JPH0953891A - シェルアンドチューブ型熱交換器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 治具なしで組み付け、ロウ付けを行うこ
とができ、その組付け性を改善し、効率よく熱回収を行
うことができるとともに、水の流れ方向を変えることが
できる邪魔板の挿入も可能としたシェルアンドチューブ
型熱交換器を提供すること。 【解決手段】 スペーサ２２を用いてフランジ２１を所
定の姿勢に組み付けること、フランジ２１の間にスペー
サ２２に固定可能なガイドプレート２３を設けてパイプ
４を固定することに着目したもので、パイプ４の長さ方
向に沿って配置したスペーサ２２を設け、スペーサ２２
の両端にフランジ２１を固定し、フンラジより小さな面
積を有するガイドプレート２３を、シェル２の内部にお
いてスペーサ２２により支持したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はシェルアンドチュー
ブ型熱交換器にかかるもので、とくにその組付け性およ
び熱交換率を改善したシェルアンドチューブ型熱交換器
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、数ｋＷ以上の冷凍能力を有す
る冷凍機に逆スターリングサイクルやヴィルミエサイク
ルなどを適用する場合に、一般にシェルアンドチューブ
型の熱交換器を採用することが多い。

【０００３】図５は、従来のシェルアンドチューブ型熱
交換器１の平面図、図６は、図５のＶＩ−ＶＩ線断面図
であって、シェルアンドチューブ型熱交換器１は、円筒
状のシェル２と、上下一対の円盤状のフランジ３と、多
数のパイプ４（細管、チューブ）と、を有する。それぞ
れのパイプ４の両端部を上下一対のフランジ３間に固定
してパイプ組立て体５とし、このパイプ組立て体５をシ
ェル２に挿入してある。

【０００４】図７は、シェル２および蓋材６の断面図で
あって、シェル２には熱交換媒体たとえば水の導入口７
および導出口８を形成し、またフランジ３との間をシー
ルするＯリング９を設けてある。

【０００５】取付けボルト１０により蓋材６をシェル２
に固定して内部を密閉し、シェル２およびフランジ３の
内方においてパイプ４が配置された空間を熱交換空間１
１として形成してある。

【０００６】スターリング冷凍機やヴィルミエ冷凍機な
どの場合には、パイプ４の内部に作動ガスを通過させる
とともに、パイプ４の外部に水を通過させることにより
熱交換空間１１において作動ガスと水との間で熱交換を
行わせる。

【０００７】こうしたシェルアンドチューブ型熱交換器
１においては、パイプ４内部に高圧で封入した作動ガス
のリークを防ぐために、パイプ組立て体５を炉中ロウ付
けする必要がある。

【０００８】しかしながら、従来のシェルアンドチュー
ブ型熱交換器１では炉中ロウ付けを行う場合に、以下の
ような諸問題がある。すなわち、シェル２とフランジ３
との間をＯリング９によってシールする必要があるた
め、一対のフランジ３間の間隔、平行度および同心度を
正確に合わせるための治具が必要であるという問題があ
る。

【０００９】また、熱交換空間１１内において水の流れ
方向をかえる邪魔板が設置されていないため、効率よく
熱を回収することが困難であり、かつこの邪魔板の配置
が困難であるという問題がある。

【００１０】さらに、熱交換空間１１内においてパイプ
４の群とシェル２との間の隙間が比較的大きいため、こ
の隙間を通じて水が流れてしまい、充分な量の水がパイ
プ４群全体に均一に供給されず熱交換効率が低いという
問題がある。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
諸問題にかんがみなされたもので、治具なしで組み付
け、ロウ付けを行うことができるようにしたシェルアン
ドチューブ型熱交換器を提供することを課題とする。

【００１２】また本発明は、効率よく熱回収を行うこと
ができるようにしたシェルアンドチューブ型熱交換器を
提供することを課題とする。

【００１３】また本発明は、スターリング冷凍機やヴィ
ルミエ冷凍機その他の冷凍機にも応用可能で、その組付
け性を改善したシェルアンドチューブ型熱交換器を提供
することを課題とする。

【００１４】また本発明は、水の流れ方向を変えること
ができる邪魔板の挿入も可能としたシェルアンドチュー
ブ型熱交換器を提供することを課題とする。

【００１５】

【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、スペ
ーサを用いてフランジを所定の姿勢に組み付けること、
このフランジの間にスペーサに固定可能なガイドプレー
トを設けてパイプを固定することに着目したもので、筒
状のシェルと、このシェル内に収納する盤状のフランジ
と、このフランジにそれぞれの両端部を配置した多数の
パイプと、を有するとともに、上記シェルおよび上記フ
ランジの内方において上記パイプが配置された空間を熱
交換空間として形成したシェルアンドチューブ型熱交換
器であって、上記パイプの長さ方向に沿って配置したス
ペーサを設け、このスペーサの両端に上記フランジを固
定し、上記フンラジより小さな面積を有するガイドプレ
ートを、上記シェルの内部において上記スペーサにより
支持したことを特徴とするシェルアンドチューブ型熱交
換器である。

【００１６】上記フランジおよび上記スペーサは、これ
をノックピンにより位置決めすることができる。

【００１７】上記ガイドプレートは、上記スペーサに形
成したプレート挿入溝にこれを挿入可能とすることがで
きる。

【００１８】上記ガイドプレートは、好ましくはシェル
内壁の円弧に沿った半円状ないし円弧状の端部を有する
ものとすれば、シェル内壁にこの端部を当接した状態で
ガイドプレートを配置し、シェル内部を有効に使った邪
魔板として機能させることができる。

【００１９】本発明によるシェルアンドチューブ型熱交
換器においては、スペーサによりフランジを所定の姿勢
に固定可能としたので、一対のフランジの間隔、平行
度、および同心度を所望の値になるようにあらかじめ設
定可能となる。

【００２０】このフランジおよびガイドプレートにパイ
プを固定することができるようにしたので、パイプ組立
て体として、その組み付け、およびロウ付けを行うため
の治具を必要とせず、組付け性を向上させることができ
る。

【００２１】熱交換空間内においてスペーサがパイプ群
周囲への水の流れをせき止めるため、パイプの周囲を充
分に水が通過することができて、熱交換率を良好とする
ことができる。

【００２２】スペーサに形成したプレート挿入溝などに
ガイドプレートを固定することができるので、ガイドプ
レートを邪魔板として機能させ、パイプ群のほぼ全域に
わたって水を流れさせることができるため、水の均一な
供給が可能となり、さらに熱交換率を向上させることが
できる。

【００２３】

【発明の実施の形態】つぎに本発明の実施の形態による
シェルアンドチューブ型熱交換器２０を図１ないし図４
にもとづき説明する。ただし、図５ないし図７と同様の
部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
図１は、シェルアンドチューブ熱交換器２０の縦断面
図、図２は図１のＩＩ矢視図、図３は、図２のＩＩＩ−
ＩＩＩ線断面図であって、シェルアンドチューブ熱交換
器２０は、円筒状のシェル２と、上下一対の蓋材６と、
前記フランジ３に相当する上下一対のフランジ２１と、
左右一対のスペーサ２２と、パイプ４と、ガイドプレー
ト２３と、を有する。

【００２４】図４は、パイプ組立て体２４の分解斜視図
であって、パイプ組立て体２４は上下一対のフランジ２
１と、左右一対のスペーサ２２と、ガイドプレート２３
と、パイプ４と、からこれを構成している。

【００２５】とくに図４に示すように、フランジ２１
は、その直径方向に対向して形成した円弧状の支持台部
２５と、支持台部２５の間に形成したくぼみ状のパイプ
固定部２６とを有する。円弧状の支持台部２５には一対
のノックピン挿入孔２７を形成するとともに、パイプ固
定部２６には所定の配列で多数のパイプ挿入孔２８を形
成する。

【００２６】スペーサ２２は、支持台部２５とほぼ同様
の断面円弧状にこれを構成してあり、支持台部２５と同
様にノックピン挿入孔２９を形成してあり、上下一対の
ノックピン３０によってフランジ２１とスペーサ２２と
を一体に固定可能としてあり、その内方に熱交換空間１
１を形成することができる。

【００２７】さらに、スペーサ２２がフランジ２１のパ
イプ固定部２６に面する側の内壁面には平行にたとえば
３本のプレート挿入溝３１をそれぞれ所定間隔をあけて
形成し、左右一対のスペーサ２２のプレート挿入溝３１
にガイドプレート２３の両側面部２３Ａを挿入すること
によりガイドプレート２３を固定可能としてある。

【００２８】ガイドプレート２３は、フランジ２１（パ
イプ固定部２６）より小さな面積を有するもので、その
一方の端部を円弧状端部２３Ｂ、他方の端部を直線状端
部２３Ｃとしてあり、円弧状端部２３Ｂと直線状端部２
３Ｃとの間の長さをプレート挿入溝３１の長さより短く
構成してある。

【００２９】さらに、図１に示すように、円弧状端部２
３Ｂがシェルの内壁に当接するようにして、図中上下で
隣り合うガイドプレート２３の位置が互いにずれるよう
にスペーサ２２のプレート挿入溝３１に固定するものと
し、かくしてパイプ４のまわりを水が蛇行するようにし
てある（図１の仮想線を参照）。

【００３０】なおこのガイドプレート２３の表面にも、
パイプ挿入孔２８と同様の、かつ同一位置にパイプ挿入
孔３２を形成しパイプ４を挿入可能としてある。

【００３１】こうした構成のシェルアンドチューブ熱交
換器２０において、まずパイプ組立て体２４を組み付け
る。すなわち、フランジ２１のノックピン挿入孔２７お
よびスペーサ２２のノックピン挿入孔２９に上下一対の
ノックピン３０を挿入して、上下一対のフランジ２１を
所定の間隔、平行度、同心度に組み付ける。

【００３２】この上下一対のフランジ２１と左右一対の
スペーサ２２との間において、スペーサ２２のプレート
挿入溝３１にガイドプレート２３を挿入固定するととも
にフランジ２１のパイプ挿入孔２８およびガイドプレー
ト２３のパイプ挿入孔３２にパイプ４を挿入する。

【００３３】したがって、フランジ２１およびパイプ４
の治具を必要とすることなく、スペーサ２２を介して、
フランジ２１を所定の間隔、平行度、同心度に組み付け
ることができるとともに、パイプ４およびガイドプレー
ト２３の相対位置も所望の精度で組み付けることができ
るばかりか、その組付け性を向上させることができる。

【００３４】ついでこのパイプ組立て体２４について炉
中ロウ付けを行い、円筒状のシェル２に収納し、蓋材６
で被覆した状態で、シェルアンドチューブ熱交換器２０
とする。

【００３５】かく組み付けたシェルアンドチューブ熱交
換器２０においては、ガイドプレート２３が邪魔板の作
用を果たして図１に示すように水を蛇行させるので、パ
イプ４との間の熱交換を効率よく行うことができる。さ
らに、スペーサ２２が熱交換空間１１内においてパイプ
４の集合体の外周部への水の流れを阻害し、それぞれの
パイプ４に充分な水を供給可能とするので、さらに、熱
交換効率を向上させることができる。

【００３６】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、フランジ
をスペーサにより位置決めするとともに、このスペーサ
にガイドプレートを所定位置に固定して水の蛇行および
パイプの取付けを確実にしたので、組付け性および熱交
換率を向上させることができる。

【００３７】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態によるシェルアンドチュー
ブ型熱交換器２０の縦断面図である。

【図２】同、図１のＩＩ矢視図である。

【図３】同、図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線断面図である。

【図４】同、パイプ組立て体２４の分解斜視図である。

【図５】従来のシェルアンドチューブ型熱交換器１の平
面図である。

【図６】同、図５のＶＩ−ＶＩ線断面図である。

【図７】同、シェル２および蓋材６の断面図である。

【符号の説明】

１ シェルアンドチューブ型熱交換器（図５） ２ 円筒状のシェル ３ 上下一対の円盤状のフランジ ４ パイプ（細管、チューブ） ５ パイプ組立て体 ６ 蓋材 ７ 水の導入口 ８ 水の導出口 ９ Ｏリング １０ 取付けボルト １１ 熱交換空間 ２０ シェルアンドチューブ熱交換器（図１） ２１ 上下一対のフランジ ２２ 左右一対のスペーサ ２３ ガイドプレート ２３Ａ ガイドプレート２３の両側面部 ２３Ｂ ガイドプレート２３の円弧状端部 ２３Ｃ ガイドプレート２３の直線状端部 ２４ パイプ組立て体 ２５ 円弧状の支持台部 ２６ くぼみ状のパイプ固定部 ２７ ノックピン挿入孔 ２８ パイプ挿入孔 ２９ ノックピン挿入孔 ３０ 上下一対のノックピン ３１ プレート挿入溝 ３２ パイプ挿入孔

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 筒状のシェルと、 このシェル内に収納する盤状のフランジと、 このフランジにそれぞれの両端部を配置した多数のパイ
   プと、を有するとともに、 前記シェルおよび前記フランジの内方において前記パイ
   プが配置された空間を熱交換空間として形成したシェル
   アンドチューブ型熱交換器であって、 前記パイプの長さ方向に沿って配置したスペーサを設
   け、 このスペーサの両端に前記フランジを固定し、 前記フンラジより小さな面積を有するガイドプレート
   を、前記シェルの内部において前記スペーサにより支持
   したことを特徴とするシェルアンドチューブ型熱交換
   器。
2. 【請求項２】 前記フランジおよび前記スペーサは、
   これをノックピンにより位置決めしたことを特徴とする
   請求項１記載のシェルアンドチューブ型熱交換器。
3. 【請求項３】 前記ガイドプレートは、前記スペーサ
   に形成したプレート挿入溝にこれを挿入可能としたこと
   を特徴とする請求項１記載のシェルアンドチューブ型熱
   交換器。