018】以上のようにして作製された液晶パネルの
両側に偏光板をクロスニコルになるように貼り付け、ノ
ーマリーブラックモードの液晶表示素子を得た。このと
きの偏光板の貼り方は、ガラス基板8a側のラビング方
向10と偏向板の吸収軸を平行となるようにした。この
液晶表示素子の電圧−透過率特性を測定した結果、最大
コントラスト比が200と良好な結果を得た。
【0019】比較のために、ガラス基板8aにも8bと
同じポリイミド配向膜を形成してラビング処理を行い、
その他は上記と同一の構成の液晶パネルを作製した。こ
の液晶パネルの配向状態を偏光顕微鏡下で観察した結
果、配線付近に非配向領域があり、ノーマリーブラック
状態で光抜けが見られた。この液晶パネルの両側に上記
と同様な貼り方で偏光板をクロスニコルになるように貼
り付け、ノーマリーブラックモードの液晶表示素子を得
た。この液晶表示素子の最大コントラストは150であ
った。
【0020】上記のような測定結果を得た理由について
説明する。電極等により段差の大きい基板をラビング処
理する場合ラビング方向によっては段差近傍ではラビン
グ布の繊維が触れず、ラビング処理がされない部分が生
じる。その結果、段差近傍は非配向領域となって光り抜
けを起こしやすい。一方、段差のほとんど無い基板で
は、ほぼ全面に均一なラビング処理が施される。全面に
均一なラビング処理がなされている基板と、ラビング処
理がなされていない部分のある基板の組み合わせの場
合、液晶封入後のアニール処理によって配向が基板界面
から広がる際に、全面に均一な配向処理がなされている
基板の側から一方的に広がっていくことが均一な配向に
つながる。
【0021】TNモードでは、液晶分子が上下の基板間
で90゜ねじれて配向しているので、両方の基板表面で
それぞれの方向に制御された配向性を有する必要があ
る。液晶分子を基板面にほぼ水平な方向で動かし、電界
制御複屈折効果により光透過率をコントロールする表示
モードでは、ホモジニアス配向を用いている。ホモジニ
アス配向の場合、一方の基板表面が一定の方向に制御さ
れた液晶配向性を有していて、他方の基板がN−I点以
下の温度で配向力を消失していれば、アニール処理後に
液晶配向性を有する基板の側から配向が広がって均一な
配向が得られる。
【0022】したがって、基板表面に配向性をもたせる
ための方法として基板にラビング処理を行う場合は、段
差の大きい基板側がN−I点以下で配向力を消失するよ
うにした方が好ましい。N−I点以下の温度で配向力を
消失する材料としては、TgがN−I点以下の熱可塑性
ポリマーが、特に効果がある。この実施の形態では、熱
可塑性ポリマーとしてTgが98℃のポリスチレン配向
膜9aを用い、N−I点が105℃のネマティック液晶
を用いている。
【0023】すなわち、熱可塑性ポリマーはTg以上の
温度では、分子鎖のミクロブラウン運動によりゴム弾性
状態となるが、Tg以下ではミクロブラウン運動が凍結
された状態でプラスティック状態となる。したがってラ
ビング処理によって得られるポリスチレン配向膜9aの
膜表面の配向力は、Tg以上の温度になってゴム弾性状
態になると消失し、Tg以下になっても戻らない。液晶
のN−I点が熱可塑性ポリマーのTgより高いと、配向
を均一にするためのアニール処理時にゴム弾性状態とな
っており、N−I点直下で液晶分子が配向し始めると
き、熱可塑性ポリマー表面は配向力が消失した状態とな
っている。その結果、配向力を有する基板8bの側から
配向が広がり、パネル全面に均一なホモジニアス配向が
得られる。
【0024】なお、この実施の形態において、熱可塑性
ポリマーのとしてポリスチレン配向膜を用いたがポリメ
チルメタクリレート等のポリエステルやポリ塩化ビニル
等でも良く、Tgが液晶のN−I点より低い熱可塑性ポ
リマーであれば同様の効果が得られる。また、液晶表示
素子に用いる熱可塑性ポリマーのTgは、液晶表示素子
が通常使用される環境でのパネル温度が、バックライト
等の影響で約40℃であること、および配向安定性等を
考慮すると最低50℃は必要である。信頼性まで考慮す
ると80℃以上が好ましい。
【0025】また、この実施の形態では液晶配向性を有
する基板8bにラビング処理を施したポリイミド配向膜
9bを用いているが、他のポリマーにラビング処理を施
したものや、あるいは光による配向処理等でも良い。し
かしながら、アニール処理後の冷却時に片側の基板8b
から配向が広がっていくことを考慮すると、その基板8
bの表面の配向規制力は強い程良いため、この点でポリ
イミド配向膜9bを用いるのが好ましい。
【0026】また、共通電極6と画素電極7をともに基
板8aに形成しているが、共通電極6は対向する基板8
bに形成することにより、基板面に対して水平方向に電
界が生じるようにしてもよい。この場合、より段差部の
多いアクティブ素子を有する基板の表面が、上記のよう
に液晶のN−I点より低い温度で液晶配向力を消失する
ようにする。
【0027】この発明の第2の実施の形態の液晶表示素
子を図3に基づいて説明する。図3はこの発明の実施の
形態の液晶表示素子の断面図である。第1の実施の形態
と同じ構成で電極が形成されたガラス基板に8a上に、
固形分濃度6重量%のポリウレタン溶液(例えば、三菱
重工業株式会社製WF009)をオフセット印刷し、1
50℃で1時間加熱してポリウレタン配向膜12を形成
した。このときのポリウレタン配向膜12の膜厚は約8
00Åであった。このポリウレタン配向膜12は形状記
憶効果を有し、そのTgは93℃である。この基板8a
をレーヨン布を用い、電極配線に平行な方向と約5゜の
角度をなすような方向10にラビング処理を行った。
【0028】もう一方の透明なガラス基板8bには、固
形分濃度6重量%のポリイミドワニス(例えばオプトマ
ーAL−5417:日本合成ゴム株式会社製)をオフセ
ット印刷し、170℃で1時間加熱してポリイミド配向
膜9bを形成した。このときのポリイミド配向膜9bの
膜厚は約800Åであった。基板8bを電極を有する基
板8aと貼り合わせたときにホモジニアス配向となるよ
うな方向にラビング処理を行い、ポリウレタン配向膜1
2とポリイミド配向膜9bが向かい合うように基板8a
と対向させ、スペーサとして直径4μmのガラスビーズ
11を介して貼合わせた。このパネルに屈折率異方性Δ
nが0.075、N−I点が100℃のネマティック液
晶を真空注入法にて封入した。このパネルをN−I点よ
り高温の120℃で1時間アニール処理を行った。その
結果、液晶パネル全面で均一なホモジニアス配向が得ら
れた。このパネルの配向状態を偏光顕微鏡下で観察した
結果、配線付近もほぼ均一に配向しており、ノーマリー
ブラック状態での光抜けもほとんど見られなかった。以
上のようにして作製された液晶パネルの両側に偏光板を
クロスニコルになるように貼り付け、ノーマリーブラッ
クモードの液晶表示素子を得た。このときの偏光板の貼
り方は、ガラス基板8a側のラビング方向10と偏向板
の吸収軸を平行となるようにした。この液晶表示素子の
電圧−透過率特性を測定した結果、最大コントラスト比
が220と良好な結果を得た。また、この液晶表示素子
の応答速度を測定した結果、立ち上がりの応答時間が6
0msec、立ち下がりの応答時間が55msecであ
り、前記比較例の液晶表示素子の測定結果と、全く同じ
であった。したがって、ポリウレタン配向膜12の表面
は、Tg以下の温度で、非常に良好な状態で保持されて
いる。
【0029】形状記憶効果を有するポリウレタンとして
特開平2−116102号公報に提案されている構造式
の一例を下記式(化1)に示す。
【0030】
【化1】 形状記憶効果を有するポリウレタンはソフトセグメント
とハードセグメントからなるため部分結晶化している。
そのため、配向膜として用いた場合に、液晶で溶解や膨
潤することもなく、また電圧保持率の低下もないため、
この信頼性の点から見ても非常に良好な材料である。し
たがって、この形状記憶効果を有するポリウレタン配向
膜を用いた液晶表示素子の信頼性も良好なものとなる。
【0031】この発明の第3の実施の形態の液晶表示素
子を説明する。第2の実施の形態と同じ構成で、ポリウ
レタン配向膜12にラビング処理をせずに液晶パネルを
作製した。このパネルを偏光板で挟んで液晶注入直後の
配向状態を観察すると、液晶注入時の流れに沿って流動
配向が見られた。この液晶パネルをN−I点より高温の
120℃で1時間アニール処理を行った。その結果、液
晶パネル全面で均一なホモジニアス配向が得られた。こ
のパネルの配向状態を偏光顕微鏡下で観察した結果、配
線付近もほぼ均一に配向しており、ノーマリーブラック
状態での光抜けもほとんど見られなかった。以上のよう
にして作製された液晶パネルの両側に偏光板をクロスニ
コルになるように貼り付け、ノーマリーブラックモード
の液晶表示素子を得た。この液晶表示素子の電圧−透過
率特性を測定した結果、最大コントラスト比が200と
良好な結果を得た。
【0032】Tgが液晶のN−I点より低い熱可塑性ポ
リマーの膜を配向膜として用いた場合、熱可塑性ポリマ
ーの膜表面はラビング処理により延伸されて液晶配向力
を有していたとしてもTgを越えた時点でそれまでの表
面状態が消失するため、ラビング処理をしなくても、ア
ニールにより反対側の基板界面からホモジニアスの配向
状態が広がるため均一な配向が得られる。そのため、一
方の基板のみ配向処理を施せばよいため、工数が削減で
きてコストダウンにつながる。またラビング処理に係わ
る配向不良等の問題も低減できる。
【0033】この発明の第4の実施の形態の液晶表示素
子の製造方法を説明する。第2の実施の形態と同じ構成
の液晶パネルを作製し、ステンレス製蓋付きバットの中
にポリウレタン配向膜12が形成された基板8a側を上
にして液晶パネルを入れ、120℃の恒温槽中で1時間
アニール処理した。この後、120℃から室温への冷却
時に、ステンレス製蓋付きバットに入ったまま液晶パネ
ルを取り出し、ステンレスブロックの上に置いた。この
ときの上側の基板8aの冷却速度は、−8℃/minで
あった。このとき、ポリイミド配向膜9bが形成された
基板8bの冷却速度は、ポリウレタン配向膜12が形成
された基板8aより速く、その結果、液晶パネル全面で
均一なホモジニアス配向が得られた。このパネルの配向
状態を偏光顕微鏡下で観察した結果、配線付近も均一に
配向しており、ノーマリーブラック状態での光抜けも見
られなかった。以上のようにして作製された液晶パネル
の両側に偏光板をクロスニコルになるように貼り付け、
ノーマリーブラックモードの液晶表示素子を得た。この
液晶表示素子の電圧−透過率特性を測定した結果、最大
コントラスト比が230と良好な結果を得た。
【0034】N−I点以上の温度から冷却する際に、配
向性を有する基板8bの方から冷却することにより、そ
の基板界面からネマティック相が出現し始め、反対側の
基板界面に向かってその配向が広がって行くため片側の
基板8aが配向性をもたなくても均一な配向が得られる
こととなる。片側の基板8bから配向状態が広がるよう
にするには、両基板8a,8bの温度差が大きいほど良
い。そのためには、片側の基板8bから急冷することが
効果的である。
【0035】なお、この実施の形態では、配向性を有す
る基板8bの温度が反対側の基板8aより低い温度とな
るように制御したが、両基板8a,8bが同じ冷却速度
であっても、均一な配向が得られる。
【0036】
【発明の効果】この発明の液晶表示素子によれば、電極
間に電圧が印加された際に、基板面に対して水平方向に
電界が生じるようにして、液晶分子を基板に水平な方向
に動かすモードで、画素内に配線段差を有する場合で
も、一方の基板が制御された液晶配向性を有し、他方の
基板がN−I点(ネマティック−アイソトロピック転移
点)以下で液晶配向力を消失する性質を有することで、
アニール処理により、配向性を有する一方の基板側から
液晶分子の配向状態が広がり、配線段差のある他方の基
板でも段差部近傍まで均一なホモジニアス配向が得ら
れ、コントラストが高く、視野角の広い液晶表示素子を
提供できる。
【0037】請求項2では、他方の基板表面にTg(ガ
ラス転移温度)が液晶のネマティック−アイソトロピッ
ク転移点以下の熱可塑性ポリマーの膜を形成したので、
N−I点以下で液晶配向力を消失する材料として特に効
果がある。すなわち、熱可塑性ポリマーはTg以上の温
度では、分子鎖のミクロブラウン運動によりゴム弾性状
態となって液晶配向力が消失するため、Tgを液晶分子
が配向し始めるN−I点以下とすることにより熱可塑性
ポリマーが配向力が消失した状態で配向する。
【0038】請求項3では、熱可塑性ポリマーのガラス
転移温度が50℃以上にしたので、液晶表示素子が通常
使用される環境でのパネル温度40℃よりも高く、配向
安定性が良好となる。請求項4では、熱可塑性ポリマー
が形状記憶効果を有するポリウレタンの膜であるので、
Tg以下の温度で非常に良好な状態で保持される。すな
わち、形状記憶効果を有するポリウレタンは、ソフトセ
グメントとハードセグメントからなるため部分結晶化し
ており、そのため配向膜として用いた場合に、液晶で溶
解や膨潤することもなく、また電圧保持率の低下もない
ため、信頼性が高い。
【0039】請求項5では、制御された液晶配向性を有
する基板表面にポリイミドを形成したので、基板表面の
配向規制力が強くなり、反対側の基板へ配向が広がって
いく。請求項6では、他方の基板は配向処理されていな
いので、アニール処理により配向処理された反対側の基
板界面からホモジニアスの配向状態が広がり均一な配向
が得られる。また、一方の基板のみ配向処理を施せばよ
いため、工数が削減できてコストダウンにつながる。
【0040】この発明の請求項7記載の液晶表示素子の
製造方法によれば、表面が制御された液晶配向性を有し
ている一方の基板の温度が、他方の基板の温度以下とな
るように制御しながら冷却することにより、一方の基板
界面からネマティック相が出現し始め、反対側の基板界
面に向かってその配向が広がっていくため、反対側の基
板が配向性を持たなくても均一な配向が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態の液晶表示素子の
平面図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】この発明の第2の実施の形態の液晶表示素子の
断面図である。
【符号の説明】
1 ソース電極 2 ゲート電極 3 ドレイン電極 4 薄膜トランジスタ素子 5 引き出し電極 6 共通電極 7 画素電極 8a,8b ガラス基板 9a ポリスチレン配向膜 9b ポリイミド配向膜 10 ラビング方向 11 ガラスビーズ 12 ポリウレタン配向膜

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の基板間に液晶が狭持され、前記基
    板の一方に各画素ごとにアクティブ素子を配置し、この
    アクティブ素子を有する基板上に少なくとも画素電極が
    配置されるように一対以上の線状の画素電極と共通電極
    を前記画素内の基板上に形成し、前記電極間に電圧が印
    加された際に、基板面に対して水平方向に電界が生じる
    ような電圧印加手段を設けた液晶表示素子であって、一
    方の基板の表面が制御された液晶配向性を有し、前記電
    極による段差が大きい他方の基板の表面が液晶のネマテ
    ィック−アイソトロピック転移点より低い温度で液晶配
    向力を消失する性質を有することを特徴とする液晶表示
    素子。
  2. 【請求項2】 他方の基板表面にガラス転移温度が液晶
    のネマティック−アイソトロピック転移点以下の熱可塑
    性ポリマーの膜を形成した請求項1記載の液晶表示素
    子。
  3. 【請求項3】 熱可塑性ポリマーのガラス転移温度が5
    0℃以上の請求項2記載の液晶表示素子。
  4. 【請求項4】 熱可塑性ポリマーが形状記憶効果を有す
    るポリウレタンの膜である請求項2記載の液晶表示素
    子。
  5. 【請求項5】 制御された液晶配向性を有する基板表面
    にポリイミドを形成した請求項1記載の液晶表示素子。
  6. 【請求項6】 他方の基板は配向処理されていない請求
    項1記載の液晶表示素子。
  7. 【請求項7】 一方の基板の表面が制御された液晶配向
    性を有するように形成し、他方の基板の表面が液晶のネ
    マティック−アイソトロピック転移点より低い温度で液
    晶配向力を消失する性質を有するように形成した後、一
    対の基板間に液晶を封入した液晶パネルを液晶のネマテ
    ィック−アイソトロピック転移点以上に温度を上げた後
    に冷却する過程で、表面が制御された液晶配向性を有し
    ている一方の基板の温度が、他方の基板の温度以下とな
    るように制御しながら冷却することを特徴とする液晶表
    示素子の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6088078A (en) * 1997-12-03 2000-07-11 Hyundai Electronics Industries Co., Ltd. Liquid crystal display with horizontal electric field
US6243154B1 (en) 1997-12-11 2001-06-05 Hyundai Electronics Industries Co., Ltd. Liquid crystal display having wide viewing angle without color shift having annular pixel and counter electrodes
JP2011248089A (ja) * 2010-05-27 2011-12-08 Lg Display Co Ltd 液晶表示素子及びその駆動方法

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US6243154B1 (en) 1997-12-11 2001-06-05 Hyundai Electronics Industries Co., Ltd. Liquid crystal display having wide viewing angle without color shift having annular pixel and counter electrodes
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