JPH10134790A - 円筒型アルカリ電池 - Google Patents

円筒型アルカリ電池

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JPH10134790A
JPH10134790A JP8292330A JP29233096A JPH10134790A JP H10134790 A JPH10134790 A JP H10134790A JP 8292330 A JP8292330 A JP 8292330A JP 29233096 A JP29233096 A JP 29233096A JP H10134790 A JPH10134790 A JP H10134790A
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Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 誤使用等による電池の破裂防止機構の作動時
に電解液が飛散するのを抑制し、使用機器が損傷しにく
い円筒型アルカリ電池を提供する。 【解決手段】 樹脂製封口体６はその外周縁に沿って折
返し用の突壁６ｂを有し、電池ケース１の開口端より外
側の折返し用の突壁に環状薄肉部６ｅが形成され、環状
薄肉部６ｅより先端側の突壁先端部６ｆで負極端子板７
のガス排出孔７ａを遮蔽している。この突壁先端部６ｆ
の形状は電池が封口された状態で、突壁先端部６ｆとガ
ス排出孔７ａとの間に空隙が確保される形状としてい
る。この構成により電池内のガスと電解液が排出される
際、大部分の電解液はガス排出孔７ａと突壁先端部６ｆ
との空隙に留まり、噴出ガス圧の低下したガスと僅かな
電解液だけが電池外に排出されるため電解液が飛散する
のを抑制できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明はガス排出機構を備え
た円筒型アルカリ電池に関する。
【０００２】
【従来の技術】円筒型アルカリ電池、例えばアルカリ乾
電池は、電解液として用いる高濃度のアルカリ性水溶液
が浸透性に富むため電解液のクリープ現象による漏液を
起こしやすい。そのため、樹脂製封口体を介して負極端
子板に対して電池ケースの開口部を折りまげて強くかし
めることにより密封封口されている。
【０００３】図４は従来のアルカリ乾電池の構造を示し
ており、１は正極端子を兼ねる電池ケースである。この
電池ケース１内には、二酸化マンガンと黒鉛を主とする
円筒状の正極合剤２が圧入されている。３は有底円筒状
のセパレータで、その内部には亜鉛合金粉末をゲル状ア
ルカリ電解液に混合分散させたゲル負極４が充填されて
いる。５は負極集電体、６は電池ケース１の開口部を閉
塞する樹脂製封口体で、その外周縁に沿って折返し用突
壁６ｂを有している。この樹脂製封口体６には、負極端
子を兼ねガス排出孔７ａを有する負極端子板７が、前記
負極集電体５の頭部に溶接されて載置されており、前記
電池ケース１の開口部を内側にかしめることにより封口
されている。８は熱収縮製の樹脂ラベルで、この樹脂ラ
ベル８で電池ケース１の外周を外装している。
【０００４】なお、上記のようなアルカリ電池において
は、逆接続や充電等の誤使用により電池内部にガスが発
生し、電池内圧が増加して電池の破裂を防止するため
に、破裂防止機構が設けられている。この破裂防止機構
の作動原理は電池の封口部品である樹脂製封口体の一部
に機械的強度を低下させた薄肉部分を設け、電池内部の
圧力が高まった際に同部分が破断し、電池内部に発生し
たガスを負極端子板に設けたガス排出孔から電池外へ排
出することにより電池の破裂を防いでいる。（例えば特
開昭５９−９８４５２号公報）
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】ところが前記のような
構造においては、誤使用による充電等で電池内にガスが
発生し、破裂防止機構が作動した際、電池内のガスが負
極端子板のガス排出孔から排出されるとともに、樹脂製
封口体の薄肉部の破断部分より漏出した電解液が負極端
子板のガス排出孔から噴出する場合があり、この噴出し
た電解液により使用機器が損傷しないように、電池外部
に電解液が飛散しにくい構造が要求される。
【０００６】本発明はこの観点より、円筒型アルカリ電
池の破裂防止機構作動時の電解液の飛散が抑制でき、安
全性の面や電池の使用機器において有用な技術を提供す
るものである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】本発明は、この課題を解
決するために円筒型アルカリ電池において、樹脂製封口
体は外周縁に沿って折返し用突壁を有し、かつ折返し用
突壁の先端部に形成された薄肉壁で負極端子板のガス排
出孔を遮蔽した構成を有している。
【０００８】また本発明の円筒型アルカリ電池の樹脂製
封口体はその外周縁に沿って折返し用突壁を有し、かつ
正極の開口端より外側の折返し突壁面に環状薄肉部が形
成され、前記環状薄肉部より先端側の折返し用突壁部で
負極端子板のガス排出孔を遮蔽した構成を有している。
【０００９】
【発明の実施の形態】電池内部に発生したガスは破裂防
止機構作動時に電池外に排出されるが、その際電解液を
広範囲にスプレー状に噴出する場合がある。これはガス
を排出させやすくするためにガス排出孔を負極端子板に
設けているが、防爆機構作動部と負極端子板のガス排出
孔との間のガス通過経路が直線的である場合、ガスとと
もに電解液が噴出し易い構造になっているためである。
そこで、ガス排出孔を覆うように樹脂製封口体の折り返
し用突壁を構成することにより防爆機構作動時の電解液
噴出の遮蔽効果が得られ、電解液の飛散を抑えることが
できる。
【００１０】本発明の構成によれば、樹脂製封口体の折
り返し用突壁の先端部に設けた薄肉壁、もしくは突壁面
に設けた環状薄肉部が噴出ガス圧の抑制の圧力調整弁の
作用をしながら負極端子板のガス抜き孔を遮蔽すること
により、電解液を広範囲にスプレー状に噴出するのを防
止でき、また樹脂製封口体と負極端子板の間、もしくは
負極端子板に設けたガス排出孔の上に遮蔽部品を追加し
たり、複雑な遮蔽構造にすることなく、簡単で構成しや
すい構造で遮蔽効果が得られる。
【００１１】
【実施例】以下本発明の一実施例について、図面を参照
しながら説明する。
【００１２】図１〜３は本実施例、比較例および従来例
で用いたアルカリ乾電池ＬＲ６の封口部分の構造断面図
である。
【００１３】（実施例１）図１の（ａ）において、６は
６，６−ナイロンからなるガス圧により破断する薄肉部
（厚さ０．２５ｍｍ）６ａを有する樹脂製封口体で、そ
の外周縁に沿って厚さ０．８ｍｍの折返し用の突壁６ｂ
を有しており、その折返し用の突壁６ｂの先端部には厚
さ０．３ｍｍの薄肉部６ｃが形成されている。樹脂製封
口体６には、負極端子を兼ねガス排出孔（本実施例では
対角線上に４個設けた）７ａを有する負極端子板７が負
極集電体５の頭部に溶接されて載置されており、正極端
子を兼ねる電池ケース１の開口部をかしめることにより
樹脂製封口体６の外周縁に沿って設けた折返し用の突壁
６ｂを負極端子板７の周縁鍔部７ｂに圧着して電池を封
口している。
【００１４】なお、薄肉壁６ｃは電池ケース１に接する
側の突壁６ｂ面上に沿って形成されており、電池が封口
された状態において薄肉壁６ｃの先端部が、ガス排出孔
７ａの連なる負極端子板７の側壁面に接した状態でガス
排出孔７ａを遮蔽しており、ガス排出孔７ａと薄肉壁６
ｃとの間は空隙になっている。
【００１５】（実施例２）図１の（ｂ）において、薄肉
壁６ｃは負極端子板７の周縁鍔部７ｂの上面に接する側
の突壁６ｂ面上に沿って形成されており、電池が封口さ
れた状態において薄肉壁６ｃの先端部が、ガス排出孔７
ａの連なる負極端子板７の側壁面に接した状態でガス排
出孔７ａを遮蔽している以外は実施例１と同様の構成で
ある。
【００１６】（実施例３）図１の（ｃ）は本発明の樹脂
製封口体６の斜視図で、薄肉壁６ｃに複数のＶ字状の切
り欠き部６ｄを設けた以外は実施例１と同様の構成であ
る。このＶ字状の切り欠き部６ｄを設けることにより、
電池ケース１の開口部をかしめて電池を封口した際、薄
肉壁６ｃが内方向に折れ曲がると同時に発生する波しわ
現象が防止でき、しかも切り欠き面同士が接触して薄肉
壁６ｃによるガス排出孔７ａの遮蔽効果が維持される。
従って、この切り欠き部６ｄの形状は波しわ現象が発生
せず、切り欠き面同士が接触してガス排出孔７ａの遮蔽
効果が維持される形状であれば任意の形状でよい。
【００１７】（実施例４）図２の（ａ）において、樹脂
製封口体６はその外周縁に沿って厚さ０．８ｍｍの折返
し用の突壁６ｂを有しており、電池ケース１の開口端よ
り外側の折返し用の突壁６ｂに厚さ０．３ｍｍの環状薄
肉部６ｅが形成され、環状薄肉部６ｅより先端側の厚さ
０．６ｍｍの突壁先端部６ｆで負極端子板７のガス排出
孔７ａを遮蔽した以外は実施例１と同様の構成である。
【００１８】（実施例５）図２の（ｂ）において、電池
が封口された状態で、環状薄肉部６ｅより先端側の厚さ
０．６ｍｍの折返し用突壁先端部６ｆの形状が、突壁先
端部６ｆとガス排出孔７ａとの間に空隙が確保された状
態で、その先端部がガス排出孔７ａの連なる負極端子板
７の側壁面に接した状態でガス排出孔７ａを遮蔽してい
る以外は実施例４と同様の構成である。
【００１９】（比較例）図３の（ａ）において、樹脂製
封口体６の外周縁に沿って厚さ０．８ｍｍの折返し用の
突壁６ｂを有しており、電池が封口された状態において
前記厚さ０．８ｍｍのままの突壁６ｂの先端部が、ガス
排出孔７ａの連なる負極端子板７の側壁面に接した状態
でガス排出孔７ａを遮蔽している以外は実施例１と同様
の構成である。
【００２０】（従来例）図３の（ｂ）において、樹脂製
封口体６の外周縁に沿って厚さ０．８ｍｍの折返し用の
突壁６ｂを有しており、電池が封口された状態において
前記厚さ０．８ｍｍのままの突壁６ｂの先端部が、負極
端子板７の周縁鍔部７ｂの上面までしか達しておらずガ
ス排出孔７ａを遮蔽していない構成であること以外は実
施例１と同様の構成である。
【００２１】これらの本実施例、比較例および従来例の
アルカリ乾電池ＬＲ６を強制的に充電し、破裂防止機構
を作動させる試験を行った。試験方法は、１０Ωの外部
抵抗に３個の電池を直列に接続した回路を構成し、その
回路内に１個の試験電池を逆方向にさらに接続し、試験
電池が充電される状態で放電を行い、試験電池内部にガ
スが発生し破裂防止機構が作動した際の電解液のガス排
出孔からの最大飛散距離を比較することにより評価し、
その結果を（表１）に示した。なお試験数は各例とも２
０個とした。
【００２２】
【表１】
【００２３】この（表１）から明らかなように、本実施
例１〜５によるアルカリ乾電池ＬＲ６は、防爆機構が作
動した際の電解液のガス排出孔からの飛散度合を抑制す
る点で比較例および従来例に対して優れた効果が得られ
る。
【００２４】以上のように本実施例によれば、樹脂製封
口体の折り返し用突壁の先端部に設けた薄肉壁、もしく
は突壁面に設けた環状薄肉部が噴出するガス圧の抑制の
圧力調整弁の作用をしながら負極端子板のガス排出孔を
遮蔽することにより、電解液を広範囲にスプレー状に噴
出するのを防止できる。
【００２５】これに対し比較例の場合は、樹脂製封口体
の折返し用の突壁の先端部がもとのままの厚さ（０．８
ｍｍ）の状態でガス排出孔を遮蔽しているため、噴出ガ
ス圧の抑制の圧力調整弁の作用が低下し本実施例よりも
高圧状態でガスが噴出するため、排出孔を全く遮蔽して
いない従来例に比べて若干の効果が得られる程度であ
る。
【００２６】また、電池が封口された状態で、薄肉壁と
ガス排出孔との間に空隙を設けた実施例１と環状薄肉部
より先端側の突壁部とガス排出孔との間に空隙を設けた
実施例５は、それぞれ空隙を設けていない実施例２およ
び実施例４に比べて電解液の最大飛散距離が長いものが
少なく、電解液の飛散に対してより良い抑制効果が得ら
れた。これは破裂防止機構の作動時に、樹脂製封口体の
薄肉破断部から勢いよく噴出したガスと電解液がガス排
出孔７ａを通り電池外へと排出される際、いったんガス
排出孔７ａを遮蔽している樹脂製封口体の薄肉壁６ｃも
しくは突壁先端部６ｆに衝突し、大部分の電解液はガス
排出孔７ａと薄肉壁６ｃもしくは突壁先端部６ｆとの間
の空隙に留まり、噴出ガス圧の低下したガスと僅かな電
解液だけが電池外に排出するためと考えられる。
【００２７】なお本実施例では、負極端子板の周縁鍔部
と電池ケースとで封口時に圧着される部分の樹脂製封口
体の突壁厚さは０．８ｍｍとしたが、ＬＲ６、ＬＲ０３
等の小型のアルカリ乾電池では封口性や構成上０．６〜
１．２ｍｍが好ましく、樹脂製封口体の薄肉壁（実施例
１、２、３）の厚さおよび樹脂製封口体の突壁に設けた
環状薄肉部（実施例４、５）の厚さは０．３ｍｍとした
が、噴出ガス圧の抑制の圧力調整弁の作用効果と電解液
の飛散抑制効果の面からどちらとも０．２〜０．４ｍｍ
が好ましい。
【００２８】また、環状薄肉部より先端側の樹脂製封口
体の折返し用突壁部（実施例４、５）の厚さは０．６ｍ
ｍとしたが、電池を封口した際の当該部に波しわ現象が
発生せずにガス排出孔を遮蔽するためには０．４〜０．
９ｍｍが好ましい。
【００２９】なお樹脂製封口体の材質としては、本実施
例では６，６ナイロンとしたが、その他のナイロンや、
ポリプロピレン、軟質ポリエチレン、ポリエチレンテレ
フタレートでもよい。
【００３０】
【発明の効果】以上のように、本発明の構成により、誤
使用等により電池内部にガスが発生し破裂防止機構が作
動しても、電解液の飛散が抑制でき、使用機器等に損傷
を与えることの少ない、安全性や電池の使用機器におい
て有用な円筒型アルカリ電池を実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】（ａ）本発明の第１の実施例におけるアルカリ
乾電池の封口部分の構造断面図 （ｂ）本発明の第２の実施例におけるアルカリ乾電池の
封口部分の構造断面図 （ｃ）本発明の第３の実施例におけるアルカリ乾電池の
樹脂製封口体の斜視図
【図２】（ａ）本発明の第４の実施例におけるアルカリ
乾電池の封口部分の構造断面図 （ｂ）本発明の第５の実施例におけるアルカリ乾電池の
封口部分の構造断面図
【図３】（ａ）比較例におけるアルカリ乾電池の封口部
分の構造断面図 （ｂ）従来例におけるアルカリ乾電池の封口部分の構造
断面図
【図４】従来例アルカリ乾電池ＬＲ６の半裁断面図
【符号の説明】 １ 電池ケース ５ 負極集電体 ６ 樹脂製封口体 ６ａ 薄肉部 ６ｂ 折返し用突壁 ６ｃ 薄肉壁 ６ｄ 切り欠き部 ６ｅ 環状薄肉部 ６ｆ 突壁先端部 ７ 負極端子板 ７ａ ガス排出孔 ７ｂ 周縁鍔部 ８ 樹脂ラベル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青井 隆幸 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】発電要素を充填した円筒状の電池ケースの
    開口部を、ガス圧により破断する薄肉部を有する樹脂製
    封口体と、その上に載置したガス排出孔を有する負極端
    子板で封口してなる円筒型アルカリ電池であって、前記
    樹脂製封口体はその外周縁に沿って折返し用突壁を有
    し、かつ折返し用突壁の先端部に形成された薄肉壁で負
    極端子板のガス排出孔を遮蔽した円筒型アルカリ電池。
  2. 【請求項２】前記樹脂製封口体の折返し用突壁の先端部
    に形成された薄肉壁に複数の切り欠き部を設けた請求項
    １記載の円筒型アルカリ電池。
  3. 【請求項３】発電要素を充填した円筒状の電池ケースの
    開口部を、ガス圧により破断する薄肉部を有する樹脂製
    封口体と、その上に載置したガス排出孔を有する負極端
    子板で封口してなる円筒型アルカリ電池であって、前記
    樹脂製封口体はその外周縁に沿って折返し用突壁を有
    し、かつ電池ケースの開口端より外側の折返し突壁面に
    環状薄肉部が形成され、前記環状薄肉部より先端側の折
    返し用突壁部で負極端子板のガス排出孔を遮蔽した円筒
    型アルカリ電池。
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