JPH10100212A

JPH10100212A - 射出成形機

Info

Publication number: JPH10100212A
Application number: JP26176796A
Authority: JP
Inventors: Masakazu Ono; 雅和大野; Chuzo Shimizu; 忠三清水; Shinichi Onozuka; 真一小野塚; Yoshihide Hayashi; 佳秀林; Osamu Nakazawa; 修中沢
Original assignee: Sankyo Kasei Co Ltd
Current assignee: Sankyo Kasei Co Ltd
Priority date: 1996-10-02
Filing date: 1996-10-02
Publication date: 1998-04-21

Abstract

(57)【要約】（修正有）【課題】分岐したランナーを介して複数のゲート部か
ら一つのキャビティに注入する場合、成形品の部分々の
肉厚・幅、或いは長さの違いによって、夫々充填時間・
圧力・流動樹脂の粘度の違いによる変形，反りが発生す
ることも抑制でき、精度の高い高品質の成形品を量産で
きる画期的な射出成形機を提供すること。【解決手段】射出シリンダ１を複数設け、この各射出
シリンダ１内に配する射出駆動体２を駆動制御する駆動
装置５を各射出駆動体２毎に設け、最適な射出条件が違
う位置に夫々設けたゲート部８からキャビティ７内へ射
出充填されるように構成し、キャビティ７の違い又はゲ
ート部８の位置の違いに応じて最適な射出条件で夫々射
出されるように各駆動装置５を夫々個別に駆動制御し得
るように構成した射出成形機。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、射出成形機に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の射出成形機の射出構造は、次のよ
うな構成である。

【０００３】インライン方式においては、射出シリンダ
内の射出スクリューを回転させることにより後方に供給
された樹脂が溶融されつつ、逆止リングを介して射出ス
クリューの前方へ送り込まれる。

【０００４】この前部に送り込んだ溶融樹脂により後方
へ後退した射出スクリューを前方へ押し出して、この溶
融樹脂を射出シリンダ前端のノズル部から金型内へ射出
し、更にこの射出スクリューを前方へ加圧して金型内へ
射出した樹脂を保圧する構成としている。

【０００５】また、プリプラ方式においては、射出シリ
ンダの前部に供給部を逆止弁を介して連設し、この供給
部内の供給スクリューを回転させることで供給部から射
出シリンダの前部に溶融樹脂を送り込み、この送り込ん
だ溶融樹脂により後方へ後退した射出シリンダ内の射出
プランジャーを前方へ押し出して、この溶融樹脂を射出
シリンダ前端のノズル部から金型内へ射出し、更にこの
射出スクリューを前方へ加圧して金型内へ射出した樹脂
を保圧する構成としている。

【０００６】従来のこのような射出成形機においては、
射出スクリュー或いは射出プランジャーを押し出し制御
する駆動装置（アクチェータ）を設けている。

【０００７】即ち、この駆動装置を制御することで、所
定量の溶融樹脂を前方へ送り込んだ後（計量完了後）、
射出スクリューや射出プランジャーなどの射出駆動体を
前方へ押し出し駆動し、更にその後所定時間加圧して保
圧する構成としている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
射出成形機は、一つの金型に対して一つの射出シリンダ
を設けた構成であり、この射出シリンダの射出駆動体を
一つの駆動装置により駆動するに過ぎない。従って、一
つの金型に複数のキャビティがある場合でも、或いはキ
ャビティの形状が複雑で二か所のゲート部から一つのキ
ャビティに射出注入する場合であっても、前記一つの射
出シリンダの前端ノズル部からキャビティへ溶融樹脂を
導くランナーを分岐させ、この分岐したランナーを介し
て注入口（ゲート部）からキャビティへ注入する構成で
ある。

【０００９】この一つの射出シリンダから分岐ランナー
を介して注入するこれまでの構成に本発明者は次のよう
な問題点を見い出した。

【００１０】１．多数個取り（複数キャビティ）にした
場合、射出装置が一つの為、品質要因を決定づけるとさ
れている、射出圧力・射出速度・射出時間等の射出条件
の制御が複数のキャビティに均等に及ばないことがあ
る。

【００１１】２．また、一個取り（単キャビティ）にお
いても、分岐したランナーを介して複数のゲート部から
一つのキャビティに注入する場合、成形品の部分々の肉
厚・幅、或いは長さ（ゲート部からの距離）の違い（各
ゲート部の位置の違い）によって、夫々充填時間・圧力
・流動樹脂の粘度の違いによる変形，反りが発生する。
即ち、各ゲート部での適正な射出条件が異なる場合が多
く、そのために成形品に不良が生じることがある。

【００１２】３．分岐した複雑なランナー部分を要する
ため、それだけ材料費高の問題もある。

【００１３】４．近年の成形品における軽薄・短小ニー
ズや、高精度化に対応しにくくなっている。（射出制御
がキャビティの隅々まで及びにくい。）５．複数のゲート部から流入する流入樹脂がキャビティ
内の流入障壁部の裏側へ回り込むようにして充填される
キャビティ構造の場合、ウェールドが生じ、このウェー
ルドによって強度の弱い部分や突き合い合流位置にライ
ンが生じて成形品の外観も悪くなってしまう問題が生じ
る場合もある。

【００１４】本発明は、従来当然とされていたこのよう
な射出成形機の構成に前記様々な問題点が生じることを
見い出し、発想の転換を図り、これらの問題点を解決し
た画期的な射出成形機を提供することを目的としてい
る。

【００１５】

【課題を解決するための手段】添付図面を参照して本発
明の要旨を説明する。

【００１６】射出シリンダ１内の射出スクリュー若しく
は射出プランジャなどの射出駆動体２の前部に溶融樹脂
４を送り込み、この前部に送り込んだ溶融樹脂４により
後方へ後退した射出駆動体２を駆動装置５により前方へ
押し出して、前記溶融樹脂４を射出シリンダ１前端から
金型６内のキャビティ７へ射出充填すると共に、更にこ
の射出駆動体２を前方へ加圧してキャビティ７内へ送り
込んだ樹脂を保圧し得るように構成した射出成形機にお
いて、前記射出シリンダ１を複数設け、この各射出シリ
ンダ１内に配する前記射出駆動体２を駆動制御する前記
駆動装置５を各射出駆動体２毎に設け、各射出シリンダ
１の前端から射出される溶融樹脂４の射出圧や射出速度
などの射出条件が夫々異なるように各駆動装置５を駆動
制御し得るように構成したことを特徴とする射出成形機
に係るものである。

【００１７】また、射出シリンダ１内の射出スクリュー
若しくは射出プランジャなどの射出駆動体２の前部に溶
融樹脂４を送り込み、この前部に送り込んだ溶融樹脂４
により後方へ後退した射出駆動体２を駆動装置５により
前方へ押し出して、前記溶融樹脂４を射出シリンダ１前
端から金型６内のキャビティ７へ射出充填すると共に、
更にこの射出駆動体２を前方へ加圧してキャビティ７内
へ送り込んだ樹脂を保圧し得るように構成した射出成形
機において、前記射出シリンダ１を複数設け、この各射
出シリンダ１内に配する前記射出駆動体２を駆動制御す
る前記駆動装置５を各射出駆動体２毎に設け、各射出シ
リンダ１の前端から射出される溶融樹脂４が、前記金型
６内の夫々別のキャビティ７内へ又は同じキャビティ７
の肉厚・幅・長さなどの形状の違いや注入口となる一か
所のゲートからではそのゲートからの距離の違いによっ
て最適な射出条件が違う位置に夫々設けたゲート部８か
らキャビティ７内へ射出充填されるように構成し、前記
キャビティ７の違い又は前記ゲート部８の位置の違いに
応じて最適な射出条件で夫々射出されるように各駆動装
置５を夫々個別に駆動制御し得るように構成したことを
特徴とする射出成形機に係るものである。

【００１８】また、前記各射出シリンダ１前端から射出
される前記溶融樹脂４を、分岐するランナー９を介して
複数のゲート部８からキャビティ７内へ射出充填せず、
前記射出シリンダ１の数だけ前記ゲート部８を設け、こ
の各射出シリンダ１から夫々分岐しないランナー９を介
して一の射出シリンダ１に対応する一のゲート部８から
キャビティ内へ射出充填するように構成したことを特徴
とする請求項１，２のいずれか１項に記載の射出成形機
に係るものである。

【００１９】また、前記射出シリンダ１内に射出駆動体
２を配設し、この射出シリンダ１の前部に供給スクリュ
ー10を配設した供給部３を設け、この供給スクリュー10
を回転させることで供給部３から射出シリンダ１内の前
部に溶融樹脂４を送り込み、この射出シリンダ１の前部
に送り込んだ溶融樹脂４により後退した射出駆動体２を
この射出駆動体２毎に設けた前記駆動装置５を駆動制御
して前方へ押し出して、射出シリンダ１の前端から溶融
樹脂４を射出するように構成したことを特徴とする請求
項１〜３のいずれか１項に記載の射出成形機に係るもの
である。

【００２０】

【発明の実施の形態】好適と考える本発明の実施の形態
（発明をどのように実施するか）を、図面に基づいてそ
の作用効果を示して簡単に説明する。

【００２１】各射出シリンダ１から射出される溶融樹脂
４がゲート部８からキャビティ７内へ注入される。

【００２２】この溶融樹脂４の射出圧力・射出速度など
の射出条件は、溶融樹脂４を押し出す射出駆動体２をこ
の射出駆動体２毎に設けた各個の駆動装置５により制御
して決定する。

【００２３】従って、例えば成形品を複数個取りする場
合に各キャビティ毎に前記射出シリンダ１を設け、この
射出シリンダ１内の射出駆動体２を駆動する駆動装置５
を個別に制御して、各キャビティ毎に最適な射出条件で
溶融樹脂４を充填・保圧する。

【００２４】また、一つのキャビティ７に対して複数か
所に設けたゲート部８から注入する場合でも、このゲー
ト部８に前記射出シリンダ１を設け、この各駆動装置５
を個別に制御して、各ゲート部８毎に最適な射出条件で
溶融樹脂４を充填・保圧する。

【００２５】即ち、各ゲート部８の位置において、成形
品の肉厚や形状やもし一か所のゲート部からではそのゲ
ート部からの距離の違いなどがあり、厳密にはあるゲー
ト部８の射出圧を低くしたり、あるゲート部８の射出速
度を速くしたりする方が望ましい場合などがあるから、
各駆動装置５を個別に制御して、夫々のゲート部８から
その位置での最適な条件で射出・保圧がなされるように
する。

【００２６】また、ゲート部８の位置での肉厚や形状や
長さ（ゲートからの距離）がたとえ同じであっても、キ
ャビティ７内に流入障壁部13があり、溶融樹脂４が流入
障壁部13の裏側に回り込むように充填されるキャビティ
構造の場合においては、一つの射出シリンダ１から分岐
ランナーを介して異なるゲートから溶融樹脂４が例えば
同じ流入速度で注入されると、流入障壁部13の裏側にウ
ェールドを生じ得るが、あえて前記各ゲート部８に対し
て射出シリンダ１を設け、駆動装置５の制御により射出
条件（流入速度）をあえて異ならせることにより流入障
壁部13の裏側に渦流作用等を生じさせてウェールドの発
生を抑制する。

【００２７】このようにして、様々なケースに対して適
宜個別に駆動装置５を適正に制御することで、品質の高
い成形が実現できることになる。

【００２８】

【実施例】本発明の具体的な実施例について図面に基づ
いて説明する。

【００２９】本実施例は、射出条件の制御を高い精度で
行うことのできるプリプラ方式の射出成形機を採用し、
供給部３の排出路11を分岐し、これを複数設けた各射出
シリンダ１の前部に連設する構成としている。

【００３０】即ち、複数の射出シリンダ１の前部に逆止
弁機構・前記分岐排出路11を介して一つの供給シリンダ
３（供給部３）を連設し、この供給シリンダ３内の供給
スクリュー10を回転して、供給シリンダ３から各射出シ
リンダ１内の射出駆動体２（射出プランジャー）の前部
に溶融樹脂４を送り込み、この前部に送り込んだ溶融樹
脂４により後方へ後退した射出駆動体２を前方へ押し出
して、前記溶融樹脂３を射出シリンダ１前端より金型６
内のキャビティ７へ射出すると共に、更にこの射出駆動
体２を前方へ加圧してキャビティ７内へ送り込んだ樹脂
を保圧し得るように制御する駆動装置５を各射出駆動体
２に設けている。

【００３１】また、本実施例の各駆動装置５は次のよう
に構成している。

【００３２】前記各射出駆動体２の前部に溶融樹脂４を
送り込んで計量が完了した後、一旦前記射出駆動体２を
前方へ加圧して前部の溶融樹脂４を圧縮するように制御
する圧縮計量制御部５Ｂを設け、この圧縮計量制御部５
Ｂにより圧縮して前方へ射出駆動体２が移動した位置を
移動開始位置Ｐとして、移動開始位置Ｐを基準に射出駆
動体２を前方へ所定ストロークだけ前進移動せしめる充
填制御部５Ａを設けている。

【００３３】また、前記各充填制御部５Ａ並びに前記各
圧縮計量制御部５Ｂを共通の駆動装置とをせず、更に別
々に駆動制御する別個の駆動装置とし、この充填制御部
５Ａを前記射出駆動体２を所定ストロークだけ前方へ押
し出し駆動する充填駆動装置５Ａとし、この圧縮計量制
御部５Ｂを前記保圧制御を行う保圧駆動装置５Ｂとして
いる。

【００３４】本実施例では、各射出駆動体２の後方に夫
々直列状態に充填駆動装置５Ａ（充填制御部）と保圧駆
動装置５Ｂ（圧縮計量制御部）とを配設し、充填駆動装
置５Ａと、前記保圧駆動装置５Ｂとを、成形ショット毎
前記射出駆動体２の移動途中において、移動停止位置や
圧力を可変制御せず、成形ショット毎常に充填駆動装置
５Ａによって所定位置から設定ストロークだけ射出駆動
体２が前進移動するように制御し、成形ショット毎常に
保圧駆動装置５Ｂによって所定時間一定圧力で射出駆動
体２を加圧制御するように構成している。

【００３５】更に、具体的に説明すれば、保圧駆動装置
５Ｂの駆動ロッド部の進退によって充填駆動装置５Ａが
進退して射出駆動体２が進退するように構成し、且つ、
充填駆動装置５Ａの駆動ロッド部の進退によっても射出
駆動体２が進退するように構成している。

【００３６】本実施例では、後方の圧縮計量制御部５Ｂ
の駆動ロッド部とその前方の充填制御部５Ａのシリンダ
ー体とを一体に構成し、圧縮計量制御部５Ｂの駆動ロッ
ド部の進退によって充填制御部５が進退するように構成
している。

【００３７】尚、このように本発明において、「夫々個
別に駆動制御し得るように構成した」、或いは「別々に
駆動制御する別個の駆動装置で構成した」との意味は、
一つの共通の駆動装置ではなく、別個に制御できる駆動
装置で構成した意味であり、本実施例のように別個に制
御可能であれば互いに一体に連結されている場合も当然
含む意味である。

【００３８】図中符号12は、キャビティが変更した場合
などに、充填制御部５の駆動ロッド部の計量時の戻り位
置を変更して元々の計量樹脂量を加減するためのピスト
ンストローク調整杆である。

【００３９】図面に基づいて更に説明する。

【００４０】先ず、図１，図２は、一つのキャビティ７
に対して複数ヶ所にゲート部８を設け、このゲート部８
と分岐しないランナー９を介して連結される同数の射出
シリンダ１を設け、この各射出シリンダ１から夫々ゲー
ト部８を介して一つのキャビティ７に溶融樹脂４を射出
注入する構成例である。

【００４１】従って、各ゲート部８の位置において、成
形品の肉厚や形状やもし一か所のゲート部からではその
ゲート部からの距離の違いなどがあるから、各駆動装置
５を個別に制御して、夫々のゲート部８からその位置で
の最適な条件で射出・保圧がなされるようにする。

【００４２】即ち、図１，図２に示すようにキャビティ
７の形状が対称でなく、異なる箇所では、異なる射出条
件で射出注入した方が良いキャビティ７の場合には、こ
れら条件が異なる位置にゲート部８を設け、これに対応
して複数の射出シリンダ１（射出機構）を設け、各個に
設けた前記駆動装置５により夫々のゲート部８位置に対
して適正な射出・保圧がなされるように駆動制御する構
成である。

【００４３】本実施例は、肉厚部と肉薄部とに夫々ゲー
ト部８を設け、このゲート部８に対応する射出シリンダ
１を設けている。

【００４４】そして、この射出シリンダ１の射出駆動体
２に各個に設けた駆動装置５を制御して肉厚部分のゲー
ト部８においては低速充填・保圧時間長となるように制
御し、肉薄部分のゲート部８においては、逆に高速充填
・保圧時間短となるように制御する。これにより、射出
速度・圧力などを成形品の形状（この場合には、一つの
成形品の部分々の形状）に合わせることができ、特に大
物成形品における反り・変形が防止でき、精度の高い商
品質の成形品を量産できる。

【００４５】また、図３は、所謂複数個取りする金型６
の場合の例で、金型６内の各キャビティ７毎にゲート部
８を設け、このゲート部８に対応して分岐しないランナ
ー９を介して同数の射出シリンダ１を設け、従って、こ
の射出シリンダ１から各ゲート部８を介して各キャビテ
ィ７に溶融樹脂４を注入する構成例（別例１）である。

【００４６】従って、この射出シリンダ１内の射出駆動
体２を駆動する駆動装置５を個別に制御して、各キャビ
ティ７毎に最適な射出条件で溶融樹脂４を充填・保圧で
き、各キャビティ７すべてを最適な条件（この場合、現
実に均等な条件）で射出・保圧成形できることになる。

【００４７】また、図４は、ゲート部８の位置での肉厚
や形状や長さ（ゲートからの距離）がたとえ同じであっ
ても、キャビティ７内に流入障壁部13があり、溶融樹脂
４が流入障壁部13の裏側に回り込むように充填されるキ
ャビティ構造の場合に適用したもので（別例２）、この
場合、一つの射出シリンダ１から分岐ランナーを介して
異なるゲートから溶融樹脂４が注入されると、流入障壁
部13の裏側にウェールドを生じ得るが、あえて前記各ゲ
ート部８に対して射出シリンダ１を設け、駆動装置５の
制御により射出条件（溶融樹脂４の流入速度）をあえて
異ならせることにより流入障壁部13の裏側に渦流作用等
を生じさせてウェールドの発生を抑制する。

【００４８】このようにして、様々なケースに対して適
宜個別に駆動装置５を適正に制御することで、品質の高
い成形が実現できることになる。

【００４９】尚、本実施例の駆動装置５の充填制御部５
Ａ並びに圧縮計量制御部５Ｂの具体的に作動について付
加説明する。

【００５０】射出駆動体２の前方へ溶融樹脂４を送り込
む計量完了時に、保圧駆動装置５Ｂにより一旦所定圧で
停留している溶融樹脂４を加圧して圧縮する。

【００５１】このとき、例えば前回の成形ショットによ
り金型６内に冷却している樹脂が充填・保圧完了してい
るため、射出不能状態となっていて加圧しても圧縮され
るだけとなるようにしている。

【００５２】この圧縮によって、溶融樹脂４内のガス分
・空気分は圧縮排気され或いは一定加圧圧縮の下での容
量が計られることになる。

【００５３】即ち、この圧縮した状態を保持しても良い
が、本実施例では一旦この加圧を止めることで、射出駆
動体２をサックバックさせ、金型６が開いて成形品を排
出し、再び金型６が閉じ射出可能状態となったとき、充
填駆動装置５Ａを作動させ溶融樹脂４を射出するが、こ
のとき、既に圧縮により射出駆動体２が前進した位置を
一定ストロークの初点位置とする補正を行う。即ち、射
出駆動体２の後方の駆動ロッドに設けた圧縮位置移動検
査部13によりこのロッドの圧縮移動量や移動位置を検知
し、これによりこの補正位置をストローク始動基準（移
動開始位置Ｐ）とし、この移動開始位置Ｐから常に一定
ストローク充填駆動装置５Ａにより射出駆動体２を前進
駆動するように制御する。

【００５４】本実施例では、実際の充填駆動装置５Ａの
射出ストロークが、基準ストロークに補正ストローク量
を加えたものとなる。即ち、移動開始位置Ｐからは常に
一定ストロークではあるが、サックバックした位置から
説明すれば、移動開始位置Ｐまで補正ストロークさせた
上で一定ストローク駆動制御することになる。従って、
本実施例では充填駆動装置５Ａの実際のストローク長
は、成形ショット毎に前記圧縮検査によって逐次調整可
変することになる。

【００５５】また、あくまで充填駆動装置５Ａは常に一
定ストロークとし、補正ストローク量分は保圧駆動装置
５Ｂの圧縮時の液量検知などによって再び同じ圧縮スト
ローク分（補正ストローク分）だけ保圧駆動装置５Ｂに
よって同時駆動するようにしても良い。

【００５６】これにより、常に一旦計量した溶融樹脂４
の圧縮を行い、この圧縮により得た位置（移動開始位置
Ｐ）を基準に所定ストローク前進させる射出制御を行う
ことになるから、ガス分や空気を含んだ溶融樹脂３であ
っても、常に一定圧縮化での容量を一定ストロークの押
し出しにより射出できることになり、実際に金型４内へ
射出される樹脂量が成形ショット毎一定となりこれまで
に比べて飛躍的に精度の高い計量射出が実現される。

【００５７】即ち、従来においては、たとえ射出シリン
ダ前方への送り込み計量が正確であっても射出圧を加え
て押し出し射出した実際の樹脂量にばらつきがあり、現
実精度の高い計量射出が行われなかったが、本実施例に
よれば、本発明のアイデアと合わせて更に飛躍的に計量
精度が向上することとなる。

【００５８】しかも、この一旦溶融樹脂４を加圧圧縮す
る制御を保圧駆動装置５Ｂにより行うから、一定ストロ
ーク制御を行う充填駆動装置５Ａの制御に何ら支障を起
たすことなく、簡単に行い得ることとなる。

【００５９】

【発明の効果】本発明は上述のように構成したから、例
えば多数個取り（複数キャビティ）にした場合、射出圧
力・射出速度・射出時間等の射出条件の制御が複数のキ
ャビティに均等に及ばないことが防止でき、また、一個
取り（単キャビティ）においても、分岐したランナーを
介して複数のゲート部から一つのキャビティに注入する
場合、成形品の部分々の肉厚・幅、或いは長さ（ゲート
部からの距離）の違い（各ゲート部の位置の違い）によ
って、夫々充填時間・圧力・流動樹脂の粘度の違いによ
る変形，反りが発生することも抑制でき、（特に大きな
成形品の場合における反りや変形を防止でき、）また、
複数のゲート部から流入する流入樹脂がキャビティ内の
流入障壁部の裏側へ回り込むようにして充填されるキャ
ビティ構造の場合、ウェールドが生じにくくなるなど、
精度の高い高品質の成形品を量産できる画期的な射出成
形機となる。

【００６０】また、金型製作上、ランナーの考え方が不
要となりキャビティ配置などの構造上の自由度が広がる
こととなる。

【００６１】また、請求項３記載の発明は、一層前記効
果が発揮され、また、分岐ランナーによる材料の無駄も
少なくなる射出成形機となる。

【００６２】また、請求項４記載の発明は、一層精度の
高い制御が可能となり、前記効果が一層発揮される極め
て実用性に秀れた射出成形機となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例の概略構成説明斜視図である。

【図２】本実施例の要部の概略構成説明断面図である。

【図３】本実施例の別例１を示す概略構成説明断面図で
ある。

【図４】本実施例の別例２を示す概略構成説明断面図で
ある。

【符号の説明】

１射出シリンダ２射出駆動体３供給部４溶融樹脂５駆動装置６金型７キャビティ８ゲート部９ランナー 10 供給スクリュー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者林佳秀東京都大田区久が原２丁目11番14号三共化成株式会社内 (72)発明者中沢修東京都大田区久が原２丁目11番14号三共化成株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】射出シリンダ内の射出スクリュー若しく
は射出プランジャなどの射出駆動体の前部に溶融樹脂を
送り込み、この前部に送り込んだ溶融樹脂により後方へ
後退した射出駆動体を駆動装置により前方へ押し出し
て、前記溶融樹脂を射出シリンダ前端から金型内のキャ
ビティへ射出充填すると共に、更にこの射出駆動体を前
方へ加圧してキャビティ内へ送り込んだ樹脂を保圧し得
るように構成した射出成形機において、前記射出シリン
ダを複数設け、この各射出シリンダ内に配する前記射出
駆動体を駆動制御する前記駆動装置を各射出駆動体毎に
設け、各射出シリンダの前端から射出される溶融樹脂の
射出圧や射出速度などの射出条件が夫々異なるように各
駆動装置を駆動制御し得るように構成したことを特徴と
する射出成形機。
【請求項２】射出シリンダ内の射出スクリュー若しく
は射出プランジャなどの射出駆動体の前部に溶融樹脂を
送り込み、この前部に送り込んだ溶融樹脂により後方へ
後退した射出駆動体を駆動装置により前方へ押し出し
て、前記溶融樹脂を射出シリンダ前端から金型内のキャ
ビティへ射出充填すると共に、更にこの射出駆動体を前
方へ加圧してキャビティ内へ送り込んだ樹脂を保圧し得
るように構成した射出成形機において、前記射出シリン
ダを複数設け、この各射出シリンダ内に配する前記射出
駆動体を駆動制御する前記駆動装置を各射出駆動体毎に
設け、各射出シリンダの前端から射出される溶融樹脂
が、前記金型内の夫々別のキャビティ内へ又は同じキャ
ビティの肉厚・幅・長さなどの形状の違いや注入口とな
る一か所のゲートからではそのゲートからの距離の違い
によって最適な射出条件が違う位置に夫々設けたゲート
部からキャビティ内へ射出充填されるように構成し、前
記キャビティの違い又は前記ゲート部の位置の違いに応
じて最適な射出条件で夫々射出されるように各駆動装置
を夫々個別に駆動制御し得るように構成したことを特徴
とする射出成形機。
【請求項３】前記各射出シリンダ前端から射出される
前記溶融樹脂を、分岐するランナーを介して複数のゲー
ト部からキャビティ内へ射出充填せず、前記射出シリン
ダの数だけ前記ゲート部を設け、この各射出シリンダか
ら夫々分岐しないランナーを介して一の射出シリンダに
対応する一のゲート部からキャビティ内へ射出充填する
ように構成したことを特徴とする請求項１，２のいずれ
か１項に記載の射出成形機。
【請求項４】前記射出シリンダ内に射出駆動体を配設
し、この射出シリンダの前部に供給スクリューを配設し
た供給部を設け、この供給スクリューを回転させること
で供給部から射出シリンダ内の前部に溶融樹脂を送り込
み、この射出シリンダの前部に送り込んだ溶融樹脂によ
り後退した射出駆動体をこの射出駆動体毎に設けた前記
駆動装置を駆動制御して前方へ押し出して、射出シリン
ダの前端から溶融樹脂を射出するように構成したことを
特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の射出成
形機。