JPH0975029A - 甘藷澱粉粕の処理方法 - Google Patents

甘藷澱粉粕の処理方法

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JPH0975029A
JPH0975029A JP7278502A JP27850295A JPH0975029A JP H0975029 A JPH0975029 A JP H0975029A JP 7278502 A JP7278502 A JP 7278502A JP 27850295 A JP27850295 A JP 27850295A JP H0975029 A JPH0975029 A JP H0975029A
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JP
Japan
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sweet potato
paper
cloth
potato starch
pulp
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JP7278502A
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Shigeo Fujimoto
滋生 藤本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、甘藷澱粉の製造工程において産出
される澱粉粕から、食材としての食物繊維を抽出精製
し、またこれから紙を製造する方法に関する。 【構成】 甘藷澱粉粕を乾燥し、30メッシュ前後の篩
を通したのち、水に懸濁してその沈澱部を回収する。こ
れをアルカリ水溶液で煮沸したのち漂白してパルプを得
る。さらにこのパルプを布の上に漉き、2枚の布にはさ
んだまま乾燥して紙をつくる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、甘藷澱粉の製造工程に
おいて副産物として産出される澱粉粕を食材化するため
の精製法、ならびにこれから紙をつくる方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】甘藷澱粉粕は以前はほとんどが飼料とし
て消費されていた。しかし現在はその一部を発酵原料と
してクエン酸製造工場が引き取っているのみで、残りは
畑地散布にするなどその処分に苦慮しているのが現状で
ある。島嶼部では運搬のために一部乾燥もされている
が、乾燥粕も土木工事の壁面処理剤や油吸着剤などのわ
ずかな用途しかない。
【0003】甘藷澱粉の製造は甘藷を皮のまま磨砕する
ので、磨砕物中には粗大な筋や表皮組織などが混在し、
工場内における湿式の篩分け操作ではこれらを分離する
ことが不可能である。またきわめて腐敗しやすく、普遍
的に酪酸臭を主とする悪臭を伴っていることもあわせ、
これを食材として利用する試みはなされていない。わず
かにクエン酸を製造した廃粕の一部をアルカリ処理や漂
白により精製したものが、ペースト状の食物繊維として
市販されているにすぎない。
【0004】また甘藷の澱粉粕は甘藷塊根の磨砕物に由
来しているため、通常の紙ができるような繊維は含まれ
ず、従来の方法では紙をつくることはできない。したが
ってこれまで、澱粉粕が紙の原料とされたことはない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】甘藷澱粉粕の主要成分
は塊根組織の細胞壁であり、この部分を抽出し精製する
ことができれば、食物繊維として食用化の道も開けよ
う。しかし前述のように工場における篩分け操作では、
細胞壁区分のみを分離することはできない。
【0006】一方、甘藷澱粉粕はいわゆる繊維状の形態
をなしていないので、これを紙のように漉こうとしても
漉き網を通過してしまう。もし漉き網に細かい布地など
を用い、さらに糊材などで粕を固めたとしても、フェル
ト状のもろい板にはなるがとうてい紙のような形態には
ならない。
【0007】
【課題を解決するための手段】甘藷澱粉粕をまず乾燥
し、30メッシュ前後の篩を通過させる。つぎにこの通
過部を水に懸濁攪拌して静置すると沈澱部と浮遊部に分
かれるので、その沈澱部を回収する。これを乾燥する場
合は、なるべく速やかに圧搾あるいは遠心分離などで脱
水する。
【0008】さらに沈澱部は、1%程度の稀薄な水酸化
ナトリウム水溶液中で煮沸したのち漂白するとパルプ状
になる。これは食物繊維として優れているほか、以下の
方法で紙状に加工することができる。すなわち製紙工程
においては漉き網の上に布を敷いてパルプを漉き、パル
プの上に別の布をかさねる。そして2枚の布にはさんだ
ままで、植物のさく葉標本作成のように圧搾乾燥させ、
完全に乾燥したのち布をはぐ。
【0009】以上の操作により、甘藷澱粉粕から細胞壁
成分に富んだ繊維質を抽出精製することができ、さらに
これを紙状にすることも可能である。なお、澱粉粕の全
体、あるいは精製時に篩上に残る区分や水に浮遊する区
分なども、上記沈澱部と同様の方法によれば紙状にする
ことができる。
【0010】
【発明の作用】甘藷澱粉粕は湿潤状態での精製はむつか
しいので、まず乾燥することが必須である。乾燥方法は
澱粉の乾燥に用いられている気流乾燥方式が好ましく、
乾燥した澱粉粕はよくほぐしたのち30メッシュ前後の
篩を通す。通常、全体の90ないし95%が篩を通過す
るが、この操作により粗大な筋や表皮組織をかなり分離
除去することができる。その理由は、生の状態では表皮
や筋などもやわらかく篩を通りやすいが、乾燥すること
により、細胞壁部分がかなり縮むのに比較して表皮や筋
などの縮みが少ないことにある。この両者を分別するに
は、30メッシュ前後の篩が最適である。
【0011】つぎにこの乾燥した30メッシュ以下の澱
粉粕を水に懇濁しよく攪拌すると、細胞壁の部分は水と
の親和性が高いので速やかに沈澱するが、表皮組織や筋
などはしばらくは水に浮いた状態を保っている。沈澱部
と浮遊部は中間の水層をへだててはっきり分離されるの
で、浮遊部を除去して沈澱部のみを回収する。この操作
により、篩を通過する大きさの表皮組織や筋なども、そ
のほとんどが除去される。沈澱部の割合はおよそ70な
いし75%である。
【0012】主として細胞壁よりなる沈澱部はその深部
まではまだ十分に水が浸透していないので、なるべく速
やかに圧搾あるいは遠心分離により脱水すれば、脱水後
の乾燥はきわめて容易である。なお、30メッシュの篩
上に残る粗大物の中には、親水性がなくても沈澱するも
のが多いので、前処理としての篩別は必要である。
【0013】以上の操作により、澱粉粕から甘藷の細胞
壁に富む部分をかなり純粋な状態で抽出することができ
る。甘藷の細胞壁の内部には微小な澱粉粒が付着して残
っているので、この精製甘藷澱粉粕もその重量の約半分
が澱粉である。
【0014】つぎにこの精製澱粉粕を稀薄な水酸化ナト
リウム水溶液で煮ると、澱粉が溶解するとともにペクチ
ン質やリグニンなどの一部が除かれ、繊維質がより純粋
に残る。水酸化ナトリウムの濃度は1%程度で十分であ
り、通常のパルプ材の処理に比してはるかに薄くてよ
い。水溶液の量は澱粉粕の20倍前後が適当である。ア
ルカリ処理ののち次亜塩素酸ナトリウムなどで漂白処理
を付加すれば真白なパルプを得る。このパルプはペース
ト状あるいは乾燥粉末の形で、保水性に富む高品質の食
物繊維食材になる。
【0015】またこのような処理により純化した細胞壁
成分は乾燥により収縮するが、前述のように布の上に漉
きあげたのちさらにその上に布をかさね、2枚の布には
さんだままで植物のさく葉標本のように圧搾乾燥するこ
とにより、原寸のままの紙が得られる。すなわち厚みと
してのみ収縮させることにより、横の収縮を防げばよ
い。この際糊料の添加は不要であり、澱粉粕重量の約2
0%に相当する紙が得られる。できた紙はそのままでは
耐水性に欠けるが、水可溶性あるいは可食性の特殊な紙
としての有効利用が考えられる。あるいは耐水性のコー
ティングを施してもよい。なおこの製紙方法であれば、
澱粉粕の精製段階で分離されるすべての区分を紙状に成
形することが可能であり、それぞれ特有の風合と用途を
もつ紙が得られる。
【0016】
【実施例1】乾燥した甘藷澱粉粕100gを30メッシ
ュの篩でふるい、通過区分約90gを得た。2000c
cの水にこれを懸濁し、十分に攪拌したのち静置すると
5分ほどで浮遊部と沈澱部が分かれたので、その沈澱部
のみを回収した。沈澱部の約半量を布に入れてきつくし
ぼり、新聞紙上にひろげて風乾した。そのまま50メッ
シュの篩にかけたところ、約25gの微粒子状の精製澱
粉粕を得た。篩上の残渣は約5gであった。
【0017】一方、ホーロー鍋に1000ccの水を入
れ水酸化ナトリウム10グラムを溶解したのち、沈澱部
の残り半量を入れて約10分間煮沸した。木綿布を敷い
たザルで濾過し流水でアルカリの一部を除去したのち、
再び1000ccの水に10ccの漂白剤(市販のハイ
ター)を入れた液で約5分間煮て脱色した。再び木綿布
に入れてしぼり、流水中で揉んで漂白剤を洗い流したの
ち、残ったパルプを2分した。
【0018】一半は布に包んで圧搾し、十分に脱汁した
ものを浅いバットにひろげ、送風式乾燥装置(EYEL
A:WFO−600ND)を用いて、60℃で10時間
乾燥した。その後家庭用小型ミルサー(SANYO:S
M−M7)で粉砕し、50メッシュの篩を通して白色の
微粉3.5gを得た。
【0019】パルプの残り半量は500ccの水に懸濁
し、木綿布を敷いたハガキ大の紙漉き枠に4分の1量ず
つ均等な厚さにひろげて入れた。水切り後、枠をはずし
て別の木綿布を上にかぶせ、上下に吸水のための布をか
さねて重しをおき脱水した。以後は植物標本の作成時の
ように、上下の木綿布のままで乾いた新聞紙にはさんで
圧搾し、完全に乾燥したのちに布をはがした。通常の和
紙程度の厚さできめが細かく、やや透明感のある白紙が
4枚得られ、合計重量は約4gであった。
【0020】
【実施例2】乾燥澱粉粕を30メッシュの篩でふるい、
篩上に残る区分を50g集めた。これをさらに9メッシ
ュの篩に通して粗大な夾雑物を除いたのち、実施例1と
まったく同様にして1000ccの1%水酸化ナトリウ
ム水溶液中で煮沸し、漂白して紙をつくった。原料が赤
い皮の甘藷であったため表皮の破片が褐色に残り、この
表皮と黄色の長い筋などを主体とする丈夫な紙になっ
た。10枚が得られ、総重量は約12gであった。また
実施例1の紙に比較して収縮率が小さく、作成も容易で
あった。
【0021】
【実施例3】澱粉粕の全体、および実施例1における水
浮遊部について、実施例1に準じてパルプ化を行い紙を
つくった。いずれも20%前後の収率であった。水浮遊
部からの紙は実施例2の紙に似ているがさらにきめが細
かい。澱粉粕全体からの紙は、やや透明感のある素地に
褐色の表皮や黄色の筋が混在する美しい紙になった。
【0022】
【発明の効果】甘藷は南九州における重要な農作物であ
るが、その最大の利用工業である澱粉製造工業において
副産物として排出される澱粉粕は、これまでほとんど利
用価値がなかった。本発明は、甘藷澱粉粕から優れた食
物繊維である細胞壁成分を抽出することにより、食材と
しての利用の道を開拓した。また同時に、澱粉粕からの
紙の製造も可能にした。
【0023】やっかいな廃棄物であり、悪臭や水汚染の
公害をひきおこしていた甘藷澱粉粕がすべて有効に利用
できるとすれば、甘藷澱粉工業において画期的なことで
あり、その経済的効果は甚大である。また現在わが国で
使用されている紙のほとんどは、輸入した木材パルプか
らつくられている。世界的な森林資源の枯渇が憂慮され
る昨今、かわって非木材紙とよばれる木材以外の1年生
の植物資材からつくられる紙が注目を集めている。すで
にケナフをはじめ、モロヘイヤ、麦わら、アシ、月桃な
どの植物、さらに産業廃棄物であるバガスやピール粕な
どから紙をつくる技術が確立され、またオカラからも紙
ができたとの報告もある。甘藷の蔓からも紙をつくる研
究が進められているが、これとあわせ、本発明の実施化
も、地球環境を守る非木材紙運動の有効な一環である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 甘藷澱粉の製造工程において産出する澱
    粉粕を乾燥し、30メッシュ前後の篩を通したのち水に
    懸濁して浮遊部と沈澱部に分け、その沈澱部を回収する
    ことを特徴とする、甘藷澱粉粕の精製法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法で得た沈澱部を、約
    1%濃度の水酸化ナトリウム水溶液中に懸濁し煮沸した
    のち漂白することによる、精製甘藷繊維質の製造法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の精製甘藷繊維質を布の上
    に漉きあげ、さらにその上に布をかさね、2枚の布には
    さんだままで乾燥することを特徴とする、精製紙の製造
    法。
  4. 【請求項4】 甘藷澱粉粕もしくは請求項1記載の方法
    を実施中に得られる副産物から、請求項2および請求項
    3記載の方法により紙をつくる、澱粉粕紙の製造法。
JP7278502A 1995-09-19 1995-09-19 甘藷澱粉粕の処理方法 Pending JPH0975029A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004277411A (ja) * 2003-02-19 2004-10-07 Toyo Shinyaku:Kk 甘藷澱粉粕の乾燥粉末およびそれを含有する組成物
JP2007197871A (ja) * 2006-01-27 2007-08-09 Kami Shoji Kk 機能紙及びその製造方法
JP2007319093A (ja) * 2006-06-01 2007-12-13 Kami Shoji Kk 紙製マルチ及びその製造方法
JP2015534815A (ja) * 2012-11-02 2015-12-07 エムスランド−シュテルケ ゲーエムベーハーEmsland−Staerke GmbH デンプン含有植物部分から製造された食物製品及び該食物製品の製造方法

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