JPH10121281A - アルカリ性過酸化水素水溶液の濃度調節方法及び装置 - Google Patents

アルカリ性過酸化水素水溶液の濃度調節方法及び装置

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JPH10121281A
JPH10121281A JP8287659A JP28765996A JPH10121281A JP H10121281 A JPH10121281 A JP H10121281A JP 8287659 A JP8287659 A JP 8287659A JP 28765996 A JP28765996 A JP 28765996A JP H10121281 A JPH10121281 A JP H10121281A
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JP
Japan
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hydrogen peroxide
chamber
solution
anode
hydrogen
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JP8287659A
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English (en)
Inventor
Shuhei Wakita
修平 脇田
Yoshinori Nishiki
善則 錦
Takayuki Shimamune
孝之 島宗
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
De Nora Permelec Ltd
Original Assignee
Permelec Electrode Ltd
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Publication date
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  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の製法で得られるアルカリ性過酸化水素
水溶液は過酸化水素濃度は十分であるがアルカリ濃度が
高過ぎ、その用途が極めて限定されている。本発明は、
高濃度アルカリを含むアルカリ性過酸化水素水溶液の過
酸化水素濃度を殆ど減少させずにアルカリ濃度を減少さ
せる方法及び装置を提供することを目的とする。 【構成】 陽イオン交換膜2により陰極室4と区画され
た陽極室3を陽極5により更に溶液室6とガス室7に区
画し、溶液室にアルカリ性過酸化水素水溶液をガス室に
水素含有ガスを供給し、電解酸化により生成する水素イ
オンでアルカリを中和して前記アルカリ性過酸化水素水
溶液のアルカリ濃度を減少させる。この電解処理は過酸
化水素の分解を殆ど進行させないため、低濃度アルカリ
のアルカリ性過酸化水素水溶液を調製できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルカリ性過酸化水素
水溶液を電気化学的に処理して該水溶液中のアルカリ濃
度を減少させる濃度調節方法及び装置に関し、より詳細
にはアルカリ性過酸化水素水溶液中のアルカリのみをほ
ぼ選択的に減少させて低濃度アルカリを含有するアルカ
リ性過酸化水素水溶液を電解的に得るための方法及び装
置に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】過酸化水素は、食品、医薬
品、パルプ、繊維、半導体工業において欠くことのでき
ない有用な基礎薬品である。従来より過酸化水素は、2
−アルキルアントラキノールを自動酸化させることによ
り工業的に得られ、同時に得られるアントラキノンを水
素還元して元のアントラキノンに戻すことで連続的に大
量合成が行なわれている。その精製のためには精留を繰
り返す等の煩雑な操作が必要であり、しかも過酸化水素
が不安定であり長期間の保存が不可能なため、更に輸送
に伴う安全性及び汚染対策の面から、オンサイト型の過
酸化水素製造装置の需要が高まっている。
【0003】従来から酸素ガスの還元反応を用いる過酸
化水素の製造が提案され、米国特許第3,592,749 号には
数種類の過酸化水素の電解製造装置が、又米国特許第4,
384,931 号にはイオン交換膜を用いるアルカリ性過酸化
水素溶液の製造方法がそれぞれ開示されている。又米国
特許第3,969,201 号には三次元構造のカーボン陰極とイ
オン交換膜から成る過酸化水素の製造装置が提案されて
いる。しかしこれらの方法では、過酸化水素の生成に必
須であるアルカリの量は生成過酸化水素にほぼ比例して
増加するため、得られる過酸化水素の濃度に対するアル
カリ濃度が高くなり過ぎ用途が限定されてしまう。又米
国特許第4,406,758 号、米国特許第4,891,107 号及び米
国特許第4,457,953 号では多孔性隔膜と疎水性カーボン
陰極を使用する過酸化水素の製造方法が開示され、重量
比(水酸化ナトリウム/過酸化水素)の小さいアルカリ
性過酸化水素水溶液が得られている。しかしこれらの方
法では陽極室から陰極室への電解質溶液の移行量及び移
行速度の制御が困難であり運転条件の管理が煩雑で特に
生成する過酸化水素の割合が一定しないという欠点があ
る。
【0004】更にJournal of Electrochemical Societ
y, vol.130, 1117〜(1983)には陽、陰イオン交換膜を
用い、中間室に硫酸を供給し、酸性の過酸化水素溶液を
安定的に得る方法が提案されている。更に電気化学57巻
p1073(1989)には、陽極として膜電極接合体を使用す
ることで性能を向上させる手法が報告されている。しか
しこれらの方法では電力原単位が掛かり経済性に問題が
あり、更に硫酸の使用及び混入が不可避であるという欠
点があり、現在に至るまで十分に満足できる過酸化水素
の製造方法は得られていない。前述のアルカリ濃度が高
い過酸化水素水溶液は、過酸化水素の濃度自体は満足で
きるレベルにあり、得られる過酸化水素水溶液中のアル
カリを選択的に分解又は除去できればアルカリ濃度の低
いアルカリ性過酸化水素水溶液を提供できるが、従来法
ではアルカリのみを選択的に分解できず、重量比が変化
しないか逆に重量比の大きいアルカリ性過酸化水素水溶
液が生成してしまい、目的とするアルカリ濃度の低い過
酸化水素水溶液は得られなかった。
【0005】
【発明の目的】本発明は、前述の従来技術の問題点を解
決するために、つまり従来法で得られるアルカリ濃度の
高いアルカリ性過酸化水素水溶液を電解処理して過酸化
水素の分解量を最小限に抑制しながらアルカリを分解あ
るいは中和してアルカリ濃度を十分満足できるレベルま
で減少させることのできるアルカリ性過酸化水素水溶液
の濃度調節方法及び装置を提供することを目的とする。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明方法は、陽イオ
ン交換膜により陽極室と陰極室に区画された電解槽の陽
極室にアルカリ性過酸化水素水溶液及び水素含有ガスを
供給して電解し、生成する水素イオンにより前記アルカ
リ性過酸化水素水溶液中の水酸イオンを中和し水酸イオ
ン濃度の低い過酸化水素水溶液を得ることを特徴とする
アルカリ性過酸化水素水溶液の濃度調節方法であり、該
方法は、陽イオン交換膜により、溶液室及びガス室から
成る陽極室と陰極室に区画された2室型電解槽や、2枚
の陽イオン交換膜により陽極ガス室−中間室−陰極室に
区画された3室型電解槽等を使用して実施できる。
【0007】以下本発明を詳細に説明する。従来の電解
による過酸化水素の製造における陽極反応は陽極室中に
存在する水酸イオンの酸化による酸素ガスの発生反応で
あり、化学式で表すと式のようになる。 4OH- → O2 + 2H2 0 + 4e 一方従来の過酸化水素製造の陰極反応は酸素ガスの還元
反応であり、化学式で表すと式のようになる。 O2 + H2 0 + 2e → OH- + HO2 - 従来の電解による過酸化水素の製造方法では、式で生
成する水酸イオンがそのまま残り、製品である過酸化水
素溶液に残存するため、得られる過酸化水素溶液の用途
が限定され、あるいは前記水酸イオン除去のための煩雑
な操作が必須であった。
【0008】本発明方法は、該従来法あるいは他の方法
により得られる高濃度アルカリを含む過酸化水素水溶液
を電解処理することにより可能な限り選択的にアルカリ
性過酸化水素水溶液中のアルカリを分解又は中和して前
述の重量比の小さいアルカリ性過酸化水素水溶液に変換
することを意図している。陽極室に水素含有ガスを供給
すると水素ガスは式に示すように水素イオンに変換さ
れ、生成した水素イオンはアルカリ性過酸化水素水溶液
中のアルカリつまり水酸イオンと式に示すように反応
して該水酸イオンを中和する。 H2 → 2H+ + 2e H+ + OH- → H2 0 一方陰極室では水の還元により式に示すように水酸イ
オンが生成するが、陽極室と陰極室は陽イオン交換膜に
より区画されているため、陽極室内のアルカリ性過酸化
水素水溶液には影響がない。 2H2 0 + 2e → 2OH- + H2
【0009】本発明方法では、陽極室で水素酸化反応を
行なうことにより、陽極電位が卑になるため、あるいは
水素ガスの酸化が過酸化水素の再酸化に優先するため、
過酸化水素の濃度減少がなく、あるいはアルカリの中和
によるアルカリ濃度の減少より遙かにその減少率が小さ
いため、前述の重量比が小さいつまりアルカリ濃度の減
少したアルカリ性過酸化水素水溶液を提供できる。この
ようにアルカリ濃度が減少した過酸化水素水溶液はその
用途が制限されることがなく、幅広い分野で使用するこ
とが可能になる。本発明に係わる電解槽は、1枚の陽イ
オン交換膜により陽極室と陰極室に、又は2枚の陽イオ
ン交換膜により陽極ガス室−中間室−陰極室に区画し、
陰極室で生成する水酸イオンが陽極室又は中間室に透過
してアルカリ性過酸化水素水溶液のアルカリ濃度を増加
させることを防止する。
【0010】前記陽イオン交換膜としては、フッ素樹脂
系及び炭化水素樹脂系のいずれでも良いが、耐食性の面
からは前者を使用することが望ましい。具体的なフッ素
樹脂系陽イオン交換膜としては、スルホン酸基又はカル
ボン酸基を有するナフィオン117 、350 、902 及び961
(デュポン社製)等があり、該陽イオン交換膜は前述の
通り水酸イオンの陽極室側への移行を抑制するととも
に、本発明のように電解液の電導性が低い場合でも電解
を速やかに進行させる機能を有する。陽極触媒として
は、金、白金、イリジウム等の金属又はそれらの酸化
物、あるいはカーボンを好ましく使用でき、これらの触
媒は、チタン、ニオブ、タンタル、ステンレス、ジルコ
ニウム、カーボン等の耐食性を有する粉末焼結体、金属
繊維焼結体等の非多孔性基材上に、熱分解、樹脂固着、
複合めっき等により、担持量が10〜500 g/m2 程度と
なるように担持させることができる。反応生成ガス及び
液の供給及び除去を円滑に行なうために、前記触媒以外
に疎水性や親水性の材料を分散担持しても良い。
【0011】一方陰極触媒としては、白金、ルテニウ
ム、酸化ルテニウム、酸化ニッケル、ラネーニッケル等
が好ましく使用できる。これらの触媒は、鉄、ニッケ
ル、チタン、ステンレス、ジルコニウム、カーボン等の
耐食性を有する金網、粉末焼結体、金属繊維焼結体等の
多孔性又は非多孔性基材上に、熱分解、樹脂固着、複合
めっき等により、担持量が10〜500 g/m2 程度となる
ように担持させることができる。本発明方法では、使用
する電解槽の構造は陽イオン交換膜により陽極室と陰極
室に(陽極ガス室−中間室−陰極室を含む)区画される
こと以外に特に限定されないが、本発明に係わる電解槽
のうち2室型電解槽では、陽イオン交換膜で陽極室と陰
極室に区画するとともに陽極により陽極室を陽イオン交
換膜側の溶液室と反対側のガス室に区画する。該陽極は
非多孔性(液不透過性)で、ガス拡散型の半疎水型ガス
拡散陽極が好適である。この場合陽イオン交換膜と陽極
との距離つまり溶液室の幅は生成するアルカリ性過酸化
水素水溶液の電導性が低いためなるべく小さくすること
が好ましいが、小さ過ぎると陽極液の流れが阻害される
可能性がある。この距離は0.5 〜5mm程度が好ましく、
この距離を維持するためには電解液に対する耐性のある
塩化ビニルやPVDF等から成るスペーサーを挟むこと
が望ましい。更にこのスペーサーを網状とすると三次元
構造のため液の攪拌効果が期待できる。電解槽構成材料
としては、耐久性及び過酸化水素の安定化の観点から、
ガラス、樹脂ライニング材料、カーボン、耐食性の優れ
たチタン、ステンレス、ニッケル、PTFE樹脂等を使
用することが好ましい。
【0012】陰極と陽イオン交換膜の間は密着させずに
陰極と陽イオン交換膜の間に電解液が存在するようにし
ても良いが、液の電導性が低い場合、電極とイオン交換
膜を密着させないと槽電圧の増加を招き又槽構造が複雑
になり更に気液分離が必要となる等の不利な点が多くな
る。これらの不利な点は、陰極を陽イオン交換膜に密着
又は接合する構造を採用することにより解消され、更に
陽イオン交換膜の酸性基が電解質として機能し安定した
槽電圧が得られる。本発明に係わる他の電解槽である3
室型電解槽では、2枚の陽イオン交換膜で陽極ガス室−
中間室−陰極室に区画するが、該陽極ガス室及び中間室
は前記2室型電解槽のガス室及び溶液室にそれぞれ相当
する。この3室型電解槽の場合にも両極はそれぞれ両陽
イオン交換膜に密着又は接合する構造を採用することが
望ましいが、これに限定されるものではない。
【0013】電極と膜を密着させる必要がある場合には
前もってそれらを機械的に結合させておくか、あるいは
電解時に圧力を与えておけば十分である。圧力としては
0.1から30kgf/cm2 程度が好ましい。原料である水素含
有ガス源は市販のボンベを利用しても良いが、別に設置
した電解槽で水を電解することにより製造される水素ガ
スを使用しても良い。しかし本発明では陰極室で水素ガ
スが生成するため、それを循環使用することが最適であ
る。水素ガスの供給量は理論量の1.1 〜3倍とすること
が望ましく、水と接触させて湿潤化することが好まし
い。2室型の溶液室又は3室型の中間室に供給する原料
は比較的アルカリ濃度の高い従来法で製造されたアルカ
リ性過酸化水素水溶液であり、その濃度は通常2〜15%
であり、過酸化水素濃度は1〜5%程度のことが多い。
本発明方法による該アルカリ性過酸化水素水溶液の電解
処理によるアルカリ濃度の減少は電解条件により変化
し、好ましい電解条件である温度30〜60℃、電流密度1
〜50A/dm2 では電解処理後のアルカリ濃度は初期濃度の
20〜80%となる。アルカリ濃度が初期濃度の80%まで減
少する際の過酸化水素の減少量は最大で約30%である。
従って例えば初期の重量比(水酸化アルカリ/過酸化水
素)を3と仮定すると、電解処理後の重量比は0.86
〔(3×0.2 )/(1×0.7 )〕に減少する。
【0014】図1は本発明に係わる電解槽の一例を示す
概略縦断面図である。2室型電解槽1は、パーフロオロ
カーボンスルホン酸型等の陽イオン交換膜2により陽極
室3と陰極室4とに区画され、該陽極室3は液不透過性
の陽極5により更に前記陽イオン交換膜2側の溶液室6
と反対側のガス室7に区画されている。前記陽イオン交
換膜2の陰極室側表面にはエクスパンドメッシュ等の多
孔性陰極8が密着している。陰極室4の底板及び天板に
はそれぞれ陰極液導入口9及び生成する水酸化ナトリウ
ムと水素ガスの取出口10が形成され、該取出口10は水酸
化ナトリウム取出口11と水素ガス循環パイプ12に分枝
し、該循環パイプ12は前記ガス室7の天板に接続され、
陰極室で生成する水素ガスを陽極反応で使用するように
している。13は前記溶液室6の底板に形成されたアルカ
リ性過酸化水素水溶液の導入口、14は溶液室6の天板に
形成された濃度調節されたアルカリ性過酸化水素水溶液
の取出口である。
【0015】このような構成から成る電解槽1の陰極室
4に陰極液導入口9から純水や希釈水酸化ナトリウム水
溶液等の陰極液を、溶液室6にアルカリ性過酸化水素水
溶液導入口13からアルカリ性過酸化水素水溶液をそれぞ
れ供給し、かつガス室7に前記陰極室で生成する水素ガ
スを循環パイプ12を介して循環させながら両極間に通電
すると、陽極5のガス室側表面に循環した水素ガスが酸
化されて水素イオンを発生し、この水素イオンは陽極5
を透過して溶液室6に達する。溶液室6に透過した水素
イオンは該溶液室に供給されるアルカリ性過酸化水素水
溶液中の水酸イオンと反応してこれを中和しその濃度を
減少させ、該溶液室中のナトリウムイオンは陽イオン交
換膜2を透過して陰極室4に達する。このように水酸化
ナトリウムの濃度が減少したアルカリ性過酸化水素水溶
液は前記取出口14から電解槽1外に取り出される。陰極
室では水電解による水素ガス発生反応が起こり、この水
素ガスは前記透過ナトリウムにより発生する水酸化ナト
リウムとともに前記取出口10から取り出され、水酸化ナ
トリウムは前記水酸化ナトリウム取出口11から取り出さ
れ、水素ガスは前述の通り循環パイプ12を通してガス室
7に循環される。
【0016】図2は本発明に係わる電解槽の他の例を示
す概略縦断面図である。3室型電解槽21は2枚の陽イオ
ン交換膜22、23により、陽極ガス室24−中間室25−陰極
室26に区画され、陽極ガス室24と中間室25を区画する陽
イオン交換膜22の陽極ガス室24側には多孔性陽極27が、
又中間室25と陰極室26を区画する陽イオン交換膜23の陰
極室26側には多孔性陰極28が膜に密着して設置されてい
る。陰極室26の底板及び天板にはそれぞれ陰極液導入口
29及び生成する水酸化ナトリウムと水素ガスの取出口30
が形成され、中間室25の底板及び天板にはそれぞれアル
カリ性過酸化水素水溶液の導入口31及び濃度調節された
アルカリ性過酸化水素水溶液の取出口で32が形成され、
更に陽極ガス室24の天板には水素ガス導入口33が形成さ
れている。この電解槽21でも、図1の電解槽と同様に中
間室25に供給されるアルカリ性過酸化水素水溶液中の水
酸イオンが陽極ガス室24から陽イオン交換膜22を透過し
て来る水素イオンと反応して中和されてアルカリ濃度を
減少させ、濃度調節されたアルカリ性過酸化水素水溶液
がアルカリ性過酸化水素水溶液取出口32から系外に取り
出され、所定用途で使用される。
【0017】
【実施例】次に本発明に係わるアルカリ性過酸化水素水
溶液の濃度調節に関する実施例を記載するが、該実施例
は本発明を限定するものではない。
【0018】
【実施例1】白金触媒を担持したカーボン粉末をフッ素
樹脂をバインダーとしてカーボンクロス上に100 g/m
2 となるように被覆して構成した電極面積が0.2 dm2
ある多孔性陽極、及び酸化ルテニウム触媒を担持したニ
ッケル製多孔性陰極を作製した。該多孔性陰極を陽イオ
ン交換膜ナフィオン350 (デュポン社製)の片面に密着
させ、該陽イオン交換膜の他面には3mmの距離を保って
前記多孔性陽極を設置し、循環パイプを設置しなかった
こと以外は図1に示した2室型電解槽と同じ電解槽を構
成した。陽極室のガス室には市販の工業用ボンベから水
素ガスを毎分40mlで供給し、溶液室にはその下部から過
酸化水素を13g/リットル含む水酸化ナトリウム40g/
リットルのアルカリ性過酸化水素水溶液(重量比3)を
毎分1mlで供給し、更に陰極室には純水を毎分1mlで供
給した。温度を30℃とし1Aの電流を流したところ、槽
電圧は1.4 Vであり、溶液室の取出口から11g/リット
ルの過酸化水素を含む水酸化ナトリウム19g/リットル
の水溶液が得られた。重量比は1.7 であり、アルカリ回
収の電流効率は75%、過酸化水素の分解率は15%であっ
た。
【0019】
【実施例2】実施例1と同じ陽極及び陰極を使用し、該
陰極を陽イオン交換膜ナフィオン350 (デュポン社製)
の片面に密着させ、前記陽極を陽イオン交換膜ナフィオ
ン117 (デュポン社製)の片面に密着させ、両膜の間隔
を3mmに保って図2に示した3室型電解槽を構成した。
実施例1と同一条件で運転したところ、槽電圧は1.6 V
であり、中間室の取出口から12g/リットルの過酸化水
素を含む水酸化ナトリウム19g/リットルの水溶液が得
られた。重量比は1.6 であり、アルカリ回収の電流効率
は75%、過酸化水素の分解率は8%であった。
【0020】
【実施例3】実施例2と同様に電解槽を構成し、陽極ガ
ス室には市販の工業用ボンベから水素ガスを毎分80mlで
供給し、溶液室にはその下部から過酸化水素を13g/リ
ットル含む水酸化ナトリウム40g/リットルのアルカリ
性過酸化水素水溶液(重量比3)を毎分2mlで供給し、
更に陰極室には純水を毎分2mlで供給した。温度を40℃
とし2Aの電流を流したところ、槽電圧は2.4 Vであ
り、溶液室の取出口から11.5g/リットルの過酸化水素
を含む水酸化ナトリウム19g/リットルの水溶液が得ら
れた。重量比は1.65であり、アルカリ回収の電流効率は
75%、過酸化水素の分解率は12%であった。
【0021】
【実施例4】陰極側の陽イオン交換膜をナフィオン961
としたこと以外は実施例2と同じ電解槽を構成し、実施
例2と同じ電解条件で運転したところ、槽電圧は1.7 V
であり、溶液室の取出口から12g/リットルの過酸化水
素を含む水酸化ナトリウム15g/リットルの水溶液が得
られた。重量比は1.25であり、アルカリ回収の電流効率
は95%、過酸化水素の分解率は8%であった。
【0022】
【発明の効果】本発明方法は、陽イオン交換膜により陽
極室と陰極室に区画された電解槽の陽極室にアルカリ性
過酸化水素水溶液及び水素含有ガスを供給して電解し、
生成する水素イオンにより前記アルカリ性過酸化水素水
溶液中の水酸イオンを中和し水酸イオン濃度の低い過酸
化水素水溶液を得ることを特徴とするアルカリ性過酸化
水素水溶液の濃度調節方法である。従来法で得られるア
ルカリ濃度が高い過酸化水素水溶液は、過酸化水素の濃
度自体は満足できるレベルにあり、この水溶液を本発明
方法により電解処理すると過酸化水素濃度を殆ど低下さ
せずに水酸化アルカリ濃度を減少させ、各種用途に適し
たアルカリ性過酸化水素水溶液に変換することができ
る。
【0023】つまり本発明方法によると、陽極室に水素
ガスを供給しかつ該ガスを陽極酸化して水素イオンに変
換し、この水素イオンを、陽極室に供給される水酸化ア
ルカリと過酸化水素を含む水溶液中の前記水酸化アルカ
リと反応させてアルカリを中和することによりアルカリ
濃度を減少させることができ、この反応は過酸化水素に
は殆ど影響を及ぼさず、従って過酸化水素濃度を殆ど減
少させることなく、水酸化アルカリの濃度のみをほぼ選
択的に減少させて高濃度をアルカリを含むアルカリ性過
酸化水素水溶液を低濃度のアルカリを含むアルカリ性過
酸化水素水溶液に変換できる。
【0024】本発明方法で使用可能な電解槽は2室型と
しても3室型としても構成でき、2室型電解槽は、陽イ
オン交換膜により、陽極室と陰極室に区画された電解槽
の陽極室を、更に非多孔性陽極により溶液室とガス室に
区画して構成し、前記溶液室にアルカリ性過酸化水素水
溶液を、前記ガス室に水素含有ガスをそれぞれ供給しな
がら電解し前記陽極で生成する水素イオンにより前記ア
ルカリ性過酸化水素水溶液中の水酸イオンを中和し水酸
イオン濃度の低い過酸化水素水溶液を得るようにする。
他方3室型電解槽は、2枚の陽イオン交換膜により、陽
極ガス室−中間室−陰極室に区画して構成し、前記中間
室にアルカリ性過酸化水素水溶液を、前記陽極ガス室に
水素含有ガスをそれぞれ供給しながら電解し前記陽極で
生成する水素イオンにより前記アルカリ性過酸化水素水
溶液中の水酸イオンを中和し水酸イオン濃度の低い過酸
化水素水溶液を得るようにする。両電解槽のいずれを使
用しても本発明方法の場合と同様にアルカリ濃度を減少
させたアルカリ性過酸化水素水溶液を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる電解槽の一例を示す概略縦断面
図。
【図2】本発明に係わる電解槽の他の例を示す概略縦断
面図。
【符号の説明】
1・・・2室型電解槽 2・・・ 陽イオン交換膜 3
・・・陽極室 4・・・陰極室 5・・・陽極 6・・
・溶液室 7・・・ガス室 8・・・陰極 9・・・陰
極液導入口 10・・・水酸化ナトリウムと水素ガスの取
出口 11・・・水酸化ナトリウム取出口 12・・・水素
ガス循環パイプ 13・・・アルカリ性過酸化水素水溶液
導入口 14・・・アルカリ性過酸化水素水溶液取出口
21・・・3室型電解槽 22、23・・・陽イオン交換膜
24・・・陽極ガス室 25・・・中間室 26・・・陰極
室 27・・・陽極 28・・・陰極 29・・・陰極液導入
口30・・・水酸化ナトリウムと水素ガスの取出口 31・
・・アルカリ性過酸化水素水溶液導入口 32・・・アル
カリ性過酸化水素水溶液取出口 33・・・水素ガス導入

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽イオン交換膜により陽極室と陰極室に
    区画された電解槽の陽極室にアルカリ性過酸化水素水溶
    液及び水素含有ガスを供給して電解し、生成する水素イ
    オンにより前記アルカリ性過酸化水素水溶液中の水酸イ
    オンを中和し水酸イオン濃度の低い過酸化水素水溶液を
    得ることを特徴とするアルカリ性過酸化水素水溶液の濃
    度調節方法。
  2. 【請求項2】 陽イオン交換膜により、陰極室と、非多
    孔性陽極により前記陽イオン交換膜側の溶液室と反対側
    のガス室に区画された陽極室とに区画され、前記溶液室
    にアルカリ性過酸化水素水溶液を、前記ガス室に水素含
    有ガスをそれぞれ供給しながら電解し前記陽極で生成す
    る水素イオンにより前記アルカリ性過酸化水素水溶液中
    の水酸イオンを中和し水酸イオン濃度の低い過酸化水素
    水溶液を得ることを特徴とするアルカリ性過酸化水素水
    溶液の濃度調節装置。
  3. 【請求項3】 2枚の陽イオン交換膜により、陽極ガス
    室−中間室−陰極室に区画され、前記中間室にアルカリ
    性過酸化水素水溶液を、前記陽極ガス室に水素含有ガス
    をそれぞれ供給しながら電解し陽極ガス室で生成する水
    素イオンにより前記中間室のアルカリ性過酸化水素水溶
    液中の水酸イオンを中和し水酸イオン濃度の低い過酸化
    水素水溶液を得ることを特徴とするアルカリ性過酸化水
    素水溶液の濃度調節装置。
JP8287659A 1996-10-09 1996-10-09 アルカリ性過酸化水素水溶液の濃度調節方法及び装置 Pending JPH10121281A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US10544513B2 (en) 2015-07-31 2020-01-28 Kabushiki Kaisha Toshiba Electrochemical reaction device
CN114277387A (zh) * 2021-12-16 2022-04-05 鼎佳能源股份有限公司 回收氢气制备过氧化氢水溶液***

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