JPH10170508A - 血液濾過方法 - Google Patents

血液濾過方法

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JPH10170508A
JPH10170508A JP33336296A JP33336296A JPH10170508A JP H10170508 A JPH10170508 A JP H10170508A JP 33336296 A JP33336296 A JP 33336296A JP 33336296 A JP33336296 A JP 33336296A JP H10170508 A JPH10170508 A JP H10170508A
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JP
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blood
suction
filtration
plasma
glass fiber
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JP33336296A
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English (en)
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Masao Kitajima
昌夫 北島
Kenichiro Yazawa
健一郎 矢沢
Norio Kawakami
典男 川上
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヘマトクリット値によらず血液から溶血
をほとんど起こさず血漿や血清を安定して濾過できる血
液濾過方法を提供する。 【解決手段】 上記課題は、少なくともガラス繊維濾紙
と微多孔性膜が積層されている血液濾過材料を用いて血
液を吸引濾過するに際し、濾過の途中で一旦吸引を減速
あるいは停止し、その後吸引を再開することを特徴とす
る血液濾過方法によって解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は全血から血漿または
血清試料を調製する血液濾過方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】血液中の構成成分例えば代謝産物、蛋白
質、脂質、電解質、酵素、抗原、抗体などの種類や濃度
の測定は通常全血を遠心分離して得られる血漿または血
清を検体として行われている。ところが、遠心分離は手
間と時間がかかる。特に少数の検体を急いで処理したい
ときや、現場検査などには、電気を動力とし、遠心分離
機を必要とする遠心法は不向きである。そこで、濾過に
より全血から血漿を分離する方法が検討されてきた。
【0003】この濾過方法には、ガラス繊維濾紙をカラ
ムに充填し、カラムの一方から全血を注入し、加圧や減
圧を行なって他方から血漿や血清を得るいくつかの方法
が公知化されている(特公昭44−14673号公報、
特開平2−208565号公報、特開平4−20885
6号公報、特公平5−52463号公報等)。これらは
いずれも定常的な加圧や減圧を行なって連続濾過するも
のである。
【0004】しかし、全血から濾過により自動分析等に
よる測定に必要な量の血漿または血清を得る方法に関し
ては血糖など一部の項目を除いては、いまだ試行の段階
にあり、広く実用化されるに至っていない。
【0005】そこで、本発明者らは先に、微量な血液で
あっても血漿や血清を効率よく分離しうる血液濾過ユニ
ットとして、濾材にガラス繊維濾紙と微多孔性膜を組み
合わせるとともに濾材の血漿出口側にシール部材を設け
て濾過材料の開口面積を狭めた血液濾過ユニットを完成
し、これを特許出願した(特願平8−7692号)。ま
た、その吸引側に血漿受槽を設けたものも既に開発した
(特願平8−91621号)。これらも定常的な吸引を
行なって連続濾過するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
血液濾過材料を用いた濾過では溶血が起こっており、特
にヘマトクリット値の大きな血液では溶血の量が大きく
なっていた。
【0007】本発明の目的は、ヘマトクリット値によら
ず血液から溶血をほとんど起こさず血漿や血清を安定し
て濾過できる血液濾過方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するべく鋭意検討の結果、血液濾過時の溶血は主に
ガラス繊維濾紙内で血球がガラス繊維に引掛かって変形
し、濾過の進行に従ってこの変形がひどくなって終には
破壊されて溶血を起こしていることを見出した。そこで
さらに検討を進め、この対策として濾過の途中で一旦吸
引を止めると血球の形が元に戻って変形度が少なくな
り、濾過時の溶血が少なくなることを見出した。
【0009】すなわち、本発明は、少なくともガラス繊
維濾紙と微多孔性膜が積層されている血液濾過材料を用
いて血液を吸引濾過するに際し、濾過の途中で一旦吸引
を減速あるいは停止することを特徴とする血液濾過方法
に関するものである。減速あるいは停止後に吸引を再開
してもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】ガラス繊維濾紙は密度が0.02
〜0.3程度、好ましくは0.05〜0.2程度、特に
好ましくは0.07〜0.15程度で、保留粒子径が
0.8〜9μm程度、特に1〜5μm程度のものが好ま
しい。ガラス繊維の表面を、特開平2−208565号
公報、同4−208856号公報に記載された様な方法
で、親水性高分子で処理することによって濾過をより速
やかに円滑に行なうことができる。また、ガラス繊維の
表面をレクチンで処理することもできる。ガラス繊維濾
紙は複数枚と積層して用いることができる。
【0011】表面を親水化されており血球分離能を有す
る微多孔性膜は、実質的に分析値に影響を与える程には
溶血することなく、全血から血球と血漿や血清を特異的
に分離するものである。この微多孔性膜は孔径がガラス
繊維濾紙の保留粒子径より小さくかつ0.2μm以上、
好ましくは0.3〜5μm程度、より好ましくは0.5
〜3μm程度のものが適当である。また、空隙率は高い
ものが好ましく、具体的には、空隙率が約40%から約
95%、好ましくは約50%から約95%、さらに好ま
しくは約70%から約95%の範囲のものが適当であ
る。微多孔性膜の例としてはポリスルホン膜、弗素含有
ポリマー膜等がある。
【0012】弗素含有ポリマーの微多孔性膜としては、
特表昭63−501594号公報(WO 87/022
67)に記載のポリテトラフルオロエチレンのフィブリ
ル(微細繊維)からなる微多孔性のマトリックス膜(微
多孔性層)、Gore−Tex(W.L.Gore an
d Associates社製)、Zitex(Nor
ton社製)、ポアフロン(住友電工社製)などがあ
る。その他に、US 3268872(実施例3及び
4)、US 3260413(実施例3及び4)、特開昭
53−92195(US 4201548)等に記載のポ
リテトラフルオロエチレンの微多孔性膜、US 364
9505に記載のポリビニリデンフルオリドの微多孔性
膜などがある。
【0013】これらの弗素含有ポリマーの微多孔性膜の
作成に当たっては、1種もしくは2種以上の弗素含有ポ
リマーを混合しても良いし、弗素を含まない1種もしく
は2種以上のポリマーや繊維と混合し、製膜したもので
あつても良い。
【0014】構造としては、延伸しないもの、1軸延伸
したもの、2軸延伸したもの、1層構成の非ラミネート
タイプ、2層構成のラミネートタイプ、例えば繊維等の
他の膜構造物にラミネートした膜等がある。
【0015】フイブリル構造又は一軸延伸もしくは二軸
延伸した非ラミネートタイプの微多孔性膜は、延伸によ
り、空隙率が大きくかつ濾過長の短い微多孔膜が作られ
る。濾過長が短い微多孔膜では、血液中の有形成分(主
として赤血球)による目詰りが生じがたく、かつ血球と
血漿の分離に要する時間が短いので、定量分析精度が高
くなるという特徴がある。
【0016】弗素含有ポリマーの微多孔性膜は特開昭5
7−66359号公報(US 4783315)に記載の
物理的活性化処理(好ましくはグロー放電処理又はコロ
ナ放電処理)を微多孔膜層の少なくとも片面に施すこと
により微多孔性膜の表面を親水化して、隣接する微多孔
性膜との部分接着に用いられる接着剤の接着力を強化す
ることができる。
【0017】弗素含有ポリマーの微多孔性膜は、そのま
までは、表面張力が低く乾式分析要素の血球濾過層とし
て用いようとしても、水性液体試料ははじかれてしまっ
て、膜の表面や内部に拡散、浸透しないことは、周知の
事実である。本発明では、第1の手段として弗素含有ポ
リマーの微多孔性膜に親水性を付与し親水性を高める手
段として、弗素含有ポリマーの微多孔性膜の外部表面及
び内部の空隙の表面を実質的に親水化するに充分な量の
界面活性剤を弗素含有ポリマーの微多孔性膜に含浸させ
ることにより、前記の水性液体試料がはじかれる問題点
を解決した。
【0018】水性液体試料がはじかれることなく膜の表
面や内部に拡散、浸透、移送されるに充分な親水性を弗
素含有ポリマーの微多孔性膜に付与するには、一般に、
弗素含有ポリマーの微多孔性膜の空隙体積の約0.01
%から約10%、好ましくは約0.1%から約5.0
%、更に好ましくは0.1%から1%の界面活性剤で微
多孔性膜の空隙の表面が被覆されることが必要である。
例えば、厚さが50μmの弗素含有ポリマーの微多孔性
膜の場合に、含浸される界面活性剤の量は、一般に0.
05g/m2から2.5g/m2の範囲であることが好ま
しい。弗素含有ポリマーの微多孔性膜に界面活性剤を含
浸させる方法としては、界面活性剤の低沸点(沸点約5
0℃から約120℃の範囲が好ましい)の有機溶媒
(例、アルコール、エステル、ケトン)溶液に弗素含有
ポリマーの微多孔性膜を浸漬し、溶液を微多孔性膜の内
部空隙に実質的に充分に行きわたらせた後、微多孔性膜
を溶液から静かに引き上げ、風(温風が好ましい)を送り
乾燥させる方法が一般的である。
【0019】弗素含有ポリマーの微多孔性膜を親水性化
処理に用いられる界面活性剤としては、非イオン性(ノ
ニオン性)、陰イオン性(アニオン性)、陽イオン性
(カチオン性)、両性いずれの界面活性剤をも用いるこ
とができる。
【0020】これらの界面活性剤のうちでは、ノニオン
性界面活性剤が、赤血球を溶血させる作用が比較的低い
ので、全血を検体とするための多層分析要素においては
有利である。ノニオン性界面活性剤としては、アルキル
フェノキシポリエトキシエタノール、アルキルポリエー
テルアルコール、ポリエチレングリコールモノエステ
ル、ポリエチレングリコールジエステル、高級アルコー
ルエチレンオキシド付加物(縮合物)、多価アルコール
エステルエチレンオキシド付加物(縮合物)、高級脂肪
酸アルカノールアミドなどがある。
【0021】ノニオン性界面活性剤の具体例として、次
のものがある。アルキルフェノキシポリエトキシエタノ
ールとしては、 イソオクチルフェノキシポリエトキシエタノール:(T
riton X−100:オキシエチレン単位平均9〜
10含有) (Triton X−45:オキシエチレン単位平均5
含有) ノニルフェノキシポリエトキシエタノール:(IGEP
AL CO−630:オキシエチレン単位平均9含有) (IGEPAL CO−710:オキシエチレン単位平均
10〜11含有) (LENEX698:オキシエチレン単位平均9含有)
【0022】アルキルポリエーテルアルコールとして
は、 高級アルコール ポリオキシエチレンエーテル:(Tr
iton X−67:CA Registry No.5
9030−15−8)
【0023】弗素含有ポリマーの微多孔性膜は、その多
孔性空間に水不溶化した1種又は2種以上の水溶性高分
子を設けることによって親水化したものであってもよ
い。水溶性高分子の例として、酸素を含む炭化水素には
ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリ
エチレングリコール、メチルセルロース、エチルセルロ
ース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルセルロース、窒素を含むものにはポリアクリルアミ
ド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアミン、ポリエ
チレンイミン、負電荷を有するものとしてポリアクリル
酸、ポリメタアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸など
をあげることが出来る。不溶化は熱処理、アセタール化
処理、エステル化処理、重クロム酸カリによる化学反
応、電離性放射線による架橋反応等によって行えばよ
い。詳細は、特公昭56−2094号公報及び特公昭5
6−16187号公報に開示されている。
【0024】ポリスルホンの微多孔性膜は、ポリスルホ
ンをジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルム
アミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロ
リドンあるいはこれらの混合溶媒等に溶解して製膜原液
を作製し、これを支持体上に、又は直接凝固液中に流延
し洗浄、乾燥して行うことにより製造することができ
る。詳細は特開昭62−27006号公報に開示されて
いる。ポリスルホンの微多孔性膜は、そのほか特開昭5
6−12640号公報、特開昭56−86941号公
報、特開昭56−154051号公報等のも開示されて
おり、それらも使用することができる。ポリスルホンの
微多孔性膜も弗素含有ポリマーと同様界面活性剤を含有
させ、あるいは水不溶化した水溶性高分子を設けること
によって親水化することができる。
【0025】その他の非繊維微多孔性膜としては、特公
昭53−21677号、米国特許1,421,341号等
に記載されたセルロースエステル類、例えば、セルロー
スアセテート、セルロースアセテート/ブチレート、硝
酸セルロースからなるブラッシュポリマー膜が好まし
い。6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド、
ポリエチレン、ポリプロピレン等の微多孔性膜でもよ
い。その他、特公昭53−21677号、特開昭55−
90859号等に記載された、ポリマー小粒子、ガラス
粒子、けい藻土等が親水性または非吸水性ポリマーで結
合された連続空隙をもつ多孔性膜も利用できる。
【0026】非繊維微多孔性膜の有効孔径は0.2〜1
0μm、好ましくは0.3〜5μm、特に有効なのは
0.5〜3μmである。本発明で非繊維微多孔性膜の有
効孔径は、ASTM F316−70に準拠した限界泡
圧法(バブルポイント法)により測定した孔径で示す。
非繊維微多孔性膜が相分離法により作られたいわゆるブ
ラッシュ・ポリマーから成るメンブランフィルターであ
る場合、厚さ方向の液体通過経路は、膜の製造の際の自
由表面側(即ち光沢面)で最も狭くなっているのが普通
で、液体通過経路の断面を円に近似したときの孔径は、
自由表面の近くで最も小さくなっている。容積の通過経
路における厚さ方向に関する最小孔径は、さらにフィル
ターの面方向について分布を持っており、その最大値が
粒子に対する濾過性能を決定する。通常、それは限界泡
圧法で測定される。
【0027】上に述べたように、相分離法により作られ
たいわゆるブラッシュ・ポリマーから成るメンブランフ
ィルターでは、厚さ方向の液体通過経路は膜の製造の際
の自由表面側(即ち光沢面)で最も狭くなっている。本
発明の分析素子の非繊維微多孔性膜としてこの種の膜を
用いる場合には、出口側を、メンブランフィルターの光
沢面とすることが好ましい。
【0028】本発明で使用される血液濾過材料には、ガ
ラス繊維濾紙と微多孔性膜に加えて第3の濾過材料を追
加することができる。この第3の濾過材料の例として
は、濾紙、不織布、織物生地(例えば平織生地)、編物
生地(例えば、トリコット編)等、繊維質多孔性層を挙
げることができる。これらのうち織物、編物等が好まし
い。織物等は特開昭57−66359号に記載されたよ
うなグロー放電処理をしてもよい。この第3の濾過材料
はガラス繊維濾紙と微多孔性膜の中間に配置することが
好ましい。
【0029】好ましい微多孔性膜はポリスルホン膜、酢
酸セルローズ膜等であり、特に好ましいのはポリスルホ
ン膜である。本発明の血液濾過材料においてはガラス繊
維濾紙が血液供給側に配置され、微多孔性膜が吸引側に
配置される。最も好ましい血液濾過材料は血液供給側か
らガラス繊維濾紙、ポリスルホン膜をこの順に積層した
積層体である。
【0030】本発明の濾過材料では、その表面のみで血
球をトラップする訳ではなく、ガラス繊維濾紙の厚さ方
向に浸透するに従って、初めは大きな血球成分、後には
小さな血球成分と徐々に空隙構造にからめ、厚さ方向に
全長にわたって血球を留め除去していく、いわゆる体積
濾過作用によるものと理解される。
【0031】本方式により濾過し得る全血の量は、ガラ
ス繊維濾紙中に存在する空間体積と全血中の血球の体積
に大きく影響される。ガラス繊維濾紙の密度が高い(粒
子保持孔径が小さい)と赤血球がガラス繊維濾紙の表面
近傍にトラップされるので、表面からごく浅い領域でガ
ラス繊維濾紙中の空間が閉塞状態になってしまうことが
多い。従って、それ以上の濾過が進まず、結果として濾
過、回収し得る血漿量も少なくなる。この際、回収血漿
量を増やそうとして更に強い条件で吸引すると、血球の
破壊、すなわち溶血が起きてしまう。つまり表面濾過に
近いプロセスとなり、濾紙の空間体積利用効率は低い。
【0032】これに対し、ガラス繊維濾紙の密度を低く
すると、血球は濾紙の深部(出口に近い領域)まで浸透
していき血漿が通過できる空間が増すので、濾紙全体の
空間体積が有効に利用され、回収される血漿の量も多く
なる。
【0033】空間体積あるいは血漿濾過量に対応する指
標として、透水速度が有効である。透水速度は、入口と
出口をチューブに接続できるように絞った濾過ユニット
中に一定面積のガラス繊維濾紙を密閉保持し、一定量の
水を加えて一定圧力で加圧または減圧したときの、単位
面積あたりの濾過量を速度で表したものであり、ml/
sec等の単位を持つ。
【0034】具体例としては、濾過ユニット中に直径2
0mmのガラス繊維濾紙をセットし、その上に100m
lの注射筒をたてて60mlの水を入れて自然流下さ
せ、開始後10秒と40秒の間の30秒間にガラス濾紙
中を通り抜けた水の量をもって透水量とし、これから単
位面積あたりの透水速度を算出する。
【0035】血漿の濾過に特に適しているのは透水速度
が1.0〜1.3ml/sec程度のもので、例えば、
ワットマン社GF/D、東洋濾紙GA−100、同GA
−200等がある。さらに、市販のガラス繊維濾紙を熱
水中で再分散してナイロンネット上で再抄紙して低密度
濾紙(密度約0.03)を作製することもでき、これは
良好な血漿濾過特性を示す。
【0036】ガラス繊維濾紙の厚さは、回収すべき血漿
量とガラス繊維濾紙の密度(空隙率)及び面積から定め
られる。分析を乾式分析素子を用いて複数項目行なう場
合の血漿の必要量は100〜500μlであり、ガラス
繊維濾紙の密度が0.05〜0.2程度、面積が1〜5
cm2程度が実用的である。この場合ガラス繊維濾紙の
厚さは1〜10mm程度、好ましくは2〜8mm程度、
より好ましくは4〜6mm程度である。このガラス繊維
濾紙は複数枚、例えば2〜10枚程度、好ましくは2〜
6枚程度を積層して上記厚さとすることができる。
【0037】微多孔性膜の厚さは0.05〜0.3mm
程度、特に0.1〜0.2mm程度でよく、通常は1枚
の微多孔性膜を用いればよい。しかしながら、必要によ
り複数枚を用いることもできる。
【0038】血液濾過材料は通常はホルダーに入れて使
用される。このホルダーには血液入口と濾過液出口が設
けられ、一般に血液濾過材料を収容する本体と、蓋体に
分けた態様で作製される。通常は、いずれにも少なくと
も1個の開口が設けられていて、一方は血液供給口とし
て、場合により更に加圧口として、他方は吸引口とし
て、場合により更に濾過された血漿または血清の排出口
として使用される。濾過された血漿または血清の排出口
を別に設けることもできる。ホルダーが四角形で蓋体を
側面に設けた場合には血液供給口と吸引口の両方を本体
に設けることができる。
【0039】血液濾過材料収納部の容積は、収納すべき
ろ過材料の乾燥状態および検体(全血)を吸収し膨潤し
た時の総体積より大きい必要がある。ろ過材料の総体積
に対して収納部の容積が小さいと、ろ過が効率良く進行
しなかったり、溶血を起こしたりする。収納部の容積の
ろ過材料の乾燥時の総体積に対する比率はろ過材料の膨
潤の程度にもよるが、通常101%〜300%、好まし
くは110%〜200%、更に好ましくは120%〜1
50%である。
【0040】また、ろ過材料と収納部の壁面との間は密
着していることが必要であり、全血を吸引した時にろ過
材料を経由しない流路が出来ないように構成されている
必要があることは勿論である。
【0041】濾過ユニットは、上記本体に蓋体が取付け
られると、これらの血液供給口と吸引口を除いて全体が
密閉構造になる。
【0042】ホルダーの材料はプラスチックが好まし
い。例えば、メタアクリル酸エステル、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリカーボ
ネート等の透明あるいは不透明の樹脂が用いられる。
【0043】上記本体と蓋体の取付方法は、接着剤を用
いた接合、融着等如何なる手段によってもよい。この
際、上記本体と蓋体のいずれの周縁が内側に位置しても
よく、あるいは突き合わせ状態であってもよい。また、
上記本体と蓋体をネジ様の手段で組立分解ができる構造
とすることもできる。
【0044】血液濾過材料の形状に特に制限はないが、
製造が容易なように、円形とすることが望ましい。この
際、円の直径をホルダー本体の内径よりやや大きめと
し、濾過材料の側面から血漿が漏れることを防ぐことが
できる。一方、四角形にすれば作製した血液濾過材料の
切断ロスがなくなるので好ましい。
【0045】本発明の血液濾過方法は、該ホルダーのガ
ラス繊維濾紙側の開口に血液を供給し、反対側の開口か
ら吸引して濾液である血漿または血清を採取する。血液
の供給量は血液濾過材料の体積の1.2〜5倍程度、好
ましくは2〜4倍程度が適当である。濾過に際しては血
液供給口側からの加圧をさらに行うことができる。この
吸引と加圧手段はいずれもシリンジを利用する方法が簡
便である。シリンジのピストンを移動させる距離はピス
トンの移動体積が濾過材料の体積の2〜5倍程度になる
ようにするのがよい。溶血は濾過速度にも依存するの
で、移動速度は1cm2当り5〜100ml/min程
度、好ましくは10〜50ml/min程度が適当であ
る。
【0046】本発明の血液濾過方法は、この濾過の途中
で一旦吸引を減速あるいは停止するところに特徴があ
る。この減速あるいは停止を行なう時期は溶血がはじま
る前であるが、この溶血の開始時期は濾過速度、ガラス
繊維濾過に蓄積された血球量(ガラス繊維濾紙の空隙体
積に対する割合)、等によって異なる。一般的には、吸
引した血液が濾過材料の吸引体積の50%以上、好まし
くは80%以上を満たした時に減速あるいは停止する。
更に、必要に応じて吸引を再度行っても良い。吸引の減
速は血球が自己の復元力で形状を回復できる程度まで行
なう必要があり、シリンジの移動速度では1cm2当り
100ml/min以下、好ましくは50ml/min
以下にする。減速又は停止を行なっている時間は1〜5
0秒程度、好ましくは1〜30秒程度でよい。この減速
または停止を行なった後は必要に応じて吸引を再開して
も良いが、操作上は再吸引を行わない方が好ましい。減
速、吸引操作は1回に限定されるものではなく必要によ
り複数回行なうことができる。
【0047】濾過で得た血漿や血清は常法に従って分析
が行なわれるが、本発明の濾過方法は特に乾式分析素子
を用いて複数項目を分析する場合に有効である。
【0048】
【実施例】
[実施例1] (1) 血液濾過ユニットの作製 図1〜6に示す血液濾過ユニットを使用した。この濾過
ユニットは組み立てた状態の縦断面図である図1に示す
ようにホルダー本体10と蓋体20からなっている。
【0049】ホルダー本体10は全体が小径部を大径部
からなる2段の円筒形状をしており、上部が血漿受槽1
2と吸引側への接続部に、下部が血液濾過材料30の収
容室11になっている。収容室11を形成する下部の内
径は19.5mmであり、深さは10mmである。その
うち3mmの高さで蓋体上部が挿入されるので収容室1
1の高さは7mmになる。ホルダー本体10の下端は蓋
体20と接続するためのフランジ13が外方に形成され
ている。また、収容室11の天面の図1の左端やや内方
寄りには血漿通路14の入口が設けられ、天面は該入口
に向かって傾斜する浅い逆ロート状に形成されている。
天面周縁部と血漿入口の間の高低差は1mmである。図
3に示すように天面には、血液濾過材料の密着を阻止す
る12個の突起15が略等間隔に形成されている。各突
起15は短柱状で上端が同一平面に位置する高さに切り
揃えられ、各上端周縁は斜めに削取されている。
【0050】血漿通路14の出口上部は半分に庇16が
設けられこの庇の下面が円弧状に形成されていて流出す
る血漿の上方への噴出を阻止している。血漿受槽12は
円筒状のホルダー本体1に2枚の側壁17を血漿通路出
口をはさんで平行に設けて少量の血漿でも充分な液深が
得られるようにしている。ホルダー本体10の上端は開
放されており、これがアナライザー(図示されていな
い。)に接続されて吸引口18となる。吸引口18の周
縁部は接続後の液密性を確実なものにするため丸められ
ている。
【0051】蓋体20は中央の浅いロート状円板部21
とその外周に形成された短管22とその下端外周に外方
に向かって形成されたフランジ23と円板部21の中心
から下方に延出するノズル状血液供給口24からなって
いる。円板部21の直径は17mm、そのロート状部上
下の高低差1mm、短管部22の高さは4.5mm、フ
ランジ23の外径が28mmである。円板部21の短管
部22への接続位置を短管部22の上縁より1mm下と
してその上部の突縁を血液濾過材料3の下面を蓋体のロ
ート状円板部21上面から隔離させて空間25を形成す
るスペーサー26として機能させている。フランジ23
の上面すなわちホルダー本体10のフランジ13と合わ
さる面にはリブ27が形成されている。このリブ27は
上下のフランジ13、23を超音波で融着接合する際に
超音波エネルギーを集め接着部の液密性を充分確保でき
るようにしたものである。
【0052】上記の血液濾過材料収容室11に直径1
9.7mmの円板状に打ち抜いたガラス繊維濾紙(ワッ
トマンGF/0)6枚を重ねて収納した。約80gの力
で濾紙を収容室11の底に圧入した。更にその上にポリ
スルホン製多孔質膜(富士写真フイルム製)をのせた。
各濾過膜は相互に軽く接触している程度でよい。
【0053】この血液濾過ユニットに小型ペリスタルポ
ンプを接続した。
【0054】(2) 採血および血液試料の調製 男子健常者から血液を採取し、ヘパリンを添加後プラス
チック製サンプルチューブに2mlを分注した。その1
部を取ってヘマトクリット(Hct)を測ったところ4
5%であった。
【0055】同じ血液を遠心分離し、血球成分と血漿成
分とを再混合してHctの異なる全血を再構成し、Hc
tが20,30,40,50,55,60%の血液試料
を調製した。
【0056】(3) 血液の濾過 上記(1)にて組み立てた濾過ユニットの血液吸入口に長
さ4cmのシリコーンチューブを接続し、その先端を上
記(2)で調製した血液試料の入ったサンプルチューブに
挿入し、ほぼ垂直に固定した。
【0057】ペリスタルポンプの吸気速度を2.8ml
/secに設定し、10秒間づつ2回吸引した。1回目
と2回目の吸引の間隔は約1秒間で行った。血漿が分離
され血漿貯溜槽中に溜まった。
【0058】(4) 血漿の回収及び成分濃度の測定 吸気のためのジョイントをはずし、血漿貯溜槽中の血漿
をピペットでサンプルカップに測り取った。成分濃度を
日立7150血液自動測定機および富士ドライケム55
00測定機にて測定した。
【0059】(5) 結果 回収血漿量 全血のヘマトクリットと回収血漿量の関係は図7の通り
であった。低ヘマトクリット領域(20〜30%)では回
収血漿量が多く、高ヘマトクリット領域(50〜60
%)では少ないがいずれの場合も溶血のない、良好な血
漿が得られた。
【0060】 図8,9には日立およびFDCでの測
定結果をまとめた。各Hctレベルの測定値を項目ごと
にHct無調整検体(45%)の値を100%として相
対値で示した。図中の点線は参考の為に100±5%の
範囲を示した。大部分の項目については日立、FDCと
もにHct20〜60%の範囲で100±5%の範囲に
入っており、本発明方法によって得られる血漿中の成分
濃度がHctによって影響を受けていないことを示して
いる。
【0061】[比較例1]ヘマトクリットが50%の血液
を用いて吸引時間を20秒間連続とし、それ以外の条件
は実施例1と同じに設定して実施例1と同様の実験を行
った。
【0062】回収血漿量は280μlであった。
【0063】血漿は淡いピンク色であり少量の溶血が生
じたことを示していた。
【0064】溶血に比例し増加するLDH、Kの測定値
を日立7150およびFDC800で測定したところそ
れぞれ196IU/Lおよび4.7meqであった。
【0065】一方、同じ血液を遠心分離して、同様に測
定したところLDHが174IU/L、Kは4.1me
qであり、溶血の影響が成分濃度の差として測定され
た。
【0066】[実施例2]実施例1と同様の実験におい
て、吸引時間を10秒に固定し、吸引終了後ただちに減
圧状態を解除せずにそのまま放置した場合の回収血漿量
がどのように増加するかシリンダー方式(C−2)、ペリ
スタル方式(P−3)2種類のポンプを用いて調べた。
検体としてはヘマトクリット54%のヘパリン添加全血
を用いた。
【0067】減圧の程度(大気圧との差)をmmHgで
測定した。結果を表1と表2に示すように、放置時の減
圧度は最高減圧度の1/2〜3/4程度であった。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】放置時間と回収血漿量の関係を図10に示
した。放置時間が20秒までは回収血漿量が確実に増加
した。回収血漿は溶血がなく、表3に示すように、K値
の顕著な増加も見られなかった。
【0071】
【表3】
【0072】
【発明の効果】本発明の血液濾過方法により、被検血液
のヘマトクリット値によらず、溶血を起こすことなく濾
過して検査必要量の血漿や血清を取得することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例で使用した血液濾過ユニット
を組み立てた状態の縦断面図である。
【図2】 同上平面図である。
【図3】 上記血液濾過ユニットのホルダー本体の底面
図である。
【図4】 突起の形状を示す拡大部分断面図である。
【図5】 図1と直角に切断して血漿通路側を見たホル
ダー本体上部の縦断面図である。
【図6】 蓋体のフランジ部分の形状を示す拡大部分断
面図である。
【図7】 本発明の実施例で得られたヘマトクリット値
と回収血漿量の関係を示すグラフである。
【図8】 本発明の実施例で得られた血漿を用いて各種
の分析項目を測定し、遠心法で得られた血漿の測定値と
の比較を示す棒グラフである。
【図9】 上記の結果を各ヘマトクリット値ごとに示し
たグラフである。
【図10】 吸引後の放置時間と回収血漿量の関係を示
すグラフである。
【符号の説明】
10…ホルダー本体 11…血液濾過材料収容室 12…血漿受槽 13…フランジ 14…血漿通路 15…突起(密着阻止手段) 16…庇 17…側壁 18…吸引口 20…蓋体 21…円板部 22…短管部 23…フランジ 24…血液供給口 25…空間 26…スペーサー 27…リブ 30…血液濾過材料

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともガラス繊維濾紙と微多孔性膜
    が積層されている血液濾過材料を用いて血液を吸引濾過
    するに際し、濾過の途中で一旦吸引を減速あるいは停止
    し、その後吸引を再開することを特徴とする血液濾過方
  2. 【請求項2】 少なくともガラス繊維濾紙と微多孔性膜
    が積層されている血液濾過材料を用いて血液を吸引濾過
    するに際し、吸引後減圧状態を保ったまま濾過を進行さ
    せ、その後吸引を再開することなく気密を解除し濾過を
    停止させることを特徴とする血液濾過方法
JP33336296A 1996-12-13 1996-12-13 血液濾過方法 Pending JPH10170508A (ja)

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