JPH10160988A - 光線路および光ファイバ心線固定方法 - Google Patents

光線路および光ファイバ心線固定方法

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JPH10160988A
JPH10160988A JP8321285A JP32128596A JPH10160988A JP H10160988 A JPH10160988 A JP H10160988A JP 8321285 A JP8321285 A JP 8321285A JP 32128596 A JP32128596 A JP 32128596A JP H10160988 A JPH10160988 A JP H10160988A
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optical fiber
fiber core
adhesive
groove
optical
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JP8321285A
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English (en)
Inventor
Wataru Katsurajima
渉 桂島
Yoshiyuki Suetsugu
義行 末次
Junichi Ota
順一 太田
Akito Makiyama
明人 牧山
Shigeru Tomita
茂 冨田
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クロージャ内部への光ファイバ心線の突き出
し、あるいは、光ケーブル内への光ファイバ心線の引き
込みをなくした光線路を提供する。 【解決手段】 テープ状光ファイバ心線3が収納された
溝を有する光ケーブルが少なくとも1つのクロージャを
介して敷設された光線路であって、クロージャの近傍に
おける光ケーブルの所定長にわたり、外被6および押え
巻き5を除去し、テープ状光ファイバ心線3が収納され
た状態で溝に接着剤4を充填し、テープ状光ファイバ心
線3をスロット部材2の溝内に固定したもので、テープ
状光ファイバ心線3の移動を抑制している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内部に光ファイバ
心線が収納された光ケーブルを用いた光線路および光フ
ァイバ心線固定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光ファイバ心線の収納部を有する光ケー
ブルの内部では、光ファイバ心線が固定されていない。
そのため、例えば、スロット型光ケーブルでは、溝内の
光ファイバ心線が長手方向に移動する場合がある。
【0003】移動するメカニズムとしては、(1)温度
変化による光ケーブルの伸縮などにより、光ファイバ心
線が張ったりあるいは逆に緩んだりするが、その歪量が
光ファイバ心線の長手方向に偏りを有する場合、均一に
なろうとして光ファイバ心線が移動する、(2)光ケー
ブルの敷設環境に高低差があり、自重で光ファイバ心線
が移動する、(3)敷設工事などで作業者が誤って光フ
ァイバ心線を引っ張ってしまった場合、などを挙げるこ
とができる。その他、風の強い環境で架空に設置される
場合には、振動で光ファイバ心線が移動することも考え
られる。
【0004】光ケーブルの敷設途中の部分には、中間後
分岐接続あるいは他の光ファイバ心線との接続のために
接続函などのクロージャ部が設けられている。このよう
なクロージャ部において、光ファイバ心線は一般に固定
されていない。また、収納トレイ等に光ファイバ心線の
余長が巻き取られて収納されている。したがって、光ケ
ーブル内で光ファイバ心線が移動すると、クロージャ内
部に光ファイバ心線が突き出したり、逆に、光ファイバ
心線が光ケーブル内に引き込まれる場合がある。
【0005】光ファイバ心線が突き出す場合には、クロ
ージャの内部で引っかかって曲率半径の小さな曲げが生
じるおそれがある。逆に、光ファイバ心線が光ケーブル
内に引き込まれる場合には、収納余長部の曲率半径が小
さくなるおそれがある。このように、クロージャ内部の
接続部の収納余長バランスがくずれ、光ファイバ心線が
極端に曲げられる可能性があり、最悪の場合には伝送損
失増加あるいは光ファイバ心線の断線によって光通信シ
ステムをダウンさせてしまう。
【0006】光ケーブルの構造は多種多様であり、光フ
ァイバ心線の移動要因も多く挙げられることから、一概
にはいえないが、作業者ミスなど人為的な要因を除け
ば、温度環境変化による光ケーブルの伸縮が最も厳しい
と考えられる。光ケーブル製造時の環境は、1年を通じ
て変化はあるものの、工場内の温度は、10〜30°C
に管理されており、大きな変化はない。一方、屋外に敷
設された光ケーブルは、極寒地で、冬は−30°C、夏
はシース表面が熱せられ60〜70°C程度まで温度が
上昇する可能性がある。すなわち、温度変化としては最
大±50°C程度である。光ケーブルと光ファイバ心線
の線膨張係数差は概略10-5のオーダであることから、
光ケーブルは、光ファイバ心線に対し高温時に最大0.
05%の伸びあるいは弛み、低温時に最大0.05%の
縮みが発生する可能性がある。
【0007】図4は、従来の一般的な光ケーブルの断面
構造図である。図中、1は抗張力体、2はスロット部
材、3はテープ状光ファイバ心線、5は押え巻き、6は
外被である。スロット部材2は、中心に抗張力体1を有
し断面が略円形で外周に螺旋状に刻まれた複数の溝を有
する。この溝の螺旋方向は、中間後分岐が容易となるよ
うに光ケーブルの長手方向に周期的に反転する、いわゆ
るSZ溝である。この溝内に複数枚のテープ状光ファイ
バ心線3を収納した後に、押え卷き5を施し、その上に
外被6を施して光ケーブルとしている。
【0008】具体例としては、スロット部材2は、ポリ
エチレン製であり、外径が10mmφであり、2.6m
mφの鋼線を中心抗張力体1として有するとともに、5
本の溝を有し、4心のテープ状光ファイバ心線3を各溝
あたり5枚収納し、不織布の押え卷き5を用いLAP
(Laminated Aluminum Polye
thylene)シースの外被6を施したもので、全体
として100心で外径15mmφの光ケーブルとしてい
る。テープ状光ファイバ心線3は、厚さ0.4mm、幅
1.1mmの4心テープ状光ファイバ心線である。その
1心分の光ファイバ心線は、紫外線硬化樹脂で被覆され
た直径0.25mmφのものである。
【0009】1心の光ファイバ心線には、光ケーブルの
0.05%の伸びに対して約50gの張力が掛かること
が知られている。上述した例の光ケーブルの場合、各溝
に光ファイバ心線が20心実装されていることから、光
ファイバ心線には、1溝あたり約1kgの張力が掛かる
ことになる。
【0010】一方、光ケーブルは、光ファイバ心線に対
し、低温時に最大0.05%縮み、光ファイバ心線が光
ケーブルの外被6から突き出すことになるが、このとき
の突き出し力の大きさは従来知られていなかった。
【0011】図5は、光ファイバ心線に実験的に余長を
与える方法の説明図である。図中、図4と同様な部分に
は同じ符号を付して説明を省略する。図4に示した光ケ
ーブルをサンプルとして用い、左端部において、外被6
および押え巻き5を除去し、抗張力体1の端部を固定
し、スロット部材2の溝に収納されたテープ状光ファイ
バ心線3の端部は自由な状態に放置する。光ケーブルの
右端部において、外被6,スロット部材2,テープ状光
ファイバ心線3,抗張力体1を全てパテで固定し、抗張
力体1に張力を加えて右方向に引く。このようにして、
左端部においてテープ状光ファイバ心線3を光ケーブル
内の溝に引き込ませ、再び張力を0に戻すことにより、
テープ状光ファイバ心線3に光ケーブル内で過剰な余長
を発生させることができる。上述した2.6mmφの鋼
線を用いた抗張力体1では、100kgあたり0.1%
伸びることから、抗張力体の張力を調整することにより
過余長率を変えることができる。
【0012】張力印加時に、外被6および押え巻き5の
切断部からテープ状光ファイバ心線3のわずかな部分の
みが露出するように、テープ状光ファイバ心線3を切断
しておく。抗張力体1の張力を開放する際に、スロット
部材2の溝内でテープ状光ファイバ心線3の切断面にプ
ッシュプルゲージの測定子を当てて、テープ状光ファイ
バ心線3の突き出し力を測定した。
【0013】図6は、光ファイバ心線の過余長率と光フ
ァイバ心線の突き出し力との関連を表わす線図である。
図中、横軸は心線過余長率(%)、縦軸は1つの溝内の
20心分の心線突き出し力(g)であり、測定値の上限
値と下限値とを表わしている。心線余長率が0.05%
程度であれば心線突き出し力は約500g程度である。
上述したように、今回対象とした光ケーブルでは、高温
時の光ファイバ心線の引っ張りを想定した場合に1kg
の引き込み力であったから、数値的には、高温時引き込
みの場合の方が高かった。しかし、一般には各光ケーブ
ルの構造によって突き出し力が異なると考えられる。
【0014】以上のような実験を行なうことで必要な強
度が得られ、それに設計者が安全係数を掛けたものが設
計強度となる。安全係数として2を乗じ、各溝のテープ
状光ファイバ心線3の引き抜き力として2kg以上を設
計強度とした。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に鑑みてなされたもので、クロージャ内部への光ファ
イバ心線の突き出し、あるいは、光ケーブル内への光フ
ァイバ心線の引き込みをなくし、光ファイバ心線の伝送
損失増加や断線を防止し、信頼性の向上した光線路を提
供すること、および、このような光線路を実現するため
の光ファイバ心線固定方法を提供することを目的とする
ものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
おいては、光ファイバ心線が収納された少なくとも1つ
の収納部と該収納部を覆う外被を有する光ケーブルが少
なくとも1つのクロージャを介して敷設された光線路に
おいて、前記クロージャの少なくとも1つの内部または
少なくとも1つの近傍の前記光ケーブルの前記収納部に
前記光ファイバ心線を固定する固定部を有することを特
徴とするものである。
【0017】請求項2に記載の発明においては、光ファ
イバ心線が収納された少なくとも1つの溝を外周に有す
るスロット部材と該スロット部材を覆う外被を有し少な
くとも1つのクロージャを介して敷設された光ケーブル
に前記光ファイバ心線を固定する光ファイバ心線固定方
法において、前記クロージャの少なくとも1つの近傍に
おける前記スロット部材を露出させ、前記溝の上から接
着剤を塗布し、前記溝内に前記接着剤を押し込み、前記
溝に前記光ファイバ心線を固定することを特徴とするも
のである。
【0018】請求項3に記載の発明においては、光ファ
イバ心線が収納された少なくとも1つの溝を外周に有す
るスロット部材と該スロット部材を覆う外被を有し少な
くとも1つのクロージャを介して敷設された光ケーブル
に前記光ファイバ心線を固定する光ファイバ心線固定方
法において、前記クロージャの少なくとも1つの内部に
おける露出した前記スロット部材の前記溝の上から接着
剤を塗布し、前記溝内に前記接着剤を押し込み、前記溝
に前記光ファイバ心線を固定することを特徴とするもの
である。
【0019】請求項4に記載の発明においては、請求項
2または3に記載の光ファイバ心線固定方法において、
前記スロット部材の上からテープ状体を巻き付けて前記
接着剤を押し込むことを特徴とするものである。
【0020】請求項5に記載の発明においては、請求項
2または3に記載の光ファイバ心線固定方法において、
前記スロット部材の外周を2つの半割りの部材で挟み込
んで前記接着剤を押し込むことを特徴とするものであ
る。
【0021】請求項6に記載の発明においては、請求項
2ないし5のいずれか1項に記載の光ファイバ心線固定
方法において、前記接着剤として硬化時の体積収縮率が
5%以下のものを用いることを特徴とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の光線路の実施の
一形態の光ケーブル部分の断面構成図である。図2は、
本発明の光線路の実施の一形態の光ケーブル部分の正面
図である。図1の断面図は、図2中においてB,Bで示
した切断線における断面図である。図中、図4と同様な
部分には同じ符号を付して説明を省略する。4は接着剤
である。
【0023】この実施の形態は、テープ状光ファイバ心
線3が収納された溝とこの溝を覆う外被6を有する光ケ
ーブルが少なくとも1つのクロージャを介して敷設され
た光線路であって、クロージャの近傍における光ケーブ
ルの所定長にわたり、外被6および押え巻き5を除去し
てスロット部材2を露出させ、テープ状光ファイバ心線
3が収納された状態でスロット部材2の溝に接着剤4を
充填し、テープ状光ファイバ心線3をスロット部材2の
溝内に固定したものである。テープ状光ファイバ心線3
を接着剤4で固定することによりテープ状光ファイバ心
線3の移動を抑制している。図2中において、外被6を
有するA,Aで示した切断線における断面は、図4に示
した従来の断面と同様である。
【0024】接着剤4として、硬化時の体積収縮率が小
さいものを使用することにより、溝を埋めることが可能
になり、面接着だけでなく、溝の形状や溝のわずかな出
っ張りなどの形状のばらつきにより、充填された接着剤
4が硬化した段階で動きにくくなる。このような形状効
果とも相俟って接着強度を向上させることが可能とな
る。スロット部材型光ケーブルに汎用されているポリエ
チレン等の合成樹脂は、化学的に安定であるため、強固
な接着力を有する接着剤を得られないが、形状効果を利
用することにより、テープ状光ファイバ心線3の固定に
必要な接着強度を安定して得ることができる。接着剤4
として硬化時の体積収縮率が5%以下のものを用いると
好適である。
【0025】上述した条件を満足する接着剤としては、
エポキシ樹脂やシリコン系樹脂が好適である。収縮防止
のための充填材を含んだものを用いてもよい。一般に、
溶剤型の接着剤は揮発成分が全体の7〜9割を占め、硬
化後の痩せ(体積の収縮)が大きい。このような接着剤
は面的に接着を行なうものであり、隙間を充填する目的
には適さない。エポキシ樹脂は、2液混合型であっても
1液型でもよい。シリコン系樹脂は、70〜80°Cで
軟化するため高温環境下の光ケーブルの場合には適切で
ない。
【0026】また、接着剤4を単に溝に滴下したり、な
すりつけたりしたのみでは、窪んだ溝内部にまで接着剤
4が入りにくい。そのため、接着剤4の充填方法とし
て、第1の具体例としては、接着剤4をスロット部材2
の溝を含めた外周に滴下し、テープ状の素材をスロット
部材2の外周に巻き付けて、接着剤4の樹脂を溝に押し
込む。テープ状の素材としては、ポリエチレンテレフタ
レート(PET)テープ、不織布などのプラスチック繊
維の布や、木綿,麻などの布でも構わない。また、押し
込み作業を終了したテープをそのまま巻き付けた状態に
して光ファイバ心線固定部に残しておいても構わない。
テープ状の素材にも接着剤を塗布しておいて巻き付けて
もよい。
【0027】第2の具体例としては、半割りの治具を用
い、接着剤4をスロット部材2の溝を含めた外周に滴下
し、スロット部材2の外周にかぶせて接着剤4を挟み込
み接着剤4の樹脂を溝に圧入する。半割りの治具の内側
にも接着剤4を乗せて挟んでもよい。あるいは、半割り
の治具に注入口を取り付けて注射器,ポンプ等によって
接着剤4の樹脂を圧入してもよい。
【0028】このような方法をとることにより、溝の開
口部が下向きであり、接着剤4の樹脂自体の重力だけで
は樹脂が入り切らない位置の溝に収納されたテープ状光
ファイバ心線3も確実に固定することができる。
【0029】テープ状光ファイバ心線3の固定部は、外
被6が除去されており、複合材料で構成される光ケーブ
ルは温度変化によって被覆除去部では周囲の外被が収縮
あるいは膨張して移動する可能性がある。したがって、
信頼性確保のために固定部を保護しておく必要がある。
上述した固定部の直上を保護部で把持した場合には大き
な力が固定部にかかるおそれがあるので、保護部は、固
定部を覆うとともに、固定部の左右の近端で外被6を把
持するようなものとする。
【0030】テープ状光ファイバ心線3を接着剤4で固
定する作業は、周囲環境や経年変化などに応じて光ケー
ブルの敷設後の適当な時期に行なう。一連の長い光線路
のどの地点で、また、何カ所で行なうかも、周囲環境や
経年変化などに応じて適宜決められる。あらかじめ、光
ファイバ心線の移動が予想できる場合には、敷設時に行
なってもよいし、敷設前に、工場で光ケーブルに固定作
業を行うことも不可能ではない。
【0031】固定する作業は、クロージャ内、または、
光ケーブルの途中部分で行なうことができる。クロージ
ャ内で行なう場合には、既に光ケーブルの外被6および
押え巻き5が除去されておりスロット部材2が露出して
いるので、外被6および押え巻き5が除去された際で固
定作業をする。しかし、実際の光ケーブルでは、容積の
小さなクロージャを使用している場合、クロージャ内が
テープ状光ファイバ心線3等で輻輳しており作業性が悪
い。作業時にテープ状光ファイバ心線3を曲げてしまい
伝送損失を増加させてしまうおそれがある。
【0032】そのため、クロージャの近端の光ケーブル
の部分において、所定長にわたって、その外被6,押え
巻き4を新たに除去して固定作業を行ない、その後、保
護部を取り付けるなどの作業をすればよい。テープ状光
ファイバ心線3は、スロット部材2の溝内に収納された
状態であり、固定作業がやりやすい。しかし、固定作業
はできる限りクロージャに近いことが望ましい。
【0033】第1の理由は、クロージャ内に巻かれて収
納されたテープ状光ファイバ心線3の接続余長が光ケー
ブル内部に引き込まれたり、逆に、テープ状光ファイバ
心線3が光ケーブルからクロージャ内部に突き出すこと
が問題であるから、クロージャの近くで固定するのが理
にかなっているからである。
【0034】第2の理由は、光ケーブルの敷設後、年月
がたてば、クロージャの近くでは、既にテープ状光ファ
イバ心線3の歪みがほぼクロージャ内部に開放されてい
ると考えられるが、クロージャから遠方の地点では、テ
ープ状光ファイバ心線3の弛みが残留しているおそれが
あり、固定作業の際に、外被6の除去とともに収納され
ていたテープ状光ファイバ心線3が飛び出して来るおそ
れがあり、作業が危険であるからである。
【0035】しかし、一般的な作業の安全性を考える
と、電柱で作業を行なうことが望ましい。しかし、クロ
ージャは必ずしも電柱の近くにあるとは限らない。固定
作業部は、望ましくはクロージャから1m以内である
が、隣接するクロージャの間の光ケーブルの長さは、1
kmになる場合もあるため、40m程度離れていてもよ
い場合もある。
【0036】なお、クロージャ内で固定作業を行う場
合、左右いずれの光ケーブル側についても行なうことは
必ずしもない。片側の光ケーブルの光ファイバ心線だけ
に歪量の偏りが生じて移動する場合があるため、片側だ
けの固定でもよい。クロージャに近い光ケーブルの途中
部分で固定を行なう場合にも、同様の理由でクロージャ
の左右の光ケーブルに対してではなく、片側の光ケーブ
ルの固定だけでもよい。
【0037】上述した説明では、光線路の途中の光ケー
ブルあるいはクロージャ内においてテープ状光ファイバ
心線3を固定するものであった。通信設備内に引き込ま
れる光線路の端末部においても、理屈上はテープ状光フ
ァイバ心線3の移動があり得るが、通信設備内に引き込
まれた光ケーブルの温度環境は良好であり、通常は問題
が生じない。しかし、光線路の端末となる光ケーブルの
端部においても、テープ状光ファイバ心線3を固定して
も良い。
【0038】上述した説明では、テープ状光ファイバ心
線3を収納する5つの溝を有するスロット部材型の光ケ
ーブルについて説明したが、溝の数に特に制限はなく、
1つの場合でもよい。抗張力体とスロット部材とが首部
を介して共通に被覆された自己支持型の光ケーブルな
ど、光ファイバ心線の収納部を有するものであれば光ケ
ーブルの構造は任意のものでよい。架空に懸架されるも
のに限らず、地中の管路に敷設される光ケーブルでもよ
い。また、テープ状光ファイバ心線3に限らず、任意の
多心型光ファイバ心線や単心の光ファイバ心線でもよ
い。スロット部材型の場合には、接着剤による固定が容
易で確実であるが、接着剤を用いる以外に、成形された
固定部材を溝などの収納部分にはめ込んで固定したり、
スロット部材と光ファイバ心線とを溶融接着して固定す
ることも可能である。
【0039】
【実施例】図4に示した光ケーブルの外被6を20mm
除去し、押え巻き5も取り除き、接着剤4の樹脂を塗布
し、図1,図2のようにして実験を行なった。使用した
接着剤4は2液混合型のエポキシ樹脂接着剤(セメダイ
ン株式会社製、商品名「ハイスーパ5」)である。な
お、他社製のものでも結果はほとんど変わりなかった。
【0040】塗布方法は、次の通りである。第1のサン
プルは、スロット部材2の外周に上述した接着剤4の樹
脂を滴下し、へら状の工具で全周に行き渡るように樹脂
を伸ばしたものである。第2のサンプルは、スロット部
材2の外周に接着剤4の樹脂を滴下し、厚さ40μm、
幅10mmのPETテープを使用して周囲に巻き付ける
ようにして縛り付けて樹脂を押し込んだものである。第
3のサンプルは、スロット部材2の外周に接着剤4の樹
脂を滴下するとともに、塩化ビニル(PVC)製のパイ
プを半割りにしたものの内側に接着剤4の樹脂を乗せ、
半割りで挟み込むことによって樹脂を押し込んだもので
ある。各サンプルの作成にあたっては、溝内に接着剤4
の樹脂が十分に行き渡る程度にたっぷりと外周に滴下し
て乗せておいた。
【0041】第1〜第3のサンプルは、各方法で4本ず
つ作成した。引き抜き力測定では、5つの各溝におい
て、5枚のテープ状光ファイバ心線3のうち、最も樹脂
が到達しにくい溝底にあるものを1枚つかんで引っ張る
試験を行なった。
【0042】図3は、引っ張り強度測定結果を表わす線
図である。図1にも示したように、溝には番号を付け、
右上の溝をNo.1とし、時計回り方向に順次増加する
番号を与えている。第1のサンプルでは溝底まで樹脂が
到達せず、全く固定されないで容易に引き抜けてしまっ
たものが20本中12溝あった。一方、テープ巻き付
け、または、半割り治具を用いて押し込んだものは、最
小値でも、6.5kgあり、設計強度の2kgに対して
十分余裕があった。
【0043】溝の中で、No.3の溝の強度が弱いの
は、サンプル作成時に溝の開口部が真下を向くように設
置したので重力によっては接着剤4の樹脂が溝底に移動
できず、押し込み作業によって到達したものだけとなっ
たからであると推定される。第2,第3のサンプルでも
この現象は明確であるが、強度は十分に設計値に達して
おり問題はない。
【0044】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、クロー
ジャの少なくとも1つの内部または少なくとも1つの近
傍の光ケーブルの収納部に光ファイバ心線を固定する固
定部を有することから、光ケーブルの収納部内の光ファ
イバ心線が長手方向に移動するようなことがあっても、
クロージャ内部に光ファイバ心線が突き出したり、逆
に、光ファイバ心線が光ケーブル内に引き込まれること
がなく、クロージャ内部における光ファイバ心線の伝送
損失増加や断線を防止し、信頼性を向上させることがで
きるという効果がある。
【0045】請求項2に記載の発明によれば、クロージ
ャの少なくとも1つの近傍におけるスロット部材を露出
させ、溝の上から接着剤を塗布し、溝内に接着剤を押し
込み、溝に光ファイバ心線を固定することから、光ファ
イバ心線がスロット部材の溝内に収納された状態であり
固定作業がやりやすく、また、作業時に光ファイバ心線
を曲げて伝送損失を増加させてしまうおそれがないとい
う効果がある。
【0046】請求項3に記載の発明によれば、クロージ
ャの少なくとも1つの内部における露出したスロット部
材の溝の上から接着剤を塗布し、溝内に接着剤を押し込
み、溝に光ファイバ心線を固定することから、光ケーブ
ルの外被などを新たに除去する必要がなく、固定作業後
に、固定部の保護をする必要もないという効果がある。
【0047】請求項4に記載の発明によれば、スロット
部材の上からテープ状体を巻き付けて接着剤を押し込む
ことから、溝内部にまで接着剤を充填することができる
という効果があり、開口部が下を向いた溝であっても接
着剤を溝底にまで移動させることができる。また、巻き
付けたテープ状体をそのまま保護部として利用すること
もできる。
【0048】請求項5に記載の発明によれば、スロット
部材の外周を2つの半割りの部材で挟み込んで接着剤を
押し込むことから、溝内部にまで接着剤を充填すること
ができるという効果があり、開口部が下を向いた溝であ
っても接着剤を溝底にまで移動させることができる。
【0049】請求項6に記載の発明によれば、接着剤と
して硬化時の体積収縮率が5%以下のものを用いること
から、面接着だけでなく、形状効果とも相俟って接着強
度を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光線路の実施の一形態の光ケーブル部
分の断面構成図である。
【図2】本発明の光線路の実施の一形態の光ケーブル部
分の正面図である。
【図3】引っ張り強度測定結果を表わす線図である。
【図4】従来の一般的な光ケーブルの断面構造図であ
る。
【図5】光ファイバ心線に実験的に余長を与える方法の
説明図である。
【図6】光ファイバ心線の過余長率と光ファイバ心線の
突き出し力との関連を表わす線図である。
【符号の説明】
1…抗張力体、2…スロット部材、3…テープ状光ファ
イバ心線、4…接着剤、5…押え巻き、6…外被。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 太田 順一 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 (72)発明者 牧山 明人 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 (72)発明者 冨田 茂 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ファイバ心線が収納された少なくとも
    1つの収納部と該収納部を覆う外被を有する光ケーブル
    が少なくとも1つのクロージャを介して敷設された光線
    路において、前記クロージャの少なくとも1つの内部ま
    たは少なくとも1つの近傍の前記光ケーブルの前記収納
    部に前記光ファイバ心線を固定する固定部を有すること
    を特徴とする光線路。
  2. 【請求項2】 光ファイバ心線が収納された少なくとも
    1つの溝を外周に有するスロット部材と該スロット部材
    を覆う外被を有し少なくとも1つのクロージャを介して
    敷設された光ケーブルに前記光ファイバ心線を固定する
    光ファイバ心線固定方法において、前記クロージャの少
    なくとも1つの近傍における前記スロット部材を露出さ
    せ、前記溝の上から接着剤を塗布し、前記溝内に前記接
    着剤を押し込み、前記溝に前記光ファイバ心線を固定す
    ることを特徴とする光ファイバ心線固定方法。
  3. 【請求項3】 光ファイバ心線が収納された少なくとも
    1つの溝を外周に有するスロット部材と該スロット部材
    を覆う外被を有し少なくとも1つのクロージャを介して
    敷設された光ケーブルに前記光ファイバ心線を固定する
    光ファイバ心線固定方法において、前記クロージャの少
    なくとも1つの内部における露出した前記スロット部材
    の前記溝の上から接着剤を塗布し、前記溝内に前記接着
    剤を押し込み、前記溝に前記光ファイバ心線を固定する
    ことを特徴とする光ファイバ心線固定方法。
  4. 【請求項4】 前記スロット部材の上からテープ状体を
    巻き付けて前記接着剤を押し込むことを特徴とする請求
    項2または3に記載の光ファイバ心線固定方法。
  5. 【請求項5】 前記スロット部材の外周を2つの半割り
    の部材で挟み込んで前記接着剤を押し込むことを特徴と
    する請求項2または3に記載の光ファイバ心線固定方
    法。
  6. 【請求項6】 前記接着剤として、硬化時の体積収縮率
    が5%以下のものを用いることを特徴とする請求項2な
    いし5のいずれか1項に記載の光ファイバ心線固定方
    法。
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