JPH1015314A

JPH1015314A - 浄油用フィルタエレメント

Info

Publication number: JPH1015314A
Application number: JP8189939A
Authority: JP
Inventors: Toru Sasaki; 徹佐々木
Original assignee: Kleentek Industrial Co Ltd
Current assignee: Kleentek Industrial Co Ltd
Priority date: 1996-07-02
Filing date: 1996-07-02
Publication date: 1998-01-20

Abstract

(57)【要約】【課題】浄油用フィルタエレメントとして、浄油プロ
セス中、油の酸化劣化、酸化変質を防止することができ
る帯電性のフィルタエレメントを提供する。【解決手段】油を清浄化するときに使用される浄油用
のフィルタエレメントにおいて、前記フィルタエレメン
トが、導電性繊維により非帯電性とされたもので構成さ
れたことを特徴とする非帯電性の浄油用フィルタエレメ
ント。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、絶縁油などの油を
清浄化するときに使用されるフィルタ（濾過材）エレメ
ントに関する。更に詳しくは、本発明は、絶縁油などの
油をフィルタ（濾過材）を利用してフィルトレーション
処理により清浄化するときに使用されるフィルタエレメ
ントであって、フィルタエレメントの帯電に基づく絶縁
油などの油の劣化を防止することができる新規なフィル
タエレメントに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】各種の油、例えば加工油や絶縁油など
（以下、単に油という。）は、その中に汚染物を含んで
いるのが常態であり、前記汚染物のために油圧システム
や潤滑システムにトラブルを発生させている。特に、最
近の油圧システムや潤滑システムにおいては、高圧かつ
高速化されているため、油の汚染物対策は、今まで以上
に敏感になっている。

【０００３】前記油中の汚染物を除去する技術として、
当業界において、経済的かつ簡便な方式としてフィルタ
を使用した浄油方式が広く採用されている。そして、前
記したフィルタを使用した浄油方式においては、高圧か
つ高速化された油圧システムや潤滑システムを反映し
て、フィルタの目は、ますます小さくなっているいるの
が現状である。このため、フィルタを構成する素材は、
微細な絶縁性の繊維、具体的には、化学繊維やガラス繊
維で構成されている。前記フィルタの構成素材は、油の
典型的な用途が絶縁油としての用途であるという観点か
ら、絶縁性の材料で構成されるものである。

【０００４】前記した背景のもとで、即ち、微細な絶縁
性の繊維で構成されるフィルタにより絶縁性の油を浄油
しようとする場合、大きな問題点が発生（招来）する。
即ち、油という絶縁油と絶縁物で構成されるフィルタエ
レメントが相互に摩擦すると、静電気が発生し、これが
下記に述べる問題点を発生する。

【０００５】目が細かく、かつ絶縁性のフィルタエレメ
ントで、絶縁性の油を処理すると、油が帯電するばかり
でなく、フィルタエレメントも帯電する。そして、油の
帯電は、一過性のものとみなすことができるが、フィル
タエレメント側では、常時、油と摩擦しているため、フ
ィルタエレメント側に静電気が帯電することになる。

【０００６】前記フィルタエレメント側に静電気が帯電
し、ついには飽和電圧に到達すると、フィルタエレメン
トは、火花放電を起こすようになる。前記フィルタエレ
メントが帯電し、電荷が蓄積されて火花放電を起こす
と、油の分子が剪断されてフリーラジカルが生成し、前
記フリーラジカルに起因して油の自動酸化が生起し、油
が劣化する。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は前記した従来
の浄油用フィルタエレメントにみられる欠点を解消しよ
うとするものであり、帯電による油の酸化劣化、油の酸
化変質を防止することができる非帯電性の浄油用フィル
タエレメントを提供しようとするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明は、油を清浄化するときに使用される浄油用のフィ
ルタエレメントにおいて、前記フィルタエレメントが、
導電性繊維により非帯電性とされたもので構成されたこ
とを特徴とする非帯電性の浄油用フィルタエレメントに
関するものである。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の技術的構成及び実
施態様を図面を参照して詳しく説明する。なお、本発明
は図示のものに限定されないことはいうまでもないこと
である。

【００１０】まず、本発明の非帯電性の浄油用フィルタ
エレメントを創案する契機となった従来技術的の問題
点、即ち従来技術にみられる絶縁性のフィルタエレメン
トによる絶縁油の浄油システムの問題点について説明す
る。

【００１１】図１は、油の帯電電圧を測定するための実
験装置の概略図である。図示されるように、油の帯電電
圧測定装置（１）は、フィルタエレメント（Ｆ）を内蔵
する試験用浄油機（浄油用フィルター装置）（Ａ）、油
槽（Ｂ）、及びポンプ（Ｐ）を配管（ａ₁，ａ₂）によ
り接続して構成する一方、フィルタエレメント（Ｆ）に
より浄油された浄油試料をファラデー・ゲージ（Ｄ）及
び電位計（Ｅ）に供給するように配管（ａ₃）により接
続して構成する。図示されるように、前記油の帯電電圧
測定装置（１）は、誘電現象を利用してフィルタエレメ
ント（Ｆ）の帯電電圧を測定しようとするものである。
なお、図中、他の配管、バルブ機構も同時に示されてい
るが、それらの機能は図示から明らかであるため、説明
は省略する。

【００１２】前記、試験用浄油機（Ａ）は、図示される
ように、絶縁性の高いテフロン板（Ｃ₁）を有するテフ
ロン絶縁台（Ｃ）上に載置されている。

【００１３】図２は、前記試験用浄油機（Ａ）の断面図
である。図３は、前記図２のＩ−Ｉ線断面において、フ
ィルタエレメント（Ｆ）の部位の断面図を示す。図２に
示されるように、試験用浄油機（Ａ）において、フィル
タエレメント（Ｆ）はフィルタ容器（Ａ₁）内に、固定
保持される。また、図３（１）〜（２）に示されるよう
に、フィルタの形状構造は、所望の肉厚の円筒体であっ
たり、プリーツ体（ヒダ状物）など所望のものであって
もよいものである。

【００１４】前記図１に示される油の帯電電圧測定装置
（１）を使用して、かつフィルタエレメント（Ｆ）とし
てポリプロピレン製フィルタ材を使用して、フィルタエ
レメント（Ｆ）の帯電電圧を測定した。なお、いうまで
もないことであるが、前記した系での帯電電圧の測定
は、フィルタ材が絶縁性のポリプロピレン製であること
から従来技術のフィルタ系を再現したものである。

【００１５】フィルタエレメント（Ｆ）の帯電電圧の測
定は、次のように行なった。 (i) 油の流量による帯電電圧の変化を測定するため、油
の流速を変化させて行なった。 (ii)帯電電圧は、フィルタ容器（Ａ₁）から５０ｍｍ離
れた場所に電位計（Ｅ）（スタチロンＭ2 電位計）を設
置して測定した。前記したフィルタ系での帯電電圧の測定結果を図２に示
す。

【００１６】前記した実験から、次の結論を導出するこ
とができる。 (i) 油の流量が０．７５リットル（ｌ）／分のとき、５
４秒で−（マイナス）２５ｋＶの飽和電圧に到達する。 (ii)油の流量が４．００リットル（ｌ）／分のとき、１
３秒で−（マイナス）５０ｋＶの飽和電圧に到達する。そして、条件を変えた他の油の流速と飽和電圧までの到
達時間との間にみられる相関を考察すると、後者（飽和
電圧までの到達時間）は前者（油の流速）に比例するこ
とがわかる。このことは、実際の高速で油が流れる機械
系（潤滑システム系）に組み込まれたフィルタエレメン
ト（Ｆ）においては、非常に短時間に飽和電圧に到達す
ることを意味するものである。

【００１７】フィルタエレメント（Ｆ）が帯電し、飽和
電圧に到達すると、フィルタエレメント（Ｆ）に電荷が
蓄積され火花放電を起こすようになる。前記した火花放
電は、下記に示す反応式により油の自動酸化を進行させ
るものである。 (1).下記反応式（１）に示されるように、油分子（以
下、ＲＨで表わすことにする。）が剪断され、（Ｒ・）
に示されるフリーラジカルが生成する。ＲＨ → Ｒ・＋Ｈ・ …………（１） (2).生成したフリーラジカル（Ｒ・）は、下記反応式
（２）に示されるように油中の酸素と反応し、パーオキ
シラジカル（ＲＯＯ・）を生成する。Ｒ・＋Ｏ₂ → ＲＯＯ・ …………（２） (3).生成したパーオキシラジカル（ＲＯＯ・）は、基油
（ＲＨ）を攻撃して下記反応式（３）に示されるように
フリーラジカル（Ｒ・）を生成する。ＲＯＯ・＋ＲＨ → ＲＯＯＨ＋Ｒ・ …………（３）そして、前記反応式（２）と（３）の連鎖反応が起こ
り、油の自動酸化が進行する。

【００１８】前記した反応機構から明らかのように、前
記連鎖反応の起爆剤は、反応式（１）の基油（ＲＨ）の
火花放電による基油（ＲＨ）の剪断である。従って、フ
ィルタエレメント（Ｆ）による油の浄油システムにおい
て、油の酸化劣化、酸化変質を防止するには、フィルタ
エレメント（Ｆ）の帯電を防止し、静電気の火花放電に
よる基油（油分子）の剪断を防止することが重要であ
る。

【００１９】本発明は、前記した知見をベースにして、
フィルタエレメント（Ｆ）を非帯電性のもので構成する
ものである。本発明のフィルタエレメントは、絶縁性の
高い油のフィルタ材として、従来から提案されている絶
縁性の素材、例えば絶縁性の高い化学繊維やガラス繊維
などに代えて、導電性のフィルタ材を使用し、前記した
浄油プロセス中の油の酸化劣化、油の酸化変質を防止す
るものである。

【００２０】本発明の浄油用フィルタエレメント、具体
的には、前記図２〜図３に示されるフィルタエレメント
（Ｆ）は、導電性のもので構成されるものである。本発
明の導電性の浄油性フィルタエレメント、、別言すれば
非帯電性の浄油用フィルタエレメントの素材は、例示す
ると、以下の通りである。 (1).金属の繊維、カーボンファイバーなどの導電性繊
維。なお、本発明において、導電性という用語は、絶縁
性という用語に対して使用されるものであり、両者の区
別（帯電性と絶縁性の間の区別）は、非抵抗が１０⁸Ω
ｃｍの点で区別することかできる。即ち、本発明におい
ては、１０⁸Ωｃｍ以下のものを導電性といっている。 (2).絶縁性繊維と上記導電性繊維とからなる不繊布。前
記、絶縁性繊維としては、ポリプロピレンやポリエステ
ルなどの有機化学繊維、グラスファイバーなどの無機繊
維、乾燥したセルロースなどの天然繊維を例示すること
ができる。

【００２１】本発明の導電性の浄油の浄油用フィルタエ
レメント、別言すれば非帯電性の浄油用フィルタエレメ
ントは、導電性は繊維のシートと絶縁性繊維のシートを
交互に積層し、全体として導電性になるように構成した
ものであってもよいものである。本発明のフィルタエレ
メントは、単一の導電性繊維などの導電性素材からなる
単一層構造のもの、あるいは前記した複層構造のものか
らなるもので構成されるものである。

【００２２】本発明において、前記した導電性の浄油用
フィルタエレメント（Ｆ）、別言すれば、非帯電性の浄
油用エレメント（Ｆ）は、図２に示されるように浄油機
（Ａ）の容器（Ａ₁）内に装着されて使用されるもので
ある。そして、いうまでもないことであるが、前記フィ
ルタエレメント（Ｆ）は、接地（アース）されて使用さ
れるものである。

【００２３】前記した接地（アース）の態様は、図示し
ないが（図２に示されていないが）、所望の態様で行な
えばよい。例えば、浄油用フィルタエレメント（Ｆ）の
上記及び／又は下部に金属製のエンドプレートを装着
し、前記金属製のエンドプレートを金属製の浄油容器
（Ａ₁）（図２参照）と導通させ、かつ前記容器
（Ａ₁）を接地（アース）すればよい。

【００２４】いうまでもないことであるが、前記浄油用
フィルタエレメント（Ｆ）と金属製のエンドプレートの
間の導通を確実にしなければならないことはいうまでも
ないことである。前記、両者間の導通を確実なものにす
るためには、例えば次のようにすればよい。 (i) 両者を接着剤で接合する場合、導電性の接着剤を使
用する。 (ii)浄油用フィルタエレメント（Ｆ）が金網（金属製の
繊維）で構成される場合、金網とエンドプレートを金属
線で短絡する。

【００２５】

【発明の効果】本発明の非帯電性の浄油用フィルタエレ
メントは、油とフィルタ部材との摩擦に起因するフィル
タ部位での帯電及び前記帯電による火花放電を防止する
ことができ、従来の浄油プロセスにみられる油の酸化劣
化、酸化変質を完全に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】油の帯電電圧を測定するための実験装置の概
略図である。

【図２】図１の試験用浄油機（Ａ）の断面図である。

【図３】図２のＩ−Ｉ線断面のフィルタエレメント
（Ｆ）部位の断面図である。

【図４】フィルタエレメントの帯電電圧と飽和電圧ま
での到達時間の関係を示す図である。

【符号の説明】

１ ……………… 油の帯電電圧測定装置Ａ ……………… 試験用浄油機Ｂ ……………… 油槽Ｃ ……………… 絶縁台Ｄ ……………… ファラデー・ゲージＥ ……………… 電位計Ｆ ……………… フィルタエレメント

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】油を清浄化するときに使用される浄油用
のフィルタエレメントにおいて、前記フィルタエレメン
トが、導電性繊維により非帯電性とされたもので構成さ
れたことを特徴とする非帯電性の浄油用フィルタエレメ
ント。
【請求項２】非帯電性の浄油用フィルタエレメント
が、導電性繊維シートと絶縁性繊維シートを交互に積層
して構成されたものである請求項１に記載のフィルタエ
レメント。
【請求項３】非帯電性の浄油用フィルタエレメント
が、接地（アース）されるように構成されたものである
請求項１に記載のフィルタエレメント。