JPH099734A - 甘しょ挿苗機における給苗装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】甘しょ苗の分送機構への供給から植付けまで完
全自動化した給苗装置を備える甘しょ挿苗機を提供す
る。 【構成】クランク１４の出力軸２１により引きロッド３
４、引きロッド支持部材３５、苗容器駆動軸３６及び揺
動片３７、３７が揺動して苗容器６８を一定間隔で移動
する。植付機構１８の挿苗杆６３が第２スウィング板５
０を揺動して、駆動ロッド４９、第１スウィング板４
８、第２回転ロッド４３及び押込み杆４５を介して押込
み板４７を下降させて苗容器６８から甘しょ苗Ｓを押し
出す。そして、押し出した甘しょ苗Ｓを苗容器６８から
分送機構１６の苗保持皿６０に供給し、苗保持皿６０を
搬送して甘しょ苗Ｓを挿苗杆６３により畝に植え付け
る。そして、従来の作業者が一本一本苗保持皿６０にセ
ットすることに比較して植え付け作業が楽くになり、且
つ苗の移植を自動化して効率が良くなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、甘しょ苗を移植する甘
しょ挿苗機に関し、さらに詳細には挿苗機の分送機構に
甘しょ苗を供給する給苗装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】甘しょは、種いもを苗床に伏せ込み芽を
出させ、これを育てて茎が３０数センチほどに伸びたら
切り取って苗とする。移植するときは、苗の切り取った
端を下に向け茎の基部を地中に挿すように埋める。

【０００３】この苗を機械植えする従来の甘しょ挿苗機
は、挿苗杆を上下に往復動して甘しょ苗を植付ける植付
機構と、この植付機構に甘しょ苗を供給する分送機構を
有し、挿苗機に積んだ苗を分送機構に補給しながら植付
け作業を行う。

【０００４】ところで甘しょ苗は細長いうえに腰がなく
葉も付いて曲がりやすいため、機械植えの場合、分送機
構への甘しょ苗の補給が難しい。このため、従来の挿苗
機では、作業者が手で甘しょ苗を１本づつ分送機構に供
給し、これを挿苗杆が受け取って植え付ける構造であっ
た（例えば特開平４−３６１０７号公報）。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし大量の甘しょ苗
をこのように手作業で分送機構に供給すること自体重労
働であるばかりでなく、作業者はこの作業を挿苗機を操
縦しながら行うので疲労しやすく、その改善がのぞまれ
ていた。

【０００６】本発明はこのような問題点を解決するため
に甘しょ苗を詰め込んだ苗容器を給苗装置に装填して、
甘しょ苗の分送機構への供給から植付けまで完全自動化
した給苗装置を備える甘しょ挿苗機を提供することを目
的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明は、挿苗杆を上下に往復動して甘しょ苗を植付け
る植付機構と、この植付機構に甘しょ苗を供給する分送
機構を備える甘しょ挿苗機において、分送機構の上方に
苗容器搬送路を設置し、この苗容器搬送路に、多数の平
行な苗挟持板の間に甘しょ苗を１本づつ挟持する無底の
苗容器を水平にセットして、苗容器を分送機構の上方に
のぞませ、苗容器の上方には苗挟持板間を貫通する昇降
自在な苗押込み板を設置し、この苗押込み板を挿苗杆に
連動して下降し、苗押込み板の下端で苗容器の甘しょ苗
を苗挟持板間より押し出して分送機構に供給する苗押込
み板昇降機構と、苗押込み板の上昇に伴い、苗容器搬送
路上の苗容器を隣接する苗挟持板の設置間隔だけ間欠的
に移送する苗容器横送り機構と、を備えることを特徴と
する。

【０００８】

【作用】本発明の甘しょ挿苗機により甘しょ苗を植え付
けるには、初めに、甘しょ苗を詰め込んだ苗容器を苗容
器搬送路を装填する。

【０００９】そして、苗押込み板昇降機構により苗押込
み板を下降して苗容器の苗挟持板間を貫通し、苗押込み
板の下端により甘しょ苗を苗容器から押し出し分送機構
に供給する。さらにこの苗を分送機構より植付機構の挿
苗杆に供給し、挿苗杆が苗を挟持して下降し畝に植え付
ける。

【００１０】その後、苗押込み板は上昇し苗容器の上方
に抜け、苗容器は苗容器搬送路上を苗容器横送り機構に
より苗挟持板の設置間隔だけ間欠的に移動する。これに
より隣の甘しょ苗が苗押込み板の下方に位置し、再び苗
押込み板が下降してこの苗を分送機構に供給する。これ
を繰り返して苗容器の苗を順次全部取り出して移植す
る。

【００１１】

【実施例】本発明の第１実施例について図１乃至図８を
参照して説明する。

【００１２】図１の１０は本発明を実施した甘しょ挿苗
機である。甘しょ挿苗機１０の機体１１の後方にエンジ
ン１２を配設し、エンジン１２に連結して機体１１にミ
ッション１３を配設する。ミッション１３に伝達チェー
ンを介してクランク１４を連結し、クランク１４を機体
１１の先端に配設する。クランク１４は、間欠伝動機構
を備え、エンジン１２の動力を給苗装置１５に伝達す
る。

【００１３】１５は、給苗装置であり、分送機構１６に
甘しょ苗Ｓをセットする苗押込機構１７と、分送機構１
６から甘しょ苗Ｓを受取って植え付ける植付機構１８と
からなる。

【００１４】また機体１１の後部から後方にハンドル１
９を延出する。

【００１５】クランク１４の出力軸２１に出力スプロケ
ット２２を固定し、スプロケット２２にチェーン２３を
介して分送機構入力スプロケット２４を連結する。この
スプロケット２４を固定する横軸２５の他端にピニオン
２６を固着し、ピニオン２６にリングギヤ２７を常時歯
合する。リングギヤ２７には縦軸２８を固定し、縦軸２
８に苗押込部円盤２９と一対の分送機構駆動スプロケッ
ト３０、３０を固着する（図２参照）。

【００１６】次に、図３を参照して苗押込機構１７につ
いて説明する。

【００１７】苗押込機構１７は、断面がくの字に形成し
た一対の枠材３１、３１を平行に配設し、枠材３１の間
に複数の線棒を平行に配置した枠部３２を備える。枠材
３１のそれぞれに３個の突片３３を下方に垂設し、この
突片３３を機体１１に着脱自在に固着する。このため、
苗押込機構１７は甘しょ挿苗機１０から着脱自在であ
る。

【００１８】前記苗押込部円盤２９の周縁に１２０゜で
等間隔に３個の突部２９ａを設け、引きロッド３４の先
端の鉤型３４ａを突部２９ａに係合し、引きロッド３４
の他端を引きロッド支持部材３５に連結する。引きロッ
ド支持部材３５の一端に苗容器駆動軸３６を枢着し、苗
容器駆動軸３６に一対の揺動片３７、３７を揺動自在に
固着する（図２参照）。また、一対の揺動片３７、３７
に併設して停止片３８を枠材３１にそれぞれ固定する。

【００１９】枠材３１の上面には、一対の支持アーム３
９、３９と、支持板４０と、複数の横移動ローラ４１を
配設する。

【００２０】支持アーム３９、３９の先端に第１回転ロ
ッド４２と第２回転ロッド４３を軸継手４４により連結
し、第２回転ロッド４３に押込み杆４５を固着する。押
込み杆４５の先端にＵ字状の開口部を形成し、Ｕ字状の
先端を押込み板４７の中央部上端に配置する。そして、
開口部にピン軸４６を挿入し、ピン軸４６の両端を押込
み板４７の端部に固定する。

【００２１】そして、第１回転ロッド４２に第１スウィ
ング板４８の一端を固定し、第１スウィング板４８の他
端に駆動ロッド４９を連結する。駆動ロッド４９は下方
に向かって伸びて、駆動ロッド４９の先端に第２スウィ
ング板５０を連結する。第２スウィング板５０に軸５１
を固定し、機体に固定する軸受けにより軸５１を軸支し
て第２スウィング板５０を揺動自在に支持する（図４参
照）。

【００２２】また、第１スウィング板４８から上方に支
持棒５２を垂設し、支持棒５２の先端に引張りバネ５３
の一端を連結し、引張りバネ５３の他端を枠材３１に垂
設する支持棒５２に固定する。

【００２３】支持板４０は枠材３１に固着し、枠材３
１、３１の間を架設する板部４０ａを形成する。板部４
０ａに平行な補助板５４を押込み板４７が上下に移動可
能な間隔で併設し、カラー５５を介して補助板５４を板
部４０ａに固定する。また、板部４０ａと補助板５４に
は、上下２列にローラ５６を配設する。

【００２４】次に、図３及び図５を参照して分送機構１
６について説明する。

【００２５】縦軸２８に固着する一対の分送機構駆動ス
プロケット３０、３０の左側と下方にスプロケット５
７、５８をそれぞれ一対づつ備え、スプロケット３０、
スプロケット５７、スプロケット５８に無端チェン５９
を巻回する。無端チェン５９の周囲に多数の苗保持皿６
０を所定間隔で並列に装着する。苗保持皿６０は、底面
の根元側を除く左右に、甘しょ苗Ｓの茎葉部を保持する
翼片６１を斜め上向きに突設して樋状に形成すると共
に、底面の根元側に突出するクリップ６２を上向きに取
付ける。

【００２６】次に、図１を参照して植付機構１８につい
て説明する。

【００２７】挿苗杆６３の基部を機体１１に枢着し、挿
苗杆６３の先端から下向きに植付爪６４を備え、また、
挿苗杆６３の側部からフック６３ａを突設する（図３参
照）。植付爪６４には、植付爪６４を適宜開閉させる図
示しない爪開閉部を備える。

【００２８】また、クランク１４の出力軸２１に枢着す
るクランクアーム６５を連結ロット６６を介して挿苗杆
６３に連結する。

【００２９】また、機体１１に座席６７を固定して、座
席６７に近接して苗容器６８を積載する苗置き台６９を
機体１１に配設する。また、甘しょ苗Ｓが空になった苗
容器６８を集める空容器収納器７０を分送機構１６に連
設する。

【００３０】なお、第１実施例に使用する苗容器６８
は、横方向に複数の仕切り板７２を設けて、仕切り板７
２に甘しょ苗Ｓを保持する突起７３を複数形成する。ま
た、縦方向の両外側面に揺動片３７が係合する凹部７４
を一定高さで一直線に形成する（図６参照）。

【００３１】次に、この実施例の動作について説明す
る。

【００３２】苗容器６８を苗押込機構１７の枠部３２上
に装着し、エンジン１２からミッション１３を介して動
力をクランク１４に伝達する。そして、クランク１４の
間欠伝動機構により出力軸２１を間欠的に回転して分送
機構１６と苗押込機構１７と植付機構１８とを駆動す
る。

【００３３】先ず、分送機構１６と苗押込機構１７の駆
動について述べる。出力軸２１により出力スプロケット
２２及びチェーン２３を介して分送機構入力スプロケッ
ト２４を回転させる。この入力スプロケット２４により
横軸２５及び縦軸２８を介して無端チェン５９を間欠駆
動する（図２参照）。

【００３４】次に、苗押込機構１７の駆動について述べ
る。

【００３５】縦軸２８の回転により苗押込部円盤２９が
図２の矢印Ａ方向に回転して苗押込部円盤２９の突部２
９ａが引きロッド３４の鉤型３４ａに二つ、一つと接触
し、図示しないバネに抗して引きロッド３４を牽引す
る。これにより、引きロッド支持部材３５、苗容器駆動
軸３６及び揺動片３７、３７が同時に矢印Ｂ方向に揺動
する。この時、凹部７４に係合する矢印Ｂ方向に一定間
隔だけ移動する（図７参照）。また、苗容器６８の移動
により停止片３８が凹部７４から離脱して隣の凹部７４
に係合する。

【００３６】次に、突部２９ａが引きロッド３４の鉤型
３４ａに一つ、二つと接触して、図示しないバネにより
図２の矢印Ｃ方向に揺動片３７、３７が揺動する。そし
て、凹部７４から一旦離脱して隣の凹部７４に係合する
（図７の一点鎖線参照）。この時、停止片３８は凹部７
４に係合して苗容器６８の後戻りを阻止する。

【００３７】また、前記の苗容器６８の移動前に出力軸
２１の間欠回転によりクランクアーム６５が駆動して、
クランクアーム６５により連結ロット６６を介して挿苗
杆６３を上方に揺動させる（図８参照）。挿苗杆６３が
上死点付近に到達するとフック６３ａが第２スウィング
板５０に係合して、軸５１を支点として第２スウィング
板５０により駆動ロッド４９を下方に引き、引張りバネ
５３の付勢力に対抗して第１回転ロッド４２、第２回転
ロッド４３及び押込み杆４５を回転させる（図３、図４
参照）。そして、押込み板４７を下降して苗容器６８か
ら甘しょ苗Ｓを押し出し、苗保持皿６０のクリップ６２
に押し込んで甘しょ苗Ｓを苗保持皿６０にセットする
（図５参照）。

【００３８】次に、挿苗杆６３が下方に揺動し始める
と、挿苗杆６３のフック６３ａと第２スウィング板５０
との係合が外れて引張りバネ５３の付勢力により押込み
板４７が素早く上方に移動して（図５一点鎖線参照）、
その後前記のように揺動片３７、３７により苗容器６８
が移動する。

【００３９】このように、苗押込機構１７の押込み板４
７により苗容器６８から分送機構１６の苗保持皿６０に
甘しょ苗Ｓをセットし、無端チェーン１３の回動により
植付機構１８に搬送する。そして、苗取出し位置で挿苗
杆６３の植付爪２０により甘しょ苗Ｓを挟持して、挿苗
杆６３が下方に旋回して畝に植え付ける。以下同様の動
作を順次繰り返して自動的に甘しょ苗Ｓを植え付けるこ
とができる（図８の一点鎖線参照）。

【００４０】以上のようにこの実施例では、従来の作業
者が甘しょ苗Ｓを一本一本苗保持皿６０にセットするこ
とに比較して植え付け作業が楽くになり、且つ苗の移植
を自動化して効率が良くなる。

【００４１】ところで畑が傾斜地であるため甘しょ挿苗
機１０により植付け作業をすることが困難であり、また
甘しょ苗Ｓの形状が大きい或いは曲がっているために苗
容器に納まらない場合は、給苗装置１５により植付け作
業を行うことができない。

【００４２】このようなとき、第２実施例の甘しょ挿苗
機の給苗装置１５は、苗押込機構１７の突片３３…と機
体１１との結合を外すことにより、給苗装置１５を挿苗
機１０から取り外すことができる。このため、作業者は
分送機構１６の苗保持皿６０に甘しょ苗Ｓを一本ずつ手
でセットすることができる。セットされた甘しょ苗Ｓ
は、前記と同様に挿苗杆６３の植付爪２０により苗保持
皿６０から甘しょ苗Ｓを植付ける。

【００４３】以上のように自動化した甘しょ挿苗機１０
の給苗装置１５では甘しょ苗Ｓの植え付けが困難な場合
には、作業者が手作業で一本一本苗保持皿６０にセット
するようにしてもよい。

【００４４】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明では、甘し
ょ苗を手により一本一本分送機構に供給することがな
く、自動的に苗容器から分送機構を介して植付け機構に
供給し甘しょ苗を植え付ける。このため、従来の作業者
が一本一本苗保持皿にセットすることに比較して甘しょ
苗の植え付け作業が楽くになり、且つ甘しょ苗の移植を
自動化して甘しょ苗の植え付け作業の効率が著しく向上
する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例の給苗装置を備える甘しょ挿苗
機の全体側面図である。

【図２】クランクから分送機構駆動スプロケット及び揺
動片への動力伝達の概略図である。

【図３】給苗装置の苗押込部を示す斜視図である。

【図４】駆動ロッドと連結第２スウィング板の動作を示
す図である。

【図５】押込み板が苗を苗保持皿に押込む動作を示す図
である。

【図６】苗容器を示す斜視図である。

【図７】揺動片により苗容器を移動する動作を示す図で
ある。

【図８】挿苗杆の植付け動作を示す図である。

【符号の説明】

Ｓ 甘しょ苗 １０ 甘しょ挿苗機 １１ 機体 １５ 給苗装置 １６ 分送機構 １７ 苗押込機構 １８ 植付機構 ３４ 引きロッド ３６ 苗容器駆動軸 ３７ 揺動片 ４２ 第１回転ロッド ４３ 第２回転ロッド ４７ 押込み板 ４８ 第１スウィング板 ４９ 駆動ロッド ５０ 第２スウィング板 ５３ 引張りバネ ５９ 無端チェン ６０ 苗保持皿

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 貝沼 秀夫 埼玉県大宮市日進町１丁目40番地２生物系 特定産業技術研究推進機構内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 挿苗杆を上下に往復動して甘しょ苗を植
   付ける植付機構と、この植付機構に甘しょ苗を供給する
   分送機構を備える甘しょ挿苗機において、 分送機構の上方に苗容器搬送路を設置し、 この苗容器搬送路に、多数の平行な苗挟持板の間に甘し
   ょ苗を１本づつ挟持する無底の苗容器を水平にセットし
   て、苗容器を分送機構の上方にのぞませ、 苗容器の上方には苗挟持板間を貫通する昇降自在な苗押
   込み板を設置し、 この苗押込み板を挿苗杆に連動して下降し、苗押込み板
   の下端で苗容器の甘しょ苗を苗挟持板間より押し出して
   分送機構に供給する苗押込み板昇降機構と、 苗押込み板の上昇に伴い、苗容器搬送路上の苗容器を隣
   接する苗挟持板の設置間隔だけ間欠的に移送する苗容器
   横送り機構と、 を備えることを特徴とする甘しょ挿苗機における給苗装
   置。