JPH10140873A - 建築物の制振構造 - Google Patents

建築物の制振構造

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JPH10140873A
JPH10140873A JP30538896A JP30538896A JPH10140873A JP H10140873 A JPH10140873 A JP H10140873A JP 30538896 A JP30538896 A JP 30538896A JP 30538896 A JP30538896 A JP 30538896A JP H10140873 A JPH10140873 A JP H10140873A
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Kazuhiko Isoda
和彦 磯田
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豊 藤田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 制振性能に優れ、また、従来一般の架構と同
様な外観および形態で設置可能であり、さらに、ダンパ
ー材料が容易に交換可能であるとともに、メインテナン
スが容易であり、大地震から微少振動までの建築物に生
じる振動を効果的に吸収できるような建築物の制振構造
を提供する。 【解決手段】 柱と梁からなる建築物の架構内の左右の
柱と上下の梁で囲まれた開口部内に、ブレースが設置さ
れてなり、該ブレースは、柱または梁からなる構造材の
一方の側に固定された一方のブレース構成材8と、同他
方のブレース構成材9と、ブレース構成材8、9間に介
装された粘弾性体17とを備えて構成されることを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造物の架構にお
いて、地震動を始めとした振動を吸収するための建築物
の制振構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、建築物を始めとする構造物には、
従来にも増して安全性・信頼性が求められており、その
ため、これらの構造物において生じる地震動を始めとし
た振動を吸収・制御する制振構造については、種々の提
案が行われている。
【0003】これらの制振構造のうち、特に、構造物内
にダンパーを設置して、構造物内に生じる振動エネルギ
ーを吸収しようとしたものが広く知られている。これら
のダンパーは、構造物を構成する壁、柱や梁の一部、あ
るいは屋上や基礎部分に設置されるのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
なダンパーは、その振動吸収特性が優れたものほど望ま
しく、なるべく効率よく振動を吸収できるようなダンパ
ーを利用した制振構造が望まれていた。さらに、近年に
おいては、このようなダンパーの構成材料として、新し
い材料が数多く開発されつつあることから、将来、より
効果的な材料が開発された場合を想定して、ダンパーを
新しいものと容易に交換可能であるような建築物の制振
構造が求められていた。
【0005】一方、上記のようなダンパーは、その設置
目的上、振動を効率よく吸収するように設置してやる必
要があり、そのため、その設置箇所が限定されたり、あ
るいは他の装置を用いて、振動を効率よく吸収できるよ
うに設置してやる必要があった。さらに、このことによ
り、建築物の構造計画、建築計画に支障をきたすことが
あることから、従来一般の架構と同様な外観および形態
で容易に建築物内部に設置できる制振構造が望まれてい
た。
【0006】また、上記のようなダンパーとしてオイル
ダンパーを使用した場合には、定期点検が必要であり、
鋼材ダンパー等の履歴ダンパーを使用した場合には、ダ
ンパー部分が変形した際には、摩耗や残留変形のためダ
ンパー部分を取り替えることが必要であることから、メ
インテナンスのより容易なダンパーを使用した建築物の
制振構造が望まれていた。
【0007】さらに、建築物において発生する振動は、
大規模な地震を原因とするものだけでなく、中小地震や
風等による振動も考えられ、これらは、架構そのものの
健全性にまで影響を及ぼさずとも、建築物内部の居住性
に悪影響を及ぼすため、これらの振動を効率よく吸収す
るような建築物の制振構造が求められていた。
【0008】本発明は、上記のような事情に鑑み行われ
たもので、その目的は、制振性能に優れ、また、従来一
般の架構と同様な外観および形態で設置可能であり、さ
らに、ダンパー材料が容易に交換可能であるとともに、
メインテナンスが容易であり、大地震から微少振動まで
の建築物に生じる振動を効果的に吸収できるような建築
物の制振構造を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明においては、上記
課題を解決するために以下の手段を採用した。すなわ
ち、請求項1記載の建築物の制振構造は、柱と梁からな
る建築物の架構内の左右の柱と上下の梁で囲まれた開口
部内に、ブレースが設置されてなり、該ブレースは、柱
または梁からなる構造材の一方の側に固定された一方の
ブレース構成材と、同他方のブレース構成材と、これら
各ブレース構成材間に介装された粘弾性体とを備えて構
成されていることを特徴とする。
【0010】この建築物の制振構造は、上記のような構
成とされているために、地震等によって建築物の架構に
振動が生じた場合、粘弾性体がダンパーの役割を果たす
ことによって、この振動を吸収することが可能である。
特に、この粘弾性体をブレースの中間に介装したことに
より、外観上は、従来の一般の構造物に使用されるブレ
ースと全く変わりのないものとすることができる。
【0011】請求項2記載の建築物の制振構造は、請求
項1記載の建築物の制振構造であって、前記一方のブレ
ース構成材は、断面矩形の第一の鋼製管状体からなると
ともに、前記他方のブレース構成材は、前記第一の鋼製
管状体に挿入された断面矩形の第二の鋼製管状体からな
り、前記粘弾性体は、前記一方のブレース構成材の外面
と前記他方のブレース構成材の内面との間に介装されて
いることを特徴とする。
【0012】また、請求項3記載の建築物の制振構造
は、請求項1記載の建築物の制振構造であって、前記一
方のブレース構成材は、断面十字形の鋼材からなり、前
記他方のブレース構成材は、前記一方のブレース構成材
の外面に対向して配置された鋼板からなり、これら一方
のブレース構成材および他方のブレース構成材の間に、
前記粘弾性体が介装されていることを特徴とする。
【0013】これらの建築物の制振構造においては、上
記のような構成とされているため、地震等により建築物
を構成する架構に振動が加わった場合に、この振動によ
って、架構に固定された第一、第二のブレース構成材が
変位し、その結果、粘弾性体においてせん断変形が生じ
る。このことにより、粘弾性体が架構の振動エネルギー
を吸収することが可能となる。
【0014】請求項4記載の建築物の制振構造は、請求
項2または3に記載された建築物の制振構造であって、
前記一方のブレース構成材と前記他方のブレース構成材
とのオーバーラップ領域の端部には、該一方のブレース
構成材および該他方のブレース構成材間に、該一方のブ
レース構成材および該他方のブレース構成材の軸方向の
相対変位を許容し、該軸方向に交差する方向の相対変位
を規制するガイドシューが設けられていることを特徴と
する。
【0015】この建築物の制振構造は、上記のような構
成とされているため、架構に振動が加わった場合に、第
一、第二のブレース構成材および粘弾性体からなるダン
パー部分の曲げ変形が防止され、そのかわりに、第一、
第二のブレース構成材が軸方向に相対変位することとな
る。このことにより、粘弾性体にせん断変形が加えら
れ、粘弾性体が良好に架構の振動エネルギーを吸収する
ことが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
を、図面に基づいて説明する。図5は、本発明の一実施
の形態を模式的に示す図面である。図中、符号1は、建
築物を構成する架構であり、架構1における柱2および
梁3によって囲まれた開口部4にはブレース5が設置さ
れている。ブレース5は、架構1に固定されたH形鋼か
らなる一対の端部構成材6、およびそれらの中間に架設
されたダンパー部7から構成されている。
【0017】図1は、ダンパー部7の主要部の詳細を拡
大して示した断面図である。図中に示すようにダンパー
部7は、ブレース構成材8、9を備えた構成とされる。
ブレース構成材8は、断面矩形の第一の鋼製管状体10
からなるものであり、その一方の端部が、図5に示した
ようにスプライスプレート11および高力ボルト12に
よって端部構成材6に接合されたものである。また、ブ
レース構成材9は、端部材13と断面矩形の第二の鋼製
管状体14とを接合してなるものである。端部材13は
断面H形の鋼製部材であり、その一端は、図5に示した
ようにスプライスプレート11および高力ボルト12に
よって端部構成材6に接合され、またその他端は、図1
に示すように、第二の鋼製管状体14と接合されてい
る。このとき、端部材13は、そのウェブ13aが、第
二の鋼製管状体14の内部にまで伸びた状態で、第二の
鋼製管状体14と接合される。さらに、この接合を補強
するためにリブ15が設けられている。
【0018】第一、第二の鋼製管状体10、14は、第
一の鋼製管状体10の内側に第二の鋼製管状体14が挿
入された状態で配置される。また、このように配置が行
われることによって、第一、第二の鋼製管状体10、1
4によってオーバーラップ領域16が形成されることと
なる。
【0019】オーバーラップ領域16における、第一の
鋼製管状体10の外面および第二の鋼製管状体11の内
面との間には、ゴムアスファルトからなる粘弾性体17
が介装され、また、粘弾性体17の端部には、ガイドシ
ュー18が設けられている。
【0020】図2は、図1におけるA−A断面の形状を
示した図であり、粘弾性体17は、この図に示すよう
に、角形鋼管からなる第一、第二の鋼製管状体10、1
4の間に、充填される。これらを成形するにあたって
は、第一、第二の鋼製管状体10、14の間をセパレー
タやベアリングなどで離間させ、この間に加熱し液状化
させた粘弾性体17を流し込み成形するようにすればよ
い。また、図3は、図1におけるB−B断面の形状を示
した図であり、ガイドシュー18は、図3に示すよう
に、第一、第二の鋼製管状体10、14の間に配置され
る。
【0021】図1におけるガイドシュー18およびその
近傍の状態を拡大して図示したのが、図4である。図4
に示すようにガイドシュー18は、第一の鋼製管状体1
0に鋼板19を介して設置されたテフロン系材料からな
る滑り材20と、第二の鋼製管状体14に設置されたS
US304材によって構成されるステンレスプレート2
1を有してなるものであり、滑り材20とステンレスプ
レート21とは互いに固定されず単に当接されるのみと
されるため、これらの間に滑りが発生することが可能と
なっている。図から明らかなように、ガイドシュー18
は、第一、第二の鋼製管状体10、14の軸方向の相対
変位を許容するとともに、これらの軸方向に交差する方
向の相対変位を規制する構成とされている。
【0022】以上が本実施の形態の主要な構成である
が、次に、本実施の形態の機能について説明する。建築
物を構成する架構1に、地震や風等の理由により振動が
発生した場合、架構1に固定された端部構成材6を介し
て、ダンパー部7にも振動が発生することになる。この
とき、ダンパー部7には、軸力とともに曲げモーメント
も作用するが、ガイドシュー18によって、ブレース構
成材8、9の軸方向以外の相対変位が規制されているた
め、ブレース構成材8、9は、曲げ変形することなく、
軸方向に相対変位しながら振動する。
【0023】ブレース構成材8、9が軸方向に振動する
ことにより、第一、第二の鋼製管状体10、14の間に
介装された粘弾性体17は、せん断変形しながらその振
動エネルギーを吸収する。これにより、ブレース構成材
8、9と端部構成材6を介して連結された架構1におけ
る振動エネルギーが、粘弾性体17によって吸収される
こととなる。
【0024】以上説明したように、本実施の形態におい
ては、建築物の架構1中に設けられたブレース5に粘弾
性体が介装されることによって、制振構造が得られる。
したがって、その外観上の形態は、接合部を含めて一般
の鉄骨構造において見られるブレースの場合と同じであ
る。このため、従来の制振構造と比較しても、設置箇所
が特別に限定されたり、また、振動を効率よく吸収する
ために他の装置・構造を用いたりする必要がなく、容易
に設置を行うことができる。また、このようなことか
ら、これを建築物内部に設置するにあたっては、構造計
画、建築計画上の特別な制約がないばかりでなく、従来
の耐震設計と同様の設計作業で、本実施の形態の建築物
の制振構造を、計画内に盛り込むことができる。
【0025】また、本実施の形態の建築物の制振構造
は、ブレース5として建築物内部に設置され、また、端
部構成材6の中間に、ダンパー部7がスプライスプレー
ト11および高力ボルト12によって固定・架設された
構成とされていることから、このダンパー部7を容易に
交換することが可能である。したがって、将来より効果
的なダンパー材料が開発された場合には、新しいダンパ
ーと交換することができるだけでなく、ダンパー部7
を、他の部材と交換することによって、建築物全体の振
動減衰特性および水平耐力の調整を行うことが可能であ
る。例えば、建築物の水平耐力を増加させたい場合に
は、ダンパー部7を一般の鋼材と交換すればよく、ま
た、ダンパー部7を、極軟鋼(極低降伏点鋼)によって
構成した部材と交換することによって、履歴減衰に期待
した鋼材ダンパーとすることもできる。また、本実施の
形態の建築物の制振構造は、ブレース5として建築物内
部に設置されるため、既存建築物の耐震補強を行う際に
も容易に利用することが可能である。
【0026】さらに、本実施の形態においては、ダンパ
ーとして粘弾性体17が用いられていることから、オイ
ルダンパーのように定期点検が要らず、また、鋼材ダン
パーなどのように、建築物に振動が作用することによっ
て、変形して交換が必要となるということもない。この
ため、本実施の形態の建築物の制振構造は、基本的にメ
ンテナンスフリーとすることができる。さらに、ダンパ
ーとして粘弾性体17が使用されているために、中小地
震や風荷重などにも有効な制振構造とすることができ、
建築物における居住性の向上を図ることができる。
【0027】また、粘弾性体17は、粘性とともに弾性
剛性を有しているため、地震等により架構1に振動が生
じた場合にも、架構1に対して復元力を与えることがで
き、したがって、地震後にも、架構1に残留変形が残り
にくい。このため、本実施の形態を建築物に適用するこ
とによって、建築物にとって有害な地震後の残留変形を
防止し、地震後も建築物の機能を維持するようにするこ
とができる。
【0028】また、本実施の形態においては、ダンパー
部7以外にピン等の可動部がなく、エネルギーロスのほ
とんどない単純な機構が採用されているために、架構1
における振動が効率よく粘弾性体17に伝達され、した
がって良好な振動減衰効果が発揮可能である。
【0029】さらに、本実施の形態においては、ダンパ
ー部7が上記のような構成とされているため、この部分
を工場において一体化して製作、運搬することが可能で
あり、現地におけるダンパー取付作業を必要としない。
したがって、他の制振構造に比較して工程的に有利であ
るとともに、通常の鉄骨を利用したブレース構造と比較
しても、工期や、仮設工事に関して全くデメリットのな
いものとすることができる。
【0030】また、本実施の形態においては、ブレース
構成材8、9のオーバーラップ領域16の端部にガイド
シュー18が設けられており、これらによって、粘弾性
体17に圧縮、引張、ねじり変形等が加わらず、せん断
変形のみを生じさせることが可能であり、このことによ
り、粘弾性体17が有効にその機能を発揮することが可
能とされる。
【0031】このように、本実施の形態の建築物の制振
構造は、建築物における振動を効果的に減衰させること
が可能である。したがって、通常の鉄骨構造と比較し
て、構造材の断面を縮小化することも可能であり、その
結果として建築物のコストダウンに貢献することも可能
である。
【0032】以上において、本発明の実施の形態の一例
を示したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定さ
れるものではなく、要求される制振機能や建築物の形状
などに対応して、その材料、形状あるいは設置形態等の
変更が可能である。例えば、上記の実施の形態において
は、粘弾性体17の材質としてゴムアスファルトが用い
られているが、その代わりに、高減衰ゴムなどを用いる
ようにしてもよい。
【0033】また、上記実施の形態における第一、第二
の鋼製管状体10、14の形状を図6のように変更して
もよい。図6(a)は、図2に示したダンパー部7の断
面形状を変更したもので、第一の鋼製管状体10は、一
対の鋼板22と一対の溝形鋼23を高力ボルト24を用
いて締結することにより形成される。また、ダンパー部
7の成形にあたっては、図6(b)に示すように、角形
鋼管からなる第二の鋼製管状体14を、粘弾性体シート
25上に配置し、次いで、この第二の鋼製管状体14
を、粘弾性体シート25上で矢印で示すような方向に転
がすことによって、第二の鋼製管状体14外面に粘弾性
体シート25を巻き付け、その上で溝形鋼23を側面か
ら押しつけ、さらに鋼板22を配置し、これら溝形鋼2
3および鋼板22を高力ボルト24によって接合し一体
化するようにすればよい。
【0034】また、ブレース構成材8、9自体の形状を
図7のように変形することも可能である。図7は、図6
(a)と同様に、ダンパー部7の形状を、上記実施の形
態から変更した場合の例を示したものであり、この場
合、ブレース構成材8は、その少なくとも一部が断面十
字形の鋼材26によって形成され、ブレース構成材9
は、その少なくとも一部が四組のL形鋼からなる鋼板2
7によって形成される。また、粘弾性体17はこれらの
間に配置されている。図7に示したようなダンパー部7
を形成するためには、鋼材26の外面に粘弾性体17を
張り付け、そのさらに外側から鋼板27をあて、これら
を固定するために、タイプレート28を用いて鋼板27
の端部同士を相互に連結するようにすればよい。
【0035】以上、上記実施の形態における粘弾性体1
7の材質およびダンパー部7の形状の変形例を示した
が、本発明の建築物の制振構造は、図5のように設置さ
れるだけでなく、建築物の形状や要求される制振機能等
に応じて図8のように建築物内部の柱2および梁3によ
って形成された開口部4に設置するようにしてもよい。
図8において(a)は、図5において示したブレース5
の設置形態(K型)と同様の設置形態であるが、その他
にも(b)(ノ型)や、(c)(偏心ノ型)、(d)
(偏心K型)のようにブレース5を設置するようにして
もよい。また、(e)は、ブレース5をトラス構造29
のラチス材として使用した場合の例を示したものであ
り、このようにすることによって大スパン構造の振動を
抑制することも可能である。
【0036】また、ガイドシュー18の構造は、必ずし
も図4に示したようなものである必要はなく、図9に示
したように、ベアリングシュー30を用いるようにして
もよい。この場合、ベアリングシュー30は、ブレース
構成材9に溶接され、ブレース構成材8には加工を加え
る必要はない。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る建
築物の制振構造は、粘弾性体が介装されたブレースを建
築物内部に配置する構造とされているため、従来一般の
建築物と同様の外観および形態で施工することができ
る。そのため構造計画、建築計画上の特別な制約がな
く、従来の制振構造と比較しても、設置箇所が限定され
たり、また、振動を効率よく吸収するために他の装置・
構造を用いたりする必要がなく、容易に設置を行うこと
ができる。また、従来の耐震設計と同様の設計作業で、
本発明の建築物の制振構造を、計画内に盛り込むことも
可能とされる。また、既存建築物の耐震補強を行う際に
も、本発明を容易に利用することが可能である。また、
この建築物の制振構造は、架構に対して固定されたブレ
ース構成材間に粘弾性体が介装される構成とされている
ことから、将来より効果的なダンパー材料が開発された
場合に、これらを新しい材料を利用したものと容易に交
換することが可能である。さらに、ダンパーとして粘弾
性体が用いられていることから、基本的にメンテナンス
フリーとすることができ、また、中小地震や風荷重に対
しても有効であり、このため、建築物における居住性の
向上を図ることができる。また、粘弾性体は、粘性とと
もに弾性剛性を有しているため、地震等により架構に振
動が生じた場合にも、架構に対して復元力を与えること
ができ、このため、本発明を建築物に適用することによ
って、建築物にとって有害な地震後の残留変形を防止
し、地震後も建築物の機能を維持するようにすることが
できる。
【0038】請求項2および請求項3に係る建築物の制
振構造によれば、粘弾性体およびブレース構成材の接合
部以外にエネルギーロスのほとんどない単純な機構が採
用されているために、架構における振動が効率よく粘弾
性体に伝達され、したがって請求項1に係る発明が良好
に実施可能である。さらに、これらの発明においては、
粘弾性体およびブレース構成材の部分を工場において一
体化して製作、運搬することが可能であり、現地におけ
るダンパー取付作業が必要とされず、他の制振構造に比
較して工程的に有利であるとともに、通常の鉄骨を利用
したブレース構造と比較しても、工期や、仮設工事に関
して全くデメリットのないものとすることができる。
【0039】請求項4に係る建築物の制振構造によれ
ば、ブレース構成材のオーバーラップ領域の端部にガイ
ドシューが設けられることから、粘弾性体に圧縮、引
張、ねじり変形等が加わらず、せん断変形のみを生じさ
せることが可能であり、このことにより、請求項2また
は3に係る発明が有効にその機能を発揮することが可能
とされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を模式的に示す、ブレ
ース構成材の主要部および粘弾性体の側断面図である。
【図2】 図1に示したブレース構成材および粘弾性体
の軸方向の断面図である。
【図3】 図1に示したブレース構成材および粘弾性体
の軸方向の断面図である。
【図4】 図1に示したブレース構成材間に設置される
ガイドシューおよびその近傍の状況を拡大して示した側
断面図である。
【図5】 本発明の建築物の制振構造の外観を示す図で
ある。
【図6】 本発明におけるブレース構成材および粘弾性
体の、図1および図2に示したものとは別の実施の形態
を示す図であり、(a)は、その断面図、(b)は、そ
の製作方法を示す図である。
【図7】 本発明におけるブレース構成材および粘弾性
体において、図1および図2ならびに図6に示したもの
とは別の実施の形態を示す断面図である。
【図8】 本発明の建築物の制振構造の設置形態の例を
示す図である。
【図9】 本発明におけるガイドシューの、図4に示し
たものとは別の実施の形態を示した図である。
【符号の説明】
1 架構 2 柱 3 梁 4 開口部 5 ブレース 8、9 ブレース構成材 10 第一の鋼製管状体 14 第二の鋼製管状体 17 粘弾性体 18 ガイドシュー 26 鋼材 27 鋼板

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 柱と梁からなる建築物の架構内の左右の
    柱と上下の梁で囲まれた開口部内に、ブレースが設置さ
    れてなり、 該ブレースは、柱または梁からなる構造材の一方の側に
    固定された一方のブレース構成材と、同他方のブレース
    構成材と、これら各ブレース構成材間に介装された粘弾
    性体とを備えて構成されていることを特徴とする建築物
    の制振構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の建築物の制振構造であっ
    て、前記一方のブレース構成材は、断面矩形の第一の鋼
    製管状体からなるとともに、前記他方のブレース構成材
    は、前記第一の鋼製管状体に挿入された断面矩形の第二
    の鋼製管状体からなり、 前記粘弾性体は、前記一方のブレース構成材の外面と前
    記他方のブレース構成材の内面との間に介装されている
    ことを特徴とする建築物の制振構造。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の建築物の制振構造であっ
    て、前記一方のブレース構成材は、断面十字形の鋼材か
    らなり、前記他方のブレース構成材は、前記一方のブレ
    ース構成材の外面に対向して配置された鋼板からなり、 これら一方のブレース構成材および他方のブレース構成
    材の間に、前記粘弾性体が介装されていることを特徴と
    する建築物の制振構造。
  4. 【請求項4】 請求項2または3に記載された建築物の
    制振構造であって、 前記一方のブレース構成材と前記他方のブレース構成材
    とのオーバーラップ領域の端部には、該一方のブレース
    構成材および該他方のブレース構成材間に、該一方のブ
    レース構成材および該他方のブレース構成材の軸方向の
    相対変位を許容し、該軸方向に交差する方向の相対変位
    を規制するガイドシューが設けられていることを特徴と
    する建築物の制振構造。
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