JPH10111633A - ホログラム感光剤,ホログラム感光材料及びホログラム,並びにこれらの製造方法 - Google Patents

ホログラム感光剤,ホログラム感光材料及びホログラム,並びにこれらの製造方法

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JPH10111633A
JPH10111633A JP28314196A JP28314196A JPH10111633A JP H10111633 A JPH10111633 A JP H10111633A JP 28314196 A JP28314196 A JP 28314196A JP 28314196 A JP28314196 A JP 28314196A JP H10111633 A JPH10111633 A JP H10111633A
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JP
Japan
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hologram
photosensitive material
dye
hydrogen atom
hologram photosensitive
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JP28314196A
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English (en)
Inventor
Kazumasa Kurokawa
和雅 黒川
Hiroyuki Tarumi
浩幸 樽見
Yoshiharu Iinuma
芳春 飯沼
Isao Nakanishi
功 中西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamada Chemical Co Ltd
Denso Corp
Original Assignee
Yamada Chemical Co Ltd
Denso Corp
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Publication date
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)
  • Holo Graphy (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 露光後の洗浄によって十分に脱色でき,か
つ,ホログラムの回析効率及び感度を高くすることがで
きるホログラム感光剤,これを用いたホログラム感光材
料及びホログラム,並びにこれらの製造方法を提供す
る。 【解決手段】 六価クロム化合物とトリフェニルメタン
系色素とバインダーとからなるホログラム感光剤であ
る。トリフェニルメタン系色素は,色素前駆体として計
算した分配係数がlogP≦6である色素体からなる。
この色素体は,色素前駆体に酸性処理して得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,ディスプレイやフィルタ等に用
いられるホログラムに関し,特に,長波長レーザ光に対
して,優れた感度を発揮することができるホログラム感
光剤,これを用いたホログラム感光材料及びホログラ
ム,並びにこれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】ホログラムは,レーザー等の可干渉性光の
干渉面をホログラム感光材料に記録したものである。
【0003】ところで,光学素子などの用途に用いるホ
ログラムにおいては,赤色のホログラムを作製したいと
いう要望がある。そして,赤色等の長波長領域のホログ
ラムを作製する際には,可干渉性光として,半導体レー
ザー(約780nm)やHe−Neレーザー(約633
nm)等の長波長レーザー光を用いる。
【0004】しかし,上記従来のホログラム感光材料
は,紫外領域から560nm程度の比較的短い波長の光
に対して感度があるが,上記長波長の光に対する感度は
極めて低い。そのため,赤色などの長波長領域における
ホログラムの記録が不鮮明になり,良好なホログラムを
得ることが困難である。
【0005】この問題を解決すべく,従来より種々の提
案がされている。その一例として,特公昭54−357
68号公報には,重クロム酸アンモニウムとチアジン系
色素のメチレンブルー増感剤とをアンモニア水に溶解し
た感光液中にゼラチン膜を浸漬し,次いでこれをアンモ
ニア雰囲気下で乾燥して,感光層を作製する方法が記載
されている。
【0006】また,他の例として,Graube,Op
t.Commun.,8,251(1973)には,増
感色素としてのAcid Fast Violet B
Gと重クロム酸アンモニウムとを含むホログラム感光剤
について,報告がある。また,特開平7−110648
号公報には,六価クロム化合物とトリフェニルメタン系
色素とバインダーとからなり,かつ長波長レーザー光の
光吸収率が7%以上であるホログラム感光剤が記載され
ている。
【0007】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来のホ
ログラムにおいては,以下の問題がある。まず,前者の
特許公報に示された感光層は,アンモニア雰囲気下で乾
燥しなければならず,工程が複雑である。また,色素が
析出しやすいという問題がある。更に,長波長の半導体
レーザー等に対しては,依然として感度が不十分であ
る。
【0008】また,後者の文献に示されたホログラム感
光剤においては,その中に含まれるAcid Fast
Violet BGと重クロム酸アンモニウムとの溶
解度積が1×10-4(mol/リットル)2 と極めて小
さい。そのため,これらはゼラチン溶液中に溶解しにく
い。それ故,長波長領域に対して優れた感度を有するホ
ログラム感光材料が得られない。また,かかるホログラ
ム感光材料を用いてホログラムを作製した場合,良質な
回折効率を有するホログラムが得られない。また,同文
献に記載されているトリフェニルメタン系色素を用いた
ホログラム感光剤についても,いまだ充分な感度,性能
は得られていない。
【0009】また,トリフェニルメタン系色素を用いた
場合には,該トリフェニルメタン系色素に起因するホロ
グラム感光材料の染着が起こる。これは幅広い用途を鑑
みるとき好ましいものではない。そのため,ホログラム
感光材料を露光した後に,上記ホログラム感光材料を洗
浄することによって,感光層内から六価クロム化合物と
トリフェニルメタン系色素とを除去して,脱色する。し
かし,上記従来のトリフェニルメタン系色素を用いた場
合には,トリフェニルメタン系色素が十分に除去され
ず,脱色が不充分である。
【0010】本発明はかかる従来の問題点に鑑み,露光
後の洗浄によって十分に脱色でき,かつ,ホログラムの
回析効率及び感度を高くすることができるホログラム感
光剤,これを用いたホログラム感光材料及びホログラ
ム,並びにこれらの製造方法を提供しようとするもので
ある。
【0011】
【課題の解決手段】請求項1の発明は,六価クロム化合
物とトリフェニルメタン系色素とバインダーとからなる
ホログラム感光剤において,上記トリフェニルメタン系
色素は,「化2」に示す色素前駆体として計算した分配
係数がlogP≦6である,「化1」に示す色素体から
なることを特徴とするホログラム感光剤である。
【0012】
【化1】
【0013】「化1」において,Yは水素原子,又は置
換基を有するアリール基を表す。R1,R2,R3,R
4,R5,R6 はそれぞれ水素原子,又は炭素原子数1
から5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表す。Z- は陰
イオンを表す。
【0014】
【化2】
【0015】「化2」において,Xは水素原子,又は置
換基を有するアリール基を表し,Yは水素原子,又は置
換基を有するアリール基を表す。R1,R2,R3,R
4,R5,R6 はそれぞれ水素原子,又は炭素原子数1
から5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表す。
【0016】本発明において最も注目すべきことは,ホ
ログラム感光材料の染着の原因となるトリフェニルメタ
ン系色素として,分配係数LogP=6以下の色素前駆
体に対応する色素体を用いることである。
【0017】上記色素前駆体は,単に水に溶解した場合
には無色透明であるが,その側鎖Y,R1,R2,R
3,R4,R5,R6 が同一の色素体は青色,緑色又は
紫色等に発色する。このように上記色素体と対応関係に
ある色素前駆体の分配係数LogPを計算すると,分配
係数LogPと感光層の脱色性との間に相関関係があ
る。すなわち,分配係数LogP≦6の色素前駆体に対
応する色素体を用いた場合においては脱色が容易であ
る。一方,分配係数LogP>6の色素前駆体を用いた
場合においては脱色が困難である。
【0018】分配係数LogPは,Roel of
F.Rekker著,THE HYDROPHOBIC
FRAGMENTAL CONSTANT(1977
年)等で記載されているように,下記の「化4」に示し
た算出式によりもとまる。
【0019】
【化4】
【0020】「化4」において,fはHydropho
bic fragmental constantで,
aは化学構造中に含まれるfragmentの数であ
る。
【0021】たとえば,下記の「化5」の算出式に示し
たように,「化6」の化学式に示した色素前駆体(HS
D−9)の分配係数LogPを計算すると,LogP=
4.9である(ここで用いたfは上記記載のHYDRO
PHOBIC FRAGMENTAL CONSTAN
Tに記載された値を用いた。以下同様である。)。
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】同様に,「化7」〜「化21」に示した種
々の色素前駆体又は色素体の,色素前駆体としてのLo
gPを計算した。その結果を表1に示した。
【0025】
【化7】
【0026】
【化8】
【0027】
【化9】
【0028】
【化10】
【0029】
【化11】
【0030】
【化12】
【0031】
【化13】
【0032】
【化14】
【0033】
【化15】
【0034】
【化16】
【0035】
【化17】
【0036】
【化18】
【0037】
【化19】
【0038】
【化20】
【0039】
【化21】
【0040】
【表1】
【0041】以上の色素前駆体又は色素体の内,色素前
駆体としての分配係数がLogP≦6のもの(「化6」
〜「化18」)を用いて,六価クロム化合物とバインダ
ーとからなるホログラム感光剤よりホログラム感光材料
を作製し,該ホログラム感光材料の所望部分を露光し,
洗浄すると,上記ホログラム感光材料の感光層内からト
リフェニルメタン系色素を除去することができ,トリフ
ェニルメタン系色素に起因する感光層の染着を脱色する
ことができる。これにより,無色透明のホログラムを得
ることができる。
【0042】一方,分配係数LogP>6の色素前駆体
(「化19」〜「化21」)を用いて上記同様に感光材
料を作製して洗浄をおこなったが,脱色は困難であっ
た。また,上記ホログラム感光剤を用いて製造されたホ
ログラムは,回折効率及び感度が高い。上記色素前駆体
を用いてホログラム感光材料を製造する場合には,上記
色素前駆体に酸性処理を施して該色素前駆体に対応する
色素体にする必要がある。
【0043】次に,請求項2の発明は,分配係数log
P≦6の下記の「化3」に示す色素前駆体に酸性処理を
施してトリフェニルメタン系色素を調製し,次いで,該
トリフェニルメタン系色素を,六価クロム化合物及びバ
インダーと混合することを特徴とするホログラム感光剤
の製造方法である。
【0044】
【化3】
【0045】「化3」において,Xは水素原子,又は置
換基を有するアリール基を表し,Yは水素原子,又は置
換基を有するアリール基を表す。R1,R2,R3,R
4,R5,R6 はそれぞれ水素原子,又は炭素原子数1
から5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表す。
【0046】上記色素前駆体は,単に水に溶解した場合
には無色透明であるが,その溶解液に,酸を加える等の
酸性処理を行ない,例えば,pH2〜4とすることによ
り,上記色素前駆体が色素体に変化して,溶解液が青
色,緑色又は紫色等に発色する。
【0047】上記溶解液に加える酸としては,例えば,
塩酸,しゅう酸,硝酸,又は硫酸等の鉱酸を用いること
ができる。上記ホログラム感光剤の製造方法によれば,
露光後の洗浄により十分に脱色でき,回折効率及び感度
が高いホログラムを得ることが出来る。
【0048】次に,請求項3の発明は,透明部材の表面
を感光層により被覆してなるホログラム感光材料であっ
て,上記感光層は,請求項1のホログラム感光剤を透明
部材の表面に塗布し,乾燥させたものであることを特徴
とするホログラム感光材料である。
【0049】上記ホログラム感光材料は,上記請求項1
のホログラム感光剤からなる感光層を有しているため,
露光後の洗浄によって,十分に脱色することができる。
また,上記ホログラム感光材料を用いて製造したホログ
ラムは,回折効率及び感度が高い。
【0050】また,請求項4の発明は,透明部材の表面
を感光層により被覆してなるホログラム感光材料であっ
て,上記感光層は,請求項2により得られたホログラム
感光剤を透明部材の表面に塗布し,乾燥させたものであ
ることを特徴とするホログラム感光材料である。
【0051】上記ホログラム感光材料は,請求項2によ
り得られたホログラム感光剤を用いているため,請求項
3と同様に,感光層の脱色性が良く,回折効率及び感度
が良い。
【0052】次に,請求項5の発明は,請求項3又は4
のホログラム感光材料にレーザー光を照射して上記感光
層の所望部分を露光し,次いで,上記ホログラム感光材
料を洗浄して,上記感光層内から六価クロム化合物及び
トリフェニルメタン系色素を除去し,次いで,上記感光
層を現像することを特徴とするホログラムの製造方法で
ある。
【0053】また,請求項6の発明は,請求項3又は4
のホログラム感光材料にレーザー光を照射して上記感光
層の所望部分を露光し,次いで,上記ホログラム感光材
料を洗浄して,上記感光層内から六価クロム化合物及び
トリフェニルメタン系色素を除去し,次いで,上記感光
層を現像してなることを特徴とするホログラムである。
【0054】上記ホログラム及びその製造方法において
は,上記ホログラム感光材料を用いているため,洗浄に
よって十分に脱色されており,また,回折効率及び感度
も高い。そのため,優れた光学素子として用いることが
できる。
【0055】
【発明の実施の形態】
実施形態例1 本発明の実施形態例にかかるホログラムについて,図
1,図2を用いて説明する。本例のホログラムを製造す
るに当たっては,図1に示すごとく,六価クロム化合物
とトリフェニルメタン系色素とバインダーとを有するホ
ログラム感光剤を調製した(S21,S22)。トリフ
ェニルメタン系色素としては,色素前駆体であるHSD
−9を酸性処理して得た色素体を用いた。この色素体の
側鎖は,HSD−9の側鎖と同一である。HSD−9の
分配係数logPは4.9であった。
【0056】次いで,これを透明部材に塗布し(S2
3),乾燥し(S24),水分量を調節して感光層を形
成する(S25)。次いで,感光層を露光し(S2
6),洗浄し(S27),現像し(S28),その後シ
ールする(S29)。これにより,上記ホログラムが得
られる。以下,詳細に説明する。
【0057】まず,色素前駆体であるHSD−9を合成
した。即ち,4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンズ
ヒドロール(以下,ミヒラーズヒドロールという。)5
2.0g,及びN−メチルアニリン22.5gを水10
0mlに加え,80℃に加熱し62%硫酸22.1gを
3時間要して滴下にて加えた後,18時間攪拌した。反
応終了後,48%水酸化ナトリウムでpH10に調整し
て,水蒸気蒸留にて未反応のN−メチルアニリンを除去
し,トルエンで抽出をおこなった。トルエン層を分液し
て分取し減圧蒸留にてトルエンを留去して,タール状物
76.0gを得た。
【0058】塩化メチレン100mlに上記タール状物
76.0gを溶解し,クロラニル54.1gを1時間要
して加え,15時間反応した。反応終了後,水を加え,
48%水酸化ナトリウムを加えてpH10とし,減圧濃
縮にて塩化メチレンを留去した。析出してきた青色結晶
を濾別し60℃にて乾燥した。得られた青色結晶の収量
は39.0gであった。
【0059】無水酢酸50.0g中に上記青色結晶3
9.0gを3時間要して加えた後,80℃で32時間反
応した。反応終了後,無水酢酸を減圧濃縮し,温水60
0mlに溶解し不溶分を濾別した。濾液に48%水酸化
ナトリウムを加えてpH10に調整たところ.タール状
物が析出した。トルエン100mlにて抽出し分液して
トルエン層を分取し減圧濃縮にてトルエンを留去しター
ル状物を得た。得られたタール状物は褐色であり,その
収量は11.0gであった。これをHSD−9とした。
【0060】次に,上記色素前駆体を用いてホログラム
を製造した。まず,図1に示すごとく,S21におい
て,六価クロム化合物として,重クロム酸アンモニウム
(以下,DCAという。)を準備した。この20gのD
CAに,イオン交換水を加えて1000mlとした。こ
れをDCA原液とした。
【0061】また,上述した色素前駆体(HSD−9)
0.04gを,3mlの2N塩酸に溶解することによ
り,酸性処理を施した。次いで,イオン交換水を加え
て,100mlとした。これを色素原液とした。
【0062】また,バインダーとしてのゼラチン4gを
200ml三角フラスコにとった。これにイオン交換水
を加えて,ゼラチンとイオン交換水との合計重量を10
0gにした。これを40℃のウォーターバス内で2時間
振とうし,これをゼラチン水溶液とした。振とう速度
は,125回/分とした。ゼラチンとしては,新田ゼラ
チン工業製p−2406を用いた。
【0063】次に,S22において,上記で作製したゼ
ラチン水溶液100gに,DCA原液7mlを加えて,
1分間撹拌した。これに,上記で作製した色素原液を7
ml加え,3分間撹拌した。撹拌は,長さ20mmの羽
撹拌子を用いて行った。羽撹拌子の回転数は,最大14
00rpmとした。次いで,これを濾過紙(No.4
1)を用いて濾過し,その濾液を感光液とした。次に,
縦4インチ,横5インチのガラス基板を透明フィルムに
よりカバーして,透明部材とした。
【0064】次に,S23において,透明部材の表面に
上記ホログラム感光剤を塗布し,乾燥した。上記ホログ
ラム感光剤の塗布に当たっては,ホットプレートとコー
ルドプレートとを用いた。ホットプレートは,38℃
(温度精度±0.5℃以下,温度分布±1℃)に調温し
た。コールドプレートは5℃(温度精度は±0.5℃以
下,温度分布±1℃)に調温した。コールドプレートの
表面湿度は,20℃における湿度に換算して50%RH
以下になるように調湿した。
【0065】次に,ホットプレートの上に,透明部材を
ガラス面が上向きとなるようにして載置した。次いで,
透明部材のガラス面に感光液を10ml塗布した。その
後,感光液を10秒以下の短時間内に素早くガラス面の
全体に広げ,続いて透明部材をホットプレート上からコ
ールドプレート上へと移動させた。
【0066】次いで,S24において,上記透明部材
を,20℃50%RHの恒温恒湿槽内に移し,透明部材
を水平に保持しながら18時間乾燥した。次に,S25
において,感光層内水分量が43重量%となるように水
分調節をした。
【0067】上記感光層内水分量をもとめるにあたり,
以下の算出式を用いた。 M=(W−Wo)/W
【0068】この算出式において,Wは感光層の重量,
Woは120℃の恒温槽に透明部材を30分間放置した
後の感光層の重量である。この恒温槽(120℃)に3
0分間放置した後の感光層内の水分量を,0重量%とし
た。感光層内水分量は,恒温恒湿槽内の湿度に比例する
ため,これを変化させて調節した。これにより,透明部
材の表面に感光層を被覆してなるホログラム感光材料を
得た。
【0069】次に,S26において,図2に示すごと
く,ホログラム感光材料1に,平行参照光711と物体
光721とを照射することにより,感光層の所望部分を
露光した。なお,この時に,透明フィルムは剥離した。
即ち,まず,ホログラム感光材料1は,インデックスマ
ッチング液(シリコンオイル)を用いてミラー78に密
着させた。
【0070】次いで,クリプトンイオンレーザー710
から発せられたレーザー光71を,反射レンズ79によ
り反射させた。このレーザー光71を,対物レンズ73
およびレンズ74を透過させて平行参照光711とし
た。該平行参照光711をホログラム感光材料1の感光
層の側に照射した。更に,ホログラム感光材料1を透過
した平行参照光711をミラー78により反射させてこ
れを物体光721とし,該物体光721をホログラム感
光材料1の透明部材12の側に照射した。これにより,
平行参照光711と物体光721とを感光層において干
渉させた。
【0071】レーザー光71としては,クリプトンイオ
ンレーザー(波長647.1nm)を用いた。露光量
は,200mJ/cm2 以上であることが好ましい。平
行参照光711は,ホログラム感光材料の法線に対して
30°で入射させた。次いで,ホログラム感光材料1か
らミラー78を剥した。
【0072】次いで,ホログラム感光材料をエタノール
により洗浄した。このエタノール洗浄は,ホログラム感
光材料を,順に,70容量%エタノール水溶液に1分
間,90容量%エタノール水溶液に1分間,100容量
%エタノール水溶液に1分間,浸漬した。
【0073】次いで,S27において,20℃の水槽に
ホログラム感光材料を5分間浸漬して,感光層から六価
クロム化合物を除去した。浸漬中,ホログラム感光材料
は充分に振とうした。次いで,ホログラム感光材料をK
odak社製ラピッドフィクサーの50%水溶液(温度
20℃)に3分間浸漬し,その後,流水にて10分間水
洗した。
【0074】次いで,S28において,感光層を現像し
た。その最の温度は31℃であった。現像手順は,湯浴
に1分間,70重量%IPA(イソプロピルアルコール
を意味する。以下,同様)水溶液に2分間,90重量%
IPA水溶液に1分間,100重量%IPAに3分間,
順に,ホログラム感光材料を浸漬した。
【0075】次いで,S29において,ホログラム感光
材料を80℃で10分間乾燥した。次いで,ホログラム
感光材料を120℃で60分間加熱処理をした。次い
で,ホログラム感光材料を,カバー材としてガラス板
を,光学接着材(ノーランドNOA61)によりシール
した。以上により,本例のホログラムを得た。
【0076】HSD−9を用いて製造した本例のホログ
ラムは,その透明部に,トリフェニルメタン系色素に起
因する染着はなく,充分な脱色ができた。また,回折効
率及び感度も十分に高く,光学素子として優れていた。
【0077】実施形態例2 本例においては,トリフェニルメタン系色素として,H
SD−28を酸性処理してなる色素体を用いた以外は,
実施形態例1と同様にしてホログラムを作製した。
【0078】HSD−28の合成方法について説明す
る。テトラヒドロフラン14.6ml,アニソール10
0ml,の混合溶媒中にリチウム2.1g,触媒量のヨ
ウ素を加え,そこへブロモベンゼン23.6gを滴下に
て加え,50℃まで加熱した。反応が開始したら加熱を
やめ,氷浴にて40〜50℃に維持した。その間,ブロ
モベンゼンを0.5時間にて滴下した。その後,反応が
終了し室温に戻るまで放置した。
【0079】上記反応液に氷浴にて10℃まで冷却し,
そこへ4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノ
ン(以下ミヒラーズケトンという。)12.0gを加え
た。発熱が終了したら,氷浴をとり,1時間攪拌を続け
た。氷水600mlに排出しトルエン200mlにて抽
出した。分液してトルエン層を分取し減圧濃縮しタール
状物を得た。得られたタール状物をメタノールでほぐし
て結晶化した。結晶を濾別し,メタノールで洗浄し,6
0℃で乾燥した。得られた結晶は淡黄白色であり,融点
は194〜200℃であった。収量は6.0gであっ
た。これをHSD−28とした。
【0080】HSD−28を用いて製造したホログラム
は,その透明部に,トリフェニルメタン系色素に起因す
る染着はなく,充分な脱色ができた。回折効率及び感度
も良好であった。
【0081】実施形態例3 本例においては,トリフェニルメタン系色素として,H
SD−29を酸性処理してなる色素体を用いた以外は,
実施形態例1と同様にしてホログラムを作製した。
【0082】HSD−29の合成方法について説明す
る。室温でN,N−ジメチルアニリン121.0g,及
び2−クロロベンズアルデヒド71.0gを,エチルセ
ロソルブ300mlに加え,そこへ98%硫酸を2時間
で滴下にて加えた。滴下終了後,尿素48.0gを加
え,60℃に加熱して22時間攪拌した。反応終了後,
氷水1000mlに排出しトルエン300mlを加え,
48%水酸化ナトリウムを滴下にて加えて水層のpHを
2から7に変えて分液させた。分液したトルエン層を分
取し減圧濃縮してタール状物を得た。得られたタール状
物をメタノールでほぐして結晶化した。結晶を濾別しメ
タノールで洗浄して60℃で乾燥した。得られた結晶は
白色であり,収量30.0gであった。
【0083】上記で得た白色結晶7.3gをクロラニル
9.8gとともにエタノール100mlに加え,60℃
に加熱して1.5時間攪拌した。反応終了後,反応液を
水300mlに排出し48%苛性ソーダ50mlを加え
た。トルエン400mlを入れ抽出し分液してトルエン
層を分取し,減圧濃縮しタールを得た。メタノールでほ
ぐして結晶化した。この結晶を濾別し,メタノールで洗
浄し,60℃で乾燥した。得られた結晶は淡青灰色であ
り,融点は102〜109℃であった。収量は2.7g
であった。これをHSD−29とした。
【0084】HSD−29を用いて製造したホログラム
は,その透明部に,トリフェニルメタン系色素に起因す
る染着はなく,充分な脱色ができた。回折効率及び感度
も良好であった。
【0085】実施形態例4 本例においては,トリフェニルメタン系色素として,H
SD−30を酸性処理してなる色素体を用いた以外は,
実施形態例1と同様にしてホログラムを作製した。
【0086】次に,HSD−30の合成方法について説
明する。テトラヒドロフラン14.6ml,シクロヘキ
サン100mlの混合溶媒中に1,3,5−トリメトキ
シベンゼン20.0g,リチウム1.0g,触媒量のヨ
ウ素を加え,そこへブロモベンゼン23.6gを滴下に
て加え,50℃まで加熱した。反応が開始したら加熱を
やめ氷浴にて40〜50℃に維持した。その間,ブロモ
ベンゼンを0.5時間にて滴下した。その後,反応が終
了し室温に戻るまで放置した。
【0087】上記反応液に氷浴にて10℃まで冷却し,
そこへミヒラーズケトン12.0gを加えた。発熱が終
了した後,氷浴をとり,1時間攪拌を続けた。氷水60
0mlに排出しトルエン200mlにて抽出した。分液
してトルエン層を分取し減圧濃縮して,タール状物を得
た。得られたタール状物をメタノールでほぐして結晶化
した。結晶を濾別しメタノールで洗浄し60℃で乾燥し
た。得られた結晶は白色であり,融点は194〜197
℃であった。収量は2.2gであった。これをHSD−
30とした。
【0088】HSD−30を用いて製造したホログラム
は,その透明部に,トリフェニルメタン系色素に起因す
る染着はなく,充分な脱色ができた。回折効率及び感度
も良好であった。
【0089】実施形態例5 本例においては,トリフェニルメタン系色素として,H
SD−31を用いた以外は,実施形態例1と同様にして
ホログラムを作製した。
【0090】次に,HSD−31の合成方法について説
明する。トルエン800mlにミヒラーズヒドロール1
21.0g,2−ナフトール72.0gを加え,還流下
2時間攪拌した。減圧濃縮してタール状物を得た。得ら
れたタール状物をメタノールでほぐし結晶化した。結晶
を濾別しメタノールで洗浄し60℃で乾燥した。得られ
た結晶は白色であり,収量は138.0gであった。
【0091】上記で得られた白色結晶15.8gを水1
00mlとメタノール100mlの混合溶媒中入れ,次
にヨウ素5.1gを加えた。還流下で1時間攪拌し,反
応終了後,放冷して40%塩酸20mlを加えて,酸性
処理を行った。析出した黒色固体を濾別しメタノール,
水で洗浄し,60℃で乾燥した。得られた結晶は黒色で
あり,融点は132〜139℃であった。収量は2.8
gであった。これをHSD−31とした。
【0092】HSD−31を用いて製造したホログラム
は,その透明部に,トリフェニルメタン系色素に起因す
る染着はなく,充分な脱色ができた。回折効率及び感度
も良好であった。
【0093】実施形態例6 本例においては,トリフェニルメタン系色素として,H
SD−33を酸性処理してなる色素体を用いた以外は,
実施形態例1と同様にしてホログラムを作製した。
【0094】HSD−33の合成方法について説明す
る。テトラヒドロフラン58ml,シキロヘキサン40
0mlの混合溶媒中にミヒラーズケトン21.4gを加
え,10℃以下でフェニルリチウム100ml(東京化
成品10%テトラヒドロフラン/シクロヘキサン溶液)
を20分で滴下にて加えた。滴下終了後1.5時間攪拌
し,水1000mlを加えた。分液して有機層を分取
し,減圧濃縮しタール状物を得た。タール状物をメタノ
ールでほぐして結晶化させた。次いで,この結晶を濾別
し,メタノールで洗浄し60℃で乾燥した。得られた結
晶は淡緑白色であり,融点は104〜109℃であっ
た。収量は6.7gであった。これをHSD−33とし
た。
【0095】HSD−33を用いて製造したホログラム
は,その透明部に,トリフェニルメタン系色素に起因す
る染着はなく,充分な脱色ができた。回折効率及び感度
も良好であった。
【0096】実施形態例7 本例においては,トリフェニルメタン系色素として,H
SD−34を用いた以外は,実施形態例1と同様にして
ホログラムを作製した。
【0097】HSD−34の合成方法について説明す
る。3.0gのHSD−28を水160mlに加え40
%塩酸水3.5mlを入れ85℃で2時間加熱して,酸
性処理を行った。30℃まで冷却し塩化ナトリウム3
4.4gを少量ずつ加え,48%水酸化ナトリウム水溶
液にてpH7に調整した。放冷後結晶が析出した。この
結晶を濾別,乾燥した。得られた結晶は茶色であり,融
点は151〜163℃であった。収量は4.2gであっ
た。これをHSD−34とした。
【0098】HSD−34を用いて製造したホログラム
は,その透明部に,トリフェニルメタン系色素に起因す
る染着はなく,充分な脱色ができた。回折効率及び感度
も良好であった。
【0099】実施形態例8 本例においては,トリフェニルメタン系色素として,H
SD−35を酸性処理してなる色素体を用いた以外は,
実施形態例1と同様にしてホログラムを作製した。
【0100】HSD−35の合成方法について説明す
る。テトラヒドロフラン50mlにマグネシウム3.6
g,ヨウ素少量を加え50℃まで加熱してそこへ2−ブ
ロモトルエン25gを0.5時間で滴下した。滴下終了
後室温まで放冷した。テトラヒドロフラン300mlに
ミヒラーズケトン26.8gを分散し,そこへ上記反応
物を氷冷下で10℃以下を維持しながら40分間で滴下
にて加えた。滴下終了後室温に戻して一晩攪拌した。反
応物を水1000mlに排出し,62%硫酸を加えてp
H10から8に変え,次いでトルエン500mlで反応
物を抽出し分液してトルエン層を分取した。減圧濃縮し
てタール状物を得,これをメタノールでほぐして結晶化
した。結晶を濾別し,60℃で乾燥した。得られた結晶
は淡緑白色であり,融点は,118〜123℃であっ
た。収量は24.0gであった。これをHSD−35と
した。
【0101】HSD−35を用いて製造したホログラム
は,その透明部に,トリフェニルメタン系色素の染着は
なく,充分な脱色ができた。回折効率及び感度も良好で
あった。
【0102】実施形態例9 本例においては,トリフェニルメタン系色素として,H
SD−36を酸性処理してなる色素体を用いた以外は,
実施形態例1と同様にしてホログラムを作製した。
【0103】HSD−36の合成方法について説明す
る。テトラヒドロフラン50mlにマグネシウム3.6
g,ヨウ素少量を加え50℃まで加熱してそこへ4−ブ
ロモトルエン25gを0.5時間で滴下した。滴下終了
後室温まで放冷した。テトラヒドロフラン300mlに
ミヒラーズケトン26.8gを分散し,そこへ上記反応
物を氷冷下で10℃以下を維持しながら40分間で滴下
にて加えた。滴下終了後室温に戻して一晩攪拌した。反
応物を水1000mlに排出し62%硫酸を加えてpH
10から8に変え,次いで,トルエン500mlで反応
物を抽出し分液してトルエン層を分取した。減圧濃縮し
てタール状物を得た。得られた結晶はタール状であり,
収量は20.0gであった。これをHSD−36とし
た。
【0104】HSD−36を用いて製造したホログラム
は,その透明部に,トリフェニルメタン系色素に起因す
る染着はなく,充分な脱色ができた。回折効率及び感度
も良好であった。
【0105】実施形態例10 本例においては,トリフェニルメタン系色素として,H
SD−38を酸性処理してなる色素体を用いた以外は,
実施形態例1と同様にしてホログラムを作製した。
【0106】HSD−38の合成方法について説明す
る。テトラヒドロフラン50mlにマグネシウム2.9
g,ヨウ素少量を加え50℃まで加熱してそこへ1−ブ
ロモナフタレン24.8gを0.5時間で滴下した。滴
下終了後室温まで放冷した。テトラヒドロフラン400
mlにミヒラーズケトン26.8gを分散し,そこへ上
記反応物を氷冷下で10℃以下を維持しながら40分間
で滴下にて加えた。滴下終了後室温に戻して一晩攪拌し
た。反応物を水1000mlに排出し,62%硫酸を加
えてpH10から8に変え,次いで,トルエン500m
lで反応物を抽出し分液してトルエン層を分取した。減
圧濃縮してタール状物を得,メタノールでほぐして結晶
化し濾別し60℃で乾燥した。得られた結晶は淡黄白色
であり,融点は108〜119℃であった。収量は2
4.0gであった。これをHSD−38とした。
【0107】HSD−38を用いて製造したホログラム
は,その透明部に,トリフェニルメタン系色素に起因す
る染着はなく,充分な脱色ができた。回折効率及び感度
も良好であった。
【0108】実施形態例11 本例においては,トリフェニルメタン系色素として,H
SD−39を酸性処理してなる色素体を用いた以外は,
実施形態例1と同様にしてホログラムを作製した。
【0109】HSD−39の合成方法について説明す
る。テトラヒドロフラン50mlにマグネシウム2.9
g,ヨウ素少量を加え50℃まで加熱してそこへ1−ブ
ロモアニソール28.0gを0.5時間で滴下した。滴
下終了後室温まで放冷した。テトラヒドロフラン400
mlにミヒラーズケトン26.8gを分散し,そこへ上
記反応物を氷冷下で10℃以下を維持しながら40分間
で滴下にて加えた。滴下終了後室温に戻して一晩攪拌し
た。反応物を水1000mlに排出し,62%硫酸を加
えてpH10から8に変え,次いで,トルエン500m
lで反応物を抽出し分液してトルエン層を分取した。減
圧濃縮して得た結晶を濾別し,濾液を更に減圧濃縮して
結晶を得た。メタノールでほぐして濾別し60℃で乾燥
した。得られた結晶は淡青白色であり,融点は122〜
128℃であった。収量は7.4gであった。これをH
SD−39とした。
【0110】HSD−39を用いて製造したホログラム
は,その透明部に,トリフェニルメタン系色素に起因す
る染着はなく,充分な脱色ができた。回折効率及び感度
も良好であった。
【0111】実施形態例12 本例においては,トリフェニルメタン系色素として,H
SD−45を酸性処理してなる色素体を用いた以外は,
実施形態例1と同様にしてホログラムを作製した。
【0112】HSD−45の合成方法について説明す
る。ジメチルアニリン24.2g,2−ブロモベンズア
ルデヒド18.5g,p−トルエンスルホン酸1水和物
48.0gを90℃で一晩攪拌した。反応終了後反応物
に水300mlを入れ,48%水酸化ナトリウムpH=
11とした。析出した結晶を濾別しメタノールで洗浄し
60℃で乾燥した。得られた結晶は白色であり,収量は
18.8gであった。
【0113】上記で得られた結晶6.1gにクロラニル
3.7g,エタノール100mlを加え,還流下で2時
間攪拌した。水160mlに排出し不溶分を濾別して除
き,その濾液に48%水酸化ナトリウム水溶液を加え結
晶が析出した。濾別して水洗後,室温で乾燥した。得ら
れた結晶は淡青色タールであり,収量は4.0gであっ
た。これをHSD−45とした。
【0114】HSD−45を用いて製造したホログラム
は,その透明部に,トリフェニルメタン系色素に起因す
る染着はなく,充分な脱色ができた。回折効率及び感度
も良好であった。
【0115】実施形態例13 本例においては,トリフェニルメタン系色素として,H
SD−46を酸性処理してなる色素体を用いた以外は,
実施形態例1と同様にしてホログラムを作製した。
【0116】HSD−46の合成方法について説明す
る。ジメチルアニリン24.2g,4−ブロモベンズア
ルデヒド18.5g,p−トルエンスルホン酸1水和物
48.0gを90℃で一晩攪拌した。反応終了後反応物
に水300mlを入れ48%水酸化ナトリウムpH=1
1とした。析出した結晶を濾別しメタノールで洗浄し6
0℃で乾燥した。得られた結晶は白色であり,収量は1
3.0gであった。
【0117】上記で得られた結晶6.1gにクロラニル
3.7g,エタノール100mlを加え,還流下で2時
間攪拌した。水160mlに排出し不溶分を濾別して除
き,その濾液に48%水酸化ナトリウム水溶液を加え結
晶が析出した。濾別して水洗後,60℃で乾燥した。得
られた結晶は淡青色であり,融点は144〜157℃で
あった。収量は4gであった。これをHSD−46とし
た。
【0118】HSD−46を用いて製造したホログラム
は,その透明部に,トリフェニルメタン系色素に起因す
る染着はなく,充分な脱色ができた。回折効率及び感度
も良好であった。
【0119】(比較例1)本例においては,トリフェニ
ルメタン系色素として,HSD−11を酸性処理してな
る色素体を用いた以外は,実施形態例1と同様にしてホ
ログラムを作製した。
【0120】HSD−11の合成方法について説明す
る。N,N−ジメチルアニリン51.9g中に塩化亜鉛
39.0gを加え50〜60℃で発熱に注意しながら,
2,4−ジクロロベンズアルデヒド25.0gを徐々に
加えた。さらに95℃で2時間攪拌した。反応終了後,
水を加え,48%水酸化ナトリウムで中和し水蒸気蒸留
で未反応のジメチルアニリンを除去した。トルエン10
0mlにて反応物を抽出し不溶分を濾別し濾液のトルエ
ン層を分液にて分取し,減圧濃縮にてトルエンを留去し
タール状物45.0gを得た。
【0121】塩化メチレン200mlに上記タール状物
20.0gを溶解し,クロラニル24.5gを1時間要
して加え,15時間反応した。反応終了後,水を加え,
48%水酸化ナトリウムを加えてpH10とし,減圧濃
縮にて塩化メチレンを留去した。析出してきた青色結晶
を濾別し60℃にて乾燥した。得られた結晶は青色であ
り,融点は152〜160℃であった。収量は8.5g
であった。これをHSD−11とした。
【0122】HSD−11を用いて製造したホログラム
は,その透明部に,トリフェニルメタン系色素に起因す
る染着が残り,脱色は困難であった。
【0123】(比較例2)本例においては,トリフェニ
ルメタン系色素として,HSD−15を酸性処理してな
る色素体を用いた以外は,実施形態例1と同様にしてホ
ログラムを作製した。
【0124】HSD−15の合成方法について説明す
る。ミヒラーズケトン5.4gにメチルベンジルトルイ
ジン15.8gを加え,そこへオキシ塩化リン7.4g
を約10分を要して加えゆっくりと加熱した。80℃ま
で加熱し10分間攪拌し反応終了後室温まで放冷した。
水を滴下にて加え全容量を30mlとした。48%水酸
化ナトリウムを加えてpH10とした。トルエン20m
lを加えて反応物を抽出し分液してトルエン層を分取
し,水蒸気蒸留にて過剰のアミンを留去した。
【0125】次に,パークレン100mlを加えて60
℃まで加熱し反応物を溶解し35%塩酸を加えて酸性に
した。分液して水層を分取し,再度この水層にパークレ
ン100mlを加え,48%水酸化ナトリウムを加えて
pH10に調整した。パ−クレン層を分取し減圧濃縮し
冷却した。晶析してきた結晶を濾別し,60℃で乾燥し
た。得られた結晶は淡赤灰色であり,融点は113.5
〜120.5℃であった。収量は5.4gであった。こ
れをHSD−15とした。
【0126】HSD−15を用いて製造したホログラム
は,その透明部に,トリフェニルメタン系色素に起因す
る染着が残り,脱色は困難であった。
【0127】(比較例3)本例においては,トリフェニ
ルメタン系色素として,HSD−18を酸性処理してな
る色素体を用いた以外は,実施形態例1と同様にしてホ
ログラムを作製した。
【0128】HSD−18の合成方法について説明す
る。ミヒラーズヒドロール27.0g,ジメチル−o−
トルイジン21.3g,水を加えて全容量を180ml
とした。80℃に加熱し62%硫酸6.7mlを素早く
加えた。さらに62%硫酸13.9mlを1時間要して
滴下後,16時間攪拌した。反応終了後パークレン18
0mlを加え,希水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH
4.6に調整した。パークレン層を分液にて分取し,希
硫酸および温水で洗浄後,減圧濃縮にてパークレンを留
去し得られたタール分をヘキサンに溶解して結晶を得
た。結晶をヘキサンとアセトンとの混合溶媒で洗浄し室
温で乾燥させた。
【0129】上記で得られた結晶8.3gをジクロロメ
タン20mlに溶解しクロラニル4.9gを加えて40
℃で還流下4時間攪拌した。さらに80℃まで加熱し,
ジクロロメタンを留去した後,反応液を濾過し,濾液に
48%水酸化ナトリウム12.0mlを加えてpH1
2.6に調整した後,黒色結晶を得た。濾別しヘキサン
で洗浄し,室温で乾燥した。得られた結晶は黒色であ
り,収量は4.6gであった。これをHSD−18とし
た。
【0130】以上の実施形態例1〜13,比較例1〜3
の実験結果を表2にまとめた。
【0131】
【表2】
【0132】HSD−18を用いて製造したホログラム
は,その透明部に,トリフェニルメタン系色素に起因す
る染着が残り,脱色は困難であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,ホログラムの製造方法
を示す工程図。
【図2】実施形態例1における,ホログラム感光材料へ
の露光方法を示す説明図。
【符号の説明】
1...ホログラム感光材料, 71...レーザー光,
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯沼 芳春 京都市南区上鳥羽上調子町1番地1 山田 化学工業株式会社内 (72)発明者 中西 功 京都市南区上鳥羽上調子町1番地1 山田 化学工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 六価クロム化合物とトリフェニルメタン
    系色素とバインダーとからなるホログラム感光剤におい
    て,上記トリフェニルメタン系色素は,「化2」に示す
    色素前駆体として計算した分配係数がlogP≦6であ
    る「化1」に示す色素体からなることを特徴とするホロ
    グラム感光剤。 【化1】 「化1」において,Yは水素原子,又は置換基を有する
    アリール基を表す。R1,R2,R3,R4,R5,R
    6 はそれぞれ水素原子,又は炭素原子数1から5の直鎖
    又は分岐鎖のアルキル基を表す。Z- は陰イオンを表
    す。 【化2】 「化2」において,Xは水素原子,又は置換基を有する
    アリール基を表し,Yは水素原子,又は置換基を有する
    アリール基を表す。R1,R2,R3,R4,R5,R
    6 はそれぞれ水素原子,又は炭素原子数1から5の直鎖
    又は分岐鎖のアルキル基を表す。
  2. 【請求項2】 分配係数logP≦6の下記の「化3」
    に示す色素前駆体に酸性処理を施してトリフェニルメタ
    ン系色素を調製し,次いで,該トリフェニルメタン系色
    素を,六価クロム化合物及びバインダーと混合すること
    を特徴とするホログラム感光剤の製造方法。 【化3】 「化3」において,Xは水素原子,又は置換基を有する
    アリール基を表し,Yは水素原子,又は置換基を有する
    アリール基を表す。R1,R2,R3,R4,R5,R
    6 はそれぞれ水素原子,又は炭素原子数1から5の直鎖
    又は分岐鎖のアルキル基を表す。
  3. 【請求項3】 透明部材の表面を感光層により被覆して
    なるホログラム感光材料であって,上記感光層は,請求
    項1のホログラム感光剤を透明部材の表面に塗布し,乾
    燥させたものであることを特徴とするホログラム感光材
    料。
  4. 【請求項4】 透明部材の表面を感光層により被覆して
    なるホログラム感光材料であって,上記感光層は,請求
    項2により得られたホログラム感光剤を透明部材の表面
    に塗布し,乾燥させたものであることを特徴とするホロ
    グラム感光材料。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4のホログラム感光材料に
    レーザー光を照射して上記感光層の所望部分を露光し,
    次いで,上記ホログラム感光材料を洗浄して,上記感光
    層内から六価クロム化合物及びトリフェニルメタン系色
    素を除去し,次いで,上記感光層を現像することを特徴
    とするホログラムの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項3又は4のホログラム感光材料に
    レーザー光を照射して上記感光層の所望部分を露光し,
    次いで,上記ホログラム感光材料を洗浄して,上記感光
    層内から六価クロム化合物及びトリフェニルメタン系色
    素を除去し,次いで,上記感光層を現像してなることを
    特徴とするホログラム。
JP28314196A 1996-10-04 1996-10-04 ホログラム感光剤,ホログラム感光材料及びホログラム,並びにこれらの製造方法 Pending JPH10111633A (ja)

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