JPH10127672A - 球型ケーブルクリンプ付き再建靱帯固定用エンドボタン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ケーブルを用いて再建靱帯を強固に固定する
ことができ、固定したケーブルを速やかに骨孔から引き
出すことができ、骨孔から出たところで１本の糸で回転
させ固定できるエンドボタンの提供を目的とするもので
ある。 【構成】 ケーブルを通し固定するクリンプ部６に球部
５を設置し球型ケーブルクリンプとする。一端にエンド
ボタン引き出し用の穴３を持った細長い平板状の体部１
の中央に曲面を底とした球型ケーブルクリンプを収納す
る谷部２を設け、谷部２の両斜面及び中央に球型ケーブ
ルクリンプのクリンプ部６の横断面直径よりも幅が広
く、かつ球部５の直径よりも幅の狭い、細長いエンドボ
タンの長軸に平行な溝４を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、靱帯再建手術の際、ケ
ーブル、もしくはそれに代用される紐や糸を用いて再建
靱帯を固定する球型ケーブルクリンプ付き再建靱帯固定
用エンドボタンに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、再建靱帯を固定する際、糸を用い
て骨孔から引き出し固定するエンドボタンが使用されて
いる。しかし、糸は固定材料としては強度的に弱く、手
術後早期に切れたりゆるんだりする心配がある。また、
通常の糸はレントゲン写真に写らないので、手術中にね
じれたり、手術後に切れたりゆるんだりしてもレントゲ
ン写真で分からない。そこで、糸の代わりに金属のケー
ブルを用いればこれらの問題は解決する。しかし、従来
の平らなエンドボタンではケーブル固定用の止め金具
（クリンプ）が突出するため、骨孔から引き出す際に骨
孔に引っかかりやすく引き出しにくいという不都合があ
った。

【０００３】また、従来のエンドボタンでは、ボタンを
骨孔から出して固定する際、その細長いボタンの両端に
付けた２本の糸を操り、ボタンを回転させて両端を骨孔
にかけて骨孔から抜け出ないように固定していた。しか
し２本の糸を骨孔に通すことは手間がかかり、この２本
の糸同士が骨孔あるいは皮膚の中で絡まると、この糸を
操ってボタンを回転できなくなるという不都合があっ
た。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】本考案は、ケーブルを
用いて再建靱帯を強固に固定することができ、エンドボ
タンを骨孔から引き出す際に、ケーブルを固定するクリ
ンプが骨孔に引っかからず、骨孔から出たところでボタ
ンを回転させ固定する際に、１本の糸でこれを可能にす
るエンドボタンの提供を目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案は、球型ケーブル
クリンプ付き再建靱帯固定用エンドボタンであって、上
記問題点を解決するために、まずケーブルを通し固定す
るクリンプ部６に、クリンプ部６の横断面直径よりも大
きな直径を有する球部５を取り付けて球型ケーブルクリ
ンプとする。一端にエンドボタン引き出し用の穴３を設
けた細長い平板状の体部１の中央に、球型ケーブルクリ
ンプの球部５の直径と同じかやや大きい曲率半径を有す
る曲面を底とした谷部２を作り、谷部２に球型ケーブル
クリンプのクリンプ部６の横断面直径よりも幅が広く、
かつ球部５の直径よりも幅の狭い、エンドボタンの長軸
に平行な細長い溝４を空ける。溝４にケーブルを通し、
谷部２の中でケーブルを球部５が端となるように球型ケ
ーブルクリンプで固定し、球型ケーブルクリンプのクリ
ンプ部６が溝４に入り、球部５を谷部２に収める。以上
の構造で上記問題点を解決するための手段を講じたもの
である。

【０００６】

【作用】本考案は、前述の手段を講じたので、使用に際
しては、靱帯を固定しようとするケーブルを谷部２の外
側から溝４に通し、そのケーブルの端を谷部２の中でク
リンプ部６側から球型ケーブルクリンプに通す。クリン
プ部６を締めてケーブルを球型ケーブルクリンプに固定
し、球型ケーブルクリンプを谷部２の中に収めるよう
に、ケーブルを引くと、溝４の幅はクリンプ部６の横断
面直径よりも広く、かつ球部５の直径より狭いので、ク
リンプ部６は溝４を通るが球部５は溝４に引っかかり、
ケーブルを取り付けた球型ケーブルクリンプは再建靱帯
固定用エンドボタンに固定される。

【０００７】ケーブルを取り付けた球型ケーブルクリン
プ付き再建靱帯固定用エンドボタンを骨孔に通すとき
は、エンドボタン引きだし用の穴３に通したエンドボタ
ン引き出し用の糸７を先に骨孔に通しておく。ケーブル
を緩めながら糸７を引くと、球型ケーブルクリンプの球
部５が谷部２の中に収まったままの骨孔に引っかからな
い状態で、エンドボタンを骨孔に通すことができる。

【０００８】球型ケーブルクリンプ付き再建靱帯固定用
エンドボタンが完全に骨孔から出たところで、エンドボ
タン引き出し用の糸７を少し緩め、反対側にゆっくりケ
ーブルを引くと、球型ケーブルクリンプの球部５によっ
て球部５の接している溝に対し垂直に抗力が生じる、と
同時にクリンプ部６が、その接している溝４の一端の淵
を押し上げる力が加わり、エンドボタンを回転させる力
となって、エンドボタンは回転する。エンドボタンが回
転すると、骨孔に近い側のエンドボタンの端が骨孔に引
っかかり、そこを支点としてワイヤーを更に強く引くと
エンドボタンは更に回転し、エンドボタンの谷部２を骨
孔に引き込むようにボタンは骨孔に固定される。

【０００９】皮膚に近い骨孔で、エンドボタンを用いて
ケーブルを固定する際は、ケーブルを固定する球型ケー
ブルクリンプが、谷部２の中に収まっているので、クリ
ンプは皮下に突出しにくくなっている。

【実施例】以下、本考案の実施例を図面に従って更に詳
細に説明する。

【００１０】図１は、この球型ケーブルクリンプ付き再
建靱帯固定用エンドボタンの実施例で、ケーブルを固定
した球型ケーブルクリンプのクリンプ部６が再建靱帯固
定用エンドボタンの溝４に入り、ケーブルを引くと球部
５は溝４に引っかかり谷部２に固定される。

【００１１】図２及び３、４、５は、この再建靱帯固定
用エンドボタンの実施例で、細長い平板状の体部１、そ
の一端にエンドボタン引き出し様の糸７を通す穴３を設
ける。そして、体部１中央に向かい合った２面よりなる
谷部２を設け、谷部２の底は曲面とし、その曲率半径は
球型ケーブルクリンプの球部５の曲率半径に等しいか、
やや大きいものとする。谷部２の両斜面及び中央にはケ
ーブル固定用の球型ケーブルクリンプのクリンプ部６の
収まる、エンドボタンに長軸に平行な溝４を設ける。こ
の溝４の幅は球型ケーブルクリンプのクリンプ部６の横
断面直径よりも広く、かつ球部５の直径よりも狭いもの
とする。

【００１２】図６及び７、８、９は、球型ケーブルクリ
ンプの実施例で、ケーブルを通し固定する筒状のクリン
プ部６の一端に、クリンプ部６の横断面直径よりも大き
な直径を有する球部５を設置し、球部５にもケーブルを
通すためのクリンプ部６と連続した穴を設ける。

【００１３】この実施例の再建靱帯固定用エンドボタン
では、溝４は細長い体部１の長軸に平行に、谷部２の端
から端まで設けても良いが、ケーブルを引いたときに、
エンドボタンを回転させる力がより強く働くように谷部
両端には設けず、中央寄りにのみ設けた方が望ましい。

【００１４】この実施例の再建靱帯固定用エンドボタン
では、谷部２の両端の面の傾斜は、大きくても小さくて
も、あるいは平面でも曲面でも良いが、ケーブルを引い
た際にエンドボタンを回転させる大きな力を得ることが
でき、かつ骨孔にエンドボタンを通す際に骨孔に引っか
からないような適当な傾斜が望ましい。

【００１５】この実施例の再建靱帯固定用エンドボタン
は、金属又は合成樹脂で形成できるが、強度の強い、生
体に安全で親和性の高い、レントゲン写真に写る、生体
材料用に開発されているチタン合金を使用することが望
ましい。球型ケーブルクリンプは、通したケーブルをク
リンプ部６で締めて固定するため、金属または金属と同
様な役割を果たしうる合成樹脂で形成できるが、同様に
チタン合金を使用することが望ましい。

【００１６】この実施例は、以上のように構成されてい
るので、現在市販されている各種ケーブル及びワイヤー
を谷部２の外側から溝４に通し、谷部２の中で球型ケー
ブルクリンプのクリンプ６の穴に通し、クリンプ部６を
締めて固定し、ケーブルを引いて球型ケーブルクリンプ
を谷部２の中に収め、ケーブルを再建靱帯固定用エンド
ボタンに固定することができる。

【００１７】図１０に示すのは、この球型ケーブルクリ
ンプ付き再建靱帯固定用エンドボタン使用時の実施例
で、他端で靱帯に接続したしたケーブルの一端を固定し
たエンドボタンである。このエンドボタンの穴３にエン
ドボタン引き出し様の糸７を通し、あらかじめ作ってお
いた骨孔に糸７を通す。この骨孔の断面の直径は、後に
エンドボタンを引き抜いて固定するために、エンドボタ
ンの幅に近く、かつ、それよりも少しだけ大きなもので
なければいけない。ケーブルを緩めた状態で、糸７を引
いていくと、ケーブルを固定した球型ケーブルクリンプ
は谷部２の中に収まり、なおかつクリンプ部にとりつけ
たケーブルも強い抵抗とならないまま、エンドボタンを
滑らかに骨孔の中に通すことができる。

【００１８】図１１に示すのは、この球型ケーブルクリ
ンプ付き再建靱帯固定用エンドボタン使用時の実施例
で、エンドボタンの体部１がすべて骨孔を出たところ
で、糸７を少し緩め、ケーブルをゆっくり引くと、球型
ケーブルクリンプの球部５によって球部５の接している
溝に対し垂直に抗力が生じると同時に、クリンプ部６
が、その接している溝４の一端の淵を押し上げる力が生
じ、共にエンドボタンを回転させる力となって、エンド
ボタンは回転する。エンドボタンが回転すると、骨孔に
近い側のエンドボタンの端が骨孔に引っかかり、そこを
支点としてワイヤーを更に強く引くとエンドボタンは更
に回転し、エンドボタンの谷部２を骨孔に引き込むよう
にボタンは骨孔に固定される。谷部２が骨孔に収まる
と、エンドボタン体部１の両端で骨孔の穴の淵に引っか
かり、ケーブルを強く引いても抜けない強固な固定が得
られる。

【００１９】さらに、図１２はこの球型ケーブルクリン
プ付き再建靱帯固定用エンドボタンの皮膚に近いところ
での使用例であるが、ケーブル固定の球型ケーブルクリ
ンプが谷部２に収まるため、クリンプが皮膚の下から皮
膚に当たることが少なく、皮膚からの突出もない。

【００１９】以上の構造及び作用は、再建靱帯の固定材
料としてケーブルの代わりに太い糸や紐などを代用して
も同様に同じ効果の得られるものである。

【００２０】

【考案の効果】以上に述べたように、ケーブルを通し固
定するクリンプ部６に、クリンプ部６の横断面直径より
も大きな直径を有する球部５を取り付けて球型ケーブル
クリンプとし、一端にエンドボタン引き出し用の穴３を
持った細長い平板状の体部１の中央に、球型ケーブルク
リンプを収納する、球型ケーブルクリンプの球部５の直
径と同じかやや大きい曲率半径を有する曲面を底とした
谷部２を設け、その両斜面及び中央に球型ケーブルクリ
ンプのクリンプ部６の横断面直径よりも幅が広く、かつ
球部５の直径よりも幅の狭い、体部１の長軸に平行な球
型ケーブルクリンプ固定用の溝４を設けたことにより、
ケーブルを固定したエンドボタンの骨孔からの引き出し
を容易にし、エンドボタンを骨孔から引き出したところ
でボタンを回転させ固定する際に、１本の糸でこれを可
能にし、かつ、皮膚に近いところにおいてもケーブルの
端を皮下に突出させることなく、ケーブルを用いて再建
靱帯を強固に固定することができる効果を奏するもので
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案再建靱帯固定用エンドボタン及び球型ケ
ーブルクリンプにケーブルを固定した実施例の斜視図で
ある。

【図２】本考案再建靱帯固定用エンドボタンの実施例の
斜視図である。

【図３】本考案再建靱帯固定用エンドボタンの実施例の
表側平面図である。

【図４】本考案再建靱帯固定用エンドボタンの実施例、
図２のイ−イ断面図である。

【図５】本考案再建靱帯固定用エンドボタンの実施例の
一方の側面図である。

【図６】本考案球型ケーブルクリンプの実施例の斜視図
である。

【図７】本考案球型ケーブルクリンプの実施例の表側平
面図である。

【図８】本考案球型ケーブルクリンプの実施例、図６の
ロ−ロ断面図である。

【図９】本考案球型ケーブルクリンプの実施例の右側面
図である。

【図１０】本考案の実施例を骨孔に通す際の使用状態断
面図である。

【図１１】本考案の実施例を骨孔から出し、ケーブルを
引いて建靱帯固定用エンドボタンを回転させる際の使用
状態断面図である。

【図１２】本考案の実施例を骨孔に固定する際の使用状
態断面図である。

【符号の説明】

１ 体部 ２ 谷部 ３ 穴 ４ 溝 ５ 球部 ６ クリンプ部 ７ エンドボタン引きだし用の糸

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケーブルを通し固定する筒状のクリンプ
   部（６）に、クリンプ部（６）の横断面直径よりも大き
   な直径を有する球形の球部（５）を取り付けて球型ケー
   ブルクリンプとし、一端にエンドボタン引き出し用の穴
   （３）を持った細長い平板状の体部（１）の中央に、球
   型ケーブルクリンプを収納する、球型ケーブルクリンプ
   の球部（５）の直径と同じかやや大きい曲率半径を有す
   る曲面を底とした谷部（２）を設け、谷部（２）の両斜
   面及び中央に球型ケーブルクリンプのクリンプ部（６）
   の横断面直径よりも幅が広く、かつ球部（５）の直径よ
   りも幅の狭い、エンドボタンの長軸に平行な細長い溝
   （４）を設けた、球型ケーブルクリンプ付き再建靱帯固
   定用エンドボタン。