JPH10128005A - 擬似移動床式分離装置の運転条件決定方法及び擬似移動床式分離装置 - Google Patents

擬似移動床式分離装置の運転条件決定方法及び擬似移動床式分離装置

Info

Publication number
JPH10128005A
JPH10128005A JP29015896A JP29015896A JPH10128005A JP H10128005 A JPH10128005 A JP H10128005A JP 29015896 A JP29015896 A JP 29015896A JP 29015896 A JP29015896 A JP 29015896A JP H10128005 A JPH10128005 A JP H10128005A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
raw material
adsorbed
material solution
moving bed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP29015896A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinji Nagamatsu
信二 永松
Koichi Murakado
公一 村角
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Chemical Industries Ltd filed Critical Daicel Chemical Industries Ltd
Priority to JP29015896A priority Critical patent/JPH10128005A/ja
Publication of JPH10128005A publication Critical patent/JPH10128005A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Treatment Of Liquids With Adsorbents In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 擬似移動床式分離装置の最適運転条件を容
易に決定する方法及び擬似移動床式分離装置。 【解決手段】 単カラムを使用するクロマト分析装置で
得られたクラトマ分析データを利用して、擬似移動床式
分離装置の運転条件を演算により求めることを特徴と
し、そのような演算を実行する演算手段 、演算結果に
基づいて装置を制御する制御手段を組み込んでなる擬似
移動床式分離装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は擬似移動床式分離
装置の運転条件決定方法及び擬似移動床式分離装置に関
し、更に詳しくは、擬似移動床式分離装置の運転条件を
容易に決定することのできる運転条件決定方法及びその
運転条件決定方法により所望の条件で効率的に自動運転
することのできる擬似移動床式分離装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の擬似移動床式分離装置を使用した
クロマト分離方法は、内部に充填剤を収容した複数のカ
ラムを直列に連結し、カラムの前端と後端とを流体通路
(あるいは流体流路とも称される。)で結合することに
より無端状に連結され、内部に液体が一方向に循環して
いる充填床に、分離するべき成分の混合物である原料を
含有する原料含有溶液および溶離液を導入し、同時に分
離された成分を含有する液と、他の成分を含有する液と
を抜き出すことからなり、擬似移動床式分離装置におけ
る前記充填床には、溶離液導入口、吸着されやすい物質
を含有する液(エキストラクト;吸着質または強吸着質
に富む溶液)の抜き出し口、原料含有溶液導入口、吸着
されにくい物質を含有する液(ラフィネート;非吸着質
または弱吸着質に富む溶液)の抜き出し口が液体の流れ
方向に沿ってこの順序で配置され、かつこれらの導入口
および抜き出し口は、循環流路内におけるこれらの相対
的な位置関係を保持したまま流体の流れ方向に間欠的に
逐次移動されるようになっている。
【0003】このような従来の工業用の擬似移動床式分
離装置は、1967年に米国UOP(ユニバーサル・オ
イル・プロダクツ・カムパニー)が開発したシステムが
基本になり、現在エンジニアリング各社により様々な改
良型擬似移動床式分離装置が開発されつつある。代表的
な例は果糖やブドウ等の分離等のためのプラント例が知
られている。このようなシステムの制御には通常、擬似
移動床式分離装置における循環流体通路中に組み込まれ
ている各ポンプまたは循環流体通路中に形成される各ゾ
ーンにおける流量を正確に測定し、それらのデータをコ
ンピュータで解析し、流量制御データをオペレータに提
示することにより、運転制御を手動で行っているのが一
般的である。
【0004】さらに、循環流体通路内に配置された耐圧
性の低い濃度計(通常10kg/cm2 以下の圧力に耐
える濃度計である。)によりモニタリングするシステム
を有する装置も知られている。ただし、これら提案され
ている工業用の擬似移動床式分離装置においては、充填
剤としてイオン交換樹脂、合成吸着体、無機吸着剤(た
とえばゼオライト等)を使用し、これら充填剤の粒径は
200μm以上であることによってシステム全体の運転
時の耐圧設定はおおよそ10kg/cm2 以下になって
いる。したがって、これらのモニタリングシステムでは
HPLCレベルの充填剤(粒径としては1〜100μ
m)を使用した擬似移動床式分離装置では、処理流速の
関係もあるが、システム圧としては50kg/cm2
上になってしまうことが一般的である。なお、このよう
な擬似移動床式分離装置ではサイクルタイムを短くして
ポンプによる流速を上昇させた方が生産性が向上するこ
とが知られている。
【0005】また、現状のモニタリングシステムおよび
システム制御の方法においては、循環流路中を流通する
流体の流速を厳密に制御することが望まれている。
【0006】しかしながら、HPLCタイプの充填剤を
使用する擬似移動床式分離装置においては、連続運転時
に安定した品質の製品を効率良く製造するために、現状
では経験と勘とに頼って最適運転条件を決定せざるを得
ない状況である。
【0007】もっとも、従来の低圧の擬似移動床式のク
ロマト分離におけるモニター方法の一例として、例えば
エキストラクトあるいはラフィネートの抜き出し口が一
定時間毎に間欠的に移動する度にその抜き出し口から排
出される溶液中の溶質の濃度を測定する方法が知られて
いる。
【0008】しかしながら、抜き出し口から排出される
液の濃度は前記抜き出し口の間欠的移動の前後で大きく
変動し、正確な濃度の変化を監視することが困難であ
り、また、たとえば光学異性体の分離においては、前記
濃度のみの監視によっては分離の状態を正確に監視する
ことができないという問題を有していた。
【0009】また、特開平4−131104号公報には
「擬似移動床方式のクロマトグラフィの分離方法におい
て、一方または両方の流体抜き出し口の流体成分濃度を
測定して前記供給口および抜き出し口を間欠的に移動す
る時間を短縮あるいは延長することにより、予め定めら
れた成分純度を調整、維持することを特徴とする擬似移
動床方式の制御方法」が開示されている。
【0010】この公報に記載の制御方法においては、供
給口および抜き出し口から濃度検出器までの配管が通常
長いので、供給口あるいは抜き出し口で濃度を検出する
とは言いながら、実はタイムラグを生じてしまっていて
正確な濃度検出とはなっていない。またタイムラグの外
にも、配管中を流れるエキストラクトあるいはラフィネ
ート中で成分の拡散や対流が生じていて、この点におい
ても正確な濃度検出をすることができないという問題が
ある。
【0011】このように従来の擬似移動床式クロマト分
離においては、経時的に変化する濃度や光学純度を正確
に把握することができず、分離の状態を迅速に判断する
ことができないという問題を有していた。さらに、分離
の状態を迅速に判断できないことから、例えば、導入口
および抜き出し口を間欠的に移動する時間的間隔、循環
する流体の流速、温度等の運転条件を最適な条件に設定
することが困難であり、効率的なクロマト分離を行なう
ことができないという問題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、擬
似移動床式分離装置を長期間にわたって慣らし運転をす
ることにより各種のデータを収集して最適運転条件を決
定することなく、別に定めた単カラムのクロマト分析に
より得られるデータに基づいて擬似移動床式分離装置に
おける所望の最適運転条件を決定することのできる擬似
移動床式分離装置の運転条件決定方法、及びそのような
運転条件決定方法を自動的に行うことのできる擬似移動
床式分離装置を提供することにある。この発明の他の目
的は、装置が有する固有の上限圧力値を超えない範囲で
あって、所望の運転条件を容易に決定することのできる
擬似移動床式分離装置の運転条件決定方法及びそのよう
な運転条件決定方法により自動運転可能な擬似移動床式
分離装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
のこの発明の手段は、以下の通りである。
【0014】(1) 分離用充填剤を収容した複数の充
填床を無端状に連結し、内部に流体を一方向に強制循環
させることのできる循環流体流路を形成し、この循環流
体流路中に、溶離液を導入する溶離液導入口と、吸着質
または強吸着質に富む溶液を抜き出すエキストラクト抜
き出し口と、分離されるべき成分の混合物を含む原料溶
液を導入する原料溶液導入口と、非吸着質または弱吸着
質に富む溶液を抜き出すラフィネート抜き出し口とを、
流体の流れの方向にこの順に設け、かつ、それぞれの導
入口および抜き出し口を間欠移動させるようにしてな
り、溶離液導入口とエキストラクト抜き出し口との間に
ある充填床に形成され、濃縮された吸着成分又は強吸着
質を含む分離用充填剤が溶離液に接触して吸着成分又は
強吸着成分が分離用充填剤から追い出される脱着ゾーン
(IV)、エキストラクト抜き出し口と原料溶液導入口との
間にある充填床に形成され、分離用充填剤上に残存して
いる非吸着成分又は弱吸着成分が追い出されて吸着成分
又は強吸着成分が濃縮される濃縮ゾーン(III) 、原料溶
液導入口とラフィネート抜き出し口との間にある充填床
に形成され、原料溶液が分離用充填剤と接触し、分離用
充填剤に吸着成分又は強吸着成分が吸着されて非吸着成
分又は弱吸着成分が溶離液と共に回収される精製ゾーン
(II)、及びラフィネート抜き出し口と溶離液導入口との
間にある充填床に形成され、非吸着成分又は弱吸着成分
が分離用充填剤に吸着されて非吸着成分又は弱吸着成分
の含有量の少ない溶離液が回収される吸着ゾーン(I)
が、複数の充填床により形成されてなる擬似移動床式分
離装置の運転条件決定方法であり、前記分離用充填剤と
同じ分離用充填剤を充填した単カラムに、複数成分含有
の原料溶液を注入することによりクロマト分析を行い、
そのクロマト分析結果として得られる分取条件に基づい
て、前記擬似移動床式分離装置の運転初期条件である、
原料溶液のフィード量、溶離液のフィード量、ラフィネ
ート抜き出し口及びエキストラクト抜き出し口からの抜
き出し量、並びにステップタイムを決定し、決定された
この運転初期条件と、前記分離用充填剤と同じ分離用充
填剤を充填した前記単カラムに原料溶液を通液するとき
の原料溶液の流速と単カラム内の圧力との関係とから、
擬似移動床式分離装置の上限圧力を超えない実施運転条
件を決定することを特徴とする擬似移動床式分離装置の
運転条件決定方法であり、(2) 前記(1)に記載の
擬似移動床式分離装置の運転条件決定方法において、前
記運転初期条件が、前記分離用充填剤と同じ分離用充填
剤を充填した単カラムに、複数成分含有の原料溶液を注
入することによりクロマト分析を行い、そのクロマト分
析結果として得られるデータである、原料溶液中の成分
のうち単カラムから先に流出する所定の前成分の流出開
始時間(T1s)、前記前成分の留出量が最大になる時間
(T1 )、前記所定の後成分の流出終了時間(T2s)、
前記後成分の留出量が最大になる時間(T2 )、前記前
成分の流出終了時間と前記後成分の流出開始時間との間
であって、流出成分の濃度が最低になる時間(TV )、
及び単カラムに注入する原料溶液の濃度(C)に基づい
て決定される前記(1)に記載の擬似移動床式分離装置
の運転条件決定方法であり、(3) 分離用充填剤を収
容した複数の充填床を無端状に連結し、内部に流体を一
方向に強制循環させることのできる循環流体流路を形成
し、この循環流体流路中に、溶離液を導入する溶離液導
入口と、吸着質または強吸着質に富む溶液を抜き出すエ
キストラクト抜き出し口と、分離されるべき成分の混合
物を含む原料溶液を導入する原料溶液導入口と、非吸着
質または弱吸着質に富む溶液を抜き出すラフィネート抜
き出し口とを、流体の流れの方向にこの順に設け、か
つ、それぞれの導入口および抜き出し口を間欠移動させ
るようにしてなり、溶離液導入口とエキストラクト抜き
出し口との間にある充填床に形成され、濃縮された吸着
成分又は強吸着質を含む分離用充填剤が溶離液に接触し
て吸着成分又は強吸着成分が分離用充填剤から追い出さ
れる脱着ゾーン(IV)、エキストラクト抜き出し口と原料
溶液導入口との間にある充填床に形成され、分離用充填
剤上に残存している非吸着成分又は弱吸着成分が追い出
されて吸着成分又は強吸着成分が濃縮される濃縮ゾーン
(III) 、原料溶液導入口とラフィネート抜き出し口との
間にある充填床に形成され、原料溶液が分離用充填剤と
接触し、分離用充填剤に吸着成分又は強吸着成分が吸着
されて非吸着成分又は弱吸着成分が溶離液と共に回収さ
れる精製ゾーン(II)、及びラフィネート抜き出し口と溶
離液導入口との間にある充填床に形成され、非吸着成分
又は弱吸着成分が分離用充填剤に吸着されて非吸着成分
又は弱吸着成分の含有量の少ない溶離液が回収される吸
着ゾーン(I) が、複数の充填床により形成されてなる擬
似移動床式分離装置において、前記分離用充填剤と同じ
分離用充填剤を充填した単カラムに、複数成分含有の原
料溶液を注入することによりクロマト分析を行い、その
クロマト分析結果として、原料溶液中の成分のうち単カ
ラムから先に流出する所定の前成分の流出開始時間(T
1s)、前記前成分の留出量が最大になる時間(T1 )、
前記所定の後成分の流出終了時間(T2s)、前記後成分
の留出量が最大になる時間(T2 )、前記前成分の流出
終了時間と前記後成分の流出開始時間との間であって、
流出成分の濃度が最低になる時間(Tv )、及び単カラ
ムに注入する原料溶液の濃度(C)を入力する入力手段
と、前記入力手段から入力された前記クロマト分析結果
に基づいて擬似移動床式分離装置の運転初期条件であ
る、原料溶液のフィード量、溶離液のフィード量、ラフ
ィネート抜き出し口及びエキストラクト抜き出し口から
の抜き出し量、並びにステップタイムを演算し、前記単
カラムに流す原料溶液の流速と単カラム内の圧力との関
係と前記運転初期条件とから擬似移動床式分離装置の上
限圧力を超えない実施運転条件を決定する制御する演算
手段と、前記演算手段により決定された実施運転条件に
従って運転を制御する制御手段とを有することを特徴と
する擬似移動床式分離装置である。
【0015】
【発明の実施の形態】この発明の擬似移動床式分離装置
の運転条件決定方法は、この発明の擬似移動床式分離装
置を使用する。
【0016】この発明における擬似移動床式分離装置
は、分離用充填剤を収容した複数の充填床を無端状に連
結し、内部に流体を一方向に強制循環させることのでき
る循環流体流路を有する。
【0017】この分離用充填剤を収容した充填床は、通
常、カラムと称される。そして、工業的な循環流体流路
は、分離用充填剤を収容した複数のカラムが、パイプ等
の配管を介して無端状に連結されることにより形成され
る。
【0018】カラムを利用した循環流体流路には、流体
強制循環手段が設けられていて、循環流体流路中で流体
を一方向に強制的に循環させることができるようになっ
ている。
【0019】この流体強制循環手段としては、流体を一
方向に強制的に循環させることができる限りどのような
構造、型式等の手段であっても良く、たとえば、循環流
体流路中に介装されたポンプを挙げることができる。ま
た、ポンプを採用しなくても、圧力バランスを調整する
ことにより流体を循環可能にする調圧弁の組み合わせ等
も流体強制循環手段とすることもできる。
【0020】また、循環流体流路を形成するカラムとカ
ラムとを連結する配管には、この循環流体流路中を流通
する流体の流通方向に沿って、溶離液(脱離液、あるい
はデソーベントとも称される。)を導入する溶離液導入
口と、吸着質または強吸着質に富む溶液(エキストラク
トとも称される。)を抜き出すエキストラクト抜き出し
口と、分離されるべき成分の混合物を含む原料溶液(フ
ィードとも称される。)を導入する原料溶液導入口と、
非吸着質または弱吸着質に富む溶液(ラフィネートとも
称される。)を抜き出すラフィネート抜き出し口とが、
この順に設けられている。
【0021】この発明の擬似移動床式分離装置は、前記
溶離液導入口、エキストラクト抜き出し口、原料溶液導
入口およびラフィネート抜き出し口が、この順に、しか
もその相対的な位置を変えずに、循環流体の流れ方向に
沿って、一定時間毎に切り替わるように形成される。こ
の導入口および抜き出し口の切り替えには、ロータリー
バルブやオン−オフの開閉バルブ等の切り替え手段が採
用される。
【0022】導入口および抜き出し口を切り替えるまで
の間、溶離液導入口からエキストラクト抜き出し口まで
の充填床では脱着ゾーン(IV)が形成され、エキストラク
ト抜き出し口から原料溶液導入口までの充填床では濃縮
ゾーン(III) が形成され、原料溶液導入口からラフィネ
ート抜き出し口までの充填床では精製ゾーン(II)が形成
され、ラフィネート抜き出し口から溶離液導入口までの
充填床では吸着ゾーン(I) が形成される。
【0023】前記脱着ゾーン(IV)では、溶離液導入口か
ら導入される溶離液が流体と共に充填床中を流通し、溶
離液が分離用充填剤と接触すると、それまで分離用充填
剤に吸着されていた吸着質成分(吸着の容易な成分であ
り、強吸着成分とも称される。)が充填剤から脱着さ
れ、吸着質成分または強吸着成分がエキストラクトとし
てエキストラクト抜き出し口から抜き出される。この脱
着ゾーン(IV)では溶離液導入口直後のゾーンでは流体中
の吸着質成分の濃度は実質的に0に近く、流体の進行方
向に沿ってこのゾーン中で流体中の吸着質成分の濃度が
上昇していく。
【0024】濃縮ゾーン(III) では、原料溶液導入口か
ら導入された原料溶液中の非吸着質成分(吸着の困難な
成分、もしくは非吸着性の成分であり、弱吸着成分とも
称される。)が分離用充填剤に吸着され、吸着質成分が
充填剤から脱着される。この濃縮ゾーン(III) では、エ
キストラクト抜き出し口から原料溶液導入口までの領域
で、原料溶液中の非吸着質成分が分離用充填剤に吸着さ
れる一方、吸着質成分が分離用充填剤から脱着されるの
で、流体の進行方向に沿って、流体中の吸着質成分の濃
度が上昇から減少に転じ、一方、流体中の非吸着質成分
の濃度が上昇を開始する。
【0025】精製ゾーン(II)では、原料溶液導入口から
導入された原料溶液中の吸着質成分が分離用充填剤に吸
着され、分離用充填剤に吸着されていた非吸着質成分が
脱着される。この精製ゾーン(II)では、原料溶液導入口
から導入された原料液中の吸着質成分を吸着する一方、
非吸着質成分を脱着する。この精製ゾーン(II)では、原
料溶液導入口からラフィネート抜き出し口までの領域
で、流体中の吸着質成分の濃度が実質的に0に近づくと
共に、非吸着質成分の濃度が上昇して行き、ラフィネー
ト抜き出し口からは高濃度の非吸着質成分を含有する液
が抜き出されることになる。
【0026】吸着ゾーン(I) では、非吸着質成分が完全
に脱着され、分離用充填剤は吸着質成分を吸着する一
方、実質的に非吸着質成分も吸着質成分も含有しない溶
離液だけの流体がリサイクルラインに吐出される。この
吸着ゾーン(I) では、流体中の非吸着質成分の濃度が減
少して実質的に0になる。
【0027】カラムには、分離するべき成分を吸着する
ことのできる分離用充填剤が収容される。この分離用充
填剤の好適例としては、液体クロマトグラム(LC)用
の充填剤たとえば順相充填剤および逆相充填剤を挙げる
ことができ、さらに好適にはHPLC用充填剤を挙げる
ことができる。
【0028】また、好適な分離用充填剤の具体例として
は、たとえば各種の公知の異性体分離用充填剤を使用す
ることができる。例えば、光学異性体分離用充填剤とし
て、光学活性な高分子化合物、および光学分割能を有す
る低分子化合物を利用した光学分割用充填剤を挙げるこ
とができる。前記光学活性な高分子化合物としては、例
えば多糖誘導体(セルロースやアミロースのエステルあ
るいはカルバメート等)、ポリアクリレート誘導体、あ
るいはポリアミド誘導体をシリカゲルに担持させた充填
剤、またはシリカゲルを使用せずに前記ポリマーそのも
のを粒状にしたビーズ型充填剤およびポリマーを更に架
橋させてなる架橋型充填剤等を挙げることができる。ま
た、光学分割能を有する低分子化合物としては、例えば
アミノ酸あるいはその誘導体、クラウンエーテルあるい
はその誘導体、シクロデキストリンあるいはその誘導体
等を挙げることができる。これら低分子化合物は、通常
シリカゲル、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、ケイ
酸塩、ケイソウ土等の無機担体、ポリウレタン、ポリス
チレン、ポリアクリル酸誘導体などの有機担体に担持し
て使用される。
【0029】光学分割用充填剤は市販品を使用すること
もでき、例えばそれぞれダイセル化学工業(株)製のCH
IRALCEL OB(登録商標)、CHIRALCEL OD(登録商標)、
CROWNPAK CR(+)(登録商標)、CHIRALCEL CA-1(登録商
標)、CHIRALCEL OA(登録商標)、CHIRALCEL OK(登録
商標)、CHIRALCEL OJ(登録商標)、CHIRALCEL OC(登
録商標)、CHIRALCEL OF(登録商標)、CHIRALCEL OG
(登録商標)、CHIRALPAK WH(登録商標)、CHIRALPAK
WM(登録商標)、CHIRALPAK WE(登録商標)、CHIRALPA
K OT(+) (登録商標)、CHIRALPAK OP(+) (登録商
標)、CHIRALPAK AS(登録商標)、CHIRALPAK AD(登録
商標)、CHIRALCEL OJ-R(登録商標)、CHIRALCEL OD-R
(登録商標)等を好適例として挙げることができる。
【0030】また、オリゴ糖を含む異性化糖水溶液を果
糖に富む果糖水溶液とぶどう糖に富むぶどう糖水溶液と
に分割するのに適した充填剤として、カルシウム、バリ
ウム、ストリンチウム等のアルカリ土類金属塩型の強酸
性用イオン交換樹脂や交換性陽イオンがアンモニウム、
ナトリウム、カリウム、カルシウム、ストロンチウム、
バリウム等で置換されているゼオライトY等の結晶性ア
ルミノシリケートなどを挙げることができる。
【0031】脂肪酸とトリグリセリドとを分離するのに
好適な充填剤としては、スチレンとジビニルベンゼンと
の共重合体を骨格とする塩基性イオン交換樹脂を挙げる
ことができ、市販品として例えばローム・アンド・ハー
ス製のアンバーライトIRA93、住友化学工業株式会
社製のデュオライトA377等の弱塩基性イオン交換樹
脂、ローム・アンド・ハース製のアンバーライトIRA
400、住友化学工業株式会社製のデュオライトA16
1等の強塩基性イオン交換樹脂を挙げることができる。
【0032】その他各種物質を分離するのに好適である
とされる各種の公知の充填剤を使用することができる。
【0033】カラム中に充填される分離用充填剤の平均
粒径は、分離しようとする成分の種類、各単位カラム内
に流通する溶媒の体積流通速度等に応じて様々に変化す
るのであるが、通常1〜100μm、好ましくは2〜5
0μmである。もっとも、擬似移動床を形成するカラム
内での圧力損失を小さく抑制するのであれば、10〜5
0μmに分離用充填剤の平均粒径を調整しておくのが望
ましい。分離用充填剤の平均粒径が上記範囲内にあると
擬似移動床における圧損を少なくすることができ、例え
ば50kgf/cm2 以下に抑制することもできる。一
方、分離用充填剤の平均粒径が大きくなればなるほど吸
着理論段数は低下する。したがって、実用的な吸着理論
段数が達成されることを考慮するなら、前記分離用充填
剤の平均粒径は、通常15〜75μmである。
【0034】この循環流体流路に供給される溶離液(デ
ソーベント又は脱離液とも称されることがある。)とし
ては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノー
ル等のアルコール類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等
の炭化水素類および様々な有機溶剤、さらにこれらの混
合溶液、メタノール、アセトニトリルのような極性の高
い有機溶剤と水およびバッファーとの混合液等を挙げる
ことができる。
【0035】この溶離液は順相系移動相として、あるい
は逆相系移動相として採用されることができる。いずれ
の溶離液が好ましいかは、分離しようとする成分あるい
は化合物の種類に応じて適宜に決定される。また、この
溶離液には、添加剤としてジエチルアミンのような塩基
性物質、酢酸のような酸性化合物が含まれていても良
く、これら添加剤が溶離液に含有されていると、分離を
改善することができる。この循環流体流路に供給される
原料溶液としては、分離の必要のある溶質を有する二成
分混合物等の多成分混合物であれば特に制限がなく、例
えば医薬、農薬、食品、飼料、香料等の分野で使用され
る各種の化合物例えば医薬品のサリドマイイド、有機リ
ン系の農薬であるEPN、化学調味料であるグルタミン
酸モノナトリウム塩、香料であるメントール等を挙げる
ことができ、さらには光学活性なアルコール類、光学活
性なエステル類等々を挙げることができる。
【0036】また、前記溶質としてはたとえば光学異性
体、位置異性体、ある観点よりして必要な成分と不必要
な成分との混合物等である。
【0037】また、この発明においては、溶質は分離さ
れるべき複数成分たとえば三成分、四成分等の多成分混
合物であっても良い。
【0038】多成分混合物の場合、この発明の擬似移動
床式分離装置を用いて必要な一成分を分離するには、必
要な一成分を含有するグループと必要な成分を含有しな
いグループとの2グループに分離し、次いで前記必要な
一成分を含有するグループをその必要な一成分を含有す
る小グループと他の小グループとの2グループに分離
し、というように二つのグループに分ける操作を所定回
数繰り返すことにより必要な成分を分離することができ
る。
【0039】また、擬似移動床式分離装置以外の分離装
置を利用したバッチ操作とこの発明の擬似移動床式分離
装置とを利用して多成分混合物から必要な一成分を分離
することもできる。
【0040】上記した擬似移動床式分離装置における循
環流体流路には、流体が循環し、しかもカラムには分離
用充填剤が充填されているから、所定の圧損が発生して
いる。この圧損は、カラムの規模、分離用充填剤の種類
及び量等により様々に変化するのであるが、通常の場
合、たとえば脱着ゾーン(IV)では350〜800kg/
cm2 、濃縮ゾーン(III) では20〜100kg/cm
2 、精製ゾーン(II)および吸着ゾーン(I) では10〜9
0kg/cm2 の圧損が発生し、循環流体流路全体とし
ては約10〜約1,000kg/cm2 の圧損が発生す
る。もっとも、循環流体流路全体における圧損は、この
擬似移動床式分離装置毎に異なる。
【0041】したがって、この擬似移動床式分離装置
は、このように大きな圧損に耐える耐圧性を有すること
が望まれる。
【0042】この発明の擬似移動床式分離装置は、単カ
ラムのクロマト分析結果としてのデータを入力する入力
手段、この入力手段により入力したデータに基づいて初
期運転条件及び最大運転条件を演算する演算手段、及び
この演算手段による演算結果にしたがって装置各部を制
御する制御手段を有する。なおここで、最大運転条件と
は、この擬似移動床式分離装置が有する最大圧損を超え
ない最大の圧力がカラムに係る流量で擬似移動床式分離
装置を運転することのできる条件をいい、この最大運転
条件はもっとも効率の良い運転条件であるとも言える。
【0043】この入力手段としては、通常のキイボー
ド、マウス等が採用される。また、前記演算手段は、各
種のデータを格納するメモリ及び各種の演算を実行する
する演算部を有する。
【0044】入力手段により、基礎データを入力する。
この基礎データは、分離しようとする原料溶液にかかわ
らないデータであり、擬似移動床式分離装置に採用され
ているカラムの規模たとえばカラムの直径、長さ及び使
用本数、クロマト分析を行う際の固有のデータすなわち
単カラムの直径、単カラムの長さ、移動相の単カラム中
の流速、単カラムにおける温度、原料溶液の濃度、及び
原料溶液の注入量等が入力される。入力された基礎デー
タは演算手段におけるメモリに格納される。
【0045】所定の原料溶液から所定の成分を分離する
に際しては、原料溶液の分離に必要な固有データが入力
手段により入力される。
【0046】入力手段により入力される固有データは、
この発明の擬似移動床式分離装置とは別体の単カラムを
使用したクロマト分析の結果としての分取条件である。
この固有データは次のようにして得られる。
【0047】すなわち、この擬似移動床式分離装置に用
いられている充填床に充填された分離用充填剤と同じ充
填剤を充填してなる単カラムを用いて、擬似移動床式分
離装置で分離しようとする原料溶液のクロマト分析を行
う。
【0048】このとき、クロマト分析の条件として、原
料溶液の単カラムへの注入量、注入間隔、原料溶液の濃
度、単カラム中を通過する溶剤の流速、温度、単カラム
に充填された分離用充填剤の種類及び量、単カラムの長
さ、温度等が設定され、それら条件は既知である。そし
て、このクロマト分析の条件は、単カラムでクロマト分
析を高い効率で行うことのできる条件であり、この条件
設定は、単カラム毎に経験的に定められる。
【0049】単カラムに原料溶液を注入し、原料溶液中
の成分が留出するのを観察し、原料溶液中の成分であっ
て、最初に留出する成分(前成分と称することがあ
る。)がその留出を開始するまでの時間(留出開始時
間;T1s)、前成分の留出量が最大になるまでの時間
(T1 )、原料溶液中の成分であって、最後に留出する
成分(後成分と称することがある。)が留出し終わるま
での時間、すなわち後成分の留出量が実質的に0となる
までの時間(T2e)、後成分の留出量が最大になるまで
の時間(T2 )、前記時間T1 と前記時間T2 との間で
あって、成分の流出量が最低になるまでの時間(Tv
)、単カラムに注入する原料溶液の濃度(C)、及び
単カラムに注入される原料溶液の1回の容積が(V)、
単カラム中を流通する原料溶液の流速(S)が、特定さ
れる。通常、単カラムに原料溶液を注入することにより
得られるクロマト分析結果として得られる、たとえば図
1に示されるチャートにより、時間T1s(単位:分)、
時間T1 (単位:分)、時間T2e(単位:分)、時間T
2 (単位:分)、時間Tv (単位:分)が特定される。
【0050】この発明の擬似移動床式分離装置は、入力
手段により入力されたところの、前記した単カラムのク
ロマト分析結果としての固有データ(分取条件)に基づ
いて、運転条件を決定する演算制御手段を有する。
【0051】演算制御手段では、以下のようにして運転
初期条件が演算される。
【0052】(1) 擬似移動床式分離装置に使用され
るカラム1本の規模とクロマト分析に使用される単カラ
ムの規模とのサイズ差Dを求める演算を行う。演算は、
たとえば以下の式による。
【0053】D=V1÷V2 ただし、V1はカラム1本の内容積(cm3)であり、
V2は単カラム1本の内容積(cm3 )である。擬似移
動床式分離装置に使用されるカラムと単カラムとの長さ
が同じであるときには、前記カラムの断面積と単カラム
の断面積とでサイズ差を求めても良い。
【0054】(2) 単カラムでの分離クロマト分析結
果から得られた溶出時間により時間当たりの原料溶液の
注入回数(B)を求める演算を行う。演算は、たとえ
ば、以下の式による。
【0055】B=60÷(T2e−T1s) (3) 擬似移動床式分離装置におけるカラムに注入さ
れる単位時間当たりの原料の注入量Aを求める演算を行
う。演算は、たとえば以下の式による。
【0056】 A=B×E×D×F(単位;mg/hr/システム) ただし、Bは単カラムに原料溶液を打ち込んだ回数であ
り、Eは単カラムに打ち込んだ1回あたりの原料の量
(mg)であり、Fは擬似移動床式分離装置に使用され
るカラムの本数である。前記Bは単カラムの長さLを原
料溶液の注入間隔(T2s―T1s)で除して求めることが
できる。前記原料の量Eは、原料溶液の濃度C(pp
m)と1回あたりの原料溶液の容積V(ml)とから求
めることができる。
【0057】(4) 擬似移動床式分離装置におけるカ
ラムに注入される単位時間当たりの原料溶液の注入量
(フィード供給量とも称する。)Sf を求める演算を行
う。演算は、たとえば以下の式による。
【0058】 Sf =(A÷C)÷60(単位;ml/分) (5) 単カラムのクロマト分析で求められた時間T1s
(単位:分)、時間T1(単位:分)、時間T2e(単
位:分)、時間T2 (単位:分)、時間Tv (単位:
分)から吸着ゾーン(I) の設定流速、精製ゾーン(II)及
び濃縮ゾーン(III) の平均流速、並びに脱着ゾーン(IV)
の設定流速を求める演算を行う。
【0059】たとえば、吸着ゾーン(I) の設定流速S1
を以下の式により求める。
【0060】 S1 =S×D×T1s÷Tv (単位:ml/ 分) ただし、Sは単カラムを流通する流体の流速であり、S
×Dは擬似移動床式分離装置におけるカラムを流通する
流体の流速を表す。
【0061】精製ゾーン(II)の設定流速S2 を以下の式
により求める。
【0062】 S2 =S×D×T1 ÷Tv (単位:ml/ 分) 濃縮ゾーン(III) の設定流速S3 を以下の式により求め
る。
【0063】 S3 =S×D×T2 ÷Tv (単位:ml/ 分) 脱着ゾーン(IV)の設定流速S4 を以下の式により求め
る。
【0064】 S4 =S×D×T2e÷Tv (単位:ml/ 分) (6) 前記(5)で求められた各流速、前記(4)で
求められた原料溶液の注入量、及び補正係数から、運転
初期条件である原料溶液のフィード量、溶離液のフィー
ド量、ラフィネート抜き出し口及びエキストラクト抜き
出し口からの抜き出し量、並びにステップタイムを演算
する。
【0065】なお、各ゾーンにおける流速、運転初期条
件である原料溶液のフィード量Sf溶離液のフィード量
Sd 、ラフィネート抜き出し口からの抜き出し量Srf及
びエキストラクト抜き出し口からの抜き出し量Sexの関
係を図4に模式的に示す。
【0066】先ず、精製ゾーン(II)と濃縮ゾーン(III)
との流速の平均Savを求める。演算式は以下の通りであ
る。
【0067】 Sav=(S2 +S3 )÷2 (単位:ml/ 分) 精製ゾーン(II)の流速S(II)は、以下の式により求めら
れる。
【0068】 S(II)=Sav+Sf (単位:ml/ 分) 濃縮ゾーン(III) の流速S(III) は、以下の式により求
められる。
【0069】 S(III) =Sav−Sf (単位:ml/ 分) 吸着ゾーン(I) の流速S(I) は、以下の式により求めら
れる。 S(I) =S1 ×K (単位:ml/ 分) ただし、Kは補正係数であり、擬似移動床式分離装置の
規模に応じて決定され、たとえば0.1〜1.0の範囲
から適宜に決定される。
【0070】脱着ゾーン(IV)の流速S(IV)は、以下の式
により求められる。 S(IV)=S4 ×k (単位:ml/ 分) ただし、kは補正係数であり、擬似移動床式分離装置の
規模に応じて決定され、たとえば1.0〜2.0の範囲
から適宜に決定される。
【0071】エキストラクト抜き出し口からの抜き出し
量Sexは、以下の式により求められる。
【0072】 Sex=S(IV)−S(III) (単位:ml/ 分) ラフィネート抜き出し口からの抜き出し量Srfは、以下
の式により求められる。
【0073】 Srf=S(II)−S(I) (単位:ml/ 分) 吸着ゾーン(I) から脱着ゾーン(IV)へ循環する流体の流
速は、吸着ゾーン(I)流速のままとする。
【0074】溶離液の供給量Sd は以下の式により求め
られる。
【0075】 Sd =S(IV)−S(I) (単位:ml/ 分) ステップタイムTstp は以下の式により求められる。
【0076】 Tstp =Tv ×S×D÷[(S(II)+S(III) )/2]
(単位:分) 一方、擬似移動床式分離装置のカラムに充填されたのと
同じ充填剤を充填した単カラムに、異なる流速で原料溶
液を通液し、各流速における単カラム内の圧力を測定し
ておく。得られた原料溶液の各流速とその流速のときの
単カラム内の圧力値とを、前記入力手段により入力す
る。
【0077】入力された流速値Xと圧力値Yとから、演
算手段は、一次関係式(Y=aX+b)を算出し、これ
をメモリに格納する。ただし、一次関係式中、a及びb
は係数である。
【0078】演算手段は、次のようにして、システム圧
力を超えない実施運転条件を算出する。この実施運転条
件は、カラムにより形成されるゾーン内の圧力が擬似移
動床式分離装置が有する固有のシステム圧力を超えない
任意の範囲内にあるように決定される運転条件である。
たとえば、短時間の内に分離を実行する必要のあるとき
には、ゾーン内の圧力がシステム圧力を超えない最大の
圧力値となるように各ゾーン内を流通する液の最大流速
が決定され、このような最大流速を実現するための原料
溶液のフィード量、溶離液のフィード量、ラフィネート
抜き出し口及びエキストラクト抜き出し口からの抜き出
し量、並びにステップタイムが実施運転条件として決定
される。この最大流速を含む条件は最大運転条件と言い
得る。
【0079】またゾーン内の圧力の上昇は種々の不利益
たとえば装置の劣化等を招くので、安全な運転であり、
かつ運転初期条件である流速よりも早い流速で運転を行
うときにはそのような流速が決定され、このような安全
流速を実現するための原料溶液のフィード量、溶離液の
フィード量、ラフィネート抜き出し口及びエキストラク
ト抜き出し口からの抜き出し量、並びにステップタイム
が実施運転条件として決定される。安全で効率的な流速
を決定するのであるから、この流速を含む運転条件は安
全運転条件とも言える。
【0080】(7) 前記(6)において算出した運転
初期条件から、上記一次関係式に基づいて、各ゾーンの
予想圧力値を演算する。このとき、上記一次関係式によ
り求められるゾーン内の圧力は、単カラム1本について
の値であるから、前記予想圧力値に、擬似移動床式分離
装置における各ゾーンを形成するカラムの本数を乗じ、
次いで、乗じて得られた各ゾーンの圧力値を合計して予
想システム圧力値を求める。演算手段は、擬似移動床式
分離装置における固有の上限圧力値に、前記予想システ
ム圧力値を、許容可能な範囲内の任意の値に一致するよ
うに、各ゾーンにおける流速を決定する。
【0081】たとえば、システムの固有上限圧力値以下
の圧力値が入力手段により入力されると、演算部は、こ
の入力された圧力値に対応する各ゾーン内の流速をはじ
めとする実施運転条件を決定する。
【0082】この演算手段により前記実施運転条件が決
定されると、制御手段は、各ゾーンの流速が前記実施運
転条件に適合するように、原料溶液を供給するポンプ、
デソーベントを供給するポンプ、循環流体流路中に流体
を流通させる循環ポンプ、ラフィネート抜き出しポン
プ、エキストラクト抜き出しポンプの運転を制御する制
御信号を各ポンプに出力してこれらを制御する。
【0083】(具体例)図2に示すように、この発明の
実施例装置である擬似移動床式分離装置1は、第1〜第
8カラム2a〜2hを有する。各カラムは流体通路3a
により相互に接続され、第8カラム2hと第1カラム2
aとは流体通路3bにより接続されている。また、各カ
ラムと次のカラムとを結ぶ流体通路3aには逆止弁4
(チェックバルブとも称される)がそれぞれ設けられて
いる。この逆止弁4は、カラムから次のカラムへと流体
を導通させるがその逆の流れを阻止する機能を有する。
【0084】各カラムと隣接するカラムとを結ぶ流体通
路3aにおいて、逆止弁4から次のカラムまでの間には
第3ロータリーバルブ5に結合された分岐流体通路3c
が結合されている。換言すると、この第3ロータリーバ
ルブ5には、第1カラム2aと第2カラム2bとを連絡
する流体通路3aからの流体通路3c、第2カラム2b
と第3カラム2cとを連絡する流体通路3aからの分岐
流体通路3c、以下同様にして各カラム間の流体通路3
aから分岐した8本の分岐流体通路3cを結合してい
る。この第3ロータリーバルブ5はこの8本の分岐流体
通路3cの内一本の分岐流体通路3cを選択し、その選
択された流体通路3aから流体を抜き出し、他の分岐流
体通路3cは閉鎖状態になる。
【0085】第3ロータリーバルブ5の吐出側には循環
ポンプ6が接続される。循環ポンプ6の吐出側は流体通
路3dを介して第4ロータリーバルブ7に接続される。
この循環ポンプ6は、この発明における擬似移動床式分
離装置中の循環流体流路中で流体を強制的に循環させる
流体強制循環手段の一例である。
【0086】この第4ロータリーバルブ7には、前記循
環ポンプ6からの流体と共に吸引吐出量可変の脱離液導
入ポンプ11からの脱離液が供給され、この第4ロータ
リーバルブ7の吐出側は8本の流体通路3eに分かれて
おり、各流体通路3eは、それぞれ各カラムと次のカラ
ムとを連絡する流体通路の、逆止弁4と次のカラムとの
間に結合されている。この第4ロータリーバルブ7は、
この発明の擬似移動床式分離装置中の溶離液導入口(脱
離液導入口と同じ意味である。)を切り替える切り替え
手段の一つである。
【0087】8で示すのは第1ロータリーバルブであ
り、この第1ロータリーバルブ8には吸引吐出量可変の
原料導入ポンプ12を介して原料溶液が供給され、この
第1ロータリーバルブ8の吐出側には8本の流体通路3
fが接続され、この各流体通路3fそれぞれは、それぞ
れ各カラムと次のカラムとを連絡する流体通路の、逆止
弁4と次のカラムとの間に結合されている。この第1ロ
ータリーバルブ8は、この発明の擬似移動床式分離装置
中の原料溶液導入口を切り替える切り替え手段の一つで
ある。
【0088】また、このカラムと次のカラムとを連絡す
る流体通路3aの、逆止弁4と次のカラムとの間から
は、第2ロータリーバルブ9に接続される分岐流体通路
3gが接続されている。この第2ロータリーバルブ9か
らすると、各カラムと次のカラムとを連絡する流体通路
3aそれぞれから分岐した8本の分岐流体通路3gを結
合しており、その内の1本の分岐流体通路3gを開状態
にし、他の分岐流体通路3gを閉状態にする。そして、
この第2ロータリーバルブ9は、吸引吐出量可変のラフ
ィネート抜き出しポンプ13によって流体(ラフィネー
ト)を吐出するようになっている。この第2ロータリー
バルブ9は、この発明の擬似移動床式分離装置中のラフ
ィネート抜き出し口を切り替える切り替え手段の一つで
ある。
【0089】このカラムと次のカラムとを連絡する流体
通路3aの、逆止弁4と次のカラムとの間からは、さら
に、第5ロータリーバルブ10に接続される分岐流体通
路3hが接続されている。この第5ロータリーバルブ1
0からすると、各カラムと次のカラムとを連絡する流体
通路3aそれぞれから分岐した8本の分岐流体通路3g
を結合しており、その内の1本の分岐流体通路3hを開
状態にし、他の分岐流体通路3hを閉状態にする。そし
て、この第5ロータリーバルブ10は、吸引吐出量可変
のエキストラクト抜き出しポンプ14によってエキスト
ラクトを吐出するようになっている。この第5ロータリ
ーバルブ10は、この発明の擬似移動床式分離装置中の
エキストラクト抜き出し口を切り替える切り替え手段の
一つである。
【0090】図2に示す擬似移動床式分離装置1では、
たとえば、第1〜第5ロータリーバルブ5,7,8,
9,10は次のような状態に設定されているとする。
【0091】すなわち、第4ロータリーバルブ7におけ
る8本の流体通路3eの内、第8カラム2hと第1カラ
ム2aとを連絡する液体通路3bに対して開状態とな
り、他の液体通路3aに対しては閉状態となるように、
1本の流体通路3eが選択され、第5ロータリーバルブ
10については、第1カラム2aと第2カラム2bとを
連絡する流体通路3aから分岐する分岐流体通路3hの
みが開状態になり、他の分岐流体通路3hは閉鎖状態に
なるように分岐流体通路3hが選択され、第1ロータリ
ーバルブ8については、第3カラム2cと第4カラム2
dとを連絡する流体通路3aへと結合する流体通路3f
のみが開状態になり、他の流体通路3fは閉鎖状態にな
るように流体通路3fが選択され、第2ロータリーバル
ブ9については、第7カラム2gと第8カラム2hとを
連絡する流体通路3aから分岐する分岐流体通路3gの
みが開状態になり、他の分岐流体通路3gは閉鎖状態に
なるように分岐流体通路3gが選択され、第3ロータリ
ーバルブ5については、第8カラム2hと逆止弁4との
間の流体通路3cのみが開状態になり他の流体通路3c
は閉鎖状態になるように流体通路3cが選択されてい
る。
【0092】また、各カラム2a〜2hには、分離する
べき成分を吸着することのできる充填剤が収容される。
【0093】図2に示す擬似移動床式分離装置におい
て、第1〜第5ロータリーバルブ5,7,8,9,10
が前記した開状態および閉鎖状態にあるとき、第8カラ
ム2hと第1カラム2aとを連絡する流体通路3bに、
第4ロータリーバルブ7を介して脱離液を供給すると、
逆止弁4は逆流防止機能が発揮されると共に、第8カラ
ム2hから排出された流体は流体通路3cを介して第3
ロータリーバルブ5に導出され、導出された流体は、第
3ロータリーバルブ5、循環ポンプ6、第4ロータリー
バルブ7、流体通路3eおよび流体通路3bを介して第
1カラム2aに導入される。
【0094】図2に示す擬似移動床式分離装置において
は、精製工程として、たとえば第4カラム2d〜第7カ
ラム2gによって精製ゾーン(II)が形成され、この精製
ゾーンにおいて原料溶液が充填剤と接触し、充填剤に吸
着容易な成分(これはまた吸着成分又は強吸着成分でも
ある。)が吸着され、吸着困難な他の成分(これはまた
非吸着成分又は弱吸着成分でもある。)がラフィネート
分として脱離液と共に回収され、濃縮工程として、第2
カラム2b〜第3カラム2cによって濃縮ゾーン(III)
が形成され、この濃縮ゾーンにおいて強吸着成分を吸着
した充填剤がエクストラクトの一部と接触し、充填剤上
に残存している弱吸着成分が追い出され、強吸着成分が
濃縮され、脱着工程として、第1カラム2aによって脱
着ゾーン(IV)が形成され、この脱着ゾーンにおいて濃縮
された強吸着成分を含む充填剤が脱離液と接触させら
れ、強吸着成分が充填剤から追い出され、脱離液を伴っ
てエクストラクト分としてエキストラクト抜き出し口か
ら排出され、脱離液回収工程として、第8カラム2hに
よって吸着ゾーンが形成され、実質的に脱離液のみを吸
着した充填剤が、ラフィネート分の一部と接触し、充填
剤に含まれる脱離液の一部が脱離液回収分として回収さ
れる。
【0095】この第1〜第5ロータリーバルブ5,7,
8,9,10は、制御手段によってその動作が制御され
る。
【0096】かかる擬似移動床式分離装置では、一定時
間間隔毎に第1〜第5ロータリーバルブ5,7,8,
9,10の操作により脱離液の導入位置、原料溶液の導
入位置および各抜き出し位置を溶媒の流通方向にカラム
1基分だけ移動させる。
【0097】したがって、第2段階では、第2カラム2
bにより脱着ゾーンが形成され、第3カラム2cおよび
第4カラム2dにより濃縮ゾーンが形成され、第5カラ
ム2e〜第82hにより精製ゾーン、第1カラム2aに
より吸着ゾーンが形成される。このような動作を順次に
行うことにより、各工程がカラム1基づつずれていき、
類似した化合物の混合物の分離処理が連続的に効率よく
達成される。
【0098】この擬似移動床式分離装置1においては、
図3に示されるように、入力手段であるキーボード15
と、演算手段16と制御手段17とを有する。この演算
手段16は、メモリ18と演算部19とを有する。
【0099】メモリ18は、前記キーボード15から入
力されるデータを一時記憶し、必要に応じて演算部19
に出力し、また演算部19で演算された演算結果を記憶
する。
【0100】演算部19は、メモリ18に記憶されてい
るデータを読み出して所定の演算処理をし、その演算結
果を制御手段17に出力する。
【0101】この制御手段17は、前記第1〜第5ロー
タリーバルブ5,7,8,9,10の切り替え動作、循
環ポンプ6、脱離液導入ポンプ11、原料導入ポンプ1
2、ラフィネート抜き出しポンプ13、エキストラクト
抜き出しポンプ14の駆動動作を制御する制御信号を出
力する。
【0102】次に、この擬似移動床式分離装置を用いた
具体的な運転について説明する。
【0103】(A) 擬似移動床式分離装置における諸元は
以下の通りである。
【0104】 循環ポンプ、脱離液導入ポンプ、原料導入ポンプ、ラフィネート抜き出しポン プ、エキストラクト抜き出しポンプ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・日本分光株式会社製「1050HPLC用ポンプ」 カラム本数(n)・・・8本 カラム寸法・・・・・・長さ:25cm、直径:1.0cm、 カラムの種類・・・・・CHIRALCEL OD 溶離液の種類・・・・・n-ヘキサン/イソプロピルアルコール=90/10 (B) 単カラムによりクロマト分析するときの条件は以下
の通りである。
【0105】 カラムの種類・・・・・CHIRALCEL OD カラム寸法・・・・・・長さ:25cm、直径:1.0cm、 原料溶液の種類・・・・t‐スチルベンオキサイド含有溶液 (溶媒は溶離液に同じ) 原料溶液の濃度(C)・30mg/ml 溶離液の種類・・・・・n-ヘキサン/イソプロピルアルコール=90/10 溶離液の流速(S)・・4.8ml/分 単カラムに注入する原料溶液の1回の量(V) ・・0.05ml 温度・・・・・・・・・40℃ (C) 上記クロマト分析により得られたクロマト分析結果
は以下の通りである。
【0106】T2e=10.910分 T2 =8.958分 TV =8.182分 T1 =6.412分 T1s=5.455分 (D) 演算部17は、前記キーボード15から前記(A) 、
(B) 及び(C) に示されるデータを入力して、以下の演算
処理を実行する。
【0107】1. 擬似移動床式分離装置に使用されるカ
ラム1本の規模とクロマト分析に使用される単カラムの
規模とのサイズ差Dを求める演算を行う。演算は、たと
えば以下の式による。
【0108】 D=V1÷V2=19.63÷19.63=1(倍) 2.単カラムでの分離クロマトから得られた溶出時間から
時間当たりの試料注入回数(B)を求める以下の演算を
行う。
【0109】B=60÷(T2e−T1s)= 60÷(1
0.910−5.455)=11.0(回/時間) 3. 擬似移動床式分離装置におけるカラムに注入される
単位時間当たりの原料の注入量Aを求める演算を行う。
演算は、たとえば以下の式による。
【0110】A=B×E×D×F=11.0×5.0×
0.05×1×8=22(単位;mg/hr/システ
ム) 4. 擬似移動床式分離装置におけるカラムに注入される
単位時間当たりの原料溶液の注入量(フィード供給量と
も称する。)Sf を求める演算を行う。演算は、たとえ
ば以下の式による。
【0111】Sf =(A÷C)÷60=(22÷5)÷
60=0.073(単位;ml/分) 5. 吸着ゾーン(I) の設定流速、精製ゾーン(II)及び濃
縮ゾーン(III) の平均流速、並びに脱着ゾーン(IV)の設
定流速を求める演算を行う。
【0112】S1 =S×D×T1s÷Tv =4.8×1×
5.455÷8.182=3.200(単位:ml/
分) 精製ゾーン(II)の設定流速S2 を以下の式により求め
る。
【0113】S2 =S×D×T1÷Tv =4.8×1×
6.412÷8.182=3.762(単位:ml/
分) 濃縮ゾーン(III) の設定流速S3 を以下の式により求め
る。
【0114】S3 =S×D×T2 ÷Tv =4.8×1×
8.958÷8.182=5.255(単位:ml/
分) 脱着ゾーン(IV)の設定流速S4 を以下の式により求め
る。
【0115】S4 =S×D×T2e÷Tv =4.8×1×
10.91÷8.182=6.400(単位:ml/
分) 6. 原料溶液のフィード量、溶離液のフィード量、ラフ
ィネート抜き出し口及びエキストラクト抜き出し口から
の抜き出し量、並びにステップタイムを演算する。
【0116】先ず、精製ゾーン(II)と濃縮ゾーン(III)
との流速の平均を求める。演算式は以下の通りである。
【0117】Sav=(S2 +S3 )÷2=(3.762
+5.255)÷2=4.509(単位:ml/ 分) 精製ゾーン(II)の流速S(II)は、以下の式により求めら
れる。
【0118】S(II)=Sav+Sf =4.509+0.0
73=4.582(単位:ml/ 分) 濃縮ゾーン(III) の流速S(III) は、以下の式により求
められる。
【0119】S(III) =Sav−Sf =4.509+0.
073=4.436(単位:ml/) 吸着ゾーン(I) の流速S(I) は、以下の式により求めら
れる。 S(I) =S1 ×K=3.200×0.5=1.600
(単位:ml/ 分) 脱着ゾーン(IV)の流速S(IV)は、以下の式により求めら
れる。 S(IV)=S4 ×k=6.400×1.2=7.680
(単位:ml/ 分) エキストラクト抜き出し口からの抜き出し量Sexは、以
下の式により求められる。
【0120】Sex=S(IV)−S(III) =7.68‐4.
436=3.244(単位:ml/) ラフィネート抜き出し口からの抜き出し量Srfは、以下
の式により求められる。
【0121】Srf=S(II)−S(I) =4.582‐1.
600=2.982単位:ml/ 分) 吸着ゾーン(I) から脱着ゾーン(IV)へ循環する流体の流
速は、吸着ゾーン(I)流速のままとする。
【0122】溶離液の供給量Sd は以下の式により求め
られる。
【0123】Sd =S(IV)−S(I) =7.680‐1.
600=6.08(単位:ml/ 分) 第1〜第5ロータリーバルブ5,7,8,9,10の切
り替え時間すなわちステップタイムは、以下のようにし
て決定される。
【0124】Tstp =Tv ×S×D÷[(S(II)+S(I
II) )/2]=8.182×4.8×1÷4.509=
8.71(単位:分) (E) また、原料溶液に使用された溶媒を単カラムに通液
することにより、単カラム中での溶媒の流速と圧力との
関係を調べる。先ず、前記単カラムに使用溶媒を種々の
流速で流通させ、そのときの単カラム内の圧力を測定す
る。そして、前記各流速と各圧力とを、入力手段で入力
する。入力された流速データと圧力データとが一旦メモ
リに格納され、次いで演算部にて圧力Y(単位:ml/
cm2)が流速X(単位:ml/分)の一次関数として
相関付けられる。
【0125】演算部では、この一次関数に基づいて、前
記(D) で求めた各ゾーンの流速からカラム内の圧力を求
め、その圧力値にゾーン内のカラムの本数に等しい数を
乗じ、カラム本数を考慮した各ゾーンの圧力の和を求め
て、予想システム圧力を求める。
【0126】演算部は、さらに、求められた予想システ
ム圧力とこの擬似移動床式分離装置におけるシステム上
限圧力とを比較し、予想システム圧力がシステム上限圧
力を超えないように、各ゾーンの最大設定流速Smax(I)
〜Smax(IV) を決定する。
【0127】演算部は、各ゾーンの最大設定流速を決定
すると、そのデータを制御手段に出力する。前記制御手
段17は、各ゾーンの最大設定流量が決定された値にな
るように、前記第1〜第5ロータリーバルブ5,7,
8,9,10の切り替え動作、循環ポンプ6、脱離液導
入ポンプ11、原料導入ポンプ12、ラフィネート抜き
出しポンプ13、エキストラクト抜き出しポンプ14の
駆動動作を制御する制御信号を出力する。
【0128】その結果、この具体例においては、原料溶
液としてt‐スチルベンオキサイド含有溶液を採用した
場合、ステップタイムは5.73分である。
【0129】吸着ゾーン(I) の計算された最大設定流速
Smax(I)が2.43ml/分であるに対し、吸着ゾーン
(I) の実測された最大設定流速Smax(I)は2.28ml
/分であった。
【0130】精製ゾーン(II)の計算された最大設定流速
Smax(II) が6.96ml/分であるに対して、精製ゾ
ーン(II)の実測された最大設定流速Smax(II) は5.6
3ml/分であった。
【0131】濃縮ゾーン(III) の計算された最大設定流
速Smax(III)が6.74ml/分であるに対して、濃縮
ゾーン(III) の実測された最大設定流速Smax(III)は
5.33ml/分であった脱着ゾーン(IV)の計算された
最大設定流速Smax(IV) が11.67ml/分であるに
対して、脱着ゾーン(IV)の実測された最大設定流速Sma
x(IV) は10.50ml/分であった。
【0132】このように、この具体例では、単カラムを
用いたクロマト分析の結果から計算された運転条件にし
たがって擬似移動床式分離装置を操業すると、計算結果
に近い運転条件を直ちに実現することができ、効率の良
い運転を実施することができる。
【0133】
【発明の効果】この発明によると、擬似移動床式分離装
置を長期間にわたって慣らし運転をすることにより各種
のデータを収集して所望運転条件を決定することなく、
別に定めた単カラムのクロマト分析により得られるデー
タに基づいて擬似移動床式分離装置の所望運転条件を決
定することのできる擬似移動床式分離装置の運転条件決
定方法、及びそのような運転条件決定方法を自動的に行
うことのできる擬似移動床式分離装置を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、単カラムを用いたクロマト分析の結果
として得られるチャートから読み取ることのできるデー
タを示す説明図である。
【図2】図2は、この発明の一実施例である擬似移動床
式分離装置を示す説明図である。
【図3】図3は、この発明の一実施例である擬似移動床
式分離装置における入力手段、演算手段、及び制御手段
を示す説明図である。
【図4】図4は、各ゾーンにおける流速、運転初期条件
である原料溶液のフィード量Sf 、溶離液のフィード量
Sd 、ラフィネート抜き出し口Srf及びエキストラクト
抜き出し口からの抜き出し量Sexの関係を模式的に示す
説明図である。
【符号の説明】
1・・・ロータリーバルブ組み込み擬似移動床装置、2
a〜2h・・・単位充填床、3a、3b、3c、3d、
3e、3f・・・流体通路、3g、3h・・・分岐流体
通路、4・・・逆止弁、5・・・第3ロータリーバル
ブ、6・・・循環ポンプ、7・・・第4ロータリーバル
ブ、8・・・第1ロータリーバルブ、9・・・第2ロー
タリーバルブ、10・・・第5ロータリーバルブ、11
・・・脱離液導入ポンプ、12・・・原料導入ポンプ、
13・・・ラフィネート抜き出しポンプ、14・・・エ
キストラクト抜き出しポンプ、15・・・入力手段、1
6・・・演算手段、17・・・制御手段、18・・・メ
モリ、19・・・演算部。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年11月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分離用充填剤を収容した複数の充填床を
    無端状に連結し、内部に流体を一方向に強制循環させる
    ことのできる循環流体流路を形成し、この循環流体流路
    中に、溶離液を導入する溶離液導入口と、吸着質または
    強吸着質に富む溶液を抜き出すエキストラクト抜き出し
    口と、分離されるべき成分の混合物を含む原料溶液を導
    入する原料溶液導入口と、非吸着質または弱吸着質に富
    む溶液を抜き出すラフィネート抜き出し口とを、流体の
    流れの方向にこの順に設け、かつ、それぞれの導入口お
    よび抜き出し口を間欠移動させるようにしてなり、 溶離液導入口とエキストラクト抜き出し口との間にある
    充填床に形成され、濃縮された吸着成分又は強吸着質を
    含む分離用充填剤が溶離液に接触して吸着成分又は強吸
    着成分が分離用充填剤から追い出される脱着ゾーン(I
    V)、エキストラクト抜き出し口と原料溶液導入口との間
    にある充填床に形成され、分離用充填剤上に残存してい
    る非吸着成分又は弱吸着成分が追い出されて吸着成分又
    は強吸着成分が濃縮される濃縮ゾーン(III) 、原料溶液
    導入口とラフィネート抜き出し口との間にある充填床に
    形成され、原料溶液が分離用充填剤と接触し、分離用充
    填剤に吸着成分又は強吸着成分が吸着されて非吸着成分
    又は弱吸着成分が溶離液と共に回収される精製ゾーン(I
    I)、及びラフィネート抜き出し口と溶離液導入口との間
    にある充填床に形成され、非吸着成分又は弱吸着成分が
    分離用充填剤に吸着されて非吸着成分又は弱吸着成分の
    含有量の少ない溶離液が回収される吸着ゾーン(I) が、
    複数の充填床により形成されてなる擬似移動床式分離装
    置の運転条件決定方法であり、 前記分離用充填剤と同じ分離用充填剤を充填した単カラ
    ムに、複数成分含有の原料溶液を注入することによりク
    ロマト分析を行い、 そのクロマト分析結果として得られる分取条件に基づい
    て、前記擬似移動床式分離装置の運転初期条件である、
    原料溶液のフィード量、溶離液のフィード量、ラフィネ
    ート抜き出し口及びエキストラクト抜き出し口からの抜
    き出し量、並びにステップタイムを決定し、 決定されたこの運転初期条件と、前記分離用充填剤と同
    じ分離用充填剤を充填した前記単カラムに原料溶液を通
    液するときの原料溶液の流速と単カラム内の圧力との関
    係とから、擬似移動床式分離装置の上限圧力を超えない
    実施運転条件を決定することを特徴とする擬似移動床式
    分離装置の運転条件決定方法。
  2. 【請求項2】 前記請求項1に記載の擬似移動床式分離
    装置の運転条件決定方法において、前記運転初期条件
    が、前記分離用充填剤と同じ分離用充填剤を充填した単
    カラムに、複数成分含有の原料溶液を注入することによ
    りクロマト分析を行い、そのクロマト分析結果として得
    られるデータである、原料溶液中の成分のうち単カラム
    から先に流出する所定の前成分の流出開始時間(T1
    s)、前記前成分の留出量が最大になる時間(T1 )、
    前記所定の後成分の流出終了時間(T2s)、前記後成分
    の留出量が最大になる時間(T2 )、前記前成分の流出
    終了時間と前記後成分の流出開始時間との間であって、
    流出成分の濃度が最低になる時間(TV )、及び単カラ
    ムに注入する原料溶液の濃度(C)に基づいて決定され
    る前記請求項1に記載の擬似移動床式分離装置の運転条
    件決定方法。
  3. 【請求項3】 分離用充填剤を収容した複数の充填床を
    無端状に連結し、内部に流体を一方向に強制循環させる
    ことのできる循環流体流路を形成し、この循環流体流路
    中に、溶離液を導入する溶離液導入口と、吸着質または
    強吸着質に富む溶液を抜き出すエキストラクト抜き出し
    口と、分離されるべき成分の混合物を含む原料溶液を導
    入する原料溶液導入口と、非吸着質または弱吸着質に富
    む溶液を抜き出すラフィネート抜き出し口とを、流体の
    流れの方向にこの順に設け、かつ、それぞれの導入口お
    よび抜き出し口を間欠移動させるようにしてなり、 溶離液導入口とエキストラクト抜き出し口との間にある
    充填床に形成され、濃縮された吸着成分又は強吸着質を
    含む分離用充填剤が溶離液に接触して吸着成分又は強吸
    着成分が分離用充填剤から追い出される脱着ゾーン(I
    V)、エキストラクト抜き出し口と原料溶液導入口との間
    にある充填床に形成され、分離用充填剤上に残存してい
    る非吸着成分又は弱吸着成分が追い出されて吸着成分又
    は強吸着成分が濃縮される濃縮ゾーン(III) 、原料溶液
    導入口とラフィネート抜き出し口との間にある充填床に
    形成され、原料溶液が分離用充填剤と接触し、分離用充
    填剤に吸着成分又は強吸着成分が吸着されて非吸着成分
    又は弱吸着成分が溶離液と共に回収される精製ゾーン(I
    I)、及びラフィネート抜き出し口と溶離液導入口との間
    にある充填床に形成され、非吸着成分又は弱吸着成分が
    分離用充填剤に吸着されて非吸着成分又は弱吸着成分の
    含有量の少ない溶離液が回収される吸着ゾーン(I) が、
    複数の充填床により形成されてなる擬似移動床式分離装
    置において、 前記分離用充填剤と同じ分離用充填剤を充填した単カラ
    ムに、複数成分含有の原料溶液を注入することによりク
    ロマト分析を行い、そのクロマト分析結果として、原料
    溶液中の成分のうち単カラムから先に流出する所定の前
    成分の流出開始時間(T1s)、前記前成分の留出量が最
    大になる時間(T1 )、前記所定の後成分の流出終了時
    間(T2s)、前記後成分の留出量が最大になる時間(T
    2 )、前記前成分の流出終了時間と前記後成分の流出開
    始時間との間であって、流出成分の濃度が最低になる時
    間(TV )、及び単カラムに注入する原料溶液の濃度
    (C)を入力する入力手段と、 前記入力手段から入力された前記クロマト分析結果に基
    づいて擬似移動床式分離装置の運転初期条件である、前
    記単カラムに流す原料溶液の流速と単カラム内の圧力と
    の関係と前記運転初期条件とから擬似移動床式分離装置
    の上限圧力を超えない実施運転条件を決定する制御する
    演算手段と、 前記演算手段により決定された実施運転条件に従って運
    転を制御する制御手段とを有することを特徴とする擬似
    移動床式分離装置。
JP29015896A 1996-10-31 1996-10-31 擬似移動床式分離装置の運転条件決定方法及び擬似移動床式分離装置 Pending JPH10128005A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29015896A JPH10128005A (ja) 1996-10-31 1996-10-31 擬似移動床式分離装置の運転条件決定方法及び擬似移動床式分離装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29015896A JPH10128005A (ja) 1996-10-31 1996-10-31 擬似移動床式分離装置の運転条件決定方法及び擬似移動床式分離装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10128005A true JPH10128005A (ja) 1998-05-19

Family

ID=17752521

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29015896A Pending JPH10128005A (ja) 1996-10-31 1996-10-31 擬似移動床式分離装置の運転条件決定方法及び擬似移動床式分離装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10128005A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001005482A1 (fr) * 1999-07-21 2001-01-25 Organo Corporation Dispositif de separation chromatographique a couche mobile par intermittence
WO2010024266A1 (ja) * 2008-08-26 2010-03-04 ダイセル化学工業株式会社 擬似移動床クロマトグラフィー分離装置を用いる目的物質の製造方法
CN114349804A (zh) * 2021-12-27 2022-04-15 山东兆光色谱分离技术有限公司 一种色谱分离甘油葡萄糖苷的方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001005482A1 (fr) * 1999-07-21 2001-01-25 Organo Corporation Dispositif de separation chromatographique a couche mobile par intermittence
US6471859B1 (en) 1999-07-21 2002-10-29 Organo Corporation Intermittent moving layer type chromatographic separation device
WO2010024266A1 (ja) * 2008-08-26 2010-03-04 ダイセル化学工業株式会社 擬似移動床クロマトグラフィー分離装置を用いる目的物質の製造方法
US8017017B2 (en) 2008-08-26 2011-09-13 Daicel Chemical Industries, Ltd. Method for producing a target substance using a simulated moving bed chromatography separation system
CN114349804A (zh) * 2021-12-27 2022-04-15 山东兆光色谱分离技术有限公司 一种色谱分离甘油葡萄糖苷的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100430554B1 (ko) 의사 이동상식 분리 장치
US7141172B2 (en) Versatile simulated moving bed systems
KR960010366B1 (ko) 크로마토 그래픽 분리 방법
US8752417B2 (en) Gradient-elution multi-column separation method
FI86416C (fi) Foerfarande foer tillvaratagande av betain ur melass.
KR0155555B1 (ko) 3가지 이상의 성분을 포함하는 혼합물을 3가지 정제 유출물로 연속 크로마토그래피 분리하는 방법 및 이의 장치
EP0471082B1 (en) Process for separating optical isomers
CA2256354C (en) Method for fractionation of a solution by a chromatographic simulated moving bed process
US20060273013A1 (en) Versatile simulated moving bed systems
US6802969B2 (en) Preparative chromatography system and separation/purification method using same
US6325940B1 (en) Simulated moving bed chromatographic separation system
US6551512B1 (en) Continuous method for separating substances according to molecular size
CN107249709B (zh) 基于压力探测的自动化层析柱切换控制
EP3215640B1 (en) Chromatographic sequential simulated moving bed fractionation method of a feedstock
KR101449808B1 (ko) 발린의 연속적 분리를 위한 장치 및 이를 이용한 발린의 연속적 분리 방법
JPH10128005A (ja) 擬似移動床式分離装置の運転条件決定方法及び擬似移動床式分離装置
JP3590088B2 (ja) 擬似移動層式クロマト分離方法および擬似移動層式クロマト分離装置
JP3611343B2 (ja) 擬似移動層式クロマト分離装置における光学異性体分離のモニター方法、擬似移動層式クロマト分離装置および擬似移動層式クロマト分離方法
Bridges et al. Continuous cross-current chromatographic refiners
JP2962589B2 (ja) 擬似移動層式クロマト分離装置
JP3258513B2 (ja) 擬似移動層式クロマト分離操作を用いる有用物質の製造方法
Morino et al. Continuous optical resolution of antihypertensive drug by column chromatography
JPH1190104A (ja) 擬似移動床式分離装置
JPH0768101A (ja) 擬似移動層による分離方法及び装置
JP2962593B2 (ja) 複数成分の分離方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20060106

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Effective date: 20060602

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02