JPH10152566A - 熱可塑性ノルボルネン系樹脂成形体 - Google Patents

熱可塑性ノルボルネン系樹脂成形体

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JPH10152566A
JPH10152566A JP9265015A JP26501597A JPH10152566A JP H10152566 A JPH10152566 A JP H10152566A JP 9265015 A JP9265015 A JP 9265015A JP 26501597 A JP26501597 A JP 26501597A JP H10152566 A JPH10152566 A JP H10152566A
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JP
Japan
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norbornene
resin
luer lock
based resin
syringe
Prior art date
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Application number
JP9265015A
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English (en)
Inventor
Koji Minami
幸治 南
Teiji Obara
禎二 小原
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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Publication date
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Priority to JP9265015A priority Critical patent/JPH10152566A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形精度に優れ、かつ残留応力の小さいルア
ーロック構造の接続部を有する成形体を提供すること。 【解決手段】 熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなる成
形体であって、該樹脂からなるルアーロック構造を有す
る接続部が成形体本体と一体的に成形されていることを
特徴とする熱可塑性ノルボルネン系樹脂成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ルアーロック構造
を有する接続部が一体的に成形されている熱可塑性ノル
ボルネン系樹脂成形体に関する。本発明の成形体は、特
に注射筒などとして好適である。
【0002】
【従来の技術】近年、注射器の構造としては、液漏れ等
がなくかつ取り扱いが容易な、先端部に注射針や活栓を
接続するためのルアーロック構造の接続部を備えたもの
が望まれている。プラスチック素材のルアーロック構造
を有する注射筒としては、例えば、ポリプロピレンやプ
ロピレン−エチレン共重合体などから成形された射出成
形品が報告されている(特公平6−34827号公
報)。しかしながら、ポリプロピレン系樹脂成形品は、
熱収縮が激しく、ルアーロック構造の成形精度が十分で
はないため、液漏れ等の問題を生じる。また、ポリプロ
ピレン系樹脂成形品には、残留応力が残っているため、
プレフィルドシリンジ(既充填注射器)のように長時間
薬液と接触させる容器としては、割れが生じ易く適さな
い等の問題点を有している。
【0003】特開平5−317411号公報及び特開平
8−155007号公報には、熱可塑性ノルボルネン系
樹脂が、耐熱性、耐薬品性、透明性に優れ、かつ、該樹
脂からなる容器に薬液を長期間保存しても、樹脂中の各
種配合剤が薬液中に溶出しない等の特性に優れているた
め、注射器等の医療用材料として優れた素材であること
が報告されている。しかし、これらの公報には、ルアー
ロック構造を有するものは示されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、成形
精度に優れ、かつ、残留応力の小さいルアーロック構造
の接続部を有する成形体を提供することにある。本発明
者らは、上記従来技術の問題点に鑑み鋭意検討を行った
結果、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を材料として用い、
ルアーロック構造の接続部を有する注射筒などの成形体
を製造すると、成形精度に優れ、かつ、残留応力が小さ
い成形体の得られることを見いだした。また、ルアーロ
ック構造の角部にRを設けることにより、残留応力をさ
らに低減できることを見いだした。さらに、残留応力を
小さくすること、ルアーロック構造の接続部の締め付け
破壊トルクを大きくすることができることを見いだし
た。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至っ
たものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなる成形体であっ
て、該樹脂からなるルアーロック構造を有する接続部が
成形体本体と一体的に成形されていることを特徴とする
熱可塑性ノルボルネン系樹脂成形体が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】熱可塑性ノルボルネン系樹脂 本発明で使用する熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、特開
平3−14882号公報や特開平3−122137号公
報などに開示されている公知の樹脂である。具体的に
は、ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素添加
物、ノルボルネン系モノマーの付加型重合体、ノルボル
ネン系モノマーとオレフィンとの付加型共重合体、及び
これらの重合体の変性物などが挙げられる。これらの中
でも、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加
物、ノルボルネン系モノマーの付加型重合体、ノルボル
ネン系モノマーとオレフィンの付加型共重合体などが好
ましく、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加
物が特に好ましい。
【0007】ノルボルネン系モノマーは、上記各公報や
特開平2−227424号公報、特開平2−27684
2号公報などに開示されている公知のモノマーである。
具体的には、例えば、ノルボルネン構造を有する多環炭
化水素;そのアルキル、アルケニル、アルキリデン、芳
香族等の置換誘導体;ハロゲン、水酸基、エステル基、
アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル
基等の極性基置換誘導体;これら極性基を有するアルキ
ル、アルケニル、アルキリデン、芳香族等の置換誘導
体;などが挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン
構造を有する多環炭化水素及びそのアルキル、アルケニ
ル、アルキリデン、芳香族等の置換誘導体などが、耐薬
品性や耐湿性等に特に優れ好適である。具体的には、以
下のようなノルボルネン系モノマーを挙げることができ
る。
【0008】ノルボルネン系モノマーの具体例として
は、例えば、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−
ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボ
ルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデ
ン−2−ノルボルネン、5メトキシカルボニル−2−ノ
ルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチ
ル−5メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フ
ェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル
−2−ノルボルネン等;ジシクロペンタジエン、その上
記と同様の置換誘導体等、例えば、2,3−ジヒドロジ
シクロペンタジエン等;ジメタノオクタヒドロナフタレ
ン、その上記と同様の置換誘導体等、例えば、6−メチ
ル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,
6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチ
ル−1,4:5,8,ジメタノ−1,4,4a,5,
6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチ
リデン−1,4:5,8,ジメタノ−1,4,4a,
5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−
クロロ−1,4:5,8,ジメタノ−1,4,4a,
5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−
シアノ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,
5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−
ピリジル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,
5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−
メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメタノ−1,
4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタ
レン等;シクロペンタジエンとテトラヒドロインデン等
との付加物、その上記と同様の置換誘導体等、例えば、
1,4−ジメタノ−1,4,4a,4b,5,8,8
a,9a−オクタヒドロフルオレン、5,8−メタノ−
1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−
2,3−シクロペンタジエノナフタレン等;シクロペン
タジエンの多量体、その上記と同様の置換誘導体等、例
えば、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,
5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾ
インデン、4,11:5,10:6,9−トリメタノ−
3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10
a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタ
アントラセン等;などが挙げられる。これらのノルボル
ネン系モノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上
を組み合わせて用いることができる。熱可塑性ノルボル
ネン系樹脂中のノルボルネン系モノマー結合量の割合
は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常30重量
%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは7
0重量%以上である時に耐熱性が高く好適である。
【0009】共重合可能なビニル化合物としては、例え
ば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチ
ル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メ
チル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,
4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−
ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1
−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセ
ン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタ
デセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のエチレ
ンまたはα−オレフィン;シクロブテン、シクロペンテ
ン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテ
ン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチ
ル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,
5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−
インデンなどのシクロオレフィン;1,4−ヘキサジエ
ン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−
1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非
共役ジエン;などが挙げられる。これらのビニル系化合
物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせ
て使用することができる。
【0010】ノルボルネン系モノマーまたはノルボルネ
ン系モノマーと共重合可能なビニル系化合物との重合方
法及び水素添加方法は、格別な制限はなく、公知の方法
に従って行うことができる。また、得られる重合体や重
合体水素添加物を特開平3−95235号公報などに開
示されている公知の方法により、α,β−不飽和カルボ
ン酸及び/またはその誘導体、スチレン系炭化水素、オ
レフィン系不飽和結合及び加水分解可能な基を持つ有機
ケイ素化合物、不飽和エポキシ単量体等を用いて変性さ
せてもよい。
【0011】熱可塑性ノルボルネン系樹脂の分子量は、
使用目的に応じて適宜選択されるが、80℃デカリン中
で測定した極限粘度〔η〕で通常0.01〜20dl/
g、好ましくは0.1〜10dl/g、より好ましくは
0.2〜5dl/g、最も好ましくは0.3〜1dl/
gの範囲である。熱可塑性ノルボルネン系樹脂の極限粘
度〔η〕が過度に小さいと機械的強度が充分でなく、逆
に、過度に大きいと成形加工性が充分でなく、いずれも
好ましくない。熱可塑性ノルボルネン系樹脂の分子量分
布は、格別な限定はないが、トルエンを溶媒とするゲル
パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による
ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分
子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、通常4.0以下、
好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下であ
るときに、機械的強度が高度に高められ好適である。
【0012】熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移
温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されればよ
いが、通常50〜300℃、好ましくは80〜280
℃、より好ましくは100〜250℃、最も好ましくは
120〜200℃の範囲が、耐熱性や成形加工性が高度
にバランスされ好適である。これらの熱可塑性ノルボル
ネン系樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組
み合わせて用いることができる。
【0013】任意成分 本発明においては、熱可塑性ノルボルネン系樹脂に、必
要に応じて、ゴム状重合体やその他の熱可塑性樹脂を配
合してもよい。ゴム質重合体は、ガラス転移温度(T
g)が0℃以下の重合体であって、通常のゴム状重合体
及び熱可塑性エラストマーが含まれる。ゴム質重合体の
ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)は、使用目的に応
じて適宜選択されるが、通常5〜200の範囲である。
【0014】ゴム状重合体としては、例えば、エチレン
−α−オレフィン系ゴム質重合体;エチレン−α−オレ
フィン−ポリエン共重合体ゴム;エチレン−メチルメタ
クリレート、エテレン−ブチルアクリレートなどのエチ
レンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体;エチレ
ン−酢酸ビニルなどのエチレンと脂肪酸ビニルとの共重
合体;アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル
酸ラウリルなどのアクリル酸アルキルエステルの重合
体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタ
ジエンまたはスチレン−イソプレンのランダム共重合
体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエ
ン−イソプレン共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル共重合体、ブタジエン−(メタ)
アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル共重合
体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル
−アクリロニトリル−スチレン共重合体などのジエン系
ゴム;ブチレン−イソプレン共重合体などが挙げられ
る。
【0015】熱可塑性エラストマーとしては、例えば、
スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレ
ン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレ
ンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロ
ック共重合体などの芳香族ビニル−共役ジエン系ブロッ
ク共重合体、低結晶性ポリブタジエン樹脂、エチレン−
プロピレンエラストマー、スチレングラフトエチレン−
プロピレンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラス
トマー、エチレン系アイオノマー樹脂などを挙げること
ができる。これらの熱可塑性エラストマーのうち、水素
化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチ
レン−イソプレンブロック共重合体などが好ましく、具
体的には、特開平2−133406号公報、特開平2−
305814号公報、特開平3−72512号公報、特
開平3−74409号公報などに記載されているものを
挙げることができる。
【0016】その他の熱可塑性樹脂としては、例えば、
低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密
度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリフェニレン
スルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポ
リエステル、ポリカーボネートなどが挙げられる。これ
らのゴム状重合体やその他の熱可塑性樹脂は、それぞれ
単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることが
でき、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で
適宜選択される。
【0017】本発明においては、必要に応じて、樹脂工
業において通常用いられる配合剤を配合することができ
る。配合剤としては、例えば、安定剤、紫外線吸収剤、
顔料、染料、滑剤、ブロッキング防止剤、結晶核剤、塩
酸吸収剤、天然油、合成油、ワックスなどの滑剤、難燃
剤、帯電防止剤、充填剤;ステアリン酸亜鉛、ステアリ
ン酸カルシウム、1,2−ヒドロキシステアリン酸カル
シウムなどの脂肪酸金属塩;グリセリンモノステアレー
ト、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトール
ジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレー
トなどの多価アルコール脂肪酸エステル;などを挙げる
ことができる。安定剤としては、例えば、フェノール系
酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤な
どが挙げられ、これらの中でも、フェノール系酸化防止
剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が
特に好ましい。
【0018】フェノール系酸化防止剤としては、従来公
知のものが使用でき、例えば、2−t−ブチル−6−
(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジ
ル)−4−メチルフェニルアクリレート、2、4−ジ−
t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2
−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート
などの特開昭63−179953号公報及び特開平1−
168643号公報に記載されるアクリレート系化合
物;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、オク
タデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレン−
ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,
4′−ブチリデン−ビス(6−t−ブチル−m−クレゾ
ール)、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブ
チルフェノール)、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒ
ドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、3,9−ビス
[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−
メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメ
チルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチ
ル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタ
ン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン、テトラキス〔メチレン−3−(3′,5′−
ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート〕メタン[すなわち、ペンタエリスリチル−テト
ラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート〕]、トリエチレングリコ
ールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)プロピオネート〕、トコフェロール
などのアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4
−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6−
(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルアニリノ)−2,
4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6
−(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルアニ
リノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−ト
リアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5
−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合
物;などが挙げられる。
【0019】リン系酸化防止剤としては、一般の樹脂工
業で通常使用されているものであれば格別な制限はな
く、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイ
ソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファ
イト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス
(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−
ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−
t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリ
ス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、2,2−
メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オク
チルホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−
10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、1
0−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスフ
ァフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキ
シ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ
フェナントレンなどのモノホスファイト系化合物;4,
4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチル
フェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4′−
イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C
12〜C15)ホスファイト)、4,4′−イソプロピリデ
ン−ビス〔ジフェニルモノアルキル(C12〜C15)ホス
ファイト〕、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ
−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)
ブタン、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)−4,4′−ビフェニレンジホスファイト、サイク
リックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホス
ファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス
(イソデシルホスファイト)、サイクリックネオペンタ
ンテトライルビス(ノニルフェニルホスファイト)、サ
イクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−
t−ブチルフェニルホスファイト)、サイクリックネオ
ペンタンテトライルビス(2,4−ジメチルフェニルホ
スファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビ
ス(2,6−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト)な
どのジホスファイト系化合物などが挙げられる。これら
の中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリ
ス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニル
フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブ
チルフェニル)ホスファイトなどが特に好ましい。
【0020】イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジ
ラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジミリス
チル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル
−3,3′−チオジプロピオネート、ラウリルステアリ
ル−3,3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスリ
トール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオ
ネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−
2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウン
デカンなどが挙げられる。これらの酸化防止剤は、それ
ぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いるこ
とができる。酸化防止剤の配合量は、熱可塑性ノルボル
ネン系樹脂100重量部に対して、通常0.001〜5
重量部、好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。
【0021】紫外線吸収剤としては、例えば、2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメ
チル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネ
ート、4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−1−[2−
〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジンなどのヒンダードアミン系紫
外線吸収剤;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−
ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾ
トリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒ
ドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、
2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫
外線吸収剤;2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキ
サデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンゾエートなどのベゾエート系紫外線吸収剤;などが挙
げられる。これらの紫外線吸収剤は、それぞれ単独で、
あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
紫外線吸収剤の配合量は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂
100重量に対して、通常0.001〜5重量部、好ま
しくは0.01〜1重量部の範囲である。
【0022】結晶核剤としては、例えば、安息香酸の
塩、ジベンジリデンソルビトール類、燐酸エステルの
塩、あるいはポリビニルシクロヘキサン、ポリ−3−メ
チルブテン、結晶性ポリスチレン類、トリメチルビニル
シランなどの融点の高いポリマー類が好ましく、また、
タルク、カオリン、マイカ等の無機化合物も好ましく使
用できる。これらの結晶核剤は、それぞれ単独で、ある
いは2種以上を組み合わせて用いることができる。結晶
核剤の使用量は、ノルボルネン系樹脂100重量部に対
して、通常0.0001〜1重量部の範囲である。
【0023】塩酸吸収剤としては、例えば、ステアリン
酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン
酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウ
ム、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、12−
ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシ
ステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリ
ン酸亜鉛などの脂肪酸金属塩;エポキシ化ステアリン酸
オクチル、エポキシ化大豆油等のエポキシ系化合物;水
酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ハイドロタルナ
イト等の無機化合物などが挙げられる。これらの塩酸吸
収剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わ
せて用いられる。塩酸吸収剤の配合量は、熱可塑性ノル
ボルネン系樹脂100重量部に対して、通常0.001
〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部の範囲であ
る。
【0024】帯電防止剤としては、例えば、アルキルス
ルホン酸ナトリウム塩、アルキルスルホン酸ホスホニウ
ム塩、ステアリン酸のグリセリンエステル等の脂肪酸エ
ステルヒドロキシアミン系化合物などを例示することが
できる。これらの帯電防止剤は、それぞれ単独で、ある
いは2種以上を組み合わせて用いることができる。帯電
防止剤の配合量は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂100
重量部に対して、通常0〜5重量部の範囲である。
【0025】充填剤としては、例えば、シリカ、ケイ藻
土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石
粉、軽石バルーン、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイ
ト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウ
ム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アス
ベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、
ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、
グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロ
ン繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロ
ピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などを
例示できる。
【0026】成形体 本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂成形体は、上記熱
可塑性ノルボルネン系樹脂と必要に応じて各種成分を、
射出成形、プレス成形、押出成形、回転成形等の通常の
成形法により成形して、各種成形体とすることができ
る。本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂成形体は、ル
アーロック構造を有する接続部が成形体本体と一体的に
成形されていることを特徴とする。ルアーロック構造
は、注射針や活栓などを接続するためのもので、例え
ば、図1にルアーロック構造を有する接続部1の一例を
示す。このルアーロック構造は、メスネジ部2が形成さ
れたものである。ルアーロック構造を有する接続部の液
送管3の外部テーパは6/100、同じく液送管の最先
端の外径は4.00±0.10mm、外周の内径が7.
80±0.10mmである。図2に、このルアーロック
構造を有する接続部が先端部に一体的に成形されている
注射筒の一例を示す。
【0027】本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂成形
体においては、成形体の残留応力を低減させるために、
ルアーロック構造の角部(図1の6及び4で示される部
分など)にアール(R)を設けることが好ましい。Rの
大きさは、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常
0.01〜5mm、好ましくは0.02〜2mm、より
好ましくは0.05〜1mmの範囲のものが、残留応力
を充分に小さくでき、長期間にわたっての薬液との接触
によるクラックの発生や外部衝撃に対する割れ等を低減
できるので好適である。
【0028】ルアーロック構造を有する接続部の締め付
け破壊トルクは、7kgf・cm 以上が好ましく、より
好ましくは9kgf・cm 以上、特に好ましくは11k
gf・cm 以上である。この締め付け破壊トルクが小さ
すぎると、相手の接続具を手で回し込むときに、破壊さ
れやすく、成形体の商品価値を失うおそれがある。本発
明のルアーロック構造を有する接続部が一体的に成形さ
れた熱可塑性ノルボルネン系樹脂成形体は、透明性、耐
熱性、耐薬品性などの特性に加え、機械的強度にも優れ
るので、注射筒等の医療容器、特に、プレフィルドシリ
ンジ用の注射器または容器として好適である。
【0029】プレフィルドシリンジは、(1)熱可塑性
ノルボルン系樹脂を射出成形、インジェクションブロー
成形、ダイレクトブロー成形、インフレーション成形等
により成形して、注射器または容器を製造する、次に、
(2)製造された注射器または容器を、湿熱滅菌または
エチレンオキサイドガス滅菌により滅菌処理後、注射器
または容器の先端部に栓をする、その後(3)充填機に
て、滅菌済みの薬液を無菌的な操作、環境下で充填す
る、あるいは、薬液を充填した後、滅菌しようとする容
器の圧力と(オートクレーブ内であって)その容器の外
圧をほぼ等しくするように調整した圧力調整型湿滅菌、
または通常のオートクレーブを用いて蒸気滅菌を行う、
などの方法により製造することができる。
【0030】
【実施例】以下、本発明について、参考例、実施例、及
び比較例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は、
これらの実施例のみに限定されるものではない。また、
以下の例において、特に断りのない限り、部及び%は、
重量基準である。
【0031】[参考例1]6−メチル−1,4:5,8
−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オ
クタヒドロナフタレン(以下、MTDという。)20部
をシクロヘキサン200部に溶解し、分子量調節剤とし
て1−ヘキセン2部、トリエチルアルミニウムの15%
シクロヘキサン溶液15部及びトリエチルアミン5部を
添加した。この溶液を、20℃に保ちながら、MTD8
0部及び四塩化チタンの20%シクロヘキサン溶液9部
を60分間にわたって連続的に反応系に添加して、開環
重合を行った。1時間反応を行った後、エチルアルコー
ル5部及び水2部を加えて反応を停止させた。反応溶液
を40℃に加温してから、触媒を加水分解した後、硫酸
カルシウム3部及びシクロヘキサン60部を加え、過剰
の水を除去した。析出した金属を含む沈澱物を濾過して
除去し、透明なMTD開環重合体を含有するポリマー溶
液371部を得た。
【0032】上記の反応を繰り返して行い、得られたM
TD開環重合体含有ポリマー溶液750部に、Ni−ケ
イソウ土触媒(N113;日揮化学社製)15部を添加
し、耐圧反応器に入れ、水素を導入して、圧力50kg
/cm2、温度200℃で3時間水素添加反応を行っ
た。反応終了後、シクロヘキサン700部を加えて希釈
し、濾過により触媒を除き、MTD開環重合体水素添加
物含有ポリマー溶液1350部を得た。この溶液550
部をイソプロパノール1500部中へ撹拌しながら注
ぎ、MTD開環重合体水素添加物を凝固させた。凝固さ
せたMTD開環重合体水素添加物を濾過して回収し、イ
ソプロパノール300部で2回洗浄した後、回転式減圧
乾燥器中で5torr、120℃で48時間乾燥し、M
TD開環重合体水素添加物52部を得た。このMTD開
環重合体水素添加物(以下、ポリマーAという。)は、
85℃のデカリン溶液中で測定した極限粘度〔η〕が
0.4dl/g、トルエンを溶媒としたGPCによりポ
リスチレン換算で測定されるMw/Mnの比が2.1、
水素添加率99.8%以上、示差走査熱量分析によるT
gが140℃であった。
【0033】[実施例1]参考例1で得たポリマーA
を、日精樹脂工業社製のFE210型射出成形機にて、
成形時の樹脂温度300℃、金型温度120℃の条件で
射出成形し、図1に示すルアーロック構造の接続部(以
下、ルアーロック部ということがある。)を有し、外径
35mm、厚み2mm、長さ150mmの胴体部、直径
50mm、厚み3mmのフランジを有する注射筒a(図
2)を成形した。成形した注射筒aについて、下記のB
ergen法に従って残留応力を測定すると、100k
g/cm2以下であった。残留応力(kg/cm2)の測定法 (1)各試験液での破断応力の測定 曲げ弾性率E(kg/cm2)の測定 ポリマーAを射出成形により127mm×6.3mmφ
の棒状物に成形し、曲げ弾性率Eを測定したところ、E
=22000kgf/cm2であった。 試験片の歪みeの測定 ポリマーAを電熱プレス(型温度200℃、ゲージ圧2
00kg/cm2)でプレス成形して1mm×10mm
×130mmの試験片を50枚作製した。図3に示すよ
うに、得られた試験片31を(y/4)2 +(x/1
0)2 =1の楕円形を有する楕円形治具(縦100m
m、高さ40mm、幅20mm)32に縛り付け、試験
液に25℃で2時間浸漬し、図3に記載のx軸座標方向
の破断距離Xcmを測定した。試験液をメチルエチルケ
トン、メチルアクリレート、及びエチルアルコールとし
た場合の破断距離は、それぞれ7.1cm、7.6c
m、及び8.7cmであった。上記関係式の楕円のx軸
座標方向での距離(破断距離)Xcmにおける試験片の
歪みeは、次式(1)より求めることができる。この場
合のtは、試験片の厚みである。
【0034】
【数1】 各試験液での破断応力Y(kgf/cm2)の測定各
試験液での破断応力Yは、上記で求めた曲げ弾性率E
(kgf/cm2)値と歪みe値とから、次式(2)式
より算出した。
【0035】 Y=E・e(kgf/cm2) (2) [結果] ・エチルアルコール =210kgf/cm2 ・メチルアクリレート=120kgf/cm2 ・メチルエチルケトン=100kgf/cm2 したがって、成形体を上記破断応力を測定した試験液
に浸漬した際の破断の結果に基づいて、残留応力が測定
される。 (i)エチルアルコール試験液で破断した成形体の残留
応力は、210kgf/cm2以上 (ii)エチルアルコール試験液で破断しなかった成形
体の残留応力は、210kgf/cm2未満 (iii)メチルアクリレート試験液で破断した成形体
の残留応力は、120kgf/cm2以上 (iv)メチルアクリレート試験液で破断しなかった成
形体の残留応力は、120kgf/cm2未満 (v)メチルエチルケトン試験液で破断した成形体の残
留応力は、100kgf/cm2以上 (vi)メチルエチルケトン試験液で破断しなかった成
形体の残留応力は、100kgf/cm2未満 (2)注射筒aの残留応力の測定 注射筒aをメチルエチルケトン、メチルアクリレート、
及びエチルアルコールにそれぞれ浸漬し、25℃で2時
間静置後取り出したところ、いずれの試験液に浸漬した
ものでも外観変化(クラック)はなく、重量変化も見ら
れなかった。したがって、注射筒aの残留応力は、10
0kgf/cm2未満であると評価することができる。
【0036】[実施例2]実施例1と同様にして射出成
形を行い、Rのないルアーロック構造の接続部を有する
注射筒bを得た。実施例1と同様にして注射筒bの残留
応力を測定した。注射筒bは、エチルアルコールに浸漬
しても、外観及び重量ともに問題はないが、メチルアク
リレート及びメチルエチルケトンに浸漬したものは、ク
ラックが生じた。したがって、注射筒bの残留応力は、
120kgf/cm2以上、210kgf/cm2未満の
範囲内にあると評価することができる。
【0037】[比較例1]参考例1で得られたポリマー
Aを、実施例1で用いた金型と、胴体部の構造が同じも
ので、先端部がルアーロック構造がなく単純なテーパー
ノズル構造であるものを用いて、実施例1と同じ条件で
成形し、注射筒cを得た。実施例1と同様にして注射筒
cの残留応力を測定した。注射筒cは、エチルアルコー
ルとメチルアクリレートに浸漬しても、外観及び重量と
もに問題はないが、メチルエチルケトンに浸漬したもの
は、クラックが生じた。したがって、注射筒cの残留応
力は、100kgf/cm2以上、120kgf/cm2
未満の範囲内にあると評価することができる。
【0038】[実施例3]実施例1で得た注射筒aにつ
いて、日本薬局方「輸液用プラスチック容器試験法(ポ
リエチレン、ポリプロピレン製容器)」に従って、溶出
物試験を行った。試験液の泡立ちは、1分間以内に消失
し、空試験液とのpH差は−0.05、紫外線吸収は
0.006、過マンガン酸カリウム還元性物質は0.0
2ml、蒸発残留物は0.0gであり、医療用容器材料
として好適な材料であることがわかった。
【0039】[実施例4]実施例1で得た注射筒a10
本を、成形3日後に、注射筒先端のルアーロック部にゴ
ム栓をし、注射器内部にその内径にあったゴム栓で蒸留
水100mlを封入し、先端と内筒の栓を保持した形で
オートクレーブ(121℃×20分スチーム)滅菌を施
した後、室温まで冷却した。次いで、滅菌直後の注射筒
のルアーロック部に、ゴム栓の代わりに三方活栓
[(株)日本メディカルサプライ製]を手で強く締め付
けたところ、10本中全て外観変化は見られなかった。
また、下記の測定法により、ルアーロック部の締め付け
破壊トルクを測定したところ、平均11.2kgf・c
mであった。ゴム栓で注射筒内部の蒸留水を20ml/
secの速度で押し出したところ、そのルアーロック部
に変化は見られなかった。締め付け破壊トルクの測定法 1)成形体のルアーロック部に、三方活栓[日本メディ
カルサプライ製]を手で軽く回し込む。 2)成形体を万力で固定する。 3)三方活栓を回すことができる金属製治具をはめ込ん
だトルクメータを三方活栓に接続し、ルアーロック部も
しくは三方活栓が破壊するまでねじ込み、破壊した時点
でのトルクを測定する。
【0040】[実施例5]実施例1で得た注射筒a10
本を40℃で半年間放置した後に、実施例3で用いたの
と同じ三方活栓を手で強く締め付け、さらにゴム栓で注
射筒内部の蒸留水を20ml/secの速度で押し出し
た場合、10本中全てのルアーロック部に変化は見られ
ず、液漏れもなかった。また、ルアーロック部の締め付
け破壊トルクを測定したところ、平均8.9kgf・c
mであった。
【0041】[比較例2]実施例2で得た注射筒b10
本を40℃で半年間放置した後に、実施例4で用いたの
と同じ三方活栓を手で強く締めつけたところ、10本中
7本のルアーロック部が破損した。ルアーロック部の締
め付け破壊トルクを測定したところ、平均6.5kgf
・cmであった。
【0042】[比較例3]比較例1で得た注射筒c10
本を40℃で半年間放置した後に、実施例4で用いたの
と同じ三方活栓を手で強く締め付けたところ、10本中
全て外観変化は見られなかったが、ゴム栓で注射筒内部
の蒸留水を20ml/secの速度で押し出した場合
は、10本中9本は、活栓が抜けて内部の蒸留水が漏れ
出した。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、成形精度に優れ、かつ
残留応力の小さいルアーロック構造の接続部を有する成
形体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ルアーロック構造を有する接続部の一
例を示す断面図である。
【図2】図2は、先端にルアーロック構造を有する接続
部が一体的成形された注射筒の一例を示す断面図であ
る。
【図3】図3は、試験片の歪みを測定するための楕円形
治具とその使用法を示す略図である。
【符号の簡単な説明】
1:ルアーロック構造を有する接続部 2:メスネジ 3:液送管 4:R部分 5:外筒 6:R部分 7:成形体本体 31:試験片 32:楕円形治具 33:試験片の破断状態

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなる成
    形体であって、該樹脂からなるルアーロック構造を有す
    る接続部が成形体本体と一体的に成形されていることを
    特徴とする熱可塑性ノルボルネン系樹脂成形体。
  2. 【請求項2】 ルアーロック構造を有する接続部の角部
    がRをもっているものである請求項1記載の熱可塑性ノ
    ルボルネン系樹脂成形体。
  3. 【請求項3】 成形体本体が注射筒であり、ルアーロッ
    ク構造を有する接続部が注射針または活栓との接続部で
    ある請求項1または2記載の熱可塑性ノルボルネン系樹
    脂成形体。
  4. 【請求項4】 ルアーロック構造を有する接続部の締め
    付け破壊トルクが7kgf・cm 以上である請求項1な
    いし3のいずれか1項に記載の熱可塑性ノルボルネン系
    樹脂成形体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015046170A1 (ja) * 2013-09-27 2015-04-02 テルモ株式会社 穿刺機能付シリンジ外筒、穿刺機能付シリンジおよび穿刺機能付プレフィルドシリンジ
WO2016002686A1 (ja) * 2014-06-30 2016-01-07 大成化工株式会社 医薬品容器及び医薬品製剤
JP2020162712A (ja) * 2019-03-28 2020-10-08 テルモ株式会社 シリンジ、シリンジ組立体及びプレフィルドシリンジ

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JPWO2016002686A1 (ja) * 2014-06-30 2017-04-27 大成化工株式会社 医薬品容器及び医薬品製剤
JP2020162712A (ja) * 2019-03-28 2020-10-08 テルモ株式会社 シリンジ、シリンジ組立体及びプレフィルドシリンジ

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