JPH0976542A - 熱転写プリンタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 サーマルヘッドの発熱抵抗素子からの熱によ
り、インクシートが伸長し、その結果テンションの不均
衡に起因してインクシートにシワが発生する。 【解決手段】 プラテンローラ２とサーマルヘッド５と
の間に重ね合わされたインクシート１と記録紙４とを挟
持し、プラテンローラ２を回転してインクシート１と記
録紙４とを搬送させながら複数個の発熱抵抗素子を選択
的に加熱して、インクシート１のインクを記録紙４に熱
転写する熱転写プリンタにおいて、サーマルヘッド５の
台座５ａの端部に設けられ一端部にインクシート１が摺
動されるガイド部１２と、このガイド部１２の他端部に
設けられガイド部１２の線膨張係数よりも小さい線膨張
係数で構成された保持部１０とを備え、発熱抵抗素子か
らの発熱でガイド部１２はインクシート１側に橈み変形
するようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、インクを塗布し
たインクシートと記録紙とを重ね合わせ、サーマルヘッ
ドの発熱抵抗素子の発熱でインクを記録紙に熱転写する
熱転写プリンタ関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図６は実開平３−８７２５２号公報に示
された従来の熱転写プリンタの構成図、図７は図６の要
部斜視図であり、図において、１はインクを塗布したイ
ンクシート、２は軸芯２ａにゴム製のニップ部２ｂが巻
かれたプラテンローラ、３はプラテンローラ２を通過し
た記録紙４およびインクシート１のうちインクシート１
の引張方向を変えて記録紙４からインクシート１を分離
するガイド部で、このガイド部３は図７で分かるように
両端部が切断された円弧状の形状をしている。５は台座
５ａと台座５ａ上の基板に配設された複数個の発熱抵抗
素子５ｂとを有するサーマルヘッドである。

【０００３】従来の熱転写プリンタは上記のように構成
され、プラテンローラ２とサーマルヘッド５の発熱抵抗
素子５ｂとの間にインクシート１と記録紙４とが挟持さ
れ、プラテンローラ２が回転して、インクシート１と記
録紙４とが搬送されるとともに、サーマルヘッド５の発
熱抵抗素子５ｂが選択的に加熱され、インクシート１の
インクが記録紙４に熱転写される。記録紙４への熱転写
の直後には、インクシート１はガイド部３により記録紙
４の進行方向と異なる方向に搬送され、記録紙４からは
インクシート１が剥離される。ところで、熱転写のため
に発熱抵抗素子５ｂが加熱された際に、その熱の影響を
大きく受けるインクシート１の印画部１ａは熱伸長さ
れ、熱伸長されない非印画部１ｂとの境界で大きなテン
ションの不均衡が生じ、印画部１ａにはたるみが生じ易
くなるが、円弧状をしたガイド部３によりインクシート
１は図中Ａの方向へ伸ばされてたるみの発生が抑制さ
れ、たるみに起因する印画部１ａでのシワの発生は抑制
される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の熱
転写プリンタでは、印画率が高く、発熱抵抗素子５ｂか
らの熱の影響を大きく受けて印画部１ａの熱伸長が大き
く、たるみが生じ易い印画の場合には、円弧状のガイド
部３が印画部１ａでのたるみの発生を抑制できる。しか
しながら、印画率が比較的少なく、従って発熱抵抗素子
５ｂからの熱により印画部１ａの熱伸長がほとんど発生
しない印画の場合には、インクシート１の中央部は円弧
状をしたガイド部３の中央部で特に強く押圧された状態
で搬送されるため、インクシート１に対するテンション
が不均一となり、その結果インクシート１にシワが発生
し、このシワがインクシート１の搬送上流側に成長し
て、プラテンローラ２とサーマルヘッド５との接触部に
到達し、印画に悪影響を与えるという課題があった。

【０００５】この発明は、かかる課題を解決するために
なされたものであり、発熱抵抗素子からの発熱でインク
シート側に撓み変形するガイドで、印画率に応じて生ず
るインクシートのたるみの発生を抑制でき、印画率の高
低に拘わらず、インクシートに対するテンションが均一
な熱転写プリンタを提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明に係る請求項１
の熱転写プリンタは、サーマルヘッドの台座の端部に設
けられ一端部にインクシートが摺動されるガイド部と、
このガイド部の他端部に設けられガイド部の線膨張係数
よりも小さい線膨張係数で構成された保持部とを備え、
発熱抵抗素子からの発熱でガイド部はインクシート側に
撓み変形するようになっているものである。

【０００７】また、この発明の請求項２の熱転写プリン
タは、台座の線膨張係数よりも小さい材料からなる保持
部がガイド部から台座の片面に延設され、発熱抵抗素子
からの発熱で前記台座はプラテンローラ側に撓み変形す
るようになっているものである。

【０００８】また、この発明の請求項３の熱転写プリン
タは、サーマルヘッドの台座の片面にわたって台座の線
膨張係数よりも小さい材料からなる保持部を設け、発熱
抵抗素子からの発熱で前記台座はプラテンローラ側に撓
み変形するようになっているものである。

【０００９】

【発明の実施の形態】

実施の形態１．図１はこの発明の熱転写プリンタの要部
斜視図、図２は図１の要部側断面図であり、図６および
図７と同一または相当部分は同一符号を付し、その説明
は省略する。図において、１０は台座５ａの裏面端部に
複数個のねじ１１で固着された矩形状の保持部、１２は
保持部１０の端部に複数個のねじ１３で固着された矩形
状のガイド部であり、ガイド部１２は線膨張係数が大き
い材質（例えばアルミニューム、アルミニューム合
金）、保持部材１０は線膨張係数の小さい材質（例えば
ステンレス鋼、マンガンを含有する鉄係合金等）でそれ
ぞれ構成されている。

【００１０】このような構成の熱転写プリンタにおいて
は、印画時には発熱抵抗素子５ｂで発生した熱は熱伝導
により台座５ａを通ってガイド部１２および保持部１０
に伝達され、保持部１０およびガイド部１２はほぼ同一
温度になるが、ガイド部１２の線膨張係数は保持部１０
の線膨張係数よりも大きいため、保持部１０およびガイ
ド部１２は図３（ａ）から図３（ｂ）のようにインクシ
ート１側に撓み変形する。印画時には発熱抵抗素子５ｂ
からの熱の影響を大きく受けるインクシート１の印画部
１ａは熱伸長され、熱伸長されない非印画部１ｂとの境
界で大きなテンションの不均衡が生じ、印画部１ａには
たるみが生じ易くなるが、このときにはインクシート１
側にガイド部１２は撓み変形しており、このガイド部１
２の撓み変形によりインクシート１の印画部１ａは幅方
向に伸ばされてインクシート１に対するテンションは全
体に均一となり、インクシート１でのシワの発生が抑制
される。

【００１１】また、印画率の低い印画の場合には、発熱
抵抗素子５ｂの発熱量は小さく、印画部１ａの熱伸長は
小さく、印画部１ａでのたるみも小さくなるが、このと
きにはガイド部１２の撓み変形量も小さく、従ってこの
ときにもインクシート１に対する不均一なテンションの
発生を抑制できる。

【００１２】実施の形態２．ところで、図２および図５
（ａ）に示すように保持部１０がサーマルヘッド５の台
座５ａの一部に固着された構成では、その保持部１０が
固着された台座５ａの部分ではプラテンローラ２側に撓
み変形するものの、台座５ａ全体が撓み変形するのでは
なく、プラテンローラ２とサーマルヘッド５の台座５ａ
との挟持力の分布はプラテンローラ２の中央部が弱くな
る。これは、剛性が高く変形しにくいサーマルヘッド５
の台座５ａがプラテンローラ２のニップ部２ｂに押圧し
た場合、その軸芯２ａの両端部は支持されているので、
その両端部を支点として、台座５ａと比較して変形し易
い軸芯２ａは撓み変形し、軸芯２ａの中央部で台座５ａ
対してプラテンローラ２が浮かび上がった状態となるか
らである。

【００１３】この実施の形態２では、そのような不都合
を解消するためになされたもので、図４に示すように台
座５ａの背面全体に延びて固着された保持部２０が設け
られている。この保持部２０は複数個のねじ１１で台座
５ａに固着されている。サーマルヘッド５の台座５ａは
発熱抵抗素子５ｂの熱を放散させるため熱伝導の良好で
線膨張係数が大きなアルミニュームまたはアルミニュー
ム合金が用いられ、保持部２０は線膨張係数の小さい材
質（例えばステンレス鋼、マンガンを含有する鉄系合金
等）で構成されている。そのため、実施の形態１では台
座５ａの端部が撓み変形したのに対して、台座５ａと保
持部２０との間には加熱によるバイメタル効果で台座５
ａの中央部がプラテンローラ２側に近づくように図５
（ｂ）に示すように全体的に撓み変形し、ニップ部２ｂ
と台座５ａとの挟持力はプラテンローラ２の全幅におい
て一定化する。従って、加熱されて伸長して発生したイ
ンクシート１のシワがインクシート１の搬送上流側に成
長して台座５ａとニップ部２ｂとの間に入り込むような
ことは防止され、シワを巻き込んだ印画の発生を防止で
きる。また、印画率が高く、発熱抵抗素子５ｂからの発
熱量が多くインクシート１の伸長が大きくなるほど、バ
イメタル効果により台座５ａおよびニップ部２ｂの中央
部の挟持力が増すので、シワを巻き込んだ印画の発生を
より効果的に抑制できる。

【００１４】なお、実施の形態２では、台座５ａの線膨
張係数よりも小さい材料からなる保持部２０をガイド部
１２から台座５ａの片面全面に延設し、発熱抵抗素子５
ｂからの発熱で台座５ａの中央部がプラテンローラ２側
に突出するように撓み変形するようになっている熱転写
プリンタについて説明したが、台座の線膨張係数よりも
小さい材料から構成された保持部をガイド部から切り離
し、サーマルヘッドの片面全面に固着した熱転写プリン
タであってもよい。

【００１５】以上説明したように、この発明の熱転写プ
リンタによれば、サーマルヘッドの台座の端部に設けら
れているとともに一端部にインクシートが摺動されるガ
イド部と、このガイド部の他端部に設けられガイド部の
線膨張係数よりも小さい線膨張係数で構成された保持部
とを備え、発熱抵抗素子からの発熱でガイド部はインク
シート側に撓み変形するようになっているので、インク
シートが熱伸長された場合、その熱伸長に応じてガイド
部がインクシート側に撓み変形し、インクシート１に対
するテンションは全体に均一となり、インクシートでの
シワの発生が抑制される効果がある。

【００１６】また、台座の線膨張係数よりも小さい材料
からなる保持部をガイド部から台座の片面にわたって延
設し、発熱抵抗素子からの発熱で、ガイド部がインクシ
ート側に撓み変形し、また台座がプラテンローラ側に撓
み変形するようになっているので、インクシートに対す
るテンションは全体に均一となり、インクシートでのシ
ワの発生が抑制されるとともに、たとえインクシートの
シワが発生してもそのシワがインクシートの搬送上流側
に成長してプラテンローラとサーマルヘッドとの間に入
り込むようなことは防止され、シワを巻き込んだ印画の
発生を抑制できる効果がある。

【００１７】また、台座の線膨張係数よりも小さい材料
からなる保持部を台座の片面に配設し、発熱抵抗素子か
らの発熱で台座はプラテンローラ側に撓み変形するよう
になっているので、加熱されて伸長して発生したインク
シートのシワがプラテンローラとサーマルヘッドとの間
に入り込みにくくなり、シワを巻き込んだ印画の発生を
抑制できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明の実施の形態１を示す要部斜視図で
ある。

【図２】 図１の要部側断面図である。

【図３】 図１の要部断面図である。

【図４】 この発明の実施の形態２を示す要部側断面図
である。

【図５】 （ａ）は図２の要部断面図、（ｂ）は図４の
要部断面図である。

【図６】 従来の熱転写プリンタの一例を示す構成図で
ある。

【図７】 図６の要部斜視図である。

【符号の説明】

１ インクシート、２ プラテンローラ、４ 記録紙、
５ サーマルヘッド、５ａ 台座、５ｂ 発熱抵抗素
子、１０ 保持部、１２ ガイド部、２０ 保持部。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 プラテンローラとサーマルヘッドとの間
   に重ね合わされたインクシートと記録紙とを挟持し、プ
   ラテンローラを回転してインクシートと記録紙とを搬送
   させながらサーマルヘッドの複数個の発熱抵抗素子を選
   択的に加熱してインクシートのインクを記録紙に熱転写
   する熱転写プリンタにおいて、前記サーマルヘッドの台
   座の端部に設けられているとともに一端部に前記インク
   シートが摺動されるガイド部と、このガイド部の他端部
   に設けられガイド部の線膨張係数よりも小さい線膨張係
   数で構成された保持部とを備え、前記発熱抵抗素子から
   の発熱で前記ガイド部は前記インクシート側に撓み変形
   するようになっていることを特徴とする熱転写プリン
   タ。
2. 【請求項２】 台座の線膨張係数よりも小さい材料から
   なる保持部がガイド部から台座の片面に延設され、発熱
   抵抗素子からの発熱で前記台座はプラテンローラ側に撓
   み変形するようになっていることを特徴とする請求項１
   記載の熱転写プリンタ。
3. 【請求項３】 プラテンローラとサーマルヘッドとの間
   に重ね合わされたインクシートと記録紙とを挟持し、プ
   ラテンローラを回転してインクシートと記録紙とを搬送
   させながらサーマルヘッドの複数個の発熱抵抗素子を選
   択的に加熱して、インクシートのインクを記録紙に熱転
   写する熱転写プリンタにおいて、前記サーマルヘッドの
   台座の片面にわたって台座の線膨張係数よりも小さい材
   料からなる保持部を設け、前記発熱抵抗素子からの発熱
   で前記台座はプラテンローラ側に撓み変形するようにな
   っていることを特徴とする熱転写プリンタ。