JPH0977381A - 巻取装置の糸吸引装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、巻取装置へ掛け渡すための糸端を
吸引保持するにあたり、なるべく小型の吸引ブロワを用
いて適切な糸の張力を得ることのできる巻取装置の糸吸
引装置を提供しようとするものである。 【解決手段】 吸引ブロワ１１によって負圧にされてい
るウエストボッックス１に連通する吸引パイプ２と、前
記吸引ブロワ１１と反対側の前記吸引パイプ２の端部を
開放する電磁開閉弁４とで吸引装置を構成する。空紙管
Ｂを巻取位置にセットして糸掛け操作を行う時に吸引パ
イプ２の前記電磁開閉弁４を開放する。この開放によっ
て大量の空気を吸引パイプ２中に導入し、ブロワ１１の
吸気抵抗を軽減して空気流を加速させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、例えば延伸仮撚機
に搭載した巻取装置の空ボビンへ掛け渡すための給糸パ
ッケージの糸端を吸引保持する糸吸引装置に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】延伸仮撚機の巻取装置は、揺動自在なク
レードルアームでボビンを支持するとともに、このボビ
ンをフリクションローラに圧接して回転させ、トラバー
スガイドで糸を綾振りしながら糸を巻き取っている。

【０００３】このような巻取装置において、満巻きや糸
切れでパッケージを玉揚げした後や始業時には、新たに
供給した空ボビンへの糸掛け操作を行う。糸掛け手順
は、初めに給糸パッケージ側の糸端を吸引装置に投入し
て糸端を一定位置に保持すると同時に、解舒糸に張力を
生じさせて糸掛け操作中の糸の弛みを防止している。周
辺機器であるフィードローラ等に糸を掛けた段階では糸
が強制的に繰り出されるようになるので、巻取装置に掛
けるまでの間に、繰り出される糸が絡み付かないように
吸引してウエストボックスに回収するようにしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】近年の巻取装置では、
巻取り速度の高速化と自動化が進められている。例えば
延伸仮撚機では、満パッケージの玉揚げと空紙管の供
給、及び空紙管への糸掛け操作を自動化した巻取装置毎
の単錘玉揚げ方式が提唱されている。巻取装置への糸掛
けを自動で行う場合、従来の糸吸引装置をそのまま用い
たのでは、フィードローラ等の糸繰出し速度が増速され
ているので糸が過供給となり、糸に付与される張力が弱
くて糸掛けミスを発生し易い。

【０００５】つまり、糸吸引装置で吸引保持している糸
端を、糸掛け装置のアームに引っ掛けて高速で移動させ
る際に、糸掛けアームにたるんだ状態で保持されて、空
紙管のスリットや糸係止部に糸が正確に掛からない等の
糸掛けミスを発生し易い。

【０００６】特に自動化の機械では、糸が周辺部へ巻き
付くこと防止するために、糸に付与されている張力があ
る設定値より弱くなると、糸を給糸パッケージ側で強制
的に切断するシステムが設けられている。前記システム
が作動すると、人手により巻取装置の上流から糸掛けを
行う必要があり、巻取装置の稼働率も低くなるため、切
断の回数が多ければ何のために高速化及び自動化が行わ
れているのかが判らなくなる。

【０００７】糸に十分な張力を付与するには、吸引ブロ
ワを強力にするという方法も考えられるが、この方法で
は吸引ブロワのコスト及びランニングコストが嵩むだけ
でなく騒音も大きくなる。しかも、単に強力な吸引ブロ
ワというだけでは、吸引装置に糸端を投入した後直ぐに
糸掛け操作を行わないと、高速解舒によって糸が無駄に
捨てられてしまい、無駄糸量が軽視できない量になる。

【０００８】本発明は上記問題点に鑑み、なるべく小型
の吸引ブロワを用いて適切な糸の張力を得ることのでき
る巻取装置の糸吸引装置を提供しようとするものであ
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の巻取装置の糸吸
引装置は、糸吸引装置の吸引パイプに、各巻取装置に対
応した複数の吸引開口とその開閉弁を形成するととも
に、この吸引パイプ中の空気流を加速させて糸の張力を
増加させる張力付与手段を設けたものである。

【００１０】前記張力付与手段は、吸引ブロワと反対側
の前記吸引パイプ端部を開放して吸気抵抗を軽減する開
閉弁である、あるいは吸引ブロワ側で前記吸引パイプ内
に圧空を噴射して吸気抵抗を軽減する空気ノズルであ
る、あるいは吸引パイプの吸引ブロワ側に形成した細径
管部であることが望ましい。

【００１１】

【実施の形態】本発明を採用した延伸仮撚機とその糸掛
け操作について図５乃至図８を参照しながら説明する。

【００１２】図５に示すように、延伸仮撚機は機台に沿
ってクリールスタンドＳを設け、このクリールスタンド
Ｓに支持した給糸パッケージＰｓのフィラメント糸Ｙを
解舒してガイドパイプＬ１により第一フィードローラＦ
１に導いている。

【００１３】更に、テクスチュアリング用の一次ヒータ
Ｈ１と、冷却板Ｌ２及びニップツイスタＴを経て第二フ
ィードローラＦ２に導いている。この過程でフィラメン
ト糸Ｙを延伸しながら、仮撚り・熱固定してフィラメン
ト糸Ｙに嵩高加工を施す。そして第三フィードローラＦ
３、セッティング用の二次ヒータＨ２、第四フィードロ
ーラＦ４、オイリングローラＯを経て巻取装置２５によ
りパッケージＰｗに巻き取るものである。

【００１４】巻取パッケージＰｗが満巻きになると、糸
Ｙを切断して満巻きパッケージＰｗを排出する玉揚げを
行う。玉揚げ動作を詳しく説明する。先ず吸引パイプ２
に通じる開口３の開閉弁１２を図示しない制御装置の指
令により時計周りに揺動させて開口３を開放し、吸引を
開始する。次にカッタプレート９が図７中二点鎖線で示
す如く上方に揺動し、トラバース中の糸Ｙ０がフック１
０に係止されると共に、切刃７で切断され、切断糸端Ｙ
１は吸引パイプ２に捕捉される。次いでクレードルアー
ム２３が後側（図５中左側）に揺動して開き、巻取装置
２５後方に満巻きパッケージＰを排出する。

【００１５】続いて、図示しない手段により空紙管Ｂが
上方から供給され、ボビンホルダ２７に装着され、クレ
ードルアーム２３が図７中時計方向に揺動して空ボビン
Ｂをフリクションローラ２８に圧接し、これにより空紙
管Ｂ及びボビンホルダ２７が回転を開始する。

【００１６】糸掛け装置２６の糸掛けアーム２０は、ブ
ラケット８に固定した流体式単動型ロータリーアクチュ
エータ２４の出力軸に固定され、前記ロータリーアクチ
ュエータ２４の作動により、ボビン回転軸方向と平行な
仮想平面内で図６中に二点鎖線で示す待機位置２０ａ
と、同図中実線で示す糸掛け位置との間の約１８０度の
範囲で往復動するようになっている。

【００１７】糸掛けアーム２０が図中２０ａで示される
待機位置から、図６中矢印ａの如く回動し、その過程で
吸引パイプ２に捕捉されている糸Ｙ１が進行方向前方の
糸係止部２２で係止され、更に糸掛けアーム２０が図６
中矢印ｂの如く回動する過程で糸係止部２２から給糸側
に連なる糸Ｙ１が糸係止部２１で係止される。

【００１８】糸掛けアーム２０の回動端において、一方
の糸係止部２２は鍔３２を越えてその外側に位置し、他
方の糸係止部２１は鍔３１のボビン側に位置し、これら
二つの糸係止部２２・２１で係止された糸は、図６及び
図７中に二点鎖線で示すＹ２・Ｙ３・Ｙ４のように張設
されてボビンホルダ２７側に案内される。

【００１９】すると、上記二つの糸係止部２２・２１間
に斜めに張架されている糸Ｙ３は、鍔３１に当接してそ
の糸掛け部３１ａに引掛かると共に外側の鍔３２の糸掛
け部に掛かる。これら糸掛け部間に斜めに張られている
糸は、ボビンホルダ２７の回転と共に固定刃３０に達
し、前記固定刃３０により切断されて切断糸端Ｙ２は吸
引ノズル３により吸引除去される。

【００２０】そして、糸掛けアーム２０は上記糸掛け位
置に停止して、図６に示す如く糸係止部２１で供給糸側
の糸Ｙ４をガイドしながら、所定のバンチ巻きを形成す
る。糸掛けが終了すると、糸掛けアーム２０はロータリ
ーアクチュエータ２４に内蔵されているバネ力により図
６中矢印ｃの如く反時計方向に回動して、待機位置２０
ａに復帰する。

【００２１】その途中の位置２０ｂにおいて、糸係止部
２１ｂとボビンＢに掛け渡した糸Ｙ５とがほぼ平行にな
った時点で糸Ｙ５は前記糸係止部２１ｂから外れて通常
の走行位置まで降下し、トラバースガイド６に捕捉され
て本巻きに移行する。

【００２２】前記吸引パイプ２の吸引力が弱いと糸の弛
みが発生し、糸掛けアーム２０による糸の引掛けに失敗
したり、鍔３１・３２間の糸Ｙ３が弛んでボビンホルダ
２７への糸受渡しに失敗することがある。これを解消す
るために、カッタプレート９の作用により糸を切断して
糸端を吸い込むときには吸引パイプ２を流れる空気流速
を通常に維持しながら、糸掛けアーム２０を使用すると
きには吸引パイプ２中の空気流を加速して糸の張力を増
加させるために次のような糸吸引装置を設けている。

【００２３】図１は本発明による糸吸引装置の第一の例
を示す概略説明図である。この吸引装置は、吸引ブロワ
１１によって負圧にされているとともに、延伸仮撚機の
機台端部に設置したウエストボックス１と、このウエス
トボッックス１に連通する吸引パイプ２と、前記吸引ブ
ロワ１１と反対側の前記吸引パイプ２の端部を開放する
電磁開閉弁４とで構成されている。

【００２４】先に説明した延伸仮撚機は図５に示すよう
に巻取装置２５を上下に三段重ねで、横方向は３６列、
この仮撚りユニットを左右対象に設置して２１６錘を一
つの機器構成とするのが通常である。又、先に説明した
ように各巻取装置２５毎に糸掛け装置２６を設けて各巻
取装置２５が個別に玉揚げ動作できるように構成してい
て、しかも巻取の終了時間が同じ場合には、制御装置の
作用で一方の玉揚げ時間を遅延させて玉揚げ動作が重複
しないように操作し、小さな容量の吸引ブロワ１１で効
率的に運転している。

【００２５】前記吸引パイプ２は同じ高さ位置の各巻取
装置２５の糸端吸引に兼用する長いパイプである。一つ
の吸引パイプ２には前記巻取装置２５に対応して３６個
の吸引開口３とその開閉弁１２を形成し、上下位置の異
なる三本の前記吸引パイプ２を前記ウエストボックス１
に接続している。

【００２６】次にこの吸引装置の動作について説明す
る。前記開閉弁１２と前記電磁開閉弁４はともに図示し
ない制御装置の指令によって開閉操作されるものであ
り、玉揚げ時は、玉揚げを行う巻取装置２５に対応する
開口３の開閉弁１２だけを開いて切断糸端Ｙを吸引捕捉
する。この時、他の開閉弁１２と他の電磁開閉弁４は閉
じている。満巻きパッケージＰｗを払いだし、空紙管Ｂ
を巻取位置にセットして糸掛け操作を行う時に初めて該
当する吸引パイプ２の電磁開閉弁４を開放する。この開
放によって大量の空気を吸引パイプ２中に導入し、ブロ
ワ１１の吸気抵抗を軽減して空気流を加速させ、吸引糸
の張力が増加するようにしている。すなわち、満パッケ
ージＰｗを払い出して空紙管Ｂが巻取位置に準備される
までの間に捨てられる無駄糸量を少なくしながら、糸掛
けのときには糸の張力を増加させて糸掛けミスを減少さ
せるのである。

【００２７】図２は本発明による糸吸引装置の第二の例
を示す概略説明図である。基本的な構成と動作は第一の
例と同様である。異なる点は吸引パイプ２の端部を閉塞
し、吸引パイプ２の前記吸引ブロワ１１側に、ウエスト
ボックス１側に向けて圧空を噴射する外気供給手段とし
ての空気ノズル５を設けた点である。空気ノズル５は第
一の例の電磁弁４に代わるものである。吸引された糸端
Ｙは、吸引パイプ２の基端部で、圧空の噴射により加速
される空気流の作用を受けることになる。

【００２８】図３は本発明による糸吸引装置の第三の例
を示す概略説明図である。この例では、吸引パイプ２の
端部を閉塞し、張力付与手段として、前記吸引パイプ２
の吸引ブロワ１１側のパイプ径が他の部分よりも細い細
径管部２ａを形成している。この細径管部２ａでは空気
流速が速くなり、この部分を通過する糸の張力は増加さ
れる。更に、図４は本発明による糸吸引装置の第四の例
を示し、先に説明した電磁開閉弁４と細径管部２ａとを
ともに設けたもので、細径管部２ａによる吸気抵抗の増
大を電磁開閉弁４の開放によって緩和する利点がある。

【００２９】本発明は延伸仮撚機の糸吸引装置に限られ
るものではなく、自動ワインダーやその他の巻取装置の
糸吸引装置にも有効である。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明では糸吸引
装置の吸引パイプに、吸引パイプ中の空気流を加速させ
て糸の張力を増加させる張力付与手段を設けているの
で、吸引ブロワを強力にすることなく、小さいな容量の
吸引ブロワを使用して巻取速度の高速化や糸掛け操作の
自動化を行える。

【００３１】張力付与手段として吸気抵抗を軽減する開
閉弁を設けた場合や、圧空を噴射する空気ノズルを設け
た場合には、糸掛けのタイミングに開閉弁を同調させて
おくことで、糸に確実に張力を付与することができる。
しかも、張力を得ることと無駄糸量の減少の相反する要
求をともに解決できる。つまり、能力の小さな吸引ブロ
ワを使用して、無駄糸量を少なくしながら経済的な運転
を行うとともに、糸の張力が必要な時には吸引パイプ中
の空気流をタイミング良く加速して、巻取装置の空ボビ
ンに形成したスリットや糸係止部への糸掛けを確実にす
ることができる。特に、圧空を噴射する空気ノズルを設
ける場合には、噴出する空気量や圧力を調整することに
よって、糸のテンションを微妙にコントロールすること
が可能となる。

【００３２】前記張力付与手段が吸引パイプの吸引ブロ
ワ側に形成した細径管部である場合には、開閉弁等の装
置が不要なために、簡略で経済的な糸吸引装置を構成す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第一の実施の形態である吸引パイプに
開閉弁を設けた巻取装置の糸吸引装置を示す概略図であ
る。

【図２】本発明の第二の実施の形態である吸引パイプの
吸引ブロワ側に空気ノズルを設けた巻取装置の糸吸引装
置を示す概略図である。

【図３】本発明の第三の実施の形態である吸引パイプの
吸引ブロワ側に細径管部を形成した巻取装置の糸吸引装
置を示す概略図である。

【図４】本発明の第四の実施の形態を示し、第一の実施
の形態と第二の実施の形態を組み合わせた巻取装置の糸
吸引装置を示す概略図である。

【図５】本発明を採用した延伸仮撚機の全体図であり、
右側部分を省略した正面図である。

【図６】延伸仮撚機に搭載した巻取装置の糸掛け装置部
分を示す要部平面図である。

【図７】図６に対応する、巻取装置の糸掛け装置部分を
示す要部の縦断正面図である。

【符号の説明】

２ 吸引パイプ ２ａ 細径管部 ３ 吸引開口 ４ 吸引パイプ端部の開閉弁 ５ 噴射空気ノズル １１ 吸引ブロワ １２ 吸引開口の開閉弁 ２５ 巻取装置 Ｙ 糸

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 巻取装置へ掛け渡すための糸端を吸引保
   持する糸吸引装置において、糸吸引装置の吸引パイプ
   に、各巻取装置に対応した複数の吸引開口とその開閉弁
   を形成するとともに、この吸引パイプ中の空気流を加速
   させて糸の張力を増加させる張力付与手段を設けたこと
   を特徴とする巻取り装置の糸吸引装置。
2. 【請求項２】 前記張力付与手段が、吸引ブロワと反対
   側の前記吸引パイプ端部を開放して吸気抵抗を軽減する
   開閉弁である請求項１記載の巻取り装置の糸吸引装置。
3. 【請求項３】 前記張力付与手段が、吸引ブロワ側で前
   記吸引パイプ内に圧空を噴射して吸気抵抗を軽減する空
   気ノズルである請求項１記載の巻取り装置の糸吸引装
   置。
4. 【請求項４】 前記張力付与手段が、吸引パイプの吸引
   ブロワ側に形成した細径管部である請求項１記載の巻取
   り装置の糸吸引装置。