JPH10137920A - 鉄道車両用複合材料ブレーキディスクの製造方法 - Google Patents

鉄道車両用複合材料ブレーキディスクの製造方法

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JPH10137920A
JPH10137920A JP29676896A JP29676896A JPH10137920A JP H10137920 A JPH10137920 A JP H10137920A JP 29676896 A JP29676896 A JP 29676896A JP 29676896 A JP29676896 A JP 29676896A JP H10137920 A JPH10137920 A JP H10137920A
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aluminum alloy
matrix
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railway vehicle
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JP29676896A
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Yoji Azumaguchi
洋史 東口
Seiichi Furuya
精市 古谷
Tokuji Sakaguchi
篤司 坂口
Taizo Makino
泰三 牧野
Kazuhisa Shibue
和久 渋江
Yoshimasa Okubo
喜正 大久保
Naoki Tokizane
直樹 時実
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Nippon Steel Corp
Sumitomo Light Metal Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Light Metal Industries Ltd
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アルミニウム合金をマトリックスとするセラミ
ック粒子を分散させた、鉄道車両用複合材料ブレーキデ
ィスクの製造方法の提供。 【解決手段】アルミニウム合金の溶湯を不活性ガスにて
噴霧した未凝固の微粉を、基盤上に堆積凝固させて鋳塊
を作る過程において、溶湯噴霧中に平均粒径 1〜20μm
のセラミックス粒子を混合することにより、アルミニウ
ム合金マトリックスに重量%にて 5〜30%の粒子を分散
させた複合物を造塊し、これを加圧加工することによる
鉄道車両用複合材料ブレーキディスクの製造方法。この
マトリックスとして、(1) Mg: 2〜 5%、Mn: 0.1
〜 1%、およびCr:0.05〜0.35%を含有する合金、
(2) Fe: 5〜10%で、V、Mo、Zr、Ti、Cr、
MnまたはNiの1種以上を合計にて 0.2〜 3%含有す
る合金、(3) Si: 5〜10%で、Cu、Mg、Fe、N
i、Mn、Cr、Ti、ZnまたはZrの1種以上を合
計にて 4%以下含有するの合金、等のアルミニウム合金
を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鉄道車両に用いられ
る摩擦によって機械的に制動力を得るディスクブレーキ
のディスクの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄道車両や自動車および自動二輪車など
の機械的制動方式には、ブロックブレーキ、ドラムブレ
ーキおよびディスクブレーキなどがあり、近年は車両の
高速化や大荷重化に伴い、ディスクブレーキが多用され
るようになってきた。このディスクブレーキとは、ブレ
ーキディスクとブレーキライニング(摩擦材)との摩擦
によって制動力を得る装置で、鉄道車両の場合を例に取
れば、ドーナツ形の円盤状の摺動面と、その摺動面を後
背部で支持し車輪などの回転部分に取りつける基部とに
よって構成され、走行時回転している摺動面にブレーキ
ライニングを押し付けることにより制動力を得る。この
摺動面を有する円盤形状の部品をブレーキディスクと称
する。
【0003】ブレーキディスクに用いられる材料は、制
動時の摩擦による摩耗と、急激な温度上昇があるため、
耐摩耗性、耐熱性、耐熱亀裂性が要求される。この熱亀
裂とは、制動ごとに生ずる熱応力の繰り返しのために発
生する熱疲労亀裂のことである。
【0004】従来、このブレーキディスクには鋳鉄、鍛
鋼、ステンレス鋼などが使用されてきた。しかしなが
ら、車両の高速化、地球環境保護のための省エネルギー
対策としての軽量化、バネ下重量低減による乗り心地改
善、等の要求からブレーキディスクにもアルミニウムや
アルミニウム合金を使う動向が見られようになった。ア
ルミニウムやアルミニウム合金は、鋳鉄や鍛鋼に比し
て、耐摩耗性、耐熱性、耐熱亀裂性のいずれをとっても
著しく劣るが、熱伝導度が良好なため発生した摩擦熱が
速やかに放散するので、摺動面の温度上昇を鋼製のブレ
ーキディスクよりはるかに低く抑えることが可能であ
る。このため、耐熱性や耐熱亀裂性は、材料強度から推
測されるほどには低下しない。しかし、強度が低いので
耐摩耗性は大幅に劣り、アルミニウムやアルミニウム合
金そのものをブレーキディスクに適用することは困難で
あるとされてきた。
【0005】しかし、アルミニウム合金そのものの耐摩
耗性を向上させる方法として、特開昭59 -173234号公報
には、自動車や二輪車用を対象に粒子状や繊維状のAl
23 、SiC、Si34 等のセラミックスを分散さ
せたブレーキロータ(ディスク)の発明が提示されてい
る。また、特開平 2-25538号公報には、鉄道車両用とし
てアルミニウム金属マトリックスに粒径が 5〜 100μm
の強化粒子を 1〜 7重量%の範囲内で分散させたブレー
キディスク材の発明が示され、さらに特開平 3-47945号
公報では、セラミック粒子を 7%を超え25%まで含有さ
せた材料の発明が提示されている。これらの材料は鋳造
性や鍛造性がよくないことから、特開平8-176712号公報
には、マトリックスのアルミニウム合金にマグネシウム
やニッケルを添加し改善を図る発明が開示されている。
【0006】これら鉄道車両のブレーキディスク用とし
て開発された複合材料は、いずれもコンポキャスト法に
より製造されている。コンポキャスト法は、非金属など
の粒子を金属中に分散させる方法の一つで、金属溶湯を
融点近くまで下げ、半凝固の状態で攪拌しつつ、溶湯と
なじみにくい粒子を混入し分散凝固させるものである。
したがって、溶融状態の複合材料は流動性がきわめて悪
く、鉄道用のブレーキディスクのように大型の鋳造品に
なると、健全なものが得られ難いという問題がある。こ
の方法により形状の単純な鋳塊を作り、これを鍛造し、
所要の形状に成型する方法もあるが、マトリックス金属
とのなじみの悪い粒子を多く含む場合、鍛造による割れ
を発生しやすい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、アル
ミニウム合金をマトリックスとするセラミック粒子を分
散させた複合材料を鉄道車両のブレーキディスクとして
適用しようとするものであり、そのための、内部欠陥が
少なく、均一で、しかも鍛造など加工性のすぐれた素材
からブレーキディスクを製造する方法を提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アルミニ
ウム合金マトリックス複合材の特徴に着目し、鉄道車両
のブレーキディスク用材料としての適用を種々検討し
た。アルミニウムまたはアルミニウム合金をマトリック
スとし、硬質のセラミック粒子などを分散させた複合材
料の製造方法には、原料の粉末を混合圧縮し、高温で焼
結する粉末冶金の方法や、上述のようなコンポキャスト
法などがある。これらの方法は、比較的小型の部品には
効果的に適用できるが、対象物が大型になってくると様
々な問題が生じてくる。
【0009】複合材料としては大型であって、しかも過
酷な使用条件に耐える性能が要求される車両用のブレー
キディスクは、まず内部の健全性と機械的性質が重要で
あり、それらの向上には、鍛造加工による成形を取り入
れることが望ましい。粉末冶金的方法では、大型になる
と全体を均質に製造するのには設備の大規模化などコス
トがかかりすぎ、鍛造性など加工性がよくない。また、
コンポキャスト法はアルミニウム合金としての鋳込み温
度が低すぎるので、大きくなると鋳塊の健全性に不安が
あり、その上、鍛造により割れが発生しやすい。
【0010】本発明者らは、これらの問題に対処するた
め、粉末冶金法で用いられる化学組成の合金に適用して
加工性が改善できると考えられる、スプレイキャスティ
ング法に着目した。この方法は、溶湯を不活性ガスにて
噴霧状態とし、凝固直前の液滴噴霧粒子を基盤上に堆
積、あるいは鋳型内に注入して凝固させるものである。
半溶融状態で粒子が密着するので、粉末冶金法よりも真
密度の高いものが得られ、かつ通常の鋳込みに比較して
遥かに均一で微細な凝固組織が得られる。この溶湯の噴
霧中にセラミック粒子を混入し、一緒に凝固させるので
ある。コンポキャスト法では混入する粒子の溶湯との濡
れ性から粒子の組成に制限を受け、均一な分散を得るた
めに粒子径も限定されるが、このスプレイキャスティン
グ法による複合材料の製法によれば、これらの制約がな
くなる。
【0011】スプレイキャスティング法を応用した上記
の方法によって得られた複合材料の鋳塊、すなわち加工
前の素材なのでプリフォームとよぶが、その加工性ない
しは鍛造性は、同じ組成の複合材料を粉末冶金法やコン
ポキャスト法で製造した場合よりも遥かすぐれたもので
あった。そこで、プリフォームに熱間プレスや熱間鍛造
を施した結果、真密度比が向上し、得られた材料の強度
と伸びが大きく向上した。このようにして製造した複合
材料について、鉄道車両用のブレーキディスクに必要と
される諸特性を評価したところ、従来の方法により製造
した複合材料よりもすぐれた性能が得られることが明ら
かになった。
【0012】以上のような結果に基づき、マトリックス
として用いるアルミニウム合金の組成、セラミックス粒
子の混合量、およびその粒子径等の、特性におよぼす影
響や製造上の問題を調査してそれぞれの限界を明らかに
して本発明にいたった。本発明の要旨は次の通りであ
る。
【0013】(1) アルミニウム合金の溶湯を不活性ガス
にて噴霧した未凝固の微粉を、基盤上に堆積凝固させて
鋳塊(プリフォーム)を作る過程において、溶湯噴霧中
に平均粒径 1〜20μm のセラミックス粒子を混合するこ
とにより、アルミニウム合金マトリックスに重量%にて
5〜30%の粒子を分散させた複合物を造塊し、これを加
圧加工することによる鉄道車両用複合材料ブレーキディ
スクの製造方法。
【0014】(2) 重量%にて、Mg: 2〜 5%、Mn:
0.1〜 1%およびCr:0.05〜0.35%を含有し、残部は
Alおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金を
マトリックスとする (1)に記載の鉄道車両用複合材料ブ
レーキディスクの製造方法。
【0015】(3) 重量%にて、Fe: 5〜10%で、V、
Mo、Zr、Ti、Cr、MnまたはNiの1種以上を
合計にて 0.2〜 3%含有し、残部はAlおよび不可避的
不純物からなるアルミニウム合金をマトリックスとする
(1)に記載の鉄道車両用複合材料ブレーキディスクの製
造方法。
【0016】(4) 重量%にて、Si: 5〜10%で、C
u、Mg、Fe、Ni、Mn、Cr、Ti、Znまたは
Zrの1種以上を合計にて 4%以下含有し、残部はAl
および不可避的不純物からなるアルミニウム合金をマト
リックスとする (1)に記載の鉄道車両用複合材料ブブレ
ーキディスクの製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
(1)マトリックスの合金組成 本発明の方法による複合材料のマトリックスとなるアル
ミニウム合金は、工業用の純アルミニウムでもよく、一
般に展伸材として用いられる各種の合金、たとえば JIS
のH-4000やH-4140などで示される合金でもよい。しかし
ながら、本発明の効果を有効に活用するのであれば、目
的により次のような合金とする必要がある。以下の化学
組成はアルミニウム合金中の重量%である。
【0018】強度と同時に鍛造などとくに加工性を重視
する場合は、、Mg: 2〜 5%、Mn: 0.1〜 1%、お
よびCr:0.05〜0.35%含有し、残部はAlおよび不可
避的不純物からなる合金とする。これら3つの元素は、
同時に含有させることにより、加工性を損なうことなく
マトリックスの強度増加が可能である。ただし、各元素
の含有量は、それぞれ上記の範囲の下限を下回る場合に
は強度向上の効果は小さく、上限を超える含有は加工性
を劣化させ、耐食性も悪くするおそれがある。
【0019】強度をより一層高め、高温安定性をよくす
るためには、Feを 5〜10%含有し、これに加えてV、
Mo、Zr、Ti、Cr、MnまたはNiの 1種以上を
合計で 0.2〜 3%を含有させ、残部はAlおよび不可避
的不純物からなる合金とする。Feの含有は、スプレイ
キャスティング法により製造したプリフォーム中に10μ
m 以下の微細な金属間化合物を形成し、強度を大幅に向
上させることができる。含有量が 5%未満の場合は強度
上昇効果に乏しく、10%を超えると、鍛造時に割れを発
生しやすくなる。また、V、Mo、Zr、Ti、Cr、
MnまたはNiの少量含有は、Al−Fe金属間化合物
を安定化させ、高温強度を向上させる。これらの元素
は、いずれか 1種または 2種以上含まれておれば効果が
ある。ただし、その含有量は合計量として 0.2%未満で
は効果が十分でなく、 3%を超えると鍛造時に割れを発
生する危険性がある。
【0020】強度を増すばかりでなく、摩擦係数を高く
し、耐焼き付き性を向上させた複合材を得るには、Si
を 5〜11%含有し、これに加えてCu、Mg、Mo、F
e、Ni、Mn、Cr、Ti、ZnまたはZrの 1種以
上を合計で 4%以下含有させ、残部はAlおよび不可避
的不純物からなる合金のマトリックスとする。Siの含
有は、強度を増すばかりでなく、摩擦係数を大きくし、
耐焼き付き性を改善するなど、ブレーキディスクとして
の性能を向上させる効果がある。鋳造する場合、粗大な
初晶を生じて鍛造時の割れを発生しやすくなるが、本発
明の方法のプリフォームでは、結晶粒が微細化され、多
量の含有を可能にする。Siの含有量は5%未満では十
分な効果が得られず、11%を超えると鍛造性が悪くなる
ので、含有範囲は 5〜11%とする。Cu、Mg、Mo、
Fe、Ni、Mn、Cr、Ti、ZnまたはZrの各元
素は添加しなくてもよいが、Siに加えて少量含有させ
ることにより強度を高めることができるので、必要によ
り添加する。添加する場合は 1種以上とし、それらの合
計含有量は 0.1%以上が望ましく、多くても 4%までと
する。これは 0.1%未満では効果が十分現れず、 4%を
超えると鍛造性が悪くなるためである。
【0021】(2)セラミックス粒子 アルミニウム合金のマトリックス中に硬質のセラミック
ス粒子を均一に分散させることにより、複合材ブレーキ
ディスクとしての耐摩耗性、摩擦係数、および耐焼き付
き性を発揮させる。セラミックスは硬さの十分高いもの
であれば酸化物系、炭化物系、窒化物系のいずれでもよ
く、例えばAl2 3 、SiC、AlN、Si3 4
どが適用できる。
【0022】セラミックス粒子の大きさは、平均粒径
で、 1〜20μm とする。 1μm 未満の小さすぎる場合
は、スプレイキャスティング法によるプリフォーム中で
粒子が凝集して均一分散せず、耐摩耗性や摩擦係数など
のブレーキディスクとしての性能が十分得られなくな
る。また、20μm を超えるようになるとプリフォーム中
での粒子の偏在が生じやすくなるばかりでなく、切削性
が悪くなり、靱性も悪くなってくる。
【0023】複合材中のセラミックス粒子の量は、重量
%で 5〜30%とする。含有量が 5%未満では十分な耐摩
耗性と、耐焼き付き性が得られず、30%を超えると鍛造
加工時に割れを発生しやすくなり、切削性も悪くなる。
なお、すぐれた性能を得るために望ましい含有範囲は 9
〜23%である。
【0024】(3)複合材料プリフォームの製造。
【0025】アルミニウム合金マトリックス中に上記セ
ラミックス粒子を均一に分散させた鋳塊、すなわちプリ
フォームの製造は、まず、所定の化学成分のアルミニウ
ム合金を溶解し、鋳込み可能な状態の溶湯とする。この
溶湯を通常のアルミニウム粉末を製造するガスアトマイ
ズ法と同様に、窒素などの不活性ガスにより噴霧して微
粉化する。粉末を製造する場合は噴霧状態にある間に凝
固させるように温度や噴霧速度を選定するが、本発明の
方法では噴霧が基盤上で堆積する際に凝固し、噴霧状態
にあるときは溶融しているようにする。
【0026】セラミックス粒子は、噴霧に用いる不活性
ガス中に混合するか、または微粉化した溶湯を堆積凝固
する基盤上へ、別に用意したノズルから噴射してマトリ
ックス合金中に分散させる。この場合、溶湯噴霧速度に
あわせ、所定の含有量になるようセラミックス粒子の供
給速度を調節する。
【0027】溶湯の微粒子を凝固直前に基盤上に堆積さ
せるには、例えば溶湯噴霧ノズルを基盤上部に設置し、
堆積速度に応じて基盤を下方に移動させるような装置構
造となるが、堆積厚さを均一にするため、基盤には回転
あるいは揺動等の振動をあたえるとよい。これによっ
て、マトリックスの組織がより微細となり、鍛造加工性
を向上させることができる。
【0028】(4)ブレーキディスクの成形 プリフォームを熱間鍛造、あるいは熱間プレス後熱間鍛
造により塑性加工してブレーキディスク形状に成形す
る。その場合の鍛錬成形比は 1.5以上とするのが望まし
く、より性能が向上するのは 2.0以上である。鍛錬成形
比とは、鍛造またはプレスの加工前後の寸法変化から求
まる三方向の主歪みのうちの、最大の歪みの真数であ
る。例えば、据え込み鍛造の場合は、圧縮変形前後の変
形軸方向の高さ比、または変形軸に垂直な断面の面積比
で現されるものである。
【0029】プリフォームの真密度比は97〜99%程度で
あるが、この鍛錬成形比 1.5以上の塑性加工によって、
真密度比が99%以上となり、靱性や強度が向上し、ブレ
ーキディスクとしての性能が向上する。
【0030】
【実施例】
〔実施例1〕表1のAに示す化学組成のマトリックス用
アルミニウム合金を溶解し、アトマイズノズルにて窒素
ガスを用い噴霧して、微細液滴化し、回転円盤形基盤上
に堆積凝固させる際、同時に窒素ガスをキャリアとして
平均粒径 8μm のSiC粒子を同じ基盤上に噴射して、
SiC粒子を12%含有する直径約 180mm、高さ約 900mm
の円柱状プリフォームを作製した。
【0031】また、この表1のAと同一の化学組成のマ
トリックスで同じSiC粒子を含む複合材料を、コンポ
キャスティング法にて製造した。この場合、該組成のア
ルミニウム合金を溶融した後、固液二相共存状態となる
よう、るつぼ内で 620℃に保ちつつ、強撹拌しながら上
記のSiC粒子を少量づつ添加し、所定の量達した後に
強撹拌を続けながら 605℃になるまで降温し、鋳型に流
し込んで直径約 120mm、高さ約 130mmの鋳塊とした。
【0032】
【表1】
【0033】これらの、プリフォームおよび鋳塊から、
いずれも直径 100mm、高さ 100mmの円柱を切り出し、 4
00℃に加熱後、油圧プレスにより、二枚の平板に挟んだ
状態にして円柱の軸方向垂直に圧縮加工する、一種の据
え込み試験をおこなった。その際、圧縮速度は 2mm/s
とし、圧縮加工の鍛圧成形比を種々変えて、割れの発生
の有無を観察した。これら圧縮加工後の円盤形状の複合
材料から、直径方向にJIS 4号型引張り試験片を削りだ
し、常温での引張り試験をおこなった。また、圧縮加工
後の複合材料の比重を測定し、理論密度と対比して真密
度比を求めた。
【0034】表2、に製造方法および鍛圧比と試験結果
をあわせて示す。これらの結果の比較からわかるよう
に、本発明のスプレイフォーミングによるプリフォーム
の場合、鍛圧成形比が 3に至るまで、割れの発生は認め
られないが、コンポキャスティングによる鋳塊では、鍛
圧比が増すと割れが発生する。またプリフォームの状態
では引張り強さは低く、伸びもよくないが、鍛圧比が増
すとともに、引張り強さ、伸びがいずれも大幅に向上し
ている。
【0035】
【表2】
【0036】〔実施例2〕表1の試料記号B〜Qのマト
リックスおよびセラミックス粒子からなる複合材料プリ
フォームを、スプレイフォーミング法にて作製した。プ
リフォームの寸法はいずれも直径約 180mm、高さ約 300
mmであった。これらから、直径 100mm、高さ 100mmの円
柱を切り出し、実施例1の場合と同じ条件で、鍛圧比 2
の鍛圧加工をおこなった。試料記号L、M、N、O、Pおよ
びQはこの段階で割れが発生したので、その後の試験は
おこなわなかった。これらは、いずれもマトリックスの
Al合金が一般の展伸用Al合金に含まれる範囲を超え
た合金元素を含んでいたり、本発明で規制する組成範囲
を外れるものであった。
【0037】鍛圧後、直径方向にとったJIS 4号型引
張り試験片により、常温での引張り試験をおこない、一
部のものでは 300℃での高温引張り試験をおこなった。
また、耐摩耗性について、回転する円盤にピンを押しつ
けて摩耗量を測定するピンディスク式摩耗試験機により
評価した。円盤状ディスク試験片は直径60mm、ピンの摺
動半径は16mmで、ピンは直径 5mmの銅系ブレーキパッド
材とした。試験条件は面圧: 1MPa 、摩擦速度: 5m/
s、潤滑:なしで、摩擦時間を10分とし、摩耗量を測定
した。なお、比較のため、一部鍛圧を加えないプリフォ
ームの状態から切り出した試験片による試験もおこなっ
た。
【0038】表3に、これらの結果をまとめて示す。試
験番号13〜18、21および22は、本発明で定める方法で作
製されたものであり、強度および伸びは共にすぐれ、摩
耗量もごくわずかである。これに対し、試験番号19は伸
びがすぐれているが、耐摩耗性が悪い。これはセラミッ
ク粒子の量が、本発明の定める範囲を下回るためであ
る。またセラミック粒子の量が多すぎると、試験番号20
に見られるように、伸びが悪い。また、鍛圧加工を加え
ない場合、試験番号23〜25に見られるように、耐摩耗性
はよいが、強度も伸びも劣る結果となっている。
【0039】
【表3】
【0040】〔実施例3〕表1に示した試料記号Aと同
一組成の複合材料を、スプレイフォーミング法にて作製
し、直径約 370mm、高さ 500mmのプリフォームとした。
これから直径 350mm、高さ 450mmの円柱を削り出し、 4
30℃に加熱後、油圧プレスにより鍛錬加工して円盤状に
成形した。この場合の鍛圧成形比は 5を超えるものであ
ったが、鍛錬加工時に割れを発生することなく成形が可
能であった。その後機械加工をおこなって図1に示す形
状のブレーキディスクを製造した。ブレーキディスクの
直径は 700mmで、高さは最大部で50mmである。
【0041】JR新幹線の台車をモデルにした車輪試験
機を用い、このブレーキディスクを2枚一組とし、摺動
面を外側にして車輪の両面に取り付けてブレーキ試験を
おこなった。ブレーキライニング材は、銅系焼結合金を
用いた。試験は、初速 350km/hにてブレーキをかけ、 2
km/(h・s)の一定減速度、慣性モーメント1300kg・m
の条件にて、繰り返し 200回の負荷試験をおこなっ
た。結果は、割れ、摩耗等は問題なく良好な性能を示し
た。
【0042】
【発明の効果】本発明方法によれば、アルミニウム合金
をマトリックスとする複合材料による、性能のすぐれた
鉄道車両用のブレーキディスク製造することができる。
従来の鉄道車両用として使用されてきた鋼製ブレーキデ
ィスクと同等、ないしはそれ以上の性能を有するこの大
幅に軽量化されたブレーキディスクの使用は、車両の軽
量化による省エネルギーに寄与するばかりでなく、バネ
下重量の低減による乗り心地の改善にも効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施による鉄道車両用複合材料ブレ
ーキディスクの上面(1/4)および断面(1/2)を
示す図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22C 21/06 C22C 21/06 F16D 65/12 F16D 65/12 E (72)発明者 古谷 精市 大阪府大阪市此花区島屋5丁目1番109号 住友金属工業株式会社関西製造所製鋼品事 業所内 (72)発明者 坂口 篤司 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内 (72)発明者 牧野 泰三 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内 (72)発明者 渋江 和久 東京都港区新橋五丁目11番3号住友軽金属 工業株式会社内 (72)発明者 大久保 喜正 東京都港区新橋五丁目11番3号住友軽金属 工業株式会社内 (72)発明者 時実 直樹 東京都港区新橋五丁目11番3号住友軽金属 工業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム合金の溶湯を不活性ガスにて
    噴霧した未凝固の微粉を、基盤上に堆積凝固させて鋳塊
    を作る過程において、溶湯噴霧中に平均粒径 1〜20μm
    のセラミックス粒子を混合することにより、アルミニウ
    ム合金マトリックスに重量%にて 5〜30%の粒子を分散
    させた複合物を造塊し、これを加圧加工することを特徴
    とする鉄道車両用複合材料ブレーキディスクの製造方
    法。
  2. 【請求項2】重量%にて、Mg: 2〜 5%、Mn: 0.1
    〜 1%、およびCr:0.05〜0.35%を含有し、残部はA
    lおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金をマ
    トリックスとする、請求項1に記載の鉄道車両用複合材
    料ブレーキディスクの製造方法。
  3. 【請求項3】重量%にて、Fe: 5〜10%で、V、M
    o、Zr、Ti、Cr、MnまたはNiの1種以上を合
    計にて 0.2〜 3%含有し、残部はAlおよび不可避的不
    純物からなるアルミニウム合金をマトリックスとする、
    請求項1に記載の鉄道車両用複合材料ブレーキディスク
    の製造方法。
  4. 【請求項4】重量%にて、Si: 5〜10%で、Cu、M
    g、Fe、Ni、Mn、Cr、Ti、ZnまたはZrの
    1種以上を合計にて 4%以下含有し、残部はAlおよび
    不可避的不純物からなるアルミニウム合金をマトリック
    スとする、請求項1に記載の鉄道車両用複合材料ブレー
    キディスクの製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104232973A (zh) * 2014-08-25 2014-12-24 合肥工业大学 一种中、低体积分数陶瓷颗粒增强铝基复合材料及其制备方法
CN106166610A (zh) * 2016-06-27 2016-11-30 杭州桑拉科技有限公司 一种高铁制动用金属+陶瓷基闸片摩阻材料及其制备方法
CN109897993A (zh) * 2019-04-10 2019-06-18 南通市荣力达铝业有限公司 一种高强度抗压的铝合金产品及制造方法
JP2020159551A (ja) * 2019-03-27 2020-10-01 テーエムデー フリクション サービシス ゲーエムベーハー 摩擦ライニングの製造方法
CN115076270A (zh) * 2022-07-19 2022-09-20 杭州安耐特实业有限公司 一种高效低能耗的刹车片生产工艺

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