JPH10140549A - 畦畔およびその形成方法 - Google Patents

畦畔およびその形成方法

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JPH10140549A
JPH10140549A JP30528396A JP30528396A JPH10140549A JP H10140549 A JPH10140549 A JP H10140549A JP 30528396 A JP30528396 A JP 30528396A JP 30528396 A JP30528396 A JP 30528396A JP H10140549 A JPH10140549 A JP H10140549A
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ridge
cement
soil
solidifying material
based solidifying
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JP30528396A
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Yasuo Morita
泰雄 森田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 施工および保守管理が容易で耐用年数が長い
畦畔を提供する。 【解決手段】 土壌のみにて形成した原畦畔の頂部を、
両側に所定の厚さを残して長手方向に沿って田2,2の
地表面より深く凹溝状に掘り返して溝部5を形成する。
掘り返しとともにセメント系固化材を溝部5内の土壌に
添加し混合しつつ掘り返し作業を進行し、上端面を略平
滑に慣らす。3CaO-3Al2O3-CaSO4 、エーライト、ビーラ
イトを主成分としたセメント系固化材を一軸圧縮強度が
5〜10kgf/cm2 程度となる量を添加する。土壌中の水
分などによりエトリンガイトが生成して土壌粒子間を架
橋し、さらにカルシウムシリケートが生成して高強度の
補強部3を硬化形成する。補強部3の両側に位置する掘
り残した盛土部4,4の土壌とセメント系固化材のアル
カリ成分が反応して一体化し、畦畔1の側面のpHは中
性化する。耐用年数が長く保守管理が容易な畦畔1を容
易に施工できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、田を区画する畦畔
およびその形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、田を区画する畦畔は、農機具によ
る手作業や耕耘機などにより、土壌を略10cm程度の高
さの断面略台形の壁状に盛り上げて形成している。しか
しながら、この畦畔は、降雨などにより一部決壊するよ
うな水路が形成されたり、地中動物などによって内部に
不定形な形状で穴が開けられるなどにより、漏水を生じ
たり、崩れ落ちるなどの損傷を生じるので、定期的に点
検して補修しなければならない。また、雑草の繁茂によ
り、畦畔の内部深く間で雑草の根が伸び、この繁茂した
雑草の除去作業が煩雑であるとともに隣接する田へ雑草
の根が伸び作物に悪影響を及ぼす問題がある。そこで、
例えば図5に示す畦畔および図6に示す畦畔が知られて
いる。
【0003】図5に示す畦畔11は、盛土作製した畦畔で
ある原畦畔12を覆うように可撓性の合成樹脂シート13な
どを被せ、畦畔11の両側基端部で合成樹脂シート13の縁
を埋め戻して固定し形成するものである。
【0004】また、図6に示す畦畔21は、盛土作製した
畦畔である原畦畔22の一側、すなわち区画する田の高所
側を可撓性の合成樹脂やゴムなどのシート23などで覆
い、所定間隔でこのシート23を抑える棒体24を畦畔21の
両側基端部に立設し、シート23の端部および棒体24の貴
端部を埋め戻して固定し形成するものである。
【0005】しかしながら、この図5および図6に示す
各畦畔11,21は、代かきなどの際に原畦畔12,22の際ま
で田が耕されるため、農機具などにより合成樹脂シート
13やシート23が損傷したり、農機具に絡み付いて耕作作
業が煩雑となるなどのために、一旦合成樹脂シート13や
シート23が取り外されるので、毎年取り外しおよび張り
直し作業を行わなければならないとともに、農作業や繁
茂する雑草の除去などの際に損傷するなどにより合成樹
脂シート13やシート23を交換する作業や畦畔11,21の原
畦畔12,22などの補修作業を毎年行わなければならな
い。
【0006】このため、図7に示すように、原畦畔の頂
部を長手方向に沿って田31,31の地表面よりさらに深
く、例えば20cm以上深さで凹溝状に溝部32を掘削し、
平板状に形成されたコンクリートブロック33を連続する
ように溝部32内に配置して埋め戻し形成した畦畔34の構
成が知られている。
【0007】しかしながら、このコンクリートブロック
33を用いる畦畔34は、重量の重いコンクリートブロック
33を埋設する作業が煩雑で、施工性が低く、施工コスト
および材料コストが高価であるとともにコンクリートブ
ロック33と両側の土壌とが一体化しない問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、図5
および図6に示す合成樹脂シート13およびシート23を用
いる従来の各畦畔11,21では、耐用年数に限りがあり、
毎年作業が必要となり、図7に示すコンクリートブロッ
ク33を用いる従来の畦畔34では、施工が煩雑で高価とな
る問題がある。
【0009】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
で、施工および保守管理が容易で耐用年数が長い畦畔お
よびその形成方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の畦畔は、
田を区画する畦畔において、略鉛直方向に沿って壁状で
セメント系固化材および土壌が混合されて形成された補
強部と、この壁状の補強部の両側面を覆う盛土部とを具
備したもので、土壌とセメント系固化材とを混合して略
鉛直方向に沿って壁状に硬化した補強部の両側面に盛土
部を設けて形成するため、安価で容易に高強度に形成で
き、施工性が向上し、天候や地中動物、雑草の繁茂など
による損傷が防止され盛土部により補強部が保護され、
保守管理が容易で、耐用年数が向上するとともに盛土部
によりセメント系固化材によるアルカリの影響が低減す
る。
【0011】請求項2記載の畦畔は、請求項1記載の畦
畔において、補強部は、地盤の砕土により生じた土壌と
セメント系固化材とが混合されて形成されたもので、地
盤を砕土して生じた土壌とセメント系固化材とを混合し
て補強部を形成させるため、余剰土壌をほとんど生じ
ず、施工性が向上し、安価となる。
【0012】請求項3記載の畦畔は、請求項1または2
記載の畦畔において、盛土は、補強部のセメント系固化
材によるアルカリが田で育成する水稲へ悪影響を及ぼさ
ない厚さ寸法で設けられたもので、補強部のセメント系
固化材によるアルカリによって田で育成する水稲に悪影
響を及ぼさない厚さ寸法で盛土を設けるため、水稲が良
好に育成される。
【0013】請求項4記載の畦畔は、請求項1ないし3
いずれか一記載の畦畔において、セメント系固化材は、
エトリンガイトを生成させる組成であるもので、エトリ
ンガイトを生成させる組成のセメント系固化材を用いる
ため、土壌とセメント系固化材の混合により早期に土壌
の粒子間にエトリンガイトが架橋生成して強度の上昇が
得られる。
【0014】請求項5記載の畦畔は、請求項4記載の畦
畔において、セメント系固化材は、珪酸カルシウム化合
物を生成させる組成であるもので、珪酸カルシウム化合
物を生成させる組成のセメント系固化材を用いるため、
土壌とセメント系固化材の混合により土壌の粒子間に珪
酸カルシウム化合物が架橋生成して高強度が長期間得ら
れる。
【0015】請求項6記載の畦畔は、請求項4または5
記載の畦畔において、セメント系固化材は、土壌の粒子
間にポゾラン反応を生じさせる組成であるもので、土壌
の粒子間にポゾラン反応を生じさせる組成のセメント系
固化材を用いるため、土壌とセメント系固化材の混合に
より土壌の粒子間にポゾラン反応が生じて高強度が長期
間得られる。
【0016】請求項7記載の畦畔の形成方法は、田を区
画する畦畔の形成方法において、あらかじめ形成した畦
畔の頂部を長手方向に沿って凹溝状の溝部を砕土し、こ
の溝部内にセメント系固化材を注入し、このセメント系
固化材と前記溝部を砕土して生じた土壌とを混合した土
壌セメントを前記溝部内で硬化させて補強部を形成する
もので、あらかじめ形成した畦畔の頂部を長手方向に沿
って凹溝状の溝部を砕土形成しつつこの溝部内にセメン
ト系固化材を注入してセメント系固化材と砕土して生じ
た土壌とを混合して土壌セメントを硬化させて両側面に
盛土が略一体的に盛られた状態の補強部を形成するた
め、高強度で保守管理が容易な耐用年数の長い安価な畦
畔の施工作業が容易で砕土で生じる土壌をほとんど処分
する必要がなく施工性が向上する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の畦畔の実施の一形
態を図面を参照して説明する。
【0018】図1および図2において、1は畦畔で、こ
の畦畔1は、断面略台形で壁状に形成され、田2,2を
区画形成する。そして、この畦畔1は、略中央部に壁状
で土壌とセメント系固化材との混合物である土壌セメン
トの硬化により形成された補強部3を有している。さら
に、補強部3の両側面には、田2,2の地表面に連続す
るように、土壌が盛土されて盛土部4が形成され、畦畔
1が断面略台形の壁状に形成されている。
【0019】次に、上記畦畔の形成動作を説明する。
【0020】まず、あらかじめ土壌のみにて頂部の幅寸
法が略30〜40cmで田2,2の地表面から約10cmの
高さで形成された畦畔である原畦畔の頂部を、図2に示
すように、長手方向に沿って凹溝状に掘り返すように鍬
などの農機具や耕耘機などにて、両側に厚さ寸法が略5
cm以上、好ましくは略10cm残すように幅寸法を略10
〜20cm、深さ寸法を田2,2の地表面よりさらに約2
0cmの深さとなるように砕土して溝部5を形成する。な
お、この溝部5の形成の砕土は、掘り返し、すなわち掘
削されて生じた土壌で溝部5内が埋まった状態となるよ
うに掘り返す作業である。
【0021】さらに、この掘り返しとともにセメント系
固化材を溝部5内に注入する。なお、セメント系固化材
としては、例えば表1に示す組成で、3CaO・3Al
2 3 ・CaSO4 、エーライト(3CaO・Si
2 )およびビーライト(2CaO・SiO2 )を主成
分とした粉末状のセメント(秩父小野田株式会社製 商
品名:ジオライト)を用いたり、このセメントと水とを
適宜混合したスラリ状のセメントミルクを用いるなどが
用いられる。
【0022】
【表1】 なお、人が乗れる強度は0.3kgf/cm2 程度であること
から、原畦畔の性質上、強度は一軸圧縮強度が5〜10
kgf/cm2 程度得られれば十分であり、セメント系固化材
は、土壌に対して4〜8容積%添加すればよい。
【0023】また、セメント系固化材の注入は、掘り返
しにて生じた土壌と混ぜるように直接溝部5内の土壌に
添加し、添加したセメント系固化材と土壌とを混合する
ように掘り返し作業を進行しつつ、セメント系固化材と
土壌とが混合された土壌セメントの上部を原畦畔の上端
面が平面状に連続するように慣らし作業する。
【0024】なお、粉末状のセメントを用いる場合に
は、セメントミルクを作製する作業が不要となり畦畔1
を作製する際の掘り返し作業をしつつ添加するのみでよ
く作業性が良好となる。また、セメントミルクを用いる
場合には、田2,2の代かきである水を添加して慣らす
作業と同様に、セメントミルクと土壌とが混合された土
壌セメントがスラリ状となり、上端面の慣らし作業など
が容易で上端面を容易に略平滑にできるとともに、土壌
とセメントミルクとが略均一に混合され、強度分布の均
一化および溝部5の側面に面する土壌へのセメントミル
クの一部浸透による一体化による畦畔1の強度の増大が
得られる。
【0025】そして、土壌セメントは、粉末状のセメン
ト系固化材を用いた場合には土壌中の水分により硬化
し、スラリ状のセメント系固化材を用いた場合には添加
した水分により硬化して補強部3が形成され、畦畔1が
形成される。
【0026】次に、上記畦畔1の作用について説明す
る。
【0027】土壌セメントの硬化は、土壌中の水分およ
び添加した水分により水和反応が生じて、エトリンガイ
ト(3CaO・Al2 3 ・3CaSO4 ・32H
2 O)を生成、すなわち、 3CaO・3Al2 3 ・CaSO4 +Ca2++SO4
2-+H2 O→3CaO・Al2 3 ・3CaSO4 ・3
2H2 O の反応式に示すエトリンガイトの生成反応が進行する。
そして、この生成された針状結晶のエトリンガイトは、
土壌粒子間を架橋するように成長し、土壌セメントを硬
化させ、補強部3が形成される。
【0028】さらに、セメント系固化材は、土壌中の水
分によりエーライトおよびビーライトは水和反応を生じ
て、カルシウムシリケート水和物(CaO−Al2 3
−H2 O)を生成、すなわち、 3CaO・SiO2 、2CaO・SiO2 +H2 O→C
aO−SiO2 −H2 O+Ca(OH)2 のカルシウムシリケートの生成反応が進行し、この生成
するカルシウムシリケートにより、補強部3の強度上昇
が得られる。
【0029】なお、これら、エトリンガイトの生成反応
およびカルシウムシリケートの生成反応は施工後7〜8
時間で得られる。
【0030】そしてさらに、土壌中のシリカ(Si
2 )やアルミナ(Al2 3 )がセメント系固化材に
含有された消石灰(Ca(OH)2 )および生成された
消石灰とにてポゾラン反応が進行してカルシウムシリケ
ート水和物、カルシウムアルミネート水和物(CaO・
Al2 3 ・H2 O)、ゲーレナイト水和物(2CaO
・Al2 3 ・SiO2 ・nH2 O)を生成、すなわ
ち、 SiO2 、Al2 3 +Ca(OH)2→CaO・Si
2 ・H2 O、CaO・Al2 3 ・H2 O、2CaO
・Al2 3 ・SiO2 ・nH2 O のポゾラン反応が進行して、補強部3の強度がさらに増
大する。
【0031】また、土壌中のアルミナとセメント系固化
材の消石灰や生成された消石灰にセメント系固化材中の
三酸化硫黄(SO3 )とにより、エトリンガイトをさら
に生成、すなわち、 Al2 3 +Ca(OH)2 +SO4 2-→3CaO・A
2 3 ・3CaSO4 ・32H2 O の反応が進行して補強部3の強度がさらに増大する。
【0032】そして、これらエトリンガイトの生成反
応、カルシウムシリケートの生成反応およびポゾラン反
応により補強部3が形成初期から長期に亘って高強度が
得られるとともに、溝部5の側面に位置するフリーの消
石灰が溝部5の側面に位置するシリカやアルミナなどと
反応してカルシウムシリケート水和物やカルシウムアル
ミネート水和物、ゲーレナイト水和物、エトリンガイト
などを生成して補強部3の側面と溝部5の側面とが一体
的に連結されるように硬化し、高強度の畦畔1が形成さ
れている。
【0033】ところで、補強部3は、セメント系固化材
を含有するため、pHが10〜11程度であるが、補強
部3の両側である田に面する側に厚さ寸法で約5cm以
上、好ましくは略10cm程度の盛土部4,4を設けたた
め、補強部3から溶出するアルカリ成分である消石灰な
どは、上述した反応によりカルシウムシリケート水和物
やカルシウムアルミネート水和物、ゲーレナイト水和
物、エトリンガイトなどを生成するイオン交換反応など
により、畦畔1の田に面する側面では図3に示すように
ほとんど中性となり、田2,2で育成する水稲への影響
はない。
【0034】上述したように、原畦畔の頂部を長手方向
に所定の深さで掘り返しつつこの掘り返しにて生じた土
壌とセメント系固化材とを混合して硬化させて壁状の補
強部3を形成させたため、天候の変化による水路の発生
や地中動物などによって不定形な形状で穴が開けられ、
漏水を生じたり崩れ落ちるなどの損傷を防止でき、保守
管理が長期間ほとんど不要で耐用年数を延長できるとと
もに、高度な施工技術が不要で容易に施工でき、施工性
を向上できるとともに高価な部材も用いないため、畦畔
を安価に形成できる。
【0035】さらに、補強部3にて仕切られるととも
に、畦畔1の補強部3近傍の内部ではpHが10〜11
近傍となるため、雑草の根が長く伸びず繁茂性が低下し
て、雑草の除去が容易で、畦畔を介して隣接する田2,
2へ伸びることを防止でき、伸びた根による水稲への悪
影響を及ぼすことがなくなるとともに、雑草の伸びた根
による畦畔1の損傷をも防止でき、保守管理が容易とな
る。
【0036】また、高強度が得られるため、耕耘機など
が接触しても盛土部4,4のみが損傷するのみで、畦畔
1が決壊する損傷を防止でき、保守管理が容易となる。
【0037】そして、補強部3の両側面に盛土部4,4
を設けて畦畔1を形成するため、田2,2に面する畦畔
1の側面では補強部3のセメント系固化材によるpHの
影響がほとんどなく、田2,2で育成する水稲に悪影響
を及ぼさず、良好に水稲を育成できるとともに、この盛
土部4,4により補強部3が保護された状態となるので
農作業の際に補強部3が損傷することを防止できる。
【0038】また、セメント系固化材としてを含有する
ものを用いたため、補強部3の形成当初から高い強度が
得られるため、田2,2の作業が畦畔1の作製後に直ち
に開始でき、農作業に支障を来すことを防止できるとと
もに、セメントの固化阻害物質であるフミン酸やリグニ
ンなどの有機物を比較的多く含有する原畦畔を構成する
土壌でも容易に高強度で硬化でき、セメントの固化阻害
物質である亜鉛や銅などの化合物が含有されていても容
易に高強度が得られる。
【0039】そして、代かきの際や降雨などにより生成
されるエトリンガイトの針状結晶間に土壌粒子が侵入し
て緻密構造となり、防水性がさらに向上できる。
【0040】さらに、エーライトおよびビーライトを含
有するセメント系固化材を用いたため、3CaO・3A
2 3 ・CaSO4 による結合強度の他にカルシウム
シリケートなどの土壌粒子間の結合が得られ、さらに高
強度が長期に亘って得られる。
【0041】また、補強部3は、土壌セメントを硬化さ
せたものであるため、普通ポルトランドセメントによる
コンクリートブロックなどに比して強度が低いため、畦
畔1の位置を変えるなどの場合には、コンクリートブロ
ックなどに比して容易に解体でき、作業性を向上でき
る。
【0042】そして、3CaO・3Al2 3 ・CaS
4 、エーライトおよびビーライトを主成分としたセメ
ント系固化材を用いためた、盛土部4,4の厚さ寸法が
5cm以上であれば田2,2へのpHによる悪影響を防止
できることから、補強部3の厚さ寸法を大きく設定で
き、さらに畦畔1の強度を向上できる。
【0043】さらに、3CaO・3Al2 3 ・CaS
4 、エーライトおよびビーライトを主成分としたセメ
ント系固化材を用いたため、固化阻害物質が混入する土
壌でも早期から強度が発現し長期間に亘って高強度を維
持できるため、普通ポルトランドセメントなどを用いる
場合に比して添加量を少なくでき、安価な畦畔1が得ら
れる。
【0044】なお、上記実施の形態において、例えば図
4に示すように、区画する田2,2の地表面の位置が異
なる場合には、低い田2の地表面の位置に対応して砕土
または掘削する深さを設定することにより、同様な効果
が得られる。
【0045】また、セメント系固化材として、3CaO
・3Al2 3 ・CaSO4 、エーライトおよびビーラ
イトを主成分としたものを用いて説明したが、エトリン
ガイトを生成させる組成のもの、さらにカルシウムシリ
ケート化合物を生成させる組成のもの、さらにポゾラン
反応を生じさせる組成のものなどいずれのセメント系固
化材を用いてもできる。なお、施工初期から強度が得ら
れ、盛土部4,4の厚さ寸法を余り厚くせずとも田2,
2への悪影響のない組成のものが好ましい。
【0046】そして、畦畔1の形成の際、掘削すなわち
掘り返して生じた土壌を一端溝部5外に取り除き、この
土壌とセメント系固化材とを混合して土壌セメントとし
たものを溝部5内に流入させてもどすなどしてもよい。
この形成方法では、粉末状のセメント系固化材を用いる
場合に容易に均一混合でき、補強部3の強度ばらつきを
容易に防止できる。
【0047】さらに、掘削して生じた土壌を取り除いて
形成した溝部5内に別途土壌とセメント系固化材とを混
合した土壌セメントを投入してもよい。
【0048】また、補強部3の上部にも土壌を盛土して
もよい。この構成によれば、補強部3の風化による損傷
を防止できる。
【0049】
【発明の効果】請求項1記載の畦畔によれば、土壌とセ
メント系固化材とを混合して形成した壁状の補強部の両
側面に盛土部を設けて形成するため、安価で容易に高強
度に形成でき、施工性を向上でき、天候や地中動物、雑
草の繁茂などによる損傷や農作業による損傷を防止で
き、保守管理が容易で、耐用年数を向上できるとともに
盛土部にてセメント系固化材によるアルカリの影響を低
減できる。
【0050】請求項2記載の畦畔によれば、請求項1記
載の畦畔の効果に加え、地盤を砕土して生じた土壌とセ
メント系固化材とを混合して補強部を形成させるため、
余剰土壌がほとんど生じず、施工性を向上できるととも
に、安価に形成できる。
【0051】請求項3記載の畦畔によれば、請求項1ま
たは2記載の畦畔の効果に加え、補強部のセメント系固
化材によるアルカリによって田で育成する水稲に悪影響
を及ぼさない厚さ寸法で盛土を設けるため、水稲を良好
に育成できる。
【0052】請求項4記載の畦畔によれば、請求項1な
いし3いずれか一記載の畦畔の効果に加え、エトリンガ
イトを生成させる組成のセメント系固化材を用いるた
め、土壌とセメント系固化材の混合により混合後から早
期に土壌の粒子間にエトリンガイトが架橋生成して強度
の上昇が得られる。
【0053】請求項5記載の畦畔によれば、請求項4記
載の畦畔の効果に加え、珪酸カルシウム化合物を生成さ
せる組成のセメント系固化材を用いるため、土壌とセメ
ント系固化材の混合により土壌の粒子間に珪酸カルシウ
ム化合物が架橋生成して長期間に亘って高強度が得られ
る。
【0054】請求項6記載の畦畔によれば、請求項4ま
たは5記載の畦畔の効果に加え、土壌の粒子間にポゾラ
ン反応を生じさせる組成のセメント系固化材を用いるた
め、土壌とセメント系固化材の混合により土壌の粒子間
にポゾラン反応が生じて長期間に亘って高強度が得られ
る。
【0055】請求項7記載の畦畔の形成方法によれば、
あらかじめ形成した畦畔の頂部を長手方向に沿って凹溝
状の溝部を砕土形成しつつこの溝部内にセメント系固化
材を注入してセメント系固化材と砕土して生じた土壌と
を混合して土壌セメントを硬化させて両側面に盛土が略
一体的に盛られた状態の補強部を形成するため、高強度
で保守管理が容易な耐用年数の長い安価な畦畔を容易に
施工でき、砕土で生じる土壌をほとんど処分する必要が
なく施工性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の畦畔の実施の一形態を示す部分斜視図
である。
【図2】同上断面図である。
【図3】同上補強部から距離とpHとの関係を示すグラ
フである。
【図4】本発明の畦畔の他の実施の形態を示す断面図で
ある。
【図5】従来例の畦畔を示す断面図である。
【図6】従来の他の畦畔を示す部分斜視図である。
【図7】従来のさらに他の畦畔を示す断面図である。
【符号の説明】
1 畦畔 2 田 3 補強部 4 盛土部 5 溝部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 田を区画する畦畔において、 略鉛直方向に沿って壁状でセメント系固化材および土壌
    が混合されて形成された補強部と、 この壁状の補強部の両側面を覆う盛土部とを具備したこ
    とを特徴とする畦畔。
  2. 【請求項2】 補強部は、地盤の砕土により生じた土壌
    とセメント系固化材とが混合されて形成されたことを特
    徴とする請求項1記載の畦畔。
  3. 【請求項3】 盛土は、補強部のセメント系固化材によ
    るアルカリが田で育成する水稲へ悪影響を及ぼさない厚
    さ寸法で設けられたことを特徴とする請求項1または2
    記載の畦畔。
  4. 【請求項4】 セメント系固化材は、エトリンガイトを
    生成させる組成であることを特徴とした請求項1ないし
    3いずれか一記載の畦畔。
  5. 【請求項5】 セメント系固化材は、珪酸カルシウム化
    合物を生成させる組成であることを特徴とした請求項4
    記載の畦畔。
  6. 【請求項6】 セメント系固化材は、土壌の粒子間にポ
    ゾラン反応を生じさせる組成であることを特徴とした請
    求項4または5記載の畦畔。
  7. 【請求項7】 田を区画する畦畔の形成方法において、 あらかじめ形成した畦畔の頂部を長手方向に沿って凹溝
    状の溝部を砕土し、 この溝部内にセメント系固化材を注入し、 このセメント系固化材と前記溝部を砕土して生じた土壌
    とを混合した土壌セメントを前記溝部内で硬化させて補
    強部を形成することを特徴とした畦畔の形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019058091A (ja) * 2017-09-26 2019-04-18 デンカ株式会社 防草材及びそれの使用方法

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JP2019058091A (ja) * 2017-09-26 2019-04-18 デンカ株式会社 防草材及びそれの使用方法

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