JPH10103225A - 圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型で車載可能であり、しかも圧縮空気に潤
滑油が混入せず、さらに無潤滑でもピストンリングとシ
リンダの耐久性を維持できる圧縮機を提供する。また、
小型で能力の増大を図る。 【解決手段】 圧縮機はシリンダ１内をピストン２０が
往復動する空気圧縮機で、ピストン２０はクランクシャ
フト３９とクロススライダクランク機構によって連結
し、シリンダ１内を往復動する。シリンダ１内とクラン
クケース２５内はピストンロッド２３の中間部に装着し
たオイルシール６９でシールする。ピストン２０の往復
動によって、シリンダヘッド２に形成した吸入口３から
空気がシリンダ１内に吸入され、吐出口４から圧縮空気
が吐出されるとともに、シリンダ１下部の底付筒２４に
固定したバルブ組付体２６の吸入口７０から空気がシリ
ンダ１内に吸入され、底付筒２４に固定したバルブ組付
体２７の吐出口７１から圧縮空気が吐出される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車載可能な空気圧
縮機に関する。

【０００２】

【従来の技術】中大型トラックでは、ブレーキシステム
等各種の制御機構の駆動源として圧縮空気が使用されて
いる。現在この供給源として、一般的なクランク機構が
採用され、かつ、シリンダ室に潤滑油が供給されてピス
トンリング等が潤滑される往復動圧縮機が使用されてい
る。

【０００３】圧縮空気に水分が混じると、空気配管の途
中で冬季には凍結する危険がある。このため、圧縮空気
と水分とを分離する必要がある。現在採用されている空
気と水分の分離方法は、高圧の空気中の水分を多孔質の
水吸収剤に吸収させた後、急速に減圧して水吸収剤から
水を大気中に放出するものである。この方法は、圧縮空
気に潤滑油が混じると、分離性能が低下する欠点があ
る。

【０００４】また、圧縮空気に潤滑油が混じると、熱に
より圧縮機の吸入、吐出弁近辺で潤滑油が炭化する傾向
がある。吐出弁にスラッジが付着すると、弁の作動が不
完全になって、圧縮空気の温度が益々上昇するので、炭
化が一層促進されるようになる。

【０００５】したがって、圧縮空気に潤滑油が混じらな
いようにすることが望まれる。

【０００６】汎用の圧縮機においては、無潤滑の圧縮機
が存在する。この種のもので最も一般的なものは、クラ
ンク部分にボールベアリングを、ピストンとピストンピ
ンの部分にニードルベアリングを使用し、これらの軸受
にグリースを入れて密封し、シリンダ室に潤滑油が入ら
ないようにしたものである。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記軸
受構造によると、軸受部分が大きくなり、車載に適さな
い大きさとなる。

【０００８】他方、真空ポンプの一部に、カムでピスト
ンロッドを駆動し、ピストンロッドの中央部でオイルシ
ールを行うものがある。この構造で実用化できたもの
は、ピストンストロークが２０ｍｍ以下と小さく、中大
型トラック用の圧縮機には採用できない。

【０００９】他方、クロススライダクランク機構が、一
部の機械に使用されている。これは、往復動するロッド
と、これに固定され、往復動可能に支承されたスライダ
フレームと、スライダフレームの運動方向に対して直角
方向に移動可能にスライダフレームに支承されたスライ
ダと、スライダが回転可能に連結されたクランクシャフ
トとからなっている。この機構をピストンに接続する
と、サイドスラストが作用しないピストンが得られる
が、通常のクランク機構に比べると成立の条件に制約が
あるので、往復動圧縮機に使用された例はない。まし
て、ピストンロッドの中間部でオイルシールする圧縮機
は存在しなかった。

【００１０】本発明の目的は、小型で車載可能であり、
しかも圧縮空気に潤滑油が混入しないようにすることに
ある。また、本発明の別の目的は、無潤滑でもシールリ
ング（ピストンリング）とシリンダの耐久性を維持でき
るようにすることにある。さらに、本発明の目的は、小
型で能力の増大を図ることにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、クランク機構
によってピストンがシリンダ内を往復動する圧縮機にお
いて、前記クランク機構がクロススライダクランク機構
によって構成されていることを特徴とする。

【００１２】クロススライダクランク機構は、ピストン
に連結固定されているピストンロッドと、ピストンロッ
ドに連結固定され、往復動可能に支持されているスライ
ダフレームと、スライダフレームの運動方向に対して直
角方向に移動可能にスライダフレームの窓孔に装着され
ているスライダと、スライダが回転可能に装着されてい
るクランクシャフトとを備えている。

【００１３】シリンダ内においてピストンを往復動させ
るクランク機構として、クロススライダクランク機構を
採用しているので、下記の作用を奏する。

【００１４】ピストンロッドは純粋な正弦による直線
運動を行い、従来のクランク機構に付随する高次の振動
成分がない。したがって、騒音の発生を抑制でき、ピス
トンに装着されるシールリング（ピストンリング）とシ
リンダの耐久性も増す。

【００１５】ピストンロッドが直線運動を行うので、
ピストンロッドの中間部でオイルシールを容易に行え
る。その結果、シリンダ内とクランクケース内を容易に
シールすることができ、シリンダ内を容易に無潤滑油状
態に維持することができる。

【００１６】ピストンロッドが直線運動を行い、ピス
トンスラップを生じないので、無潤滑でも、ピストンに
装着されるシールリング（ピストンリング）とシリンダ
の耐久性を維持できる。

【００１７】ピストンロッドが直線運動を行い、ピス
トンスラップを生じないので、振動・騒音の発生を抑制
できる。

【００１８】ピストンとピストンロッドの相対的運動
がないことにより、ピストンロッドの内部を通じてピス
トンの内部に潤滑油を容易に供給することができるた
め、ピストンの油冷却を簡単に行える。

【００１９】また、本発明の圧縮機は、小型で能力の増
大を図るために、次の構成を備えていることを特徴とす
る。

【００２０】すなわち、クランク機構によってピストン
がシリンダ内を往復動し、ピストンの下降行程で、空気
がシリンダヘッドに形成されている吸入口からピストン
の上面が臨むシリンダ内に吸入され、ピストンの上昇行
程で、圧縮された空気がシリンダヘッドに形成されてい
る吐出口から吐出されるように構成されている圧縮機に
おいて、前記ピストンの往復動行程における上昇行程
で、空気が前記シリンダヘッドに形成されている吸入口
とは別に形成されている吸入口からピストンの下面が臨
むシリンダ内に吸入され、ピストンの下降行程で、圧縮
された空気が前記シリンダヘッドに形成されている吐出
口とは別に形成されている吐出口から吐出されるように
構成されている。

【００２１】上記構成によって、１サイクル当たり、２
回の吸入および吐出行程が得られるので、吐出量が多く
なる。

【００２２】シリンダ内とクランクケース内とのシール
は、ピストンロッドの中間部にオイルシールを装着する
ことで行うことができ、シリンダ内を無潤滑油状態とす
ることにより、シリンダ内で圧縮された空気に潤滑油が
混入されるのを防止することができる。

【００２３】

【発明の実施の形態】図１〜図５は本発明の一実施形態
を示し、図１は圧縮機の一部断面正面図、図２は（ａ）
が圧縮機の一部分を示す一部断面右側面図、（ｂ）がス
ライダの平面図、図３はクランクケース部分を示す一部
断面平面図、図４はシリンダヘッド側の吸入弁と吐出弁
を示しており、（ａ）は弁が取り付けられているバルブ
組付体を示す底面図、（ｂ）は圧縮機における吸入弁の
部分を示す縦断面図、（ｃ）はバルブ組付体に取り付け
られている吐出弁の部分を示す縦断面図、図５はシリン
ダヘッドと反対側の吸入弁と吐出弁を示しており、
（ａ）は圧縮機における吸入弁の部分を示す横断面図、
（ｂ）は圧縮機における吐出弁の部分を示す横断面図で
ある。

【００２４】本発明の圧縮機は、ピストンがシリンダ内
を往復動する空気圧縮機である。シリンダ１の上面には
シリンダヘッド２が固定されており、シリンダヘッド２
には空気の吸入口３と圧縮空気の吐出口４とが設けられ
ている。

【００２５】シリンダヘッド２はバルブ組付体５とヘッ
ド本体６とから構成されている。シリンダ１の上面に固
定されているバルブ組付体５は略正方形で平盤形状をな
しており、四隅に取付孔５ａを有している。バルブ組付
体５の略中央部寄りには吐出孔７が一対、一端辺に平行
に並んで形成されており、さらに、一端辺寄りに４個の
吸入孔８が吐出孔７が並んでいる方向に沿って円弧状に
配列されて形成されている。

【００２６】バルブ組付体５の下面には吸入弁９が配置
されている。吸入弁９は薄体状のリード弁で形成され、
リング形状をなして、その一部分が４個の吸入孔８を閉
塞しており、リング形状内に２個の吐出孔７が配置して
いる。そして吸入弁９は基端部に止め金１０が載置され
て、止めねじ１１でバルブ組付体５に固定されている。

【００２７】また、バルブ組付体５の上面には吐出弁１
２が配置されている。吐出弁１２は薄板状のリード弁で
形成され、細長い長方形形状をなして、２個の吐出孔７
を閉塞している。吐出弁１２の上側には上方から見て吐
出弁１２と同形状の板材からなる吐出弁受け１３が配置
されており、吐出弁１２と吐出弁受け１３の両端部がボ
ルト１４でバルブ組付体５に固定されている。吐出弁受
け１３は上方に湾曲したアーチ形状をなしており、吐出
弁１２の開放時は吐出弁１２が上方に湾曲して、吐出弁
受け１３の下面に当接することによってリフト量が規制
される。

【００２８】シリンダ１の上端面には内周側に開放され
ている切欠部１５が全周にわたって形成されており、こ
の切欠部１５に吸入弁９が配置される。吸入弁９の開放
時は吸入弁９が下方に撓んで、先端部が切欠部１５の底
面（吸入弁受けを構成する。）に当接することによって
リフト量が規制される。

【００２９】バルブ組付体５の上面に固定されているヘ
ッド本体６の内部には、吐出弁１２と吐出弁受け１３と
が収納される空間部１６とその空間部１６から吐出口４
まで連通させる吐出通路１７が形成されているととも
に、吸入孔８から吸入口３まで連通させる吸入通路１８
が形成されている。

【００３０】シリンダ１内にはピストン２０が挿入され
ており、ピストン２０の外周面に形成されている２本の
リング溝にそれぞれピストンリング２１，２２が装着さ
れ、シリンダ１の内壁１ａとのシールを行う。ピストン
２０の底面の中央部にはピストンロッド２３の一端が固
定されており、ピストン２０はクロススライダクランク
機構によってシリンダ１内を往復動するように構成され
ている。

【００３１】シリンダ１は下端部が底付筒２４内に嵌合
されて支持され、底付筒２４はクランクケース２５の上
面に固定されている。シリンダ１は鋳鉄材で形成する
他、鋳鉄スリーブをアルミニウムで鋳包みすることによ
って全体重量の軽減、熱伝達の向上を図ることもでき
る。

【００３２】本発明の圧縮機は、吸入・吐出機構が上記
シリンダヘッド２側に形成されている他に、シリンダヘ
ッド２と反対側の部分にも形成されている。

【００３３】底付筒２４の外形は略正方形形状をなして
おり、底部位置の外側面に吸入弁のバルブ組付体２６
と、吐出弁のバルブ組付体２７とが固定されている。各
バルブ組付体２６，２７は底付筒２４の外周面の互いに
反対側に位置している。

【００３４】吸入弁を有するバルブ組付体２６は平盤形
状をなし、吸入孔２８が横に並んで２個形成されてお
り、内面に吸入弁２９が配置されている。吸入弁２９は
薄板状のリード弁で形成され、細長い長方形形状をなし
て、２つの吸入孔２８を閉塞しており、両端部がボルト
３０でバルブ組付体２６に固定されている。

【００３５】一方、底付筒２４の底部の外側面には凹部
３２が形成されており、この凹部３２に吸入弁２９が配
置される。また、底付筒２４の底部にはシリンダ１内か
ら凹部３２の底面まで貫通している吸入通路３３が２本
形成されており、吸入通路３３の凹部３２底面における
開口が吸入孔２８に対向配置している。吸入弁２９の開
放時は吸入弁２９が内方に湾曲して、凹部３２の底面
（吸入弁受けを構成する。）に当接することによってリ
フト量が規制される。

【００３６】また、吐出弁を有するバルブ組付体２７も
平盤形状をなし、吐出孔３４が横に並んで２個形成され
ており、外面に吐出弁３５が配置されている。吐出弁３
５は薄板状のリード弁で形成され、細長い長方形形状を
なして、２つの吐出孔３４を閉塞している。吐出弁３５
の外側には外側から見て吐出弁３５と同形状の板材から
なる吐出弁受け３６が配置されており、吐出弁３５と吐
出弁受け３６の両端部がボルト３７でバルブ組付体２７
に固定されている。吐出弁受け３６は外方に湾曲したア
ーチ形状をなしており、吐出弁３５の開放時は吐出弁３
５が外方に湾曲して、吐出弁受け３６の内面に当接する
ことによってリフト量が規制される。一方、底付筒２４
の底部にはバルブ組付体２７の吐出孔３４とシリンダ１
内とを連通する２本の吐出通路３８が形成されている。

【００３７】なお、吸入通路３３および吐出通路３８を
冷却する冷却水通路を底付筒２４の内部に設けるのが望
ましい。

【００３８】クランクケース２５内にはクランクシャフ
ト３９がピストン２０の運動方向（以下、上下方向とす
る。）に対して直角方向に配されて両端部を軸受４０に
よって回転自在に支持されている。クランクシャフト３
９は一端がクランクケース２５から外側に突出してお
り、図示外の駆動源によって回転駆動されるように構成
されている。

【００３９】クランクシャフト３９はクランクケース２
５内に一対のクランクアーム４１を有しており、一対の
クランクアーム４１の間に連結されているクランクピン
４２にスライダ４３が回転可能に取り付けられている。
スライダ４３はクランクシャフト３９方向に見て略正方
形形状のブロック体で、上下に２分割されており、中央
部に形成されているピン孔の内周にメタル４４が固定さ
れて、クランクピン４２に回転自在に組み付けられてい
る。

【００４０】スライダ４３の周囲にはスライダフレーム
４５が配置されている。スライダフレーム４５はクラン
クシャフト３９方向に見て横長の長方形形状の枠体であ
り、横長の長方形の窓孔４６は高さがスライダ４３の高
さと略同じで、横幅はスライダ４３の横幅よりも長い寸
法を有している。このスライダフレーム４５の窓孔４６
にクランクピン４２に取り付けられているスライダ４３
が窓孔４６内をピストン２０の運動方向に対して直角方
向（以下、左右方向とする。）に摺動可能に装着されて
いる。

【００４１】スライダフレーム４５のスライダ４３と摺
動する面すなわちスライダフレーム４５の窓孔４６を形
成する上下面にはポーラスＣｒめっき４７が被覆されて
いる。このＣｒめっき４７の表面はＣｒめっき後、表面
加工により、平滑度、表面粗度およびポア率を改善する
のが望ましい。スライダ４３はねずみ鋳鉄等の鋳鉄材で
形成されている。

【００４２】スライダフレーム４５はクランクケース２
５内を上下方向に往復動可能に一対のガイド棒４８，４
９によって支持されている。一対のガイド棒４８，４９
はクランクケース２５内を上下方向に延びてクランクケ
ース２５に固定されており、スライダフレーム４５の長
手方向における両端部に上下方向に形成されているガイ
ド棒挿通孔５０，５１をそれぞれ挿通している。スライ
ダフレーム４５は一対のガイド棒挿通孔５０，５１の各
上下端部にそれぞれブシュ５２，５３を装着して有して
おり、ブシュ５２，５３が各ガイド棒４８，４９を摺動
可能に支持している。

【００４３】ピストン２０底部に固定されて下方に延び
るピストンロッド２３は、シリンダ１の下端から底付筒
２４の底部とクランクケース２５の上面部とに形成され
ている貫通孔５４，５５を挿通して、クランクケース２
５内のスライダフレーム４５の上面中央部に連結固定さ
れている。

【００４４】次に、クロススライダクランク機構の潤滑
とピストンの冷却について説明する。

【００４５】クランクケース２５の油供給口５６から圧
縮機内に供給された潤滑油は、一方のガイド棒４８の内
部に形成されている油供給路５７、一方のガイド棒４８
とガイド棒挿通孔５０との間で形成されている油供給路
５８を順次通って、一方のガイド棒４８とブシュ５２と
の摺動部を潤滑しながら、次に、スライダフレーム４５
に形成されている油供給路５９に流入するように構成さ
れている。

【００４６】そして、スライダフレーム４５の油供給路
５９に流入した潤滑油は、途中で、もう一方のガイド棒
４９側と、ピストンロッド２３側とに分岐する。もう一
方のガイド棒４９側に流れた潤滑油はガイド棒４９とガ
イド棒挿通孔５１との間で形成されている油供給路６０
に流入し、ガイド棒４９とブシュ５３との摺動部を潤滑
した後、上下端からクランクケース２５に落下する。

【００４７】ピストンロッド２３側に流れた潤滑油は、
ピストンロッド２３に形成されている油供給路６１に流
入し、ピストン２０の内部に形成されている冷却室に入
り、ピストン２０を内側から冷却した後、ピストンロッ
ド２３に形成されている油排出路６２を通って、下端の
開口からクランクケース２５内に排出されるように構成
されている。

【００４８】また、クランクケース２５の側面に開口さ
れている油供給口６３からクランクシャフト３９の内部
に形成されている油供給路６４に供給された潤滑油は、
クランクシャフト３９内を通ってクランクピン４２部に
至る。メタル４４には内周に形成されている環状溝と環
状溝の底部からスライダ４３に形成されている油孔６５
に連通する油孔とから構成される油供給路６６が形成さ
れており、クランクピン４２部に至った潤滑油は、クラ
ンクピン４２とメタル４４との摺動面に供給され、一部
はスライダ４３の油孔６５を通って、スライダ４３の表
面に形成されている油溝６７に流入し、スライダ４３と
スライダフレーム４５との摺動面に供給される。

【００４９】以上のように、クロススライダクランク機
構には潤滑、冷却油路が形成されている。

【００５０】しかしながら、シリンダ１内は無潤滑油状
態にされている。すなわち、シリンダ１下方の底付筒２
４の貫通孔５４の周囲の底部内面に形成されている環状
凹部６８にオイルシール６９が装着され、オイルシール
６９の内周がピストンロッド２３の外周に接触されてシ
ールし、クランクケース２５内の潤滑油がシリンダ１内
に供給されないようにしている。したがって、ピストン
リング２１，２２は無潤滑でシリンダ内壁１ａと摺動す
る。

【００５１】以下、作用を説明する。クランクシャフト
３９が図示外の駆動源によって回転駆動されると、クラ
ンクピン４２に装着されたスライダ４３がクランクシャ
フト３９の中心回りに円軌道を描いて移動する。この
際、スライダ４３が円軌道を移動することによって、ス
ライダ４３はスライダフレーム４５の窓孔４６内を摺動
し、これに伴ってスライダフレーム４５は上下方向（ピ
ストン２０の運動方向）に正弦による直線運動を行う。

【００５２】スライダフレーム４５が上記のように上下
方向に直線運動を行うと、スライダフレーム４５に連結
固定されているピストンロッド２３を介してピストン２
０がシリンダ１内を往復運動する。

【００５３】ピストン２０が下降すると、吸入弁９が開
く。すなわち吸入弁９が下方に撓んでその先端部がシリ
ンダ１の上面に形成されている切欠部１５の底面（吸入
弁受け）に当接する。

【００５４】吸入弁９が開き、空気がシリンダヘッド２
の吸入口３から吸入孔８を通ってシリンダ１内に吸入さ
れ、その空気はピストン２０の上昇によって圧縮され
る。

【００５５】ピストン２０の上昇によって空気が圧縮さ
れると、所定の圧縮位置で、吐出弁１２が開く。すなわ
ち、吐出弁１２が上方に湾曲して吐出弁受け１３に当接
する。

【００５６】吐出弁１２が開くと、圧縮空気は吐出孔７
を通ってシリンダヘッド２の吐出口４から吐出される。

【００５７】一方、上記ピストン２０の上昇行程におい
て、ピストン２０が上昇すると、シリンダヘッド２と反
対側位置に設けられている吸入弁２９が開く。すなわち
吸入弁２９が内方に湾曲して、底付筒２４の外側面の凹
部３２底面（吸入弁受け）に当接する。

【００５８】吸入弁２９が開き、空気がシリンダヘッド
２と反対側の吸入口７０から吸入孔２８および吸入通路
３３を通ってシリンダ１内に吸入される。

【００５９】そして、上記ピストン２０の下降行程にお
いて、ピストン２０が下降すると、所定の圧縮位置で、
シリンダヘッド２と反対側位置に設けられている吐出弁
３５が開く。すなわち、吐出弁３５が外側に湾曲して吐
出弁受け３６に当接する。

【００６０】吐出弁３５が開くと、圧縮空気は吐出通路
３８および吐出孔３４を通ってシリンダヘッド２と反対
側の吐出口７１から吐出される。

【００６１】上記のように、１サイクルで吸入・吐出行
程が２回行われるため、吐出量を多くすることができ
る。

【００６２】また、クロススライダクランク機構によ
り、クランクシャフト３９の回転によって駆動されるピ
ストンロッド２３が純粋な正弦による直線運動を行うの
で、従来のクランク機構に付随する高次の振動成分がな
い。したがって、騒音の発生を抑制でき、ピストンリン
グ２１，２２とシリンダ１の耐久性も増す。また、ピス
トンスラップを生じないので、無潤滑でもピストンリン
グ２１，２２とシリンダ１の耐久性を維持できる。ま
た、ピストンスラップを生じないので、振動・騒音の発
生を抑制できる。また、ピストン２０とピストンロッド
２３の相対的運動がないので、ピストンロッド２３の内
部を通じて潤滑油をピストン２０の内部に容易に供給す
ることができるため、ピストン２０の油冷却を簡単に行
える。

【００６３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の圧縮機
は、小型で車載可能にでき、しかも圧縮空気に潤滑油が
混入するのを防止することができる。また、無潤滑で
も、ピストンに装着されるシールリング（ピストンリン
グ）とシリンダの耐久性を維持できる。また、振動、騒
音の発生を抑制できる。さらに、小型で能力の増大を図
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態を示し、圧縮機の一部断面
正面図である。

【図２】（ａ）は圧縮機の一部分を示す一部断面右側面
図、（ｂ）はスライダの平面図である。

【図３】クランクケース部分を示す一部断面平面図であ
る。

【図４】シリンダヘッド側の吸入弁と吐出弁を示してお
り、（ａ）は弁が取り付けられているバルブ組付体を示
す底面図、（ｂ）は圧縮機における吸入弁の部分を示す
縦断面図、（ｃ）はバルブ組付体に取り付けられている
吐出弁の部分を示す縦断面図である。

【図５】シリンダヘッドと反対側の吸入弁と吐出弁を示
しており、（ａ）は圧縮機における吸入弁の部分を示す
横断面図、（ｂ）は圧縮機における吐出弁の部分を示す
横断面図である。

【符号の説明】

１ シリンダ １ａ シリンダ内壁 ２ シリンダヘッド ３、７０ 吸入口 ４、７１ 吐出口 ５、２６、２７ バルブ組付体 ５ａ 取付孔 ６ ヘッド本体 ７、３４ 吐出孔 ８、２８ 吸入孔 ９、２９ 吸入弁 １０ 止め金 １１ 止めねじ １２、３５ 吐出弁 １３、３６ 吐出弁受け １４、３０、３７ ボルト １５ 切欠部 １６ 空間部 １７、３８ 吐出通路 １８、３３ 吸入通路 ２０ ピストン ２１、２２ ピストンリング ２３ ピストンロッド ２４ 底付筒 ２５ クランクケース ３２ 凹部 ３９ クランクシャフト ４０ 軸受 ４１ クランクアーム ４２ クランクピン ４３ スライダ ４４ メタル ４５ スライダフレーム ４６ 窓孔 ４７ Ｃｒめっき ４８、４９ ガイド棒 ５０、５１ ガイド棒挿通孔 ５２、５３ ガイドブシュ ５４、５５ 貫通孔 ５６、６３ 油供給口 ５７、５８、５９、６０、６１、６４、６６ 油供給路 ６２ 油排出路 ６５ 油孔 ６７ 油溝 ６８ 環状凹部 ６９ オイルシール

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 クランク機構によってピストンがシリン
   ダ内を往復動し、ピストンの下降行程で、空気がシリン
   ダヘッドに形成されている吸入口からピストンの上面が
   臨むシリンダ内に吸入され、ピストンの上昇行程で、圧
   縮された空気がシリンダヘッドに形成されている吐出口
   から吐出されるように構成されている圧縮機において、 前記クランク機構が、ピストンに連結固定されているピ
   ストンロッドと、ピストンロッドに連結固定され、往復
   動可能に支持されているスライダフレームと、スライダ
   フレームの運動方向に対して直角方向に移動可能にスラ
   イダフレームの窓孔に装着されているスライダと、スラ
   イダが回転可能に装着されているクランクシャフトとを
   備えているクロススライダクランク機構であり、 前記ピストンの往復動行程における上昇行程で、空気が
   前記シリンダヘッドに形成されている吸入口とは別に形
   成されている吸入口からピストンの下面が臨むシリンダ
   内に吸入され、ピストンの下降行程で、圧縮された空気
   が前記シリンダヘッドに形成されている吐出口とは別に
   形成されている吐出口から吐出されるように構成されて
   いることを特徴とする圧縮機。
2. 【請求項２】 シリンダ内とクランクケース内とがピス
   トンロッドの中間部に装着されたオイルシールでシール
   されていることを特徴とする請求項１記載の圧縮機。