JPH10162308A - 磁気ヘッド - Google Patents

磁気ヘッド

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JPH10162308A
JPH10162308A JP8319770A JP31977096A JPH10162308A JP H10162308 A JPH10162308 A JP H10162308A JP 8319770 A JP8319770 A JP 8319770A JP 31977096 A JP31977096 A JP 31977096A JP H10162308 A JPH10162308 A JP H10162308A
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JP
Japan
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magnetic
ferrite
thermal expansion
crystal
mol
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JP8319770A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Yamagami
浩 山上
Kazuichi Endo
一一 遠藤
Kazuhiro Kaneko
和浩 金子
Masahiro Iizuka
雅博 飯塚
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Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
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Publication date
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    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/127Structure or manufacture of heads, e.g. inductive
    • G11B5/187Structure or manufacture of the surface of the head in physical contact with, or immediately adjacent to the recording medium; Pole pieces; Gap features
    • G11B5/1875"Composite" pole pieces, i.e. poles composed in some parts of magnetic particles and in some other parts of magnetic metal layers
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    • GPHYSICS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属磁性膜として使用されてきたセンダスト
などの軟磁性材料に代わって、磁気特性に優れた特開平
7―85411号に記載された軟磁性材料を使用する
と、この軟磁性材料の平均熱膨張係数が高いために、ギ
ャップ対向部分に加わる応力が大きくなり、高周波の記
録ではヘッド出力が低下する。 【解決手段】 フェライト中のZnO量を従来よりも低
くしてフェライトの平均熱膨張係数を大きくする。よっ
てフェライトの平均熱膨張係数と軟磁性材料の平均熱膨
張係数との差は小さくなる。さらにフェライト中のFe
23量を適切に調節して、結晶磁気異方性エネルギーK
1の絶対値と飽和磁歪λSの絶対値を小さくする。よって
見かけの磁気異方性エネルギーの絶対値は小さくなり、
磁気異方性は弱まる。高周波数領域では磁気異方性を弱
めることで、透磁率およびヘッド出力を高くすることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェライト製コア
のギャップ対向部に金属磁性膜が形成されたMIG(Me
tal In Gap)構造の磁気ヘッドに係り、特に従来に比べ
て磁気特性に優れた軟磁性材料により前記金属磁性膜が
形成された場合に有効な磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】図1は磁気ヘッドの斜視図で、図2は磁
気ヘッドを記録媒体との摺動面側から見た拡大平面図で
ある。図に示す符号1は、Fe23,MnO,ZnOか
ら成る単結晶フェライトまたは単結晶フェライトと多結
晶フェライトとの接合材料により形成されたコアであ
り、前記コア1,1には対向面1a,1aと、前記対向
面1a,1aに対して傾斜する傾斜面(トラック幅規制
面)1b,1bとが形成されている。前記対向面1a,
1aと傾斜面(トラック幅規制面)1b,1bには、F
e―Ta―N系合金やFe―Al―Si系合金(センダ
スト)など高磁束飽和密度の金属磁性膜2が被覆形成さ
れ、前記対向面1a,1aに被覆形成された金属磁性膜
2どうしが非磁性材料を介して接合され、接合部が磁気
ギャップGとなっている。なお、Twはトラック幅であ
る。
【0003】符号3は、対向面1a,1aに被覆形成さ
れた金属磁性膜2,2間を接合するための接合ガラスで
あり、前記接合ガラス3は傾斜面(トラック幅規制面)
1b,1bにおいても、コアに被覆形成された金属磁性
膜2の表面に充填されている。なお、符号4は記録用ま
たは再生用のコイルである。なお、図2では、磁気ギャ
ップGのアジマス角度が0度となっているが、実際の磁
気ヘッドでは、磁気ギャップGが磁路方向に対して時計
方向または反時計方向のアジマス角度を有している。図
1に示す磁気ヘッドは、ギャップ対向面を結晶面での
(100)面、テープ摺動面を(110)面としたいわ
ゆるβ方位である。また、磁路方向に沿う結晶軸の方向
は〈100〉方向である。
【0004】図3は、Fe23,MnO,ZnOから成
るフェライト材料の組成比を示す三元図である。図中の
(a)内は、従来の磁気ヘッドにおいて一般的に使用さ
れていたフェライト材料の組成比を示しており、(Fe
23:MnO:ZnO)=(53〜55mol%:26
〜31mol%:16〜19mol%)である。フェラ
イトを構成する3つの化合物のうちZnOのmol%
は、結晶軸の磁歪やフェライト材料の平均熱膨張係数α
ferriteを決定するのに強く影響している。ZnOが1
6mol%から19mol%の範囲内であれば、〈10
0〉方向の磁歪λ<100>の絶対値と〈111〉方向の磁
歪λ<111>はともに0に近い値となり、またフェライト
の平均熱膨張係数αferriteは100℃から300℃間
で115(10-7/℃)前後となる。
【0005】従来、ZnOを16mol%から19mo
l%とした理由は、1つには<100>方向の磁歪λ<1
00>の絶対値および〈111〉方向の磁歪λ<111>を小さ
くできるためであり、もう1つはフェライトの平均熱膨
張係数αferriteを、金属磁性膜2を形成するセンダス
トなどの軟磁性材料の平均熱膨張係数とほぼ同じ程度に
することができるためであった。フェライトの平均熱膨
張係数αferriteと前記軟磁性材料の平均熱膨張係数と
の差が小さくなることにより、ギャップG付近にてコア
1,1の磁路方向(〈100〉方向)に加わる応力σto
talの絶対値は小さくなる。
【0006】一方、フェライト中のFe23のmol%
は、結晶磁気異方性エネルギーK1とフェライト材料全
体としての飽和磁歪λSを決定するのに強く影響してい
る。Fe23が53mol%から55mol%の範囲内
であれば、結晶磁気異方性エネルギーK1の絶対値およ
び飽和磁歪λSの絶対値はともに小さくなる。結晶軸の
磁気異方性は、フェライト単体であれば結晶磁気異方性
エネルギーK1のみで決定される。しかし、図1に示す
磁気ヘッドでは、加工歪みや金属磁性膜2を構成する軟
磁性材料とフェライトとの熱膨張係数との差により、ギ
ャップG付近にてコア1,1の磁路方向(〈100〉方
向)に加わる応力σtotalが大きくなる。よって、前記
応力σtotalと飽和磁歪λSとの積に比例する磁気弾性エ
ネルギーが磁気異方性に影響を与えるものとなる。した
がって、図1の磁気ヘッドにおける磁路方向の結晶軸
〈100〉の磁気異方性は、結晶磁気異方性エネルギー
K1から磁気弾性エネルギーを引いた見かけの磁気異方
性エネルギーによって決定されると推測される。
【0007】すなわち、見かけの磁気異方性エネルギー
(Ea)=(結晶磁気異方性エネルギーK1)−(磁気
弾性エネルギー3/2・σtotal・λS)である。 (σtotal:応力、λS:飽和磁歪) この見かけの磁気異方性エネルギーEaは、Ea>0で
あれば、結晶軸〈100〉が磁化容易軸に、Ea<0で
あれば結晶軸〈100〉が磁化困難軸になり、Eaの絶
対値が0に近くなるほど、磁気異方性が弱まる。
【0008】従来の磁気ヘッドでは、前記見かけの磁気
異方性エネルギーの絶対値をできるだけ小さくして、つ
まり等方性にすることで、前記見かけの磁気異方性エネ
ルギーと反比例の関係にある透磁率を高くできるよう
に、結晶磁気異方性エネルギーK1の絶対値および方向
性磁歪λ<100>、λ<111>の絶対値をそれぞれ小さくし、
且つ飽和磁歪λSの絶対値を小さくして、さらに応力σt
otalの絶対値もフェライトの平均熱膨張係数αferrite
をセンダストなどの軟磁性材料の平均熱膨張係数とほぼ
同じ程度にすることで小さくしていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来から金属
磁性膜2として使用されていたFe―Ta―N系合金や
Fe―Al―Si系合金(センダスト)などの軟磁性材
料は、磁気特性で劣る点がある。Fe―Ta―N系合金
は、錆び付きやすく耐食性に優れていない。またFe―
Ai―Si系合金(センダスト)は飽和磁束密度が低
く、ヘッド出力の低下を招く恐れがある。
【0010】そこで本発明者は、従来の軟磁性材料より
も磁気特性に優れた軟磁性材料として特開平7―854
11号に記載されたもの、すなわち金属の炭化物または
窒化物の結晶を含有する鉄系微結晶材料を金属磁性膜2
とし、コア1を前記従来の組成のフェライトで形成した
磁気ヘッドを製作し、ヘッド出力を確認した。前記鉄系
微結晶膜は飽和磁束密度が高く、且つ透磁率が高いため
に、本来は磁気記録及び再生に関して高い出力を得られ
るはずである。しかし、実際に数MHzから数10MH
z程度の高い周波数による磁気記録及び再生を行ったと
ころ、ヘッド出力が低下することが確認された。
【0011】これは、特開平7―85411号に記載さ
れた鉄系微結晶材料の熱膨張係数が、従来の金属磁性膜
の熱膨張係数に比べて高くなっていることから、フェラ
イトの平均熱膨張係数αferriteと前記軟磁性材料(鉄
系微結晶材料)との平均熱膨張係数との差が大きくなる
ことに起因しているものと予測される。つまりギャップ
G付近にてコア1,1の磁路方向(〈100〉方向)に
加わる応力σtotalが大きくなり、その結果見かけの磁
気異方性エネルギーEaの絶対値が大きくなり、前記見
かけの磁気異方性エネルギーEaと反比例の関係にある
透磁率が低下することが原因であると推測される。
【0012】本発明は上記従来の課題を解決するための
ものであり、金属磁性膜として磁気特性に優れ、且つ従
来に比べて平均熱膨張係数の高い軟磁性材料を使用して
もなお、高周波の交番磁界に対し、磁路方向への透磁率
を高め、出力を向上できるようにした磁気ヘッドを提供
することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくともギ
ャップ対向部分が単結晶フェライトで形成された一対の
コアの前記ギャップ対向部分に軟磁性材料製の金属磁性
膜が形成され、且つ前記ギャップ対向部分にてコアを接
合するための接合材料が、前記コアの側部に充填されて
いる磁気ヘッドにおいて、前記単結晶フェライトは、F
23,MnO及びZnOで構成されており、その組成
比は(Fe23:ZnO)が(52〜54mol%:8
〜16mol%)で、MnOがその残量であることを特
徴としている。
【0014】このとき、単結晶フェライトの平均熱膨張
係数αferriteは、100℃から300℃間で120か
ら140(10-7/℃)であり、前記軟磁性材料の平均
熱膨張係数αmetalと前記フェライトの平均熱膨張係数
αferriteとの差が、100℃〜300℃間で、―10
≦(αmetal―αferrite)≦5であることが好ましい。
【0015】また、ギャップG対向部分に加わる磁路方
向への応力σtotalは絶対値で800(MPa)以下で
あることが好ましい。
【0016】前記金属磁性膜は、Fe(100-a-b-c-d)―
Xa―Mb―Zc―Tdで示される組成式から成り、XはS
iまたはAlのいずれかまたは両方、MはZr,Hf,
Nb,Taよりなる金属群から選択された少なくとも1
種類の金属、ZはC,Nのいずれかまたは両方、TはC
r,Ti,Re,Ru,Rh,Ni,Co,Pd,P
t,Auより選択された少なくとも1種類の金属を表
し、0.5≦a≦25(原子%),1≦b≦10(原子
%),0.5≦c≦15(原子%),0≦d≦10(原
子%)、残部はFeの原子%であり、金属群Mの炭化物
あるいは窒化物の結晶を含む軟磁性材料で形成されるも
のである。
【0017】または、前記金属磁性膜は、Fe(100-e-f
-b-c-d)―Sie―Alf―Mb―Zc―Tdで示される組成
式からなり、MはZr,Hf,Nb,Taよりなる金属
群から選択された少なくとも1種類の金属、ZはC,N
のいずれかまたは両方、TはCr,Ti,Re,Ru,
Rh,Ni,Co,Pd,Pt,Auより選択された少
なくとも1種類の金属を表し、8≦e≦15(原子
%),0.5≦f≦10(原子%),1≦b≦10(原
子%),0.5≦c≦15(原子%),0≦d≦10
(原子%)、残部はFeの原子%であり、金属群Mの炭
化物あるいは窒化物の結晶を含む軟磁性材料で形成され
るものである。
【0018】前述の軟磁性材料は以下に記載するいくつ
かの優れた磁気特性を有している。 飽和磁歪λSは1.5(10-6)程度と低くなる。 飽和磁束密度Bsは1.3(T)と高くなる。 1MHzにおける透磁率は8000と高くなる。 食塩水(0.9%)中に24時間浸漬した後の発錆、
変色状態に全く変化が見られない。
【0019】単結晶フェライトの結晶構造は立方晶であ
り、結晶軸の方向はすべて3本の結晶軸〈100〉と1
本の結晶軸〈111〉とで表わされることが知られてい
る。また磁気ヘッドのギャップ対向面及びテープ摺動面
をどのフェライト材料の結晶面で形成するかによって性
質の異なった磁気ヘッドを製作することができる。例え
ばギャップ対向面を結晶面での(100)面、テープ摺
動面を(110)面としたいわゆるβ方位で形成された
磁気ヘッドは、テープ摺動面での耐摩耗性に優れている
とされる。β方位の他にVHS方位や後述のB方位など
が一般的に知られている。
【0020】本発明が適する磁気ヘッドは、図1に示す
ような構造であり、ギャップ対向面が単結晶フェライト
の(100)面で、テープ摺動面が(110)面である
いわゆるβ方位や、ギャップ対向面が単結晶フェライト
の(211)面、テープ摺動面が(110)面であるい
わゆるB方位のように、交番磁界の主磁路L上に方向の
異なる2本の結晶軸〈100〉と〈111〉が存在し、
または主磁路Lに対し前記2本の結晶軸の影響があるも
のである。
【0021】ところで、数MHz以上あるいは10MH
z以上の高い周波数の交番磁界がコア内を通過すると
き、単結晶フェライトでは、磁壁の変化による透磁効果
よりも、磁化の方向が磁路方向と磁路方向に交叉する方
向との間で回転するいわゆる回転磁化(スピンローテー
ション)による透磁効果の方が支配的であると考えられ
る。すなわち時間的に変化する磁界が与えられたときの
フェライト内の磁界の変化としては、フェライト内の磁
壁が移動して磁界の方向へ磁化が向けられる現象と、磁
界の時間的変化に追従して磁化方向が回転する回転磁化
とがあるが、高い周波数の交番磁界の通過を容易にする
のは前記回転磁化によるものが磁壁の移動よりも支配的
になる。そして、この回転磁化による透磁率を高めるた
めには、磁路方向を等方的に限りなく近づけることが有
効であると考えられる。
【0022】また、磁気ヘッドでの磁気異方性は、結晶
磁気異方性エネルギーK1から応力σtotalと飽和磁歪λ
Sとの積に比例する磁気弾性エネルギーを引いた見かけ
の磁気異方性エネルギーの絶対値に依存すると推測され
る。
【0023】そこで本発明では、フェライトを構成する
3つの化合物のうちFe2O3の組成比に関しては、従来
とほぼ同程度の組成比にすることによって、前記結晶磁
気異方性エネルギーK1の絶対値と飽和磁歪λSの絶対値
とを共に小さくした。
【0024】さらにZnOの組成比に関しては、従来の
組成比(16〜19mol%程度)よりも低い8〜16
mol%の組成比とすることにより、フェライトの平均
熱膨張係数αferriteを大きくした。これにより、セン
ダストなどの平均熱膨張係数よりも大きい平均熱膨張係
数を有する上述した鉄系微結晶材料の軟磁性材料を金属
磁性膜として使用しても、前記金属磁性膜の平均熱膨張
係数とフェライトの平均熱膨張係数αferriteとの差を
小さくでき、よってギャップ対向部分に加わる応力を小
さくすることができる。
【0025】以上により、見かけの磁気異方性エネルギ
ーに関係する、結晶磁気異方性エネルギーK1の絶対値
が小さくなるのみならず、応力σtotalの絶対値および
飽和磁歪λSの絶対値が共に小さくなることにより磁気
弾性エネルギーが小さくなる。よって見かけの磁気異方
性エネルギーの絶対値は小さくなる。したがって、結晶
軸の磁気異方性は弱められ、高周波数領域において回転
磁化がかかりやすくなり、透磁率およびヘッド出力を高
くすることが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】図1は本発明の磁気ヘッドの斜視
図で、図2は本発明の磁気ヘッドを記録媒体との摺動面
側から見た拡大平面図である。図1及び図2に示す磁気
ヘッドのコア1,1は、Fe23,MnO,ZnOが所
定の組成比で混合されて焼結形成されたMn―Zn系の
単結晶フェライトで形成され、または単結晶フェライト
と多結晶フェライトとの接合材料により形成され少なく
ともギャップ対向部分が単結晶フェライトで形成されて
いる。
【0027】前記コア1,1の側端にはギャップ対向面
1a,1aおよび磁路方向に対して傾斜する傾斜面(ト
ラック幅規制面)1b,1bが形成されており、前記対
向面1a,1aおよび傾斜面(トラック幅規制面)1
b,1bに磁気特性に優れた鉄系微結晶の軟磁性材料の
金属磁性膜2が被覆形成されている。また、前記金属磁
性膜2はギャップ対向面1a,1aのみに被覆形成され
ていてもよい。本発明においては、金属磁性膜2として
以下の2種類のいずれかの軟磁性材料を使用する。
【0028】(1)Fe(100-a-b-c-d)―Xa―Mb―Zc
―Tdで示される組成式から成り、XはSiまたはAl
のいずれかまたは両方、MはZr,Hf,Nb,Taよ
りなる金属群から選択された少なくとも1種類の金属、
ZはC,Nのいずれかまたは両方、TはCr,Ti,R
e,Ru,Rh,Ni,Co,Pd,Pt,Auより選
択された少なくとも1種類の金属を表し、0.5≦a≦
25(原子%),1≦b≦10(原子%),0.5≦c
≦15(原子%),0≦d≦10(原子%)、残部はF
eの原子%であり、金属群Mの炭化物あるいは窒化物の
結晶を含んでいる。
【0029】(2)Fe(100-e-f-b-c-d)―Sie―Al
f―Mb―Zc―Tdで示される組成式からなり、MはZ
r,Hf,Nb,Taよりなる金属群から選択された少
なくとも1種類の金属、ZはC,Nのいずれかまたは両
方、TはCr,Ti,Re,Ru,Rh,Ni,Co,
Pd,Pt,Auより選択された少なくとも1種類の金
属を表し、8≦e≦15(原子%),0.5≦f≦10
(原子%),1≦b≦10(原子%),0.5≦c≦1
5(原子%),0≦d≦10(原子%)、残部はFeの
原子%であり、金属群Mの炭化物あるいは窒化物の結晶
を含んでいる。
【0030】上述した軟磁性材料において、Feは主成
分であり、磁性を担う元素である。前記金属群Mの炭化
物または窒化物からなる粒子はFeを主成分とする結晶
の成長、粗大化を抑制し、軟磁気特性の耐熱性を向上さ
せる効果がある。金属群Mの添加量は1mol%以上で
あることが好ましいが、10mol%を越えると飽和磁
束密度Bsが低下し好ましくない。CまたはNは前記金
属群Mと結合して、炭化物または窒化物を生成させるも
のである。添加量は0.5mol%以上であることが好
ましいが、15mol%を越えると飽和磁束密度Bsが
低下し好ましくない。
【0031】Alを添加することにより、耐環境性が
向上する、AlはFeの結晶に固溶し、比抵抗が大き
くなる、結晶粒の成長が遅くなり、且つ結晶磁気異方
性エネルギーが低下し、耐熱温度が上昇する。Alの添
加量は0.5mol%以上であることが好ましいが、2
5mol%以上になると、飽和磁歪λSが大きくなり過
ぎ、また飽和磁束密度Bsも低下するので好ましくな
い。
【0032】Siを添加することにより、Alの添加
により増加する飽和磁歪λSが低減される、スパッタ
の際に磁性膜が非晶質化し易くなる。よって磁性膜を非
晶質化し易くするために、従来、炭化物または窒化物を
多量に含有させていたが、炭化物または窒化物の含有量
を低減することができ、炭化物または窒化物による飽和
磁束密度Bsの低下を抑制することができる、Siは
Feの結晶に固溶し、比抵抗が大きくなる、結晶粒の
成長が遅くなり、且つ結晶磁気異方性エネルギーが低下
し、耐熱温度が上昇する。
【0033】Siの添加量は0.5mol%以上である
ことが好ましいが、25mol%以上になると、飽和磁
束密度Bsが低下するので好ましくない。また、Siと
Alを同時に複合添加すると飽和磁歪λSを0〜3.0
×10-6に抑えると同時に耐環境性も向上する。ただ
し、飽和磁歪λSをより低減させるには(Si/Al)
を3/2以上にすることが好ましい。上述した軟磁性材
料は、低磁歪高飽和磁束密度高透磁率耐食性な
どによる高信頼性、などの磁気特性を有している。
【0034】次に符号3は、ギャップ対向面1a,1a
に被覆形成された金属磁性膜2,2間またはコア間を接
合するための接合ガラスであり、前記接合ガラス3は、
傾斜面(トラック幅規制面)1b,1bに被覆形成され
た金属磁性膜2,2の表面に充填されている。傾斜面1
b,1bに金属磁性膜2が形成されない場合は、コア1
の表面に直接に接合ガラス3が充填される。なお、前記
接合部は磁気ギャップGとなっており、またTwはトラ
ック幅である。また、符号4は記録用または再生用のコ
イルである。
【0035】図1に示すMIG(Metal In Gap)構造の
磁気ヘッドは、DDSやVTR装置の回転ヘッド装置そ
の他の高密度磁気記録装置に装備され、メタルテープな
どの磁気記録媒体に対する記録および再生動作が行われ
る。本発明における磁気ヘッドは、ギャップ対向面1
a,1aが単結晶フェライトの結晶面での(100)
面、テープ摺動面が(110)面であり、いわゆるβ方
位となっている。また、摺動面近傍の磁路方向に沿う結
晶軸の方向は〈100〉方向である。β方位で形成され
た磁気ヘッドは、磁気テープ摺動面が耐摩耗性に優れて
おり、高い周波数の信号の記録に必要な記録媒体と磁気
ヘッド間の相対移動速度を向上させることが可能とな
る。
【0036】本発明でのコア1,1として使用される単
結晶フェライトの組成比(Fe23:ZnO)が(52
〜54mol%:8〜16mol%)でMnOがその残
量であり、例えばMnOは30〜40mol%である。
この組成比の単結晶フェライトは、図3に示す三元図で
の(b)の範囲内から選択されるものである。単結晶フ
ェライトでは、図3に示す三元図の組成比を選択するこ
とにより、結晶磁気異方性エネルギーK1,飽和磁歪λ
S,結晶軸〈100〉の磁歪λ<100>,結晶軸〈111〉
の磁歪λ<111>,および熱膨張係数αferriteが決定され
る。
【0037】前記結晶磁気異方性エネルギーK1と飽和
磁歪λSは、フェライト中のFe23のmol%の影響
を強く受ける。本発明の組成比である52から54mo
l%のFe23量であると、前記結晶磁気異方性エネル
ギーK1の絶対値および飽和磁歪λSの絶対値は小さい値
となる。前記結晶軸〈100〉の磁歪λ<100>,結晶軸
〈111〉の磁歪λ<111>,および熱膨張係数αferrite
はフェライト中のZnOのmol%の影響を強く受け
る。本発明の組成比である8から16mol%のZnO
量であると、前記結晶軸〈100〉の磁歪λ<100>と結
晶軸〈111〉の磁歪λ<111>の絶対値は大きくなり、
また100℃から300℃間の平均熱膨張係数αferrit
eは120から140(10-7/℃)と従来(従来の組
成(a)のフェライトでは115(10-7/℃)前後)
に比べて大きくなる。
【0038】本発明において、平均熱膨張係数αferrit
eの大きいフェライト材料を使用する理由は、上述した
(1)(2)の軟磁性材料の平均熱膨張係数αmetal
が、従来から使用されている軟磁性材料(例えばセンダ
スト)などの平均熱膨張係数に比べて大きくなっている
からである。つまり、フェライトの平均熱膨張係数αfe
rriteと軟磁性材料の平均熱膨張係数αmetalとの差をで
きるだけ小さくするために、ZnOのmol%が低いフ
ェライト材料を使用している。
【0039】上述した(1)(2)の軟磁性材料の平均
熱膨張係数αmetalは室温から600℃間で125〜1
50(10-7/℃)程度であり、特に軟磁性材料の平均
熱膨張係数αmetalとフェライトの平均熱膨張係数αfer
riteとの差は、―10≦(αmetal―αferrite)≦5で
あることが好ましい。さらに、フェライトの平均熱膨張
係数αferriteと接合ガラス3の平均熱膨張係数αglass
との差も小さいほうが好ましいため、接合ガラス3に
は、その平均熱膨張係数αglassが100℃〜300℃
間で、前記フェライトの平均熱膨張係数αferriteとほ
ぼ同程度となるものを使用する。
【0040】以上により、フェライトの平均熱膨張係数
αferriteと軟磁性材料の平均熱膨張係数αmetalとの
差、およびフェライトの平均熱膨張係数αferriteと接
合ガラス3の平均熱膨張係数αglassとの差はいずれも
小さいため、ギャップG付近にてコア1,1の磁路方向
(〈100〉方向)に加わる応力σtotalの絶対値は小
さくなる。特に前記応力σtotalは絶対値で800(M
Pa)以下であると好ましい。
【0041】図1に示す磁気ヘッドでは、ギャップG対
向部分にて応力σtotalの影響が大きくなっており、応
力σtotalとフェライト全体としての飽和磁歪λSの積に
比例する磁気弾性エネルギーの値が磁気異方性に影響を
与える。このため結晶軸の磁気異方性は、結晶磁気異方
性エネルギーK1から、前記磁気弾性エネルギーを引い
た見かけの磁気異方性に依存すると推測される。すなわ
ち、見かけの磁気異方性エネルギー(Ea)=(結晶磁
気異方性エネルギーK1)−(磁気弾性エネルギー3/
2・σtotal・λS)である。前記見かけの磁気異方性エ
ネルギーの絶対値が大きくなれば、磁気異方性は強くな
り、前記見かけの磁気異方性エネルギーの絶対値が小さ
くなれば、磁気異方性は弱まり等方性に近づく。
【0042】前記のように、本発明では従来に比べてZ
nOのmol%を高くすることにより、フェライトの平
均熱膨張係数αferriteを大きくして、金属磁性膜2を
形成する軟磁性材料の平均熱膨張係数αmetalとフェラ
イトの平均熱膨張係数αferriteとの差を小さくして、
ギャップG付近の磁路方向(〈100〉方向)に加わる
応力σtotalの絶対値を小さくしている。また、〈10
0〉方向の磁歪λ<100>と〈111〉方向の磁歪λ<111>
のそれぞれの絶対値は大きいものの、飽和磁歪λSの絶
対値は0に近い値にされており、よって応力σtotalと
飽和磁歪λSの積で求められる磁気弾性エネルギーの絶
対値は小さくなっている。また結晶磁気異方性エネルギ
ーK1の絶対値も小さいことから、結晶磁気異方性エネ
ルギーK1から磁気弾性エネルギーを引いた見かけの磁
気異方性エネルギーの絶対値も小さくなり、磁気異方性
は弱くなっている。
【0043】本発明の磁気ヘッドは、例えばDDS(Di
gital Data Strage)などに使用され、数MHzから1
0MHz程度またはそれ以上の高い周波数帯域で使用さ
れるが、このような高周波領域においては結晶軸の磁気
異方性を等方性に近づけることで、回転磁化をかけやす
くでき、透磁率およびヘッド出力を高くすることが可能
となる。なお、本発明における磁気ヘッドはβ方位で形
成されているものとして説明してきたが、β方位と同様
に交番磁界の主磁路Lに方向の異なる2本の結晶軸〈1
00〉と〈111〉が影響するB方位であってもよい。
【0044】
【実施例】以下、β方位で形成され、金属磁性膜2には
上述した(1)(2)のいずれかの軟磁性材料を使用し
たMIG磁気ヘッドの実施例を説明する。実験は以下の
〜に記載する統一された条件下で行った。 磁気ヘッドは、トラック幅Twを12μm、ギャップ
Gの深さを14〜17μm、ギャップ長を0.2μmと
した。またアジマス角度を20度とした。 記録媒体としてのテープには、市販のHi8用のMP
テープを使用し、磁気ヘッドとテープとの相対速度を
6.26m/sとした。 ヘッド出力の測定には、磁気ヘッドでテープに記録を
行い、再生出力を外当て式テスタで測定した。
【0045】
【表1】
【0046】まず、表1に示すように、単結晶フェライ
トの組成比が異なる26種類(組成No.1〜26)の
磁気ヘッドを製作し、それぞれの磁気ヘッドの100℃
から300℃間の平均熱膨張係数αferrite,結晶軸
〈100〉の磁歪λ<100>と結晶軸〈111〉の磁歪λ<
111>,結晶磁気異方性エネルギーK1,飽和磁歪λS,お
よび実効透磁率μ′を測定した。その測定値が表1に記
載されている。
【0047】図4はZnO量のmol%と100℃〜3
00℃間のフェライトの平均熱膨張係数αferriteとの
関係を示すグラフである。図に示すように、ZnOのm
ol%が大きくなるにつれて平均熱膨張係数αferrite
は小さくなっていることがわかる。本発明で使用する軟
磁性材料の室温から600℃間の平均熱膨張係数αmeta
lは125から150(10-7/℃)程度である。図か
らZnOが8mol%から16mol%の範囲である
と、フェライトの平均熱膨張係数αferriteは120〜
140(10-7/℃)となり、軟磁性材料の平均熱膨張
係数αmetalとフェライトの平均熱膨張係数αferriteと
の差を小さくすることができる。
【0048】ZnOが8mol%から16mol%とな
るフェライト材料で形成された磁気ヘッドは、表1に示
す試料No.1,11,14,17,18,19,2
0,21,25,26の10種類である。表1に示す軟
磁性材料の平均熱膨張係数αmetalとフェライトの平均
熱膨張係数αferriteとの差(αmetal―αferrite)を
この10種類に限って見てみると、(αmetal―αferri
te)の値が最も大きくなったのは、試料No.26の―
13.8であり、最も小さくなったのは、試料No.1
4と17の0.3である。(αmetal―αferrite)の絶
対値は小さければ小さいほどよく、好ましくは―10≦
(αmetal―αferrite)≦5の範囲内であり、この範囲
に当てはまるように、フェライト材料と軟磁性材料とを
適正に選定する必要がある。
【0049】図5はZnO量のmol%と、結晶軸〈1
00〉の磁歪λ<100>および結晶軸〈111〉の磁歪λ<
111>との関係を示すグラフである。図に示すように、結
晶軸〈111〉の磁歪λ<111>は常に正の値であり、結
晶軸〈100〉の磁歪λ<100>は常に負の値となってい
る。また磁歪λ<111>の値と磁歪λ<100>の絶対値は、Z
nO量のmol%が低くなるにつれて大きくなることが
わかる。つまりZnOが8〜16mol%の範囲である
と、従来に比べて(従来では、ZnOが16〜19mo
l%程度)、〈100〉方向および〈111〉方向の磁
歪は大きくなる。
【0050】一般的に、〈100〉方向と〈111〉方
向の磁歪が大きくなると、ギャップG付近の磁路方向
(〈100〉方向)が応力の影響を受けやすくなるなど
の理由から、〈100〉と〈111〉方向の磁歪はでき
る限り小さい方が良いとされ、従来ではそうしたフェラ
イト材料が使用されていた。しかし、後から図を用いて
説明するが、ZnOが8〜16mol%のフェライトで
形成された磁気ヘッドのヘッド出力は、ZnOが16〜
19mol%(従来)のフェライトで形成された磁気ヘ
ッドのヘッド出力よりも高くなることが確認されてお
り、従ってヘッド出力を向上させるには、フェライトの
平均熱膨張係数αferriteと軟磁性材料の平均熱膨張係
数αmetalとの差を小さくすることが、ギャップG付近
の磁路方向(<100>方向)の磁歪を小さくするより
もより効果があることがとわかった。
【0051】図6はFe23量のmol%と結晶磁気異
方性エネルギーK1との関係を示すグラフである。図に
示すように、Fe23量が52〜54mol%であれ
ば、結晶磁気異方性エネルギーK1の絶対値は小さくな
ることがわかる。
【0052】また、図7はFe23量のmol%と飽和
磁歪λSとの関係を示すグラフであるが、図に示すよう
に、Fe23量が52〜54mol%から外れるにつれ
て、飽和磁歪λSの絶対値は大きくなり、特にFe23
量が52〜54mol%であれば、前記飽和磁歪λSの
絶対値は小さくなっていることがわかる。
【0053】さらに図8は、Fe23量のmol%と実
効透磁率μ′との関係を示したグラフである。なお、
μ′の値は1MHzの高周波領域で測定した値である。
図に示すように、μ′の値は、Fe23量が52〜54
mol%の辺りで最も大きくなっていることがわかる。
以上により、Fe23量が52〜54mol%である
と、結晶磁気異方性エネルギーK1の絶対値および飽和
磁歪λSの絶対値を小さくでき、且つ実効透磁率μ′を
大きくすることができる。
【0054】結晶軸の磁気異方性は、前記結晶磁気異方
性エネルギーK1から応力σtotalと飽和磁歪λSとの積
に比例する磁気弾性エネルギーを引いた見かけの磁気異
方性エネルギーに依存すると考えられる。高周波数領域
においてヘッド出力を高くするためには、前記見かけの
磁気異方性エネルギーの絶対値を小さくして磁気異方性
を等方的にすることが必要であると推測される。そこ
で、見かけの磁気異方性エネルギーの絶対値を小さくす
るために、結晶磁気異方性エネルギーK1の絶対値およ
び、磁気弾性エネルギーの絶対値を小さくする必要があ
る。
【0055】つまり、Fe23量が52〜54mol%
で、しかもZnO量が8〜16mol%となる試料N
o.17,18,20,25および26の磁気ヘッドで
あれば、結晶磁気異方性エネルギーK1の絶対値および
磁気弾性エネルギーの絶対値はともに小さくなり、その
結果見かけの磁気異方性エネルギーの絶対値は小さくな
りヘッド出力は向上するものと考えられる。
【0056】前記試料No.17,18,20,25お
よび26は図3に示す三元図の(b)内に含まれてお
り、この範囲内で構成されるフェライト材料のK1の絶
対値および飽和磁歪λSの絶対値は低くなっている。ま
た、フェライト材料の平均熱膨張係数は120から14
0(10-7/℃)の範囲内であり、(αmetal―αferri
te)の絶対値も小さくなっている。接合ガラス3には、
その平均熱膨張係数αglassが、フェライトの平均熱膨
張係数αferriteとほぼ同程度なるものを使用すること
によって、ギャップ付近の磁路方向に加わる応力σtota
lの絶対値は小さくなり、飽和磁歪λSと応力σtotalと
の積に比例する磁気弾性エネルギーの絶対値は小さくな
る。よって見かけの磁気異方性エネルギーの絶対値は小
さくなり、高周波領域で高い出力を得られるものと推測
される。
【0057】表1の一番右の欄には、いくつかの磁気ヘ
ッドの21MHzの高周波領域におけるR/P21MHz
(自己記録再生でのヘッド出力値)が記載されている。
なお、表1に示すヘッド出力値(dB)は試料No.4
のヘッド出力を0dBとした時の相対値で示している。
この中でFe23量が52〜54mol%のフェライト
で形成された試料No.4,7,18,20,23,2
4,25,26の8種類の磁気ヘッドにおける、フェラ
イトの平均熱膨張係数αferriteと、ヘッド出力(d
B)との関係を図9に示す。また、前記試料No.4は
図3の三元図の(a)の範囲内の組成比、つまり従来の
組成比で形成された磁気ヘッドである。
【0058】図に示すように、フェライトの平均熱膨張
係数αferriteが120〜140(10-7/℃)の範囲
内であれば、ヘッド出力(dB)は高くなることがわか
る。特に、試料No.20,25,26の磁気ヘッドの
ヘッド出力(dB)は0.9(dB)以上であり大変高
くなっている。フェライトの平均熱膨張係数αferrite
が120〜140(10-7/℃)であれば、フェライト
の平均熱膨張係数αferriteと軟磁性材料の平均熱膨張
係数αmetalとの差が小さくなる。つまり、ギャップG
付近にてコアの磁路方向に加わる応力σtotalの絶対値
は小さくなるため、磁気弾性エネルギーの絶対値は小さ
くなりその結果、見かけの磁気異方性エネルギーの絶対
値も小さくなり磁気異方性は弱まる。21MHzという
高周波数領域において、磁気異方性を等方的に近づける
ことで回転磁化がかかりやすくなっており、ヘッド出力
が高くなっているものと推測される。
【0059】表2には、試料No.4,20,23,2
5,26の応力σtotal、磁気弾性エネルギーおよび見
かけの磁気異方性エネルギーの値が記載されている。な
お、この5種類の磁気ヘッドは図3の三元図から見ても
わかるように、いずれもFe23が53mol%付近の
フェライトを使用して形成されている。
【0060】
【表2】
【0061】接合ガラスには、100℃〜300℃間の
平均熱膨張係数αglassがフェライト材料の平均熱膨張
係数αferriteとほぼ同じになるものを使用し、それぞ
れの磁気ヘッドに使用された接合ガラスの平均熱膨張係
数αglassを表2に示す。表2の応力σMは、ギャップ付
近にてコアの磁路方向(〈100〉方向)が軟磁性材料
から受けた応力に相当するものである。また応力σg
は、ギャップ付近にてコアの磁路方向が接合ガラス3か
ら受けた応力に相当するものである。応力σtotalは、
前記σMとσgとを足したものである。3/2・λS・σt
otalは磁気弾性エネルギーの値であり、K1―3/2・
λS・σtotalは見かけの磁気異方性エネルギーの値であ
る。
【0062】図10は見かけの磁気異方性エネルギーと
ヘッド出力(dB)との関係を示すグラフである。図に
示すように、見かけの磁気異方性エネルギーの絶対値が
小さい程、ヘッド出力値(dB)が大きくなっているこ
とがわかる。特に図3の三元図に示す(b)の範囲内の
組成比で構成されるフェライトを使用した試料No.2
0,25,26の磁気ヘッドのヘッド出力値(dB)
は、従来の組成比のフェライトを使用した試料No.4
または23の磁気ヘッドのヘッド出力(dB)に比べて
かなり高くなっていることがわかる。
【0063】これは、5種類の磁気ヘッドはともにFe
23のmol%に依存するK1の絶対値およびλSの絶対
値は低く抑えられているが、表1や図3からわかるよう
に試料No.4および23の磁気ヘッドのZnO量のm
ol%が、試料No.20,25および26の磁気ヘッ
ドのZnO量のmol%に比べて高くなっている。この
ため、試料No.4および23のフェライト材料の平均
熱膨張係数αferriteは、試料No.20,25および
26のフェライト材料の平均熱膨張係数αferriteに比
べて低くなっており、(αmetal―αferrite)の値が―
10≦(αmetal―αferrite)≦5の範囲から大きくか
け離れている。よって表2に示すようにギャップG付近
の磁路方向に加わる応力σtotalの絶対値は試料No.
4および23の磁気ヘッドではかなり大きくなってお
り、磁気弾性エネルギーの絶対値、および見かけの磁気
異方性エネルギーの絶対値も必然的に大きくなってい
る。
【0064】以上により図3の三元図に示す(b)の範
囲内の組成比で構成されたフェライト材料を使用するこ
とにより、磁気特性に優れ、センダストなどの軟磁性材
料の平均熱膨張係数よりも高い平均熱膨張係数を有する
軟磁性材料を金属磁性膜として使用しても、見かけの磁
気異方性エネルギーの絶対値を小さくすることができ、
その結果結晶軸の磁気異方性は等方的に近づくため、高
周波数領域においてヘッド出力を高くすることが可能と
なる。
【0065】
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば、フェライ
ト中のZnO量を8〜16mol%としてフェライトの
平均熱膨張係数を従来に比べて大きくすることにより、
センダストなどに比べ磁気特性に優れているものの、平
均熱膨張係数の高い軟磁性材料を使用しても、ギャップ
対向部分に加わる応力を小さくすることができる。
【0066】さらにフェライト中のFe23量を52〜
54mol%にすることにより、結晶磁気異方性エネル
ギーK1の絶対値および飽和磁歪λSの絶対値を小さくで
きる。
【0067】従って、結晶磁気異方性エネルギーK1の
絶対値と磁気弾性エネルギーの絶対値をともに小さくす
ることができるため、見かけの磁気異方性エネルギーの
絶対値も小さくなる。よって結晶軸の磁気異方性は等方
性に近づき、回転磁化がかかりやすくなり、透磁率およ
びヘッド出力を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気ヘッドの斜視図、
【図2】磁気ヘッドのギャップ近傍部分を摺動面から示
した拡大平面図、
【図3】Fe23,MnO,ZnOから構成される単結
晶フェライト材料の三元図、
【図4】フェライト中のZnO量のmol%と100℃
〜300℃間の単結晶フェライト材料の平均熱膨張係数
αferriteとの関係を示すグラフ、
【図5】フェライト中のZnO量のmol%と結晶軸
〈100〉の磁歪λ<100>および結晶軸〈111〉の磁
歪λ<111>との関係を示すグラフ、
【図6】フェライト中のFe23量のmol%と、結晶
磁気異方性エネルギーK1との関係を示すグラフ、
【図7】フェライト中のFe23量のmol%と、飽和
磁歪λSとの関係を示すグラフ、
【図8】フェライト中のFe23量のmol%と、1M
Hzにおける実効透磁率μ′の絶対値との関係を示すグ
ラフ、
【図9】表1に示すフェライト中のFe23量が52〜
54mol%である表1に示す試料No.4,7,1
8,20,23,24,25,26のフェライトの平均
熱膨張係数αferriteとヘッド出力との関係を示すグラ
フ、
【図10】表2に示す試料No.4,20,23,2
5,26の見かけの磁気異方性エネルギーK1とヘッド
出力との関係を示すグラフ、
【符号の説明】
1 コア 2 金属磁性膜 3 接合ガラス 4 コイル G ギャップ Tw トラック幅
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯塚 雅博 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともギャップ対向部分が単結晶フ
    ェライトで形成された一対のコアの前記ギャップ対向部
    分に軟磁性材料製の金属磁性膜が形成され、且つ前記ギ
    ャップ対向部分にてコアを接合するための接合材料が、
    前記コアの側部に充填されている磁気ヘッドにおいて、
    前記単結晶フェライトは、Fe23,MnO及びZnO
    で構成されており、その組成比は(Fe23:ZnO)
    が(52〜54mol%:8〜16mol%)で、Mn
    Oがその残量であることを特徴とする磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 単結晶フェライトの平均熱膨張係数αfe
    rriteは、100℃から300℃間で120から140
    (10-7/℃)である請求項1記載の磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記軟磁性材料の平均熱膨張係数αmeta
    lと前記フェライトの平均熱膨張係数αferriteとの差
    が、100℃から300℃間で、―10≦(αmetal―
    αferrite)≦5である請求項1または請求項2記載の
    磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 ギャップ対向部分に加わる磁路方向への
    応力σtotalは絶対値で800(MPa)以下である請
    求項1ないし3のいずれかに記載の磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記金属磁性膜は、Fe(100-a-b-c-d)
    ―Xa―Mb―Zc―Tdで示される組成式から成り、Xは
    SiまたはAlのいずれかまたは両方、MはZr,H
    f,Nb,Taよりなる金属群から選択された少なくと
    も1種類の金属、ZはC,Nのいずれかまたは両方、T
    はCr,Ti,Re,Ru,Rh,Ni,Co,Pd,
    Pt,Auより選択された少なくとも1種類の金属を表
    し、 0.5≦a≦25(原子%),1≦b≦10(原子
    %),0.5≦c≦15(原子%),0≦d≦10(原
    子%)、残部はFeの原子%であり、 金属群Mの炭化物あるいは窒化物の結晶を含む軟磁性材
    料で形成される請求項1ないし4のいずれかに記載の磁
    気ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記金属磁性膜は、Fe(100-e-f-b-c-
    d)―Sie―Alf―Mb―Zc―Tdで示される組成式か
    らなり、MはZr,Hf,Nb,Taよりなる金属群か
    ら選択された少なくとも1種類の金属、ZはC、Nのい
    ずれかまたは両方、TはCr,Ti,Re,Ru,R
    h,Ni,Co,Pd,Pt,Auより選択された少な
    くとも1種類の金属を表し、 8≦e≦15(原子%),0.5≦f≦10(原子
    %),1≦b≦10(原子%),0.5≦c≦15(原
    子%),0≦d≦10(原子%)、残部はFeの原子%
    であり、 金属群Mの炭化物あるいは窒化物の結晶を含む軟磁性材
    料で形成される請求項1ないし4のいずれかに記載の磁
    気ヘッド。
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