JPH0995586A - 水溶性整髪用樹脂組成物およびその製法 - Google Patents

水溶性整髪用樹脂組成物およびその製法

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JPH0995586A
JPH0995586A JP18968396A JP18968396A JPH0995586A JP H0995586 A JPH0995586 A JP H0995586A JP 18968396 A JP18968396 A JP 18968396A JP 18968396 A JP18968396 A JP 18968396A JP H0995586 A JPH0995586 A JP H0995586A
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weight
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hair styling
carbon atoms
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Application number
JP18968396A
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English (en)
Inventor
Naohiro Okuda
尚宏 奥田
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Osaka Organic Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Osaka Organic Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 煩雑な操作を必要とせずに、安全性が高く、
水溶性にすぐれ、毛髪用整髪剤として好適に使用するこ
とができる水溶性整髪用樹脂組成物およびその製法を提
供すること。 【解決手段】 一般式(I): 【化20】 (式中、R1およびR2はそれぞれ独立して炭素数1〜4
のアルキル基、R3は炭素数1〜4のアルキレン基、R4
は水素原子またはメチル基を示す)で表わされるベタイ
ンモノマー35〜90重量%および一般式(II): 【化21】 (式中、R5は水素原子またはメチル基、R6は飽和もし
くは不飽和の炭素数1〜18のアルキル基またはシクロ
アルキル基を示す)で表わされる(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル10〜65重量%を含有してなる共重合
成分を共重合させてなる水溶性整髪用樹脂組成物および
その製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水溶性整髪用樹脂
組成物およびその製法に関する。さらに詳しくは、たと
えばすぐれた整髪効果を呈する整髪剤の製造に有用な水
溶性整髪用樹脂組成物およびその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、整髪剤などの化粧料用の樹脂とし
ては、たとえば両性イオン性樹脂が広く用いられてい
る。かかる両性イオン性樹脂の両性イオン性とは、ベタ
イン構造を意味し、該両性イオン性樹脂とは、ベタイン
構造、すなわち1分子中に陽イオンとして四級アンモニ
ウムとカルボン酸の陰イオンとを有する分子内塩構造を
有するモノマーからえられた樹脂である。
【0003】両性イオン樹脂としては、特公昭61−5
7803号公報に示されるようなN−メタクリロイルオ
キシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−
メチルカルボキシベタイン−メタクリル酸アルキルエス
テル共重合体が知られている。この共重合体は、毛髪に
対する親和性が強く、フィルムに柔軟性があるにもかか
わらず整髪効果がすぐれ、フレーキング現象を起こさ
ず、エアゾール化整髪剤に好適に使用することができる
ものであるといわれている。
【0004】しかしながら、前記共重合体は、N,N−
ジメチルアミノエチルメタクリレートと他のアルキルメ
タクリレートとの共重合によってえられた樹脂をハロゲ
ン化酢酸のナトリウム塩またはカリウム塩で変性させ、
生成する沈殿物を濾過し、必要に応じて、さらにイオン
交換樹脂で脱塩処理を行なうという、多くの反応工程を
経てつくられるため、着色や臭い着きが生じるという欠
点があった。
【0005】また、その他の両性イオン性モノマーの製
造法として、たとえばジメチルアミノエチルメタクリレ
ートなどのアミン系モノマーとβ−プロピオラクトンな
どの環状ラクトンとをメチルエチルケトンなどの溶媒の
存在下で反応させる方法が知られている(米国特許第
3,832,185号明細書に記載のEXAMPLE1
など)。
【0006】しかしながら、かかる製造法では、発ガン
性物質であるβ−プロピオラクトンが出発物質であり、
また合成のための操作が煩雑であるため実用化されてい
ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、煩雑な操作を必要とせ
ずに、安全性が高く、水溶性にすぐれ、毛髪用整髪剤と
して好適に使用することができる水溶性整髪用樹脂組成
物およびその製法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式
(I):
【0009】
【化7】
【0010】(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して
炭素数1〜4のアルキル基、R3は炭素数1〜4のアル
キレン基、R4は水素原子またはメチル基を示す)で表
わされるベタインモノマー35〜90重量%および一般
式(II):
【0011】
【化8】
【0012】(式中、R5は水素原子またはメチル基、
6は飽和もしくは不飽和の炭素数1〜18のアルキル
基またはシクロアルキル基を示す)で表わされる(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル10〜65重量%を含
有してなる共重合成分を共重合させてなる水溶性整髪用
樹脂組成物およびその製法に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の水溶性整髪用樹脂組成物
は、一般式(I):
【0014】
【化9】
【0015】(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して
炭素数1〜4のアルキル基、R3は炭素数1〜4のアル
キレン基、R4は水素原子またはメチル基を示す)で表
わされるベタインモノマー35〜90重量%および一般
式(II):
【0016】
【化10】
【0017】(式中、R5は水素原子またはメチル基、
6は飽和もしくは不飽和の炭素数1〜18のアルキル
基またはシクロアルキル基を示す)で表わされる(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル10〜65重量%を含
有してなる共重合成分を共重合させることによってえら
れる。
【0018】本発明の水溶性整髪用樹脂組成物は、前記
ベタインモノマーおよび前記(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステルを含有してなる共重合成分が共重合した両性
イオン性樹脂の組成物であるので、整髪剤として好適に
使用することができる。
【0019】本発明に用いられる一般式(I):
【0020】
【化11】
【0021】(式中、R1、R2、R3およびR4は前記と
同じ)で表わされるベタインモノマーは、分子内塩構造
(ベタイン構造)を有する両性イオン性のモノマーであ
るので、えられる水溶性整髪用樹脂組成物に水溶性を付
与するだけでなく、えられる水溶性整髪用樹脂組成物を
毛髪に塗布したときに、適度な滑り感を付与することが
できる。
【0022】かかるベタインモノマーの原料としては、
たとえば一般式(III):
【0023】
【化12】
【0024】(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して
炭素数1〜4のアルキル基、R3は炭素数1〜4のアル
キレン基、R4は水素原子またはメチル基を示す)で表
わされる三級アミン含有エステルモノマー(A)および
一般式(IV): X−CH2−COOM (IV) (式中、Xはハロゲン原子、Mは水素原子またはアルカ
リ金属原子を示す)で表わされるハロ酢酸化合物(B)
が用いられ、本発明に用いられるベタインモノマーは、
たとえばこれらの原料を非水系溶媒中で加熱して反応さ
せることによって製造することができる。
【0025】前記一般式(III)で表わされる三級アミ
ン含有エステルモノマー(A)の代表例としては、たと
えばN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレ
ートなどがあげられる。
【0026】本発明においては、前記三級アミン含有エ
ステルモノマー(A)のなかでも、工業的に安価に入手
することができるという点から、N,N−ジメチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレートがとくに好ましく用いら
れる。
【0027】前記ハロ酢酸化合物(B)を表わす一般式
(IV)において、Xで示されるハロゲン原子としては、
たとえば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などがあげら
れる。またMで示されるアルカリ金属原子としては、た
とえばナトリウム、カリウムなどがあげられる。
【0028】前記一般式(IV)で表わされるハロ酢酸化
合物(B)の代表例としては、たとえばモノクロロ酢
酸;モノクロロ酢酸カリウム、モノクロロ酢酸ナトリウ
ム、モノブロモ酢酸カリウム、モノブロモ酢酸ナトリウ
ムなどのハロ酢酸のアルカリ金属塩などがあげられる。
【0029】なお、前記ハロ酢酸化合物(B)は、4級
アンモニウム塩であってもよい。
【0030】本発明においては、前記ハロ酢酸化合物
(B)のなかでも、工業的に安価に入手することができ
るという点から、モノクロロ酢酸、モノクロロ酢酸ナト
リウムおよびモノクロロ酢酸カリウムがとくに好ましく
用いられる。
【0031】なお、前記ハロ酢酸化合物(B)として用
いられるハロ酢酸のアルカリ金属塩は、あらかじめ調製
された高純度の乾燥粉末であってもよいが、たとえば等
当量程度のハロ酢酸と、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウムなどのアルカリ金属水酸化物または炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩とを溶媒中
で反応させて調製することもできる。
【0032】かかるハロ酢酸化合物(B)として用いら
れるハロ酢酸のアルカリ金属塩の調製に用いられる溶媒
にはとくに限定がないが、たとえばメタノール、エタノ
ール、n−プロパノール、イソプロパノールなどのアル
コール系溶媒が、ハロ酢酸およびアルカリ金属水酸化物
またはアルカリ金属炭酸塩を適切に溶解または分散させ
ることができるという点からとくに好ましく用いられ
る。
【0033】また、調製したハロ酢酸化合物(B)とし
て用いられるハロ酢酸のアルカリ金属塩は、濃縮、濾過
などの処理により、乾燥した結晶体またはたとえば30
重量%程度以下の溶媒を含有した湿った結晶体として三
級アミン含有エステルモノマー(A)との反応に用いる
ことができる。
【0034】なお、ハロ酢酸化合物(B)としてハロ酢
酸を用いるばあいには、反応系内でハロ酢酸のアルカリ
金属塩を発生させるために、前記アルカリ金属水酸化物
またはアルカリ金属炭酸塩を併用することが好ましい。
ハロ酢酸とアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属炭
酸塩とを併用するばあいには、ハロ酢酸を効率よく反応
で消費させるために、ハロ酢酸1当量に対してアルカリ
金属水酸化物またはアルカリ金属炭酸塩0.9〜1.3
当量、なかんづく0.95〜1.2当量用いることが好
ましい。
【0035】前記三級アミン含有エステルモノマー
(A)およびハロ酢酸化合物(B)のなかから、目的と
するベタインモノマーを与える化合物をそれぞれ選択
し、両化合物の割合を調整したのち、これらを加熱して
反応させることにより、両性イオン性のベタインモノマ
ーがえられる。
【0036】本発明の製法における三級アミン含有エス
テルモノマー(A)とハロ酢酸化合物(B)との割合
は、未反応の三級アミン含有エステルモノマー(A)が
過剰に残存し、反応生成物が目的とするベタインモノマ
ーと三級アミン含有エステルモノマー(A)との混合物
となるおそれをなくすためには、三級アミン含有エステ
ルモノマー(A)1モルに対してハロ酢酸化合物(B)
が0.7モル以上、好ましくは0.8モル以上、さらに
好ましくは0.95モル以上となるように調整すること
が望ましい。また、未反応のハロ酢酸化合物(B)が不
純物として残存し、反応生成物が目的とするベタインモ
ノマーとハロ酢酸化合物(B)との混合物となるおそれ
をなくすためには、三級アミン含有エステルモノマー
(A)1モルに対してハロ酢酸化合物(B)が1.3モ
ル以下、好ましくは1.2モル以下、さらに好ましくは
1.1モル以下となるように調整することが望ましい。
【0037】前記三級アミン含有エステルモノマー
(A)とハロ酢酸化合物(B)との反応は、水によって
原料が加水分解されるおそれをなくし、反応終了後に、
副生したアルカリ金属ハロゲン化物などの無機塩を除去
しやすくするために、非水系溶媒中で行なう。両化合物
の反応が非水系溶媒中で行なわれるのは、反応の進行と
ともに、生成したベタインモノマーおよび副生したアル
カリ金属ハロゲン化物によって反応系が粘稠な液体とな
り、撹拌が滞って重合反応などの好ましくない反応が起
こるおそれをなくすためである。
【0038】前記非水系溶媒の代表例としては、たとえ
ばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプ
ロパノールなどのアルコール;ジオキソラン、ジオキサ
ン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロ
ソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチ
レングリコールジメチルエーテルなどのエーテル;ジメ
チルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどがあげら
れる。
【0039】本発明においては、前記非水系溶媒のなか
では、反応温度を65℃以上にして、ベタインモノマー
の収率を向上させるためには、沸点が65℃よりも高い
ものが好ましい。また、副生したアルカリ金属ハロゲン
化物の溶解度が比較的低く、生成したベタインモノマー
の溶解度が高く、生成したベタインモノマーを単離する
ための濃度の調節が容易であり、さらにえられたベタイ
ンモノマーからなる樹脂を化粧料などに使用することを
考慮すると、エタノールおよびイソプロパノールが好ま
しい。さらに、反応中に原料である三級アミン含有エス
テルモノマー(A)ときわめて反応しがたいことを考慮
すると、イソプロパノールがとくに好ましい。
【0040】三級アミン含有エステルモノマー(A)と
ハロ酢酸化合物(B)との反応に用いられる非水系溶媒
の使用量は、反応系の粘度などを考慮すると、三級アミ
ン含有エステルモノマー(A)とハロ酢酸化合物(B)
との合計100重量部に対して5〜200重量部、好ま
しくは10〜100重量部とすることが望ましい。
【0041】前記三級アミン含有エステルモノマー
(A)とハロ酢酸化合物(B)との反応は、たとえば大
気雰囲気中で行ない、ばあいによっては、反応液中にエ
アーを吹き込みながら、これらの反応懸濁液ないし反応
溶液が滞ることのないように適宜撹拌し、加熱しながら
行なわれる。
【0042】前記反応懸濁液ないし反応溶液の液温は、
用いる三級アミン含有エステルモノマー(A)およびハ
ロ酢酸化合物(B)の種類や、非水系溶媒の種類などに
よって異なる。
【0043】一般に、三級アミンとハロ酢酸化合物
(B)との反応は、高温になるにしたがって速やかに進
行する傾向がある。
【0044】しかしながら、本発明に用いられる三級ア
ミン含有エステルモノマー(A)は、温度が高くなるに
したがって重合しやすくなり、また非水系溶媒としてア
ルコールなどが用いられるばあい、三級アミン含有エス
テルモノマー(A)が溶媒によって分解されるおそれが
ある。
【0045】したがって、前記液温は、三級アミン含有
エステルモノマー(A)とハロ酢酸化合物(B)との反
応速度を、三級アミン含有エステルモノマー(A)の分
解反応の速度よりも高くし、三級アミン含有エステルモ
ノマー(A)の分解反応を生じにくくし、えられるベタ
インモノマーの収率を向上させるために、65℃以上、
好ましくは70℃以上となるように加熱することが望ま
しく、また、えられるベタインモノマーの重合を防止
し、ベタインモノマーの収率を向上させるために、10
0℃以下、好ましくは85℃以下となるように加熱する
ことが望ましい。また、このときの反応時間は、通常4
〜16時間程度、好ましくは7〜13時間程度であるこ
とが望ましい。
【0046】反応の完結は、液体クロマトグラフィー、
ガスクロマトグラフィーなどにより、三級アミン含有エ
ステルモノマー(A)の減少量を追跡することによって
確認することができる。さらに、反応中に三級アミン含
有エステルモノマー(A)が重合反応を起こすおそれを
なくすために、たとえばハイドロキノン、4−メトキシ
フェノールなどの重合防止剤を適宜反応系に添加しても
よい。
【0047】本発明の製法によれば、三級アミン含有エ
ステルモノマー(A)とハロ酢酸化合物(B)との反応
の際に、目的とするベタインモノマーのほかに、無機塩
であるアルカリ金属ハロゲン化物が副生する。かかるア
ルカリ金属ハロゲン化物は、反応の進行とともに、反応
系から析出するので、反応終了後に反応系を冷却し、た
とえば濾過、遠心分離などを行なうことによって容易に
除去することができる。なお、濾過、遠心分離などの操
作をより容易に行なうために、たとえば反応系を溶媒で
適宜希釈してもよい。かかる希釈に用いる溶媒にはとく
に限定がなく、たとえば前記反応時に用いられる非水系
溶媒などがあげられるが、副生したアルカリ金属ハロゲ
ン化物の溶解度がきわめて低く、さらにえられたベタイ
ンモノマーからなる樹脂を化粧料などに使用することを
考慮すると、イソプロパノールがとくに好ましく用いら
れる。
【0048】なお、本発明において、前記ベタインモノ
マーを、溶媒を含んだ溶液の状態でえたばあいには、か
かる溶液の状態のままで水溶性整髪用樹脂組成物をうる
ための共重合反応に供してもよく、また溶液を濃縮して
溶媒を除去したのち、共重合反応に供してもよい。
【0049】反応溶液または濾液の濃縮は、通常、大気
中で常圧または減圧下で濃縮器内で行なわれる。このと
きの濃縮器内の温度は、濃縮の進行とともに濃縮系の粘
度が上昇し、ついには濃縮系から結晶が析出し、撹拌が
滞ることのないようにするためには、40℃以上、なか
んづく50℃以上とすることが好ましく、また熱重合反
応が起こりがたくするためには、90℃以下、なかんづ
く85℃以下とすることが好ましい。
【0050】かくして三級アミン含有エステルモノマー
(A)とハロ酢酸化合物(B)とを加熱して反応させる
ことにより、一般式(I):
【0051】
【化13】
【0052】(式中、R1、R2、R3およびR4は前記と
同じ)で表わされるベタインモノマーがえられる。かか
るベタインモノマーの構造は、1H−核磁気共鳴スペク
トル(以下、1H−NMRという)、13C−核磁気共鳴
スペクトル(以下、13C−NMRという)、融点、元素
分析などによって確認することができる。
【0053】なお、生成したベタインモノマーは、ばあ
いによっては、一水和物の構造を有することがあるもの
と考えられる。
【0054】また、本発明においては、前記濾過や遠心
分離などを行なって副生したアルカリ金属ハロゲン化物
を除去し、ベタインモノマーを精製しておくだけで、前
記重合反応時に高分子溶液からのアルカリ金属ハロゲン
化物(無機塩)の煩雑な除去操作を行なわなくてもよ
い。
【0055】このように、前記製法によれば、目的に応
じて適宜選択した三級アミン含有エステルモノマー
(A)およびハロ酢酸化合物(B)を加熱して反応させ
るだけで、所望のベタインモノマーをきわめて容易に効
率よく製造することができる。
【0056】かくしてえられたベタインモノマーには、
副生した無機塩が0.1〜1.5重量%程度含有される
ことがある。このように副生した無機塩は、必要によ
り、たとえばイオン交換樹脂によって除去することがで
きる。
【0057】イオン交換樹脂によって処理されるベタイ
ンモノマー溶液としては、反応終了後に濾過などの処理
によってあらかじめ脱塩された反応液を用いることがで
きる。また、その脱塩された反応液を濃縮することによ
ってえられるベタインモノマーの濃縮液または濃縮液か
らえられる結晶を再度、溶媒に溶解させたものを用いる
ことにより、濃縮液または結晶中の不溶成分が少量析出
することがある。この不溶成分とは、副生した無機塩な
どの不純物であるので、不溶成分が析出したばあいに
は、再度の濾過処理を行なうことによって不純物が除去
されて、えられるベタインモノマーの純度が高くなり、
使用するイオン交換樹脂の量を少なくすることができる
ので好ましい。
【0058】このとき、ベタインモノマーを溶解させる
ために用いられる溶媒としては、とくに限定がないが、
脱塩処理後にベタインモノマーを単離するばあいには、
容易に除去させうるものが好ましい。かかる観点から、
前記溶媒としては、反応時に用いられる非水系溶媒やそ
れらの混合溶媒が好ましく、なかでもイソプロパノール
がとくに好ましい。
【0059】前記イオン交換樹脂としては、一般に用い
られているカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを併
用したもの、なかでも非水系溶媒用のイオン交換樹脂を
好適に用いることができる。
【0060】前記ベタインモノマーの使用量は、えられ
る水溶性整髪用樹脂組成物のフィルムの水溶性を向上さ
せ、洗髪の際、洗浄を容易にするために、共重合成分中
35重量%以上、好ましくは40重量%以上に調整さ
れ、また、吸湿性を小さくさせ、えられる水溶性整髪用
樹脂組成物を毛髪へ塗布したときにブロッキング感が生
じないようにし、整髪力も向上させるために、90重量
%以下、好ましくは80重量%以下に調整される。
【0061】本発明に用いられる一般式(II):
【0062】
【化14】
【0063】(式中、R5およびR6は前記と同じ)で表
わされる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして
は、たとえばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、
イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ト
リデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)ア
クリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなど
があげられるが、本発明に用いられる(メタ)アクリル
酸アルキルエステルは、これらの例示に限定されるもの
ではない。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルは単独で、また2種以上を混合して用いられる。
【0064】前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル
の使用量は、えられる水溶性整髪用樹脂組成物の耐水性
を向上させるために、共重合成分中10重量%以上、好
ましくは20重量%以上に調整され、また、えられる水
溶性整髪用樹脂組成物に所望の水溶性を付与し、えられ
る水溶性整髪用樹脂組成物を毛髪に付着することによっ
て毛髪表面に形成されたフィルムの除去を容易にするた
めに、共重合成分中65重量%以下、好ましくは60重
量%以下に調整される。
【0065】また共重合成分としては、えられる水溶性
整髪用樹脂組成物を毛髪に付着させることによって毛髪
表面に形成されるフィルムに適度の柔軟性または適度の
硬度を付与するために、必要に応じて、他の重合性ビニ
ル単量体を用いてもよい。
【0066】他の重合性ビニル単量体としては、たとえ
ばアクリロニトリル、ダイアセトンアクリルアミド、ア
クリルアミド、スチレン、クロルスチレン、ビニルトル
エン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレ
ングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチ
レングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレン
グリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピ
レングリコール(メタ)アクリレート、N−ビニルピロ
リドンなどがあげられ、これらは単独で、または2種以
上を混合して用いられる。
【0067】他の重合性ビニル単量体は、任意成分であ
り、用いなくてもよいが、他の重合性ビニル単量体が有
する性質を、充分に発現させるためには、他の重合性ビ
ニル単量体の使用量は、共重合成分中5重量%以上、好
ましくは10重量%以上とすることが望ましく、えられ
る水溶性整髪用樹脂組成物の水溶性および毛髪に塗布し
たときの滑り感を向上させるためには、他の重合性ビニ
ル単量体の使用量は、共重合成分中30重量%以下、好
ましくは25重量%以下とすることが望ましい。
【0068】前記共重合成分の共重合は、ベタインモノ
マーが親水性溶媒に良好に溶解するため、親水性溶媒中
で行なうことが好ましい。
【0069】前記親水性溶媒としては、炭素数1〜4の
アルコールもしくは炭素数1〜4のケトンまたは前記ア
ルコールもしくは前記ケトンと水との混合物があげら
れ、これらはベタインモノマーを良好に溶解させるだけ
でなく、適度な沸点を有するため、水溶性整髪用樹脂組
成物の濃度調整を容易にし、また揮発性を有するので、
良好な皮膜形成を行なうことができる点で好ましい。
【0070】前記炭素数1〜4のアルコールとしては、
たとえばメタノール、エタノール、プロパノールなどが
あげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用
いられる。
【0071】また、前記炭素数1〜4のケトンとして
は、たとえばアセトン、メチルエチルケトンなどがあげ
られ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いら
れる。
【0072】前記共重合成分の共重合時に用いられる親
水性溶媒の使用量は、多すぎるばあいには、えられる水
溶性整髪用樹脂組成物の分子量が低くなり、整髪力が小
さくなる傾向があるため、生成する水溶性整髪用樹脂組
成物の濃度が10重量%以上、好ましくは20重量%以
上となるように調整することが望ましく、また少なすぎ
るばあいには、共重合成分が均一に混合されないため、
所望の物性を有する水溶性整髪用樹脂組成物がえられに
くいため、生成する水溶性整髪用樹脂組成物の濃度が6
0重量%以下、好ましくは50重量%以下となるように
調整することが望ましい。
【0073】共重合成分の共重合は、通常の溶液重合
法、たとえば共重合成分を前記親水性溶媒に溶解し、重
合開始剤を添加し、チッ素気流下で加熱撹拌するなどの
方法により行なわれ、その共重合条件は、適宜選択され
る。
【0074】共重合成分の添加は、共重合成分の種類ご
とに分割添加してもよく、共重合成分の混合物を少量ず
つ分割添加してもよい。
【0075】前記重合開始剤としては、たとえばt−ブ
チルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシ2
−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシイソブチ
レート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチル
パーオキシネオデカネートなどの過酸化物、アゾビスイ
ソブチロニトリル、ジメチル2,2´−アゾビス(2−
メチルプロピオネート)などのアゾ化合物などがあげら
れ、これらは単独でまた2種以上を混合して用いられ
る。
【0076】重合開始剤の使用量は、一般的に、共重合
成分100重量部に対して0.01重量部以上、好まし
くは0.05重量部以上、また5重量部以下、好ましく
は2重量部以下とすることが望ましい。
【0077】共重合温度は、ラジカル重合を円滑に進行
させるために、40℃以上、好ましくは50℃以上とす
ることが望ましく、ラジカル重合以外の副反応を抑制す
るために、120℃以下、好ましくは100℃以下とす
ることが望ましい。またこのときの共重合時間は、通常
5〜24時間、好ましくは8〜20時間程度であること
が望ましい。
【0078】共重合反応は、液体クロマトグラフィー、
ガスクロマトグラフィーなどにより共重合成分の量を確
認し、任意の終点で終了させることができる。
【0079】えられた水溶性整髪用樹脂組成物の25℃
における粘度平均分子量は、充分な整髪力をうるために
10,000以上、好ましくは15,000以上とする
ことが望ましく、また洗髪性を向上させるために15
0,000以下、好ましくは100,000以下とする
ことが望ましい。
【0080】本発明の水溶性整髪用樹脂組成物は、たと
えばヘアスプレー、セットローション、ジェル、シャン
プー、リンスなどの毛髪化粧料として用いられ、水溶
液、水性アルコール溶液、乳濁液、クリーム、ゲルなど
の各種剤型で用いることができる。これらの毛髪化粧料
は、ヘアスプレー、セットフォームなどの噴射剤を用い
るものと、セットローション、ヘアセットジェル、シャ
ンプー、リンスなどの噴射剤を用いないものとに大別さ
れるが、本発明の水溶性整髪用樹脂組成物は、種々の目
的に使用することが可能である。
【0081】
【実施例】つぎに、本発明の水溶性整髪用樹脂組成物お
よびその製法を実施例に基づいてさらに詳細に説明する
が、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではな
い。
【0082】製造例1 水酸化カリウム(含量85重量%)33重量部をエタノ
ール150重量部に溶解させた溶液を、クロロ酢酸4
7.3重量部をエタノール100重量部に溶解させた溶
液に氷冷下(10℃以下)で撹拌しながら滴下した(水
酸化カリウム:クロロ酢酸(モル比)=1:1)。滴下
と同時にモノクロロ酢酸カリウムの沈殿が生成した。生
成した沈殿を減圧濾過し、イソプロピルアルコールです
すぎ洗いをした。
【0083】つぎに、コンデンサー、温度計および撹拌
器が装着された反応器に、先に調製したモノクロロ酢酸
カリウム(イソプロピルアルコールを20重量%含有し
た湿った結晶体)78.7重量部(0.48モル)を投
入し、さらにN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート78.5重量部(0.5モル)およびイソプロパノ
ール50重量部を加え、撹拌してモノクロロ酢酸カリウ
ムの結晶を均一に分散させた。
【0084】ついで、大気雰囲気下で、75℃で10時
間にわたって反応させたのち、N,N−ジメチルアミノ
エチルメタクリレートが95%以上消費されていること
をガスクロマトグラフィーによって確認し、反応の完結
を確認した。反応終了後、反応液をイソプロパノール2
00重量部にて希釈して氷冷し、加圧濾過により、副生
した塩化カリウムを反応液から除去した。
【0085】前記塩化カリウムを除去した反応液を濃縮
器に投入し、大気雰囲気下で充分に撹拌しながらイソプ
ロパノールを除去し、しばらく放置して白色の粗結晶1
11.1重量部をえた。
【0086】さらに、前記粗結晶をアセトン100重量
部で再結晶させ、融点が79.5℃の白色結晶90重量
部をえた。
【0087】えられた白色結晶を110℃で3時間加熱
したところ、7.7重量%の重量減少が生じた。
【0088】えられた白色結晶の強熱残分を、化粧品原
料基準の強熱残分試験法(第1法)に基づいて測定した
結果、1.1重量%であった。
【0089】さらに、白色結晶の1H−NMRおよび13
C−NMRをJOEL−GSX−270 FT−NMR
スペクトルメーター(日本電子(株)製)を用いて測定
した。
【0090】1H−NMR(CD3OD,δ(pp
m)):1.94(br−s,CH3,3H)、3.3
0(br−s,N−(CH32,6H)、3.91
(s,N−CH2−COO,2H)、4.04〜4.0
9(m,N−C 2−CH2またはN−CH2−C 2,2
H)、4.55〜4.62(m,N−C 2−CH2また
はN−CH2−C 2,2H)、5.67〜5.69
(m,C=CH2,1H)、6.14〜6.17(m,
C=CH2,1H)13 C−NMR(CD3OD,δ(ppm)):18.3
8(H2C=C−3)、52.63(N−(C
32)、59.38(2−COO)、63.30
(N−2−CH2またはN−CH22)、65.
75(N−2−CH2またはN−CH22)、1
27.34(H2 =C−CH3)、139.96(H2
C=−CH3)、167.80(N−CH2COOま
たはCH2−CH2−OOC)、168.42(N−CH
2COOまたはCH2−CH2−OOC) これらの結果から、えられた白色結晶が、両性イオン性
のベタインモノマーであり、式:
【0091】
【化15】
【0092】で表わされるN−メタクリロイルオキシエ
チル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−カルボ
キシベタインであることが確認された。
【0093】製造例2 コンデンサー、温度計および撹拌器が装着された反応器
に、モノクロロ酢酸ナトリウム(含量95重量%)5
8.3重量部(0.48モル)を投入し、さらにN,N
−ジメチルアミノエチルメタクリレート78.5重量部
(0.5モル)およびイソプロパノール50重量部を加
え、撹拌してモノクロロ酢酸ナトリウムの結晶を均一に
分散させた。
【0094】ついで、大気雰囲気下で、75℃で10時
間にわたって反応させたのち、製造例1と同様にして反
応の完結を確認した。反応終了後、反応液をイソプロパ
ノール200重量部にて希釈して氷冷し、加圧濾過によ
り、副生した塩化ナトリウムを反応液から除去した。
【0095】前記塩化ナトリウムを除去した反応液を濃
縮器に投入し、大気雰囲気下で充分に撹拌しながらイソ
プロパノールを除去し、しばらく放置して白色の粗結晶
105.4重量部をえた。
【0096】さらに、前記粗結晶をアセトン100重量
部で再結晶させ、融点が79.5℃の白色結晶85重量
部をえた。
【0097】えられた白色結晶を110℃で3時間加熱
したところ、7.7重量%の重量減少が生じた。
【0098】えられた白色結晶の強熱残分を製造例1と
同様にして測定した結果、0.9重量%であった。
【0099】さらに、白色結晶の1H−NMRおよび13
C−NMRを製造例1と同様にして測定したところ、製
造例1と同様の結果がえられた。
【0100】これらの結果から、えられた白色結晶が、
両性イオン性のベタインモノマーであり、式:
【0101】
【化16】
【0102】で表わされるN−メタクリロイルオキシエ
チル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−カルボ
キシベタインであることが確認された。
【0103】製造例3 コンデンサー、温度計、空気吹き込み管および撹拌器が
装着された反応器に、モノクロロ酢酸104重量部
(1.1モル、1.1当量)、イソプロパノール100
重量部および炭酸カリウム(無水)76重量部(0.5
5モル、1.1当量)を投入し、撹拌しながら、さらに
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(200
0ppmの4−メトキシフェノールを含む)157重量
部(1.0モル)をゆっくり加え、大気雰囲気下で、7
5℃で10時間にわたって反応させたのち、製造例1と
同様にして反応の完結を確認した。反応終了後、イソプ
ロパノール400重量部を反応器に加え、反応液を希釈
後、反応器を氷冷して10℃以下とし、加圧濾過によ
り、副生した塩化カリウムを反応液から除去した。
【0104】前記塩化カリウムを除去した反応液を濃縮
器に投入し、大気雰囲気下で充分に撹拌しながらイソプ
ロパノールを除去し、しばらく放置して白色の粗結晶2
10重量部をえた。
【0105】さらに、前記粗結晶をアセトンで充分に洗
浄したのち、乾燥したところ、融点が79.5℃の白色
結晶200重量部をえた。
【0106】えられた白色結晶の強熱残分を製造例1と
同様にして測定した結果、0.7重量%の灰分が含まれ
るものであった。
【0107】また、えられた白色結晶は、110℃で3
時間加熱したところ、7.7重量%の重量減少が生じ
た。
【0108】さらに、白色結晶の1H−NMRおよび13
C−NMRを製造例1と同様にして測定したところ、製
造例1と同様の結果がえられた。
【0109】これらの結果から、えられた白色結晶が、
両性イオン性のベタインモノマーであり、式:
【0110】
【化17】
【0111】で表わされるN−メタクリロイルオキシエ
チル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−カルボ
キシベタインであることが確認された。
【0112】製造例4 コンデンサー、温度計、空気吹き込み管および撹拌器が
装着された反応器に、モノクロロ酢酸104重量部
(1.1モル、1.1当量)、メタノール100重量部
および炭酸カリウム(無水)76重量部(0.55モ
ル、1.1当量)を投入し、撹拌しながら、さらにN,
N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(2000p
pmの4−メトキシフェノールを含む)157重量部
(1.0モル)をゆっくり加え、大気雰囲気下で、60
℃で10時間にわたって反応させたのち、製造例1と同
様にして反応の完結を確認した。反応終了後、メタノー
ル400重量部を反応器に加え、反応液を希釈後、反応
器を氷冷して10℃以下とし、加圧濾過により、副生し
た塩化カリウムを反応液から除去した。
【0113】反応液をガスクロマトグラフィーにより分
析したところ、メチルメタクリレートの生成が認められ
た。
【0114】前記塩化カリウムを除去した反応液を濃縮
器に投入し、大気雰囲気下で充分に撹拌しながらメタノ
ールを除去し、しばらく放置して白色の粗結晶86重量
部をえた。
【0115】さらに、前記粗結晶をアセトンで充分に洗
浄したのち、乾燥したところ、融点が79.5℃の白色
結晶80重量部をえた。
【0116】えられた白色結晶の強熱残分を実施例1と
同様にして測定した結果、4.3重量%の灰分が含まれ
るものであった。
【0117】さらに、白色結晶の1H−NMRおよび13
C−NMRを実施例1と同様にして測定したところ、製
造例1と同様の結果がえられた。
【0118】これらの結果から、えられた白色結晶が、
両性イオン性のベタインモノマーであり、式:
【0119】
【化18】
【0120】で表わされるN−メタクリロイルオキシエ
チル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−カルボ
キシベタインであることが確認された。
【0121】製造例5 製造例3でえられた結晶100重量部をイソプロパノー
ル400重量部に溶解させた溶液を、再生済みカチオン
交換樹脂(オルガノ(株)製、アンバーリスト15E、
再生後、系内をイソプロパノール洗浄したもの)100
mlを充填したカラムに通し、さらに再生済みアニオン
交換樹脂(オルガノ(株)製、アンバーリストA−2
1、再生後、系内をイソプロパノール洗浄したもの)1
00mlを充填したカラムに通し、処理した。
【0122】カラムで処理された溶液を濃縮器に投入
し、4−メトキシフェノール0.5重量部を加えたの
ち、大気雰囲気下で充分に撹拌しながらイソプロパノー
ルを除去し、しばらく放置して白色の粗結晶90重量部
をえた。
【0123】さらに、前記粗結晶をアセトン200重量
部で再結晶させ、融点が79.5℃の白色結晶83重量
部をえた。
【0124】えられた白色結晶の強熱残分を、実施例1
と同様にして測定した結果、かかる白色結晶の灰分は、
0.1重量%以下であった。
【0125】また、えられた白色結晶は、110℃で3
時間加熱したところ、7.7重量%の重量減少が生じ
た。
【0126】また、えられた白色結晶中の塩素イオン濃
度は、60ppmであった。
【0127】さらに、白色結晶の1H−NMRおよび13
C−NMRを実施例1と同様にして測定したところ、製
造例1と同様の結果がえられた。
【0128】これらの結果から、えられた白色結晶が、
両性イオン性のベタインモノマーであり、式:
【0129】
【化19】
【0130】で表わされるN−メタクリロイルオキシエ
チル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−カルボ
キシベタインであることが確認された。
【0131】実施例1〜9および比較例1〜2 コンデンサー、温度計、チッ素導入管および撹拌器が装
着された反応器に、重合成分としてベタインモノマーお
よびベタインモノマーと共重合可能な他のモノマーを表
1に示す組成で投入し、さらにエタノール233重量部
および重合開始剤として2,2′−アゾビスイソブチロ
ニトリル0.3重量部を加え、チッ素ガス気流下で、8
0℃で加熱環流させ、8時間にわたって重合反応を行な
い、さらに重合溶液の一部を抜き出し、105℃で減圧
重量が一定となるまで乾燥させることによって樹脂固形
分量を測定し、濃縮または希釈によってエタノール量を
調整することによって濃度調整を行ない、整髪用樹脂組
成物のエタノール溶液(樹脂固形分量30重量%)をえ
た。
【0132】えられた整髪用樹脂組成物のエタノール溶
液を用い、整髪用樹脂組成物の粘度平均分子量を以下の
方法にしたがって調べた。
【0133】(粘度平均分子量)ウベローデの粘度計を
使用して、えられた整髪用樹脂組成物のエタノール溶液
の粘度を25℃で求めた。えられた粘度を分子量既知の
ポリビニルピロリドンを用いて作成した粘度・分子量曲
線にあてはめ、粘度平均分子量を求めた。
【0134】えられた両性イオン性樹脂のエタノール溶
液を用い、その水溶性を以下の方法にしたがって調べ
た。
【0135】(水溶性試験)前記整髪用樹脂組成物のエ
タノール溶液に水を添加して5倍に希釈し、えられた溶
液を以下の評価基準に基づいて、目視で評価した。その
結果を表1に示す。
【0136】[評価基準] A:透明である。
【0137】B:ほぼ透明である。
【0138】C:かすかに濁りが認められる。
【0139】D:濁りや不溶物の析出が認められる。
【0140】さらに、えられた両性イオン性樹脂のエタ
ノール溶液を用い、整髪剤を調製してその高湿度下での
セット保持力を以下の方法にしたがって調べた。
【0141】(高湿度下でのセット保持力)加圧容器内
に、整髪用樹脂組成物を10重量%(乾燥基準)含有し
たエタノール溶液40重量部および液化石油ガス(プロ
パン:n−ブタン:イソブタン(重量比)=35.6:
46.2:18.2)60重量部を充填し、整髪剤を調
製した。
【0142】えられた整髪剤を、長さ25cmの毛髪2
gに20cmの距離から均一に10秒間にわたって噴霧
したのち、この毛髪を外径1.2cmのカーラーに巻
き、40℃の温風で60分間かけて乾燥させた。このの
ち、カーラーから毛髪をはずし、温度30℃、相対湿度
90%の雰囲気中に垂直に3時間吊したのち、カールリ
テンション(%)を次式に基づいて算出した。
【0143】カールリテンション(%) ={(25−L1)/(25−L0)}×100 ただし、式中、L0は温度30℃、相対湿度90%の雰
囲気中に吊す直前のカールの長さ(cm)であり、L1
は前記雰囲気中に3時間吊したのちのカールの長さ(c
m)である。
【0144】えられた結果を以下の評価基準に基づいて
評価した。その結果を表1に示す。
【0145】[評価基準] A:90%以上:すぐれた整髪力を有する B:80%以上、90%未満:普通の整髪力を有する C:70%以上、80%未満:整髪力はややおとる D:70%未満:整髪力におとる
【0146】
【表1】
【0147】表1に示されるように、実施例1〜9およ
び比較例2において水溶性試験の評価がAであるのに対
し、比較例1ではDであることから、整髪用樹脂組成物
を合成する際の共重合成分中のベタインモノマーの割合
を35重量%以上にすることによって、水溶性を呈する
整髪用樹脂組成物がえられることがわかる。
【0148】また、実施例1〜9および比較例1におい
て高湿度下でのセット保持力の評価がA〜Bであるのに
対し、比較例2ではCであることから、整髪用樹脂組成
物を合成する際の重合成分中のベタインモノマーの割合
を90重量%以下にすることによって、すぐれたセット
保持力を有する整髪剤を調整しうる整髪用樹脂組成物が
えられることがわかる。
【0149】このように、製造例1、3および5でえら
れたベタインモノマーを35〜90重量%含有する共重
合成分から製造された整髪用樹脂組成物は、水溶性を呈
するものであり、かかる整髪用樹脂組成物を用いてえら
れた整髪剤は、高湿度下でのセット保持力にすぐれるこ
とから、該整髪用樹脂組成物が、毛髪用整髪剤に好適に
使用しうるものであることがわかる。
【0150】
【発明の効果】本発明の製法によれば、煩雑な操作を必
要とせず、安全に水溶性整髪用樹脂組成物を製造するこ
とができる。
【0151】また、本発明の製法によってえられた水溶
性整髪用樹脂組成物は、水溶性およびセット保持力にす
ぐれ、毛髪用整髪剤として好適に使用することができる
ものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 33/06 C08L 33/06

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I): 【化1】 (式中、R1およびR2はそれぞれ独立して炭素数1〜4
    のアルキル基、R3は炭素数1〜4のアルキレン基、R4
    は水素原子またはメチル基を示す)で表わされるベタイ
    ンモノマー35〜90重量%および一般式(II): 【化2】 (式中、R5は水素原子またはメチル基、R6は飽和もし
    くは不飽和の炭素数1〜18のアルキル基またはシクロ
    アルキル基を示す)で表わされる(メタ)アクリル酸ア
    ルキルエステル10〜65重量%を含有してなる共重合
    成分を共重合させてなる水溶性整髪用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ベタインモノマーが一般式(III): 【化3】 (式中、R1およびR2はそれぞれ独立して炭素数1〜4
    のアルキル基、R3は炭素数1〜4のアルキレン基、R4
    は水素原子またはメチル基を示す)で表わされる三級ア
    ミン含有エステルモノマー(A)と、一般式(IV): X−CH2−COOM (IV) (式中、Xはハロゲン原子、Mは水素原子またはアルカ
    リ金属原子を示す)で表わされるハロ酢酸化合物(B)
    とを非水系溶媒中で加熱して反応させることによってえ
    られたものである請求項1記載の水溶性整髪用樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 三級アミン含有エステルモノマー(A)
    とハロ酢酸化合物(B)とをイソプロピルアルコールお
    よびエタノールからえらばれた非水系溶媒中で反応させ
    る請求項1または2記載の水溶性整髪用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 三級アミン含有エステルモノマー(A)
    がN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート
    である請求項1、2または3記載の水溶性整髪用樹脂組
    成物。
  5. 【請求項5】 ハロ酢酸化合物(B)がモノクロロ酢
    酸、モノクロロ酢酸ナトリウムまたはモノクロロ酢酸カ
    リウムである請求項1、2、3または4記載の水溶性整
    髪用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 一般式(I): 【化4】 (式中、R1およびR2はそれぞれ独立して炭素数1〜4
    のアルキル基、R3は炭素数1〜4のアルキレン基、R4
    は水素原子またはメチル基を示す)で表わされるベタイ
    ンモノマー35〜90重量%および一般式(II): 【化5】 (式中、R5は水素原子またはメチル基、R6は飽和もし
    くは不飽和の炭素数1〜18のアルキル基またはシクロ
    アルキル基を示す)で表わされる(メタ)アクリル酸ア
    ルキルエステル10〜65重量%を含有してなる共重合
    成分を共重合させることを特徴とする水溶性整髪用樹脂
    組成物の製法。
  7. 【請求項7】 一般式(III): 【化6】 (式中、R1およびR2はそれぞれ独立して炭素数1〜4
    のアルキル基、R3は炭素数1〜4のアルキレン基、R4
    は水素原子またはメチル基を示す)で表わされる三級ア
    ミン含有エステルモノマー(A)と、一般式(IV): X−CH2−COOM (IV) (式中、Xはハロゲン原子、Mは水素原子またはアルカ
    リ金属原子を示す)で表わされるハロ酢酸化合物(B)
    とを非水系溶媒中で加熱して反応させることによってベ
    タインモノマーを製造する請求項6記載の水溶性整髪用
    樹脂組成物の製法。
  8. 【請求項8】 三級アミン含有エステルモノマー(A)
    とハロ酢酸化合物(B)とをイソプロピルアルコールお
    よびエタノールからえらばれた非水系溶媒中で反応させ
    る請求項6または7記載の水溶性整髪用樹脂組成物の製
    法。
  9. 【請求項9】 三級アミン含有エステルモノマー(A)
    がN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート
    である請求項6、7または8記載の水溶性整髪用樹脂組
    成物の製法。
  10. 【請求項10】 ハロ酢酸化合物(B)がモノクロロ酢
    酸、モノクロロ酢酸ナトリウムまたはモノクロロ酢酸カ
    リウムである請求項6、7、8または9記載の水溶性整
    髪用樹脂組成物の製法。
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