JPH0959413A - ポリオレフィン系樹脂発泡体とそれを用いた絶縁電線および熱収縮チューブ - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂発泡体とそれを用いた絶縁電線および熱収縮チューブ

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Publication number
JPH0959413A
JPH0959413A JP7212227A JP21222795A JPH0959413A JP H0959413 A JPH0959413 A JP H0959413A JP 7212227 A JP7212227 A JP 7212227A JP 21222795 A JP21222795 A JP 21222795A JP H0959413 A JPH0959413 A JP H0959413A
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JP
Japan
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heat
foam
expansion ratio
polyolefin resin
strength
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Application number
JP7212227A
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English (en)
Inventor
Shinya Nishikawa
信也 西川
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 柔軟性にすぐれるとともに、誘電率の低下や
断熱性、クッション性の向上、あるいは軽量化等のため
に高発泡倍率としても、外力によって容易に切れるおそ
れのない多孔質構造の絶縁被覆や発泡タイプの熱収縮チ
ューブを形成しうるポリオレフィン系樹脂発泡体と、そ
れを用いた、上記の各特性にすぐれた絶縁電線および熱
収縮チューブを提供する。 【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂発泡体は、その引
張破断強度Ts 、セカントモジュラス値Sm および発泡
倍率Er が、下記式(1)(2)の関係にある。 Ts ≧3.5÷Er2/3 …(1) Sm ≦30÷Er2/3 …(2) 絶縁電線は、導体表面に、上記のポリオレフィン系樹脂
発泡体からなる絶縁被覆を形成した。熱収縮チューブ
は、上記のポリオレフィン系樹脂発泡体により形成し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ポリオレフィン
系樹脂発泡体と、それを用いた絶縁電線および熱収縮チ
ューブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】絶縁電線は、合成樹脂を、押出成形等に
よって導体表面に被覆して絶縁被覆を形成することで製
造される。一方、電線接続部等の被覆に用いられる熱収
縮チューブは、押出成形等によって製造した合成樹脂製
のチューブを、熱収縮性(ヒートセット性)を付与する
ために電子線の照射によって架橋処理した後、加熱下で
径方向に拡大させ、次いでこの拡大状態を維持しつつ急
冷することで製造される。
【0003】上記絶縁被覆や熱収縮チューブの材料であ
る合成樹脂としては種々のものが使用可能であるが、と
くに耐油性、耐薬品性、低温特性等が要求される絶縁被
覆や熱収縮チューブの材料としては、ポリオレフィン系
樹脂が好適に使用される。上記ポリオレフィン系樹脂と
しては、たとえば低密度ポリエチレン(LDPE)、線
状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、超低密度ポリ
エチレン(VLDPE)等の他、樹脂に柔軟性を付与す
べくα−オレフィン以外の他のモノマーを導入した、エ
チレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、エ
チレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチ
レン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の共重合体も好適
に使用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のポリオレフ
ィン系樹脂はいずれも、前記の各特性にすぐれるため、
汎用の絶縁電線や熱収縮チューブには広く使用される。
しかし、上記従来のポリオレフィン系樹脂を、たとえば
データの伝送速度を向上すべく、発泡によって多孔質構
造としてその誘電率を低下させた絶縁被覆を備えた絶縁
電線や、あるいは断熱性、クッション性の向上や軽量化
のために樹脂を発泡させた、いわゆる発泡タイプの熱収
縮チューブに適用するのは困難であった。
【0005】すなわち、前述した従来のポリオレフィン
系樹脂はいずれも、発泡させることによってその強度が
著しく低下するため、たとえば絶縁電線の場合は絶縁被
覆が切れやすくなって配線作業が困難になる等の問題を
生じ、また熱収縮チューブの場合も、切れやすくなって
被覆作業が困難になる等の問題を生じる。このため、従
来のポリオレフィン系樹脂を多孔質構造の絶縁電線や発
泡タイプの熱収縮チューブに適用するのは困難であり、
もし適用できたとしてもそれは、発泡による誘電率の低
下や断熱性、クッション性の向上、あるいは軽量化等の
効果がほとんど期待できない程度に発泡倍率の低いもの
に限定されてしまい、発泡させる意味がなくなってしま
う。
【0006】高密度ポリエチレン(HDPE)は、高発
泡倍率としても高強度の発泡体がえられるが、かかるH
DPEは本質的に硬質で柔軟性に乏しく、発泡させても
その性質は変わらないため、これをもし絶縁電線の絶縁
被覆に使用したとしても、狭い場所への配線作業等が容
易でなく、いわゆる電線のとり回し性が低下するという
問題を生じる。また上記HDPEの発泡体を熱収縮チュ
ーブに使用した場合には、狭い場所での被覆作業が容易
でなくなったり、あるいは電線等に対する追従性が低下
したりするという問題を生じる。
【0007】この発明の目的は、柔軟性にすぐれるとと
もに、誘電率の低下や断熱性、クッション性の向上、あ
るいは軽量化等のために高発泡倍率としても外力によっ
て容易に切れるおそれのない多孔質構造の絶縁被覆や発
泡タイプの熱収縮チューブを形成しうるポリオレフィン
系樹脂発泡体と、それを用いた、上記の各特性にすぐれ
た絶縁電線および熱収縮チューブを提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の、この発明のポリオレフィン系樹脂発泡体は、その引
張破断強度Ts (kg/mm2 )と発泡倍率Er とが、
式(1) : Ts ≧3.5÷Er2/3 …(1) の関係にあり、かつ発泡体のセカントモジュラス値Sm
(kg/mm2 )と上記発泡倍率Er とが、式(2) : Sm ≦30÷Er2/3 …(2) の関係にあることを特徴としている。
【0009】かかるこの発明のポリオレフィン系樹脂発
泡体は、所定の発泡倍率Er に対応する引張破断強度T
s が、つねに上記式(1) を満足する範囲内にあるため、
発泡倍率Er にかかわらず高強度であり、しかも上記発
泡倍率Er に対応するセカントモジュラス値Sm が、つ
ねに上記式(2) を満足する範囲内にあるため、発泡倍率
Er にかかわらず柔軟性にすぐれている。
【0010】よってこの発明のポリオレフィン系樹脂発
泡体により形成した多孔質構造の絶縁被覆は、柔軟性に
すぐれるとともに、誘電率を低下させるために高発泡倍
率としても外力によって容易に切れるおそれのないもの
となり、また熱収縮チューブは、同じく柔軟性にすぐれ
るとともに、断熱性、クッション性の向上、あるいは軽
量化のために高発泡倍率としても、外力によって容易に
切れるおそれのないものとなる。
【0011】
【発明の実施の形態】まず、この発明のポリオレフィン
系樹脂発泡体について説明する。この発明のポリオレフ
ィン系樹脂発泡体は、ポリオレフィン系樹脂を発泡させ
たもので、前述したように、その引張破断強度Ts (k
g/mm2 )と発泡倍率Er とが、式(1) : Ts ≧3.5÷Er2/3 …(1) の関係にあり、かつ発泡体のセカントモジュラス値Sm
(kg/mm2 )と上記発泡倍率Er とが、式(2) : Sm ≦30÷Er2/3 …(2) の関係にあることが必須の要件である。
【0012】もし発泡体の引張破断強度Ts と発泡倍率
Er とが、前記式(1) を満足する関係にない場合、すな
わち Ts <3.5÷Er2/3 である場合には、発泡体の強度が低下して、かかる発泡
体により形成される絶縁被覆や熱収縮チューブが、外力
によって切れやすくなるという問題を生じる。
【0013】一方、発泡体のセカントモジュラス値Sm
と発泡倍率Er とが、前記(2) を満足する関係にない場
合、すなわち Sm >30÷Er2/3 である場合には、発泡体の柔軟性が不十分となって、か
かる発泡体により形成される絶縁被覆を有する絶縁電線
はとり回し性が低下し、熱収縮チューブは狭い場所での
被覆作業が容易でなくなったり、あるいは電線等に対す
る追従性が低下したりするという問題を生じる。
【0014】なおポリオレフィン系樹脂発泡体の発泡倍
率Er は、この発明ではとくに限定されないが、およそ
1.3〜4倍程度であるのが好ましい。発泡体の発泡倍
率Er が上記範囲未満では、発泡による誘電率の低下や
断熱性、クッション性の向上、軽量化等の効果が十分に
えられないおそれがあり、また逆に発泡体の発泡倍率E
r が上記範囲を超えた場合には、この発明の構成をもっ
てしても、発泡体の強度が低下するのを防止できず、か
かる発泡体により形成される絶縁被覆や熱収縮チューブ
が、外力によって切れやすくなるおそれがある。
【0015】なお発泡体の発泡倍率Er は、発泡による
誘電率の低下や断熱性、クッション性の向上、軽量化等
の効果と、発泡体の強度との兼ねあいを考慮すると、上
記範囲内でもとくに1.5〜2.5倍程度であるのがさ
らに好ましい。発泡によって上記の各特性を満足するポ
リオレフィン系樹脂発泡体を構成しうるポリオレフィン
系樹脂としては、これに限定されないがたとえば、特開
平6−306121号公報、特表平7−500622号
公報に開示された、弾性でかつ実質的に線状であるポリ
オレフィン系樹脂が好適に使用される。
【0016】かかる弾性でかつ実質的に線状であるポリ
オレフィン系樹脂は、たとえばエチレンや炭素数3〜2
0程度のα−オレフィンをいずれか1種単独で、あるい
はエチレンと、炭素数3〜20程度のα−オレフィンと
を2種以上併用して、メタロセン等の金属配位錯体と活
性化共触媒とを含む触媒組成物の存在下で重合させるこ
とにより製造されるもので、その主鎖を構成する炭素原
子1000個当り0.01〜3個、好ましくは0.01
〜1個、より好ましくは0.5〜1個の割合で、炭素数
6以上の長分岐鎖を有するものである。
【0017】上記のポリオレフィン系樹脂は、高分岐低
密度ポリエチレン(通常のLDPE)に似た加工性を有
するとともに、エチレンとα−オレフィンとをチーグラ
ー触媒によって重合させた不均一線状重合体(たとえば
L−LDPE等)と同程度の強度と靱性を備えており、
しかも前記のように、LDPEやL−LDPEとは全く
違った構造を有している。
【0018】上記の、弾性でかつ実質的に線状であるポ
リオレフィン系樹脂の具体例としては、これに限定され
ないがたとえば、米国ダウケミカル社(the Dow
Chemical Co.)製の商品名「AFFIN
ITY(アフィニティー)」シリーズシリーズがあげら
れる。上記シリーズは、エチレンと1−オクテンとの共
重合体であり、オクテン分の割合の違い等によって種々
のグレードのものが提供されている。
【0019】そのうち、この発明にとくに好適に使用さ
れるものとしては、たとえば商品名AFFINITY
PF1140〔オクテン分14.5重量%、メルトイン
デックス(MI)値1.6、密度0.895、引張破断
強度4.5kg/mm2 〕、AFFINITY PL1
880〔オクテン分12重量%、メルトインデックス
(MI)値1、密度0.902、引張破断強度4.8k
g〕、AFFINITYPL1840〔オクテン分9.
5重量%、メルトインデックス(MI)値1、密度0.
908、引張破断強度5.0kg〕、AFFINITY
FM1570〔オクテン分7.5重量%、メルトイン
デックス(MI)値1、密度0.915、引張破断強度
5.4kg/mm2 〕等があげられる。これらのポリオ
レフィン系樹脂はMI値が低く加工性にすぐれるため、
絶縁電線や熱収縮チューブの製造が容易である。
【0020】上記の、弾性でかつ実質的に線状であるポ
リオレフィン系樹脂はそれ自体、高い引張破断強度と十
分な柔軟性とを兼ね備えており、これを発泡させること
によって、前述した式(1)(2)を同時に満足する、この発
明のポリオレフィン系樹脂を製造することが可能であ
る。ポリオレフィン系樹脂は、たとえば絶縁電線の場合
は、押出成形等によって絶縁被覆を成形するのと同時
に、当該成形時の熱によって発泡させるのがよく、また
熱収縮チューブの場合も、押出成形等によって当該熱収
縮チューブのもとになるチューブを成形するのと同時
に、当該成形時の熱によって発泡させるのがよい。
【0021】上記熱による発泡には、従来公知の種々の
発泡剤が使用でき、とくにアゾジカルボンアミド、アゾ
ビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジニトロソペ
ンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;パラトル
エンスルホニルヒドラジド、4,4′−オキシビスベン
ゼンスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化
合物などの、有機発泡剤が好適に使用される。
【0022】発泡剤の配合量はとくに限定されず、前述
したポリオレフィン系樹脂発泡体の発泡倍率Er にあわ
せて、配合量を調整すればよい。つぎに、この発明の絶
縁電線について説明する。この発明の絶縁電線は、導体
の表面に、上記この発明のポリオレフィン系樹脂発泡体
からなる絶縁被覆が形成されたものである。
【0023】導体としては、銅、軟銅、銀、ニッケルめ
っき軟銅、すずめっき軟銅等の、従来公知の導体材料か
らなるものが、いずれも使用可能である。上記絶縁電線
は、従来と同様にして製造することができる。すなわち
発泡剤が添加された発泡前のポリオレフィン系樹脂を含
む成形材料を、押出成形等によって、発泡させつつ導体
の表面に被覆すればよい。
【0024】絶縁電線における、絶縁被覆の厚みや導体
の径等はとくに限定されず、いずれも絶縁電線の規格等
に適合させた寸法とすればよい。上記この発明の絶縁電
線は、この発明のポリオレフィン系樹脂発泡体により構
成された絶縁被覆を有するため柔軟でとり回し性がよ
く、しかも誘電率の低下のために高発泡倍率としても、
上記絶縁被覆が、外力によって容易に切れるおそれがな
いという、すぐれた特性を有している。
【0025】なお、上記絶縁被覆を構成するポリオレフ
ィン系樹脂は、とくに絶縁被覆の耐熱変形性を改善し
て、加熱下で外力を受けた際に、絶縁被覆が変形して絶
縁性が低下したり、あるいは導体の短絡が発生したりす
るのを防止するために、架橋させてもよい。ポリオレフ
ィン系樹脂を架橋するには種々の方法が採用できるが、
とくに絶縁電線の生産性を考慮すると、導体表面に形成
した絶縁被覆に電子線を照射して架橋させるのがよい。
【0026】かかる架橋を行うと、絶縁被覆の引張破断
強度、およびセカントモジュラス値はともに上昇する傾
向を示すが、通常の架橋密度の範囲では、セカントモジ
ュラス値は、依然として前記式(2) で規定された範囲内
にあり、絶縁被覆は実用上、差支えのない柔軟性を示
す。また絶縁被覆には、難燃性を付与すべく、従来公知
の種々の添加剤を配合してもよい。
【0027】上記添加剤としては、これに限定されない
がたとえば酸化防止剤、難燃剤、充てん剤等があげられ
る。これら添加剤の配合量は、従来と同程度でよい。こ
られの添加剤を配合すると絶縁被覆は、引張破断強度が
若干低下し、かつセカントモジュラス値がわずかに上昇
する傾向を示す。しかし、添加剤を通常の範囲で添加し
た場合には、絶縁被覆は、従来のポリオレフィン系樹脂
において同じ配合を実施した場合よりも格段に高強度で
あり、その引張破断強度は、依然として前記式(1) で規
定された範囲内にある。また、添加剤を通常の範囲で添
加した場合には、絶縁被覆のセカントモジュラス値は、
依然として前記式(2) で規定された範囲内にあり、絶縁
被覆は実用上、差支えのない柔軟性を示す。
【0028】つぎに、この発明の熱収縮チューブについ
て説明する。この発明の熱収縮チューブは、前記この発
明のポリオレフィン系樹脂発泡体からなるものである。
上記熱収縮チューブは、従来と同様にして製造すること
ができる。すなわち発泡剤が添加された発泡前のポリオ
レフィン系樹脂を含む成形材料を、押出成形等によっ
て、発泡させつつチューブ状に成形した後、このチュー
ブに電子線を照射してポリオレフィン系樹脂を架橋させ
る。つぎに上記チューブを、ポリオレフィン系樹脂の融
点以上の温度で加熱しつつ、その内部に圧縮空気を送り
込む等してチューブを所定の径に膨らませた後、速やか
に冷却すると熱収縮チューブが製造される。なお上記架
橋処理には、熱収縮して電線接続部等を被覆した状態で
の、チューブの耐熱変形性を向上する目的もある。
【0029】上記熱収縮チューブは、この発明のポリオ
レフィン系樹脂発泡体により構成されるため柔軟であ
り、狭い場所での被覆作業等が容易であるとともに、電
線等に対する追従性がよい。また上記熱収縮チューブ
は、断熱性、クッション性の向上や軽量化のために高発
泡倍率としても、外力によって容易に切れるおそれがな
い。しかも熱収縮後のチューブは耐熱変形性がよいとい
う、すぐれた特性を有している。
【0030】なお上記熱収縮チューブは、所定の径に膨
らませた状態では、若干、引張破断強度が低下するが、
従来のポリオレフィン系樹脂を用いた場合よりもはるか
に高強度である。上記熱収縮チューブには、難燃性を付
与すべく、前記と同様の添加剤を配合してもよい。添加
剤の配合量は従来と同程度でよい。
【0031】こられの添加剤を配合すると熱収縮チュー
ブは、引張破断強度が若干低下し、かつセカントモジュ
ラス値がわずかに上昇する傾向を示す。しかし、添加剤
を通常の範囲で添加した場合には、熱収縮チューブは、
従来のポリオレフィン系樹脂において同じ配合を実施し
た場合よりも格段に高強度であり、その引張破断強度
は、依然として前記式(1) で規定された範囲内にある。
また、添加剤を通常の範囲で添加した場合には、熱収縮
チューブのセカントモジュラス値は、依然として前記式
(2) で規定された範囲内にあり、熱収縮チューブは実用
上、差支えのない柔軟性を示す。
【0032】
【実施例】以下にこの発明を、実施例、比較例に基づい
て説明する。 実施例1 エチレン−1−オクテン共重合体(EO、前出の商品
名「AFFINITYPF1140」、オクテン分1
4.5重量%)と、有機発泡剤であるアゾジカルボンア
ミドとを混合し、ついでこの混合物をペレタイザーによ
ってペレット化した後、押出成形機(30mmφ)を用
いて、外径0.81mmφの導体の表面に押出と同時に
発泡させて、厚みが0.5mmで、かつ発泡倍率が1.
5倍、2倍または2.5倍である絶縁被覆を有する3種
の絶縁電線を製造した。なお発泡倍率は、エチレン−1
−オクテン共重合体100重量部に対するアゾジカルボ
ンアミドの添加量を下記のように増減することで調整し
た。
【0033】 発泡倍率 アゾジカルボンアミド 1.5倍 0.3重量部 2倍 0.7重量部 2.5倍 1.2重量部 実施例2 絶縁被覆の材料として、オクテン分が12重量%である
エチレン−1−オクテン共重合体(EO、前出の商品
名「AFFINITY PL1880」)を使用したこ
と以外は、実施例1と同様にして3種の絶縁電線を製造
した。 実施例3 絶縁被覆の材料として、オクテン分が7.5重量%であ
るエチレン−1−オクテン共重合体(EO、前出の商
品名「AFFINITY FM1570」)を使用した
こと以外は、実施例1と同様にして3種の絶縁電線を製
造した。 比較例1〜7 絶縁被覆の材料として下記のポリオレフィン系樹脂を使
用したこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれ3
種ずつの絶縁電線を製造した。
【0034】 比較例1:EEA(エチルアクリレート分7重量%) 比較例2:EVA(酢酸ビニル分18重量%) 比較例3:LDPE(密度0.918) 比較例4:L−LDPE(密度0.92) 比較例5:VLDPE(密度0.89) 比較例6:EPDM(エチレン分70重量%) 比較例7:HDPE(密度0.96) 上記各実施例、比較例で製造した絶縁電線について、以
下の各試験を行い、その特性を評価した。 引張破断強度測定I 実施例、比較例で製造したそれぞれ3種の絶縁電線から
絶縁被覆をはく離して長さ100mmの試験片を作製し
た。そしてこの試験片を、インストロン引張試験機を用
いて引張速度50mm/分の速度で長さ方向に引っ張っ
た際の破断強度を測定して、絶縁被覆の強度を評価し
た。 セカントモジュラス値測定I 実施例、比較例で製造したそれぞれ3種の絶縁電線から
絶縁被覆をはく離して長さ100mmの試験片を作製し
た。そしてこの試験片を、インストロン引張試験機を用
いて引張速度50mm/分の速度で長さ方向に引っ張っ
た際の2%伸長時の抗張力を測定し、それを50倍して
セカントモジュラス値(kg/mm2 )を求めて、絶縁
被覆の柔軟性を評価した。
【0035】以上の結果を、実施例、比較例で使用した
樹脂の、加熱温度190℃、荷重2.16kgにおける
メルトインデックス値(MI値、g/10分)、および
密度の測定結果とともに、表1〜表3に示す。なお、前
記式(1) で表される引張破断強度の、3種の発泡倍率
(1.5倍、2倍および2.5倍)における下限値は、 発泡倍率 引張破断強度 1.5倍 2.7kg/mm2 2倍 2.2kg/mm2 2.5倍 1.9kg/mm2 であり、前記式(2) で表されるセカントモジュラス値
の、3種の発泡倍率(1.5倍、2倍および2.5倍)
における上限値は、 発泡倍率 セカントモジュラス値 1.5倍 22.9kg/mm2 2倍 18.9kg/mm2 2.5倍 16.3kg/mm2 である。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】上記各表に示した実施例、比較例のうち、
ポリオレフィン系樹脂としてEEA、EVA、LDP
E、L−LDPE、VLDPE、EPDMを使用した比
較例1〜6の絶縁電線の絶縁被覆はいずれも、セカント
モジュラス値が、前記各発泡倍率における上限値以下で
あるため柔軟性については問題ないものの、引張破断強
度が、前記各発泡倍率における下限値未満であるため強
度的に不十分であり、外力によって切れやすいことがわ
かった。
【0040】またポリオレフィン系樹脂としてHDPE
を使用した比較例7の絶縁電線の絶縁被覆は、引張破断
強度が、前記各発泡倍率における下限値以上であるため
強度的には問題ないものの、セカントモジュラス値が、
前記各発泡倍率における上限値をはるかに超えるため柔
軟性が不十分であることがわかった。これに対し、実施
例1〜3の絶縁電線の絶縁被覆はいずれも、セカントモ
ジュラス値が、前記各発泡倍率における上限値以下であ
るため高い柔軟性を有しており、とり回し性が良好であ
るとともに、引張破断強度が、前記各発泡倍率における
下限値以上であるため高強度で、外力によって容易に切
れるおそれのないものであることがわかった。 実施例4 エチレン−1−オクテン共重合体(EO、前出の商品
名「AFFINITYPF1140」、オクテン分1
4.5重量%)と、有機発泡剤であるアゾジカルボンア
ミドとを混合し、ついでこの混合物をペレタイザーによ
ってペレット化した後、押出成形機(30mmφ)を用
いて、外径5.0mmφ、内径3.0mmφで、かつ発
泡倍率が1.5倍、2倍または2.5倍であるチューブ
を、押出と同時に発泡成形した。なお発泡倍率は、エチ
レン−1−オクテン共重合体100重量部に対するアゾ
ジカルボンアミドの添加量を下記のように増減すること
で調整した。
【0041】 発泡倍率 アゾジカルボンアミド 1.5倍 0.3重量部 2倍 0.7重量部 2.5倍 1.2重量部 つぎに上記3種のチューブに、それぞれ電子線加速器を
用いて、加速電圧2MVの条件で照射線量200kGy
の電子線を照射して架橋させ、ついで150℃に加熱し
たチューブ内に圧縮空気を送り込んで外径が10mmφ
になるまで膨らませた後、速やかに冷却して、3種の熱
収縮チューブを製造した。 実施例5 オクテン分が12重量%であるエチレン−1−オクテン
共重合体(EO、前出の商品名「AFFINITY
PL1880」)を使用したこと以外は、実施例4と同
様にして3種の熱収縮チューブを製造した。 実施例6 オクテン分が7.5重量%であるエチレン−1−オクテ
ン共重合体(EO、前出の商品名「AFFINITY
FM1570」)を使用したこと以外は、実施例4と
同様にして3種の熱収縮チューブを製造した。 比較例8〜14 下記のポリオレフィン系樹脂を使用したこと以外は、実
施例4と同様にして、それぞれ3種ずつの絶縁電線を製
造した。
【0042】 比較例8:EEA(エチルアクリレート分7重量%) 比較例9:EVA(酢酸ビニル分18重量%) 比較例10:LDPE(密度0.918) 比較例11:L−LDPE(密度0.92) 比較例12:VLDPE(密度0.89) 比較例13:EPDM(エチレン分70重量%) 比較例14:HDPE(密度0.96) 上記各実施例、比較例で製造した熱収縮チューブについ
て、以下の各試験を行い、その特性を評価した。 引張破断強度測定II 実施例、比較例で製造したそれぞれ3種の熱収縮チュー
ブを5分間、150℃に加熱して元の径まで熱収縮させ
た後、切断して、長さ100mmの試験片を作製した。
そしてこの試験片を、インストロン引張試験機を用いて
引張速度50mm/分の速度で長さ方向に引っ張った際
の破断強度を測定して、熱収縮チューブの強度を評価し
た。 セカントモジュラス値測定II 実施例、比較例で製造したそれぞれ3種の熱収縮チュー
ブを5分間、150℃に加熱して元の径まで熱収縮させ
た後、切断して、長さ100mmの試験片を作製した。
そしてこの試験片を、インストロン引張試験機を用いて
引張速度50mm/分の速度で長さ方向に引っ張った際
の2%伸長時の抗張力を測定し、それを50倍してセカ
ントモジュラス値(kg/mm2 )を求めて、熱収縮チ
ューブの柔軟性を評価した。
【0043】以上の結果を表4〜表6に示す。なお、前
記式(1) で表される引張破断強度の、3種の発泡倍率
(1.5倍、2倍および2.5倍)における下限値、お
よび前記式(2) で表されるセカントモジュラス値の、3
種の発泡倍率(1.5倍、2倍および2.5倍)におけ
る上限値は、前記のとおりである。
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】上記各表に示した実施例、比較例のうち、
ポリオレフィン系樹脂としてEEA、EVA、LDP
E、L−LDPE、VLDPE、EPDMを使用した比
較例8〜13の熱収縮チューブはいずれも、セカントモ
ジュラス値が、前記各発泡倍率における上限値以下であ
るため柔軟性については問題ないものの、引張破断強度
が、前記各発泡倍率における下限値未満であるため強度
的に不十分であり、外力によって切れやすいことがわか
った。
【0048】またポリオレフィン系樹脂としてHDPE
を使用した比較例7の熱収縮チューブは、引張破断強度
が、前記各発泡倍率における下限値以上であるため強度
的には問題ないものの、セカントモジュラス値が、前記
各発泡倍率における上限値をはるかに超えるため柔軟性
が不十分であることがわかった。これに対し、実施例4
〜6の熱収縮チューブはいずれも、セカントモジュラス
値が、前記各発泡倍率における上限値以下であるため高
い柔軟性を有しているとともに、引張破断強度が、前記
各発泡倍率における下限値以上であるため高強度で、外
力によって容易に切れるおそれのないものであることが
わかった。
【0049】
【発明の効果】以上、詳述したようにこの発明によれ
ば、柔軟性にすぐれるとともに、誘電率の低下や断熱
性、クッション性の向上、あるいは軽量化等のために高
発泡倍率としても、外力によって容易に切れるおそれの
ない多孔質構造の絶縁被覆や発泡タイプの熱収縮チュー
ブを形成しうるポリオレフィン系樹脂発泡体と、それを
用いた、上記の各特性にすぐれた絶縁電線および熱収縮
チューブがえられる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオレフィン系樹脂からなる発泡体であ
    って、その引張破断強度Ts (kg/mm2 )と発泡倍
    率Er とが、式(1) : Ts ≧3.5÷Er2/3 …(1) の関係にあり、かつ発泡体のセカントモジュラス値Sm
    (kg/mm2 )と上記発泡倍率Er とが、式(2) : Sm ≦30÷Er2/3 …(2) の関係にあることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発
    泡体。
  2. 【請求項2】導体表面に、請求項1記載のポリオレフィ
    ン系樹脂発泡体からなる絶縁被覆が形成されていること
    を特徴とする絶縁電線。
  3. 【請求項3】請求項1記載のポリオレフィン系樹脂発泡
    体からなることを特徴とする熱収縮チューブ。
JP7212227A 1995-08-21 1995-08-21 ポリオレフィン系樹脂発泡体とそれを用いた絶縁電線および熱収縮チューブ Pending JPH0959413A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014098100A1 (ja) * 2012-12-18 2014-06-26 住友電気工業株式会社 電気ケーブル

Cited By (3)

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WO2014098100A1 (ja) * 2012-12-18 2014-06-26 住友電気工業株式会社 電気ケーブル
US9349505B2 (en) 2012-12-18 2016-05-24 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Electric cable
US9818505B2 (en) 2012-12-18 2017-11-14 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Electric cable

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